説明

防湿紙用塗工組成物

【課題】優れた防湿性を有するとともに容易に水中で離解され易いリサイクル可能な防湿加工用ラテックスの提供。
【解決手段】エチレン系不飽和カルボン酸単量体を共重合成分として含む混合モノマーを乳化共重合させて得られるラテックスであって、(1)水に不溶なラテックス粒子の内部に共重合して存在するエチレン系不飽和カルボン酸と、(2)水に可溶なオリゴマーとして水相に分離して存在するエチレン系不飽和カルボン酸のうち、(2)水に可溶なオリゴマーとして水相に分離して存在するエチレン系不飽和カルボン酸の量が、共重合に用いられたエチレン系不飽和カルボン酸単量体の全量の0.05〜5重量%であることを特徴とする防湿加工用ラテックス[I]。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は包装、容器などに用いられるリサイクル可能な防湿紙を製造する際の原紙表面に塗工するラテックス組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、防湿性を必要とする包装紙の分野においては、タ−ポリン紙やワックス紙などが知られている。また、加工の簡易性、安価性などの観点からポリエチレン、ポリプロピレンなどの高分子化合物を塗工したり張り合わせたりすることによって防湿性を付与したポリオレフィンラミネ−ト紙が一般的に使用されている。
【0003】
しかしながら、これらのラミネ−ト紙は防湿性に関しては十分な機能を発揮し得るものであるが、廃棄された場合のリサイクル性に乏しいという欠点を有している。
つまり、防湿紙の製造工程で発生する損紙、トリミング屑及び成形加工時に発生する損紙、また製品になった後の回収品などは、水中離解性が極端に悪いため、パルプの再利用化が困難である。このため、これら廃棄物は古紙として回収することができない。これは、ラミネートに用いられている高分子フィルムが強固な連続皮膜を形成していて、かつ水不溶性であることに起因している。このため、省資源、環境問題の観点から再利用可能な新規な防湿紙の開発が進められてきている。
【0004】
これまでも、再利用可能な防湿加工による防湿紙の技術については、いくつか提案されている。例えば、ブタジエン系ラテックスにワックスを配合したものを塗工し、防湿紙を得る方法(例えば特許文献1)、アクリルラテックスを配合し塗工する方法(例えば特許文献2)、及びこの系で更にアクリルエマルジョンを架橋させたものを用いることにより離解性、ヒ−トシ−ル性を向上させた防湿紙を得る方法(例えば特許文献3)などが提案されている。さらに近年では、架橋性ビニル単量体や金属架橋剤を用いることで離解性、耐ブロッキング性、折り曲げ性を良好にした防湿用樹脂組成物が提案されている(例えば特許文献4、特許文献5)。
この様に、包装紙等の表面を加工する樹脂材料を親水性の樹脂ラテックス又は樹脂エマルジョンにすることによって、その水中離解性を改良する技術は、従来より盛んに提案されているものである。
【0005】
一方、樹脂ラテックス又は樹脂エマルジョンを構成する共重合体には、機械的安定性、化学的安定性を付与するためにエチレン系不飽和カルボン酸単量体を共重合組成として用いるものが多い(例えば特許文献6〜9)。これは、塗工液に無機充填材を配合して高速で紙の表面に塗工する場合に、塗工用の金属ブレードと紙面の間に、極めて大きいずり応力が発生し、塗工液に部分的な凝集が発生するのを防ぐ目的である。
【0006】
この様な凝集物は塗工面にストリーク線を発生させ、防湿性を悪化させることが知られている。また、化学的安定性の付与により、水性の塗工組成物を保管する場合の無機充填材の沈降、部分的な凝集の発生を防ぐためである。エチレン系不飽和カルボン酸単量体の共重合により上記安定性が付与されるのは下記の原理によると考えられている。すなわち、重合された酸性のラテックスを金属塩を用いて中和することで、ラテックス粒子の周囲に金属陽イオンによるヘルムホルツ電気二重層が発生し、ラテックス粒子間、またはラテックスと無機充填材の間に斥力を発生するためである(非特許文献1)。
【0007】
しかしながら、エチレン系不飽和カルボン酸単量体を多量に使用した場合には、乾燥皮膜の親水性が増加し防湿性が低下するといった問題がある。このことは以下の理由に基づくと考えられる。一般に乳化重合は水中に疎水性の共重合単量体、エチレン系不飽和カルボン酸単量体のような親水性の単量体及び界面活性剤を混合して行う。このため、エチレン系不飽和カルボン酸単量体は疎水性の共重合単量体の組成比率の大きい「水に不溶なラテックス粒子」として共重合されるのと平行して、エチレン系不飽和カルボン酸単量体の組成比率の大きい「水に可溶なオリゴマー」としても共重合される。結果として生成した「水に可溶なオリゴマー」はラテックスが乾燥によって成膜するとき、ラテックス粒子の間に局在して存在し、水蒸気の透過経路を形成するためである。
【0008】
【特許文献1】特公昭55−22597号公報
【特許文献2】特公昭62−28826号公報
【特許文献3】特開平7−133600号公報
【特許文献4】特開2001−11362号公報
【特許文献5】特開2001−26677号公報
【特許文献6】特開2003−313212号公報
【特許文献7】特開2003−342897号公報
【特許文献8】特開2004−27065号公報
【特許文献9】特開2004−123974号公報
【非特許文献1】辻井 薫 「1.4電気現象−モデル、理論」、日本化学会編「第2版 現代界面コロイド化学の基礎−講義と測定マニュアル」、p27−37、平成14年5月15日発行、丸善株式会社
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は従来のポリオレフィンラミネ−ト紙に近似する常態防湿性を有する水離解性防湿紙のコ−ト剤用ラテックス系組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者等は、常態防湿性に優れる水離解性防湿紙を与えるラテックス系塗工組成物を得るべく、ラテックス共重合体組成、ラテックス粒子層の構造などの面から検討を行った。この結果、特異な防湿加工用ラテックス[I]にワックスエマルジョン[II]を配合したものが上記の目的とする性能を与えることを見いだし、本発明をなすにいたった。
すなわち、本発明は下記の通りである。
【0011】
1.エチレン系不飽和カルボン酸単量体を共重合成分として含む混合モノマーを乳化共重合させて得られるラテックスであって、(1)水に不溶なラテックス粒子の内部に共重合して存在するエチレン系不飽和カルボン酸と、(2)水に可溶なオリゴマーとして水相に分離して存在するエチレン系不飽和カルボン酸のうち、(2)水に可溶なオリゴマーとして水相に分離して存在するエチレン系不飽和カルボン酸の量が、共重合に用いられたエチレン系不飽和カルボン酸単量体の全量の0.05〜5重量%であることを特徴とする防湿加工用ラテックス[I]。
2.(α)ガラス転移温度(Tg)が−90〜10℃の範囲にある共重合体(イ)からなるコア層及び(γ)エチレン系不飽和カルボン酸単量体を含む混合モノマーを乳化共重合して得られた共重合体であって、ガラス転移温度(Tg)が0〜50℃の範囲にあり、共重合体(イ)よりも高いガラス転移温度(Tg)を有する重合体(ハ)からなるシェル層を有することを特徴とする上記1記載の防湿加工用ラテックス[I]。
3.(α)ガラス転移温度(Tg)が−90〜10℃の範囲にある共重合体(イ)からなるコア層、(β)ガラス転移温度(Tg)が0〜180℃の範囲にあり、共重合体(イ)よりも高いガラス転移温度(Tg)を有する共重合体(ロ)からなる中間層及び(γ)エチレン系不飽和カルボン酸単量体を含む混合モノマーを共重合して得られた共重合体であって、ガラス転移温度(Tg)が0〜50℃の範囲にあり、共重合体(イ)よりも高く、共重合体(ロ)のガラス転移温度(Tg)との差が4℃以上であるガラス転移温度(Tg)を有する共重合体(ハ)からなるシェル層を有することを特徴とする上記1記載の防湿加工用ラテックス[I]。
【0012】
4.エチレン系不飽和カルボン酸単量体を共重合成分として含む混合モノマーを乳化共重合させるに際し、(A)共重合体ラテックスの体積当たりの攪拌所要動力を0.08kW/m〜2.5kW/mとし、(B)エチレン系不飽和カルボン酸単量体を含む混合モノマーの添加時間を5〜90分とすることを特徴とする上記1記載の防湿加工用ラテックス[I]の製造方法。
5.(i)コア層を形成する共重合体(イ)を含むラテックスの存在下で、(iii)エチレン系不飽和カルボン酸単量体を含む混合モノマーを乳化共重合させて共重合体(ハ)からなるシェル層を形成することを特徴とする上記2記載の防湿加工用ラテックス[I]の製造方法。
6.(i)コア層を形成する共重合体(イ)からなるラテックスの存在下で、(ii)単量体を乳化共重合させて共重合体(ロ)からなる中間層を形成し、次いで、(iii)エチレン系不飽和カルボン酸単量体を含む混合モノマーを乳化共重合させて共重合体(ハ)からなるシェル層を形成することを特徴とする上記3記載の防湿加工用ラテックス[I]の製造方法。
7.上記1〜3のいずれかに記載の防湿加工用ラテックス[I]100重量部(固形分換算)に対してワックスエマルジョン[II]0.1〜20重量部(固形分換算)を配合してなる防湿紙用塗工組成物。
【発明の効果】
【0013】
本発明の特定の防湿加工用ラテックス[I]とワックスエマルジョン[II]からなる組成物を紙に塗工して得られる塗工紙は優れた常態防湿性を有するとともに水中で容易に離解されるため、リサイクルできる機能をも有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明について、以下具体的に説明する。
本発明は乳化重合によって製造される、特異な防湿加工用ラテックス[I]に関する。ここで、ラテックスとは合成樹脂の水分散体の総称であり、乳化重合により、あるいは乳化分散工程により製造したエマルジョン等である。
【0015】
共重合可能な単量体としては共役ジエン系単量体、芳香族ビニル系単量体、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体、エチレン系不飽和カルボン酸単量体、シアン化ビニル系単量体、(メタ)アクリルアミド系単量体、カルボン酸ビニルエステル系単量体、アミノ基含有エチレン性単量体類、ハロゲン化ビニル、スルホン酸基やリン酸基含有単量体、ラジカル重合性の二重結合を2個以上有しているビニル系単量体、重合後に架橋構造を与える官能基を有しているビニル系単量体、重合後に架橋構造を与えるシランカップリング剤などを挙げることができる。これらは単独で、又は2種類以上を組み合わせて使用できる。
【0016】
本発明においては、エチレン系不飽和カルボン酸単量体を用いることが必須である。エチレン系不飽和カルボン酸単量体としては、例えばアクリル酸、メタアクリル酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、クロトン酸、ブテントリカルボン酸、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノメチル、イタコン酸モノエチル、イタコン酸モノメチルなどを挙げることができ、これらを単独で、又は2種以上組み合わせて用いることができる。防湿性能の面から特に好ましい組み合わせはアクリル酸とメタアクリル酸を併用した場合である。
また異層構造の上でも、共重合体(ハ)にアクリル酸を用いた場合に防湿性能、離解性能の面から特に好ましい。
【0017】
エチレン系不飽和カルボン酸は防湿性の点から、ラテックスを構成する全単量体の4重量%以下の使用が必須であり、2.5重量%以下が特に好ましい。本発明においては、エチレン系不飽和カルボン酸単量体を共重合成分として含む混合モノマーを乳化共重合させて得られるラテックスにおいて、(1)水に不溶なラテックス粒子の内部に共重合して存在するエチレン系不飽和カルボン酸と、(2)水に可溶なオリゴマーとして水相に分離して存在するエチレン系不飽和カルボン酸のうち、(2)水に可溶なオリゴマーとして水相に分離して存在するエチレン系不飽和カルボン酸の量が、共重合に用いられたエチレン系不飽和カルボン酸単量体の全量の0.05〜5重量%であることが必須である。5重量%以下である場合に防湿性が良好である。
【0018】
本発明の防湿加工用ラテックスの(2)水に可溶なオリゴマーとして水相に分離して存在するエチレン系不飽和カルボン酸の量を制御する方法として、例えば、(A)乳化重合するに際し共重合体ラテックスの体積当たりの攪拌所要動力が0.08kW/M〜2.5kW/Mであり、(B)エチレン系不飽和カルボン酸単量体を含む混合モノマーの添加時間が5〜90分である製造方法が用いられる。エチレン系不飽和カルボン酸単量体を含む混合モノマーの添加時間が5〜90分であり、共重合体ラテックスの体積当たりの攪拌所要動力が0.08kW/m〜2.5kW/mである場合に、エチレン系不飽和カルボン酸単量体の相互の共重合が抑制され、(2)水に可溶なオリゴマーとして水相に分離して存在するエチレン系不飽和カルボン酸の量が低く抑えられる。
【0019】
共役ジエン系単量体としては、例えば1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル1,3−ブタジエン、2−エチル−1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、1,3ペンタジエン、クロロプレン、2−クロロ−1,3ブタジエン、シクロブタジエンなどを挙げることができ、これらを単独で、又は2種以上組み合わせて使用できる。これらの中でも1,3ブタジエンが好適に使用できる。
【0020】
共役ジエン系単量体は共重合体(イ)にのみ含まれ、コア層のみを構成する成分である場合、特に、高温多湿下での耐ブロッキング性と折り曲げ防湿性のバランスに特に優れる。
芳香族ビニル系単量体としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−メチルスチレン,o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、エチルスチレン、ヒドロキシメチルスチレン、ビニルキシレン、ブロモスチレン、ビニルベンジルクロリド、p−t−ブチルスチレン、クロロスチレン、アルキルスチレン、などを挙げることができ、これらを単独で、又は2種以上組み合わせて使用できる。これらの中でもスチレンが好適に使用できる。
【0021】
(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体としては、例えばメチル(メタ)アクリレ−ト、エチル(メタ)アクリレ−ト、プロピル(メタ)アクリレ−ト、n−ブチル(メタ)アクリレ−ト、t−ブチル(メタ)アクリレ−ト、イソブチル(メタ)アクリレ−ト、n−アミル(メタ)アクリレ−ト、イソアミルヘキシル(メタ)アクリレ−ト、オクチル(メタ)アクリレ−ト、ノニル(メタ)アクリレ−ト、デシル(メタ)アクリレ−ト、ドデシル(メタ)アクリレ−ト、オクタデシル(メタ)アクリレ−ト、シクロヘキシル(メタ)アクリレ−ト、フェニル(メタ)アクリレ−ト、ベンジル(メタ)アクリレ−ト、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレ−ト、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ−ト、プロピレングリコ−ル(メタ)アクリレ−ト、ジエチレングリコ−ルエトキシアクリレ−ト、メトキシポリエチレングリコ−ル(メタ)アクリレ−ト、ステアリル(メタ)アクリレ−ト、フェノキシポリエチレングリコ−ル(メタ)アクリレ−ト、フェノキシエチル(メタ)アクリレ−ト、イソボルニル(メタ)アクリレ−トなどを挙げることができ、これらを単独に、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0022】
シアン化ビニル系単量体としては、例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロルアクリロニトリルなどを挙げることができ、これらを単独に、又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0023】
(メタ)アクリルアミド系単量体としては、例えば(メタ)アクリルアミド、N−メチロ−ル(メタ)アクリルアミドやN−メチル(メタ)アクリルアミドなどのN−モノアルキル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミドなどのN,Nジアルキル(メタ)アクリルアミド、グリシジルメタアクリルアミド、N−アルコキシ(メタ)アクリルアミド、2−アクリルアミド−−2−メチルプロパンスルホン酸などをあげることができ、これらを単独又に、は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0024】
他の単量体としては、例えばアミノエチル(メタ)アクリレ−トやジメチルアミノエチル(メタ)アクリレ−ト及び2−ビニルピリジンなどのアミノ基含有エチレン性単量体、酢酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル類、塩化ビニルや塩化ビニリデンなどのハロゲン化ビニル、スチレンスルホン酸塩や2−(メタ)アクリロイルオキシエチルスルホン酸及び(メタ)アリルスルホン酸塩などのスルホン酸基含有単量体、燐酸エチレン(メタ)アクリレ−トや燐酸プロピレン(メタ)アクリレ−ト及び2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェ−トなどの燐酸基含有単量体などを挙げることができ、これらを単独に、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0025】
ラジカル重合性の二重結合を2個以上有しているビニル系単量体は例えば、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、ポリオキシエチレンジ(メタ)アクリレート、ポリオキシプロピレンジ(メタ)アクリレー ト、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、 トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレー ト、エチレングリコ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、1−3−ブチレングリコ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、1,4−ブチレングリコ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、1,5−ペンタジオ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、ネオペンチルグリコ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、1,6−ヘキサンジオ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、ジエチレングリコ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、トリエチレングリコ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、テトラエチレングリコ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、ポリエチレングリコ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、ポリプロピレングリコ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、ペンタエリスリト−ルトリ(メタ)アクリレ−ト、トリメチロ−ルプロパントリ(メタ)アクリレ−ト、テトラメチロ−ルメタンテトラ(メタ)アクリレ−ト、アリル(メタ)アクリレ−ト2,2−ビス[4−((メタ)アクリロキシエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−((メタ)アクリロキシ・ジエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−((メタ)アクリロキシ・ポリエトキシ)フェニル]プロパン、ビス(4−アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン等が挙げられる。
【0026】
重合中、重合後に架橋構造を与える官能基を有しているビニル系単量体としては例えば、エポキシ基含有モノマー、例えばグリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル、メ チルグリシジル(メタ)アクリレート、メチロール基含有モノマー、例えばN−メチロール(メタ)アクリルアミド、ジメチロール(メタ)アクリルアミド、アルコキシメチル基含有モノマー、例え ばN−メトキシメチルアクリルアミド 、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルア ミド、N−ブトキシメチルメタクリルアミド等、ヒドロ キシル基含有モノマー等が挙げられる。
【0027】
重合後に架橋構造を与えるシランカップリング剤としてはビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、トリス−2−メトキシエトキシビニルシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメト キシシラン等が挙げられる。
【0028】
本願発明の防湿加工用ラテックス[I]は水性媒体中で単量体、連鎖移動剤などを乳化剤、ラジカル重合開始剤、及び必要に応じてその他の添加剤成分を用いて重合する従来公知の乳化重合方法によって得られる。
【0029】
連鎖移動剤としては、例えばα−メチルスチレンダイマ−などの核置換α−メチルスチレンの二量体、n−ブチルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン,n−ラウリルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン及びt−ドデシルメルカプタンなどのメルカプタン類、テトラメチルチウラムジスルフィド及びテトラエチルチウラムジスルフィドなどのジスルフィド類、2−エチルヘキシルチオグリコレ−ト、タ−ピノ−レンなどの公知の全てのものを単独、又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0030】
乳化剤としては、例えば脂肪族石鹸、ロジン酸石鹸、アルキルスルホン酸塩、ジアルキルアリ−ルスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩及びポリオキシエチレンアルキルアリ−ル硫酸塩などのアニオン性乳化剤、ポリオキシエチレンアルキルエ−テル、ポリオキシエチレンアルキルアリ−ルエ−テル及びポリオキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマ−などのノニオン性乳化剤など公知のものを単独、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。又これらの他に親水基と親油基を有する界面活性剤の化学構造式の中にエチレン性二重結合を導入した反応性乳化剤も好適に使用でき、更に、ベタイン型などの両性乳化剤及びポリビニルアルコ−ル、カルボキシメチルセルロ−ス、メチルセルロ−ス、ポリビニルピロリドンなどの水溶性高分子の保護コロイド乳化剤なども必要に応じて用いることができる。
【0031】
ラジカル重合開始剤は、熱又は還元性物質の存在下ラジカル分解して単量体の付加重合を開始させるものであり、無機系開始剤及び有機系開始剤のいずれも使用できる。このようなものとしては、例えば水溶性及び油溶性のペルオキソ二硫酸塩、過酸化物、アゾビス化合物などで、具体的にはペルオキソ二硫酸カリウム、ペルオキソ二硫酸ナトリウム、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、過酸化水素、t−ブチルヒドロペルオキシド、過酸化ベンゾイル、2,2−アゾビスブチロニトリル、クメンハイドロパ−オキサイドを挙げることができ、又他に、POLYMER HANDBOOK(3rd.edition)、J.Brandrup及びE.H.Immergut著、John Willy&Sons刊(1989)に記載されている化合物も用いることができる。又、酸性亜硫酸ナトリウム、アスコルビン酸やその塩、エリソルビン酸やその塩、ロンガリットなどの還元剤を重合開始剤に組み合わせて用いる、いわゆるレドックス重合法を採用することもできる。この重合開始剤の使用量は全単量体の重量に基づき、通常0.1〜5.0重量%、好ましくは0.2〜3.0重量%使用する。
【0032】
本発明の防湿加工用ラテックス[I]を重合する際、重合中及び重合後に、必要に応じて各種調整剤を添加することができる。例えば、pH調整剤として水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、リン酸水素二ナトリウムなどを添加することができる。又、エチレンジアミン四酢酸ナトリウムなどの各種キレ−ト剤なども重合調整剤として添加することができる。
本発明の防湿加工用ラテックス[I]を多段乳化重合で得る際の重合温度は通常5〜120℃であり、又各段での重合温度は同じでも異なっていても良い。
【0033】
本発明の防湿加工用ラテックス[I]を構成する共重合体(イ)〜(ハ)の製造における単量体混合物の重合系への添加は一括添加法、連続的にあるいは断続的に添加する方法、これらの方法を組み合わせた方法(例えば、単量体混合物の一部添加した後に重合の進行に従って連続的もしくは断続的に添加する方法)などいずれでも良い。
【0034】
又、重合にあたってシ−ド重合方法もとることができる。シ−ド用ラテックスの組成は共重合体ラテックスの組成と同じであっても異なってもよく、シ−ド用ラテックスも同一反応容器で製造したもの、異なる他の反応容器で製造したものを用いてもよい。
【0035】
本発明の防湿加工用ラテックスは共重合体(イ)、(ハ)からなるコア/シェル二層構造の構造、または共重合体(イ)、(ロ)、(ハ)からなるコア/ミッド/シェル三層構造の構造を取り得る。コア/シェル二層構造とは、図1に示す様に、コア層を構成する共重合体(イ)とシェル層を構成する共重合体(ハ)が存在する異層粒子構造を有するラテックスである。また、コア/ミッド/シェル三層構造とは、図2、図3に示す様に、コア層を構成する共重合体(イ)とシェル層を構成する共重合体(ハ)の中間に中間層を構成する共重合体(ロ)が存在する異層粒子構造を有するラテックスである。共重合体(イ)〜(ハ)の重合転化率は通常60重量%以上、好ましくは80重量%以上である。
【0036】
本発明における共重合体(イ)のガラス転移温度(Tg)は−90〜10℃であり、好ましくは−50〜0℃の範囲である。−90℃以上の場合は常態防湿性が良好であり、10℃以下の場合は折り曲げ防湿性が顕著に良好である。
【0037】
コア/シェル二層構造、コア/ミッド/シェル三層構造の構造を構成する共重合体(イ)〜(ハ)の合成には共重合可能なエチレン性不飽和単量体を共重合成分として用いることができる。本発明の防湿加工用ラテックス[I]は、例えば共重合体(イ)の存在下で共重合体(ロ)、共重合体(ハ)を生成する単量体混合物を乳化共重合させることによって得られる。
【0038】
生成する共重合体(ロ)のガラス転移温度(Tg)は0〜180℃の範囲であり、好ましくは10〜80℃である。ガラス転移温度(Tg)が0℃以上の場合、耐ブロッキング性が良好であり、180℃以下の場合は常態防湿性及び折り曲げ防湿性が顕著に良好であり好ましい。
【0039】
生成する共重合体(ハ)のガラス転移温度(Tg)は0〜50℃の範囲であり、好ましくは10〜45℃である。ガラス転移温度(Tg)が0℃以上の場合、耐ブロッキング性が良好であり、50℃以下の場合は常態防湿性及び折り曲げ防湿性が顕著に良好であり好ましい。
【0040】
また、生成する共重合体(ロ)、(ハ)のガラス転移温度(Tg)は共重合体(イ)のそれよりも高いことが必要である。共重合体(ロ)、(ハ)のガラス転移温度(Tg)が共重合体(イ)のそれ以上の場合は耐ブロッキング性と折り曲げ防湿性とのバランスが良く好ましい。
【0041】
共重合体(イ)〜(ハ)のガラス転移温度(Tg)は、用いるそれぞれの単量体について一般に示されているその単独重合体のTgと単量体の配合割合から概略推定することができる。例えば約100℃のガラス転移温度(Tg)の重合体を与えるスチレン、メチルメタクリレ−ト、及びアクリルニトリルなどの単量体を高比率で配合した共重合体は高いガラス転移温度(Tg)のものが得られ、例えば約−80℃のガラス転移温度(Tg)の重合体を与えるブタジエンや約−50℃のガラス転移温度(Tg)の重合体を与えるn−ブチルアクリレ−ト及び2−エチルヘキシルアクリレ−トなどの単量体を高い比率で配合した共重合体は低いガラス転移温度(Tg)のものが得られる。
【0042】
共重合体(イ)を合成するために用いる単量体としては共役ジエン系単量体、芳香族ビニル系、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体を主体とするものが耐ブロッキング性の点で好ましい。
共重合体(ロ)、(ハ)を合成するために用いる単量体としては芳香族ビニル系、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体を主体とするものが防湿性の点で好ましい。
【0043】
本発明の防湿加工用ラテックス[I]を構成する共重合体(イ)〜(ハ)の重量割合(重量%)はそれぞれ、6〜80:2〜50:12〜80{但し、(イ)+(ロ)+(ハ)=100}の範囲が防湿性、耐ブロッキング性のバランス面で好ましい。共重合体(イ)の割合が6重量%以上で、折り曲げ防湿性が顕著に良好となり。共重合体(イ)の割合が80重量%以下で、耐ブロッキング性が良好となる。
【0044】
本願発明の防湿加工用ラテックス[I]のみの皮膜では防湿紙で要求される防湿性能を十分満たすことはできず、ワックスエマルジョン[II]の併用が必要である。ワックスとしては特に限定されないが、例えばパラフィンワックス及びこれにジルコニウム化合物を加えたもの、カルナバワックス、キャンデリアワックス、ライスワックス、セレシンワックス、ペトロラタム、フィッシャ−・トリブッシュワックス、ポリエチレンワックス、モンタンワックス及びその誘導体、マイクロスタリンワックス及びその誘導体、硬化ひまし油、流動パラフィン、ステアリン酸アミドなどを挙げることができ、単独及び2種以上組み合わせて用いることができる。
【0045】
ワックスはエマルジョンの形態にして本発明の防湿加工用ラテックス[I]に配合されるが、ラテックス製造中に添加することもできる。ワックスエマルジョン[II]は、例えばワックス、ロジンやロジンエステル及び石油樹脂などの樹脂類、多価アルコ−ル及びそのエステルなどの流動化剤などを混合加熱して溶融し、これにアニオン、カチオン、ノニオン系乳化剤を、あるいは水酸化ナトリウムなどの塩基性化合物、並びに有機アミンなどを加えて乳化することにより得られる。ワックスは40〜100℃の融点を有するものが好ましい。
【0046】
本発明においてワックスエマルジョン[II]はラテックス100重量部(固形分換算)に対して0.1〜20重量部、好ましくは0.2〜20重量部配合する。0.1重量部以上の配合で常態防湿性が顕著に良好であり、20重量部以下で水離解性が良好である。
【0047】
本発明の防湿加工用ラテックス[I]とワックスエマルジョン[II]からなる塗工組成物に生成塗膜の耐ブロッキング性の向上などを目的として顔料を必要に応じて配合することができる。顔料としては特に制約はなく、無機及び有機の顔料が使用できる。例えば、マグネシウム、亜鉛、バリウム、チタン、アルミニウム、アンチモン、鉛などの各種金属酸化物、水酸化物、硫化物、炭酸塩、硫酸塩又は珪酸塩化合物やポリスチレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニルなどの固体体高分子微粉末などが挙げられる。具体的には、炭酸カルシウム、カオリン(クレ−)、タルク、雲母、二酸化チタン、水酸化アルミニウム、シリカ、合成ゼオライト、バライト粉、アルミナホワイト、サチンホワイトなどである。配合する顔料の割合は常態防湿性が顕著に損なわれない程度に配合することが好ましく、ラテックス100重量部(固形分)に対して100重量部以下が一般的である。
【0048】
これに加えて更に必要に応じて、メチルセルロ−ス、ヒドロキエチルセルロ−ス、カルボキシメチルセルロ−スなどのセルロ−ス誘導体、デキストリン、酸化処理澱粉、架橋澱粉、エステル澱粉、グラフトコポリマ−澱粉などの澱粉誘導体、ポリビニルアルコ−ル、ポリ(メタ)アクリル酸塩、ポリビニルピロリドンなどの各種水溶性高分子、並びに公知の消泡剤、濡れ剤、レベリング剤、成膜助剤、可塑剤、顔料分散剤、着色剤、耐水化剤、潤滑剤、防腐剤、防滑剤、撥水剤、離型剤、ブロッキング防止剤、架橋剤(例えば水溶性エポキシ化合物など)、水溶性金属及び各種溶剤なども加えることができる。
【0049】
本発明の防湿紙用塗工組成物を塗工する防湿紙の支持体として用いられる原紙は、例えば、広葉樹晒しクラフトパルプ、針葉樹晒クラフトパルプなどの化学パルプ、GP(砕木パルプ)、RGP(リファイナ−グラウンドパルプ)、などの機械パルプを原料として用い、長網多筒型抄紙機、長網ヤンキ−型抄紙機及び丸網抄紙機で抄紙されてできる上質紙、中質紙、片艶紙及びクラフト紙などの酸性紙、中性紙を包含するものである。原紙中には紙力増強剤、サイズ剤、填料、歩留向上剤などの抄紙補助薬品が含まれていてもよい。通常、原紙の米坪は50〜150g/m程度のものが用いられる。
【0050】
原紙に塗工液を塗布する設備としてはサイズプレス、ゲ−トロ−ルコ−タ−、バ−コ−タ−、ロ−ルコ−タ−、エアナイフコ−タ−及びブレ−ドコ−タ−などから任意に選定することができる。塗工量は絶乾重量で2〜30g/m塗工されるよう調整するのが好ましい。塗工液を塗布後の乾燥条件につては、70〜200℃、5秒〜10分程度の加熱乾燥が適している。本発明の塗工液の乾燥重量固形分も35〜70重量%程度が好ましい。
又、本発明の防湿性ラテックス系組成物は、原紙に2回以上の塗布操作により塗工することもできる。
【実施例】
【0051】
次に、本発明について、実施例に基づいて説明する。なお、実施例及び比較例における塗布量、部数、混合割合などは全て固形分基準で示した。また「%」及び「部」は全て重量基準である。ただし湿度の単位である「%RH」については相対湿度を意味する。
共重合体ラテックスのガラス転移温度(Tg)、ラテックスとワックスを含む塗工紙及びその性能は以下の方法で作製、測定した。
【0052】
(1)ガラス転移温度(Tg/℃)
共重合体ラテックスをガラス板上に流延し、90℃、30分で加熱乾燥して皮膜を形成させる。次いで得られた皮膜をTg測定容器に入れ、蓋をし、示差走査熱量計(セイコ−電子社製)にセットして昇温速度10℃/分で測定した。
(2)トルエン不溶分率(重量%)
共重合体ラテックスをガラス板上に流延し、90℃、30分で加熱乾燥して皮膜を形成させる。次いで得られた皮膜0.5gをトルエン30g中に浸漬し、3時間しんとう後、325メッシュのステンレスメッシュでろ過する。このときのメッシュに残った未溶解物を乾燥し、その重量を0.5で除してトルエン不溶分率とする。
(3)粒子径(nm)
日機装株式会社製、MICROTRAC粒度分布径(型式:9230UPA)を用いて数平均粒子径を測定した。
【0053】
(4)塗工紙の作製
ラテックスに所定量のワックスエマルジョンを配合した組成物について、約45重量%の固形分濃度に調整した塗工液を作製する。次いで坪量約80g/mの未晒クラフト原紙に塗工液を約20g/m(固形分)の塗工量になるようワイヤ−バ−にて塗布し、熱風乾燥機で105℃、60秒の条件で乾燥して、塗工紙を作製した。
【0054】
(5)常態透湿度(g/m・24hr)
上記(4)で作製した塗工紙試料についてJIS Z0208防湿包装材料の透湿度試験(高温高湿条件40℃、90%RH)に準じて透湿度を測定した。
(6)折り曲げ透湿度(g/m・24hr)
上記(4)で作製した試料を直径約7cmの円形状に切断し、塗工面を内側にして25の交差点ができるように10回(重複なし)十字に折り曲げる。その後広げて、(5)と同様な方法で透湿度を測定する。
【0055】
(7)耐ブロッキング性
上記(4)で作製した試料を用い、ラテックス塗布面と未塗布面とを重ね合わせ、400g/cmで加圧し、40℃、90%RHの雰囲気下に24時間放置する。次いで重ね合わせた部分をゆっくりと引き離し、付着の程度を観察する。評価は次の基準で行った。
○:抵抗なく引き離すことができる。
△:少し抵抗があるが、引き離すことができる。
×:抵抗が大きく、紙が破れることがある。
【0056】
(8)水離解性
上記(2)で作製した試料5gを小片に切断し、250gの水とともに家庭用ミキサ−で10分攪拌し、塗工紙の離解状態を観察した。評価は次の基準で行った。
○:単繊維状となる
△:少し凝集物が見られる
×:凝集物が見られる
【0057】
(9)攪拌動力の計算
体積当たりの攪拌所要動力の算出の方法としては神鋼ファウドラー・ニュースp1-7, vol24, No.1 (1980/1)より、下記の式1を用いて算出した。
【0058】
【数1】

【0059】
ここで、式1により共重合体ラテックスの体積当たりの攪拌所要動力を計算する耐圧反応容器の装置定数と重合原料の条件としては下記のものを使用した。
槽径D[m]:0.195
翼径d[m]:0.125
動力数Np[−]:0.44
レイノルズ数Re[−]:72900
液量V[m]:0.00255
通常回転数[rpm]280
翼形状:2枚後退翼
バッフル本数nb[−]:1
バッフル投影面積A[m]:0.0024
液深H[m]:0.102
翼巾b[m]:0.027
密度ρ[kg/m]:1000
粘度η[Pa・S]:0.001
【0060】
(10)水に可溶なオリゴマーとして水相に分離して存在するエチレン系不飽和カルボン酸の量の測定
5重量%に希釈したラテックス12.5gに1重量%に希釈したノニオン乳化剤(日本乳化剤:ニューコール506)4.8gと蒸留水102.84gを加え、高速冷却遠心機(日立工機製(CR26H))により26,000rpm(80,100G)、15℃、150分の条件で遠心分離する。上澄みの水相部を25nmの限外濾過膜(VSWP09025、Millipore Corporation製)を用いて、高圧で限外濾過する。
得られた濾液を0.01N塩酸水溶液を加えてpH3以下に調整し、0.01N水酸化ナトリウム水溶液を用いて電位差滴定を行う(平沼自動滴定装置:COMITITE980使用)。測定された全中和点(pH7付近の滴定曲線の変曲点より判別)までに要した水酸化ナトリウム量から、塩酸中和点(pH4〜5付近の滴定曲線の変曲点より判別)までに要した水酸化ナトリウム量を引いた量をもって、水相中に存在するカルボン酸量の当量とする。得られた水酸化ナトリウムの当量を、ラテックス5重量%中に存在するエチレン系不飽和カルボン酸単量体の理論当量で除して100を掛けた数値(重量%)をもって、「(2)水に可溶なオリゴマーとして水相に分離して存在するエチレン系不飽和カルボン酸の量」の、共重合に用いられたエチレン系不飽和カルボン酸単量体の全量に対する割合(重量%)とする。
【0061】
[製造例1]
(均一ラテックスの重合)
攪拌装置と温度調節用ジャケットを備えた耐圧反応容器に、窒素置換の後、イオン交換水72重量部、約20nmの平均粒子径を有するシ−ド粒子の水分散体(固形分)0.45重量部、ラウリル硫酸ナトリウム0.3重量部を入れ、攪拌数280rpmで攪拌しつつ内温を80℃に昇温し、真空脱気により酸素を除去したスチレン40重量部、ブタジエン58重量部、アクリル酸2重量部、t−ドデシルメルカプタン0.2重量部及びα−メチルスチレンダイマ−0.1重量部からなる単量体混合物を1時間かけて添加した。単量体混合物を添加し始めるとほぼ同時に、水21重量部、ラウリル硫酸ナトリウム0.3重量部、水酸化ナトリウム0.1重量部、ペルオキソ二硫酸カリ0.7重量部を1時間かけて、単量体混合物が添加を終了するまで連続して添加した。
重合終了後も反応系の温度を80℃で約1時間維持した後、水酸化ナトリウムを加えて反応系のpHを約8.0に調整した。次いで、スチ−ムストリッピングで残留単量体を除去し、冷却し、80メッシュの濾布で濾過して、得られた異層構造共重合体ラテックスの固形分(130℃、乾燥法)を48重量%に調整した。粒子径は117nmで、トルエン不溶分は99重量%であった。
【0062】
[製造例2]
(1段目/コア層の重合)
攪拌装置と温度調節用ジャケットを備えた耐圧反応容器に、窒素置換の後、イオン交換水72重量部、約20nmの平均粒子径を有するシ−ド粒子の水分散体(固形分)0.45重量部、ラウリル硫酸ナトリウム0.3重量部を入れ、内温を80℃に昇温し、真空脱気により酸素を除去したスチレン20重量部、ブタジエン20重量部、t−ドデシルメルカプタン0.2重量部及びα−メチルスチレンダイマ−0.1重量部からなる単量体混合物を2時間かけて添加した。単量体混合物を添加し始めるとほぼ同時に、水21重量部、ラウリル硫酸ナトリウム0.3重量部、水酸化ナトリウム0.1重量部、ペルオキソ二硫酸カリ0.7重量部を4時間かけて、2段目の単量体混合物が添加を終了するまで連続して添加した。
【0063】
(2段目/シェル層の重合)
1段目の単量体混合物の添加が終了した時から1時間後スチレン38重量部、2−エチルヘキシルアクリレ−ト20重量部、アクリル酸2重量部、t−ドデシルメルカプタン0.01重量部及びα−メチルスチレンダイマ−0.01重量部からなる単量体混合物を1時間かけて反応容器に追添し重合した。
重合終了後も反応系の温度を80℃で約1時間維持した後、水酸化ナトリウムを加えて反応系のpHを約8.0に調整した。次いで、スチ−ムストリッピングで残留単量体を除去し、冷却し、80メッシュの濾布で濾過して、得られた異層構造共重合体ラテックス[I]の固形分(130℃、乾燥法)を48重量%に調整した。粒子径は121nmで、トルエン不溶分は97重量%であった。
【0064】
[製造例3]
(1段目/コア層共重合体(イ)の重合)
攪拌装置と温度調節用ジャケットを備えた耐圧反応容器に、窒素置換の後、イオン交換水72重量部、約20nmの平均粒子径を有するシ−ド粒子の水分散体(固形分)0.45重量部、ラウリル硫酸ナトリウム0.3重量部を入れ、内温を80℃に昇温し、真空脱気により酸素を除去した2−エチルヘキシルアクリレ−ト12重量部、ブタジエン18重量部、t−ドデシルメルカプタン0.2重量部及びα−メチルスチレンダイマ−0.1重量部からなる単量体混合物を2時間かけて添加した。単量体混合物を添加し始めるとほぼ同時に、水21重量部、ラウリル硫酸ナトリウム0.3重量部、水酸化ナトリウム0.1重量部、ペルオキソ二硫酸カリ0.7重量部を6時間かけて、3段目の単量体混合物が添加を終了するまで連続して添加した。
【0065】
(2段目/中間層共重合体(ロ)の重合)
1段目の単量体混合物の添加が終了した時から1時間後スチレン8重量部、2−エチルヘキシルアクリレ−ト2重量部、t−ドデシルメルカプタン0.01重量部及びα−メチルスチレンダイマ−0.01重量部からなる単量体混合物を1時間かけて反応容器に追添し、重合した。
【0066】
(3段目/シェル層共重合体(ハ)の重合)
2段目の単量体混合物の添加が終了した時から1時間後スチレン338重量部、2−エチルヘキシルアクリレ−ト20重量部、アクリル酸2重量部、t−ドデシルメルカプタン0.01重量部及びα−メチルスチレンダイマ−0.01重量部からなる単量体混合物を1時間かけて反応容器に追添し、重合した。
重合終了後も反応系の温度を80℃で約2時間維持した後、水酸化ナトリウムを加えて反応系のpHを約8.0に調整した。次いで、スチ−ムストリッピングで残留単量体を除去し、冷却し、80メッシュの濾布で濾過して、得られた異層構造共重合体ラテックス[I]の固形分(130℃、乾燥法)を48重量%に調整した。粒子径は120nmで、トルエン不溶分は98重量%であった。
【0067】
[実施例1〜7、14〜23]
表1、2に示す配合割合の単量体及び連鎖移動剤、混合単量体の添加時間を用いて製造例3と同様な重合方法でA〜G、N〜Wの異層構造(三層構造)ラテックス[I]を作製し、ポリマ−相のTgと水相中に存在するカルボン酸量を測定した。得られた各異層構造共重合体ラテックス[I]にワックスエマルジョン[II](パラフィン系ワックス、中京油脂株式会社製セロゾール H−620、融点68℃)をラテックス固形分100重量部に対し6重量部(固形分)配合し、45重量%固形分濃度の塗工液を作製した。次いで坪量約80g/mの未晒クラフト原紙に塗工液を約20g/m(固形分)の塗工量になるようワイヤ−バ−にて塗布し、熱風乾燥機で105℃、60秒の条件で乾燥して、塗工紙を作製した。
得られた各塗工紙について前述の測定法に従って常態透湿度、折り曲げ透湿度、耐ブロッキング性及び水離解性を測定した。測定した結果を表4、5に示す。
【0068】
[実施例8〜12、24〜26]
表1、2に示す配合割合の単量体及び連鎖移動剤、混合単量体の添加時間を用いて製造例2と同様な重合方法でH〜L、X〜Zの異層構造(二層構造)ラテックス[I]を作製し、ポリマ−相のTgと水相中に存在するカルボン酸量を測定した。得られた各異層構造共重合体ラテックス[I]にワックスエマルジョン[II](パラフィン系ワックス、中京油脂株式会社製セロゾール H−620、融点68℃)をラテックス固形分100重量部に対し6重量部(固形分)配合し、45重量%固形分濃度の塗工液を作製した。次いで坪量約80g/mの未晒クラフト原紙に塗工液を約20g/m(固形分)の塗工量になるようワイヤ−バ−にて塗布し、熱風乾燥機で105℃、60秒の条件で乾燥して、塗工紙を作製した。
得られた各塗工紙について前述の測定法に従って常態透湿度、折り曲げ透湿度、耐ブロッキング性及び水離解性を測定した。測定した結果を表4、5に示す。
【0069】
[実施例13]
表1に示す配合割合の単量体及び連鎖移動剤、混合単量体の添加時間を用いて製造例1と同様な重合方法でMの異層構造(一層構造)ラテックス[I]を作製し、ポリマ−相のTgと水相中に存在するカルボン酸量を測定した。得られた各異層構造共重合体ラテックス[I]にワックスエマルジョン[II](パラフィン系ワックス、中京油脂株式会社製セロゾール H−620、融点68℃)をラテックス固形分100重量部に対し6重量部(固形分)配合し、45重量%固形分濃度の塗工液を作製した。次いで坪量約80g/mの未晒クラフト原紙に塗工液を約20g/m(固形分)の塗工量になるようワイヤ−バ−にて塗布し、熱風乾燥機で105℃、60秒の条件で乾燥して、塗工紙を作製した。
得られた各塗工紙について前述の測定法に従って常態透湿度、折り曲げ透湿度、耐ブロッキング性及び水離解性を測定した。測定した結果を表4に示す。
【0070】
[実施例27、28]
実施例1に用いた異層構造(三層構造)ラテックス[I](A)にワックスエマルジョン[II](パラフィン系ワックス、中京油脂株式会社製セロゾール H−620、融点68℃)をラテックス固形分100重量部に対し0.1重量部および20重量部(固形分)配合し、45重量%固形分濃度の塗工液を作製した。次いで坪量約80g/mの未晒クラフト原紙に塗工液を約20g/m(固形分)の塗工量になるようワイヤ−バ−にて塗布し、熱風乾燥機で105℃、60秒の条件で乾燥して、塗工紙を作製した。
得られた各塗工紙について前述の測定法に従って常態透湿度、折り曲げ透湿度、耐ブロッキング性及び水離解性を測定した。測定した結果を表5に示す。
【0071】
[実施例29、30]
実施例1に用いた異層構造(三層構造)ラテックス[I](A)にワックスエマルジョン[II](パラフィン系ワックス、中京油脂株式会社製セロゾール H−620、融点68℃)をラテックス固形分100重量部に対し0.05重量部および25重量部(固形分)配合し、45重量%固形分濃度の塗工液を作製した。次いで坪量約80g/mの未晒クラフト原紙に塗工液を約20g/m(固形分)の塗工量になるようワイヤ−バ−にて塗布し、熱風乾燥機で105℃、60秒の条件で乾燥して、塗工紙を作製した。
得られた各塗工紙について前述の測定法に従って常態透湿度、折り曲げ透湿度、耐ブロッキング性及び水離解性を測定した。測定した結果を表5に示す。
【0072】
[比較例1〜2]
表3に示す配合割合の単量体及び連鎖移動剤、混合単量体の添加時間を用いて製造例3と同様な重合方法でa〜bの異層構造(三層構造)ラテックス[I]を作製し、ポリマ−相のTgと水相中に存在するカルボン酸量を測定した。得られた各異層構造共重合体ラテックス[I]にワックスエマルジョン[II](パラフィン系ワックス、中京油脂株式会社製セロゾール H−620、融点68℃)をラテックス固形分100重量部に対し6重量部(固形分)配合し、45重量%固形分濃度の塗工液を作製した。次いで坪量約80g/mの未晒クラフト原紙に塗工液を約20g/m(固形分)の塗工量になるようワイヤ−バ−にて塗布し、熱風乾燥機で105℃、60秒の条件で乾燥して、塗工紙を作製した。
【0073】
得られた各塗工紙について前述の測定法に従って常態透湿度、折り曲げ透湿度、耐ブロッキング性及び水離解性を測定した。測定した結果を表6に示す。
【0074】
【表1】

【0075】
【表2】

【0076】
【表3】

【0077】
【表4】

【0078】
【表5】

【0079】
【表6】

【0080】
以下、実施例、比較例の物性測定結果に基づき、本発明の効果を説明する。
[実施例1〜30と比較例1、2]
表4〜6の結果から、乳化重合によって、(1)水に不溶なラテックス粒子の内部に分離して存在するエチレン系不飽和カルボン酸と、(2)水に可溶なオリゴマーとして水相に分離して存在するエチレン系不飽和カルボン酸のうち、(2)水に可溶なオリゴマーとして水相に分離して存在するエチレン系不飽和カルボン酸の量が、共重合に用いられたエチレン系不飽和カルボン酸単量体の全量の5重量%以下である場合に常態透湿度、折り曲げ透湿度が顕著に良好である。
【0081】
[実施例1〜30と比較例1、2]
表4〜6の結果から、単位体積あたりの攪拌所要動力が0.08kW/m以上、不飽和カルボン酸単量体を含む混合単量体の添加時間が90分以内で、(1)水に不溶なラテックス粒子の内部に分離して存在するエチレン系不飽和カルボン酸と、(2)水に可溶なオリゴマーとして水相に分離して存在するエチレン系不飽和カルボン酸のうち、(2)水に可溶なオリゴマーとして水相に分離して存在するエチレン系不飽和カルボン酸の量が、共重合に用いられたエチレン系不飽和カルボン酸単量体の全量の5重量%以下になり常態透湿度、折り曲げ透湿度が顕著に良好である。
【0082】
[実施例1〜7、14〜17と実施例18〜23]
表4〜5の結果から、共重合体(イ)からなるコア層のガラス転移温度(Tg)が−90〜10℃、共重合体(イ)よりも高いガラス転移温度(Tg)の共重合体(ロ)からなる中間層のガラス転移温度(Tg)が0〜180℃、共重合体(イ)よりも高く、共重合体(ロ)のガラス転移温度(Tg)との差が4℃以上であるガラス転移温度(Tg)の共重合体(ハ)からなるシェル層ガラス転移温度(Tg)が0〜50℃の範囲にある場合に耐ブロッキング性と水離解性が顕著に良好である。
【0083】
[実施例8〜12と実施例24〜26]
表4〜5の結果から、共重合体(イ)からなるコア層のガラス転移温度(Tg)が−90〜10℃、共重合体(ハ)からなるシェル層のガラス転移温度(Tg)が共重合体(イ)よりも高く、0〜50℃の範囲にある場合に耐ブロッキング性と水離解性が顕著に良好である。
【0084】
[実施例27〜28と実施例29〜30]
表5の結果から、ワックスエマルジョン[II]の配合量が0.2重量%以上で常態透湿度、折り曲げ透湿度、耐ブロッキング性が良好であり、ワックスエマルジョン[II]の配合量が20重量%以下で常態透湿度、折り曲げ透湿度、水離解性が良好である。
以上の実施例及び比較例で示される結果から明らかなように、本願発明の特定の防湿加工用ラテックス[I]にワックスエマルジョン[II]を配合した塗工液を塗工して得られる防湿塗工紙が常態防湿性、折り曲げ防湿性に優れるとともに耐ブロッキング性にも優れ、又十分リサイクル可能な程度に容易に水中で離解され易い極めて有意な性能を有する。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明の防湿加工用ラテックス[I]は防湿性を必要とする包装紙の分野において好適に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本発明の防湿加工用ラテックス[I]の一例を示す概念図である。
【図2】本発明の防湿加工用ラテックス[I]の一例を示す概念図である。
【図3】本発明の防湿加工用ラテックス[I]の一例を示す概念図である。
【符号の説明】
【0087】
イ 共重合体(イ)からなるコア層
ロ 共重合体(ロ)からなる中間層
ハ 共重合体(ハ)からなるシェル層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エチレン系不飽和カルボン酸単量体を共重合成分として含む混合モノマーを乳化共重合させて得られるラテックスであって、(1)水に不溶なラテックス粒子の内部に共重合して存在するエチレン系不飽和カルボン酸と、(2)水に可溶なオリゴマーとして水相に分離して存在するエチレン系不飽和カルボン酸のうち、(2)水に可溶なオリゴマーとして水相に分離して存在するエチレン系不飽和カルボン酸の量が、共重合に用いられたエチレン系不飽和カルボン酸単量体の全量の0.05〜5重量%であることを特徴とする防湿加工用ラテックス[I]。
【請求項2】
(α)ガラス転移温度(Tg)が−90〜10℃の範囲にある共重合体(イ)からなるコア層及び(γ)エチレン系不飽和カルボン酸単量体を含む混合モノマーを乳化共重合して得られた共重合体であって、ガラス転移温度(Tg)が0〜50℃の範囲にあり、共重合体(イ)よりも高いガラス転移温度(Tg)を有する重合体(ハ)からなるシェル層を有することを特徴とする請求項1記載の防湿加工用ラテックス[I]。
【請求項3】
(α)ガラス転移温度(Tg)が−90〜10℃の範囲にある共重合体(イ)からなるコア層、(β)ガラス転移温度(Tg)が0〜180℃の範囲にあり、共重合体(イ)よりも高いガラス転移温度(Tg)を有する共重合体(ロ)からなる中間層及び(γ)エチレン系不飽和カルボン酸単量体を含む混合モノマーを共重合して得られた共重合体であって、ガラス転移温度(Tg)が0〜50℃の範囲にあり、共重合体(イ)よりも高く、共重合体(ロ)のガラス転移温度(Tg)との差が4℃以上であるガラス転移温度(Tg)を有する共重合体(ハ)からなるシェル層を有することを特徴とする請求項1記載の防湿加工用ラテックス[I]。
【請求項4】
エチレン系不飽和カルボン酸単量体を共重合成分として含む混合モノマーを乳化共重合させるに際し、(A)共重合体ラテックスの体積当たりの攪拌所要動力を0.08kW/m〜2.5kW/mとし、(B)エチレン系不飽和カルボン酸単量体を含む混合モノマーの添加時間を5〜90分とすることを特徴とする請求項1に記載の防湿加工用ラテックス[I]の製造方法。
【請求項5】
(i)コア層を形成する共重合体(イ)を含むラテックスの存在下で、(iii)エチレン系不飽和カルボン酸単量体を含む混合モノマーを乳化共重合させて共重合体(ハ)からなるシェル層を形成することを特徴とする請求項2に記載の防湿加工用ラテックス[I]の製造方法。
【請求項6】
(i)コア層を形成する共重合体(イ)からなるラテックスの存在下で、(ii)単量体を乳化共重合させて共重合体(ロ)からなる中間層を形成し、次いで、(iii)エチレン系不飽和カルボン酸単量体を含む混合モノマーを乳化共重合させて共重合体(ハ)からなるシェル層を形成することを特徴とする請求項3に記載の防湿加工用ラテックス[I]の製造方法。
【請求項7】
請求項1〜3のいずれかに記載の防湿加工用ラテックス[I]100重量部(固形分換算)に対してワックスエマルジョン[II]0.1〜20重量部(固形分換算)を配合してなる防湿紙用塗工組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−16332(P2007−16332A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−196973(P2005−196973)
【出願日】平成17年7月6日(2005.7.6)
【出願人】(303046314)旭化成ケミカルズ株式会社 (2,513)
【Fターム(参考)】