説明

防汚性に優れた活性エネルギー線硬化型コーティングワニス組成物及びその印刷物

【課題】パッケージ等の最外層に印刷される活性エネルギー線硬化型コーティングワニスに関するものであり、防汚性に優れ、特に指紋耐性に優れた印刷物に関するものである。
【解決手段】脂肪酸エステルを全体の0.1〜5.0重量%含有し、またその脂肪酸エステルのR1が12〜15 R2が2〜5であることを特徴とし、また、表面張力が32〜38mN/mであるアクリレートモノマーを全体の50〜90重量%使用することを特徴とする活性エネルギー線コーティングワニス及びそれを用いてなる活性エネルギー線硬化型コーティングワニスコーティングしてなる印刷物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パッケージ等の最外層に印刷される活性エネルギー線硬化型コーティングワニスに関するものであり、さらに、防汚性に優れ、特に指紋耐性に優れた印刷物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、印刷物の高品質化、高級化により各種紙器、商業印刷、ラベルに対しカラーインキを印刷後、活性エネルギー線硬化性コーティングワニスを塗工する研究がさかんに行われている。
【0003】
印刷されたパッケージに関しては、店頭へ陳列された際、人が手にとることによって、指紋、皮脂、汗等に付着する場合が多く、その汚れは、一度付着すると除去することは容易ではなく、著しく美粧性が損なわれる。
【0004】
そのため、指紋が付着するのを防止する、または、指紋が付着しても汚れがみえないようにするための対策が必要となってくる。
【0005】
そこで、これら汚れの問題を解決する手段として、汚れが付着しにくく、付着しても拭き取りやすい性能を持つ防汚層を形成する方法として、主に光学部材関係(主にディスプレー・タッチパネル関係)では様々な提案がなされている。
【0006】
例えば、有機シラン化合物と、水酸基を有するフッ素系化合物とを含有し、撥油性のフッ素を含む被膜を形成する方法が提案されている(特開文献1)
【0007】
また、基材表面に末端シラノール有機ポリシロキサンを被覆した防汚性、耐擦傷性のCRTフィルターが提案されている(特開文献2)
【0008】
プラスチック表面にポリフルオロアルキル基を含むモノ及びジシラン化合物及び、ハロゲン、アルキルまたはアルコキシのシラン化合物とからなる反射防止膜を有する防汚性・低反射性プラスチックが提案されている。(特許文献3)
【0009】
また、パーフルオロアルキル(メタ)アクリレートとアルコキシシラン基を有する単量体との共重合体を二酸化ケイ素を主とする光学薄膜上に形成した光学部材が提案されている。(特許文献4)
【0010】
汚れ目立ち防止被膜の被膜を親油性とすることにより、指紋の汚れが付着しても汚れが目立たない、あるいは汚れを目立たなくする汚れ目立ち防止被膜を提供する方法が提案されている(特許文献5)
【0011】
上記にあげたこれら汚れの問題を解決する手段としては主に光学部材関係(主にディスプレー・タッチパネル関係)用途に関するものであり、特許文献1〜4に関しては、表面を撥油性にする手法であり、今回発明に関するものは、表面を親油性へすることである。また、特許文献5では、皮膜を新油性とする手法であるが、さらなる向上が求められているのが現状である。
【特許文献1】特開平11−217558
【特許文献2】特開平4−338901号公報
【特許文献3】特公平6−29332号公報
【特許文献4】特開平7−16940号公報
【特許文献5】特開平13−353808号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、パッケージ等の最外層に印刷される活性エネルギー線硬化型コーティングワニスに関するものであり、防汚性に優れ、特に指紋耐性に優れた印刷物に関するものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、一般式(1)(R1COO)nR2で表される脂肪酸エステルを全体の0.1〜5.0重量%含有し、またその脂肪酸エステルのR1が12〜25、R2が2〜5であることを特徴とし、また、表面張力が32〜38mN/mであるアクリレートモノマーを全体の70〜90重量%使用することを特徴とする活性エネルギー線コーティングワニス及びそれを用いてなる活性エネルギー線硬化型コーティングワニスコーティングしてなる印刷物に関するものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明により、指紋耐性に優れた活性エネルギー線硬化型コーティングワニスと指紋耐性に優れた印刷物の提供が可能となった。
【0015】
皮脂成分と類似である脂肪酸誘導体を含有させる事により、付着した指紋(皮脂)成分がコーティングニス皮膜上に濡れることにより、指紋自体が目立たず、汚れを防止することが可能となった要因と考える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明で使用する、活性エネルギー線とは、紫外線、電子線のことであるが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0017】
本発明で使用される活性エネルギー線硬化型組成物の組成の例としては、
(a)非反応性樹脂 0〜20重量%
(b)光重合性アクリレートモノマー及びオリゴマー 50〜90重量%
(c)光開始剤、光助剤 1〜20重量%
(d)脂肪酸誘導体 0.1〜 5重量%
(e)その他添加剤 0〜10重量%
が挙げられる。
【0018】
また、この中でも
(b)光重合性アクリレートモノマー及びオリゴマー 75〜85重量%
(c)光開始剤、光助剤 10〜15重量%
(d)脂肪酸エステル 1〜 3重量%
(e)その他添加剤 1〜 5重量%
がよい。
【0019】
本発明において、非反応性樹脂とはラジカル重合性二重結合を有しないものであり、非反応性樹脂としては、ポリエステル樹脂や、アクリル樹脂、スチレン−アクリル樹脂、石油樹脂、ウレタン樹脂等の熱可塑性樹脂や、エポキシ樹脂、分子内にラジカル重合性二重結合を持たないアミノ樹脂などの熱硬化性樹脂も使用する。
【0020】
本発明において、(b)光重合性アクリレートモノマー及びオリゴマーとは単官能または多官能の(メタ)アクリレート類をいい、表面張力が32〜38mN/mであるアクリレートモノマーを50〜90重量%の範囲で用いる。
【0021】
単官能モノマーとしてアルキル(カーボン数が2〜18)(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレートがあり、さらにベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、トリシクロデカンモノメチロール(メタ)アクリレート等が例示される。
【0022】
多官能(メタ)アクリレート類としてはエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリルヒドロキシピバレートジ(メタ)アクリレート(通称マンダ)、ヒドロキシピバリルヒドロキシピバレートジカプロラクトネートジ(メタ)アクリレート、1,6ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレ、1,8−オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2−ヘキサデカンジオールジ(メタ)アクリレート、2−メチル−2,4−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAテトラエチレンオキサイド付加体ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFテトラエチレンオキサイド付加体ジ(メタ)アクリレート、水添加ビスフェノールAテトラエチレンオキサイド付加体ジ(メタ)アクリレート、水添加ビスフェノールFテトラエチレンオキサイド付加体ジ(メタ)アクリレート、水添加ビスフェノーAジ(メタ)アクリレート、水添加ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリカプロラクトネートトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールヘキサントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールオクタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラカプロラクトネート、テトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールエタンテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールブタンテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールヘキサンテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールオクタンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート等を用いることができる。
【0023】
上記モノマー中で、表面張力が32〜38mN/mであるアクリレートモノマーとして、トリプロピレングリコールジアクリレート(表面張力32.4mN/m)、トリメチロールプロパントリアクリレート(表面張力36.4mN/m)、PO変性グリセロールトリアクリレート(表面張力35.4mN/m)等が挙げられる。
【0024】
表面張力が32mN/m未満のモノマーを使用すれば、脂肪酸エステルの表面配公性が大幅に低下し、表面状態として皮脂が目立つ状態となってしまい、指紋耐性が得られない。また、38mN/m以上のモノマーを使用すれば、コーティングワニス中での脂肪酸エステルの溶解性が乏しくなり、コーティングワニスが白濁した状態となることより、使用できない。
【0025】
上記で述べた表面張力とは、協和界面科学(株)製自動表面張力計(CBVP−Z型)を使用し、Wilhelmey法で測定したものである。
【0026】
本発明で使用される(c)光開始剤としては、水素引き抜き型として、ベンゾフェノン、p−メチルベンゾフェノン、p―クロルベンゾフェノン、テトラクロロベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4−ベンゾイルー4’−メチルージフェニルサルファイド、2−イソプロピルチオシサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、アセトフェノン・アリールケトン系開始剤、4,4‘−ビス(ジエチルアニノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、p−ジメチルアミノアセトフェノン・ジアルキルアミノアリールケトン系開始剤、チオキサントン、キサントン系・そのハロゲン置換・多環カルボニル系開始剤などが挙げられる。また、開裂型光開始剤として、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、α―アクリルベンゾイル・ベンゾイン系、ベンジル、2−メチルー2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパンー1−オン、2−ベンジルー2−ジメチルアミノー1−(4−モルホリノフェニル)−1−ブタノン、ベンジルメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシー2−メチルー1−フェニルプロパンー1−オン、1−(4−イソプロピルフェニルー2−ヒドロキシー2−メチルプロパンー1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニルー(2−ヒドロキシー2−プロピル)ケトン、4−(2−アクロイルーオキシエトキシ)フェニルー2−ヒドロキシー2−プロピルケトン、ジエトキシアセトフェノンなどがある。
【0027】
また、光開始助剤としては、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン・脂肪族アミン、4,4‘−ジエチルアミノベンゾフェノン、2−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、ジブチルエタノールアミンが挙げられる。
【0028】
(c)光開始剤は組成物100重量%に対して組成中に1〜20重量%の範囲で用いられる。
【0029】
本発明で使用される(d)脂肪酸エステルとしては、一般式 (R1COO)nR2(1)で表わされる脂肪酸エステルを主体としている。
(式中、それぞれR1は炭素数12〜25の、R2は炭素数2〜5の飽和または不飽和の直鎖または分枝の脂肪族炭化水素基を示す)
不飽和脂肪族炭化水素基の場合は、分子内に少なくとも1つの二重結合及び/又は三重結合を有していてもよい。これらの脂肪酸エステルは、単体あるいは、混合物が好ましく使用される。
【0030】
該脂肪酸エステルは一般式(1)においてR1が炭素数12〜25のアルキル基またはアルケニル基を表し、また、R2が炭素数2〜5アルキル基を表す脂肪酸エステルである。該脂肪酸エステルは、植物油脂から誘導された脂肪酸エステルの単体あるいは混合物が好ましく使用されるが、その他の合成法によるものも使用することができる。
【0031】
上記の脂肪酸エステルは、例えば、脂肪酸とアルコールとのエステル化によって生成したものを使用することができる。該脂肪酸エステルの生成に使用される脂肪酸は、ヤシ油、パーム油、パーム核油、クヘア油、あおもじ種子油、いぬがし種子油、かごのき種子油、グアバ種子油、グレープフルーツ種子油、しろだも種子油、しろもじ種子油、なつめやし種子油、にっけい種子油、はまびわ種子油などの植物由来の脂肪酸であり、これらの脂肪酸は、一般に、複数の脂肪酸から構成されているので、それらを公知の方法で分離精製し、単体あるいはこれらを混合して使用することができる。
【0032】
また、上記の脂肪酸と反応して前記の一般式(1)で表わされる脂肪酸エステルを生成するアルコールは、炭素数が2〜5のアルキル基を有するアルコールが挙げられる。該アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、アミルアルコールなどが挙げられる。
【0033】
前記脂肪酸エステルの製造方法としては、例えば、前記の脂肪酸とアルコールとの反応による直接エステル化反応による方法、エステルとアルコールまたはエステルと脂肪酸、あるいはエステルとエステルとから合成するエステル交換反応による方法、塩化アシルとアルコールとの反応による方法、およびエポキシドと脂肪酸との反応による方法など、好ましくは直接エステル化反応による方法が挙げられる。上記の直接エステル化反応による方法は、前記の脂肪酸とアルコールとを混合し、適宜適当なトルエンやキシレンなどの共沸脱水剤を加えて熱することにより、水を留出させながら反応を進める。触媒としては、硫酸やp−トルエンスルホン酸などのブレンステッド酸、酸化亜鉛や活性アルミナ、酸化チタン、テトライソプロピルチタナートなどのルイス酸を使用する。
【0034】
全体の脂肪酸エステルは、全体の0.1〜5.0重量%含有する。0.1重量%以下であれば、指紋耐性が十分に発揮せず、5重量%以上であれば、アクリレートモノマーへの溶解性が乏しく、分離する傾向にある。
【0035】
一方、組成物中への、(e)その他添加剤として、耐摩擦、ブロッキング防止、スベリ、スリキズ防止、暗反応防止を目的とする各種添加剤を使用することができ、必要に応じて、レベリング剤、帯電防止剤、界面活性剤、消泡剤、重合禁止剤などを添加してもよい。但し、上記添加剤はコーティングワニス表面の親油性を損なわないものに限定される。
【実施例】
【0036】
実施例として本発明を具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例により何等限定されるものではない。以下、表中の数字は、重量%を示す。
【0037】
以下に示す処方により活性エネルギー線硬化型コーティングワニス組成物を作成した。
【0038】
活性エネルギー線硬化型コーティングニスの製造方法は、温度50℃で加温し攪拌溶解する(表1)。

【0039】
【表1】

【0040】
光重合アクリレートモノマー1としては、トリメチロールプロパントリアクリレート(表面張力36.4mN/m)、光重合アクリレートモノマー2としては、トリプロピレンジアクリレート(表面張力32.4mN/m)、光重合アクリレートモノマー3としては、PO変性グリセロールトリアクリレート(表面張力35.4mN/m)、光開裂型開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンを使用する。脂肪酸エステル1は、ステアリン酸トリグリセライド、脂肪酸エステル2は、オレイン酸トリグリセライド(トリオレイン)を使用する。
【0041】
【表2】

【0042】
ここで、光重合アクリレートモノマー4としては、ラウリルアクリレート(表面張力28.3mN/m)、光重合アクリレートモノマー5としては、ポリエチレングリコールジアクリレート(表面張力41.8mN/m) 光開裂型開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンを使用する。脂肪酸エステル3としてステアリン酸アマイド、脂肪酸エステル4として、ステアリン酸モノグリセライド、添加剤1として、シリコーンオイルを使用する。
【0043】
(耐指紋性評価方法)
人工皮脂として脂肪酸トリグリセライド(トリオレイン)と活性エネルギー線硬化型コーティングワニス皮膜との濡れ性として、接触角の測定を実施し、効果を確認する。
【0044】
表1、表2に示す活性エネルギー線硬化性オーバーコートワニスを北越マリコート(北越製紙製コートボール)にバーコーターにより塗工し、実施例サンプル1〜5、比較例サンプル1〜4については160W/cmの強度を有する高圧水銀灯(オゾンタイプ)1灯の下10cmのところを30m/分のコンベアーにのせ照射し、硬化させた。それぞれ得られた皮膜に対に対して人工皮脂液(トリオレイン)0.25μlを滴下し、その濡れ性を接触角にて評価した。
【0045】
【表3】

【0046】
表3において、実施例1〜4と比較例1〜5を比較すると、接触角との濡れ性が20秒後に 10 度未満であれば、人工皮脂液が目立たず、指紋としても目立たない状態だが
、 10度以上のものは、人工皮脂液が弾かれて粒状になり目視ではっきりと確認できる
状態になっており、指紋としても目立つ状態となっている。以上より、本発明に該当する実施例1〜4では指紋耐性に優れた活性エネルギー線硬化型コーティングワニスと指紋耐性に優れた印刷物の提供が可能となった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)で表される脂肪酸エステルを全体の0.1〜5.0重量%およびアクリレートモノマーを含有することを特徴とする活性エネルギー線硬化型コーティングワニス。
一般式(1)
(R1COO)nR2
(式中、それぞれR1は炭素数12〜25の、R2は炭素数2〜5の飽和または不飽和 の直鎖または分枝の脂肪族炭化水素基を示す)
【請求項2】
表面張力が32〜38mN/mであるアクリレートモノマーを含有することを特徴とする請求項1記載の活性エネルギー線硬化型コーティングワニス。
【請求項3】
前記アクリレートモノマーを全体の50〜90重量%含有することを特徴とする請求項1または2記載の活性エネルギー線硬化型コーティングワニス。
【請求項4】
請求項1〜3いずれか記載の活性エネルギー線硬化型コーティングワニスを基材にコーティングしてなる印刷物。

【公開番号】特開2010−59216(P2010−59216A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−205078(P2008−205078)
【出願日】平成20年8月8日(2008.8.8)
【出願人】(000222118)東洋インキ製造株式会社 (2,229)
【Fターム(参考)】