説明

防水試験のための方法及び装置

防水試験のための方法であって、1又はそれ以上の試験されるべき試料6を遠心装置1,2,3,4に枢着された1又はそれ以上のコンテナ5のタンク7内へ配置し、前記試料6が少なくとも部分的に液体8内に浸漬されるように、前記液体8を前記タンク7に満たし、前記タンク7が外側に揺れて、内部に収容されている前記液体8の圧力が前記試料6の外面で増大するように、前記遠心装置1,2,3,4を起動する。また本発明は、その方法を実施するのに用いることができる装置に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防水試験を実施するための方法に係り、特に履物及び衣服の試験のためのものである。また本発明は、前記方法を実施するために用いることができる装置に関する。
【背景技術】
【0002】
米国特許第5329807号明細書は、防水試験のための方法を開示しており、これによると、試料の内壁にかかる液体の圧力を高め、簡単で迅速な方法で防水性を試験するために、試験される試料、例えば履物内が液体で満たされ、遠心装置内に配置される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、この方法及びこの装置で実施される試験では正確な結果は得られない。なぜなら、試料の外側から内側、及びその逆方向に水が侵入できるような実際の条件を再現していないからである。更に、試験の後、試料は内部が濡れてしまい、それらを乾燥させるのが困難であり、また試料が損傷してしまう。
【課題を解決するための手段】
【0004】
従って、本発明の目的は前記欠点の無い方法及び装置を提供することである。この目的は、主要な特徴がそれぞれ請求項1及び4に記載されている方法及び装置によって達成でき、他の特徴は残りの請求項に記載されている。
【発明の効果】
【0005】
備えられたタンクのおかげで、外側から内側へ侵入し、その逆は生じない液体の中に試料が浸漬されるので、本発明に係る遠心装置は実際の条件を完璧に再現できる。更に、試験の後、試料は全く濡れないか或いは僅かに内部が濡れる程度であり、それらの内部を乾燥させる必要がなく、外側の乾燥は通常は簡単であり、或いは不要でさえある。公知の方法の代わりの本発明に係る方法及び装置は、単純に試験前後の履物の重さを量るだけで、履物の甲革と内部に配置された膜との間の内部空間への水の浸透を試験することができる。
【0006】
本発明の詳しい特徴によれば、遠心装置のタンクの底には、液体内で試料の浮き上がりを防ぐ固定手段が設けられ、これにより結果が変わる。本発明に係る方法及び装置の更なる利点及び特徴は、以下の詳しいけれども実施形態を限定するものではない説明及び添付図面を参照することから、当業者にとって明らかとなるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
図1及び図2を参照すると、本発明に係る装置が公知の態様で支持構造体1を備えていることが分かり、そこでは軸2がモータ3によって回転する。1又はそれ以上の部材4、詳しくは1又はそれ以上のコンテナ5を支持するためにアーム4が軸2から延びており、コンテナはアーム4の直角な実質的に水平の軸線の周りで揺れるようにアームに対して枢動する。コンテナ5は試験されるべき1又はそれ以上の試料、例えば履物を収容できる。
【0008】
本発明によれば、コンテナ5は1又はそれ以上のタンク7、詳しくは実質的に平行六面体の形状を有し、中に液体8、例えば水が注がれており、試料6がこの液体内に少なくとも部分的に浸漬されている。タンク7の底には、液体8内で試料6が浮き上がるのを防止するための固定手段(図示略)を備えることが望ましい。
【0009】
図3及び図4を参照すると、作動中に試料6の防水性を試験するために軸2の周りをコンテナ5が回転するように、モータ3を回転させるのに十分であることが分かる。遠心力により、コンテナ5とタンク7は外側に揺れ、同時に液体8は溢れ出ることなく試料6の外面への圧力が増大する。例えば、コンテナ5の回転半径がおよそ50cmで毎分150回転の速度での試験では、相対遠心力(RCF)の係数は少なくとも10であり、具体的には13であり、すなわち試料6にかかる液体8の圧力はコンテナ5が止まっているときの圧力に対しておよそ13倍まで増大する。
【0010】
防水性を測定するために、試験の間及び/又は後に湿度計又は湿度センサを試料6内に配地することで十分である。もし、試料6が例えば手袋や他の衣服のように剛体でない場合は、その試料の形状に対して相補的な形状を持つ堅牢構造体がその中に配置される。
【0011】
可能な変形及び/又は追加は、本発明の範囲に含まれたまま、上記説明及び図示した実施形態に対して当業者によって成される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係る装置の正面図である。
【図2】図1の装置のコンテナの拡大され一部断面図となっている斜視図である。
【図3】動作中の図1の装置の正面図である。
【図4】動作中の図2のコンテナの拡大され一部断面図となっている斜視図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
防水試験のための方法であって、
1又はそれ以上の試験されるべき試料6を遠心装置1,2,3,4に枢着された1又はそれ以上のコンテナ5のタンク7内へ配置し、
前記試料6が少なくとも部分的に液体8内に浸漬されるように、前記タンク7に前記液体8を満たし、
前記タンク7が外側に揺れて、内部に収容されている前記液体8の圧力が前記試料6の外面で増大するように、前記遠心装置1,2,3,4を起動する、
ことを特徴とする防水試験方法。
【請求項2】
前記遠心装置1,2,3,4の相対遠心力(RCF)の係数は、動作中に少なくとも10であることを特徴とする請求項1に記載の防水試験方法。
【請求項3】
前記遠心装置1,2,3,4の動作中に、前記試料6は前記タンク7の底に固定されていることを特徴とする請求項1または2に記載の防水試験方法。
【請求項4】
防水試験のための装置であって、
支持構造体1を備えており、この支持構造体は1又はそれ以上の試料6を収容するのに適した1又はそれ以上のコンテナ5を揺れる態様で支持するために回転できる1又はそれ以上の突出部材4を備えた軸2を備え、前記コンテナ5は1又はそれ以上のタンク7を備え、その中には前記試料6が液体8内に少なくとも部分的に浸漬されるように前記液体8が注がれていることを特徴とする防水試験装置。
【請求項5】
前記タンク7の底には、内部に配置される試料6が前記液体8内で浮かび上がらないように固定手段が備えられていることを特徴とする請求項4に記載の防水試験装置。
【請求項6】
前記突出部材4はアームを備え、そのアーム4に対して直角で実質的に水平な軸線の周りに揺動するために前記コンテナ5が前記アームに枢着されることを特徴とする請求項4又は5に記載の防水試験装置。
【請求項7】
前記軸の回転中に前記試料6にかかる相対遠心力(RCF)の係数は少なくとも10であることを特徴とする請求項4〜6の何れか一項に記載の防水試験装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2007−510899(P2007−510899A)
【公表日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−537564(P2006−537564)
【出願日】平成16年10月27日(2004.10.27)
【国際出願番号】PCT/IT2004/000587
【国際公開番号】WO2005/045390
【国際公開日】平成17年5月19日(2005.5.19)
【出願人】(504359248)ネクステック・ソチエタ・ア・レスポンサビリタ・リミタータ (2)
【Fターム(参考)】