説明

防汚方法

a)少なくとも1個のウレタンまたは尿素を有するポリフルオロ有機化合物、b)1,3−プロパンジオール、およびc)界面活性剤を含む組成物を基材に塗布することを含む、基材に防汚性を与える方法。この防汚組成物は凍結融解安定性を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[背景技術]
フルオロ有機ウレタンを含有する水性防汚組成物は基材表面の汚れを防止するために使用されており、防汚組成物と呼ばれる。これらの防汚組成物の例は、米国特許第5,411,766号明細書に記載されている。これらの防汚組成物は、カーペット製造業者によってカーペット工場で、またはその織物の設置後に消費者によって塗布される。
【0002】
大部分の防汚組成物は、運搬容器(totes)中に貯蔵され、貨物自動車によって最終使用目的地に輸送される。水性防汚組成物は貯蔵中または輸送中のいずれかに、凍結温度にさらされる。このような輸送および貯蔵施設は、多くの場合、温度調整されていないため、凝固点下にさらされると組成物は凍結する。組成物が凍結融解サイクルにさらされると、組成物は不安定になり、相分離し始め、クリーム状になり、フルオロケミカル固形物を沈殿させる。結果として防汚特性が低下する。
【0003】
製造中のカーペットなどの繊維質基材を処理するための、および、防汚特性を維持することができ、かつ凍結融解サイクルに耐え得る、汚れたカーペットに使用される組成物をクリーニング中またはクリーニング後に用いるための、改良された防汚製剤を得ることが望ましい。このような防汚製剤はまた、すぐれた防汚性も提供するはずである。
【0004】
本発明は、特有の凍結融解安定性を有し、また改良された防汚特性を与える繊維質基材処理用の防汚組成物を含む。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、a)少なくとも1個のウレタンまたは尿素を有するポリフルオロ有機化合物、b)1,3−プロパンジオール、およびc)界面活性剤を含む防汚組成物を含む。
【0006】
本発明はさらに、1,3−プロパンジオールを前記防汚組成物に加えることを含む、凍結および解凍にさらされる防汚組成物に安定性を与える方法を含む。
【0007】
本発明はさらに、基材を、a)少なくとも1個のウレタンまたは尿素を有するポリフルオロ有機化合物、b)1,3−プロパンジオール、およびc)界面活性剤を含む防汚組成物と接触させることを含む、基材に防汚性を与える方法を含む。
【0008】
本発明はさらに、本発明の方法により処理された基材を含む。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書中では商標は大文字で表される。
【0010】
本発明は、a)少なくとも1個のウレタンまたは尿素を有するポリフルオロ有機化合物、b)1,3−プロパンジオール、およびc)界面活性剤を含む凍結融解に対する保護性を有する防汚組成物を含む。「凍結融解に対する保護性」とは、その組成物の性能、外観、または安定性に悪影響を及ぼすことなく組成物が長期間にわたってその凝固点未満の温度にされ、次いで多数回、その融点を超える温度にされることに耐えることができることを意味する。この組成物は、1回または複数回の凍結融解サイクルを受けた場合にその安定性を保持し、かつ固体の相分離、クリーミング、沈殿、または他の方法の分解を受けない。加えて本発明の組成物は、1,3−プロパンジオールを含有しない従来技術の組成物と比べて繊維質基材にすぐれた防汚性を与える。
【0011】
「フルオロケミカル防汚組成物」とは、それにより処理された基材に、ごみ、土、油、またはその基材上に通常は存在しないものである他の物質に対する抵抗性または忌避性を与える組成物を意味する。フルオロケミカル防汚製剤には、側基または末端基のペルフルオロアルキル部分を有するポリマーまたは化合物、フッ素系界面活性剤、あるいはフッ素中間体を挙げることができる。フルオロケミカル防汚組成物の例は、E.I.du Pont de Nemours and Company,Wilmington,DEから市販されている。
【0012】
下記の定義は、米国線繊化学染色協会(American Association of Textile Chemists & Colorists(AATCC))によってAATCC Technical Manual,Vol.77,pp.409 および 413,2002,American Association of Textile Chemists & Colorists,Research Triangle Park,N.C.中で使用されている。「汚れ」は、ごみ、油、または繊維材料などの基材上に通常は存在しないものである他の物質基材である。布地における「汚れること」とは、繊維基材が多少とも汚れで一様に覆われるか、または汚れを含浸するようになることである。
【0013】
本発明は、凍結融解に対する保護性を有し、またそれにより処理された基材に防汚性を与える能力を維持している改良された組成物を含む。本発明の防汚組成物の第一成分は、a)少なくとも1個のウレタンまたは尿素を有するポリフルオロ有機化合物を含む。本明細書中では、少なくとも1個のウレタンまたは尿素結合を有する任意の好適なポリフルオロ有機化合物を使用することができる。本発明の防汚組成物中で使用するのに適したフルオロケミカル化合物には、例えば参照により本明細書中に援用される米国特許第5,414,111号明細書中でKirchnerが述べているポリフルオロ窒素含有有機化合物が挙げられる。このフルオロケミカル化合物は、分子当たり少なくとも1個の尿素結合を有し、(1)分子当たり少なくとも3個のイソシアナート基を含有する少なくとも1種類の有機ポリイソシアナートまたはポリイソシアナートの混合物と、(2)分子当たり(a)1個または複数個のツェレビチノフ水素原子を有する単官能基と、(b)それぞれが少なくとも2個のフッ素原子を含有する少なくとも2個の炭素原子とを含有する少なくとも1種類のフルオロケミカル化合物と、(3)そのポリイソシアナート中の約5%〜約60%のイソシアナート基と反応するのに十分な量の水との反応の生成物である。ツェレビチノフ水素は、有機化合物中に含有される活性水素(例えば、−OH、−COOH、−NHなど)である。ツェレビチノフ水素は、その化合物をハロゲン化CH3Mgと反応させてCH4を解放することによって定量することができ、これを容量分析により測定すると、その化合物の活性水素含量の定量的概算値が得られる。第一アミンは、冷気中で反応させると1モルのCH4を生じ、加熱すると一般に2モルを生ずる(Paul Karrer著、Organic Chemistry,Elsevierによる英訳 1938,p.135)。本発明の目的では第一アミンは、ツェレビチノフ等によって定義された1個の活性水素を与えると仮定する。
【0014】
好ましい実施形態では水の量は、そのポリイソシアナート中の約10%〜約35%のイソシアナート基と反応するのに十分な量であり、最も好ましくは約15%〜約30%の間の量である。
【0015】
各フルオロケミカル化合物が少なくとも2個の炭素原子を含有し、各炭素原子が少なくとも2個のフッ素原子に結合してさえいれば、単官能基を含有する種々様々なフルオロケミカル化合物を使用することができる。例えばこのフルオロケミカル化合物は、式、
f−Rk−X−H
によって表すことができる。
式中、
fは、少なくとも2個の炭素原子、好ましくは2〜20個の炭素原子、より好ましくは2〜6個の炭素原子を含有し、そのそれぞれが少なくとも2個のフッ素原子に結合している一価脂肪族基であり、前記脂肪族基は少なくとも1個の酸素原子で分断されていてもよく、
Rは、二価有機ラジカルであり、
kは、0または1であり、
Xは、−O−、−S−、または−N(R1)−(ただしR1は、H、1〜6個の炭素原子を含有するアルキル、またはRf−Rk−基である)である。
【0016】
より特定の実施形態では単官能基を含有するフルオロケミカル化合物は、式、
f−Rk−R2−X−H
によって表すことができる。
式中、
fおよびkは上記の定義と同様であり、
Rは、二価ラジカル、−Cm2mSO−、−Cm2mSO2−、−SO2N(R3)−、または−CON(R3)−(ただし、mは1〜22であり、R3はHか、または1〜6個の炭素原子のアルキルである)であり、
2は、任意選択により−(OCH2C(R4)H)p−、−(OCH2C(CH2Cl)H)p−、または−C(R5)(R6)−[OCH2C(CH2Cl)H]p−(ただし、nは0〜12であり、pは1〜50であり、R4、R5、およびR6は同一または異なり、H、または1個〜6個の炭素原子を含有するアルキルである)によってエンドキャップされてもよい二価線状炭化水素ラジカル−Cn2n−であり、
Xは、−O−、−S−、または−N(R7)−(ただしR7は、H、1〜6個の炭素原子を含有するアルキル、またはRf−Rk−R2−基である)である。
【0017】
より具体的にはRfは、2〜約20個の炭素原子、好ましくは2〜約6個の炭素原子の完全フッ素化直鎖または分枝状脂肪族ラジカルであり、酸素原子で分断されていてもよい。
【0018】
好ましい実施形態では単官能基を含有するフルオロケミカル化合物は、式、
f−(CH2q−X−H
によって表すことができる。
式中、
Xは、−O−、−S−、または−N(R7)−(ただしR7は、H、1〜6個の炭素原子を含有するアルキル、またはRf−Rk−R2−基である)であり、
fは、ペルフルオロアルキル基CF3CF2(CF2r(ただし、rは2〜18、好ましくはrは2〜4である)の混合物であり、
qは1、2、または3である。
【0019】
より具体的な実施形態ではRfは、前記ペルフルオロアルキル基CF3CF2(C2rの混合物であり、rは2、4、6、8、10、12、14、16、および18である。好ましい実施形態ではrは、大部分が4、6、および8である。別の好ましい実施形態ではrは、大部分が4である。
【0020】
本発明の目的の単官能基を含有するペルフルオロケミカル化合物として使用することができる代表的なフルオロ脂肪族アルコールは、
s(2s+1)(CH2tOH、
(CF32CFO(CF2CF2uCH2CH2OH、
s(2s+1)CON(R8)(CH2tOH、
s(2s+1)SO2N(R8)(CH2tOH、および
s(2s+1)SO2N(R8)(C(R9)(R10)−[OCH2C(CH2Cl)H−]v−OH
であり、
式中、
sは3〜14であり、tは1〜12であり、uは1〜5であり、vは1〜5であり、
8およびR9のそれぞれは、Hか、または1〜6個の炭素原子を含有するアルキルである。
【0021】
別の実施形態では単官能基を含有するフルオロケミカル化合物は、式、H(CF2CF2wCH2OH(ただし、wは1〜約10である)によって表すことができる。後者のフルオロケミカル化合物は、テトラフルオロエチレンをメタノールと反応させることによって調製することができる既知のフルオロケミカル化合物である。さらに別のこのような化合物は、式、CF3(CF3)CHOHを有する1,1,1,2,2,2−ヘキサフルオロ−イソプロパノールである。
【0022】
本発明のさらに別の実施形態では単官能基を含有する非フッ素化有機化合物を、1種類または複数種類の前記フルオロケミカル化合物と一緒に使用することができる。通常はポリイソシアナートの約1%〜約60%のイソシアナート基が、少なくとも1種類のこのような非フッ素化有機化合物と反応する。例えば前記非フッ素化有機化合物は、式、
10−R11k−YH
によって表すことができる。
式中、
10は、C1〜C18アルキルであり、C1〜C18ω−アルケニルラジカル、またはC1〜C18ω−アルケノイルであり、
11は、−(OCH2C(R4)H)p−、−(OCH2C(CH2Cl)H)p−、または−C(R5)(R6)−[OCH2C(CH2Cl)H]p−(ただし、pは1〜50であり、R4、R5、およびR6は、同一または異なり、H、または1個〜6個の炭素原子を含有するアルキルである)であり、
Yは、−O−、−S−、または−N(R7)−(ただしR7は、H、または1〜6個の炭素原子を含有するアルキルである)であり、
kおよびpは上記の定義と同様である。
【0023】
例えば非フッ素化有機化合物は、アルカノールか、あるいはポリオキシアルキレングリコールのモノアルキルまたはモノアルケニルエーテルまたはエステルであることができる。このような化合物の具体的な例には、ステアリルアルコール、ポリオキシエチレングリコールのモノメチルエーテル、ポリオキシエチレングリコールのモノアリルまたはモノメタアリルエーテル、ポリオキシエチレングリコールのモノメタクリル酸またはアクリル酸エステルなどが挙げられる。
【0024】
3個以上のイソシアナート基を有する任意のポリイソシアナートを、このフルオロケミカル化合物の調製に使用することができる。例えば、式、
【0025】
【化1】

【0026】
を有するヘキサメチレンジイソシアナートホモポリマーを使用することができる。
式中、xは1またはそれ以上の整数、好ましくは1〜8の整数であり、例えばBayer Corporation,Pittsburgh,PAからDESMODUR N−100、DESMODUR N−75、およびDESMODUR N−3200として市販されている。それらが市販されていることから、このようなヘキサメチレンジイソシアナートホモポリマーの混合物は本発明の目的にとって好ましい。炭化水素ジイソシナートから誘導されるイソシアヌラート三量体もまた着目され、これは式、
【0027】
【化2】

【0028】
で表すことができる。式中、R12は二価炭化水素基、好ましくは脂肪族、脂環式、芳香族、またはアリール脂肪族である。例えばR12は、ヘキサメチレン、トルエン、またはシクロヘキシレン、好ましくは前者であることができる。本発明の目的に役立つ他のポリイソシアナートは、3モルのトルエンジイソシアナートを1,1,1−トリス−(ヒドロキシメチル)−エタンまたは1,1,1−トリス−(ヒドロキシメチル)−プロパンと反応させることによって得られるものである。トルエンジイソシアナートのイソシアヌラート三量体と、3−イソシアナトメチル−3,4,4−トリメチルシクロヘキシルイソシアナートのイソシアヌラート三量体と、ビス−(4−イソシアナトシクロヘキシル)メタンと、式(IIa)、(IIb)、(IIc)、および(IId)
【0029】
【化3】

【0030】
のジイソシアナート三量体とは、メチン−トリス−(フェニルイソシアナート)と同様に本発明の目的に役立つポリイソシアナートの他の例である。式IIa〜IIdのジイソシアナート三量体は、Bayer Corporation,Pittsburgh,PAからそれぞれDESMODUR Z4470、IL、N−3300、およびXP2410として入手できる。式、
【0031】
【化4】

【0032】
を有するポリイソシアナートもまた、本発明の目的に役立つ。
【0033】
本発明で使用されるポリフルオロ有機化合物は、(1)分子当たり少なくとも3個のイソシアナート基を含有する少なくとも1種類のポリイソシアナートまたはポリイソシアナートの混合物を、(2)分子当たり(a)1個または複数個のツェレビチノフ水素原子を有する単官能基と、(b)それぞれが少なくとも2個のフッ素原子を含有する少なくとも2個の炭素原子とを含有する少なくとも1種類のフルオロケミカル化合物と反応させることによって調製される。その後、残りのイソシアナート基を水と反応させて1個または複数個の尿素結合を形成させる。一般には、水がそのポリイソシアナートと反応する前に約40%〜約95%のイソシアナート基が反応してしまっているはずである。換言すれば、一般には水の量は、そのポリイソシアナート中のイソシアナート基の約5%〜約60%と反応するのに十分な量である。約60%〜約90%のイソシアナート基が、水がそのポリイソシアナートと反応する前に反応してしまっていることが好ましく、また約70%〜約85%のイソシアナート基が、水がそのポリイソシアナートと反応する前に反応してしまっていることが最も好ましい。したがって好ましい実施形態では水の量は、約10%〜約35%、最も好ましくは15%〜30%のイソシアナート基と反応するのに十分な量である。
【0034】
一般にはこの水変性フルオロケミカルカルバマートは、最初にポリイソシアナート、ペルフルオロフルオロアルキル化合物、およびメチルイソブチルケトン(MIBK)などの無水有機溶媒を反応容器に装入することによって調製される。試薬添加の順序は重要ではない。装入される脂肪族ポリイソシアナートおよびペルフルオロフルオロアルキル化合物の具体的な重量は、それらの当量と反応容器の作業能率を基準にし、投入されるすべてのツェレビチノフ水素原子が、全NCO基の投入量の40%〜95%の所望の値と反応するように調整される。乾燥溶媒の重量は、一般には総装入重量の15%〜30%である。投入物を窒素下で撹拌し、40〜70℃に加熱する。一般にはジブチルスズジラウラート自体、またはMIBKに溶かした溶液として触媒がその投入量に応じた量で加えられるが、通常は少量、例えばポリイソシアナート10,000部当たり1〜2部である。結果としての発熱の後、触媒を添加した時から2〜20時間、65℃〜105℃の温度で混合物を撹拌し、次いでその温度を55℃〜90℃に調整し、さらに水自体または含水MIBKで1〜20時間処理する。
【0035】
化学量論的に過剰のポリイソシアナートの使用により、後続の水との反応と相まって、本発明の防汚剤に使用するのに好ましいフルオロケミカル化合物をもたらすフッ素化または非フッ素化有機化合物と確実に完全に反応する。
【0036】
本発明の組成物に使用されるフルオロケミカル化合物は、調製されたままで、または溶媒で希釈した後に使用することもでき、あるいは標準的な技術によって水に溶かした、または水と溶媒の混合物に溶かした分散液に変えることもできる。一般には防汚組成物中の有機溶媒をできるだけ少なくすることが望ましいが、低分子量アルコールまたはケトンなどの残留または付加溶媒を使用することができる。本発明の実施においては、溶媒および分散安定剤、例えばグリコールを任意に含有する水性分散液を使用することが好ましい。このフルオロケミカル分散液を界面活性剤およびプロパンジオールと組み合わせて、本発明の防汚組成物を得る。
【0037】
本発明の実施において好ましい防汚組成物は、(1)少なくとも3個のイソシアナート基を含有する少なくとも1種類の有機ポリイソシアナートと、(2)分子当たり(a)1個または複数個のツェレビチノフ水素原子を有する単官能基および(b)それぞれが少なくとも2個のフッ素原子を含有する少なくとも2個の炭素原子とを含有する少なくとも1種類のフルオロケミカル化合物と、(3)前記ポリイソシアナート中の約5%〜約60%のイソシアナート基と反応するのに十分な量の水との反応の生成物である少なくとも1個のウレタンまたは尿素結合を有するポリフルオロ有機化合物を、ナトリウムドデシルジフェニルオキシドジスルホナート、アルキルアリール硫酸塩、アルキル硫酸ナトリウム、C16〜C18リン酸カリウム、ナトリウムデシルジフェニルオキシドジスルホナート、および縮合ナフタレンスルホン酸ナトリウムホルムアルデヒドとナトリウムデシルジフェニルオキシドジスルホナートの混合物からなる群から選択される少なくとも1種類の陰イオン非フッ素化界面活性剤と組み合わせて含む。
【0038】
本発明の防汚組成物のこの第二成分は、b)1,3−プロパンジオール成分を含む。1,3−プロパンジオールは、石油化学的供給源または生物学的供給源から作り出すことができる。1,3−プロパンジオールは、アクロレインを水和するか、またはエチレンオキシドをヒドロホルミル化して3−ヒドロキシプロピオンアルデヒドを得ることによって化学的に合成することができる。この3−ヒドロキシプロピオンアルデヒドを水素化して1,3−プロパンジオールを得る。別法では生物学に基づく1,3−プロパンジオール、すなわちバイオ系1,3−プロパンジオールは、コーンシュガーおよびコーンシロップの発酵および精製によって作られ、またDuPont Tate & Lyle,BioProducts,LLC,Wilmington,DEから商品名SUSTERRAで市販されている。バイオ系1,3−プロパンジオールはまた、トウモロコシを原料とするグリセロールの水素化によっても作ることができる(米国特許出願公開第2008/0103339号明細書参照)。バイオ系1,3−プロパンジオールは、再生可能な供給源から作られるので石油化学系1,3−プロパンジオールの環境にやさしい代替物である。石油化学系またはバイオ系のどちらも、あるいはこれらの混合物を本発明において使用することができる。
【0039】
この1,3−プロパンジオールの添加により、防汚組成物は、安定的に凍結融解に対して保護される。本発明においてこの凍結融解に対して保護された防汚組成物はまた、1,3−プロパンジオールを含有しない従来技術の凍結融解に対して保護されていない防汚組成物と比べて改良された防汚特性を有する。本発明において使用するのに適した1,3−プロパンジオールの濃度は、組成物の約1重量%〜約10重量%、好ましくは約1.5重量%〜約7重量%、より好ましくは約2重量%〜約5重量%である。
【0040】
本発明の防汚組成物の第三成分は、c)界面活性剤を含む。界面活性剤は、陰イオン性、陽イオン性、非イオン性、フッ素系、非フッ素系、またはこれらの組合せであることができる。「界面活性剤」とは、水の表面張力を減少させる組成物、具体的には油−水界面に集結し、乳化作用を発揮し、汚れの除去を助ける表面活性剤を意味する。アルキルスルホン酸塩、リン酸塩、グリコールなどの化合物が一般に使用される。ラウリル硫酸ナトリウム、またトリポリリン酸ナトリウム/セスキ炭酸ナトリウムの水溶液は好ましい界面活性剤である。特に好ましい界面活性剤は、約90〜95重量%のトリポリリン酸ナトリウムと約5〜10重量%のセスキ炭酸ナトリウムの混合物である(Stanley Steemer,Columbus,OHから市販されている)。ラウリル硫酸ナトリウム、ヘキサデシル硫酸ナトリウム、およびテトラデシル硫酸ナトリウムの混合物を含む水溶液(WitcoからDuPanol WAQEとして入手できる)もまた、効果的な界面活性剤である。
【0041】
いずれの陰イオン非フッ素系界面活性剤も本発明の実施において役立つ。それらには、スルホン酸塩、硫酸塩、リン酸塩、およびカルボン酸塩を含めた陰イオン非フッ素系界面活性剤および陰イオンヒドロトロープ非フッ素系界面活性剤が挙げられるが、これらには限定されない。本発明において使用するのに適した市販の陰イオン非フッ素系界面活性剤には、α−オレフィンスルホン酸の塩、α−スルホン化カルボン酸の塩、α−スルホン化カルボン酸エステルの塩、1−オクタンスルホン酸の塩、アルキルアリールスルホン酸塩、ドデシルジフェニルオキシドジスルホン酸の塩、デシルジフェニルオキシドジスルホン酸の塩、ブチルナフタレンスルホン酸の塩、C16〜C18リン酸の塩、縮合ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒドの塩、ドデシルベンゼンスルホン酸の塩、アルキルスルホン酸の塩、ジメチル−5−スルホイソフタル酸の塩、およびデシルジフェニルオキシドジスルホン酸の塩と縮合ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒドの塩との混合物が挙げられる。ナトリウムおよびカリウム塩が好ましい。ドデシルジフェニルオキシドジスルホン酸のナトリウムまたはカリウム塩、アルキルアリールスルホン酸塩、アルキル硫酸の塩、C16〜C18リン酸カリウム、デシルジフェニルオキシドジスルホン酸塩、およびデシルジフェニルオキシドジスルホン酸塩と縮合ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒドの塩の混合物がより好ましい。
【0042】
本発明に使用される好適な陽イオン界面活性剤には、プロトン化アミンの塩、第四アンモニウム塩、アルキルジメチルアミンオキシド、ジアルキルメチルアミンオキシド、およびアルキルジアミンオキシドが挙げられる。陽イオン界面活性剤の具体例および好ましい例は下記のものであるが、本発明の実施はこれら特定の引用された界面活性剤に限定されず、これらは単に例として提供されるに過ぎない。
【0043】
プロトン化アミンの塩は、例えば、これらには限定されないが、塩酸および酢酸(以後、HOAcと略記する)などの酸を用いてプロトン化アミンから作られる。プロトン化アミンの好ましい塩は、アルキルジメチルアミン、ジアルキルメチルアミン、アルキルエトキシル化アミン、アルキルジアミン、およびこれらのエトキシラートである。
【0044】
第四アンモニウム塩は、一般にはアミンのアルキル化によって作られる。アルキル化剤には、塩化メチル、ジメチル硫酸塩、ジエチル硫酸塩、および塩化ベンジルが挙げられることが多いが、これらに限定されない。追加の有用な陽イオン界面活性剤は、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、具体的には塩化ジアルキルジメチルアンモニウムと、アルキルメチルエトキシル化アンモニウムと、アルキルジメチルベンジルアンモニウムと、ジアルキルメチルベンジルアンモニウムと、アルキル、アルキルアミドメチル、およびカルボアルコキシピリジニウム(環置換されてもされなくてもよい)と、アルキルキノリニウムと、アルキルイソキノリニウムと、N,N−アルキルメチルピロリジニウムと、アミドイミダゾリニウムと、アミドアンモニウムと、アルキルジアミンの第四アンモニウム塩と、これらのエトキシラートである。
【0045】
陽イオン界面活性剤の追加の例には、アルキルジメチルアミンオキシド、ジアルキルメチルアミンオキシド、およびアルキルジアミンオキシドが挙げられる。
【0046】
一般には陽イオン界面活性剤は、プロトン化アルキルジメチルアミン塩、プロトン化ジアルキルメチルアミン塩、プロトン化アルキルエトキシル化アミン塩、プロトン化アルキルジアミン塩、プロトン化アルキルエトキシル化ジアミン塩、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルメチルエトキシル化アンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ジアルキルメチルベンジルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、アルキルアミドメチルピリジニウム塩、カルボアルコキシピリジニウム塩、アルキルキノリニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、N,N−アルキルメチルピロリジニウム塩、アミドイミダゾリウム塩、およびアミドアンモニウム塩のうちの少なくとも1種類からなる群から選択される。あるいは陽イオン界面活性剤は、アルキルジアミンの第四アンモニウム塩、アルキルジアミンの第四アンモニウム塩のエトキシラート、アルキルジメチルアミンオキシド、ジアルキルメチルアミンオキシド、およびアルキルジアミンオキシドから選択される。
【0047】
本発明において使用するのに適した非イオン界面活性剤には、エチレンオキシドの縮合物が含まれる。エチレンオキシド縮合物の例には、例えばソルビタンエステルなどの脂肪酸および多価アルコールのエステルとの縮合物、また例えば脂肪酸およびジエタノールアミンのアミドなどの脂肪酸アルカノールアミドとの縮合物、また例えばイソオクチルフェノールなどのアルキルフェノールとの縮合物、また例えばステアリン酸などの脂肪酸との縮合物、また直鎖脂肪アルコールとの縮合物、また分枝脂肪アルコールとの縮合物、またポリ(オキシプロピレン)ブロックコポリマーとの縮合物が挙げられる。好ましい非イオン界面活性剤は、式、Cd(2d+1)O(CH2CH2O)vH(ただし、dは約12〜約18であり、vは約5〜約100である)のものである。最も好ましい非イオン界面活性剤は、ポリエトキル化直鎖アルコールである。
【0048】
本発明の防汚組成物は、1種類または複数種類の任意選択の化合物をさらに含む。本発明は、1種類または複数種類の防汚剤、1種類または複数種類の塩、1種類または複数種類のpH調整剤または緩衝剤、クエン酸、ポリメチルメタクリラート、またはこれらの組合せをさらに含む。
【0049】
市販の防汚剤、当業界で知られている他の防汚剤、またはそれらの組合せが、本発明において使用するのに適している。好ましくはこれらは、スルホン化フェノール樹脂または縮合物と、部分スルホン化ノバラック樹脂と、アクリル酸、メタクリル酸、またはそれらのエステルのポリマーまたはコポリマーと、カルボキシル化ポリマーと、無水マレイン酸とオレフィンまたはビニルエーテルの加水分解コポリマーと、加水分解したエチレン不飽和性芳香族/マレイン酸無水物コポリマーと、これらの組合せとを含む。例は、米国特許第5,851,595号および第6,613,862号明細書(それぞれ参照により本明細書中に援用される)中に開示されている。
【0050】
防汚剤の具体例には、加水分解無水マレイン酸コポリマー、スルホン化フェノール樹脂、および界面活性剤の混合物の分散液が挙げられ、これらは米国特許第4,883,839号明細書、第4,948,650号明細書、および第5,032,136号明細書(それぞれ参照により本明細書中に援用される)に従って調製される。具体的には、無水マレイン酸と、加水分解したエチレン不飽和性芳香族/マレイン酸無水物コポリマーあるいはオレフィンまたはビニルエーテルの加水分解コポリマーとの混合物が好ましい。米国特許第5,654,068号明細書(参照により本明細書中に援用される)中に開示されている加水分解無水マレイン酸コポリマー、スルホン化フェノール樹脂、加水分解オクテン/無水マレイン酸コポリマーの不完全塩の水溶液、および界面活性剤の混合物の分散液、ならびに加水分解無水マレイン酸コポリマーおよびスルホン化フェノール樹脂の混合物、または加水分解オクテン/無水マレイン酸コポリマーおよびスルホン化フェノール樹脂の混合物もまた好ましい。
【0051】
別の好ましい防汚剤は、米国特許第4,833,009号明細書中に開示されており、またそのように調製されたスルホン化フェノール−ホルムアルデヒド縮合生成物の分散液である。本明細書中で使用される他の好適な防汚剤には、米国特許第5,096,747号明細書中に開示されている加水分解ビニル芳香族−マレイン酸無水物コポリマーおよび加水分解スチレン無水マレイン酸コポリマーと、加水分解スチレン/無水マレイン酸コポリマーを含む米国特許第5,460,887号明細書に記載されているものと、米国特許第4,875,901号明細書および欧州特許第797699号明細書中に開示されている部分スルホン化ノバラック樹脂と、フッ素化チオエーテルエンドキャップを有するマレイン酸コポリマーを含む米国特許第5,712,348号明細書中に開示されているものと、マレイン酸ターポリマーを含む米国特許第6,238,792号明細書中に開示されているものと、これらの組合せが挙げられる。この上記段落中で引用した7件の特許のそれぞれは、参照により本明細書中に援用される。本発明において使用するのに適した幾つかの防汚剤は、E.I.du Pont de Nemours and Company,Wilmington,DEから市販されている。
【0052】
本発明において役立つ塩の例には、アルカリ金属塩、アルカリ金属アリール塩、アンモニウム塩、アンモニウムアリール塩、アリールスルホン酸、尿素、アミド、アルキルアミド、ジアルキルアミド、C1〜C6アルカン酸またはC2〜C6アルカン二酸のアミド、C2〜C6アルカン二酸のジアミド、C2〜C6アルカン二酸の環状イミド、C3〜C6ラクタムのうちの1種類または複数種類、またはこれらの組合せが挙げられる。
【0053】
本明細書中で使用される塩は、硫酸、スルホン酸、亜硫酸、リン酸、ホウ酸、塩素、ポリリン酸、硝酸、酢酸、クエン酸、安息香酸、テトラフルオロホウ酸、酒石酸、フタル酸、ならびにモノアルキルおよびジアルキルリン酸からなる群から選択される陰イオンと組み合わせた陽イオンである。好適なアリール塩は、約6〜約10個の炭素原子を含有し、任意選択でアルキル置換基を有するスルホン化芳香族化合物である。好ましいアリールスルホン酸塩には、アリールスルホン酸ナトリウム、アリールスルホン酸カリウム、トルエンスルホン酸ナトリウム、およびキシレンスルホン酸ナトリウムが挙げられる。これらアリールスルホン酸塩は、遊離スルホン酸、例えばp−トルエンスルホン酸として、またはそれらのアルカリ金属塩、好ましくはナトリウム塩として加えられる。
【0054】
防汚の性能に悪影響を与えることなく本発明の組成物のpHを調整することができる任意の化合物、溶液、または緩衝剤を使用することができる。好ましくは尿素硫酸または別の酸を用いてpHを約1〜約9に調整することができる。好ましくはpHは、約1.5〜約5.0、より好ましくは約1.8〜約3.0である。
【0055】
本発明はさらに、1,3−プロパンジオールを防汚組成物に加えることを含む、凍結および解凍にさらされる前記防汚組成物に安定性を与える方法を含む。1,3−プロパンジオールは、防汚組成物の約1.0重量%〜約10重量%、好ましくは約1.5重量%〜約7重量%、より好ましくは約2重量%〜約5重量%が加えられる。任意の従来の防汚組成物を本発明の方法に使用することができる。上記で述べた本発明の防汚組成物が好ましい。本発明の方法に従って処理され、1,3−プロパンジオールを含有する組成物は、その組成物の性能、外観、または安定性に悪影響を与えることなく多数回、長期間にわたってその凝固点未満の温度にされた後その融点を超える温度にされることに耐え得る。安定性は、数回の凍結融解サイクルの間を通じて保持される。組成物は、1回または複数回の凍結融解サイクルにさらされた場合、その安定性を保持し、固体の相分離、クリーミング、沈殿、または他の方法の分解を受けない。それに加えて、この方法に従って処理された組成物は、それと接触する繊維質基材に防汚性を付与する能力を持ち続ける。
【0056】
本発明はさらに、基材を、a)少なくとも1個のウレタンまたは尿素を有するポリフルオロ有機化合物、b)1,3−プロパンジオール、およびc)界面活性剤を含む組成物と接触させることを含む、基材に防汚性を付与する方法を含む。様々な通例の手順によって本発明の防汚組成物を適切な基材と接触させる。本発明の方法において基材と接触させる前に防汚組成物を希釈することができることを理解されたい。繊維質基材上で使用する場合、防汚組成物は、分散液からはけ塗り、ディッピング、スプレー、パディング、ロール塗布、発泡などによって塗布することができる。他の適切な塗布技術には、吸尽、フレックスニップ、ニップ、かせ染め、ウィンス染め、液体噴射、浸漬、またはオーバーフローフラッドが挙げられる。防汚組成物は、染色したまたは染色されていない基材に塗布することができ、また従来のベック染色法、連続染色法、または紡糸ライン塗布(thread−line application)を使用することによって塗布することもできる。紙または皮革基材の場合、その方法は、加工の間に防汚組成物を、例えば製紙用パルプまたは皮革加工液に加えることを含む。
【0057】
本発明の方法では使用される防汚組成物を、それ自体で、または他の仕上剤、加工助剤、発泡組成物、滑沢剤、防汚剤などと組み合わせて基材と接触させる。織物の場合、そのような任意選択の追加成分には、追加の表面効果を達成するための処理剤または仕上剤、あるいはそのような薬品または仕上剤と共に一般に使用される添加剤、例えば界面活性剤、pH調整剤、架橋剤、湿潤剤、ワックスエクステンダー、および当業者によって知られている他の添加剤が挙げられる。このような追加成分は、表面効果、例えばノーアイロン、アイロンの掛け易さ、収縮抑制、しわ防止、パーマネントプレス加工、水分の調節、柔軟性、強度、滑り止め、静電防止、アンチスナッグ、ピリング防止、染みの付きにくさ、染みの落ち易さ、汚れにくさ、汚れの落ち易さ、撥水性、撥油性、悪臭防止、抗菌性、日焼け防止、洗濯可能性、および同様の効果を与える化合物または組成物を含むことができる。1種類または複数種類のこのような処理剤または仕上剤は、本発明の方法においてこの防汚組成物を使用する前、後、または同時に基材に塗布される。
【0058】
所与の基材に対する最適な処理は、(1)本発明のフッ素化ポリマーの特徴、(2)基材表面の特徴、(3)表面に塗布されるフッ素化ポリマーの量、(4)フッ素化ポリマーを表面に接触させる方法、および多くの他の要因に左右される。多くの異なる基材上で功を奏するフッ素化ポリマーがある一方で、一部の基材上ですぐれた性能を示すか、またはより高塗布量を必要とするフッ素化ポリマーもある。
【0059】
本発明の方法は、従来技術のカーペット用フルオロケミカル防汚組成物の使用と比べて、その処理された基材の早期に汚れてしまうことに対する耐性の改良をもたらす。この方法は、設置前、あるいは設置または販売後に小売業者または設置作業員によって工場または製造設備で実施することができる。また本発明の方法では防汚組成物をスプレーポンプによって、またはエアロゾルとして基材に塗布することもできる。エアロゾルとして塗布する場合、本発明はさらに高圧ガスを含む。炭化水素、無機ガス、またはこれらの組合せを含めて、本発明の方法で使用される防汚組成物と相溶性の任意の噴射剤を使用することができるが、これらに限定されない。
【0060】
本発明はさらに、上記のようにa)少なくとも1個のウレタンまたは尿素を有するポリフルオロ有機化合物、b)1,3−プロパンジオール、およびc)界面活性剤を含む防汚組成物で処理した基材を含む。本発明の組成物および方法で使用される好適な基材は、繊維質基材である。繊維質基材には、一般にカーペット、織物、皮革、紙、または他のセルロース系材料が挙げられる。このような基材の例には、フィルム、繊維、糸、布、敷物類、ならびに天然、改質天然、または合成高分子材料から作られる、あるいはそれらの他の繊維材料の混合物から得られるフィラメント、繊維、または糸から作られる他の物品が挙げられる。具体的な代表例は、綿と、羊毛と、絹と、ナイロン6、ナイロン6,6、および芳香族ポリアミドを含むナイロンと、ポリ(エチレンテレフタラート)およびポリ(トリメチレンテレフタラート)(それぞれPETおよびPTTと略記される)を含むポリエステルと、ポリ(アクリロニトリル)と、ポリオレフィンと、紙と、皮革と、黄麻と、サイザル麻と、他のセルロース系材料である。さらなる好適な基材には、不織布基材、例えばE.I.du Pont de Nemours and Company,Wilmington,DEから入手できるSONTARAなどのスパンレース不織布、およびスパンボンドメルトブローンスパンボンド不織布が挙げられる。本発明の防汚組成物は、繊維質基材に防汚特性を与える。本発明の好ましい基材は、敷物、特にナイロン製敷物であり、これに本発明の防汚組成物が塗布される。
【0061】
本発明の組成物、方法、および基材は、幾つかの利点を提供する。本発明の組成物は、繊維質基材に塗布された場合、防汚性の改良を提供するだけでなく、複数回の凍結融解サイクルにさらされる場合に凍結融解安定性を与える。したがってこれら組成物は、多様な条件にさらすことができ、基材に与えられた防汚性を低下させることなく安定性を保持する。本発明の方法は、防汚剤の安定性の改良を提供し、かつ改善された防汚性を与えるための繊維質基材の処理を提供する。また、既存の従来技術の防汚組成物で処理したものと比べて、より良好な性能を有する繊維質基材を提供する。この処理基材は、防汚性の改良が利点となるカーペット、掛け布、家具、布地、制服、衣類、および他の用途などの種々様々な工業および民生用途を有する。
【0062】
試験法および材料
本明細書における実施例では下記の試験法および材料を使用した。
【0063】
カーペット:
実施例1〜6および10〜11、ならびに比較例A、B、およびGで使用したカーペットは、薄青色に染色したナイロン6,6表面繊維を有する住居用カットパイルカーペット(30オンス/平方ヤード、1.01kg/m2)からなり、食品、飲料、および他の酸性染料タイプの汚れによる染みを防ぐために、あらかじめ1.2%(繊維上の固体重量)のSR−500防汚剤で処理した。この防汚剤は、E.I.du Pont de Nemours and Company,Wilmington,DEから入手できる。
【0064】
実施例14〜15および比較例Hで使用したカーペットは、薄青色に染色したナイロン6,6表面繊維を有する住居用カットパイルカーペット(30オンス/平方ヤード、1.01kg/m2)からなる。このカーペットは防汚処理されなかった。
【0065】
試験法1―汚れ促進試験
ドラムミル(ローラー上の)を用いて、合成汚れをカーペット上に回転付着させた。合成汚れは、AATCC試験法123−2000の第8項の記載に従って調製した。3gの合成汚れおよび1Lの清浄なナイロン樹脂ビーズ(直径3/16インチ(0.32〜0.48cm)のSURLYNアイオノマー樹脂ビーズ)を、清浄な空のキャニスターの中に入れた(SURLYNは、E.I.du Pont de Nemours and Company,Wilmington,DEから市販されているエチレン/メタクリル酸コポリマーである)。キャニスターのふたを閉じ、ダクトテープで密封し、キャニスターを5分間ローラー上で回転させた。土壌で被覆したビーズをキャニスターから除去した。
【0066】
全カーペット試料のサイズは、8×25インチ(20.3×63.5cm)であった。1つの試験品と1つの対照品を同時に試験した。すべての試料のカーペットパイルを同じ方向になるように置いた。各カーペット試料の短い方の辺を、縦方向に(房列に関して)切断した。強力接着テープをカーペット片の裏面に取り付けてそれらをつなぎ合わせた。カーペット試料を、房がドラムの中心の方を向くように清浄な空のドラムミルに入れた。剛性ワイヤを用いてカーペットをドラムミル中の適所に保持した。上記で調製した汚れで被覆された樹脂ビーズ250ccと、ボールベアリング250ccとをドラムミルに入れた。ドラムミルのふたを閉じ、ダクトテープで密封した。ドラムをローラー上で105rpmで2.5分間回転させた。ローラーを停止し、ドラムの方向を逆にした。ドラムをローラー上で105rpmでさらに2.5分間回転させた。カーペット試料を取り出し、均一に真空吸引して過剰な汚れを除去した。汚れで被覆された樹脂ビーズを廃棄した。汚れたカーペットのΔE色差を、試験法2で述べるように試験品および対照品について元の汚れていないカーペットと比較して測定した。
【0067】
試験法2―汚れ具合の色測定
汚れ促進試験後のカーペットに関して各カーペットの色測定を行った。各試験試料および対照試料についてカーペットの色を測定し、それら試料を汚し、その汚れたカーペットの色を測定した。ΔEは、汚れた試料と汚れていない試料の色の差であり、正の数で表される。色差は、Minolta Chroma Meter CR−310を用いて各品物に関して測定した。色の読取は、カーペット試料上の5ヶ所の異なる領域で行い、その平均ΔEを記録した。各試験品の対照カーペットは、その試験品と同一の色および構造のものであった。
【0068】
試験品のΔEから対照カーペットのΔEを差し引くことによってΔΔEを計算した。ΔΔEの負の値が大きいほど、その試験カーペットはすぐれた性能を有し、対照よりも汚れが少ないことを示した。ΔΔEの正の値が大きいほど、その試験カーペットは性能が劣り、対照よりも汚れが多いことを示した。
【0069】
試験法3―凍結融解安定性試験
次の試験手順を使用して防汚組成物の凍結融解安定性を試験した。試験すべき各試験組成物50gを−16℃(3.2°F)の冷凍庫中に24時間置いた。試料を冷凍庫から取り出し、室温下(18〜24℃、65〜75°F)に放置して解凍した。試料は、結晶が存在しなくなったとき完全に解凍したとみなした。完全に解凍した試料を、相分離、クリーミング、沈降、および/またはコアレッセンスなどの不安定性の兆候について観察した。これらは凍結/融解安定性に関して不合格を示す。次いで試料を静かに数回逆さにし、1時間沈降させた。それら試料を、沈殿または凝集などの不安定性の兆候について観察した。これらもまた、凍結融解安定性に関して不合格を示す。試料が均質のままである場合、それは合格として記録した。この凍結融解手順を、各試料について合計3回繰り返した。
【実施例】
【0070】
下記の実施例において%wpuは、含浸量の%であり、またカーペットに塗布された溶液の量である。それは、加工前のカーペット試料の乾燥重量に対する割合として表される。
【0071】
実施例1
実施例1の防汚組成物は、陰イオン界面活性剤を用いて分散させた少なくとも1個のウレタンまたは尿素を有するポリフルオロ有機化合物と、1,3−プロパンジオールとを、それぞれ表1に列挙した量で混合することによって調製した。使用したポリフルオロ有機化合物は下記のように調製した。この実施例に使用したプロパンジオールは、DuPont Tate & Lyle,Wilmington,DEから市販され、商品名SUSTERRAで販売されているバイオ系1,3−プロパンジオールであった。使用した界面活性剤は、Witco,Houston,TXから市販されている陰イオン界面活性剤α−オレフィンスルホン酸塩であった。
【0072】
ポリフルオロ有機化合物は、まず、1)ヘキサメチレンジイソシアナートホモポリマー(DESMODUR N 3300)、2)投入されたNCO基の65〜85%と反応するのに十分な量の3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロ−1−オクタノール(E.I.du Pont de Nemours and Company,Wilmington,DEから入手できる)、および3)総投入重量の19%に等しい量の無水メチルイソブチルケトンを、反応容器に加えることによって調製された。反応容器の内容物を窒素下で撹拌し、65℃に加熱し、そこで触媒量のジブチルスズジラウラートを加えた。結果としての発熱の後、反応混合物を、触媒を添加した時から4時間、約80℃で撹拌し、次いで水質量比1.13に等しい量の湿潤メチルイソブチルケトン(3重量%)で処理した。この希釈混合物を約80℃においてさらに6時間撹拌した。得られた生成物を、さきに示した陰イオン界面活性剤を用いて分散させ、次いで1,3−プロパンジオールと混合して実施例1の組成物を得た。
【0073】
実施例1をスプレー塗布により25%wpuで前述のようにカーペットに塗布し、250°F(121℃)のカーペット表面温度まで乾燥した。このカーペットを汚れおよび色の測定についての試験法1および2によって試験し、下記比較例Aで処理したカーペットと比較した。試験結果を表2に列挙する。また実施例1の組成物を凍結融解安定性についての試験法3に従って試験し、結果を表2に列挙する。
【0074】
実施例2
実施例2の防汚組成物は、陰イオン界面活性剤を用いて分散させた少なくとも1個のウレタンまたは尿素を有するポリフルオロ有機化合物と、1,3−プロパンジオールとを、それぞれ表1に列挙した量で混合することによって調製した。実施例1で使用したポリフルオロ有機化合物を使用し、実施例1で述べた方法を用いて調製した。この実施例に使用したプロパンジオールは、DuPont Tate & Lyle,Wilmington,DEから市販され、商品名SUSTERRAで販売されているバイオ系1,3−プロパンジオールであった。使用した界面活性剤は、Witco,Houston,TXから市販されている陰イオン界面活性剤α−オレフィンスルホン酸塩であった。実施例2をスプレー塗布により25%wpuで前述のようにカーペットに塗布し、250°F(121℃)のカーペット表面温度まで乾燥した。このカーペットを汚れおよび色の測定についての試験法1および2によって試験し、下記比較例Aで処理したカーペットと比較した。試験結果を表2に列挙する。また実施例2の組成物を凍結融解安定性についての試験法3に従って試験し、結果を表2に列挙する。
【0075】
比較例A
比較例Aは、陰イオン界面活性剤を用いて分散させた少なくとも1個のウレタンまたは尿素を有するポリフルオロ有機化合物を、表1に列挙した量で混合することによって調製した。比較例Aは1,3−プロパンジオールを含有しなかった。使用したポリフルオロ有機化合物および界面活性剤は、実施例1で使用したものと同一であった。比較例Aを実施例1で述べたようにカーペットに塗布した。このカーペットを汚れおよび色の測定についての試験法1および2によって試験し、実施例1および2で処理したカーペットに対する対照用カーペットとして使用した。試験結果を表2に列挙する。また比較例Aの組成物を凍結融解安定性についての試験法3に従って試験し、結果を表2に列挙する。
【0076】
実施例3
実施例3の防汚組成物は、陽イオンおよび非イオン界面活性剤を用いて分散させた少なくとも1個のウレタンまたは尿素を有するポリフルオロ有機化合物と、1,3−プロパンジオールとを、それぞれ表1に列挙した量で混合することによって調製した。使用したポリフルオロ有機化合物は実施例1で使用したものであり、実施例1で述べた方法を用いて調製した。この実施例に使用したプロパンジオールは、DuPont Tate & Lyle,Wilmington,DEから市販され、商品名SUSTERRAで販売されているバイオ系1,3−プロパンジオールであった。使用した界面活性剤は、Akzo Chemicals,Inc.,Chicago,ILから市販されている陽イオン界面活性剤ARQUAD 16−50、およびEthox Co.,Greenville,SCから市販されている非イオン界面活性剤ETHAL TDA−5であった。実施例3をスプレー塗布により25%wpuで上記と同様にカーペットに塗布し、250°F(121℃)のカーペット表面温度まで乾燥した。このカーペットを汚れおよび色の測定についての試験法1および2によって試験し、下記比較例Bで処理したカーペットと比較した。試験結果を表2に列挙する。また実施例3の組成物を凍結融解安定性についての試験法3に従って試験し、結果を表2に列挙する。
【0077】
実施例4
実施例4の防汚組成物は、陽イオンおよび非イオン界面活性剤を用いて分散させた少なくとも1個のウレタンまたは尿素を有するポリフルオロ有機化合物と、1,3−プロパンジオールとを、それぞれ表1に列挙した量で混合することによって調製した。使用したポリフルオロ有機化合物は実施例1で使用したものであり、実施例1で述べた方法を用いて調製した。この実施例に使用したプロパンジオールは、DuPont Tate & Lyle,Wilmington,DEから市販され、商品名SUSTERRAで販売されているバイオ系1,3−プロパンジオールであった。使用した界面活性剤は、Akzo Chemicals,Inc.,Chicago,ILから市販されている陽イオン界面活性剤ARQUAD 16−50、およびEthox Chemicals, Inc.,Greenville,SCから市販されている非イオン界面活性剤ETHAL TDA−5であった。実施例4をスプレー塗布により25%wpuで上記と同様にカーペットに塗布し、250°F(121℃)のカーペット表面温度まで乾燥した。このカーペットを汚れおよび色の測定についての試験法1および2によって試験し、下記比較例Bで処理したカーペットと比較した。試験結果を表2に列挙する。また実施例4の組成物を凍結融解安定性についての試験法3に従って試験し、結果を表2に列挙する。
【0078】
比較例B
比較例Bの防汚組成物は、陽イオンおよび非イオン界面活性剤を用いて分散させた少なくとも1個のウレタンまたは尿素を有するポリフルオロ有機化合物を、表1に列挙した量で混合することによって調製した。比較例Bは1,3−プロパンジオールを含有しなかった。使用したポリフルオロ有機化合物および界面活性剤は、実施例3および4で使用したものと同一であった。比較例Bを実施例3および4で述べた方法を用いて上記と同様にカーペットに塗布した。このカーペットを汚れおよび色の測定についての試験法1および2によって試験し、実施例3および4で処理したカーペットに対する対照用カーペットとして使用した。試験結果を表2に列挙する。また比較例Bの組成物を凍結融解安定性についての試験法3に従って試験し、結果を表2に列挙する。
【0079】
実施例5
実施例5の防汚組成物は、陽イオンおよび非イオン界面活性剤を用いて分散させた少なくとも1個のウレタンまたは尿素を有するポリフルオロ有機化合物と、1,3−プロパンジオールとを、それぞれ表1に列挙した量で混合することによって調製した。使用したポリフルオロ有機化合物は実施例1で使用したものであり、実施例1で述べた方法を用いて調製した。この実施例に使用したプロパンジオールは、DuPont Tate & Lyle,Wilmington,DEから市販され、商品名SUSTERRAで販売されているバイオ系1,3−プロパンジオールであった。使用した界面活性剤は、Akzo Chemicals,Inc.,Chicago,ILから市販されている陽イオン界面活性剤ARQUAD 16−50、およびEthox Chemicals, Inc.,Greenville,SCから市販されている非イオン界面活性剤ETHAL TDA−5であった。実施例5をスプレー塗布により25%wpuで上記と同様にカーペットに塗布した。次いでこのカーペットを空気乾燥させた(air cured)。このカーペットを汚れおよび色の測定についての試験法1および2によって試験し、下記比較例Cで処理したカーペットと比較した。試験結果を表2に列挙する。また実施例5の組成物を凍結融解安定性についての試験法3に従って試験し、結果を表2に列挙する。
【0080】
実施例6
実施例6の防汚組成物は、陽イオンおよび非イオン界面活性剤を用いて分散させた少なくとも1個のウレタンまたは尿素を有するポリフルオロ有機化合物と、1,3−プロパンジオールとを、それぞれ表1に列挙した量で混合することによって調製した。使用したポリフルオロ有機化合物は実施例1で使用したものであり、実施例1で述べた方法を用いて調製した。この実施例に使用したプロパンジオールは、DuPont Tate & Lyle,Wilmington,DEから市販され、商品名SUSTERRAで販売されているバイオ系1,3−プロパンジオールであった。使用した界面活性剤は、Akzo Chemicals,Inc.,Chicago,ILから市販されている陽イオン界面活性剤ARQUAD 16−50、およびEthox Chemicals, Inc.,Greenville,SCから市販されている非イオン界面活性剤ETHAL TDA−5である。実施例6をスプレー塗布により25%wpuで上記と同様にカーペットに塗布した。次いでこのカーペットを空気乾燥させた。このカーペットを汚れおよび色の測定についての試験法1および2によって試験し、下記比較例Cで処理したカーペットと比較した。試験結果を表2に列挙する。また実施例6の組成物を凍結融解安定性についての試験法3に従って試験し、結果を表2に列挙する。
【0081】
比較例C
比較例Cの防汚組成物は、陽イオンおよび非イオン界面活性剤を用いて分散させた少なくとも1個のウレタンまたは尿素を有するポリフルオロ有機化合物を、表1に列挙した量で混合することによって調製した。比較例Cは1,3−プロパンジオールを含有しなかった。使用したポリフルオロ有機化合物および界面活性剤は、実施例5および6で使用したものと同一であった。比較例Cをさきに実施例5および6で述べたようにカーペットに塗布した。次いでこのカーペットを空気乾燥させた。このカーペットを汚れおよび色の測定についての試験法1および2によって試験し、実施例5および6で処理したカーペットに対する対照用カーペットとして使用した。試験結果を表2に列挙する。また比較例Cの組成物を凍結融解安定性についての試験法3に従って試験し、結果を表2に列挙する。
【0082】
【表1】

【0083】
【表2】

【0084】
表2中のデータは、1,3−プロパンジオールを含有する実施例1〜6が、3回の凍結融解サイクルに対する凍結融解安定性を与えただけでなく、カーペットに塗布した場合、1,3−プロパンジオールを含有しない比較例A、B、およびCと比べて、改善された防汚性を提供したことを示している。
【0085】
比較例D
比較例Dの防汚組成物は、陰イオン界面活性剤を用いて分散させた少なくとも1個のウレタンまたは尿素を有するポリフルオロ有機化合物と、1,3−プロパンジオールとを、それぞれ表1に列挙した量で混合することによって調製した。使用したポリフルオロ有機化合物は実施例1で使用したものであり、実施例1で述べた方法を用いて調製した。この実施例に使用したプロパンジオールは、DuPont Tate & Lyle,Wilmington,DEから市販され、商品名SUSTERRAで販売されているバイオ系1,3−プロパンジオールであった。使用した界面活性剤は、Witco,Houston,TXから市販されている陰イオン界面活性剤α−オレフィンスルホン酸塩であった。この比較例Dの組成物を凍結融解安定性の試験法3に従って試験し、結果を表3に列挙する。
【0086】
実施例7
実施例7の防汚組成物は、陰イオン界面活性剤を用いて分散させた少なくとも1個のウレタンまたは尿素を有するポリフルオロ有機化合物と、1,3−プロパンジオールとを、それぞれ表1に列挙した量で混合することによって調製した。使用したポリフルオロ有機化合物は実施例1のものであり、実施例1で述べた方法を用いて調製した。この実施例に使用したプロパンジオールは、DuPont Tate & Lyle,Wilmington,DEから市販され、商品名SUSTERRAで販売されているバイオ系1,3−プロパンジオールであった。使用した界面活性剤は、Witco,Houston,TXから市販されている陰イオン界面活性剤α−オレフィンスルホン酸塩であった。この実施例7および比較例Aの組成物を凍結融解安定性についての試験法3に従って試験し、結果を表3に列挙する。
【0087】
比較例E
比較例Eの防汚組成物は、陽イオンおよび非イオン界面活性剤を用いて分散させた少なくとも1個のウレタンまたは尿素を有するポリフルオロ有機化合物と、1,3−プロパンジオールとを、それぞれ表1に列挙した量で混合することによって調製した。使用したポリフルオロ有機化合物は実施例1のものであり、実施例1で述べた方法を用いて調製した。この実施例に使用したプロパンジオールは、DuPont Tate & Lyle,Wilmington,DEから市販され、商品名SUSTERRAで販売されているバイオ系1,3−プロパンジオールであった。使用した界面活性剤は、Akzo Chemicals,Inc.,Chicago,ILから市販されている陽イオン界面活性剤ARQUAD 16−50、およびEthox Co.,Greenville,SCから市販されている非イオン界面活性剤ETHAL TDA−5であった。比較例Eの組成物を凍結融解安定性についての試験法3に従って試験し、結果を表3に列挙する。
【0088】
実施例8
実施例8の防汚組成物は、陽イオンおよび非イオン界面活性剤を用いて分散させた少なくとも1個のウレタンまたは尿素を有するポリフルオロ有機化合物と、1,3−プロパンジオールとを、それぞれ表1に列挙した量で混合することによって調製した。使用したポリフルオロ有機化合物は実施例1のものであり、実施例1で述べた方法を用いて調製した。この実施例に使用したプロパンジオールは、DuPont Tate & Lyle,Wilmington,DEから市販され、商品名SUSTERRAで販売されているバイオ系1,3−プロパンジオールであった。使用した界面活性剤は、Akzo Chemicals,Inc.,Chicago,ILから市販されている陽イオン界面活性剤ARQUAD 16−50、およびEthox Co.,Greenville,SCから市販されている非イオン界面活性剤ETHAL TDA−5であった。実施例8および比較例Bの組成物を凍結融解安定性についての試験法3に従って試験し、結果を表3に列挙する。
【0089】
【表3】

【0090】
表3中のデータは、1,3−プロパンジオールを含有する本発明の実施例7および8が凍結融解安定性試験に合格したことを示している。各々1,3−プロパンジオールを含有しない比較例AおよびBは、凍結融解安定性試験に不合格であった。1,3−プロパンジオールを0.5重量%の低レベルで含有する比較例DおよびEは、凍結融解安定性試験に不合格であり、このレベルでは有効というには低すぎることを示した。
【0091】
実施例9
実施例9の防汚組成物は、1)0.15%の陽イオンおよび0.06%の非イオン界面活性剤を用いて分散させた少なくとも1個のウレタンまたは尿素を有する3.56%のポリフルオロ有機化合物と、2)0.02%の追加の陽イオン界面活性剤と、3)5%の1,3−プロパンジオールと、4)0.54%のポリメチルメタクリラートを混合することによって調製した。使用したポリフルオロ有機化合物は実施例1のものであり、実施例1で述べた方法を用いて調製した。この実施例に使用したプロパンジオールは、DuPont Tate & Lyle,Wilmington,DEから市販され、商品名SUSTERRAで販売されているバイオ系1,3−プロパンジオールであった。使用した界面活性剤は、Akzo Chemicals,Inc.,Chicago,ILから市販されている陽イオン界面活性剤ARQUAD 16−50と、Ethox Co.,Greenville,SCから市販されている非イオン界面活性剤ETHAL TDA−5と、Stepan Chemical Company,Northfield,ILから市販されている陽イオン界面活性剤MERPOL HCSであった。実施例9の組成物を凍結融解安定性についての試験法3に従って試験し、結果を表4に列挙する。
【0092】
比較例F
比較例Fの防汚組成物は、1)0.15%の陽イオンおよび0.06%の非イオン界面活性剤を用いて分散させた少なくとも1個のウレタンまたは尿素を有する3.56%のポリフルオロ有機化合物と、2)0.02%の追加の陽イオン界面活性剤と、3)0.54%のポリメチルメタクリラートを混合することによって調製した。使用したポリフルオロ有機化合物は実施例1のものであり、実施例1で述べた方法を用いて調製した。比較例Fは1,3−プロパンジオールを含有しなかった。使用した界面活性剤は、Akzo Chemicals,Inc.,Chicago,ILから市販されている陽イオン界面活性剤ARQUAD 16−50と、Ethox Co.,Greenville,SCから市販されている非イオン界面活性剤ETHAL TDA−5と、Stepan Chemical Company,Northfield,ILから市販されている陽イオン界面活性剤MERPOL HCSであった。比較例Fを凍結融解安定性についての試験法3に従って試験し、結果を表4に列挙する。
【0093】
【表4】

【0094】
実施例10および11
実施例10および11の防汚組成物は、1)0.26%の陰イオン界面活性剤を用いて分散させた少なくとも1個のウレタンまたは尿素を有する4%のポリフルオロ有機化合物と、2)実施例10については5%の1,3−プロパンジオール、または実施例11については1%の1,3−プロパンジオールと、3)2%のポリメチルメタクリラートと、4)E.I.du Pont de Nemours and Company,Wilmington,DEからZELAN 338として入手できる0.7%のカルボキシル化ポリマーと、5)0.7%の追加の陰イオン界面活性剤と、6)0.3%のクエン酸を混合することによって調製した。使用したポリフルオロ有機化合物は実施例1のものであり、実施例1の場合と同様に調製した。この実施例に使用したプロパンジオールは、DuPont Tate & Lyle,Wilmington,DEから市販され、商品名SUSTERRAで販売されているバイオ系1,3−プロパンジオールであった。使用した界面活性剤は、Witco,Houston,TXから市販されている陰イオン界面活性剤α−オレフィンスルホン酸塩およびWitcolate WAQEである。実施例10および11をスプレー塗布により25%wpuで上記と同様にカーペットに塗布した。次いでこのカーペットを空気乾燥させた。このカーペットを汚れおよび色の測定についての試験法1および2によって試験し、下記比較例Gで処理したカーペットと比較した。試験結果を表5に列挙する。また実施例10および11の組成物を凍結融解安定性についての試験法3に従って試験し、結果を表5に列挙する。
【0095】
比較例G
比較例Gの防汚組成物は、1)0.26%の陰イオン界面活性剤を用いて分散させた少なくとも1個のウレタンまたは尿素を有する4%のポリフルオロ有機化合物と、2)2%のポリメチルメタクリラートと、3)E.I.du Pont de Nemours and Company,Wilmington,DEからZELAN 338として入手できる0.7%のカルボキシル化ポリマーと、4)0.7%の追加の陰イオン界面活性剤と、5)0.3%のクエン酸を混合することによって調製した。比較例Gは1,3−プロパンジオールを含有しなかった。使用したポリフルオロ有機化合物は実施例1のものであり、実施例1で述べたように調製した。使用した界面活性剤は、Witco,Houston,TXから市販されている陰イオン界面活性剤α−オレフィンスルホン酸塩およびWitcolate WAQEである。比較例Gをスプレー塗布により25%wpuで上記と同様にカーペットに塗布した。次いでこのカーペットを空気乾燥させた。このカーペットを汚れおよび色の測定についての試験法1および2によって試験した。試験結果を表5に列挙する。また比較例Gを凍結融解安定性についての試験法3に従って試験し、結果を表5に列挙する。
【0096】
実施例12および13
実施例12および13の防汚組成物は、1)0.26%の陰イオン界面活性剤を用いて分散させた少なくとも1個のウレタンまたは尿素を有する4%のポリフルオロ有機化合物と、2)実施例12については1.5%の1,3−プロパンジオール、または実施例13については2.5%の1,3−プロパンジオールと、3)2%のポリメチルメタクリラートと、4)E.I.du Pont de Nemours and Company,Wilmington,DEからZELAN 338として入手できる0.7%のカルボキシル化ポリマーと、5)0.7%の追加の陰イオン界面活性剤と、6)0.3%のクエン酸を混合することによって調製した。使用したポリフルオロ有機化合物は実施例1のものであり、実施例1の場合と同様に調製した。この実施例に使用したプロパンジオールは、DuPont Tate & Lyle,Wilmington,DEから市販され、商品名SUSTERRAで販売されているバイオ系1,3−プロパンジオールであった。使用した界面活性剤は、Witco,Houston,TXから市販されている陰イオン界面活性剤α−オレフィンスルホン酸塩およびWitcolate WAQEであった。実施例12および13の組成物を凍結融解安定性についての試験法3に従って試験し、結果を表5に列挙する。
【0097】
実施例14および15
実施例14および15の防汚組成物は、1)0.26%の陰イオン界面活性剤を用いて分散させた少なくとも1個のウレタンまたは尿素を有する4%のポリフルオロ有機化合物と、2)実施例14については5%の1,3−プロパンジオール、または実施例15については1%の1,3−プロパンジオールと、3)2%のポリメチルメタクリラートと、4)E.I.du Pont de Nemours and Company,Wilmington,DEからZELAN 338として入手できる0.7%のカルボキシル化ポリマーと、5)0.7%の追加の陰イオン界面活性剤と、6)0.3%のクエン酸を混合することによって調製した。使用したポリフルオロ有機化合物は実施例1のものであり、実施例1で述べたように調製した。この実施例に使用したプロパンジオールは、DuPont Tate & Lyle,Wilmington,DEから市販され、商品名SUSTERRAで販売されているバイオ系1,3−プロパンジオールであった。使用した界面活性剤は、Witco,Houston,TXから市販されている陰イオン界面活性剤α−オレフィンスルホン酸塩およびWitcolate WAQEであった。実施例14および15をスプレー塗布により25%wpuで上記と同様にカーペットに塗布した。次いでこのカーペットを空気乾燥させた。このカーペットを汚れおよび色の測定についての試験法1および2によって試験し、下記比較例Hで処理したカーペットと比較した。試験結果を表5に列挙する。また実施例14および15の組成物を凍結融解安定性についての試験法3に従って試験し、結果を表5に列挙する。
【0098】
比較例H
比較例Hの防汚組成物は、1)0.26%の陰イオン界面活性剤を用いて分散させた少なくとも1個のウレタンまたは尿素を有する4%のポリフルオロ有機化合物と、2)2%のポリメチルメタクリラートと、3)E.I.du Pont de Nemours and Company,Wilmington,DEからZELAN 338として入手できる0.7%のカルボキシル化ポリマーと、4)0.7%の追加の陰イオン界面活性剤と、5)0.3%のクエン酸を混合することによって調製した。比較例Hは1,3−プロパンジオールを含有しなかった。使用したポリフルオロ有機化合物は実施例1のものであり、実施例1で述べたように調製した。使用した界面活性剤は、Witco,Houston,TXから市販されている陰イオン界面活性剤α−オレフィンスルホン酸塩およびWitcolate WAQEであった。比較例Hをスプレー塗布により25%wpuで上記と同様にカーペットに塗布した。次いでこのカーペットを空気乾燥させた。このカーペットを汚れおよび色の測定についての試験法1および2によって試験した。試験結果を表5に列挙する。また比較例Hを凍結融解安定性についての試験法3に従って試験し、結果を表5に列挙する。
【0099】
【表5】

【0100】
表5中のデータは、本発明の実施例10〜11および14〜15が、比較例GおよびHよりも優れた防汚性を有することを示している。本発明の実施例12〜17は防汚組成物に凍結融解に対する保護を与えたが、1,3−プロパンジオールを含有しない比較例GおよびHは凍結融解に対する保護を与えることができなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材に防汚性を与える方法であって、a)少なくとも1個のウレタンまたは尿素を有するポリフルオロ有機化合物、b)1,3−プロパンジオール、およびc)界面活性剤を含む組成物を前記基材に塗布することを含む、方法。
【請求項2】
前記組成物が、1種類または複数種類の防汚剤、1種類または複数種類の塩、1種類または複数種類のpH調整添加剤または緩衝剤、クエン酸、ポリメチルメタクリレート、あるいはこれらの混合物をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
少なくとも1個のウレタンまたは尿素結合を有する前記ポリフルオロ有機化合物が、(1)少なくとも3個のイソシアナート基を含有する少なくとも1種類の有機ポリイソシアナートと、(2)分子当たり(a)1個または複数個のツェレビチノフ水素原子を有する単官能基と、(b)それぞれが少なくとも2個のフッ素原子を含有する少なくとも2個の炭素原子とを含有する少なくとも1種類のフルオロケミカル化合物と、(3)前記ポリイソシアナート中の前記イソシアナート基の約5%〜約60%と反応するのに十分な量の水と、の反応の生成物である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記b)1,3−プロパンジオールが約1重量%〜約10重量%存在する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記基材が繊維質基材である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記繊維質基材が、カーペット、織物、紙、または皮革である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法に従って防汚組成物で処理した基材。
【請求項8】
前記防汚組成物が、1種類または複数種類の防汚剤、1種類または複数種類の塩、1種類または複数種類のpH調整添加剤または緩衝剤、クエン酸、ポリメチルメタクリレート、あるいはこれらの混合物をさらに含む、請求項7に記載の基材。
【請求項9】
前記b)1,3−プロパンジオールが、前記防汚組成物の約1重量%〜約10重量%存在する、請求項7に記載の基材。
【請求項10】
前記基材が、カーペット、織物、紙、皮革、綿、羊毛、絹、ナイロン、ポリアミド類、ポリエステル類、ポリオレフィン類、黄麻、サイザル麻、または他のセルロース系材料から選択される繊維質基材である、請求項7に記載の基材。

【公表番号】特表2012−532258(P2012−532258A)
【公表日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−519573(P2012−519573)
【出願日】平成22年6月29日(2010.6.29)
【国際出願番号】PCT/US2010/040275
【国際公開番号】WO2011/008509
【国際公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】