説明

防汚塗料組成物

【課題】塗膜の消耗速度を一定の範囲に抑制しつつ、長期間にわたり優れた防汚効果を維持することが可能な防汚塗料組成物を提供する。
【解決手段】所定の構造を有する架橋型の金属塩結合含有共重合体(A)と、4,5-ジクロロ-2-n-オクチル-4-イソチアゾリン-3-オン(B)と、2-ピリジンチオール-1-オキシド亜鉛(C)と、酸化チタン(D)とを含有する本発明の防汚塗料組成物は、成分の組み合わせによる相乗効果により、塗膜の消耗性を挙げることなく防汚効果の持続性を大幅に向上させることが可能である。防汚塗料組成物の全固形分100重量部中、上記酸化チタン(D)は5〜40重量部の割合で含有されることが好ましく、また、4,5-ジクロロ-2-n-オクチル-4-イソチアゾリン-3-オン(B)および2-ピリジンチオール-1-オキシド亜鉛(C)は合計で0.1〜15重量部の割合で含有されることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水棲生物による基材の汚損を防止するために用いられる防汚塗料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
船底、水中構造物、漁網など、水中に長期間さらされる基材の表面には、カキ、イガイ、フジツボ等の動物類、ノリ等の植物類、およびバクテリアなどの各種の水棲生物が付着しやすい。これらの水棲生物が基材表面で繁殖すると、船舶の表面粗度が増加して速度の低下および燃費の拡大を招き、また、基材表面に塗布された防食用塗膜が損傷して、水中構造物の強度や機能の低下や、寿命の著しい短縮化といった被害が生ずるおそれがある。そのため、水棲生物の付着を防止するために基材表面に塗布して用いる、各種の防汚塗料組成物の研究、開発が進められている。
【0003】
有機防汚剤は、このような防汚塗料組成物に配合され、加水分解性の塗膜中から溶出して防汚作用を発揮する成分であるが、魚毒性が低く、また、分解性が高いため環境中への蓄積性も低いなど、環境への負荷が少ないことから、防汚塗料組成物に広く使用されている。
【0004】
しかし、有機防汚剤による防汚持続性は比較的短い傾向にあるため、従来の防汚剤を用いる場合よりも塗膜の消耗速度を大幅にアップさせるという方法と組み合わせることにより、防汚効果を維持することを余儀なくされていた。塗膜の消耗速度が速ければ、より頻繁に防汚塗料の重ね塗りなどのメンテナンスを行わなくてはならず、そのたびに多大な労力と作業時間が必要とされ、コストの面で不利である。
【0005】
なお、本出願人は先に、加水分解性の共重合体、酸化チタン、有機防汚剤などの成分を含有しうる防汚塗料組成物を開示しているが(特許文献1,2参照)、上記のような課題を解決する上で特に好適な配合組成を有する防汚塗料組成物は追究されていなかった。
【特許文献1】特開2004−196957号公報
【特許文献2】特開2005−097400号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、塗膜の消耗速度を抑制しつつも防汚効果に優れた防汚塗膜が得られる、防汚塗料組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、所定の構造を有する金属塩結合含有共重合体(A)と、有機防汚剤である4,5-ジクロロ-2-n-オクチル-4-イソチアゾリン-3-オン(B)および2-ピリジンチオール-1-オキシド亜鉛(C)と、酸化チタン(D)とを組み合わせて用いた場合、相乗効果により、塗膜の消耗速度を上げることなく防汚効果の持続性が特に優れたものとなることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
すなわち、本発明の防汚塗料組成物は、架橋型の金属塩結合含有共重合体(A)と、4,5-ジクロロ-2-n-オクチル-4-イソチアゾリン-3-オン(B)と、2-ピリジンチオール-1-オキシド亜鉛(C)と、酸化チタン(D)とを含有することを特徴とする。
【0009】
防汚塗料組成物の全固形分100重量部中、上記酸化チタン(D)は5〜40重量部の
割合で含有されることが好ましく、また、4,5-ジクロロ-2-n-オクチル-4-イソチア
ゾリン-3-オン(B)および2-ピリジンチオール-1-オキシド亜鉛(C)は合計で0.1〜15重量部の割合で含有されることが好ましい。
【0010】
さらに、本発明の防汚塗料組成物は、防汚塗料組成物の全固形分100重量部中に、10〜30重量部の割合の酸化亜鉛、0.1〜10重量部の割合のボロン系有機防汚剤、0.02〜10重量部の割合の無機系脱水剤、または0.1〜5重量部の割合の可塑剤を含有
することが望ましい。一方、亜酸化銅は本発明の防汚塗料組成物中に実質的に含有されないことが望ましい。
【0011】
金属塩結合含有共重合体(A)は、前記式(I)で表される構造を誘導しうる金属含有
単量体(a1)と、これらの金属含有単量体と共重合しうる金属不含単量体(a2)との共重合により得られたものであって、上記金属含有単量体(a1)の配合量が2〜50重量%、上記金属不含単量体(a2)の配合量が50〜98重量%であることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
上述のような特定の成分の組み合わせを用いた本発明の防汚塗料組成物によれば、塗膜の消耗速度を一定の範囲に抑制しつつ長期間にわたり優れた防汚効果を維持できる防汚塗膜を形成することが可能となるため、本発明の防汚塗料組成物で塗装した基材(外航船など)は、長期間表面のメンテナンスをすることなく連続的に防汚性能を発揮できる。
【0013】
また、本発明の防汚塗料組成物は酸化チタンを含有するが、その光触媒作用によって防汚塗膜表面の加水分解による表面更新が円滑に行われるため、防汚性能を常に良好に維持できると考えられている。したがって、日照および温度条件が水棲生物の生息に適しているため水棲生物が付着しやすい基材の海面付近(船舶の喫水部など)に本発明の防汚塗料組成物を適用した場合には、そのような酸化チタンによる防汚性能が特に効果的に発揮される。
【0014】
さらに、本発明の防汚塗料組成物は、環境への負荷が高い防汚剤である亜酸化銅を用いることなく、優れた防汚性能を発揮することができる。亜酸化銅は、暗赤色の顔料としても用いられている物質であるが、このような亜酸化銅を塗料組成物に配合しなくてもすむことで、彩色の選択の幅が増し、白色の防汚塗料も製造可能になる。そして、得られる防汚塗膜は、柔軟性があり重ね塗りの際に良好な付着性を有すると同時に、色相が鮮明で没水・暴露後の変色が少ないものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の説明において、「固形分」とは、防汚塗料組成物から重合溶媒や溶剤等の揮発性成分を除いた成分であり、乾燥塗膜を構成する成分をいう。また、本発明の防汚塗料組成物から得られる塗膜を単に「防汚塗膜」とよぶことがある。「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸および/またはメタクリル酸を意味する。
【0016】
防汚塗料組成物の配合組成
< 樹脂成分 >
本発明の防汚塗料組成物は、海水中等のアルカリ雰囲気下における加水分解性を有する樹脂として、以下に述べる式(I)で表される構造を有する、アクリル樹脂型の金属塩結
合含有共重合体(A)を含有する。なお、このような構造を「架橋型」の金属塩結合とよぶことがある。これらの重合体は、1種単独で用いても、2種以上併用してもよい。
【0017】
【化1】

【0018】
式(I)中、Mは亜鉛原子または銅原子であり、Rはそれぞれ独立して水素原子また
はメチル基を示す。
上記式(I)で表される架橋型の金属塩結合は、一般的には、下記一般式(II)で表さ
れる金属を含有する重合性不飽和単量体(a1)(以下「架橋型金属含有単量体」ともいう。)の重合反応に由来する構造である。
【0019】
CH2=C(R)−COO−M−OCO−C(R)=CH2 ……(II)
式(II)中、Mは亜鉛原子または銅原子を示し、Rはそれぞれ独立して水素原子またはメチル基を示す。
【0020】
このような架橋型金属含有単量体(a1)としては、具体的には、ジ(メタ)アクリル酸亜鉛、ジ(メタ)アクリル酸銅などが挙げられ、特にジメタクリル酸亜鉛は、得られる樹脂粘度、塗料の貯蔵安定性、塗膜中の樹脂の溶出性などの点で好適なものである。
【0021】
なお、上述した金属含有単量体(a1)の調製方法は公知である(特開2005−97400号公報等参照)。例えば、無機金属化合物(亜鉛または銅の酸化物、水酸化物、塩化物等)と(メタ)アクリル酸またはそのエステル化合物とを、アルコール系有機溶媒および水の存在下で、金属塩の分解温度以下で加熱、撹拌することにより、架橋型金属含有単量体(a1)を調製することができる。
【0022】
本発明では、1種または2種以上の金属含有単量体(a1)と、これらと共重合しうる、1種または2種以上の、金属を含有しない重合性不飽和単量体(a2)(以下「金属不含単量体」ともいう。)とを共重合させることにより得られた金属塩結合含有共重合体を使用することが好適である。
【0023】
上記金属不含単量体(a2)としては、一般的なアクリル樹脂の製造においても用いられているような、アルキル基の炭素原子数が1〜20のアルキル(メタ)アクリレート、アルコキシ基の炭素原子数が1〜20でありアルキレン基の炭素原子数が1〜20であるアルコキシアルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル基の炭素原子数が1〜20のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートなどを用いることができる。
【0024】
具体的には、例えば、メチル(メタ)アクリレート,エチル(メタ)アクリレート,ブチル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;メトキシメチル(メタ)アクリレート,2-メトキシエチル(メタ)アクリレート,エトキシメチル(メタ)アクリレート,エト
キシエチル(メタ)アクリレート,ブトキシメチル(メタ)アクリレート,3-メトキシブチ
ル(メタ)アクリレート,3-メチル-3-メトキシブチル(メタ)アクリレート等のアルコキ
シアルキル(メタ)アクリレート;2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等のヒドロキ
シアルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0025】
これらのうち、メチル(メタ)アクリレート,エチル(メタ)アクリレート,ブチル(メタ)アクリレート,2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートは、得られる塗膜の物性や、塗
膜からの樹脂成分の溶出持続性の点で、本発明における好適な金属不含単量体(a2)である。
【0026】
本発明で用いられる金属塩結合含有共重合体(A)の調製方法は公知であり、例えば、上述した金属含有単量体(a1)と金属不含単量体(a2)とを混合し、重合開始剤および連鎖移動剤の存在下で60〜180℃程度の温度で5〜14時間程度共重合反応させることにより調製することができる。
【0027】
金属塩結合含有共重合体(A)の調製で用いる金属含有単量体(a1)および金属不含単量体(a2)の配合比は、樹脂粘度、塗料の貯蔵安定性、塗膜の溶出性および耐水性の兼ね合い、さらには耐クラック性などの面から好適な防汚塗料組成物または防汚塗膜が得られるよう、適宜調整することができる。本発明では、単量体全体に対して、金属含有単量体(a1)を好ましくは2〜50重量%、より好ましくは5〜40重量%配合し、金属不含単量体(a2)を残量部、すなわち好ましくは50〜98重量%、より好ましくは60〜95重量%配合して得られる金属塩結合含有共重合体(A)が用いられる。
【0028】
また、金属塩結合含有共重合体(A)の数平均分子量(Mn:ポリスチレン換算値)および重量平均分子量(Mw:ポリスチレン換算値)についても、上記と同様の事項を考慮して適宜調整することができる。本発明においては、金属塩結合含有共重合体(A)のMnは、通常1,000〜100,000、好ましくは1,000〜50,000であり、また、Mwは、通常1,000〜20,000、好ましくは3,000〜10,000である。
【0029】
< 防汚剤 >
本発明の防汚塗料組成物は、4,5-ジクロロ-2-n-オクチル-4-イソチアゾリン-3-
オン(B)および2-ピリジンチオール-1-オキシド亜鉛(C)を含有する。いずれも、
有機防汚剤としては公知の物質である。なお、2-ピリジンチオール-1-オキシド亜鉛(
C)は「ジンクピリチオン」ともいい、下記式(III)で表される金属ピリチオン化合物
およびその誘導体のうち、MがZnであるものである。
【0030】
【化2】

【0031】
式(III)中、R1〜R4は、それぞれ独立に水素、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲ
ン化アルキル基を示し、Mは、Cu、Na、Mg、Zn、Ca、Ba、Pb、Fe、Al等の金属を示し、nは価数を示す。
【0032】
本発明における4,5-ジクロロ-2-n-オクチル-4-イソチアゾリン-3-オン(B)お
よび2-ピリジンチオール-1-オキシド亜鉛(C)の合計の配合量は、防汚塗料組成物か
ら得られる塗膜の防汚性や塗膜の付着性などを考慮すると、防汚塗料組成物の全固形分100重量部中に、好ましくは0.1〜15重量部、より好ましくは5〜15重量部の割合
である。
【0033】
本発明の防汚塗料組成物は、有機防汚剤として上記の4,5-ジクロロ-2-n-オクチル-
4-イソチアゾリン-3-オン(B)および2-ピリジンチオール-1-オキシド亜鉛(C)を必須の成分とするが、さらに、トリフェニルボランピリジン錯体やメチルジフェニルボラン-4-イソプロピルピリジン錯体などのボロン系有機防汚剤を配合してもよい。ボロン系有機防汚剤を使用する場合は、防汚塗料組成物の全固形分100重量部中に、通常0.1
〜10重量部、好ましくは5〜10重量部の割合で配合すればよい。
【0034】
その他、例えば、亜鉛ピリチオン以外の前記式(III)で表される金属ピリチオン化合
物およびその誘導体(銅ピリチオン等)、テトラメチルチウラムジサルファイド、ジンクジメチルジチオカーバメート、マンガン-2-エチレンビスジチオカーバメート、2,4,5,6-テトラクロロイソフタロニトリル、N,N-ジメチルジクロロフェニル尿素、2,4,6-トリクロロフェニルマレイミド、2-メチルチオ-4-t-ブチルアミノ-6-シクロプロピ
ルアミノSトリアジン、塩基性酢酸銅、銅レジネート、ナフテン酸銅等など、公知の有機防汚剤を必要に応じて併用することもできる。
【0035】
ただし、従来防汚剤として広く用いられていた亜酸化銅は、環境への付加が大きいことが問題視されており、また、亜酸化銅を用いずとも上述の所定の有機防汚剤により充分の防汚性能を発揮することができるため、本発明の防汚塗料組成物は亜酸化銅を実質的に含有しないことが望ましい。
【0036】
< 酸化チタン(D) >
酸化チタン(二酸化チタン、TiO2)は、無害で、化学的に安定で、かつ、安価に入
手可能な、光触媒機能を持つ物質として知られている。酸化チタンには、アナターゼ型、ルチル型、ブルカイト型のものがあり、本発明ではいずれを用いることもできるが、アナターゼ型の酸化チタンを用いると防汚性能の点でより好ましく、また、色の安定性、物性改善等のためには、ルチル型またはブルカイト型の酸化チタンと、アナターゼ型の酸化チタンとを組み合わせて使用してもよい。なお、これらの酸化チタンの製造方法は特に限定されるものではなく、公知の一般的な方法(硫酸法、塩素法等)により製造された酸化チタンを用いることができる。
【0037】
本発明における酸化チタン(D)の配合量は、防汚塗料組成物から得られる塗膜の防汚性や塗膜の付着性などを考慮すると、防汚塗料組成物の全固形分100重量部中に、好ましくは5〜40重量部、より好ましくは10〜35重量部の割合である。
【0038】
また、防汚性能に一層優れた塗膜を製造することができることから、本発明で用いる酸化チタンは、Al、Si、Zr、Sb、Cr、Tiなどの化合物またはアルコール類(トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、エチレングリコール、プロピレングリコール、エタノール、プロパノール、ブタノール等)を用いて表面処理がなされたものであることが望ましい。
【0039】
上記Al等の化合物としては、それぞれの酸化物、水酸化物、ハロゲン化物、アルコキシドや、有機ケイ素化合物(ジメチルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等のポリシロキサン、およびビニルトリクロロシラン、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のシラン化合物)が挙げられる。また、上記アルコール類としては、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、エチレングリコール、プロピレングリコール、エタノール、プロパノール、ブタノール等の1価または2価以上のアルコールが挙げられる。
【0040】
このような表面処理がなされた酸化チタンの調製方法は公知であり(例えば、特開2001−2417号公報、特許公開平10−158015号公報、特開平6−49388号公報等参照)、また、表面処理された酸化チタンは市場にも流通している。
【0041】
なお、酸化チタンの平均粒子径は、通常は1nm〜10μmであるが、平均粒子径によって得られる塗膜の防汚性能は変動し、さらに、小さければ塗料組成物の造膜性や塗膜強度が低下する傾向があり、逆に大きければ塗膜の平滑性が低下するなどの傾向がある。これらの点を考慮し、本発明で用いる酸化チタンの平均粒子径は、好ましくは10〜5000nm、さらに好ましくは20〜4000nm、とくに好ましくは100〜300nmである。
【0042】
さらに、本発明の防汚塗料組成物では、酸化チタン(D)と光触媒機能を向上させうる成分とを併用してもよい。そのような成分としては、例えば、V,Fe,Co,Ni,Zn,Ru,Rh,Pd,Ag,Pt,Auなどの金属や金属イオン、およびこれらの金属の化合物(酸化物、水酸化物、オキシ水酸化物、硫酸塩、ハロゲン化物、硝酸塩等)が挙げられる。
【0043】
< その他の成分 >
本発明の防汚塗料組成物には、上述のような金属塩結合含有共重合体(A)、所定の有機防汚剤および酸化チタンの他に、さらに酸化亜鉛、可塑剤、体質顔料、着色顔料、無機系脱水剤、搖変剤、(A)以外の樹脂や有機酸、溶剤など、一般的な塗料組成物に用いられている各種成分を必要に応じて配合してもよい。
【0044】
・酸化亜鉛
本発明の防汚塗料組成物に配合することのできる酸化亜鉛(ZnO、亜鉛華)は、従来白色顔料として知られているが、防汚作用を有し、また、塗膜の耐クラック性や付着性の向上にも寄与しうる物質である。
【0045】
本発明において酸化亜鉛を用いる場合、その配合量は、防汚塗料組成物から得られる塗膜の防汚性や塗膜の付着性などを考慮すると、防汚塗料組成物の全固形分100重量部中に、好ましくは10〜30重量部、より好ましくは15〜25重量部の割合である。
【0046】
・可塑剤
可塑剤は、防汚塗膜の耐クラック性や耐水性の向上や、変色の抑制に寄与する成分であり、例えば、塩素化パラフィン、テルペンフェノール、トリクレジルフォスフェート(TCP)、ポリビニルエチルエーテル、テルペンフェノール等が挙げられ、なかでも塩素化パラフィンが好適である。
【0047】
本発明で用いる塩素化パラフィンは、直鎖状でも分岐を有していてもよく、室温で液状でも固体(粉体)でもよい。防汚塗膜の割れ(クラック)、剥がれを抑制する効果や、塗膜の消耗速度などを考慮すると、塩素化パラフィンの平均炭素数は、通常8〜30、好ましくは10〜26であり、数平均分子量は、通常200〜1200、好ましくは300〜1100であり、粘度は、通常1以上(ポイズ/25℃)、好ましくは1.2以上(ポイズ/25℃)であり、比重は、通常1.05〜1.80/25℃、好ましくは1.10〜1.70/25℃であり、塩素化率(塩素含有量)は、通常35〜75%、好ましくは35〜65%である。
【0048】
このような塩素化パラフィンに代表される可塑剤を添加する場合には、防汚塗膜の耐クラック性や耐水性の向上、あるいは変色の軽減に対する効果などを考慮し、防汚塗料組成物の全固形分100重量部中に、通常0.1〜5重量部、好ましくは1〜2重量部の割合で配合すればよい。
【0049】
・体質顔料、着色顔料
本発明で用いることのできる体質顔料としては、例えば、タルク、シリカ、マイカ、ク
レー、沈降防止剤としても用いられる炭酸カルシウム、カオリン、硫酸バリウム、炭酸バリウム、アルミナホワイト、水酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム、艶消し剤としても用いられるホワイトカーボンなどが挙げられる。このような体質顔料は、塗膜の消耗速度、透明性、肉付き性などを調整する観点から、本発明の防汚塗料組成物の全固形分100重量部中に、通常0〜50重量部、好ましくは0〜30重量部の割合で配合することができ、また、塗料を適切に増量する観点からは、本発明の防汚塗料組成物中に、通常0.0
1〜20重量%、好ましくは0.1〜8重量%の割合で配合することができる。
【0050】
また、本発明で用いることのできる着色顔料としては、例えば、カーボンブラック、ナフトールレッド、フタロシアニンブルー等の有機系顔料や、ベンガラ、バライト粉、黄色酸化鉄等の無機系顔料が挙げられ、これらの顔料にはさらに染料等の着色剤が含まれていてもよい。
【0051】
・無機系脱水剤
無機系脱水剤は、塗料の貯蔵安定性の向上に寄与する成分である。本発明の防汚塗料組成物に配合する無機系脱水剤としては、無水石膏(CaSO4)、合成ゼオライト系吸着
剤(商品名:モレキュラーシーブ等)などが好ましく、その他、オルソギ酸メチル、オルソ酢酸メチル等のオルソエステル類、オルソホウ酸エステル、シリケート類やイソシアネート類(商品名:アディティブT1)などの一般的な無機系脱水剤を用いることもできる。
【0052】
このような無機系脱水剤は、本発明の防汚塗料組成物の全固形分100重量部中に、通常0.02〜10重量部、好ましくは0.2〜5重量部の割合で配合することができる。
・搖変剤
本発明で用いることのできる搖変剤(タレ止め・沈降防止剤)としては、例えば、Al、Ca、Znのアミン塩、ステアレート塩、レシチン塩、アルキルスルホン酸塩といった有機粘土系化合物;ポリエチレンワックス、酸化ポリエチレンワックス、ポリアマイドワックス、アマイドワックス、水添ヒマシ油ワックスといった有機系ワックス;合成微粉シリカなどが挙げられる。このような搖変剤は、本発明の防汚塗料組成物中に、通常0.15重量%、好ましくは0.1〜3重量%の割合で配合することができる。
【0053】
・その他の樹脂類
本発明の防汚塗料組成物は、前述のような金属塩結合含有共重合体(A)以外にも、所望により1種または2種以上のその他の樹脂類を含有してもよい。
【0054】
例えば、金属塩結合を含有しないアクリル樹脂、アクリルシリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フッ素樹脂、ポリブテン樹脂、シリコーンゴム、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ビニル樹脂(塩化ビニル系共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体など)、塩化ゴム、塩素化オレフィン樹脂、スチレン・ブタジエン共重合樹脂、ケトン樹脂、アルキッド樹脂、クマロン樹脂、テルペンフェノール樹脂、石油樹脂等の非水溶性または難水溶性の樹脂を用いることができる。
【0055】
また、パインタール、ロジン(ガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジン)などの水溶性樹脂や、ナフテン酸、バーサチック酸などの炭素原子数が9〜19程度の有機酸およびその金属塩(Cu塩、Zn塩、Ca塩など)も、その他の樹脂類として用いることができる。
【0056】
・溶剤
本発明の防汚塗料組成物に含有される上述のような各種成分は、通常、溶剤に溶解もしくは分散している。本発明で用いることのできる溶剤としては、例えば、脂肪族系溶剤;
キシレン、トルエン等の芳香族系溶剤;MIBK、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤;エステル系溶剤;プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMAC)等のエーテル系溶剤;イソプロピルアルコール等のアルコール系溶剤などが挙げられる。
【0057】
防汚塗料組成物の製造方法および用途
本発明の防汚塗料組成物は、一般的な塗料と同様の手段により製造することができる。例えば、金属塩結合含有共重合体(A)と、4,5-ジクロロ-2-n-オクチル-4-イソチ
アゾリン-3-オン(B)と、2-ピリジンチオール-1-オキシド亜鉛(C)と、酸化チタ
ン(D)と、必要に応じてその他の成分とを、一度にまたは順次に溶剤に添加して、撹拌、混合するようにして製造すればよい。防汚塗料組成物の配合組成の割合は、塗料の粘度(作業性)、塗布対象となる基材の種類、塗装方法、塗装作業を行う環境、防汚塗膜の膜厚や硬度などの諸条件に応じて、好ましくは前述のような所定の範囲内で、適宜設計することができる。
【0058】
以上のようにして製造される本発明の防汚塗料組成物は、船舶等の基材に塗布して使用することができ、基材の表面を当該防汚塗料組成物から形成される防汚塗膜で被覆することにより、水棲生物による汚損を防止することができる。本発明の防汚塗料組成物は、一般的な塗料と同様の手段により、上記の各種基材の表面に塗装することができる。
【0059】
防汚塗料組成物を塗布する対象は、特に限定されるものではなく、表面が海水または真水と常時または断続的に接触する基材、例えば、船舶、火力・原子力発電所の給排水口等の水中構造物、湾岸道路、海底トンネル、港湾設備、運河・水路等の各種海洋土木工事の汚泥拡散防止膜、漁業資材(例:ロープ、漁網、漁具、浮き子、ブイ)などが挙げられる。
【0060】
本発明の防汚塗料組成物は、船舶(外板)などの基材の材質がFRP、鋼鉄、木、アルミニウム合金などのいずれであっても直接塗布することができる。また、プライマー、防食塗料などを基材に予め下塗りした後に(必要に応じてさらにタイコートを塗布した上で)、これらの塗膜の上に重ねて塗布することもできる。本発明の防汚塗料組成物は、特にエポキシ樹脂系防食塗料との付着性に優れている。
【0061】
このようにして本発明の防汚塗料組成物から形成された防汚塗膜は、アオサ、フジツボ、アオノリ、セルプラ、カキ、フサコケムシ等の水棲生物の付着を長期間継続的に防止できるなど防汚性に優れており、船舶の運行効率や水中構造物等の機能の維持(例えば漁網の網目の閉塞の防止)などのために有用である。
【実施例】
【0062】
以下の実施例等における防汚塗料組成物の成分として、下記の商品を使用した。
・(B)4,5-ジクロロ-2-n-オクチル-4-イソチアゾリン-3-オン…ロームアンドハ
ース社製「シーナイン211」。固形分30%。
・(C)2-ピリジンチオール-1-オキシド亜鉛…日本オーリン製「ジンクオマージン」
・(D)酸化チタン…堺化学(株)製「Titone R-5N」。ルチル型。Al化合物による表面
処理。平均一次粒径0.25μm。
・(D)酸化チタン…Dupon社製「Ti-Pure R-960」ルチル型。Al化合物およびSi化合物による表面処理。平均一次粒径0.21μm。
・(E)酸化亜鉛…九州白水化学(株)製「亜鉛華3号」
・(F)トリフェニルボロンピリジン…北興化学工業(株)製「PKボロン」
・(F)4−イソプロピルピリジン−ジフェニルメチルボラン…ケイアイ化成(株)製「KM−2」
・(G)無機系脱水剤…ノリタケカンパニーリミテッド製「焼石膏FT−2」。半水石膏(CaSO・1/2HO)、平均粒径15μm。
・(G)無機系脱水剤…ノリタケカンパニーリミテッド製「可溶性無水石膏D−1」。CaSO、白色粉末、平均粒径15μm。
・(H)可塑剤…Ineos Chlor社製「Cereclor S-52」。塩素化パラフィン。
・(H)可塑剤…ヤスハラケミカル社製「テルペンフェノールYP90L」。フレーク状フェノール変性テルペン樹脂。
・体質顔料(タルク)…富士タルク製「NKK−F」
・着色顔料(赤色)…戸田工業(株)製「ベンガラ月光BB」
・着色顔料(赤色)…三陽色素社製「フジファーストレッド2305W」
・搖変剤(ポリアマイドワックス)…楠本化成(株)製「Disparlon A630-20X」。キシレンペースト、固形分20%。
・その他の樹脂…中国産「WWロジン」。キシレン溶液、固形分50%。
・その他の樹脂…BASF社製「ラロフレックスMP−25」。塩化ビニル/イソブチルビニルエーテル共重合樹脂。
【0063】
また、以下の実施例等における各種物性の測定方法は、下記の通りである。
・反応溶液の固形分率…反応溶液の重量(使用した原料の重量の合計)から、それらの原料に含まれる揮発性の溶剤等の重量を除外した重量を「固形分」の重量として、反応溶液に占めるその固形分の割合を計算した。なお、金属塩結合含有共重合体を製造する際の反応溶液においては、上記固形分の重量のほぼ全てを金属塩結合含有共重合体の重量とみなし、配合組成の割合の計算に供した。
・金属塩結合含有共重合体の数平均分子量(Mn)および重量平均分子量(Mw)…GPCによるポリスチレン換算値。Tosoh HLC-8120により測定。TSK−gel αタイプの
分離カラム(α−M)2本、および20mMのLiBrを添加したジメチルホルムアミドの溶離液を使用。
・金属塩結合含有共重合体のガードナー粘度…JIS K7233の4.3に準じた、樹脂分濃度35重量%での25℃における測定値。
【0064】
[調製例1]
金属含有単量体(a1−1)の調製
冷却器、温度計、滴下ロートおよび攪拌機を備えた四つ口フラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGM)85.4部および酸化亜鉛40.7部を仕込み、撹拌しながら75℃に昇温した。続いて、メタクリル酸メチル(MMA)43.1部、アクリ
ル酸(AA)36.1部、水5部からなる混合物を滴下ロートから3時間かけて等速滴下した。滴下終了後、反応溶液は乳白色状態から透明となった。さらに2時間撹拌した後、PGMを36部添加して、金属含有単量体(a1−1)を含む反応液を得た。用いた原料および得られた反応液の固形分率を表1に示す。
【0065】
[調製例2]
金属含有単量体(a1−2)の調製
上記調製例1に記載の方法において、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGM)の代わりにブタノールおよびキシレンを用いた以外は同様にして、金属含有単量体(a1−2)を調製した(表1参照)。
【0066】
[調整例3]
金属塩結合含有共重合体(A−1)の調製
冷却器、温度計、滴下ロートおよび攪拌機を備えた四つ口フラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGM)30部およびキシレン40部を仕込み、撹拌しながら100℃に昇温した。続いて、前記調製例1で得た金属含有単量体(a1−1)の反応
溶液52部、メチルメタクリレート(MMA)1部、エチルアクリレート(EA)66.
2部、2−メトキシエチルアクリレート(2−MEA)5.4部、「ノフマーMSD」(
日本油脂社製)1部、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)2.5部、アゾビスメチ
ルブチロニトリル(AMBN)7部およびキシレン10部からなる透明な混合物を、滴下ロートから3時間かけて等速滴下した。滴下終了後、t−ブチルパーオクトエート(TBPO)0.5部とキシレン10部を2時間かけて滴下し、さらに2時間撹拌した後、キシ
レンを20部添加して、金属塩結合含有共重合体(A−1)を含む反応液を得た。用いた原料および得られた反応液の固形分率などを表2に示す。
【0067】
[調整例4]
金属塩結合含有共重合体(A−2)の調製
上記製造例1に記載の方法において、用いた金属含有単量体およびその他の共重合モノマーを変更した以外は同様にして、金属塩結合含有共重合体(A−2)を製造した(表2参照)。
【0068】
[実施例1〜11]
表3に示す配合組成(単位:重量部)により、常法に従って防汚塗料組成物を製造した。
【0069】
[比較例1〜5]
表4に示す配合組成(単位:重量部)により、常法に従って防汚塗料組成物を製造した。
【0070】
[試験例1]
塗膜消耗性試験
前記実施例1〜11および比較例1〜5による防汚塗料組成物を、プライマー処理されていない硬質塩化ビニル樹脂板(50mm×50mm×1.5mm)に直接、その乾燥膜
厚が150μm厚になるようにアプリケータで塗布した。得られた防汚塗膜付き試験板を長崎県長崎湾内の海水中に設置した回転ドラムに取り付け、周速15ノットで回転させ、塗膜消耗度(塗膜の設置直後からの累積消耗膜厚)を2ヶ月ごとに、6ヶ月にわたって測定した。結果は表3および表4の通りである。
【0071】
[試験例2]
静置防汚性試験
サンドブラスト処理鋼板(縦300mm×横100mm×厚み3.2mm)に、予めエ
ポキシ系防錆塗料(エポキシAC塗料、商品名「バンノー500」、中国塗料(株)製)をその乾燥膜厚が150μm厚となるように塗布し、次いで、エポキシ系バインダー塗料(商品名「バンノー500N」、中国塗料(株)製)をその乾燥膜厚が100μm厚となるように塗布した。その後、上記の下塗りがなされた試験板に、前記実施例1〜11および比較例1〜5による防汚塗料組成物をその乾燥膜厚が150μmとなるように1回塗布し、室温で7日間乾燥させて、防汚塗膜付き試験板を作成した。なお、上記の3回の塗装はいずれも1day/1coatとした。そして、作成した試験板を長崎県長崎湾内に6ヶ月間静置浸漬し、その間1ヶ月毎に水棲生物の付着面積(%)を測定し、下記の評価基準に従った付着度に換算した。結果は表3および表4の通りである。
【0072】
水棲生物の付着度の評価基準;
0点……水棲生物の付着なし
0.5点……水棲生物の付着面積が10%程度
1点……水棲生物の付着面積が20%程度
2点……水棲生物の付着面積が30%程度
3点……水棲生物の付着面積が40%程度
4点……水棲生物の付着面積が50%程度
5点……水棲生物の付着面積が100%程度
【0073】
【表1】

【0074】
【表2】

【0075】
【表3】

【0076】
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(I)で表される構造を有する金属塩結合含有共重合体(A)と、4,5-ジクロ
ロ-2-n-オクチル-4-イソチアゾリン-3-オン(B)と、2-ピリジンチオール-1-オキシド亜鉛(C)と、酸化チタン(D)とを含有することを特徴とする防汚塗料組成物;
【化1】

[式(I)中、Mは亜鉛原子または銅原子を示し、Rはそれぞれ独立して水素原子また
はメチル基を示す。]
【請求項2】
防汚塗料組成物の全固形分100重量部中に、酸化チタン(D)を5〜40重量部含有することを特徴とする、請求項1に記載の防汚塗料組成物。
【請求項3】
防汚塗料組成物の全固形分100重量部中に、4,5-ジクロロ-2-n-オクチル-4-イ
ソチアゾリン-3-オン(B)および2-ピリジンチオール-1-オキシド亜鉛(C)を合計
で0.1〜15重量部含有することを特徴とする、請求項1または2に記載の防汚塗料組
成物。
【請求項4】
さらに、防汚塗料組成物の全固形分100重量部中に、酸化亜鉛を10〜30重量部含有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の防汚塗料組成物。
【請求項5】
さらに、防汚塗料組成物中の全固形分100重量部中に、ボロン系有機防汚剤を0.1
〜10重量部含有することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の防汚塗料組成物。
【請求項6】
さらに、防汚塗料組成物中の全固形分100重量部中に、無機系脱水剤を0.02〜1
0重量部の割合で含有することを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の防汚塗料組成物。
【請求項7】
さらに、防汚塗料組成物中の全固形分100重量部中に、可塑剤を0.1〜5重量部の
割合で含有することを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の防汚塗料組成物。
【請求項8】
実質的に亜酸化銅を含有しないことを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の防汚塗料組成物。
【請求項9】
前記アクリル樹脂型の金属塩結合含有共重合体(A)が、前記式(I)で表される構造
を誘導しうる金属含有単量体(a1)と、これらの金属含有単量体と共重合しうる金属不含単量体(a2)との共重合により得られたものであり、
これらの単量体全体に対して、上記金属含有単量体(a1)の配合量が2〜50重量%であり、上記金属不含単量体(a2)の配合量が50〜98重量%であることを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の防汚塗料組成物。
【請求項10】
前記金属含有単量体(a1)が、ジ(メタ)アクリル酸亜鉛およびジ(メタ)アクリル酸銅からなる群より選択される少なくとも1種からなるものであり、かつ、前記金属不含単量
体(a1)が、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレートおよび2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートからなる群より選択される少
なくとも1種からなることを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載の防汚塗料組成物。
【請求項11】
さらに、ビニル樹脂、アクリル樹脂、テルペンフェノール樹脂、ケトン樹脂、クマロン樹脂、石油樹脂、ロジン、パインタールまたはバーサチック酸の少なくとも1種を含有することを特徴とする、請求項1〜10のいずれかに記載の防汚塗料組成物。

【公開番号】特開2008−156511(P2008−156511A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−347913(P2006−347913)
【出願日】平成18年12月25日(2006.12.25)
【出願人】(390033628)中国塗料株式会社 (57)
【Fターム(参考)】