説明

防汚組成物およびそれを用いたファン、フィルタおよび空気清浄装置

【課題】ファンやフィルタや送風機器にホコリが付着しにくくする防汚組成物を得ること。また、フィルタやファンの表面に付着したホコリを清掃する際に、ホコリが落としやすく、清掃時にブラシ等で強い摩擦や衝撃を与えても皮膜に傷がつきにくい防汚組成物を得ること。また、防汚組成物からなる皮膜を形成したフィルタ、ファンおよび空気清浄装置を提供すること。
【解決手段】防汚対象物の表面に、熱膨張性粒子を含む樹脂皮膜を備え、前記樹脂皮膜は熱によって熱膨張性粒子が膨張し、前記汚染物質の表面に凹凸が形成されるものとすることにより、所期の目的を達成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、扇風機や空気清浄装置・加湿装置・加湿機能付き空気清浄装置・換気扇およびエアコンなど、ファンとフィルタを備えた送風機器のホコリの防汚および清掃手段に関する。
【背景技術】
【0002】
室内の空気には、粉塵や花粉や繊維屑やペット等の毛など、様々なホコリが浮遊している。扇風機や換気扇などの送風機器において、これらのホコリがファンや装置本体に付着すると、外観上不快であるばかりでなく、送風量の低下や消費電力の増大などの不具合が生じる原因となる。
【0003】
また、空気清浄装置や加湿機能付き空気清浄装置やエアコンなどにおいては、空気清浄手段として空気中のホコリをろ過するフィルタが使用されている。このフィルタは、ホコリが付着すると徐々に開口部に目詰まりを生じるため、定期的に清掃が必要である。このときの清掃性を向上させるために、いかにしてフィルタからホコリを取れやすくするかということが課題となっている。
【0004】
このような状況から、ファンやフィルタや送風機器にホコリが付着しにくくする防汚手段および、付着したほこりを容易に除去する清掃手段が求められてきた。
【0005】
従来、この種のフィルタとして、図6に示すように、樹脂繊維101の外表面にシリコーン樹脂またはフッ素樹脂をコーティングすると共に、起毛102を施した繊維部材を有するフィルタが知られている。樹脂繊維101の外表面にシリコーン樹脂またはフッ素樹脂をコーティングしたことにより、その粘着力または帯電し易い性質により塵埃を集塵するので、集塵量及び集塵する塵埃の量の範囲が広くなるという集塵効果を高めるものであった。また、樹脂繊維101は起毛102により表面積を増加させているため、一層集塵効果を高めるものであった。また、エアフィルタが汚れ、塵埃の付着により繊維材料の粘着力が低下した場合には、エアフィルタを水洗いして塵埃をおとすものであった(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
また、フィルタ基材の表面に突起を形成したフィルタ素材が知られている。繊維状や板状などのフィルタ基材の表面に突起を形成し、この基材を束ねたり積層したりすることで、フィルタを形成することにより、高性能なフィルタを安価に提供するものである(例えば、特許文献2参照)。
【0007】
また、送風機器における吸気口のフィルタ清掃装置として、吸気口に張設したフィルタの表面に縦長のブラシを配設し、このブラシを左右方向に運動させて、フィルタに付着したほこりを除去するフィルタ清掃装置が知られている。図7の(a)は、フィルタ清掃装置を送風の向きに対して横方向から見た図であり、(b)は正面から見た図である。送風機器の吸気口に設けられたフィルタ201には、縦方向の主軸202にブラシ203が備えられている。駆動軸204に沿って主軸202が移動し、主軸202に備えられたブラシ203がフィルタ201面をこすりながら横方向に移動し、フィルタを清掃するものであった(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平8−224414号公報
【特許文献2】特開平10−71312号公報
【特許文献3】実開昭63−73125号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、従来のフィルタでは、粘着力または帯電し易い性質により塵埃を集塵することはできるものの、捕集した塵埃を剥離する際にはそれらの効果が逆に清掃に悪影響を与えやすいという課題があった。塵埃を落とすためには水洗いが必要であり、耐水性の部材に用途が限定されるものであった。さらに、清掃には水が必要であり、より簡単に汚れを落とすことができるコーティング手段が求められていた。また、起毛させるために、フィルタ表面を針で引っかくなどの加工が必要で、コーティング面に傷が付きやすく、傷ついた部分に汚れが付着しやすい、あるいは、傷を起点としてコーティングの剥離が起こりやすいという課題があった。また、ファンや装置本体などでは、ホコリ自体が付きにくい防汚処理が求められており、上記方法では、ホコリの付着を防ぐことは困難であった。
【0010】
また、従来のフィルタ素材では、突起を形成したフィルタ素材を束ねたり積層したりすることでフィルタの空孔度(メッシュ)を制御し、安価に提供するためのものであった。このため、突起の形成が汚れの剥離を目的としたものではなく、単に突起を形成するのみでは十分な効果を得ることはできなかった。
【0011】
また、従来の清掃装置では、フィルタにブラシを強く接触させればほこりを除去することはできるものの、より簡単にホコリが落ちるフィルタの処理方法が求められていた。また、フィルタ処理にあたってコーティングする際には、長期間使用してもコーティングに傷が付きにくく、はがれにくいことが求められていた。
【0012】
そこで本発明は、上記従来の課題を解決するものであり、ファンやフィルタや送風機器にホコリが付着しにくくする防汚組成物を得ることを目的とする。また、フィルタやファンの表面に付着したホコリを清掃する際に、ホコリが落としやすい防汚組成物を得ることを目的とする。また、清掃時にブラシ等で強い摩擦や衝撃を与えても皮膜に傷がつきにくく、耐摩耗性に優れた防汚組成物を得ることを目的とする。また、防汚組成物からなる皮膜を形成したフィルタ、ファンおよび空気清浄装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この目的を達成するために、本発明は、防汚対象物の表面に、熱膨張性粒子を含む樹脂皮膜を備え、前記皮膜は熱によって熱膨張性粒子が膨張し凹凸が形成されるものであることを特徴としたものである。また、樹脂皮膜の表面が、単一の樹脂で形成されたことを特徴としたものである。また、防汚組成物からなる皮膜を形成したフィルタ、ファンおよび空気清浄装置である。これにより所期の目的を達成することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ファンやフィルタや空気清浄装置などの送風機器にホコリが付着しにくくする防汚組成物を得ることができる。また、フィルタやファンの表面に付着したホコリを清掃する際に、ホコリが落としやすい防汚組成物を得ることができる。また、清掃時にブラシ等で強い摩擦や衝撃を与えても皮膜に傷がつきにくく、耐摩耗性に優れた防汚組成物を得ることができる。また、防汚組成物からなる皮膜を形成したフィルタ、ファンおよび空気清浄装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】(a)本発明の実施の形態1の熱を加える前の防汚組成物を示す概略断面図、(b)同熱を加えた後の防汚組成物を示す概略断面図
【図2】本発明の実施の形態2の空気清浄装置を示す概略斜視図
【図3】本発明の実施の形態2の空気清浄装置を示す概略断面図
【図4】(a)同清掃手段と熱源の構成を示す側面からみた概略断面図、(b)同清掃手段と熱源の構成を示す正面からみた概略断面図本発明の実施の形態2の清掃手段と熱源の構成を示す概略断面図
【図5】本発明の実施の形態2の空気清浄装置を示す概略斜視図
【図6】従来のフィルタの一例を示す概略斜視図
【図7】(a)従来のフィルタ清掃装置の一例を示す正面図、(b)同側面図
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の防汚組成物は、防汚対象物の表面に、熱膨張性粒子を含む樹脂皮膜を備え、前記樹脂皮膜は熱によって熱膨張性粒子が膨張し、前記防汚対象物の表面に凹凸が形成されることを特徴としたものである。皮膜に凹凸を形成することにより、ホコリと皮膜との接触面積が低下し、ホコリが付着しにくくなるという効果を得ることができる。また、付着したホコリが落としやすく、清掃が容易になるという効果を得ることができる。また、加熱条件によって防汚対象物の表面に形成する凹凸の大きさを制御できるという効果を得ることができる。
【0017】
また、樹脂皮膜の表面が、単一の樹脂で形成されたことを特徴としたものである。表面を単一の樹脂で形成したため、汚れを剥離する際に強い摩擦や衝撃を与えても皮膜に欠陥が生じにくいという効果を得ることができる。また、加工時に表面に傷がつくことがないので、傷への汚れ付着や、傷を起点とした防汚組成物の剥離が起こりにくいという効果を得ることができる。
【0018】
また、熱膨張性粒子が、低沸点炭化水素を熱可塑性高分子殻で包み込んだマイクロカプセルであることを特徴としたものである。加熱による膨張率が高く、熱応答性が良いので、安定的に樹脂を膨張させて凹凸を形成させることができる。
【0019】
また、樹脂と熱可塑性高分子の材質が同じであることを特徴としたものである。樹脂と熱可塑性高分子の相溶性が高く、熱可塑性高分子の凝集が起こりにくいという効果をえることができる。その結果、表面に均一な凹凸を形成させることができる。
【0020】
また、加熱温度が80℃から200℃であることを特徴としたものである。加熱温度が80℃から200℃であることにより、樹脂の流動性がよく、熱膨張性粒子の変形にあわせて樹脂を変形させることができる。
【0021】
また、本発明のフィルタは、防汚組成物からなる皮膜を形成したものである。フィルタに汚れが付着しても簡単に汚れを除去でき、清掃が容易なフィルタを得ることができる。
【0022】
また、本発明のファンは、防汚組成物からなる皮膜を形成したものである。ファンに汚れが付着しにくく、長期間使用してもファンを清潔に保つことができる。また、ほこり付着によるファン風量の低下を抑えることができる。また、汚れたファンを簡単に清掃することができる。
【0023】
また、本発明の空気清浄装置は、吸込み口と吹出し口を有する本体ケース内に、空気を浄化するフィルタと吸込み口から吹出し口に至る通風路に通風するファンを備えた空気清浄装置において、前記本体ケース、前記通風路、前記フィルタ、前記ファンの少なくとも1つに防汚組成物からなる皮膜を形成したものである。空気清浄装置の本体ケース、通風路、フィルタおよびファンなどに汚れが付着しにくく、空気清浄装置を清潔に保つことができる。
【0024】
また、皮膜を加熱する熱源を備えたことを特徴としたものである。熱源によってフィルタやファンなどを加熱して表面に凹凸を形成させ、付着したほこりの清掃が容易な空気清浄装置を得ることができる。
【0025】
また、汚れを剥離する清掃手段を備えたことを特徴としたものである。清掃手段によってフィルタやファンなどに強い摩擦や衝撃を与えることができ、からみあって付着したほこりまで清掃できる空気清浄装置を得ることができる。
【0026】
また、清掃手段と熱源が一体となったことを特徴としたものである。からみあって付着したほこりを清掃することに加えて、加熱によってほこりに含まれる菌やカビの殺菌ができる空気清浄装置を得ることができる。
【0027】
また、汚れが付着した後、加熱しながら汚れの剥離を行うことを特徴としたものである。加熱によって、ホコリに含まれる油脂成分を流動化させ、強固に固着した油脂を含むほこりまで清掃できる空気清浄装置を得ることができる。
【0028】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0029】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1の防汚組成物は、図1に示すように、防汚対象物1の表面に、熱膨張性粒子2を含む樹脂3の皮膜を備え、前記皮膜は熱によって熱膨張性粒子2が膨張し凹凸が形成されたものである。図1(a)は熱を加える前の概略断面図、(b)は熱を加えた後の概略断面図である。樹脂3と熱膨張性粒子2に熱を加えることにより、樹脂3が軟化するとともに、熱膨張性粒子2が膨張することにより、平面であった樹脂3に凹凸が形成される。加熱を止めることにより、樹脂3が硬化し、凹凸を保った防汚組成物ができる。この凹凸により、ホコリ4と樹脂3からなる皮膜との接触面積が低下し、ほこりの清掃が容易になるという効果を得ることができる。加熱条件を変化させれば、熱膨張性粒子の膨張率も変化するので、防汚対象物の表面に形成する凹凸の大きさを容易に制御できるという効果を得ることができる。
【0030】
防汚対象物としては、装置本体のケース部分や操作部分や通風路やフィルタおよびファンなどが挙げられる。ファンは、プロペラファン、シロッコファン、ターボファン、クロスフローファンなど一般的なものを用いることができ、防汚組成物からなる皮膜が形成できればどのような形状・材質でもよい。フィルタも、樹脂・金属・セラミックス等どのような材質を用いてもよい。
【0031】
樹脂としては、熱可塑性樹脂が好ましく、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、アクリロニトリルブタジエンスチレン、アクリロニトリルスチレン、アクリル、ポリアミド、ナイロン、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレートなどが挙げられる。
【0032】
熱膨張性粒子としては、マイクロカプセル内に低沸点溶剤を封入した熱膨張性マイクロカプセルなどが挙げられる。このマイクロカプセルは、膨張前の平均粒径が5〜30μm程度であり、80〜200℃で短時間の加熱によって、体積が20〜125倍に膨張する粒子である。低沸点溶剤としてはイソブタン、ペンタン、石油エーテル、ヘキサン、低沸点ハロゲン化炭化水素、メチルシラン等の揮発性有機溶剤(膨張剤)を塩化ビニリデン、アクリロニトリル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等の共重合体等から成る熱可塑性樹脂で包み込んだものであり、マイクロカプセルの熱可塑性高分子の軟化点以上に加熱されると熱可塑性高分子が軟化しはじめ、同時に内包されている膨張剤の蒸気圧が上昇し、熱可塑性高分子殻が押し広げられてカプセルが膨張する。熱膨張性粒子は比較的低温、短時間で膨張して独立気泡を形成し、防汚対象物の表面に凹凸状の樹脂皮膜が形成される。
【0033】
本発明のホコリとは、砂塵、人やペットの毛髪、食品のカス、綿や化繊など繊維屑や花粉など、あるいはこれらに付着した菌やカビ胞子や油脂成分などを指す。空気中に浮遊するホコリの大きさは、毛の場合、直径50〜70μmで長さは数cmである。粉塵のうち空気中に浮遊する粒子は0.1〜200μm程度であり、花粉などは10〜50μm程度である。従って、これらのホコリとの接触面積を低下させるための凹凸の間隔は、100μm以下の間隔であることが好ましく、より好ましくは50μm以下であり、さらに好ましくは10μm以下である。
【0034】
樹脂と熱可塑性高分子の材質は、同じであることが好ましい。防汚対象物に樹脂と熱可塑性高分子をコーティングする際に、樹脂と熱可塑性高分子の相溶性が高いほど熱可塑性高分子の凝集が起こりにくく、熱可塑性高分子を分散配置することができる。その結果、加熱した際に、防汚対象物の表面に均一な凹凸を形成させることができる。
【0035】
加熱温度は、80℃から200℃であることが好ましい。加熱温度が80℃から200℃であることにより、樹脂の流動性がよく、熱膨張性粒子の変形にあわせて樹脂を変形させることができる。
【0036】
(実施の形態2)
本発明における実施の形態2について、図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する内容は本発明実施の一例に過ぎず、これに限定されるものではない。
【0037】
図2は本発明における空気清浄装置の本体構成を示す概略斜視図、図3は同空気清浄装置の本体構成を示す概略断面図、図4(a)は同清掃手段と熱源の構成を示す側面からみた概略断面図、図4(b)は同清掃手段と熱源の構成を示す正面からみた概略断面図、図5は同清掃手段と熱源の配置と動作を示す概略斜視図である。
【0038】
図2に示すように、略箱形状の本体ケース11の前方側面に吸込口12が開口し、天面には吹出口13が開口している。天面の別の部分には本体の運転スイッチと表示ランプを備えた操作部14が備えられている。本体ケース11には、図示しない熱膨張性粒子を含む樹脂皮膜が形成され、前記皮膜は熱によって熱膨張性粒子が膨張し凹凸が形成されている。
【0039】
図3に示すように、本体ケース11内部にはホコリを除去するフィルタ15と送風手段としてのファン16とファンモーター17が備えられており、吸込口12、フィルタ15、ファン16、吹出口13を空気がこの順に通過できる通風路18が形成されている。フィルタ15の上流側には、フィルタ15に付着したホコリを清掃する清掃手段19が配設されている。フィルタ15、ファン16および通風路18を形成する通風路の表面には、図示しない熱膨張性粒子を含む樹脂皮膜が形成され、前記皮膜は熱によって熱膨張性粒子が膨張し凹凸が形成されている。
【0040】
上記構成とすることにより、ファン16により本体ケース11内に取り込まれた空気をフィルタ15 によってろ過して清浄化し、清浄化された空気を吹出口13 から本体ケース11外へ排出することができる。これにより、対象空間の空気の清浄化を行うことができる。また、本体ケース11、操作部14、ファン16および通風路18の表面には微細な凹凸が形成されているので、ホコリが付着しにくいという効果を得ることができる。
【0041】
装置を長期間運転すると、フィルタ15にはホコリが付着し圧力損失が増加する。そのままファン16を運転した場合には風量が低下し、風量を同等に保つためにはファンモーター17をより高出力で運転しなければならず消費電力が増加するという課題が発生する。上記構成では、清掃手段19によってフィルタ15に付着したホコリを容易に取り除くことができるため、ファン16の風量を回復させることができ、ファンモーターの消費電力も増加しないという効果を得ることができる。
【0042】
フィルタ15としては、繊維を格子状に編んで形成される略平板形状の網状フィルタや、板に穴を開けたパンチングフィルタなど一般的な形状のものを用いることができる。熱膨張性粒子を含む樹脂皮膜に凹凸が形成できる程度の耐熱性があれば、樹脂、紙、天然繊維、合成繊維など、とくに材質に制限はない。
【0043】
送風手段としてのファン16としては、例えば、シロッコファンやターボファン、プロペラファンやクロスフローファンが直流または交流電流によって駆動するファンモーター17によって回転駆動するものが上げられる。シロッコファンであれば低回転数でも高い静圧がとれ、ターボファンであれば他よりファン効率がよく、プロペラファンであれば低回転数でも大きい風量がとれ、クロスフローファンであれば吹出気流が幅広にできるので、場合に応じて最適な方法を選択すればよい。
【0044】
清掃手段19は、例えば、図4(a)および(b)に示すように、ブラシ等の多毛部材によって構成されフィルタ15の上流側に対向しかつフィルタ15に接触可能に配設された清掃部材20 と、この清掃部材20を保持する清掃部21と、清掃部21の下部に着脱可能に配設され、フィルタ15から取り除かれたホコリを貯留するホコリ貯留手段22からなるものであってもよい。また、清掃手段19は、熱源としてのヒーター23を備えていてもよい。熱源としては特に限定されるものではなく、赤外線ヒーターやニクロム線ヒーターなどを用いることができる。
【0045】
清掃手段19は、駆動モーター24と、清掃部21と、ウォームギア25と、駆動モーター24の動力をウォームギア25に伝達する中間ギア26と、ウォームギア25と噛合し清掃部21を上下方向に可動するために本体ケース11に形成されたラック27によって構成されており、駆動モーター24を運転することにより清掃部21をラック27に沿って上下方向に移動させることができる。
【0046】
図5は、図1の空気清浄装置の正面パネルを外したときの空気清浄装置の概略斜視図である。清掃手段19は、フィルタ15より前方上方の静止位置28に備えられている。清掃をする際には、駆動モーター24を動かすことにより、静止位置28にあった清掃手段19が下方に移動し、清掃部21の清掃部材20がフィルタ15に接触しながら移動してフィルタ15に付着したホコリを掃き落としていく。掃き落とされたホコリはホコリ貯留手段22に貯留される。清掃部材20は、フィルタ15との接触を保ったまま下方に移動し、フィルタ15の下端よりも下方の折り返し位置29まで移動すると、次は上方へ移動して静止位置28まで移動して停止する。ホコリ貯留手段22は、本体から取り外して貯留物を廃棄することができる。
【0047】
以上述べた動作により、清掃運転時にフィルタ15に付着したホコリを除去することができる。また、清掃運転時に、ヒーター23を加熱することによって、ホコリに含まれる油脂成分を流動化させ、強固に固着した油脂を含むホコリまで清掃できる空気清浄装置を得ることができる。さらに、加熱によって、フィルタに付着したホコリやホコリ貯留手段に貯留されたホコリに含まれる菌やカビの殺菌ができる空気清浄装置を得ることができる。
【0048】
なお、ホコリ貯留手段22に貯留されたホコリの量を知らせるため、図示しないホコリ貯留量検知手段を備えるとよりよい。これにより、ホコリ貯留手段22に一定量のホコリが溜まった際に、使用者に操作部14にランプ等により報知して貯留したホコリの廃棄を促すことができる。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明にかかる防汚組成物は、防汚対象物の表面に、熱膨張性粒子を含む樹脂皮膜を備え、前記皮膜は熱によって熱膨張性粒子が膨張し凹凸が形成されるものであるため、防汚対象物の表面にホコリを付着しにくくすることができる。また、樹脂皮膜の表面が、単一の樹脂で形成されたことにより、ホコリを清掃する際にホコリが落としやすく、清掃時にブラシ等で強い摩擦や衝撃を与えても皮膜に傷がつきにくく、耐摩耗性に優れた防汚組成物を得ることができる。これらの作用により、空気清浄装置、加湿機能付き空気清浄装置、加湿装置、扇風機、換気扇およびエアコンなど、ファンとフィルタを備えた送風機器のホコリの防汚および清掃などに有用である。
【符号の説明】
【0050】
1 防汚対象物
2 熱膨張性粒子
3 樹脂
4 ホコリ
11 本体ケース
12 吸込口
13 吹出口
14 操作部
15 フィルタ
16 ファン
17 ファンモーター
18 通風路
19 清掃手段
20 清掃部材
21 清掃部
22 ホコリ貯留手段
23 ヒーター
24 駆動モーター
25 ウォームギア
26 中間ギア
27 ラック
28 静止位置
29 折り返し位置
101 樹脂繊維
102 起毛
201 フィルタ
202 主軸
203 ブラシ
204 駆動軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
防汚対象物の表面に、熱膨張性粒子を含む樹脂皮膜を備え、前記樹脂皮膜は熱によって熱膨張性粒子が膨張し、前記防汚対象物の表面に凹凸が形成されるものであることを特徴とする防汚組成物。
【請求項2】
樹脂皮膜の表面が、単一の樹脂で形成されたことを特徴とする請求項1記載の防汚組成物。
【請求項3】
熱膨張性粒子が、低沸点炭化水素を熱可塑性高分子殻で包み込んだマイクロカプセルであることを特徴とする請求項1または2記載の防汚組成物。
【請求項4】
樹脂と熱可塑性高分子の材質が同じであることを特徴とする請求項1乃至3いずれかに記載の防汚組成物。
【請求項5】
加熱温度が80℃から200℃であることを特徴とする請求項1乃至4いずれかに記載の防汚組成物。
【請求項6】
請求項1乃至5いずれかに記載の防汚組成物からなる皮膜を形成したフィルタ。
【請求項7】
請求項1乃至5いずれかに記載の防汚組成物からなる皮膜を形成したファン。
【請求項8】
吸込み口と吹出し口を有する本体ケース内に、空気を浄化するフィルタと吸込み口から吹出し口に至る通風路に通風するファンを備えた空気清浄装置において、前記本体ケース、前記通風路、前記フィルタ、前記ファンの少なくとも1つに請求項1乃至5いずれかに記載の防汚組成物からなる皮膜を形成した空気清浄装置。
【請求項9】
汚れを剥離する清掃手段を備えたことを特徴とする請求項8記載の空気清浄装置。
【請求項10】
皮膜を加熱する熱源を備えたことを特徴とする請求項8または9記載の空気清浄装置。
【請求項11】
清掃手段と熱源が一体となったことを特徴とする請求項9記載の空気清浄装置。
【請求項12】
汚れが付着した後、加熱しながら汚れの剥離を行うことを特徴とする請求項10または11記載の空気清浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−21052(P2012−21052A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−158403(P2010−158403)
【出願日】平成22年7月13日(2010.7.13)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】