説明

防滑ロープ

【課題】
災害時の避難や運送、梱包、その他における滑りにくく、安全に使用できる防滑ロープ
を提供するにある。
【解決手段】
ロープ3の周面に天然ゴムや合成ゴム等の滑り止め用の突起4を多数突設したものであ
る。特に、複数本のストランド2を撚り合わせたロープ3の各ストランド2の外周面に天
然ゴムや合成ゴムの弾力性のある突起4を一定の間隔で突設することが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、災害時の避難や運送、梱包、その他における防滑ロープに関するものである

【背景技術】
【0002】
ロープは、梱包用や牽引用、柵、避難用、その他に広く使用されている。その材料とし
て天然糸や合成糸を撚り合わせたり、編みあげたりして作られている。
【0003】
近年、建物が高層化し、火災等が発生した場合に備えて各階に避難のためのロープを保
管したり、個人が避難用ロープを保持して脱出をはかるために対応している。
【0004】
しかし、高層階からロープを垂らして、いざ降下しようとすると、ロープを握った手が
滑りやすかったり、ロープとの摩擦で手の皮がめくれ、ロープを握った手で自己の体重を
支えて降下速度をコントロールすることは容易でない。
【0005】
そのため、特開2001−187160号公報のようにロープに一定の間隔で足掛けチ
ューブを取り付けたり、特開2002−88625号公報のように組紐のまわりに太い紐
を螺旋状に連続的に巻き付けて滑り止めとすることが提案されている。
【0006】
しかし、前者のものは足掛けチューブを取り付けるので、ロープを手で握ってすべるの
が難しいとともに、別途のロープとしての使用はできなくなる。
また、後者のものは、組紐の外周にさらに太い紐を巻き付けるので、コストが高くなる
とともに、防滑性がよくない。
【特許文献1】特開2001−187160号公報
【特許文献2】特開2002−88625号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このように従来のロープでは、ロープを握った手を介して滑ることが難しかったり、コ
スト高となって実用的なものでなく、適宜な防滑性が得られて、安価な防滑ロープを作る
ことが課題であった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記のような点に鑑みたもので、上記の課題を解決するために、ロープの周
面に天然ゴムや合成ゴム等の滑り止め用の突起を多数突設したことを特徴とする防滑ロー
プを提供するにある。
【0009】
また、複数本のストランドを撚り合わせたロープの各ストランドの外周面に天然ゴムや
合成ゴム等の弾力性のある滑り止め用の突起を一定の間隔で突設した防滑ロープを提供す
るにある。
【0010】
さらに、滑り止め用の突起が半球状である防滑ロープを提供するにある。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、ロープの周面に天然ゴムや合成ゴム等の滑り止め用の突起を多数突設したの
で、ロープを手で握ると多数突設した突起によって手が滑りにくく、摩擦作用が非常に大
きくなり、万一の火災時の事故時などに高所からこのロープを吊り下げてロープを手でコ
ントロールできる位に手が滑らずに握れて脱出することが容易となる。
また、梱包などにおいても、ロープを縛りつけるとロープが多数の突起の摩擦作用によ
ってほどけにくく、素人でも容易にロープをしっかりと縛りつけて梱包できる。
【0012】
また、複数本のストランドを撚り合わせたロープの各ストランドの外周面に天然ゴムや
合成ゴム等の弾力性のある滑り止め用の突起を一定の間隔で突設したことによって、ロー
プの外観も美麗に処理できるとともに、弾力的な防滑効果がはかれてより一層の作用効果
を奏する。
【0013】
さらに、滑り止め用の突起が半球状とすることによって、ロープに手を握りやすくでき
るとともに、滑りにくくでき、上記のような作用効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の防滑ロープは、ロープの周面に天然ゴムや合成ゴム等の滑り止め用の突起を多
数突設したことを特徴としている。
【0015】
防滑ロープ1は、図1(a)、(b)のように麻糸や木綿糸等の天然繊維、ナイロン、
ビニロン等の合成繊維糸を撚り合わせてストランド(子縄)2とし、このストランド2を
3本、4本等の適宜数量を撚り合わせてロープ3としている。必要により芯を入れること
もできる。
【0016】
そして、このロープ3の外周面に、図1(a)、(b)のように天然ゴムや合成ゴム、
樹脂材等の突起4を所定の間隔で多数突設し、滑り止めがはかれるようにしている。
【0017】
この滑り止めの突起4は、上記したロープ3の外周面に格子状や千鳥状等の離散的に多
数突設できるが、ロープ径の1/5〜2倍位の間隔で突設することが好ましい。ロープ径
の1/5倍より狭いと突起4が余りにも詰まりすぎ、ロープ径の2倍よりも広いと防滑効
果が乏しくなる。好ましくはロープ径の1/3〜1倍位であるが、手のひらに突起4が5
〜10mm位の間隔で当接できる位が防滑効果が大きくて好ましい。
【0018】
また突起4は、図1(a)、(b)のように各ストランド2の軸線にそってそれぞれの
外周中央部に2〜5mm径の半球面状にそれぞれ突設するのが防滑効果が最適であるとと
もに、美観を良好にできて好ましい。また、この突起4は、硬くてもよいが、硬度が50
〜70度位の軟質の弾性材であるのが手に握りやすく、滑りにくくできて好ましい。
【0019】
このような防滑ロープ1は、図2のように従来のロープ製造装置5によって各ストラン
ド2を撚り合わせてロープ3を形成していって、図3のように形成したロープ3の所定位
置に突起成形装置6を配設してロープ3の外周面に上記したように突起4を溶着したりし
て突設することができる。
【0020】
突起形成装置6としては、たとえば図3のようにロープ3を一定のピッチで旋回したり
して押し込み、引っ張り可能とした一対のロープ供給装置7、8の中間に配設し、自動的
にロープ3のストランド2を嵌合するようにストランド2にそって溝8を形成した左右ま
たは上下一対の型板10、11を開閉自在として配設し、この型板10、11に所定の間
隔で突起形成部12を配設して、この突起形成部12に所定の押出成型機から溶融した天
然ゴム、合成ゴムなどの突起材料13を供給管14等を介して供給し、ロープ3の外周面
に突起形成部12を押圧操作して突起4を溶着して形成することができる。
【0021】
突起形成部12としては、図4、図5のように型板10、11を適宜のヒータ手段で加
熱自在としたりして、そのストランド2にそって開口した溝の頂部15に細径のピストン
状の突起材料押出圧着部16を垂直に対向して配設し、この先端の圧着部17を所定の半
球形状の椀状等とし、その側部の突起材料供給孔18から天然ゴム、合成ゴムなどの突起
材料14を突起材料押圧圧着部16の引っ込め、押し出し操作によって圧着部17に供給
し、圧着部17によってロープ3の外周面に押圧して圧着できるようにしている。
【0022】
この突起形成部12は、図4のようにロープ3の一側面や両側面に対向したり、図5の
ように各ストランド2の各側面に対向してそれぞれ配設し、型板10、11をエアーシリ
ンダーや電動シリンダー等の適宜な開閉装置を介して開閉して所定のピッチずつ旋回させ
てロープ3を突起形成装置6に送り込んで突起4を突設するなど適宜な実施態様で行うこ
とができる。19、20は、型板10、11の開閉摺動用ガイドおよびそのガイド棒であ
る。
【0023】
上記突起形成装置6は、型板10、11を複数列平行に配設して、同時に複数本のロー
プ3に突起4を溶着させるなど適宜の実施態様とすることができる。
【0024】
このようにして、たとえば合成樹脂ロープ3の各ストランド4の外周面に図1(a)、
(b)のようにシリコンゴムやポリウレタンゴム等の合成ゴムの半球状の突起4をロープ
径の1/2の間隔の防滑ロープ1を形成できる。
【0025】
そして、この避難用の防滑ロープ1を、たとえば高層階のビルディングの窓から吊り下
げ、ロープ3にそってロープ3を手で握ってすべらせるようにして降下すると、ロープ3
に突設した弾力性のある突起4によって握力が従来に対して5〜6倍となって、体力の少
ない女性であっても十分に体重の半分以上を支持でき、所望の降下速度で安全に降下する
ことができる。
【0026】
また、梱包にあっても、梱包用とした防滑ロープ1をもって強く縛りつけられるととも
に、ほどけにくくでき、安定した荷造りができる。
【0027】
なお、上記した防滑ロープ1は、数mm径から数cm径の用途に応じたものが適用可能
であり、またロープ3自体や突起4に蛍光塗料を付着したり、一体的に塗り込んだり、練
り込んだりして、暗い場所や夜間に発光するものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の一実施例の防滑ロープの一部省略した側面図(a)と断面図(b)、
【図2】同上のロープの一製造例、概略説明用図、
【図3】同上の突起形成用の概略説明図、
【図4】同上の突起形成装置の一部省略した側断面図、
【図5】同上の他の実施例の一部省略した側断面図。
【符号の説明】
【0029】
1…防滑ロープ 2…ストランド 3…ロープ
4…突起 6…突起成形装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロープの周面に天然ゴムや合成ゴム等の滑り止め用の突起を多数突設したことを特徴と
する防滑ロープ。
【請求項2】
複数本のストランドを撚り合わせたロープの各ストランドの外周面に天然ゴムや合成ゴ
ム等の弾力性のある滑り止め用の突起を一定の間隔で突設した請求項1に記載の防滑ロー
プ。
【請求項3】
滑り止め用の突起が半球状である請求項1または2に記載の防滑ロープ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−263115(P2006−263115A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−85069(P2005−85069)
【出願日】平成17年3月24日(2005.3.24)
【出願人】(503142991)ブランデ株式会社 (1)
【Fターム(参考)】