防波構造物
【課題】堤体の構造を変更することによりこれに作用する揚圧力を低減し、もって余分な施工を不要とする防波構造物を提供する。
【解決手段】捨石マウンド10上に堤体11を設置してなる防波構造物において、前記堤体11を、セル構造の堤本体12と、この堤本体12の内部に充填された中詰材13と、堤本体12の上部開口端に配置された多孔の蓋コンクリート14とから構成し、捨石マウンド10を透過して伝播される圧力を、堤体11の内部を透過して上方へ逃がし、堤体11に作用する揚圧力を低減させる。揚圧力が低減する分、堤体断面を小さくすることができ、堤本体12の小型化によるコスト低減を達成できる。
【解決手段】捨石マウンド10上に堤体11を設置してなる防波構造物において、前記堤体11を、セル構造の堤本体12と、この堤本体12の内部に充填された中詰材13と、堤本体12の上部開口端に配置された多孔の蓋コンクリート14とから構成し、捨石マウンド10を透過して伝播される圧力を、堤体11の内部を透過して上方へ逃がし、堤体11に作用する揚圧力を低減させる。揚圧力が低減する分、堤体断面を小さくすることができ、堤本体12の小型化によるコスト低減を達成できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、捨石マウンド上に堤体を設置してなる防波構造物に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の防波構造物としては、図13に示すように、海底地盤G上に造成した捨石マウンド1上にケーソン2を設置すると共に、ケーソン2内に中詰材3を充填した、いわゆるケーソン式混成堤がよく知られている。このようなケーソン式混成堤においては、ケーソン2と中詰材3とで構成される堤体4が、波浪による水平波力FH(波圧分布で表わす)と捨石マウンド1を透過してケーソン2の底版2aに作用する揚圧力FU(波圧分布で表わす)に対して自重Wで抵抗(滑動抵抗力は、μW)することで、安定が保たれるようになっている。したがって、波浪条件が厳しい外洋に面して混成堤を設置する場合は、堤体4の断面を大きくしなければならず、大型のケーソン2が必要になって、その製作および据付けに多大のコストがかかるようになる。なお、このケーソン式混成堤では、通常、ケーソン2の上部が蓋コンクリート5と上部コンクリート6とにより閉塞される。
【0003】
そこで、例えば、特許文献1に記載されるものでは、捨石マウンドの前面全体を覆うように遮水性を有する遮水マットを敷設し、該遮水マットにより捨石マウンド内部への海水の流入を阻止して、ケーソン(堤体)に作用する揚圧力を低減させるようにしている。
【0004】
【特許文献1】特開平11−229346号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されるように捨石マウンドの前面全体を遮水マットにより覆う構造では、遮水マットの敷設に多くの工数およびコストがかかり、工事全体でみれば、期待するほどのコスト低減効果が得られない、という問題があった。
【0006】
本発明は、上記した従来の問題点に鑑みてなされたもので、その課題とするところは、堤体の構造を変更することによりこれに作用する揚圧力を低減し、もって余分な施工を不要とする防波構造物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明は、捨石マウンド上に堤体を設置してなる防波構造物において、前記堤体を、底面および上面が全面的にまたは部分的に開放された堤本体と、該堤本体の内部に空隙を有して充填された中詰材とから形成したことを特徴とする。
このように構成した防波構造物においては、捨石マウンドを透過して堤体底面に作用する上向きの波力が堤体内部を上方に透過するので、堤体に作用する揚圧力は低減し、その分、堤体断面を小さくすることができる。
【0008】
本発明において、上記堤本体は、底面および上面が全面的にまたは部分的に開放されていれば、その構造は任意であり、セル構造であっても、ケーソン構造であってもよい。ケーソン構造とする場合は、その底版に開口を設けるようにする。
【0009】
また、上記中詰材は、空隙を有して充填される形状であれば、その種類は任意であり、礫、砕石、コンクリートブロック等の粗粒材を用いることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る防波構造物によれば、マット敷設などの余分な施工を行うことなく堤体に作用する揚圧力を低減することができるので、堤体断面を小さくすることによるコスト低減効果を最大限に発揮させることができ、その利用価値は大なるものがある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための最良の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0012】
図1は、本発明の第1の実施形態である防波構造物を示したものである。本防波構造物は、混成堤として構成されており、前出図13に示したケーソン式混成堤と同様、海底地盤G上に造成した捨石マウンド10上に直立壁状に堤体11を設置してなっている。しかして、本防波構造物における堤体11は、セル構造の堤本体12と、この堤本体12の内部に充填された中詰材13と、堤本体12の上部開口端に配置された多孔の蓋コンクリート14とからなっている。
【0013】
上記セル構造の堤本体12は、実質的に前記ケーソン2の底版2a(図13)を抜いた形状となっており、その内部は、必要により隔壁12aによって分割される。隔壁12aは、堤本体12の強度を高めるためのもので、堤本体12の断面大きさに応じて適当数設けられる。この堤本体12は、ケーソン2と同じく捨石マウンド10上に相互に連接して据付けられる。陸上の製作ヤード(または仮置場)から据付現場への堤本体12の搬送は、クレーン台船上に積込んで、あるいはクレーン船のクレーンに吊って行われ、何れにおいても、クレーン操作により堤本体12が捨石マウンド10上に据付けられる。この場合、堤本体12はセル構造となっているので、注水作業を必要とするケーソンよりも簡単に据付けを行うことができる。
【0014】
上記中詰材13としては、堤本体12の内部に空隙を有する状態に充填されるものであれば、その種類は任意であり、例えば、礫、砕石、コンクリートブロック、産業廃棄物等の粗粒材を用いることができる。蓋コンクリート14は、前記中詰材13の流出を規制する役割をなすものであり、これには、海水の流通を許容する多数の孔14aが設けられている。前記孔14aの大きさ(口径)は、あまり海水の流通の抵抗にならないように、中詰材13の流出を規制できる範囲内で、できるだけ大きく設定するのが望ましい。なお、この蓋コンクリート14は、現場打ちを行って形成しても、別途形成したプレキャスト版を据付けるようにしてもよい。また、この蓋コンクリート14に設ける孔14aは、スリットに代えてもよい。
【0015】
上記のように構成した防波構造物は、堤体11を構成する堤本体12とその内部の中詰材13が一体となって波力に抵抗する。ここで、外海に大きな波浪が発生すると、堤体には、前出図13に示したような波圧分布を有する水平波力FHおよび揚圧力FUが作用する。しかし、本防波構造物においては、堤本体12が底無しのセル構造となっており、かつ堤本体12の内部に中詰材13が空隙を有して充填されているので、前記堤体11の底面に作用する揚圧力は、堤体11の内部を透過(伝播)する。一方、蓋コンクリート14には孔14a(空隙)が設けられており、堤体11の内部を透過する圧力は、この蓋コンクリート14の空隙を通って堤体外へ放出され、この結果、堤体11に作用する揚圧力FU(図13)は大幅に低減する。
【0016】
本発明者等は、上記のように構成した堤体11の滑動抵抗力が、図13に示したケーソン式混成堤における場合と同じく、堤体11(堤本体12と中詰材13とを含む)の自重Wに摩擦係数μを乗じた値(μW)となることを実験により確認している。したがって、上記したように堤体11に作用する揚圧力FUが低減する場合は、その低減の分、堤体断面を小さくすることができる。すなわち、堤体断面を小さくしても堤体11の安定が保たれるので、堤体11を構成する堤本体12の小型化を図ることができ、セル構造で底無しとなっていることもあって、堤本体12の製作に要するコストは低減する。また、堤本体12の小型化が可能になることから、その搬送、据付けに要するコストも低減し、遮水マットを敷設するなどの余分な施工が不要になることもあって、工事全体でみれば、大きなコスト低減効果が得られるようになる。
【0017】
ここで、上記した堤体11の上部には、従来のケーソン式混成堤で見られたごとき上部コンクリート6(図13)を設置してもよい。ただし、この場合は、該上部コンクリートにより堤本体12の上面が密閉されないように、すなわち、海水が透過するように上部コンクリートと堤体11との間に空隙を設けるようにする。また、捨石マウンド10の法面および上面には、所望により被覆石を敷設してもよく、これにより捨石マウンド10はより一層安定する。
【0018】
図2は、本発明の第2の実施形態である防波構造物を示したものである。なお、防波構造物の基本構造は、上記第1の実施形態と同じであるので、ここでは、図1に示した部分と同一部分には同一を付している。本第2の実施形態の特徴とするところは、堤本体としてケーソン15を用いると共に、このケーソン15の底版16に多数の孔17(スリット、切欠であってもよい)を設けた点にある。このような孔17をケーソン15の底版16に設けることで、堤体11の底面に作用する揚圧力FU(図13)は、底版16の孔17から堤体11の内部の中詰材13の間隙を透過(伝播)し、さらに蓋コンクリート14の空隙を通って堤体外へ放出され、これにより第1の実施形態と同様に、堤体11に作用する揚圧力FUは大幅に低減する。
【実施例1】
【0019】
図3(A)に示すように、長さ55m×幅1m×高さ2mの大きさを有する反射吸収式不規則波造波装置付きの二次元水路20を用い、この水路20内に勾配1/50の仮設床21を設置して、この仮設床21の天端に厚さ(高さ)8cmの捨石マウンド22を形成し、この捨石マウンド22上に複数の堤体模型23を設置して水理模型実験を行った。なお、図3(A)中、20aは水路20の一端側に設置された造波板、20bは水路の両端部に設置された消波斜面をそれぞれ表している。ここで、堤体模型23としては、図3(B)、(C)に示すように、縦a40cm×横b25cm×高さc30cmの大きさのものを4函用意し、そのうちの1函は、前出図2に示したケーソン構造の堤体11を縮小した実物模型とし、他の3函はアクリル製の擬似模型とした。実物模型は、モルタル製の堤本体23a内に中詰材23bとして粒径12〜16mmの砕石を充填して形成し、コンクリート蓋(上蓋)23cの開口率は22%と一定にして、底版23dの開口率εは30%、20%、12%の3レベルに変化させた。また、3函の擬似模型のうちの1函は、波圧測定用としてその内外面に多数の波圧計を取付けた。そして、実物模型については捨石マウンド22上に載置し、擬似模型については仮設床21に固定する態様で、これら4函を水路20の幅方向に相互に接して配列した。
【0020】
水理模型実験は、上記した堤体模型23の天端高が静水面と同じ高さとなるように水路20に水を入れ、周期T=2.6s,2.0s、波高H=10〜25cmの規則波を堤体模型23に作用させる方法で行い、模型にかかる波力および実物模型の滑動量を求めた。なお、実物模型の滑動量は、該模型の背面に設定したレーザー変位計によって求めた。
【0021】
図4および図5は、波力特性の代表的な例として、T=2.6s、H=20cm、ε=30%の場合に対する結果を示したものである。なお、図4は、水平波力FHの1周期分を示しており、同図中、FHAL、FHFR、FHIF、FHIBは、それぞれ縦壁全面(側壁および隔壁)、前側外壁面、前側内壁面、隔壁前面に作用する水平波力を表している。また、図5は、水平波力と同時刻における鉛直波力FUの1周期分を示したもので、同図中、FUAL、FUTP、FUBMは、それぞれ上蓋側および底版側の全面(全表裏面)、上蓋側表裏面、底版側表裏面に作用する鉛直波力を表している。また、水平波力は岸向きを、鉛直波力は上向きをそれぞれ正として表している。
【0022】
図4に示す結果より、堤体模型23の壁面に作用する水平波力は縦壁全面(FHAL)と前側外壁面(FHFR)とでほぼ同じであり、また、模型内部に作用する水平波力(FHIF,FHIB)はほぼゼロ(0)である。これらのことから、模型全体(堤体全体)に作用する水平波力は、前側外壁面(堤体前面)に作用する水平波力で代表できることが分かる。一方、図5に示す結果より、底版に作用する鉛直波力(FUBM)は水平波力が最大となる位相付近(t/T=0.1付近)で上向き(正)となるが、堤体全体としての鉛直波力(FUAL)が上向きとなるのは、水平波力が最大となる位相より少し遅れた位相付近(t/T=0.15付近)のごく短時間であり、これを除けば、鉛直波力はほぼ下向きに作用している、といえる。
【0023】
図6は、図4および図5に示した水平波力および鉛直波力から算出した滑動合成波力Fc(=FH+μFU)を示したものである。なお、摩擦係数μには後述の引張試験による静止摩擦係数を用い、FHおよびFUには、それぞれ上記したFHAL、FUALを代入している。図6に示す結果より、滑動合成波力はほぼ水平波力のみで評価できることが分かる。
【0024】
図7は、堤体前面および堤体底面に作用する波圧分布の一例を示したものである。なお、同図は、周期T=2.6s、波高H=13.8cmの波を模型に作用させた結果である。同図において、黒丸は実測値、実線は合田式による波圧分布であり、これより、堤体前面および堤体底面に作用する波圧分布は、合田式とほぼ同じであることが確認できた。
【0025】
次に、静止摩擦係数μを用いて、下記(1)式に基づいて堤体の滑動安全率F.S.を求めた。静止摩擦係数μは、捨石マウンド22の上面まで水に浸して水平方向へ堤体模型(実物模型)23を引張り、模型変位量(堤体変位量)が3mmとなった時点での引張力と模型重量とから算出した。この結果、底版23dの開口率εを30%、20%および12%の実物模型に対し、それぞれμ=0.58、0.55および0.55となった。なお、式中、PH(exp)は水平波力の測定値、μPU(exp)は鉛直波力の測定値、Wは模型重量、W´は浮力である。
F.S.=μ(W−W´)/[PH(exp)+μPU(exp)] (1)
【0026】
図8は、上記式(1)によって算出した、水平波力最大時の滑動安全率と実験時の滑動量との関係を示したものである。これより、滑動安全率F.S.が1.0を境界として、1.0より小さい場合には堤体の移動が起こり、1.0より大きい場合には堤体の移動が起こらないことが分かる。したがって、滑動に対する評価は、水平波力最大時の水平波力、鉛直波力を用いることで適切に行えることが明らかである。なお、図8中、h/Lは水深波長比である。
【0027】
ところで、堤体前面および堤体底面に作用する波圧分布は、前記したように合田式とほぼ同じであり、したがって合田式を用いて波力低減係数を検討するのが妥当であると推定される。図9は、実験値と合田式による計算値との水平波力比と、波高水深比H/hとの関係を実験時の滑動の有無で整理して示したものである。なお、実験値は堤体前面に作用する水平波力を用いている。図9に示す結果より、波高水深比H/hが、0.25<H/h<0.45では水平波力比が1.0〜0.8まで直線的に減少し、H/h≧0.45では水平波力比がほぼ一定値0.8で推移している。また、堤体の滑動は、波高水深比H/hが大きくなり、波力の低減効果が得られる領域で発生している。
【0028】
図10は、水平波力が最大となる位相における鉛直波力と合田式での計算揚圧力との比を、図9と同様に波高水深比H/hと実験時の滑動の有無とで整理して示したものである。図10から、鉛直波力比が正の場合に揚圧力が作用していることが分かる。また、底版の開口率εが小さくなるに従って鉛直波力比は大きくなる傾向にあるが、最大でも合田式の20%程度である。
【0029】
これまでの結果より、本消波構造物の対波安定性は水平波力でほとんど決まり、また、波力算定には合田式を用いることができることが分かった。この場合、堤体の滑動限界を評価するには、合田式の推定精度や鉛直波力の影響を評価しておく必要がある。ここで、滑動限界時(F.S.=1.0)に対して式(1)を変形し、水平波力および鉛直波力として実験値の代わりに合田波力Ph、Puを与えると下記(2)式が得られる。
μPu=μ(W−W´)−λHPh (2)
【0030】
上記式(2)中、λHは水平波力低減係数であるが、ここでは、実験時の平均値であるλH=0.80を用いた。この場合、理想的には、鉛直波力Puがゼロとなるので、式(2)中の右辺もゼロとなるはずであるが、合田式の精度や上述したような水平波力低減係数λHを一様に与えていることから、正負の値をもつことになる。ここで、式(2)の右辺が負と算出された場合は、下向きの鉛直波力が作用する状態であるから、Puをゼロとして設計すれば、下向きに作用する力を無視することになるため、滑動限界に対して安全側に評価することとなる。逆に、式(2)の右辺が正と算出された場合は、鉛直波力が上向きに作用する状態すなわち揚圧力が作用しているから、Puをゼロとして設計することは揚圧力を無視することになり、滑動限界に対して危険側の評価となる。
【0031】
図11は、式(2)の右辺の算出値を合田式におる揚圧力Puで無次元化した[μ(W−W´)−λHPh/μPu]を底版の開口率εの大きさごとに示したものである。これより、式(2)の右辺の無次元数は、底版の開口率εが20%以上の場合には負であることが分かる。すなわち、合田式を用い、その水平波力低減を実験時の平均値を用いて評価するような簡便化した設計法を用いる場合、底版の開口率εが20%以上であれば、揚圧力が作用しない防波構造物になる、といえる。
【0032】
因みに、図2に示した本発明の防波構造物において、その底版16の開口率εを20%に設定し、水平波力低減係数λHを0.8、揚圧力をゼロとして堤体の基本断面を設計すると、図12に示すようになる。図12において、従来型は底版が無孔のもので、本発明の防波構造物はこの従来型に比べて、堤体幅で13%、質量で34%削減でき、堤体断面の大幅な縮小が可能なることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の第1の実施形態である防波構造物を示す断面図である。
【図2】本発明の第2の実施形態である防波構造物を示す断面図である。
【図3】本発明の実施例である水理模型実験の実施要領を示したもので、(A)は実験に用いた水路構造を示す模式図、(B)は実験に用いて堤体模型を示す断面図、(C)は堤体模型の底面図である。
【図4】水理模型実験における水平波力の経時変化を示すグラフである。
【図5】水理模型実験における鉛直波力の経時変化を示すグラフである。
【図6】水理模型実験における滑動合成波力の経時変化を示すグラフである。
【図7】水理模型実験で得られた、堤体前面および堤体底面に作用する波圧分布の実測データを合田式による波圧分布との比較で示すグラフである。
【図8】水理模型実験で得られた滑動安全率と滑動量との関係を示すグラフである。
【図9】水理模型実験で得られた実験値と合田式の値との水平波力比と、波高水深比との関係を実験時の滑動の有無で整理して示すグラフである。
【図10】水理模型実験で得られた実験値と合田式の値との鉛直波力比と、波高水深比との関係を実験時の滑動の有無で整理して示すグラフである。
【図11】簡便化した設計法により求めた揚圧力発生状況に及ぼす底版の開口率の影響を示す図表である。
【図12】簡便化した設計法により求めた堤体の大きさを無孔底版を有する従来型と比較して示す図表である。
【図13】本発明の第1の実施形態である防波構造物を示す断面図である。
【符号の説明】
【0034】
10 捨石マウンド
11 堤体
12 セル構造の堤本体
13 中詰材
14 蓋コンクリート
14a 蓋コンクリートの孔(開口)
15 ケーソン(堤本体)
16 底版
17 底版の孔(開口)
【技術分野】
【0001】
本発明は、捨石マウンド上に堤体を設置してなる防波構造物に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の防波構造物としては、図13に示すように、海底地盤G上に造成した捨石マウンド1上にケーソン2を設置すると共に、ケーソン2内に中詰材3を充填した、いわゆるケーソン式混成堤がよく知られている。このようなケーソン式混成堤においては、ケーソン2と中詰材3とで構成される堤体4が、波浪による水平波力FH(波圧分布で表わす)と捨石マウンド1を透過してケーソン2の底版2aに作用する揚圧力FU(波圧分布で表わす)に対して自重Wで抵抗(滑動抵抗力は、μW)することで、安定が保たれるようになっている。したがって、波浪条件が厳しい外洋に面して混成堤を設置する場合は、堤体4の断面を大きくしなければならず、大型のケーソン2が必要になって、その製作および据付けに多大のコストがかかるようになる。なお、このケーソン式混成堤では、通常、ケーソン2の上部が蓋コンクリート5と上部コンクリート6とにより閉塞される。
【0003】
そこで、例えば、特許文献1に記載されるものでは、捨石マウンドの前面全体を覆うように遮水性を有する遮水マットを敷設し、該遮水マットにより捨石マウンド内部への海水の流入を阻止して、ケーソン(堤体)に作用する揚圧力を低減させるようにしている。
【0004】
【特許文献1】特開平11−229346号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されるように捨石マウンドの前面全体を遮水マットにより覆う構造では、遮水マットの敷設に多くの工数およびコストがかかり、工事全体でみれば、期待するほどのコスト低減効果が得られない、という問題があった。
【0006】
本発明は、上記した従来の問題点に鑑みてなされたもので、その課題とするところは、堤体の構造を変更することによりこれに作用する揚圧力を低減し、もって余分な施工を不要とする防波構造物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明は、捨石マウンド上に堤体を設置してなる防波構造物において、前記堤体を、底面および上面が全面的にまたは部分的に開放された堤本体と、該堤本体の内部に空隙を有して充填された中詰材とから形成したことを特徴とする。
このように構成した防波構造物においては、捨石マウンドを透過して堤体底面に作用する上向きの波力が堤体内部を上方に透過するので、堤体に作用する揚圧力は低減し、その分、堤体断面を小さくすることができる。
【0008】
本発明において、上記堤本体は、底面および上面が全面的にまたは部分的に開放されていれば、その構造は任意であり、セル構造であっても、ケーソン構造であってもよい。ケーソン構造とする場合は、その底版に開口を設けるようにする。
【0009】
また、上記中詰材は、空隙を有して充填される形状であれば、その種類は任意であり、礫、砕石、コンクリートブロック等の粗粒材を用いることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る防波構造物によれば、マット敷設などの余分な施工を行うことなく堤体に作用する揚圧力を低減することができるので、堤体断面を小さくすることによるコスト低減効果を最大限に発揮させることができ、その利用価値は大なるものがある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための最良の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0012】
図1は、本発明の第1の実施形態である防波構造物を示したものである。本防波構造物は、混成堤として構成されており、前出図13に示したケーソン式混成堤と同様、海底地盤G上に造成した捨石マウンド10上に直立壁状に堤体11を設置してなっている。しかして、本防波構造物における堤体11は、セル構造の堤本体12と、この堤本体12の内部に充填された中詰材13と、堤本体12の上部開口端に配置された多孔の蓋コンクリート14とからなっている。
【0013】
上記セル構造の堤本体12は、実質的に前記ケーソン2の底版2a(図13)を抜いた形状となっており、その内部は、必要により隔壁12aによって分割される。隔壁12aは、堤本体12の強度を高めるためのもので、堤本体12の断面大きさに応じて適当数設けられる。この堤本体12は、ケーソン2と同じく捨石マウンド10上に相互に連接して据付けられる。陸上の製作ヤード(または仮置場)から据付現場への堤本体12の搬送は、クレーン台船上に積込んで、あるいはクレーン船のクレーンに吊って行われ、何れにおいても、クレーン操作により堤本体12が捨石マウンド10上に据付けられる。この場合、堤本体12はセル構造となっているので、注水作業を必要とするケーソンよりも簡単に据付けを行うことができる。
【0014】
上記中詰材13としては、堤本体12の内部に空隙を有する状態に充填されるものであれば、その種類は任意であり、例えば、礫、砕石、コンクリートブロック、産業廃棄物等の粗粒材を用いることができる。蓋コンクリート14は、前記中詰材13の流出を規制する役割をなすものであり、これには、海水の流通を許容する多数の孔14aが設けられている。前記孔14aの大きさ(口径)は、あまり海水の流通の抵抗にならないように、中詰材13の流出を規制できる範囲内で、できるだけ大きく設定するのが望ましい。なお、この蓋コンクリート14は、現場打ちを行って形成しても、別途形成したプレキャスト版を据付けるようにしてもよい。また、この蓋コンクリート14に設ける孔14aは、スリットに代えてもよい。
【0015】
上記のように構成した防波構造物は、堤体11を構成する堤本体12とその内部の中詰材13が一体となって波力に抵抗する。ここで、外海に大きな波浪が発生すると、堤体には、前出図13に示したような波圧分布を有する水平波力FHおよび揚圧力FUが作用する。しかし、本防波構造物においては、堤本体12が底無しのセル構造となっており、かつ堤本体12の内部に中詰材13が空隙を有して充填されているので、前記堤体11の底面に作用する揚圧力は、堤体11の内部を透過(伝播)する。一方、蓋コンクリート14には孔14a(空隙)が設けられており、堤体11の内部を透過する圧力は、この蓋コンクリート14の空隙を通って堤体外へ放出され、この結果、堤体11に作用する揚圧力FU(図13)は大幅に低減する。
【0016】
本発明者等は、上記のように構成した堤体11の滑動抵抗力が、図13に示したケーソン式混成堤における場合と同じく、堤体11(堤本体12と中詰材13とを含む)の自重Wに摩擦係数μを乗じた値(μW)となることを実験により確認している。したがって、上記したように堤体11に作用する揚圧力FUが低減する場合は、その低減の分、堤体断面を小さくすることができる。すなわち、堤体断面を小さくしても堤体11の安定が保たれるので、堤体11を構成する堤本体12の小型化を図ることができ、セル構造で底無しとなっていることもあって、堤本体12の製作に要するコストは低減する。また、堤本体12の小型化が可能になることから、その搬送、据付けに要するコストも低減し、遮水マットを敷設するなどの余分な施工が不要になることもあって、工事全体でみれば、大きなコスト低減効果が得られるようになる。
【0017】
ここで、上記した堤体11の上部には、従来のケーソン式混成堤で見られたごとき上部コンクリート6(図13)を設置してもよい。ただし、この場合は、該上部コンクリートにより堤本体12の上面が密閉されないように、すなわち、海水が透過するように上部コンクリートと堤体11との間に空隙を設けるようにする。また、捨石マウンド10の法面および上面には、所望により被覆石を敷設してもよく、これにより捨石マウンド10はより一層安定する。
【0018】
図2は、本発明の第2の実施形態である防波構造物を示したものである。なお、防波構造物の基本構造は、上記第1の実施形態と同じであるので、ここでは、図1に示した部分と同一部分には同一を付している。本第2の実施形態の特徴とするところは、堤本体としてケーソン15を用いると共に、このケーソン15の底版16に多数の孔17(スリット、切欠であってもよい)を設けた点にある。このような孔17をケーソン15の底版16に設けることで、堤体11の底面に作用する揚圧力FU(図13)は、底版16の孔17から堤体11の内部の中詰材13の間隙を透過(伝播)し、さらに蓋コンクリート14の空隙を通って堤体外へ放出され、これにより第1の実施形態と同様に、堤体11に作用する揚圧力FUは大幅に低減する。
【実施例1】
【0019】
図3(A)に示すように、長さ55m×幅1m×高さ2mの大きさを有する反射吸収式不規則波造波装置付きの二次元水路20を用い、この水路20内に勾配1/50の仮設床21を設置して、この仮設床21の天端に厚さ(高さ)8cmの捨石マウンド22を形成し、この捨石マウンド22上に複数の堤体模型23を設置して水理模型実験を行った。なお、図3(A)中、20aは水路20の一端側に設置された造波板、20bは水路の両端部に設置された消波斜面をそれぞれ表している。ここで、堤体模型23としては、図3(B)、(C)に示すように、縦a40cm×横b25cm×高さc30cmの大きさのものを4函用意し、そのうちの1函は、前出図2に示したケーソン構造の堤体11を縮小した実物模型とし、他の3函はアクリル製の擬似模型とした。実物模型は、モルタル製の堤本体23a内に中詰材23bとして粒径12〜16mmの砕石を充填して形成し、コンクリート蓋(上蓋)23cの開口率は22%と一定にして、底版23dの開口率εは30%、20%、12%の3レベルに変化させた。また、3函の擬似模型のうちの1函は、波圧測定用としてその内外面に多数の波圧計を取付けた。そして、実物模型については捨石マウンド22上に載置し、擬似模型については仮設床21に固定する態様で、これら4函を水路20の幅方向に相互に接して配列した。
【0020】
水理模型実験は、上記した堤体模型23の天端高が静水面と同じ高さとなるように水路20に水を入れ、周期T=2.6s,2.0s、波高H=10〜25cmの規則波を堤体模型23に作用させる方法で行い、模型にかかる波力および実物模型の滑動量を求めた。なお、実物模型の滑動量は、該模型の背面に設定したレーザー変位計によって求めた。
【0021】
図4および図5は、波力特性の代表的な例として、T=2.6s、H=20cm、ε=30%の場合に対する結果を示したものである。なお、図4は、水平波力FHの1周期分を示しており、同図中、FHAL、FHFR、FHIF、FHIBは、それぞれ縦壁全面(側壁および隔壁)、前側外壁面、前側内壁面、隔壁前面に作用する水平波力を表している。また、図5は、水平波力と同時刻における鉛直波力FUの1周期分を示したもので、同図中、FUAL、FUTP、FUBMは、それぞれ上蓋側および底版側の全面(全表裏面)、上蓋側表裏面、底版側表裏面に作用する鉛直波力を表している。また、水平波力は岸向きを、鉛直波力は上向きをそれぞれ正として表している。
【0022】
図4に示す結果より、堤体模型23の壁面に作用する水平波力は縦壁全面(FHAL)と前側外壁面(FHFR)とでほぼ同じであり、また、模型内部に作用する水平波力(FHIF,FHIB)はほぼゼロ(0)である。これらのことから、模型全体(堤体全体)に作用する水平波力は、前側外壁面(堤体前面)に作用する水平波力で代表できることが分かる。一方、図5に示す結果より、底版に作用する鉛直波力(FUBM)は水平波力が最大となる位相付近(t/T=0.1付近)で上向き(正)となるが、堤体全体としての鉛直波力(FUAL)が上向きとなるのは、水平波力が最大となる位相より少し遅れた位相付近(t/T=0.15付近)のごく短時間であり、これを除けば、鉛直波力はほぼ下向きに作用している、といえる。
【0023】
図6は、図4および図5に示した水平波力および鉛直波力から算出した滑動合成波力Fc(=FH+μFU)を示したものである。なお、摩擦係数μには後述の引張試験による静止摩擦係数を用い、FHおよびFUには、それぞれ上記したFHAL、FUALを代入している。図6に示す結果より、滑動合成波力はほぼ水平波力のみで評価できることが分かる。
【0024】
図7は、堤体前面および堤体底面に作用する波圧分布の一例を示したものである。なお、同図は、周期T=2.6s、波高H=13.8cmの波を模型に作用させた結果である。同図において、黒丸は実測値、実線は合田式による波圧分布であり、これより、堤体前面および堤体底面に作用する波圧分布は、合田式とほぼ同じであることが確認できた。
【0025】
次に、静止摩擦係数μを用いて、下記(1)式に基づいて堤体の滑動安全率F.S.を求めた。静止摩擦係数μは、捨石マウンド22の上面まで水に浸して水平方向へ堤体模型(実物模型)23を引張り、模型変位量(堤体変位量)が3mmとなった時点での引張力と模型重量とから算出した。この結果、底版23dの開口率εを30%、20%および12%の実物模型に対し、それぞれμ=0.58、0.55および0.55となった。なお、式中、PH(exp)は水平波力の測定値、μPU(exp)は鉛直波力の測定値、Wは模型重量、W´は浮力である。
F.S.=μ(W−W´)/[PH(exp)+μPU(exp)] (1)
【0026】
図8は、上記式(1)によって算出した、水平波力最大時の滑動安全率と実験時の滑動量との関係を示したものである。これより、滑動安全率F.S.が1.0を境界として、1.0より小さい場合には堤体の移動が起こり、1.0より大きい場合には堤体の移動が起こらないことが分かる。したがって、滑動に対する評価は、水平波力最大時の水平波力、鉛直波力を用いることで適切に行えることが明らかである。なお、図8中、h/Lは水深波長比である。
【0027】
ところで、堤体前面および堤体底面に作用する波圧分布は、前記したように合田式とほぼ同じであり、したがって合田式を用いて波力低減係数を検討するのが妥当であると推定される。図9は、実験値と合田式による計算値との水平波力比と、波高水深比H/hとの関係を実験時の滑動の有無で整理して示したものである。なお、実験値は堤体前面に作用する水平波力を用いている。図9に示す結果より、波高水深比H/hが、0.25<H/h<0.45では水平波力比が1.0〜0.8まで直線的に減少し、H/h≧0.45では水平波力比がほぼ一定値0.8で推移している。また、堤体の滑動は、波高水深比H/hが大きくなり、波力の低減効果が得られる領域で発生している。
【0028】
図10は、水平波力が最大となる位相における鉛直波力と合田式での計算揚圧力との比を、図9と同様に波高水深比H/hと実験時の滑動の有無とで整理して示したものである。図10から、鉛直波力比が正の場合に揚圧力が作用していることが分かる。また、底版の開口率εが小さくなるに従って鉛直波力比は大きくなる傾向にあるが、最大でも合田式の20%程度である。
【0029】
これまでの結果より、本消波構造物の対波安定性は水平波力でほとんど決まり、また、波力算定には合田式を用いることができることが分かった。この場合、堤体の滑動限界を評価するには、合田式の推定精度や鉛直波力の影響を評価しておく必要がある。ここで、滑動限界時(F.S.=1.0)に対して式(1)を変形し、水平波力および鉛直波力として実験値の代わりに合田波力Ph、Puを与えると下記(2)式が得られる。
μPu=μ(W−W´)−λHPh (2)
【0030】
上記式(2)中、λHは水平波力低減係数であるが、ここでは、実験時の平均値であるλH=0.80を用いた。この場合、理想的には、鉛直波力Puがゼロとなるので、式(2)中の右辺もゼロとなるはずであるが、合田式の精度や上述したような水平波力低減係数λHを一様に与えていることから、正負の値をもつことになる。ここで、式(2)の右辺が負と算出された場合は、下向きの鉛直波力が作用する状態であるから、Puをゼロとして設計すれば、下向きに作用する力を無視することになるため、滑動限界に対して安全側に評価することとなる。逆に、式(2)の右辺が正と算出された場合は、鉛直波力が上向きに作用する状態すなわち揚圧力が作用しているから、Puをゼロとして設計することは揚圧力を無視することになり、滑動限界に対して危険側の評価となる。
【0031】
図11は、式(2)の右辺の算出値を合田式におる揚圧力Puで無次元化した[μ(W−W´)−λHPh/μPu]を底版の開口率εの大きさごとに示したものである。これより、式(2)の右辺の無次元数は、底版の開口率εが20%以上の場合には負であることが分かる。すなわち、合田式を用い、その水平波力低減を実験時の平均値を用いて評価するような簡便化した設計法を用いる場合、底版の開口率εが20%以上であれば、揚圧力が作用しない防波構造物になる、といえる。
【0032】
因みに、図2に示した本発明の防波構造物において、その底版16の開口率εを20%に設定し、水平波力低減係数λHを0.8、揚圧力をゼロとして堤体の基本断面を設計すると、図12に示すようになる。図12において、従来型は底版が無孔のもので、本発明の防波構造物はこの従来型に比べて、堤体幅で13%、質量で34%削減でき、堤体断面の大幅な縮小が可能なることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の第1の実施形態である防波構造物を示す断面図である。
【図2】本発明の第2の実施形態である防波構造物を示す断面図である。
【図3】本発明の実施例である水理模型実験の実施要領を示したもので、(A)は実験に用いた水路構造を示す模式図、(B)は実験に用いて堤体模型を示す断面図、(C)は堤体模型の底面図である。
【図4】水理模型実験における水平波力の経時変化を示すグラフである。
【図5】水理模型実験における鉛直波力の経時変化を示すグラフである。
【図6】水理模型実験における滑動合成波力の経時変化を示すグラフである。
【図7】水理模型実験で得られた、堤体前面および堤体底面に作用する波圧分布の実測データを合田式による波圧分布との比較で示すグラフである。
【図8】水理模型実験で得られた滑動安全率と滑動量との関係を示すグラフである。
【図9】水理模型実験で得られた実験値と合田式の値との水平波力比と、波高水深比との関係を実験時の滑動の有無で整理して示すグラフである。
【図10】水理模型実験で得られた実験値と合田式の値との鉛直波力比と、波高水深比との関係を実験時の滑動の有無で整理して示すグラフである。
【図11】簡便化した設計法により求めた揚圧力発生状況に及ぼす底版の開口率の影響を示す図表である。
【図12】簡便化した設計法により求めた堤体の大きさを無孔底版を有する従来型と比較して示す図表である。
【図13】本発明の第1の実施形態である防波構造物を示す断面図である。
【符号の説明】
【0034】
10 捨石マウンド
11 堤体
12 セル構造の堤本体
13 中詰材
14 蓋コンクリート
14a 蓋コンクリートの孔(開口)
15 ケーソン(堤本体)
16 底版
17 底版の孔(開口)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
捨石マウンド上に堤体を設置してなる防波構造物において、前記堤体を、底面および上面が全面的にまたは部分的に開放された堤本体と、該堤本体の内部に空隙を有して充填された中詰材とから形成したことを特徴とする防波構造物。
【請求項2】
堤本体が、セル構造をなすことを特徴とする請求項1に記載の防波構造物。
【請求項3】
堤本体が、ケーソン構造をなし、かつ底版に開口を有することを特徴とする請求項1に記載の防波構造物。
【請求項4】
中詰材として、礫、砕石、コンクリートブロック等の粗粒材を用いることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の防波構造物。
【請求項1】
捨石マウンド上に堤体を設置してなる防波構造物において、前記堤体を、底面および上面が全面的にまたは部分的に開放された堤本体と、該堤本体の内部に空隙を有して充填された中詰材とから形成したことを特徴とする防波構造物。
【請求項2】
堤本体が、セル構造をなすことを特徴とする請求項1に記載の防波構造物。
【請求項3】
堤本体が、ケーソン構造をなし、かつ底版に開口を有することを特徴とする請求項1に記載の防波構造物。
【請求項4】
中詰材として、礫、砕石、コンクリートブロック等の粗粒材を用いることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の防波構造物。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2007−92509(P2007−92509A)
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−229340(P2006−229340)
【出願日】平成18年8月25日(2006.8.25)
【出願人】(000222668)東洋建設株式会社 (131)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年8月25日(2006.8.25)
【出願人】(000222668)東洋建設株式会社 (131)
【Fターム(参考)】
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