説明

防水蒸気透過性多層物

蒸気透過性および微孔性であり、少なくとも部分的に吸湿性があるか、または、時間が経つにつれて吸湿特性をおび得る材料で作られた少なくとも1つの第1層(11,111,211,311)と、防水性で蒸気透過性の少なくとも1つの第2層(12,112,212,312)とを含む防水蒸気透過性多層物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、防水蒸気透過性多層物に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリテトラフルオロエチレンベースの膜により構成される防水蒸気透過性多層物が、特に靴と衣類の分野において一般に知られている。
そのような膜は、衣類の部材により限られた環境下で、発汗により身体より放出される水蒸気を適当に透過できるようにするために、衣類の部材を構成する織物と結合される。
同時に、衣類の部材は、身体を乾いた状態に保つという同じ目標のため、適当に防水できるものでなければならない。
靴においても同様である。このタイプの膜は靴のアッパーとソールに関連している。この点において、足の発汗の大部分は足の裏と靴のソールとの間の接触面で発生することが注目されるべきである。
数年来使用され、適当な防水および水蒸気と空気の最適な透過性を保証できると認められる、現在周知の膜は改良され得る面を有している。
これらの膜にはほとんど耐性がなく、実際に容易に裂け得る。強度を付与するために、通常これらの膜は貼り合わせによりプラスチック材料で作られたサポートメッシュに結合されるが、プラスチック材料は必然的に水蒸気または空気の透過性を低下させる。
いずれにせよ、メッシュとの結合は許容できるほど十分な強度特性を満たさない。
これらの膜の限られたコンシステンシーから見て、そのような膜が自立であり得ないことは明白である。
この理由から、例えばソールにおいて、(メッシュと一体化される)膜は、十分に支持することができる支持体と結合されなければならない。
さらに、どのように特殊な理由によっても、乾燥が保たれるべき環境内部で発汗が液化するとき、その環境は前記の膜により区切られてしまい、そのような発汗は、これ以上放出され得ず、不快な「濡れ」効果を発生することが注目されるべきである。
【発明の開示】
【0003】
この発明の目標は、周知のタイプの記された欠点を解決する、防水蒸気透過性多層物を提供することである。
この目標の範囲内において、この発明の目的は、構造的に強い防水蒸気透過性多層物を提供することである。
この発明の別の目的は、特に蒸気や空気を透過できる防水蒸気透過性多層物を提供することである。
この発明の別の目的は、自立であり得る防水蒸気透過性多層物を提供することである。
この発明の別の目的は、周知のシステムや技術で製造可能な防水蒸気透過性多層物を提供することである。
この目標およびこれらおよび、以下によりさらに明らかになるこの発明の他の目的は、蒸気透過性および微孔性で、少なくとも部分的に吸湿性があり、または、時間が経つにつれて吸湿特性をおび得る材料で作られた少なくとも1つの第1層と、防水性で蒸気透過性の少なくとも1つの第2層とを含むことを特徴とする防水蒸気透過性多層物により達成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0004】
図面の簡単な説明
この発明の特徴および利点は、以下の添付図面の制限されない例により示される、2つの好ましいが限定的でない実施例の記載により、さらに明らかになる。
図1は、この発明による多層物の第1実施例の断面図である。
図2は、図1の多層物のバリエーションの断面図である。
図3は、この発明による多層物の第2実施例の断面図である。
図4は、図3の多層物のバリエーションの断面図である。
【0005】
発明を実施する方法
図1で示される第1実施例を参照して、この発明による防水蒸気透過性多層物は一般に符号10で示される。
多層物10は、蒸気透過性、微孔性、吸湿性の材料で作られた第1層11と、防水性で蒸気透過性の第2層12とを含む。
第1層11は、例えばポリオレフィンおよび充填材粒子をベースとする吸湿性の材料により構成される。
充填材粒子は、蒸気や空気を透過できるように、微小孔を作るよう設計される。
記載された実施例で用いられるポリオレフィンは、非常に高い分子量を有している。この理由として、そのようなポリオレフィンは好ましくはUHMW(超高分子量の)ポリエチレンである。
UHMWポリオレフィンの特性は、少なくとも500,000g/moleの平均分子量を有するポリオレフィンに当てはまる。
好ましくは、平均分子量は4×106g/moleと7×106g/moleとの間にある。
【0006】
好ましい充填材は、微細に粉砕されたシリカ(二酸化珪素SiO2)である。
シリカは重要な吸湿能を有し、第1層11の吸湿特性の十分な利点になる。
二酸化珪素SiO2の充填材粒子の最適な平均粒径は、0.01μmと20μmとの間にあり、前記充填材の平均表面積は30m2/gと950m2/gとの間にある。
好ましくは、充填材粒子の平均表面積は少なくとも100m2/gである。
記載される第1層11は、直径1μmよりも小さな孔径を有する。
好ましくは、孔の50%以上は0.5μmよりも小さな直径を有する。
以下のように理解される気孔率、
気孔率=[1−(見かけの膜密度/樹脂密度)]×100
は、好ましくは少なくとも50%である。
【0007】
第1層11は、例えば、抗菌剤および/または殺菌剤で処理される。
好ましい最終形状は、実質的に200μmと1.5cmとの間にあり、特に200μmと600μmとの間にある、あらかじめ設定された厚さのシートである。
登録商標名DARAMICにより商業上知られており、会社DARAMIC Inc.(ドイツ、ノーダーステッド(Norderstedt))により製造されている微孔性膜は、上述の第1層11で記載された特性を有する。したがって、この発明による多層物を形成するために使用され得る。
そのような微孔性膜はそれ自体周知であり、現在、アキュムレータやバッテリーの隔壁として用いられており、シート形状を備える。
この膜の特性は米国特許第3351495号(W R GRACE&Co.の名義)および米国特許第6139759号(Daramic Inc.の名義)に開示されている。
前記登録商標DARAMICの600μmの厚さを有するタイプは、実質的に5.8MPaの最大引っ張り強度および505%(ISO37による)の最大破断点伸びを有しており、それ故、優秀な強度特性を有する。
【0008】
最初に記載した実施例において、防水性で蒸気透過性の第2層12は、ポリプロピレン(「ポリプロピレン」という用語は、プロピレンモノマーから発生するどのようなポリマー、ホモポリマー、コポリマーを示すためにも用いられる)ベースの疎水性の微孔性材料により構成される。
好ましくは、第2層12のポリプロピレンは、蛋白質と脂肪への低親和性のアイソタクチックのホモポリマーである。
会社CELGARD Inc.の登録商標名CELGARDにより知られている、疎水性膜は、第2層12で説明した特性を有し、それ故、この発明による多層物を形成するために使用され得る。
第1層11と第2層12との結合は、結合の際に前記層が有する「外観」のタイプに依存する。
例えば、第1層11と第2層12の両方ともシート形状である場合、密集した層(compact layer)を形成するのを避けるために、接着剤スポットの塗布により、または、通気性表面が減ずるのを避けるため、周知の高周波または超音波技術を用いることにより結合され得る。
代替手段として、例えば、1つの層を裏地と考えられる別の層に広げ(spread)、または圧延(roll)することである。
この場合において、分離しないようにするため、塗布層は裏地の基礎に強固に接着されなければならない。
さらに、そのような層は、大規模なスプレッダー(spreading)およびローリング(rolling)技術により、基礎層に容易に形成され、また据えられる特性を有しなければならない。
【0009】
登録商標DARAMIC膜の重合体のポリエチレン層は、その分子量が微孔性支持体の孔への浸透を防ぐために十分高いので塗布に適しており、または、登録商標CELGARDポリプロピレン膜の孔よりも大きな集合体にできる。
例えば、この発明による多層物を製造するための1つの方法は以下のとおりである。
低表面張力の揮発性の有機物の液体の中で、第1層11用の基本ポリマーミックスの溶液または分散液が、一定の粘度を有する塗布溶液を製造するために作られる。
裏地としての役割をする第2層12のシート表面に、被膜層を第2層の表面に形成するために塗布により溶液を付着する。
塗布表面の架橋反応を促進するために、塗布した揮発性成分を蒸発させる。
積層物を作るため、残りの湿気を除去するために、被膜は乾燥させられる。
意図された厚さに到達するために、1つまたはそれ以上のポリマー追加層が同様に適用され、乾燥され得ることは明白である。
ポリマー溶液は、例えば、ローラー塗布やスプレー塗布といった背景技術で周知の通常の塗布技術により、疎水性の微孔性膜で作られた裏地に適用され得る。
【0010】
2つの独立した層で構成される、多層物10の基本構成の1つのバリエーションが図2に示されている。
このバリエーションにおいて、通常符号100で示されるこの発明による多層物は、蒸気透過性の微孔性吸湿性材料により作られる第1層111により構成され、第1層は防水性で蒸気透過性の第2層112によりサンドイッチ状に区切られる。
第1層111および第2層112は、先に記載の第1層11および第2層12とそれぞれ同じ特性を有することは明白である。
さらに、他のバリエーションが、要件にしたがって併用される、前記第1層および第2層の1つまたはそれ以上の重ね合わせであってもよいことは明白である。
また、第2層12(または112)は、微孔性の第1層11(または111)に、または、任意にポロシロキサンにフルオロポリマーを塗布することにより供給され得る。
例えば、そのようなフルオロポリマーはデュポンにより製造された登録商標名Zonylにより商業上知られている。
また、第2層12(または112)は、フルオロポリマー(例えば、登録商標Zonyl)またはポリシロキサンの電解槽内に第1層11(または111)を浸漬することにより作ることもできる。
【0011】
通常符号200で示される、この発明による多層物の第2の実施例(図3参照)は、上述の例で記載された第1層211および、プラズマ堆積処理により得られた薄膜である、符号212で示される第2層を有する。
プラズマ堆積による薄膜のアイデアは、周囲温度における高真空の下「コールドプラズマ」重合によって、微孔性裏地材料に超薄層を形成するのにシロキサン有機化合物の蒸気が用いられ得るという、意外な実験による発見から生じた。このアイデアは、一般的特性および、特に裏地材料の透過特性を変更することなく防水特性を提供する。
防水通気性疎水性層は、実際には、(例えばポリエチレンまたはポリスチレンで作られる)微孔性の裏地材料にポリマー(ポリシロキサン)層を堆積することによる、例えばシロキサンベースのモノマーの、プラズマ重合により供給される。
また、例えば、デュポンにより製造され商標名Zonylで登録されている撥油性および撥水性のフルオロポリマーを用いることによっても、この堆積は実施され得る。
【0012】
プラズマは到達温度によって高温(ホット)および低温(コールド)に分類され、また、周囲圧力プラズマと真空プラズマにも分類される。
この発明による薄膜を得るためのコールドプラズマ過程において、気体状あるいは蒸気状の前駆体化合物は、非常に低圧の(真空状態の)反応チャンバに導入される。
プラズマ状態は、反応チャンバ内で電界を発生させ、前駆体に電圧を印加することによって発生する。
結果は、反応チャンバに導入されたあらゆる下地材料の全表面に付着し、および堆積される超薄のポリマー層である。
プラズマ重合過程は、反応チャンバ内側に堆積した層となっている前駆体の分解を達成するために、電界により開始され、行われる。
一度分解が発生すると、イオンと反応種(reactive species)が構成され、原子および分子の反応を開始および招来し、最終的に薄い薄膜を形成する。
【0013】
電界の様々な構成や異なる反応パラメータは、プラズマ重合により層を作ることに用いられてもよい。
層の厚さは、重合可能な最初の材料の選択、および、モノマー堆積時間、処理時間、反応が行われる電気周波数および使用電力などの、反応状態の選択により調整される。
この発明において、プラズマ重合は真空状態において行われる。
一般的な圧力の範囲は、10-1mbrと10-5mbrとの間である。
前駆体は、純粋な状態において、例えばアルゴンのような重合できない不活性ガスを用いることにより反応させる。そのような不活性ガスは、不活性希釈物質として、および、前駆体の重合を促進する担体気体としての両方に用いられる。
他の気体として酸素、ヘリウム、窒素、ネオン、キセノンおよびアンモニアのいずれもが用いられ得る。
前駆体は、適度の真空において十分に蒸発できるような蒸気圧を有していなければならない。
【0014】
プラズマ堆積過程は、反応チャンバに被覆される裏地材料(この場合において、第1層212)を装填し、その後にチャンバを意図された真空圧にしていくことにより開始する。
真空圧に到達したら、プラズマ重合反応または前処理反応が開始し得る。
プラズマ重合反応は、プラズマを生成する放電を作ることにより、および、蒸発した前駆体モノマーを反応チャンバに注入することにより発生する。
表面を洗浄するため、またはポリマー薄膜の付着を促進するために、第1層の表面が、アルゴンや窒素のような不活性ガスにさらすことにより洗浄されるべきときに、前処理反応が必要となる。
プラズマ発生放電の間、モノマーとイオンやプラズマ電子との衝突により、モノマーの重合が可能になる。
結果としてポリマーはチャンバ内側の露出表面上に堆積される。
薄膜の特性は、単にモノマー構造の機能だけではなく、放電周波数、使用電力、モノマーの流量および圧力の機能でもある。
気孔率、表面形態および透過性は、反応状態により変化し得る。
堆積材料が意図した厚さに到達したときに、堆積過程は終了する。
【0015】
第1層212が絶縁材料(例えば、ポリエチレンが最も絶縁性の高い材料の1つとして知られている)で作られているという事実のために、プラズマ状態を維持するためには、処理における電界を実質的に13.56MHz程度の周波数で、実質的に50〜700Wに等しい供給電界電力で発振させるために、その過程に高周波発生器を利用することが必要となり、真空レベルは10-1mbarと10-5mbarとの間にある。
処理期間として、シロキサンモノマーなどの前駆体にとっての最適な時間は、実質的に160秒〜600秒の間にあることが観測されており、特に、最適な時間は実質的に420秒であることが分かっている。
【0016】
2つの独立した層で構成される多層物200の基本構成の1つのバリエーションが図4に示されている。
このバリエーションにおいて、符号300で示されるこの発明による多層物は、蒸気透過性、吸湿性微孔性材料で作られる第1層311で構成され、第1層は防水性で蒸気透過性の2つの第2層312によりサンドイッチ状に区切られている。
第1層311および第2層312は、先に記載の第1層211および第2層212とそれぞれ同じ特性を有することは明白である。
さらに、他のバリエーションが、要件にしたがって結合される、第1層および第2層の1つまたはそれ以上の重ね合わせであってもよいことは明白である。
実際に、このように記載された発明が、周知の防水、蒸気透過性多層物の問題を解決することが観察された。
微孔性で吸湿性の第1層と疎水性の第2層を結合している多層物が実際に供給され、前記層は、水蒸気や他の揮発性成分の移動を許容する一方、どのような液相の流入も防ぐ。
【0017】
微孔性構造を発生させるために第1層の内部に供給されるシリコンベースの充填材は、相当の水を吸収する傾向を有する高吸湿性の材料である。したがって、第1層は個別に防水層として用いられるのには不適であるが、発汗や湿気を身体(衣服においては胴または脚、靴においては足)から遠ざけるのには非常に有効である。
さらに、吸湿性の第1層と疎水性の第2層がともに、現在用いられている膜よりも構造的に強く厚いため、蒸気または空気の透過性を低下させる裏地無しに、それらは組み合わせて用いられ得る。
この点において、多層物(10、100、200、300等)は構造特性を有しているため、靴の支持構造として使用され得る。例えば、上方に開口部を有する靴底と組み合わせて、多層物は通気性防水ソールの支持要素として使用され得る。
【0018】
そのような層は、要件によって、密集した層(compact layer)を形成するのを避けるために、接着剤スポットの塗布により、または、通気性表面が減ずるのを避ける、周知の高周波または超音波技術を用いることにより、または、1つの層を別の層に広げ(spreading)、または圧延(rolling)することによって結合され得る。
この点において、第1層は、蒸気と空気の透過性を犠牲にすることなく、より厚くなっているため、第1層を防水通気性薄膜のプラズマ堆積の代わりに裏地として用いることで、広げ、伸ばし、または接着剤結合によって2つの層を組み合わせることにより、上述のものと同じ目標と目的を達成することが可能となる。
なお、プラズマ堆積を用いることにより、第1層を第2層に一致させて接着させる問題が解決される。プラズマ堆積されたポリマーは、例えば通常の塗布より長時間裏地層に接着するからである。
さらに、防水薄膜は部分真空状態において堆積されるので、また、裏地材料は事前に反応チャンバ内で高純度のアルゴンで洗浄され得るため、堆積された防水薄膜を破砕、断絶、歪ませるいかなる不純物も完全に回避され得る。
【0019】
このように考えられた発明は多数の改良や変更が可能であり、これらのすべてはクレームに付加された範囲内にある。細部のすべてはさらに、技術上同等の他の構成部分と取り替えられてもよい。
実際には、用いられる材料は、寸法と同様に、特定の使用において互換性がある限り、要件および最新技術に応じたいかなるものであってもよい。
この出願クレームの優先権の、イタリアの特許出願No.PD2003A000314における開示は、ここに言及する法人である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】この発明による多層物の第1実施例の断面図である。
【図2】図1の多層物のバリエーションの断面図である。
【図3】この発明による多層物の第2実施例の断面図である
【図4】図3の多層物のバリエーションの断面図である。
【符号の説明】
【0021】
10,100,200,300・・・多層物
11,111,211,311・・・第1層
12,112,212,312・・・第2層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸気透過性および微孔性であり、少なくとも部分的に吸湿性であるか、または、時間が経つにつれて吸湿特性をおび得る材料で作られた少なくとも1つの第1層(11,111,211,311)と、防水性で蒸気透過性の少なくとも1つの第2層(12,112,212,312)とを含むことを特徴とする防水蒸気透過性多層物。
【請求項2】
前記少なくとも1つの第1層(11,111,211,311)がポリオレフィンおよび充填材粒子のベースを含むことを特徴とする請求項1に記載の多層物。
【請求項3】
前記ポリオレフィンの分子量が少なくとも500,000g/moleであることを特徴とする請求項2に記載の多層物。
【請求項4】
前記ポリオレフィンの分子量が好ましくは4×106g/moleと7×106g/moleとの間にあることを特徴とする請求項3に記載の多層物。
【請求項5】
前記ポリオレフィンはアイソタクチックのポリプロピレンまたはポリエチレンから構成されることを特徴とする請求項2〜4の1つに記載の多層物。
【請求項6】
前記充填材が好ましくは二酸化珪素SiO2であることを特徴とする請求項2〜5の1つに記載の多層物。
【請求項7】
二酸化珪素SiO2の充填材粒子の平均直径が実質的に0.01μmと20μmとの間にあり、前記充填材の平均表面積が実質的に30m2/gと950m2/gとの間にあることを特徴とする請求項6に記載の多層物。
【請求項8】
前記充填材粒子の平均表面積が好ましくは少なくとも100m2/gであることを特徴とする請求項6または7に記載の多層物。
【請求項9】
微孔性材料で作られる前記少なくとも1つの第1層(11,111,211,311)の孔のサイズが直径1μmより小さいことを特徴とする前述の請求項の1つ以上に記載の多層物。
【請求項10】
好ましくは微孔性材料で作られる前記少なくとも1つの第1層(11,111,211,311)の孔の50%以上が直径0.5μmより小さいことを特徴とする前述の請求項の1つ以上に記載の多層物。
【請求項11】
微孔性材料で作られる前記少なくとも1つの第1層(11,111,211,311)の気孔率が、好ましくは少なくとも50%であることを特徴とする前述の請求項の1つ以上に記載の多層物。
【請求項12】
微孔性材料で作られる前記少なくとも1つの第1層(11,111,211,311)の厚さが、200μmと1.5cmとの間にあることを特徴とする前述の請求項の1つ以上に記載の多層物。
【請求項13】
微孔性材料で作られる前記少なくとも1つの第1層(11,111,211,311)の厚さが、好ましくは200μmと600μmとの間にあることを特徴とする請求項12に記載の多層物。
【請求項14】
前記少なくとも1つの第1層(11,111,211,311)が、登録商標名DARAMICにより商業上知られており、会社DARAMIC Inc.により製造される微孔性膜により構成されることを特徴とする請求項1に記載の多層物。
【請求項15】
防水蒸気透過性の前記少なくとも1つの第2層(12,112)が、ポリプロピレンベースの微孔性疎水性材料で構成されることを特徴とする前述の請求項の1つ以上に記載の多層物。
【請求項16】
前記微孔性疎水性材料のポリプロピレンが、アイソタクチックのホモポリマーであることを特徴とする請求項15に記載の多層物。
【請求項17】
前記少なくとも1つの第2層(12,112)が、登録商標CELGARDとして商業上知られており、会社CELGARD Inc.により製造される疎水性膜により構成されることを特徴とする請求項1または14に記載の多層物。
【請求項18】
前記少なくとも1つの第2層(12,112)が、フルオロポリマーまたはポリシロキサンベースのポリマーで構成され、前記少なくとも1つの第2層(12,112)は、前記ポリマーの塗布、または、前記ポリマーの電解槽内に前記第1層(11,111)を浸漬することにより、前記第1層(11,111)に接着されることを特徴とする請求項1に記載の多層物。
【請求項19】
前記フルオロポリマーは、デュポンにより製造された登録商標名Zonylにより商業上知られていることを特徴とする請求項18に記載の多層物。
【請求項20】
一定の粘度を有する塗布溶液を製造するために、低表面張力の揮発性の有機物の液体の中で、前記第1層(11,111)のための基本ポリマーミックスの溶液または分散液を作り、
裏地としての役割をする前記第2層(12,112)の表面に被膜層を形成するため、塗布により前記溶液を適用し、
塗布表面の架橋反応を促進するために、塗布した揮発性成分を蒸発させ、
残りの湿気を除去するために被膜を乾燥させること、を含む前述の請求項の1つに記載の多層物の製造方法。
【請求項21】
前記第1層(11,111)と前記第2層(12,112)とを、前記層の一方を他方に積層により結合させることを含む請求項1〜17の1つに記載の多層物の生産方法。
【請求項22】
シート状の前記第1層(11,111)を同様にシート状の前記第2層(12,112)に、接着剤スポットの塗布により、または超音波を用いて、または高周波溶着により結合させることを含む請求項1〜17の1つに記載の多層物の生産方法。
【請求項23】
前記少なくとも1つの第2層(212,312)がプラズマ堆積処理により得られた薄膜により構成されることを特徴とする請求項1〜14の1つ以上に記載の多層物。
【請求項24】
前記プラズマ堆積処理は高真空のコールドプラズマ状態での加工により得られることを特徴とする請求項23に記載の多層物。
【請求項25】
前記プラズマ堆積処理は、処理における電界が実質的に13MHzと14MHzとの間にある周波数で発振する高周波発生器を用いることにより得られることを特徴とする請求項23または24に記載の多層物。
【請求項26】
前記プラズマ堆積処理は、処理における電界が好ましくは13.56MHz程度の周波数で発振する高周波発生器を用いることにより得られることを特徴とする請求項25に記載の多層物。
【請求項27】
前記プラズマ堆積処理は、その処理において供給される実質的に50〜700Wの間にある電界電力を用いることにより得られることを特徴とする請求項23〜26の1つに記載の多層物。
【請求項28】
シロキサンベースのモノマー用の前記プラズマ堆積処理期間が、160秒〜600秒の間にあることを特徴とする請求項23〜27の1つに記載の多層物。
【請求項29】
シロキサンベースのモノマー用の前記プラズマ堆積処理期間が、実質的に420秒に等しいことを特徴とする請求項28に記載の多層物。
【請求項30】
前記プラズマ堆積処理の真空レベルは実質的に10-1mbarと10-5mbarとの間にあることを特徴とする請求項23〜29の1つに記載の多層物。
【請求項31】
前記プラズマ堆積処理は、高真空のコールドプラズマ状態で加工すること、および、高周波発生器を用いることにより得られ、処理における電界が13.75MHz程度の周波数で、300〜500Wの供給電界電力で発振し、真空レベルが10-1mbarと10-5mbarとの間にあることを特徴とする請求項23に記載の多層物。
【請求項32】
プラズマ堆積前駆体材料がシロキサンベースのモノマーであることを特徴とする請求項23〜31の1つに記載の多層物。
【請求項33】
プラズマ堆積前駆体材料が撥油性および撥水性のフルオロポリマーであることを特徴とする請求項23〜31の1つに記載の多層物。
【請求項34】
前記少なくとも1つの第2層(212,312)の材料がポリシロキサンであることを特徴とする請求項23〜31の1つに記載の多層物。
【請求項35】
前記少なくとも1つの第2層(212,312)の材料が撥油性および撥水性のフルオロポリマーであることを特徴とする請求項23〜31の1つに記載の多層物。
【請求項36】
前記フルオロポリマーはデュポンにより製造された登録商標名Zonylにより商業上知られていることを特徴とする請求項33または35に記載の多層物。
【請求項37】
前記第1層(211,311)を被覆のために反応チャンバに導入し、
前記反応チャンバを、予め設定した真空圧に持っていき、
プラズマ生成放電を開始し、
蒸発した前駆体モノマーを前記反応チャンバに注入し、
予め設定した堆積時間を待つ、工程を含む前述の請求項23〜34の1つに記載の多層物の生産方法。
【請求項38】
第1層を前記反応チャンバに注入された不活性ガスにさらすことにより、前記第1層(211,311)の表面を洗浄することを含む前処理工程を含むことを特徴とする請求項37に記載の生産方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2007−517683(P2007−517683A)
【公表日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−546086(P2006−546086)
【出願日】平成16年12月27日(2004.12.27)
【国際出願番号】PCT/EP2004/014718
【国際公開番号】WO2005/063070
【国際公開日】平成17年7月14日(2005.7.14)
【出願人】(502346105)ジェオックス エス.ピー.エー. (27)
【氏名又は名称原語表記】GEOX S.p.A.
【住所又は居所原語表記】Via Feltrina Centro 16,31044 MONTEBELLUNA(Treviso),Localita Biadene,ITALY
【Fターム(参考)】