説明

防汚性樹脂および防汚性樹脂を利用した家庭電化製品筐体もしくは便座

【課題】シリコーン系の防汚剤を樹脂に添加することで樹脂成形体に防汚性を発現させた例はあるが、生活環境で付着する汚れに対して簡便な手入れには十分な性能ではなかった。また、フッ素系の防汚剤に関しても、表面移行を制御することができておらず、十分な防汚性を有していなかった。
【解決手段】マトリックス樹脂にマトリックス樹脂の耐熱温度以下で流動化する含フッ素化合物を添加し、低温域で流動性を持つこと、また、低表面エネルギーであることから、表面への移行が容易に起こる。さらに、表面への移行を含フッ素化合物のマトリックス樹脂に対する親和性、または、別に添加する添加剤との親和性を利用し制御することで、優れた防汚性を持続的に発揮させるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
含フッ素化合物を添加し、含フッ素化合物の表面への移行を制御することで効果的に防汚性を発現させた樹脂および防汚性樹脂を利用した家庭電化製品筐体もしくは便座に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、社会環境の変化による高齢世帯の増加、共働き世帯の増加などから掃除への負担を軽減する取組みが行なわれている。その中で、生活環境で多く使用されている樹脂に防汚性を付与することで掃除のしやすさを向上させる取組みがある。樹脂への防汚性付与の方法として、表面コーティングや表面改質が知られている。表面コーティングは、塗装、乾燥、硬化の工程が必要となり、樹脂成形工程と別に工程が必要になりコストに問題があった。表面改質による方法では、防汚性を有する化合物をマトリックス樹脂に配合する例がある。例えば、特許文献1によれば、トイレ周りの樹脂部にシリコーン樹脂を配合し、また、マトリックス樹脂と相溶性の良い樹脂をシリコーン樹脂とグラフト重合させているためマトリックス樹脂との分散性が良く、耐久性にも優れるため、優れた防汚性を長期的に発揮できることを開示している。また、特許文献2のようにパーフルオロアルキル基を有する含フッ素化合物をマトリックス樹脂に配合する例もある。含フッ素化合物のフッ素の含有割合を高めることで、表面自由エネルギーを低くすることで、表面に配向しやすいようにし防汚性を高めている。
【特許文献1】特開2000−279345号公報
【特許文献2】特許第3411054号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1による方法では、シリコーン系の防汚性能は、水拭きや洗剤または専用掃除具の使用すれば、大便や小便、皮脂など想定している汚れは容易に除去できない。また、トイレットペーパーやティッシュペーパーなどの乾いた状態での拭取りでは除去は困難である。無理に除去しようとすれば、基材を傷付けてしまう。さらに、その際に汚れが少しずつ残ることも汚れの除去を妨げるものとなる。また、汚れの付着に気付かずに長期間放置された汚れについても、シリコーン系の防汚剤では十分な防汚性を有しておらず、掃除の負担軽減にはならない。特許文献1によると、対象とする汚れは大便や小便、皮脂などであるが、シリコーン系の防汚剤では付着する汚れに対して防汚性が十分でない。
【0004】
また、特許文献2による方法では、単なる混合のみでは、表面への配向が十分ではなく、生活環境から想定される汚れに対し十分な防汚性と汚れに対する十分な防汚性の持続性に問題があった。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、シリコーン系の添加剤では生活環境から想定される汚れに関して防汚性能が十分ではないため、生活環境で想定される汚れに対する防汚性能を向上させトイレットペーパーやティッシュペーパーなど乾いた状態でも汚れを容易に除去できる優れた防汚性能を示し、汚れを容易に除去できる優れた防汚性能を持続させることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、このような課題を解決するものであり、マトリックス樹脂にマトリックス樹脂の耐熱温度以下で流動化する含フッ素化合物を添加し、低温域で流動性を持つこと、また、低表面エネルギーであることから、表面への移行が容易に起こる。さらに、表面への
移行を含フッ素化合物のマトリックス樹脂に対する親和性、または、別に添加する添加剤との親和性を利用し制御することで、優れた防汚性を持続的に発揮させるものである。
【発明の効果】
【0007】
以上のように、本願発明によると、マトリックス樹脂にマトリックス樹脂の耐熱温度以下で流動化する含フッ素化合物を添加することで、表面への移行が容易に起こり、さらに、表面への移行を制御することで、優れた防汚性を持続的に発揮させるものである。樹脂を成形、加工したあらゆる生活用品を防汚性に優れたものにすることが可能であり、簡便な掃除が可能であり負担を軽減させるものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
請求項1に記載の発明は、少なくともマトリックス樹脂とマトリックス樹脂の耐熱温度以下で流動化する含フッ素化合物Aとからなる防汚性に優れた防汚性樹脂であり、常温で、もしくは、加熱により、内部に存在する含フッ素化合物Aが流動性を持つこと、また、低表面エネルギーであることで、樹脂表面に移行をさせることが出来る。さらに、含フッ素化合物Aが表面に移行しており樹脂表面がシリコーン系の添加剤を配合したものより低表面エネルギーであるため、汚れの成分との親和性をより弱くすることができるため樹脂表面の汚れの除去が容易になる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、含フッ素化合物Aがパーフルオロアルキル基を含有した化合物である防汚性に優れた防汚性樹脂であり、撥水・撥油性に優れた含フッ素化合物であり、分子量の調整、分子の設計が可能であることから、マトリックス樹脂との親和性の制御や、含フッ素化合物の融点を低く抑えることが出来る。
【0010】
請求項3に記載の発明は、成形後加熱処理を行ない、含フッ素化合物Aにより流動性を持たせることで、樹脂表面に移行を促進させるものである。成形後に加熱処理を行なうことで、表面を含フッ素化合物Aが覆う。一度樹脂表面を含フッ素化合物Aが覆うことで、拭取りや長期使用で減少する表面の含フッ素化合物Aも、表面に残存する含フッ素化合物Aにより、内部に傾斜的に濃度分布していた含フッ素化合物Aが親和性により表面に移行する。含フッ素化合物Aが親和性により表面に移行することにより優れた防汚性を持続させることができる。
【0011】
請求項4に記載の発明は、含フッ素化合物Bを含み、含フッ素化合物Bがマトリックス中に分散し、フッ素化合物Bと含フッ素化合物Aの親和力によって含フッ素化合物Aの樹脂表面への移行を制御したことで、優れた防汚性を持続させるものである。含フッ素化合物Bはマトリックス樹脂中に分散させることができ、含フッ素化合物Bと含フッ素化合物Aとは親和性を持つことから、通常非常に相溶性の悪いマトリックス樹脂と含フッ素化合物Aであっても分離してしまうことなく樹脂内部に樹脂表面方向や含フッ素化合物B近傍に傾斜的に存在する。
【0012】
請求項5に記載の発明は、マトリックス樹脂がポリプロピレン樹脂を使用することで、軽量で耐熱性があり、耐薬品性にも優れ、機械的強度も高く、また、成形性も良いことから生活用品に幅広く使用できる。さらに、ポリプロピレン樹脂は表面自由エネルギーが小さいために、樹脂自身でも防汚性が高く、また、優れた防汚性を有する添加剤との親和性も良く分散性に優れている。
【0013】
請求項6に記載の発明は、パーフルオロアルキル基とともに親油性基を含有した含フッ素化合物Aをポリプロピレン樹脂に配合した防汚性樹脂であり、1つの化合物内にポリプロピレン樹脂と親和的な官能基である親油性基と、表面への移行の駆動力となる防汚性に優れたパーフルオロアルキル基とを持ち合わせることで、優れた防汚性を持続させること
ができる。
【0014】
請求項7に記載の発明は、結晶化度の低いポリプロピレンもしくは非晶質ポリプロピレンをコンパウンドすることにより結晶性を低下させたポリプロピレン樹脂をマトリックス樹脂とすることで、結晶部が少なく、流動性を持った含フッ素化合物Aが樹脂表面への移行を促進させることができ、優れた防汚性を持続させることができる。
【0015】
請求項8に記載の発明は、防汚性樹脂を使用することで、食物、飲み物や調味料などの汚れ、皮脂汚れなどやその複合汚れなどが付着した際に、食物、飲み物や調味料などの汚れ、皮脂汚れなどやその複合汚れが拭取りやすいことを特長とした家庭電化製品を提供するものである。
【0016】
請求項9に記載の発明は、防汚性樹脂を使用することを特徴としたもので、便座の汚れは小便や大便、皮脂、埃などさらにその複合汚れであり、小便や大便、皮脂、埃などさらにその複合汚れが拭取りやすいことを特長としたものである。小便や、大便などの汚れは成分が複数存在し、乾燥した状態では小便や、大便などの汚れが樹脂表面に強固に固着する。低表面エネルギーの樹脂表面となることで、強固な固着を生成することなく、乾いたトイレットペーパーなどで拭取りを可能とするものである。
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0018】
(実施の形態1)
図1は本発明の第1の実施の形態における防汚性樹脂の模式図である。防汚性樹脂1は、マトリックス樹脂3中に含フッ素化合物A2が樹脂表面方向に濃度勾配を持っている。含フッ素化合物A2は表面エネルギーが小さく樹脂内部に存在するより空気界面に存在する方が安定であるため、樹脂表面近傍にかけて高い割合で存在し、樹脂表面方向に濃度勾配を持つ。また、含フッ素化合物A2はマトリックス樹脂の耐熱温度以下で流動化する性質を持つことから室温あるいは生活環境で想定される余熱程度で、表面への移行が起こりやすい。さらに、マトリックス樹脂3への含フッ素化合物A2の添加量は多いほど表面へ移行は促進される。含フッ素化合物A2の添加量について述べると、マトリックス樹脂100重量部に対して、0.1重量部から50重量部であることが望ましい。下限は添加量が0.1重量部より少ないと表面に移行する量が少なく、優れた防汚性を示すには至らない。さらに、優れた防汚性の持続が特に必要な用途には、0.5重量部以上の添加が望ましい。また、50重量部を超えると防汚性樹脂の物性をさせるため望ましくない。
【0019】
含フッ素化合物A2は、含フッ素化合物Aを模式的に表した図3に示すように、(a)相溶性基とパーフルオロアルキル基を含有した重合体、(b)パーフルオロアルキル基と相溶性基を末端に持つ化合物を示しており、これらの1種類もしくは2種類以上の混合物であればよく、また、フッ素含有シリコーンやパーフルオロポリエーテルとの混合物でもよい。フッ素含有シリコーンやパーフルオロポリエーテルと混合した場合、フッ素含有シリコーンやパーフルオロポリエーテルは低表面エネルギーを有しており、また常温において液体であることで、樹脂表面に移行しやすい性質を持つことから、防汚性に優れた防汚性樹脂となる。流動化する温度に関して述べると、マトリックス樹脂の耐熱温度以下で流動化し、好ましくは、生活環境内で想定できる余熱程度で流動化すること、さらに好ましくは、室温付近で流動化することである。生活環境内で想定できる余熱程度で流動化すること、さらには、室温付近で流動化することは、成形後に加熱処理を行なわない場合にも表面への含フッ素化合物Aの移行を促進するものである。マトリックス樹脂の耐熱温度は、汎用プラスチックであれば100℃以下であり、エンジニアプラスチックで100℃以上、スーパーエンジニアプラスチックで150℃以上であり、含フッ素化合物Aの流動化
温度はこれらマトリックス樹脂の耐熱温度以下であれば良く、例えば、ポリプロピレン樹脂に20℃〜100℃の流動化温度を有する含フッ素化合物Aを含有した防汚性樹脂は40℃〜120℃で加熱処理をすることで優れた防汚性を示した。
【0020】
マトリックス樹脂3は、ポリエチレン、ポリプロピレン、AS樹脂、ABS樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリアセタール、ポリアミド、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリサンフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアミドイミド、ポリメチルペンテン、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド、ポリウレタンなど挙げられるが、特に限定されるものではなく、含フッ素化合物A2との相溶性に応じたマトリックス樹脂3を選択すればよい。ポリエチレンやポリプロピレンのように相溶性パラメーターの低い樹脂には相溶性基として親油性基を含有する含フッ素化合物Aが、また、メラミン樹脂、ポリ塩化ビニル、アクリル樹脂のように相溶性パラメーターが高い樹脂には、相溶性基として親水性基を含有する含フッ素化合物Aが望ましい。ここで必要なのは、マトリックス樹脂3と含フッ素化合物A2が完全に相溶化することが必要なのではなく完全に分離することを防ぐことである。また、マトリックス樹脂をポリプロピレンとした場合、ポリプロピレン樹脂の結晶部が含フッ素化合物Aの表面移行を抑えるため、非晶質部の多いポリプロピレンもしくは非晶性ポリプロピレンとのコンパウンドを選択し、表面移行を促進させることができる。他の結晶性樹脂についても同様のことが言える。マトリックス樹脂に悪影響を与えない範囲で非晶性樹脂とのコンパウンドを選択することができる。さらに、添加剤として、分散性を向上させる分散剤、劣化を抑える酸化防止剤、ラジカル捕捉剤、そして、各種機械物性を向上させる繊維系フィラー、ゴム成分などや、そして、導電性、磁性、熱伝導性、制振性、断熱、軽量、電磁波吸収、反射、熱線輻射、難燃性など各種特性を付与するフィラーがマトリックス樹脂の物性を損なわない限りは含まれていてもかまわない。
【0021】
含フッ素化合物A2とマトリックス樹脂3との混合には、通常混ぜ合わせに使用する装置、例えば、タンブラー、溶融混合機、ロールミル、ニーダー、加圧式ニーダー、二軸押出し機、単軸押出し機、バンバリーミキサーなどでよい。混ぜ合わせた混合物の成形方法は、圧縮成形、押し出し成形、射出成形、熱成形、ブロー成形、カレンダ成形など挙げられるが、成形方法に特に制限は無く、樹脂の性質、成形品の形状を考慮した成形法であればよい。
【0022】
樹脂表面にさらに含フッ素化合物A2を移行させるために、成形後の防汚性樹脂1に加熱処理を行なうことが望ましい。含フッ素化合物A2の流動化する温度以上に加熱することで表面への含フッ素の移行が促進される。温度は含フッ素2が流動化する温度以上であれば良く、マトリックス樹脂の耐熱温度以下で流動化するのでマトリックス樹脂の耐熱温度以下であれば良い。マトリックス樹脂の物性に悪影響を与えず、含フッ素化合物Aの気化、分解により悪影響がでない温度であればかまわない。
【0023】
このように作成された防汚性樹脂は防汚性に優れたものであり、家庭電化製品筐体への利用で生活の様々な汚れに対して効果的である。生活環境で想定される汚れとして、食べ物や飲み物、調味料、油煙などの汚れ、手垢、大便、小便など人由来の汚れ、タバコ由来の汚れ、埃など、さらに、これらが複合した汚れがある。家庭電化製品は食べ物や飲み物、調味料、油煙などの汚れ、手垢、大便、小便など人由来の汚れ、タバコ由来の汚れ、埃など、さらに、これらが複合した汚れが付着し得る環境に置かれるが、家庭電化製品筐体に防汚性に優れた防汚性樹脂を利用することで掃除のしやすさが向上する。また、トイレットペーパーやティッシュペーパー、キッチンペーパーなど身近においてあるもので手軽に拭取ることができる。用途として、炊飯ジャー、冷蔵庫などの食べ物、飲み物、調味料などが付着する調理器具、照明器具などのスイッチやパソコンのキーボードなど人の手に
触れるもの、換気扇、トイレ周り、浴槽などにも使用することができる。
【0024】
(実施の形態2)
図2は本発明の第2の実施の形態における含フッ素化合物Bを含有した防汚性樹脂の模式図である。防汚性樹脂11はマトリックス樹脂13中に含フッ素化合物A12が樹脂表面方向に濃度勾配を持っており、さらに含フッ素化合物B14近傍では、親和性により含フッ素化合物A12の濃度が高くなっている。また、含フッ素化合物A12はマトリックス樹脂の耐熱温度以下で流動性を持つことから室温あるいは生活環境で想定される余熱程度で、表面への移行が起こりやすい。さらに、マトリックス樹脂13への含フッ素化合物A12の添加量は多いほど表面へ移行は促進される。含フッ素化合物A12の添加量について述べると、マトリックス樹脂100重量部に対して、0.1重量部から50重量部であることが望ましい。下限は添加量が0.1重量部より少ないと表面に移行する量が少なく、優れた防汚性を示すには至らない。さらに、優れた防汚性の持続が特に必要な用途には、0.5重量部以上の添加が望ましい。また、50重量部を超えると防汚性樹脂の物性を低下させるため望ましくない。
【0025】
含フッ素化合物A12は、含フッ素化合物Aを模式的に表した図3に示すように、(a)相溶性基とパーフルオロアルキル基を含有した重合体、(b)パーフルオロアルキル基と相溶性基を末端に持つ化合物を示しており、これらの1種類もしくは2種類以上の混合物であればよく、また、フッ素含有シリコーンやパーフルオロポリエーテルとの混合物でもよい。フッ素含有シリコーンやパーフルオロポリエーテルと混合した場合、フッ素含有シリコーンやパーフルオロポリエーテルは低表面エネルギーを有しており、また常温において液体であることで、樹脂表面に移行しやすい性質を持つことから、防汚性に優れた防汚性樹脂となる。流動化する温度に関して述べると、マトリックス樹脂の耐熱温度以下で流動化し、好ましくは、生活環境内で想定できる余熱程度で流動化すること、さらに好ましくは、室温付近で流動化することである。生活環境内で想定できる余熱程度で流動化すること、さらには室温付近で流動化することは、成形後に加熱することない場合にも表面への含フッ素化合物A12の移行を促進するものである。マトリックス樹脂の耐熱温度は、汎用プラスチックであれば100℃以下であり、エンジニアプラスチックで100℃以上、スーパーエンジニアプラスチックで150℃以上であり、含フッ素化合物Aの流動化温度はこれらマトリックス樹脂の耐熱温度以下であれば良く、例えば、ポリプロピレン樹脂に20℃〜100℃の流動化温度を有する含フッ素化合物A含有した防汚性樹脂を40℃〜120℃で加熱処理をすることで優れた防汚性を示した。
【0026】
含フッ素化合物B14は、PTFE、PFA、FEP、ETFE、PVDFなどや含フッ素化合物で、マトリックス樹脂13中に分散するものであればかまわない。添加することによってマトリックス樹脂13と相溶性が非常に悪い含フッ素化合物A12をマトリックス樹脂13中に分散させることができる。
【0027】
マトリックス樹脂13は、ポリエチレン、ポリプロピレン、AS樹脂、ABS樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリアセタール、ポリアミド、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリサンフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアミドイミド、ポリメチルペンテン、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド、ポリウレタンなど挙げられるが、特に限定されるものではなく、含フッ素化合物A12と含フッ素化合物B14との相溶性に応じたマトリックス樹脂13を選択すればよい。ここで必要なのは、マトリックス樹脂13と含フッ素化合物A12が完全に相溶化することが必要なのではなく完全に分離することを防ぐことである。また、添加剤として、分散性を向上させる分散剤、劣化を抑える酸化防止剤、ラジカル捕捉剤、そして、各種機械物性を向上させる繊維系フィラー、ゴム成分などや、そして
、導電性、磁性、熱伝導性、制振性、断熱、軽量、電磁波吸収、反射、熱線輻射、難燃性など各種特性を付与するフィラーがマトリックス樹脂の物性を損なわない限りは含まれていてもかまわない。
【0028】
含フッ素化合物A12とマトリックス樹脂13と含フッ素化合物B14との混合には、通常混ぜ合わせに使用する装置、例えば、タンブラー、溶融混合機、ロールミル、ニーダー、加圧式ニーダー、二軸押出し機、単軸押出し機、バンバリーミキサーなどでよい。混ぜ合わせた混合物の成形方法は、圧縮成形、押し出し成形、射出成形、熱成形、ブロー成形、カレンダ成形など挙げられるが、成形方法に特に制限は無く、樹脂の性質、成形品の形状を考慮した成形法であればよい。
【0029】
樹脂表面にさらに含フッ素化合物A12を移行させるために、成形後の防汚性樹脂11に加熱処理を行なうことが望ましい。含フッ素化合物A12の流動化する温度以上に加熱することで表面への含フッ素化合物Aの移行が促進される。温度は含フッ素化合物A12が流動化する温度以上であれば良く、マトリックス樹脂の耐熱温度以下で流動化するので、マトリックス樹脂の耐熱温度以下であれば良い。また、マトリックス樹脂の物性に悪影響を与えず、含フッ素化合物Aの気化あるいは分解により悪影響がでない温度であればかまわない。
【0030】
このように作成された防汚性樹脂は防汚性に優れたものであり、家庭電化製品筐体への利用で生活の様々な汚れに対して効果的である。生活環境で想定される汚れとして、食べ物や飲み物、調味料、油煙などの汚れ、手垢、大便、小便など人由来の汚れ、タバコ由来の汚れ、埃など、さらに、これらが複合した汚れがある。家庭電化製品は食べ物や飲み物、調味料、油煙などの汚れ、手垢、大便、小便など人由来の汚れ、タバコ由来の汚れ、埃など、さらに、これらが複合した汚れが付着し得る環境に置かれるが、家庭電化製品筐体に防汚性に優れた防汚性樹脂を利用することで掃除のしやすさが向上する。また、トイレットペーパーやティッシュペーパー、キッチンペーパーなど身近においてあるもので手軽に拭取ることができる。用途として、炊飯ジャー、冷蔵庫などの食べ物、飲み物、調味料などが付着する調理器具、照明器具などのスイッチやパソコンのキーボードなど人の手に触れるもの、換気扇、トイレ周り、浴槽などにも使用することができる。
【0031】
(実施の形態3)
図3は本発明の第2の実施の形態における含フッ素化合物Aの模式図である。含フッ素化合物は公知のものでよく、スルホン酸塩類、カルボン酸塩類、アンモニウム塩類、リン酸エステル類、エチレンオキシドの付加物、重合性のモノマーが重合したオリゴマーやポリマーの化合物、さらに重合性を有する異種のモノマー同士の共重合体などが挙げられる。(a)はパーフルオロアルキル基21を含有し、さらに相溶性基23を含有した、主鎖22によって重合体としたものである。
【0032】
パーフルオロアルキル基21は炭素数が2〜20であればよく、優れた防汚性を維持するために、パーフルオロアルキル基21が結晶性を持つために炭素数が5以上であることが好ましく、また、融解による表面への移行のしやすさの点では炭素数が15以下であることが好ましい。主鎖22は主に炭素原子、酸素原子、ケイ素原子からなる骨格であればよく、窒素原子、硫黄原子、燐原子など間に介していても良く、また、側鎖にパーフルオロアルキル基21を含有することができればよい。好ましくは、パーフルオロアルキル基21や相溶性基23を任意に選択でき、パーフルオロアルキル基21や相溶性基23の割合の調整が可能であることである。相溶性基23は割合、種類によりマトリックス樹脂との相溶性を制御することでブリードアウトを調整することができる。
【0033】
化学構造式は(CH−CXで表される。Xは水素原子やメチル基である
。Xはパーフルオロアルキル基と相溶性基に相当し、Xはパーフルオロアルキル基、水素原子、メチル基などのアルキル基、フェニル基、カルボキシル基、シロキサン基などである。また、エステル結合、アミド結合、スルホンアミド結合、エーテル結合などを介して結合したパーフルオロアルキル基、アルキル基などの炭化水素、アルコール、カルボキシル基などが挙げられる。
【0034】
図3(a)で示しているように、ランダムにパーフルオロアルキル基、相溶性基が配置されていても、規則的に一定間隔でパーフルオロアルキル基、相溶性基が配置されていてもかまわない。例えば、パーフルオロアルキルアクレートと、アルキルアクリレートやスチレン、酢酸ビニル、塩化ビニルとの共重合体などが挙げられる。(b)はパーフルオロアルキル基24と官能基26を末端に持つ主鎖25によって重合した化合物である。パーフルオロアルキル基24は炭素数が2〜20であればよく、優れた防汚性を維持するために、パーフルオロアルキル基24が結晶性を持つために炭素数が5以上であることが好ましく、また、融解による表面への移行のしやすさの点では炭素数が15以下であることが好ましい。
【0035】
主鎖25は主に炭素原子、酸素原子、ケイ素原子からなる骨格であればよく、窒素原子、硫黄原子など間に介していても良く、また、末端にパーフルオロアルキル基24を含有することができればよい。好ましくは、パーフルオロアルキル基24や官能基26を任意に選択できることである。官能基26は種類によりマトリックス樹脂との官能を制御することでブリードアウトを調整することができる。例えば、(b)はパーフルオロアルキル基を含有した炭化水素、アルコール、カルボン酸や、スルホン酸塩類、カルボン酸塩類、アンモニウム塩類、リン酸エステル類、エチレンオキシドの付加物が挙げられる。パーフルオロアルキル基と主鎖との結合は、エステル結合、アミド結合、スルホンアミド結合、エーテル結合などを介していてもよい。他にも、パーフルオロアルキル基を含有したシリコーンオイルなどが挙げられる。シリコーンが変性されているものでもよく、シリコーンの側鎖や末端がアミン変性、ポリエーテル変性、エポキシ変性、カルビノール変性、メルカプト変性、カルボキシル変性、メタクリル変性、フェノール変性、シラノール変性、カルビノール変性、アルキル変性、脂肪酸エステル変性、脂肪酸アミド変性、フロロアルキル変性などの変性シリコーンが挙げられる。変性シリコーンの場合マトリックス樹脂との相溶性により、マトリックス樹脂と相溶性のよい含フッ素化合物や、フッ素樹脂とともに添加されることが望ましい。
【0036】
上記含フッ素化合物Aを添加した防汚性樹脂は、家庭電化製品筐体への利用で生活の様々な汚れに対して効果的である。生活環境で想定される汚れとして、食べ物や飲み物、調味料、油煙などの汚れ、手垢、大便、小便など人由来の汚れ、タバコ由来の汚れ、埃など、さらに、これらが複合した汚れがある。家庭電化製品は食べ物や飲み物、調味料、油煙などの汚れ、手垢、大便、小便など人由来の汚れ、タバコ由来の汚れ、埃など、さらに、これらが複合した汚れが付着し得る環境に置かれるが、家庭電化製品筐体に防汚性に優れた防汚性樹脂を利用することで掃除のしやすさが向上する。また、トイレットペーパーやティッシュペーパー、キッチンペーパーなど身近においてあるもので手軽に拭取ることができる。用途として、炊飯ジャー、冷蔵庫などの食べ物、飲み物、調味料などが付着する調理器具、照明器具などのスイッチやパソコンのキーボードなど人の手に触れるもの、換気扇、トイレ周り、浴槽などにも使用することができる。
【0037】
(実施の形態4)
図4は本発明の第4の実施の形態における洋式トイレの外観模式図である。(a)は便座を上げた状態の洋式トイレの外観模式図であり、(b)は便座を下ろした様態の洋式トイレの外観模式図である。
【0038】
トイレ周りの樹脂は、洗剤で掃除されることが多く、ABS樹脂ではソルベントクラックにより割れが起きてしまうため、耐溶剤性の高いポリプロピレン樹脂が多く使われる。便蓋31に含フッ素化合物Aを添加した防汚性に優れたポリプロピレン樹脂を使用する効果を述べる。便蓋31は小便や大便などの汚れがそれほど多く付かないが、人の手による上げ下ろしによる手垢汚れ、また、帯電による埃汚れなどが汚れの原因である。実施の形態1で記載したように優れた防汚性を有する防汚性樹脂により、人の手垢、皮脂による汚れや、小便や大便がまれに付着した際の汚れも、トイレットペーパーで簡単に拭取ることができる。ポリプロピレン樹脂は帯電しやすく埃が付着しやすいが、人の手垢、皮脂との複合汚れであっても簡単に拭取ることができる。ポリプロピレン樹脂は帯電しやすいため、便蓋31に使用されるポリプロピレン樹脂に帯電防止剤を配合し、便蓋31に埃が付着しないようにすることが、掃除の頻度を下げる点で好ましい。
【0039】
便座表32に含フッ素化合物Aを添加した防汚性に優れたポリプロピレン樹脂を使用する効果を述べる。便座表32は、人が直接座るため、衛生面、心理面で汚れの取れやすさは重要である。便座表32は、人が直接座るため、皮脂が付きやすく、また、心理的にも表面に汚れが付いていないことを気にすることもあり、トイレットペーパーで頻繁に拭かれることが多い。汚れが取れにくいと、拭かれる頻度が高く、ポリプロピレン製の便座では傷が徐々についてくることがある。実施の形態1で記載したように優れた防汚性を有する防汚性樹脂により、便座の上げ下ろしで付着する人の手垢、人が直接座るために付着する皮脂による汚れや、小便や大便がまれに付着した際の汚れも、トイレットペーパーで簡単に拭取ることができる。また、含フッ素化合物Aを添加することで表面のすべり性も向上し傷が付きにくくなる。
【0040】
便座裏33に含フッ素化合物Aを添加した防汚性に優れたポリプロピレン樹脂を使用する効果を述べる。便座裏33は、小便の飛び散り、大便の跳ね返りなど、汚れの付く頻度は高い。汚れが付いた際すぐに拭取ると簡単に除去することはできる。しかし、便座の裏面であり、便座を下ろした状態での小便、大便の跳ね返りには気付きにくく、気付かずに放置されることがある。また、便座を上げた状態でも、小便が飛び散ることも多く、便座裏33に小便がついてしまったことに気付かず放置されることがある。放置された汚れは、乾燥し強固に樹脂表面に固着する。小便、大便に含まれる親油性の成分を介し、物理的な絡み合い、親和性など種々の要因で、強く樹脂表面に固着すると考えられるが、実施の形態1で記載したように優れた防汚性を有する防汚性樹脂により、汚れと樹脂との界面で結びつく力を減少させることができ、汚れを簡単に除去することができる。
【0041】
本実施の形態では、含フッ素化合物Aを含むポリプロピレン樹脂を、便蓋31、便座表32、便座裏33の形状に成形し防汚性に優れたトイレを提供するものである。ただし、便蓋31、便座表32、便座裏33すべてに適用されている必要はなく、例えば、便座表32がアルミを成形した便座でもよく、防汚性を持たせるコーティングが施されていてもかまわない。
【実施例】
【0042】
以下に実施例および比較例を挙げて本発明のさらなる詳細を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0043】
(実施例1)
ポリプロピレン樹脂100重量部とフッ素系界面活性剤(親油性基含有、室温液体)5重量部を二軸押出し機により混合しペレット化させ、射出成形によりプレートを作成した。
【0044】
(実施例2)
ポリプロピレン樹脂100重量部とフッ素系界面活性剤(親油性基含有、室温固体)5重量部を二軸押出し機により混合しペレット化させ、射出成形によりプレートを作成した。
【0045】
(実施例3)
ポリプロピレン樹脂100重量部とフッ素系界面活性剤(親油性、親水性基含有、室温固体)を二軸押出し機により混合しペレット化させ、射出成形によりプレートを作成した。
【0046】
(比較例1)
ポリプロピレン樹脂を射出成形によりプレートを作成した。
【0047】
(比較例2)
ポリプロピレン樹脂100重量部とシリコーン配合マスターバッチ(シリコーン含有50%)10重量部を二軸押出し機により混合しペレット化させ、射出成形によりプレートを作成した。
【0048】
実施例1、実施例2、実施例3、実施例4、比較例1、比較例2について、防汚性試験および加熱処理後の防汚性試験を行なった。
【0049】
防汚性試験の手順は下記のとおりである。
(1)市販のコーヒー粉末1gを水500gに分散させ、各種サンプルにスポイトで1滴ずつ垂らし、40℃で60分間乾燥させ、汚れを作製した。
(2)市販のトイレットペーパーを用いて、2kgの荷重で汚れの上を往復運動させ、10回以内に完全除去できたものを「○」、10〜30回で完全除去できたものを「△」、完全除去するために30回以上のものを「×」とした。
【0050】
加熱処理および加熱処理後の防汚性試験は下記のとおりである。
(1)各種サンプルをエタノールで拭き、40℃、80℃、120℃で3時間加熱処理をした。
(2)上記防汚性試験の手順に従い、防汚性試験を行なった。
【0051】
以上の結果を(表1)に示す。
【0052】
【表1】

【0053】
(実施例4)
コーティング液は2液硬化型のアクリル樹脂塗料100重量部に対して、親油性基含有含フッ素化合物を10重量部、PTFE粒子を10重量部の割合で混合した。作製はアクリル樹脂塗料主剤に親油性基含有含フッ素化合物、PTFE樹脂をそれぞれ加え撹拌した
後、アクリル樹脂塗料硬化剤を加えた。コーティング液を、プライマー層を施したPP板に塗布し乾燥させた後、100℃1時間加熱硬化させた。
【0054】
(比較例3)
コーティング液は2液硬化型のアクリル樹脂塗料100重量部に対して、親油性基含有含フッ素化合物を10重量部、PTFE粒子を2重量部の割合で混合した。作製はアクリル樹脂塗料主剤に親油性基含有含フッ素化合物、PTFE粒子をそれぞれ加え撹拌した後、アクリル樹脂塗料硬化剤を加えた。コーティング液を、プライマー層を施したPP板に塗布し乾燥させた後、100℃1時間加熱硬化させた。
【0055】
(比較例4)
コーティング液は2液硬化型のアクリル樹脂塗料100重量部に対して、親油性基含有含フッ素化合物を10重量部の割合で混合した。作製はアクリル樹脂塗料主剤に含フッ素化合物Aを加え撹拌した後、アクリル樹脂塗料硬化剤を加えた。コーティング液を、プライマー層を施したPP板に塗布し乾燥させた後、100℃1時間加熱硬化させた。
【0056】
含フッ素化合物B添加による含フッ素化合物Aの表面移行制御効果について調べるために、実施例4および比較例3、比較例4について塗膜表面の状態観察を目視により行なった。塗膜表面の状態観察の結果を(表2)に示す。
【0057】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0058】
以上のように、本発明にかかる防汚性に優れた防汚性樹脂は、低表面エネルギーを有する含フッ素化合物を効率よく樹脂成形体表面に移行させることができ、生活環境で想定される種々の汚れに対して高い防汚性を持ち、掃除のしやすさを向上させることができる。家庭電化製品には多くの樹脂が使用されており、その様々な樹脂にも展開が可能で、防汚性の高い、冷蔵庫、炊飯ジャー、パソコン、トイレなど提供することができる。また、家庭電化製品以外にも、生活雑貨、設備、玩具、車などにも利用可能で優れた防汚性を付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明実施の形態1における防汚性樹脂の断面模式図
【図2】本発明実施の形態2における含フッ素化合物Bを含有した防汚性樹脂の断面模式図
【図3】(a)は本発明実施の形態3における含フッ素化合物Aのパーフルオロアルキル基を含有し、さらに相溶性基を含有した、主鎖によって重合体としたものを説明する図、(b)は同パーフルオロアルキル基と官能基を末端に持つ主鎖によって重合した化合物を説明する図
【図4】(a)は本発明実施の形態4における洋式トイレの便座を上げた状態の洋式トイレの外観模式図、(b)は同便座を下ろした様態の洋式トイレの外観模式図
【符号の説明】
【0060】
1 防汚性樹脂
2 含フッ素化合物A
3 マトリックス樹脂
11 防汚性樹脂
12 含フッ素化合物A
13 マトリックス樹脂
14 含フッ素化合物B
21 パーフルオロアルキル基
22 主鎖
23 相溶性基(親水性基、親油性基)
24 パーフルオロアルキル基
25 主鎖
26 相溶性基(親水性基、親油性基)
31 便蓋
32 便座表
33 便座裏
34 便器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マトリックス樹脂と前記マトリックス樹脂の耐熱温度以下で流動化する含フッ素化合物Aとを有した防汚性樹脂。
【請求項2】
含フッ素化合物Aがパーフルオロアルキル基を含有した化合物である請求項1記載の防汚性樹脂。
【請求項3】
成形後加熱処理を行なうことを特徴とする請求項1または2に記載の防汚性樹脂。
【請求項4】
含フッ素化合物Bを含み、前記含フッ素化合物Bをマトリックス樹脂中に分散させ、前記含フッ素化合物Bと含フッ素化合物Aの親和力によって前記含フッ素化合物Aの樹脂表面への移行を制御させた請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の防汚性樹脂。
【請求項5】
マトリックス樹脂がポリプロピレン樹脂である請求項1から4のいずれか1項に記載の防汚性樹脂。
【請求項6】
パーフルオロアルキル基とともに親油性基を含有した含フッ素化合物Aをポリプロピレン樹脂に配合した請求項2から5のいずれか1項記載の防汚性樹脂。
【請求項7】
結晶化度の低いポリプロピレンもしくは非晶質ポリプロピレンをコンパウンドすることにより結晶性を低下させたポリプロピレン樹脂をマトリックス樹脂とする請求項1、5、6のいずれか1項記載の防汚性樹脂。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載の防汚性樹脂を利用した家庭電化製品筐体。
【請求項9】
請求項1から7のいずれか1項に記載の防汚性樹脂を利用した便座。

【図3】
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【図4】
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【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−138093(P2009−138093A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−315598(P2007−315598)
【出願日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】