説明

防滑性段ボール

【課題】 夏場の常温製函、冷蔵流通または通常流通、冬場の常温製函、冷蔵流通または通常流通の温湿度の変化に対して安定した防滑性を有するとともに、撥水性、耐汚染性、および経時安定性に優れた防滑性段ボールを提供する。
【解決手段】 樹脂成分および撥水性添加剤を含有する下地層と、前記下地層上に設けられた防滑層とを具備する防滑性段ボールである。前記防滑層は、乳化重合体樹脂と、前記乳化重合体樹脂の質量の1%以上10%以下の質量で配合された粘着性調整剤とを含有し、前記乳化重合体樹脂は、ガラス転移点−35℃〜−50℃のポリマーと、前記ポリマー100質量部に対して60〜120質量部の量で配合され、平均粒径が12〜25nmのコロイダルシリカからなる保護成分とを含む。前記粘着性調整剤は、平均粒径が30nm以上のコロイダルシリカからなることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、輸送用ダンボールケースの冷蔵運搬、通常の運搬時の荷崩れ防止対策として、防滑性、かつ流通段階における風雨に対する耐水性を向上させ、かつ土埃等の汚れも付着しにくい段ボールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
梱包用段ボール箱のような紙容器の輸送・運搬時には、紙容器同士を複数段に積み重ねた状態で作業が行なわれている。こうした紙容器の荷崩れ防止対策としては、従来、パレット単位でバンド掛け、シュリンク包装、ストレッチラップ巻き、および接着剤による固定等の方法が使用されてきた。しかしながら、いずれの方法を採用した場合も、流通段階において設備、材料等の負担があり、かつ積替えを行なった際、再度固定しなければならない。特に接着剤による固定方法では表面に剥がれが起きる、あるいは接着剤が残るため美粧性を大きく損ねてしまう。
【0003】
これらの問題を解決するために、段ボール表面に樹脂層を形成して防滑性を付与して、運搬時の荷崩れを防止する方法が提案されている。(例えば、特許文献1参照)。この方法では、高い防滑性および耐ブロッキング性が得られるが、汚れが付着しやすく落ちにくい。水濡れした場合には、段ボールの強度が低下するおそれもあった。
【0004】
防滑性を維持しつつ撥水性、耐汚染性および経時安定性も高めるため、冷蔵流通、通常流通における雨濡れに強い撥水性のある下地樹脂を設けた上に、防滑性樹脂層を設けてなる防滑性段ボールが、本発明者らによって提案されている(例えば、特許文献2参照)。防滑性段ボール箱は、冬場(温度5℃湿度30%)および夏場(温度35℃湿度90%)のいずれの流通環境条件下で安定した滑り角度を確保するために、温度5℃湿度30%下で滑り角度46°、温度35℃湿度50%下で滑り角度46°、温度35℃湿度90%で箱同士がブロッキングしないことが求められ、これを実現するために夏冬滑り角度の刷りわけが必要となる。刷りわけしない場合、夏場においては過剰の防滑性に起因して、コルゲートマシンの加工適性や製函ラインで製函がゆがんだり防滑剤の擦れが発生する。
【0005】
低温低湿度環境下と常温環境下とにおける防滑性能の差が小さければ、夏冬滑り角度の刷りわけが必要とされないものの、そうした防滑性段ボールは未だ得られていないのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平3−118147号公報
【特許文献2】特開平8−25280号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、夏場の常温製函、冷蔵流通または通常流通、冬場の常温製函、冷蔵流通または通常流通の温湿度の変化に対して安定した防滑性(高い静摩擦係数、動摩擦係数を有する)を有するとともに、撥水性、耐汚染性、および経時安定性に優れた防滑性段ボールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一側面によると、樹脂成分および撥水性添加剤を含有する下地層と、前記下地層上に設けられた防滑層とを具備する防滑性段ボールであって、
前記防滑層は、乳化重合体樹脂と、前記乳化重合体樹脂の質量の1%以上10%以下の質量で配合された粘着性調整剤とを含有し、
前記乳化重合体樹脂は、ガラス転移点−35℃〜−50℃のポリマーと、前記ポリマー100質量部に対して60〜120質量部の量で配合され、平均粒径が12〜25nmのコロイダルシリカからなる保護成分とを含み、
前記粘着性調整剤は、平均粒径が30nm以上のコロイダルシリカからなることを特徴とする防滑性段ボールが提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、夏場の常温製函、冷蔵流通または通常流通、冬場の常温製函、冷蔵流通または通常流通の温湿度の変化に対して安定した防滑性(高い静摩擦係数、動摩擦係数を有する)を有するとともに、撥水性、耐汚染性、および経時安定性に優れた防滑性段ボールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態にかかる防滑性段ボールの構成を表わす断面図。
【図2】一実施形態にかかる防滑層の形成パターンを示す製函前のシートの平面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
【0012】
図1は、本発明の一実施形態にかかる防滑性段ボールの構成を示す断面図である。図示するように、防滑性段ボールは、表紙1の一方の面に印刷層2が形成され、この印刷層2を覆って、下地層3および防滑層4が順次設けられている。表紙1の他方の面には片面段ボール5が配置される。
【0013】
防滑層4は、必ずしも下地層3の全面を覆ってベタ膜として形成する必要はない。網点濃淡、グラデーション濃淡、あるいはストライプ状ニス抜きなどのパターン状に設けてもよい。例えば、ストライプ状のパターンとする場合には、5〜100%網点グラデーションとしてもよい。あるいは、適正な面積率50〜90%の網点パターン状に印刷することもできる。こうしたパターン状に印刷して防滑層を設けることによって、外観を損なうことなく高い防滑性を維持できる。撥水性やコルゲートマシンにおける加工適性並びに製函ラインでの製函適性が、よりいっそう高められる。熱鉄板を有するダブルフェーサでの夏冬において加工適性並びに製函ラインでの製函適性が向上することから、実用性のより優れた撥水防滑性段ボールシートが得られる。
【0014】
表紙1としては、特に限定されず、通常段ボールライナとして使用される任意の材料を用いることができる。クラフトライナ、白ライナ、およびコートボール等が使用可能である。
【0015】
印刷層2は、通常の紙用の印刷インキによって形成することができる。本発明においては、段ボールはコルゲートマシンを通過するので、耐熱性を有するインキにより形成することが好ましい。具体的には、溶剤型または水性型のアクリル、スチレンアクリル、ウレタン、ポリエステル等の合成樹脂、およびニトロセルロース等の変性天然樹脂から選択されるバインダー中に、有機または無機の顔料を分散させたインキが挙げられる。
【0016】
こうした印刷層2を覆う下地層3は、樹脂と撥水性添加剤とを含有するワニスを用いて形成される。
【0017】
樹脂としては、防滑性を低下させない反応性樹脂が好ましい。例えば、エチレン性不飽和カルボン酸の重合体を用いることができ、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、およびフタル酸の重合体が挙げられる。こうしたエチレン性不飽和カルボン酸は、エステルとして用いてもよい。また、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、およびウレタン等のエチレン性不飽和化合物の重合体を用いてもよい。こうした樹脂は、単独でも2種以上を混合して用いることができる。
【0018】
撥水性添加剤としては、例えば、撥水性のシリル基を有する反応性モノマーまたは反応性ポリマーが挙げられる。撥水性を持つシリル基を持つ反応性ポリマーとしては、具体的には、メタクリル変性シリコーン、長鎖アルキル変性シリコーン、ビニルメチルポリシロキサン、およびメチルハイドロジェルポリシロキサン等が挙げられる。有機樹脂とシリコーンレジンを反応させた変性樹脂、 撥水性を持つフッ素を含有するモノマー、または撥水性を持つフッ素を含有するポリマーを用いることもできる。有機樹脂とシリコーンレジンを反応させた変性樹脂としては、例えば、シリコーンアルキッド、シリコーンポリエステル、シリコーンアクリル、シリコーンエポキシ、およびシリコーンフェノールなどが挙げられる。さらに、撥水性を持つフッ素を含有するモノマーとビニルモノマーを共重合させた樹脂、撥水性を持つフッ素を含有するポリマーとビニルモノマーを共重合させた樹脂、フッ素を含有するエポキシ樹脂、およびフッ素を含有するシリコーンなどのような含フッ素樹脂を用いてもよい。
【0019】
撥水性添加剤としてモノマーが用いられる場合には、その含有量は樹脂固形分総量の0.1〜3質量%が好ましい。こうした範囲内であれば、添加剤が良好に分散され、十分な撥水性および耐水性を確保することができる。撥水性添加剤として変性樹脂が用いられる場合には、樹脂固形分総量の2〜50質量%の量で添加することができる。こうした範囲内の含有量であれば、添加剤が良好に分散され、十分な撥水性および耐水性を確保することができる。
【0020】
上述した成分を含有する下地層を防滑層の下地として形成することによって、より高い防滑性とともに、撥水性、耐水性および耐汚染性を段ボールに付与することが可能となった。
【0021】
防滑層4は、乳化重合体樹脂と粘着性調整剤とを含むワニスを用いて形成することができる。乳化重合体樹脂は、ガラス転移点が−35℃〜−50℃の特定のポリマーと、保護成分としてのコロイダルシリカを含む。コロイダルシリカは、ポリマー100質量部に対して60〜120質量部の量で含有され、その平均粒径は12〜25nmに規定される。コロイダルシリカの平均粒径は、レーザー回折式粒子径測定機を用いて求めることができる。
【0022】
−35℃〜−50℃というガラス転移点は、従来から使用されているポリマーのガラス転移点より低い。ポリマーのガラス転移点が高すぎる場合には、標準状態温湿度と低温度低湿度とにおいて、安定した防滑性が得られない。一方、ポリマーのガラス転移点が低すぎる場合には、コルゲート性および耐ブロッキング性が乏しいものとなる。−35℃〜−50℃の範囲内のガラス転移点を有していれば、温湿度の変化に対しても安定した防滑性が確保でき、コルゲート性および耐ブロッキング性も良好となる。
【0023】
こうしたポリマーは、エチレン性不飽和カルボン酸アミドおよびその誘導体、エチレン性不飽和アルコキシシラン化合物、およびエチレン性不飽和カルボン酸等の重合体で得られる。
【0024】
エチレン性不飽和カルボン酸アミドおよびその誘導体としては、例えば、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−ジメチロールアクリルアミド、N−ジメチロールメタクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド、N−ブトキシメチルメタクリルアミド、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−メトキシメチルメタクリルアミド、N−エトキシメチルアクリルアミド、およびN−エトキシメチルメタクリルアミド等が挙げられる。これらは、単独でまたは2種以上を組み合わせで用いることができる。
【0025】
エチレン性不飽和カルボン酸アミドまたはその誘導体は、ポリマーの全質量の3〜15%の質量で含有されることが好ましい。この範囲内で含有されていれば、シリカとの結合が十分に強固となり、重合安定性も良好なポリマーが得られる。例えば、N−アルコキシ基を有するものは、N−アルコキシ基がコロイダルシリカの水酸基と反応してシリカと特に強固に結合する。
【0026】
エチレン性不飽和アルコキシシラン化合物としては、例えば、アクリロイルプロピルトリメトキシシラン、メタクリロイルプロピルトリメトキシシラン、アクリロイルプロピルジメトキシシランおよび、メタクリロイルプロピルジメトキシシラン等が挙げられる。これらは、単独または2種以上の組み合わせで用いることができる。エチレン性不飽和アルコキシシラン化合物は、樹脂粒子表面に化学的に結合して、樹脂粒子表面に物理的に吸着している無機シリカ(コロイダルシリカ)の脱着を抑制する効果を有する。
【0027】
エチレン性不飽和アルコキシシラン化合物は、ポリマーの全質量の0.1〜2%の質量で含有されることが好ましい。この範囲内で含有されていれば、シリカが樹脂粒子表面に十分に吸着でき、乳化重合体樹脂の経時安定性も良好な乳化重合体樹脂が得られる。
【0028】
エチレン性不飽和カルボン酸アミドまたはその誘導体とエチレン性不飽和アルコキシシラン化合物とがポリマー成分として含まれることによって、無機−有機ハイブリッドのシリカが表面に吸着した樹脂粒子が乳化重合体樹脂中に形成されると考えられる。
【0029】
エチレン性不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、およびクロトン酸等やこれらの無水物類が挙げられる。これらは、単独または2種以上の組み合わせで用いることができる。
【0030】
エチレン不飽和カルボン酸は、ポリマーの全質量の1〜5%の質量で含有されることが好ましい。この範囲内で含有されていれば、重合安定性が良好であるとともに、経時における粘度上昇が抑制された乳化重合体樹脂が得られる。
【0031】
上述した成分に加えて、ポリマーには他のエチレン性不飽和化合物が含有される。他のエチレン性不飽和化合物としては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、およびラウリルアクリレート等のアクリル酸のアルキルエステル類;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、およびラウリルメタクリレート等のメタクリル酸のアルキルエステル類が挙げられる。これらの場合、炭素数は1〜22が好ましい。
【0032】
また、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、およびヒドロキシプロピルメタクリレート等の水酸基含有エチレン性不飽和化合物;グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、メチルグリシジルアクリレート、およびメチルグリシジルメタクリレート等のエポキシ基含有エチレン性不飽和化合物が挙げられる。さらに、スチレン、ビニルトルエン、アクリロニトリル、塩化ビニル、酢酸ビニル、および塩化ビニリデン等を用いてもよい。これらは単独、または2種以上の組み合わせで用いることができる。
【0033】
こうした他のエチレン性不飽和化合物は、ポリマーの全質量の78〜95.5%の質量で含有することができる。
【0034】
乳化重合体樹脂に使用されるコロイダルシリカは、平均粒径が12〜25nmの範囲に規定される。コロイダルシリカの平均粒径は、上述したようにレーザー回折式粒子径測定機を用いた測定により求めることができる。平均粒径が12nm未満の場合、および25nmを超えた場合には、重合安定性が得られない。
【0035】
乳化重合体樹脂を調製する際には、コロイダルシリカは、水分散型コロイダルシリカとして用いられる。これは、イオン交換法、酸分解法、または解膠法等を用い、水ガラスの脱ナトリウムにより製造されるシリカの水性分散体である。こうした分散体がポリマー成分と混合されると、ポリマー粒子のほぼ全表面にシリカが吸着する。このため、コロイダルシリカを含まない同一組成の乳化重合体樹脂に比べて耐熱性が高く、プレプリント加工の際には熱圧着によるブロッキングを生じることがない。
【0036】
乳化重合体樹脂は、塩基性領域にて安定化されているので、塩基性領域にて安定化されているコロイダルシリカを用いることが好ましい。具体的には、微量のアルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、アルミニウムイオン、あるいはアミンの添加によって、pH8〜10にて安定化したもの(デュポン社製「ルドックスAM、AS、TM」、日産化学工業社製「スノーテックス20.C.N.」)等が挙げられる。
【0037】
水分散型コロイダルシリカは、ポリマー100質量部に対するコロイダルシリカの質量部が60〜120となるように配合される。60質量部未満の場合には、乳化重合体樹脂の耐熱性および耐摩擦性が劣り、ブロッキングが発生する。一方、120質量部を越えると質量安定性が劣り、成膜性が劣るため連続膜が得られない。この場合も、耐摩擦性、耐水性が低下する。コロイダルシリカの含有量は、ポリマー100質量部に対して80〜100質量部とすることが好ましい。
【0038】
乳化重合体樹脂を調製するにあたっては、上述した成分に加えて、水および界面活性剤が混合される。界面活性剤としては、一般的には、アニオン性界面活性剤が用いられる。アニオン性界面活性剤として、例えば、ラウリルアルコールのスルホン酸アンモニウム塩等のアルコールのスルホン酸塩類、ドデシルベンゼンスルホン酸アンモニウム塩等のアルキルスルホン酸塩類、およびポリエチレングリコールフェニルエーテルアンモニウム塩等を用いることができる。
【0039】
アニオン性活性剤に加えて非イオン性活性剤が併用された場合には、得られる乳化重合体樹脂の安定性をよりいっそう高めることができる。非イオン性活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレンブロックポリマー、およびポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等が挙げられる。
【0040】
界面活性剤は、ポリマー固形分100質量部に対して0.1〜10質量部の量で添加されることが好ましい。こうした範囲内であれば、安定性に優れるとともに、発泡や耐水性低下が防止された乳化重合体樹脂が得られる。
【0041】
乳化重合体樹脂のみを用いて形成された防滑層は、粘着性が強いために、ブロッキングが発生しやすく、ゴミや異物等汚れの付着も生じやすい。これを避けるため、従来から、シリカパウダーおよびポリスチレンパウダー等を後添加して、粘着性が調整されてきた。例えば、添加されるのは、平均粒子径3〜20μmの親水性シリカパウダーや平均粒子径1〜10μmのポリスチレンパウダーなどであり、いずれも乳化重合体樹脂の質量の2〜3%の質量で配合される。シリカパウダーの場合には、動摩擦係数は上昇するものの、配合された組成物は経時で沈殿・分離が発生しやすい。このため、安定した使用が不可である。一方、ポリスチレンパウダーの場合には、滑り角度が低下する。
【0042】
本発明者らは、−35℃〜−50℃のガラス転移点を有するポリマーを含有する乳化重合体樹脂に対しては、粘着性調整剤として平均粒径30nm以上のコロイダルシリカを所定の量で配合することによって、低温環境下で防滑性能が低下せずに安定した防滑性が得られることを見出した。すなわち、低温低湿度で滑りにくく、耐水性にも優れた防滑層を形成することができる。
【0043】
十分な耐ブロッキング性を有する防滑層を形成するために、粘着性調整剤として用いられるコロイダルシリカの平均粒径は30nm以上に規定される。一方、耐摩擦性および組成物の安定性を考慮すると、粘着性調整剤として用いられるコロイダルシリカの平均粒径は、150nm以下にとどめることが望まれる。コロイダルシリカの平均粒径は、上述したように、レーザー回折式粒子径測定機を用いて求めることができる。粘着性調整剤としてのコロイダルシリカの平均粒径は、40nm以上60nm以下がより好ましい。
【0044】
粘着性調整剤の配合量は、乳化重合体樹脂の質量の1〜10%に規定される。1質量%未満の場合には、樹脂の微粘着により23℃50%RH滑り角度が高くバラつきが生じやすい。また、耐ブロッキングが不十分となり、耐摩擦性も低下する。一方、10質量%を超えた場合には、耐ブロッキング性は確保されるものの樹脂層表面が粗くなる。さらに、23℃50%RHの条件下、および5℃25%RHの条件下の両方の条件における滑り角度も低下する。
【0045】
粘着性調整剤としての平均粒径30nm以上のコロイダルシリカが含有されることによって、防滑層の耐熱性および耐ブロッキング性をさらに高めることができる。粘着性調整剤の含有量は、乳化重合体樹脂の質量の3〜8%がより好ましい。
【0046】
本発明の実施形態にかかる防滑層は、粘着性調整剤の原料と前述の乳化重合体樹脂とを含有する防滑剤組成物を用いて形成することができる。粘着性調整剤の原料としては、平均粒径30nm以上のコロイダルシリカを含有する水分散型コロイダルシリカを用いることができる。
【0047】
使用し得る水分散型コロイダルシリカは、イオン交換法、熱分解法、解膠法等を用い水ガラスの脱ナトリウムにより製造されるシリカの水性分散体である。具体的には、pH8〜10にて安定化したもの(日産化学工業社製「スノーテックスXL,YL、ZL」等)が挙げられる。
【0048】
本発明の防滑剤組成物には、その性能を阻害しない範囲で、必要に応じて、アルコール系溶剤、ワックスエマルジョン、消泡剤、防腐剤、または増粘剤等を添加することができる。
【0049】
このようにして得られた下地層3、防滑層4は、段ボールシート化するコルゲートマシンのダブルフェーサでの180℃の熱鉄板のコスレ抵抗を軽減させることができ、防滑層の傷、取られが従来と比較して低減できる。
【0050】
本発明に使用される片面段ボール5の材料としては、通常使用されるライナ、中芯であればいずれも利用可能である。
【0051】
インキ、下地層、および防滑層の印刷は、グラビア印刷、フレキソ輪転印刷、オフセット輪転印刷等の印刷方式が可能で、パターン印刷できる方法が好ましい。
【0052】
本発明によれば、撥水性添加剤を含有する下地層の上に、温湿度依存性の少ない高い防滑性を有する防滑層が設けられるので、撥水性および耐汚染性に加えて、高い防滑性を備えた優れた防滑性段ボールをコルゲートマシンで安定して製造することが可能となった。ストライプ状などのパターン状に防滑層が設けられた場合には、防滑層により防滑性を維持しつつ、撥水性に優れる下地層を表面の一部に露出させることができる。これによって、高い防滑性を維持したまま、撥水性や製函ラインでの製函特性も向上させることが可能となる。
【0053】
さらなる利益および変形は、当業者には容易である。それゆえ、本発明は、そのより広い側面において、ここに記載された特定の記載や代表的な態様に限定されるべきではない。したがって、添付の請求の範囲およびその等価物によって規定される本発明の包括的概念の真意または範囲から逸脱しない範囲内で、様々な変形が可能である。
【実施例】
【0054】
以下、実施例により本発明を説明する。実施例中の「部」は「質量部」をさし、「%」は「質量%」をそれぞれさす。
【0055】
まず、乳化重合体樹脂を調整した。四つ口フラスコに、界面活性剤、コロイダルシリカおよび水を収容し、窒素ガス置換して70℃に保った。次に、エチレン性不飽和カルボン酸アミド、エチレン性不飽和アルコキシシラン化合物、エチレン性不飽和カルボン酸、および、他のエチレン性化合物を混合し、2時間かけて滴下ロートから滴下した。この間、反応温度は70〜80℃に保った。滴下終了後、75℃で2時間熟成した。重合開始剤として有機化酸化物と有機還元剤との組み合わせを用い、アンモニアにてpH7〜9に調整した。用いた有機化酸化物および有機還元剤は、それぞれtert−ブチルヒドロパーオキシドおよびロンガリットである。乳化重合体樹脂の組成を下記表1にまとめる。
【表1】

【0056】
なお、上記表1中の*1〜*3は、以下のとおりである。
【0057】
*1 コロイダルシリカ
a)平均粒径22〜25nm、デュポン(株)製「ルドックスTM」
b)平均粒径13〜14nm、デュポン(株)製「ルドックスAM」
c)平均粒径7〜10nm、日産化学工業(株)製「スノーテックスS」
d)平均粒径40〜60nm、日産化学工業(株)製「スノーテックスXL」
*2 ラウリルオキシスルホン酸アンモニウム
*3 ポリオキシエチレンアルキレンエーテル
上記表1に示されるように、(A5)はおよび(A6)は、ポリマー成分のガラス転移点が−38〜−55℃の範囲外である。(A8)および(A9)は、コロイダルシリカの固形分換算量が、60〜120の範囲外である。(A10)はコロイダルシリカの平均粒径が小さく、(A11)はコロイダルシリカの平均粒径が大きい。
【0058】
各乳化重合体樹脂の物性を、下記表2にまとめる。
【表2】

【0059】
固形分は、150℃で1時間加熱し、不揮発分の質量を測定して算出した。
【0060】
粘度はBM型回転粘度計により測定した。
【0061】
重合安定性は、40℃環境下にて1ヶ月保存した後、以下の基準で評価した。沈殿・分離の程度は、分離分の質量を測定して求めた。
【0062】
5:沈殿・分離および粘度変化が認められない。
【0063】
4:1%以内の沈殿・分離があるが、粘度変化が認められない。
【0064】
3:5%以内の沈殿・分離があるが、粘度変化が認められない。
【0065】
2:10%以内の沈殿・分離があり、20%以内の粘度変化が認められる。
【0066】
1:10%を超える沈殿・分離があり、100%以上の粘度変化またはゲル化が認められる。
【0067】
重合安定性は、“4”以上であれば合格レベルである
特性の総合的な評価から、合成例A10およびA11の乳化重合体樹脂は、防滑層の作製に使用できないと判断した。
【0068】
(実施例1〜10)
下記表3に示すように下地層と防滑層とを組み合わせて、実施例1〜10の段ボールシートを作製した。それぞれの実施例について、100個のサンプルを準備した。なお、防滑層における各成分の配合量は、防滑剤組成物全体に対する質量%を表わしている。
【表3】

【0069】
上記表3における下地層の組成は、以下のとおりである。
【0070】
(a)スチレンアクリル樹脂水性エマルジョン(BASF社製、固形分45%)
100部
フッ素含有水性エマルジョン(固形分50%) 10部
ポリエチレンワックスエマルジョン(固形分40%) 3部
(b)スチレンアクリル樹脂水性エマルジョン(BASF社製、固形分45%)
100部
変性シリコーン含有水性エマルジョン(固形分50%) 10部
ポリエチレンワックスエマルジョン(固形分40%) 3部
(c)スチレンアクリル樹脂水性エマルジョン(BASF社製、固形分45%)
100部
ポリエチレンワックスエマルジョン(固形分40%) 3部
上述の(a)〜(c)の下地層のうち、(c)には撥水性添加剤が含有されていない。
【0071】
上記表3中の防滑層における粘着性調整剤は、それぞれ以下を表わす。
【0072】
B1:水分散型コロイダルシリカ(平均粒子径10〜25nm)
B2:水分散型コロイダルシリカ(平均粒子径40〜60nm)
B3:シリカパウダー(平均粒子径2〜3nm)
B4:スチレンパウダー(平均粒子径5〜8nm)
WAXエマルジョンとしては、ポリエチレン系エマルジョン(粒径1μm、固形分40%を用いた。消泡剤としては、自己乳化型シリコン系消泡剤(固形分100%)を用いた。具体的には、ノプコ8034−L(サンンノプコ(株)社製)である。
【0073】
さらに、下記表4に示すように下地層の種類や防滑層の組成などを変更して、比較例1〜6の段ボールシートを作製した。実施例の場合と同様、各比較例について、100個のサンプルを準備した。
【0074】
比較例1:乳化重合体樹脂の種類をA5に変更した以外は、実施例1と同様。
【0075】
比較例2:乳化重合体樹脂の種類をA6に変更した以外は、実施例1と同様。
【0076】
比較例3:乳化重合体樹脂の種類をA8に変更した以外は、実施例1と同様。
【0077】
比較例4:乳化重合体樹脂の種類をA9に変更した以外は、実施例1と同様。
【0078】
比較例5:粘着性調整剤をB1に変更した以外は、実施例2と同様。
【0079】
比較例6:粘着性調整剤をB3に変更した以外は、実施例8と同様。
【0080】
比較例7:粘着性調整剤をB4に変更した以外は、実施例8と同様。
【0081】
比較例8:下地層を(c)に変更した以外は、実施例2と同様。
【表4】

【0082】
表紙としてKライナ(KBN140g、東海パルプ株式会社製)を準備し、グラビア印刷機で印刷を行なって、一方の面にインキ層、下地層、および防滑層を順次形成した。各層の組成およびグラビア印刷の条件等を以下にまとめる。
【0083】
インキ層:GPW MK インキ(サカタインクス株式会社製) 100部
イソプロピルアルコール28部 水12部添加し印刷
版深40μm 塗布量1.5g/m2
下地層:メタノール20部、水10部添加し印刷
版深35μm、塗布量1.6g/m2
防滑層:メタノール15%添加し印刷
版深45μm、塗布量2.9/m2
なお、インキ層および下地層は、表紙としてのライナの全面に形成し、防滑層は、所定の領域にパターン状に形成した。具体的には、組み立て後の容器の側面に相当する部分を除いて、底面に相当する部分および天面に相当する部分に、防滑層を形成した。いずれの部分においても、防滑層は均一とせずパターン状に形成した。
【0084】
所定の部分にパターン状の防滑層を形成した後、コルゲートマシンを用いて片面段ボールと貼り合わせて段ボールシートを作製した。最後に、図2に示されるような型に打ち抜いた。図2に示されるように、打ち抜かれたシートにおいては、組み立て後の容器の側面に相当する部分13には、防滑層は形成せずに下地層のみが形成されている。容器の底面に相当する部分11における防滑層のパターンは、塗布量の多い領域11aと塗布量の少ない領域11bとにより構成され、容器の天面に相当する部分12における防滑層のパターンは、塗布量の多い領域12aと塗布量の少ない領域12bとにより構成される。
【0085】
各実施例および比較例において防滑層の形成に用いた組成物について、それぞれ安定性を調べた。安定性を調べるにあたっては、組成物を40℃環境下で1ヶ月保存した後、以下の基準にて評価した。
【0086】
5:沈殿・分離および粘度変化が認められない。
【0087】
4:1%以内の沈殿・分離があるが、粘度変化が認められない。
【0088】
3:5%以内の沈殿・分離があるが、粘度変化が認められない。
【0089】
2:10%以内の沈殿・分離があり、20%以内の粘度変化が認められる。
【0090】
1:10%を超える沈殿・分離があり、100%以上の粘度変化、ないしゲル化が認められる。
【0091】
組成物の安定性は、“4”以上であれば合格レベルである。
【0092】
また、実施例および比較例の段ボールシートに形成された防滑層について、防滑性、動摩擦係数、耐摩擦性、撥水性、耐汚染性、耐水性、コルゲート性、および耐ブロッキング性を調べた。それぞれの実施例および比較例においては、複数のサンプルの平均を求め、表にまとめた。
【0093】
防滑性は、JIS P 8111に規定する標準状態(23℃50%)、低湿条件は23℃25%、低温低湿条件は5℃25%を採用した。業界標準による傾斜方式で、350mL飲料24缶入りケース2段重ねケースの滑り角度を測定した。3つの条件での測定は、作製後1週間以内のシートについて行ない、作製後1ヶ月経過したシートについては、標準状態で測定した。防滑性は、次の条件を満たせば合格範囲である。45.0°以上であること、および標準状態温湿度と低温低湿度とにおける差が7.0°未満、好ましくは4.0°未満であることが要求される。
【0094】
動摩擦係数は、摩擦角測定機TR型((株)東洋精機製作所製)を使用し、防滑層同士にて測定した。測定条件は、JIS P 8111に規定する標準状態(23℃50%)、および低温低湿条件は5℃25%を採用した。動摩擦係数は、0.63以上であれば合格レベルである。
【0095】
耐摩擦性は、染色堅牢度用摩擦試験機(東洋精機製作所製)にて実施し、防滑層同士にて500g、擦り回数100回にて試験後、以下の基準にて目視評価した。
【0096】
5:塗膜表面の状態変化は認められない。
【0097】
4:塗膜表面に光沢変化が認められる。
【0098】
3:塗膜表面に損傷が認められる。
【0099】
2:塗膜表面に50%以上の損傷が認められる。
【0100】
1:段ボール原紙に紙剥け状態が認められる。
【0101】
耐摩擦性は、4以上であれば合格レベルである。
【0102】
撥水性は、JIS P 8111に規定する標準状態にて、JIS P 8137に規定される方法にて測定した。防滑層非コート部、すなわち下地層について調べた。撥水性は、R8以上であれば合格レベルである。
【0103】
耐汚染性は、JIS P 8111に規定する標準状態にてシート表面をゼロックストナーで汚染させ、余分なトナーを叩き落とした後、汚染させる前との色差(ΔE)を測定し、以下の基準で評価した。
【0104】
5:色差が10%未満
4:色差が10〜29
3:色差が30〜39
2:色差が40〜49
1:色差が50以上
動汚染性は、3以上であれば合格レベルである。
【0105】
耐水性は、JIS P 8111に規定する標準状態にてJIS P 8140に規定される方法にて行なった。試験時間は5分、単位はg/m2である。防滑層、および下地層(防滑層非コート部)の両方について調べた。耐水性は、20g/m2以下であれば合格レベルである。
【0106】
コルゲート性は、三菱重工(株)製、コルゲーターH250 1800mm幅 250m/分 B段貼合にて評価。以下の基準にて目視評価した。
【0107】
5:塗膜表面の状態変化は認められない。
【0108】
4:塗膜表面に光沢変化が認められるが、損傷は認められない。
【0109】
3:塗膜表面に損傷が認められる。
【0110】
2:塗膜表面に50%以上の損傷が認められる。
【0111】
1:段ボール原紙に紙剥け状態が認められる。
【0112】
コルゲート性は、4以上であれば合格レベルである。
【0113】
耐ブロッキング性は、350mL飲料24缶入りケースを重ねて、荷重200kg掛け、30℃/90%RH下に24時間保存後剥離し、剥離度合いおよびケース防滑性樹脂の状態を以下の基準にて評価した。
【0114】
5:剥離抵抗なし。インキ取られは認められない。
【0115】
4:僅かの剥離抵抗あり。インキ取られは認められない。
【0116】
3:剥離抵抗があり。インキ取られが発生。
【0117】
2:剥離抵抗があり。面積の50%以上にインキ取られが認められる。
【0118】
1:剥離抵抗が高く2ケース持ちあがる。インキ取られ、紙剥けが認められる。
【0119】
耐ブロッキング性は、4以上であれば合格レベルである。
【0120】
得られた結果を、組成物の安定性とともに下記表5および6にまとめる。
【表5】

【0121】
【表6】

【0122】
上記表に示されるように、比較例1〜4は、防滑層の形成に用いた乳化重合体樹脂の組成が、所定の範囲外である。具体的には、比較例1および2は、それぞれポリマーのガラス転移点が−28℃および−55℃と、−35℃〜−50℃の範囲から外れている。比較例3および4は、ポリマー100質量部に対するコロイダルシリカの質量部が、それぞれ50質量部および130質量部と範囲外である。
【0123】
これに起因して、いずれも性能が劣っている。比較例1では、標準状態温湿度と低温低湿度とにおける防滑性差が大きく、比較例2では、コルゲート性および耐ブロッキング劣っている。比較例3では、ベタ付き強くコルゲート性および耐ブロッキング劣る。さらに、比較例4では、重合安定性が劣るのに加えて、成膜性が劣るため、連続膜が得られず、耐摩擦性および耐水性が低下している。
【0124】
比較例5〜7は、粘着性調整剤が所定の条件から外れている。比較例5では、コロイダルシリカが用いられているものの、その平均粒径が10〜25nmと小さく、所定の範囲外である。比較例6および7で用いられた粘着性調整剤は、それぞれシリカパウダーおよびスチレンパウダーであり、コロイダルシリカではない。
【0125】
これに起因して、比較例5では耐ブロッキング劣り、比較例6,7では、経時で沈殿・分離が発生しやすく、安定して使用することができなかった。
【0126】
なお、比較例8においては、下地層に添加剤が含有されていない。このため、下地層の撥水性が不十分となり、段ボールシートとして撥水性および耐水性が劣っている。
【0127】
これに対して、所定の条件の下地層と防滑層とを有する実施例1〜10は、いずれも良好な特性が得られたことが、表5の結果から明らかである。
【符号の説明】
【0128】
1…表紙; 2…印刷層; 3…下地層; 4…防滑層; 5…片面段ボール
11…容器の底面に相当する部分; 11a,11b…防滑層の塗布パターン
12…容器の天面に相当する部分; 12a,12b…防滑層の塗布パターン
13…容器の側面に相当する部分。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂成分および撥水性添加剤を含有する下地層と、前記下地層上に設けられた防滑層とを具備する防滑性段ボールであって、
前記防滑層は、乳化重合体樹脂と、前記乳化重合体樹脂の質量の1%以上10%以下の質量で配合された粘着性調整剤とを含有し、
前記乳化重合体樹脂は、ガラス転移点−35℃〜−50℃のポリマーと、前記ポリマー100質量部に対して60〜120質量部の量で配合され、平均粒径が12〜25nmのコロイダルシリカからなる保護成分とを含み、
前記粘着性調整剤は、平均粒径が30nm以上のコロイダルシリカからなることを特徴とする防滑性段ボール。
【請求項2】
前記下地層の前記樹脂は、エチレン性不飽和カルボン酸の重合体、エチレン性不飽和カルボン酸のエステルの重合体、およびエチレン性不飽和化合物の重合体からなる群から選択される少なくとも一種であることを特徴とする請求項1記載の防滑性段ボール。
【請求項3】
前記下地層は、JIS P 8137による撥水性がR8以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の防滑性段ボール。
【請求項4】
前記下地層に含有される前記撥水性添加剤は、撥水性を持つシリル基を持つ反応性モノマー、撥水性を持つシリル基を持つ反応性ポリマー、有機樹脂とシリコーンレジンとを反応させた変性樹脂、撥水性を持つフッ素を含有するモノマー、撥水性を持つフッ素を含有するポリマー、および含フッ素樹脂からなる群から選択される少なくとも一種を含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の防滑性段ボール。
【請求項5】
前記防滑層における前記ポリマーは、エチレン性不飽和カルボン酸アミドまたはその誘導体とエチレン性不飽和カルボン酸とを含むモノマー成分、およびエチレン性不飽和アルコキシシラン化合物を含むことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の防滑性段ボール。
【請求項6】
前記防滑層は、印刷によりストライプ状のパターンに設けられていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の防滑性段ボール。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−192691(P2012−192691A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−59785(P2011−59785)
【出願日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【出願人】(000253503)キリンホールディングス株式会社 (247)
【Fターム(参考)】