防滴機構を備えた濾過器カートリッジ
末端部と、接続端部と、長手方向軸と、を含むハウジングであって、接続端部が流体入口と流体出口とを含む、ハウジングを備える、濾過器カートリッジが開示される。この濾過器カートリッジは、ハウジング内の末端部と接続端部との間に配置され、流体入口を流体出口に流体連通させる濾過媒体を更に含む。流体入口又は流体出口の1つは1つ以上の防滴毛管チャネルを含み、防滴毛管チャネルの横断面は少なくとも1つの方向に細長い。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
冷蔵庫などの電化製品には、消費者に氷及び冷水を供給する手段が含まれることが多い。供給される水、並びに製氷に用いられる水は、好ましくは不純物を除去して味を改善するために濾過される。したがって、多くの冷蔵庫は、消費者に供給する前に住宅用水道水を濾過するために搭載された使い捨て水濾過器カートリッジを含む。
【0002】
ほとんどの住宅においては空間が非常に貴重であるため、水濾過システムが占める空間全体が最小化されるように、しかも消費者が取り外し及び交換を行う際の便宜のため濾過器カートリッジに容易に手が届くように、かかる冷蔵庫を設計することが望ましいことが多い。これらの基準を用いる設計により、様々な配向で最適に配置される濾過器カートリッジがもたらされ得る。例えば、この濾過器カートリッジは、水平方向、即ち、横倒しに取り付けられ、取り外されてよい。
【0003】
使用済みの濾過器カートリッジが冷蔵庫から取り外される場合、カートリッジには、通常、カートリッジから望ましくなく滴下又は漏出し得る残留水が含まれる。これは、濾過器カートリッジが水平に配向され、残留水がカートリッジの入口又は出口から流出する傾向にある場合に特に発生しやすい。濾過器カートリッジの水平取り付け及び取り外しが行われない冷蔵庫であっても、濾過器カートリッジが過失により水平に倒されたり、逆さまに把持されたりすると、消費者が残留水を漏出させる場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電化製品からの取り外し時に滴下又は漏出を低減できるか、防止できる濾過器カートリッジに対する継続的な必要性が存在する。濾過器カートリッジ全体における圧力低下を増大させずに、電化製品からの取り外し時に滴下又は漏出を低減できるか、防止できる濾過器カートリッジに対する必要性も存在する。バルブ又は他の可動部品を用いずに、電化製品からの取り外し時に滴下又は漏出を低減できるか、防止できる濾過器カートリッジに対する必要性も存在する。比較的製造が容易でありながらも、電化製品からの取り外し時に滴下又は漏出を低減できるか、防止できる濾過器カートリッジに対する必要性も存在する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、概して、使い捨て濾過器カートリッジを備えた水濾過システムに関する。本開示は、更に、防滴機構を備えた濾過器カートリッジに関する。かかるシステムは、既知の濾過器カートリッジと比較して相対的により高い比率の、水が貫流するための開放領域を提供する一方で、滴下を防止できる。水流用の相対的により広い開放領域のおかげで、本開示による濾過器カートリッジは、既知の濾過器と比較して低減された流動抵抗を有するように製造できる。本開示による防滴機構は、既知の防滴機構よりも容易に製造可能である。
【0006】
一実施形態では、本開示は、末端部と、接続端部と、長手方向軸と、を含むハウジングを備える、濾過器カートリッジを提供する。典型的には、接続端部は、流体入口と、流体出口と、を含む。濾過媒体は、ハウジング内の末端部と接続端部との間に配置される。濾過媒体は、流体入口を流体出口に流体連通させ、流体入口又は流体出口の1つは、1つ以上の防滴毛管チャネルを含み、防滴毛管チャネルの横断面は、少なくとも1つの方向に細長い。
【0007】
幾つかの実施形態では、防滴毛管チャネルの横断面は、長手寸法と、短手寸法と、を含み、短手寸法は約0.020インチ(約0.0508センチメートル)〜約0.060インチ(約0.1524センチメートル)の範囲であり、長手寸法は約0.080インチ(約0.2032センチメートル)を超える。一実施形態では、短手寸法は約0.025インチ(約0.0635センチメートル)〜約0.040インチ(約0.1016センチメートル)の範囲である。一実施形態では、短手寸法は約0.030インチ(約0.0762センチメートル)である。
【0008】
幾つかの実施形態では、1つ以上の防滴毛管チャネルの長手寸法は湾曲部分を含む。幾つかの実施形態では、1つ以上の防滴毛管チャネルの長手寸法は実質的直線を含む。幾つかの実施形態では、1つ以上の防滴毛管チャネルの長手寸法は頂点を含む。一実施形態では、1つ以上の防滴毛管チャネルの短手寸法は、長手寸法に沿って実質的に一定である。
【0009】
幾つかの実施形態では、防滴毛管チャネルは長手方向軸から外側に放射状に広がる。幾つかの実施形態では、防滴毛管チャネルは互いに平行に配向される。幾つかの実施形態では、防滴毛管チャネルは長手方向軸の周りに円周方向に配向される。
【0010】
一実施形態では、接続端部は、濾過媒体に対して封止された内側支柱と、濾過媒体の開放内芯と流体連通している中央導管と、を含む。幾つかのかかる実施形態では、ハウジングの接続端部にスリーブが形成され、内側支柱を放射状に包囲する。幾つかの実施形態では、1つ以上の防滴毛管チャネルは内側支柱とスリーブとの間の環状領域に広がるフランジに配置され、防滴毛管チャネルは濾過媒体の外表面と流体連通している。
【0011】
一実施形態では、内側支柱はフランジを含む。幾つかのかかる実施形態では、フランジはスリーブに取り付けられていない。幾つかの実施形態では、1つ以上の防滴毛管チャネルはフランジの半径方向外縁部を遮る。
【0012】
別の実施形態では、スリーブはフランジを備える。幾つかのかかる実施形態では、フランジは内側支柱に取り付けられていない。幾つかの実施形態では、1つ以上の防滴毛管チャネルはフランジの半径方向内縁部を遮る。
【0013】
幾つかの実施形態では、中央導管は流体出口を形成し、1つ以上の防滴毛管チャネルは流体入口を形成する。
【0014】
一実施形態では、各防滴毛管チャネルは少なくとも1つのチャネル側壁を含み、少なくとも1つのチャネル側壁のRa表面粗さの高さは約64マイクロインチ(約1.626マイクロメートル)を超える。
【0015】
幾つかの実施形態では、各防滴毛管チャネルは長手方向軸に沿って測定される奥行き寸法を更に含み、奥行き寸法は約0.30インチ(約0.762センチメートル)〜約1.0インチ(約2.54センチメートル)の範囲である。一実施形態では、奥行き寸法は約0.40インチ(約1.016センチメートル)〜約0.70インチ(約1.778センチメートル)の範囲である。
【0016】
本開示はまた、チャネル側壁を有する防滴毛管チャネルを形成するための成形型を設計する工程と、この成形型の質感を指定して、少なくとも64マイクロインチ(1.626マイクロメートル)のRa表面粗さの高さをチャネル側壁に付与する工程と、この質感を加えられた成形型に溶融プラスチックを注入して、少なくとも64マイクロインチ(1.626マイクロメートル)のRa表面粗さの高さのチャネル側壁を有する防滴毛管チャネルを形成する工程と、を含む、防滴毛管チャネルの形成方法も提供する。
【0017】
本発明のこれら及び他の態様は、以下の「発明を実施するための形態」から明らかになるであろう。しかし、決して、上記概要は、請求された主題に関する限定として解釈されるべきでなく、主題は、手続処理の間補正することができる添付の特許請求の範囲によってのみ規定される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本明細書全体にわたって、類似の参照数字が類似の要素を指す添付図面が参照される。
【図1】本開示による濾過器カートリッジの斜視図。
【図2】本開示による濾過器カートリッジの図1の2−2で切った断面図。
【図3】本開示による濾過器カートリッジの分解斜視図。
【図4】本開示による濾過器カートリッジの分解斜視図。
【図5】本開示による濾過器カートリッジの図2の10−10から見た平面図であり、防滴毛管チャネルの様々な構成を示す。
【図6】本開示による濾過器カートリッジの図2の10−10から見た平面図であり、防滴毛管チャネルの様々な構成を示す。
【図7】本開示による濾過器カートリッジの図2の10−10から見た平面図であり、防滴毛管チャネルの様々な構成を示す。
【図8】本開示による濾過器カートリッジの図2の10−10から見た平面図であり、防滴毛管チャネルの様々な構成を示す。
【図9】本開示による濾過器カートリッジの図2の10−10から見た平面図であり、防滴毛管チャネルの様々な構成を示す。
【図10】本開示による濾過器カートリッジの図2の10−10から見た平面図であり、防滴毛管チャネルの様々な構成を示す。
【図11】横倒しに配向されており、内部に残留流体が含まれている、本開示による濾過器カートリッジの図1の2−2で切った断面図。
【図12】本開示による濾過器カートリッジの斜視図。
【図13】本開示による例示の防滴毛管チャネルの図5の13−13で切った斜視断面図。
【図14】本開示による例示の防滴毛管チャネルの横断面の平面図。
【図15】本開示による例示の防滴毛管チャネルの横断面の平面図。
【図16】本開示による例示の防滴毛管チャネルの横断面の平面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1及び2は、本開示による例示の濾過器カートリッジ100を示す。示されるように、濾過器カートリッジ100は、末端部104(図11又は12)と、接続端部106と、長手方向軸103と、を含む、ハウジング102を備える。典型的には、接続端部106は、流体入口110と、流体出口112と、を含む。濾過媒体120は、ハウジング102内の末端部104と接続端部106との間に配置される。濾過媒体120は、流体入口110を流体出口112に流体連通させ、流体入口110又は流体出口112の1つは、1つ以上の防滴毛管チャネル130を含み、防滴毛管チャネル130の横断面は、少なくとも1つの方向に細長い。図1及び図2は1つ以上の防滴毛管チャネル130を含むものとして流体入口110を示しているが、示される防滴毛管チャネル130は流体出口112も形成できると想定される。流体入口110及び流体出口112の両方が1つ以上の防滴毛管チャネル130を含み得ることも想定される。
【0020】
防滴毛管チャネル130は、濾過器カートリッジ100内部に取り込まれた残留流体の滴下を少なくとも2種類の方法で低減するか、防止することができる。
【0021】
まず、図11及び13に示されるように、残留水は、毛管現象によって防滴毛管チャネル130に引き込まれる。残留水が防滴毛管チャネル130に引き込まれると、水とチャネル側壁132との間の力の相互作用によって保持される。この毛管現象によって生じる引力は十分に強いため、濾過器カートリッジ100が横倒しになったとしても、通常重力だけでは、残留水に防滴毛管チャネル130を貫流させ、滴下又は漏出を発生させるには不十分である。
【0022】
次に、流体は、防滴毛管チャネル130内に保持される残留水によってもたらされる真空のおかげで、他方の流体口(常にではないが、通常は中央導管144を通って流体出口112)内に保持される。この状況は、流体で満たされた飲み物用ストローの一端を親指で塞ぐことに類似しており、この場合、流体はストローの自由端から流出しない。これは、反対側の端部を親指で真空密閉したために、空気侵入が妨げられるためである。ここでは、防滴毛管チャネル130内に保持された残留水がストロー上の親指に類似の役割を果たしており、真空を破壊して他方の流体口から流体を解放する空気侵入を防いでいる。
【0023】
同様の防滴現象は、これまでにFritzeに付与された、同一所有者の米国特許第6,632,355号(「Fritze‘355」)に記載されており、この開示の内容全体を参照によって本明細書に組み込むものとする。しかしFritze‘355は、防滴毛管チャネルの使用を開示しておらず、むしろ小内径穴(即ち、円形横断面を有する穴)の使用を報告する。Fritze‘355には、次のように記載されている。
【0024】
濾過器の末端キャップ上の小内径穴は、水の表面張力が、水濾過器アセンブリの取り外し時の小内径穴からの水の漏出を防ぐ寸法である。これによりもたらされる真空がまた、濾過器の末端キャップ上の貫通穴からの水の漏出をも防止する。
【0025】
Fritze‘355、第8段落、44〜49行目(参照番号は省略)。
【0026】
しかし、Fritze‘355の小内径穴には、使用の際に若干の欠点が存在し得る。例えば、典型的には直径約0.050インチ(0.127cm)の小内径穴は、一般に機械加工(即ち、ドリル加工)又は極小ピンを使用した鋳造のいずれかによらなければならない。通常、機械加工は鋳造作業よりも高価であり、時間がかかる。また、小内径穴の鋳造に用いられる極小ピンは極めて壊れやすく、損傷しやすい。したがって、いずれの製造方法も不都合であり得る。
【0027】
更に、複数のFritze‘355型の穴が1つの部品に形成されるとしても、流体流用に設けられた開放領域(横断面における開放領域)の相対量は、1つ以上の防滴毛管チャネル130が用いられる場合に設けることができる開放領域よりも著しく小さい。
【0028】
例えば、直径Dを有するFritze‘355による小内径穴を長さLの経路に沿って、中心を距離xずつ離隔して配置すると仮定すれば、水流用の総開放領域A穴は次の式で算出できる。
【0029】
【数1】
【0030】
一方、幅W(即ち、短手寸法136)及び経路長L(即ち、長手寸法134)を有する防滴毛管チャネル130については、水流用の総開放領域Aチャネルは次の式で算出できる。
【0031】
【数2】
【0032】
その結果、A穴に対するAチャネルの比率は次の式で算出できる。
【0033】
【数3】
【0034】
この式を単純化すると次のようになる。
【0035】
【数4】
【0036】
実際には、小内径穴の中心間の距離xはDよりも大きくなくてはいけないことに留意されたい。これは、xよりも小さい値であれば、隣接する穴が互いに干渉するようになるためである。したがって、実際には現実的ではないが、所与の経路長Lにおける小内径穴の数は、理論的にはx=Dの場合に最大となる。したがって、A穴が理論的に最大化された場合のA穴に対するAチャネルの比率は、式3でxの代わりにDを用いることによって算出でき、次のようになる。
【0037】
【数5】
【0038】
したがって、防滴毛管チャネル130の幅Wが各穴の直径Dと等しくなるように選択されると、A穴に対するAチャネルの比率は、常に次の値よりも大きくなる。
【0039】
【数6】
【0040】
したがって、上記のように配置される場合、防滴毛管チャネル130は、直径が防滴毛管チャネル130の幅と同じである、1列に並んだ小内径穴よりも、少なくとも27%多い水流用の開放領域を常に設けることができるはずである。当然ながら、実用においては、小内径穴をはるかに大きい間隔で離隔する必要があり、単位長さあたりの小内径穴が少なくなるため、この比率は、通常、はるかに大きくなる。1つの実際的比較例を次に示す。
【0041】
0.050インチ(0.127cm)の直径を有し、2インチ(5.08cm)の経路長にわたって中心を直径2つ分(0.100インチ(0.254cm))の距離ずつ離隔した、Fritze‘355によって教示される小内径穴を仮定すると、水流用の総開放領域A穴は次のように算出される。
【0042】
【数7】
【0043】
次に、0.030インチ(0.0762cm)の幅及び2インチ(5.08cm)の経路長を有する防滴毛管チャネル130を仮定すると、水流用の総開放領域Aチャネルは次のように算出できる。
【0044】
【数8】
【0045】
したがって、上記の例では、A穴に対するAチャネルの比率は、次のとおりである。
【0046】
【数9】
【0047】
したがって、上記の典型的な実用では、1つの防滴毛管チャネル130は、濾過器カートリッジ100に防滴機能を提供しつつ、同じ長さに沿って配置された典型的な1列の小内径穴よりも、約53%大きい水流用の開放領域を設けることができる。したがって、防滴毛管チャネル130は、典型的な1列の小内径穴よりも相対的により大きい水流用の開放領域をもたらすことができ、防滴毛管チャネル130には、濾過器カートリッジ100の流体入口110又は流体出口112を設けることができるので、本開示による濾過器カートリッジ100は、相対的により小さな全体的圧力低下を有するように設計され得る。
【0048】
上記の例で述べたように、幅Wは、1つ以上の防滴毛管チャネル130の短手寸法136に等しくてよく、一方、経路長Lは長手寸法134に等しくてよい。
【0049】
図2及び3に示されるように、接続端部106は複数の部品で構成されてよい。示されるように、接続端部106は、スリーブ150内の長手方向軸103に沿って配置される内側支柱140を含む。必ずしもではないが、典型的には、スリーブ150はハウジング102上に一体形成される。幾つかの実施形態では、内側支柱140は、濾過媒体120の開放内芯124と流体連通している中央導管144を含む。示されるように、中央導管144は流体出口112で終結する。スリーブ150は、ハウジング102からの円筒形突出部を含んでよい。幾つかの実施形態では、内側支柱140とスリーブ150との間の空間に環状領域170が広がる。幾つかの実施形態では、1つ以上の防滴毛管チャネル130は、環状領域170に広がるフランジ160上に配置される。
【0050】
フランジ160は、図4に示されるようにスリーブ150から内側に放射状に広がってよいか、図3に示されるように内側支柱140から外側に放射状に広がってよい。
【0051】
防滴毛管チャネル130の横断面は、図5〜10に示されるように閉じていてもよいし、又は、1つ以上の防滴毛管チャネル130は、図3に示されるようにフランジ160の半径方向外縁部164を遮り、若しくは図4に示されるようにフランジ160の半径方向内縁部168を遮ってもよい。1つ以上の防滴毛管チャネル130が半径方向外縁部164又は内縁部168を遮る場合、遮られた半径方向縁部は、隣接する表面に取り付けられても取り付けられなくてもよい。図2に示されるように、フランジ160は内側支柱140から外側に放射状に広がり、スリーブ150と密接に当接するが、取り付けられてはいない。かかる実施形態では、フランジ160とスリーブ150との間に小間隙が存在してよい。この小間隙は、流体の側路をもたらすことがあるが、この間隙が1つ以上の防滴毛管チャネル130よりも流体に対してより制限的である限り許容される。かかる構成体は、内側支柱140のスリーブ150内へのアセンブリをより速くかつ簡単にしつつ、濾過器カートリッジ100の防滴機能を維持できる。
【0052】
フランジ160が内側支柱140から外側に放射状に広がる実施形態では、防滴毛管チャネル130がフランジ160の半径方向外縁部164を遮るように構成することが有利であり得る。例えば、内側支柱140が射出成形される場合、濾過器カートリッジ100の長手方向軸103に対して平行に分かれる成形型は、長手方向軸103に直交して分かれる成形型よりも、設計及び製造が容易で、費用が安くつくことがある。成形型が長手方向軸103に対して平行に分かれる場合、成形型の各半分から突出する「指」つまり「フィン」は、溶融プラスチックで1つ以上の防滴毛管チャネル130を形成してよく、一方で、成形型の半分が引き離されると、半径方向外縁部164が遮られた状態でフランジ160が残される。
【0053】
幾つかの実施形態では、濾過媒体120は内側支柱140に取り付けられている。幾つかのかかる実施形態では、中央導管144は、濾過媒体120の開放内芯124の内部に突出する。濾過媒体120は、例えばカーボンブロック、プリーツ加工を施した複合材料、中空繊維束、逆浸透膜、又はこれらの組み合わせを含んでよい。通常、内側支柱140は、内側支柱140と濾過媒体120との間の流体側路を防ぐように濾過媒体120に取り付けられる。かかる実施形態では、濾過されるべき流体は、流体入口110に流入し、濾過媒体120の外表面128に浸透し、濾過媒体120を貫流して開放内芯124に入り、次に内側支柱140の中央導管144を通って、最終的には流体出口112から流出する必要がある。
【0054】
通常、図11に示されるように、末端部104は、内側支柱140及び濾過媒体120のハウジング102内への配置後に、ハウジング102に封止可能に取り付けられる。
【0055】
図5〜10は、各防滴毛管チャネル130の平面図が見えるように長手方向軸103に沿って見た場合の、本開示による防滴毛管チャネル130の様々な構成を示している。図2の断面矢印10−10は、図5〜10の視線方向を示す。
【0056】
図5及び10は濾過器カートリッジ100を示しており、防滴毛管チャネル130は互いに平行に配向されている。
【0057】
図5、9、及び10は濾過器カートリッジ100を示しており、1つ以上の防滴毛管チャネルの長手寸法134は実質的直線を含んでいる。
【0058】
図6及び7は濾過器カートリッジ100を示しており、1つ以上の防滴毛管チャネル130の長手寸法134は湾曲部分を含んでいる。
【0059】
図7は濾過器カートリッジ100を示しており、1つ以上の防滴毛管チャネル130は長手方向軸103の周囲に円周方向に配向されている。
【0060】
図8は濾過器カートリッジ100を示しており、1つ以上の防滴毛管チャネル130の長手寸法134は頂点を含んでいる。
【0061】
図6、8、及び9は濾過器カートリッジ100を示しており、1つ以上の防滴毛管チャネル130は、長手方向軸103から外側に放射状に広がっている。
【0062】
本開示による例示の防滴毛管チャネル130の平面図は、図14〜16に更に詳細に示される。これらの各図では、短手寸法136及び長手寸法134を簡単に見ることができる。図14は防滴毛管チャネル130を示しており、長手寸法134は実質的直線を含んでいる。図15は防滴毛管チャネル130を示しており、長手寸法134は湾曲部分を含んでいる。図16は防滴毛管チャネル130を示しており、長手寸法134は頂点を含んでいる。図14〜16の各図は、短手寸法136が長手寸法134に沿って実質的に一定である防滴毛管チャネル130を示す。防滴機能が維持される限り、短手寸法136が長手寸法134に沿った1つ以上の位置において増減し得ることもまた、想定される。幾つかの実施形態では、短手寸法136は、0.020インチ(0.0508cm)、0.025インチ(0.0635cm)、0.030インチ(0.0762cm)、0.035インチ(0.0889cm)、0.040インチ(0.1016cm)、0.045インチ(0.1143cm)、0.050インチ(0.127cm)、及び0.055インチ(0.1397cm)など、約0.010インチ(0.0254cm)〜約0.060インチ(0.1524cm)の範囲である。一実施形態では、短手寸法136は約0.025インチ(0.0635cm)〜約0.040インチ(0.1016cm)の範囲である。相対的により小さい短手寸法136は流動制限を増す傾向にある可能性があり、その一方で、大き過ぎる短手寸法136では、毛管現象が開口部に流体を引き込むことに失敗してしまい、したがって開口部が防滴毛管チャネル130ではなくなる恐れがあることを理解されたい。
【0063】
防滴毛管チャネル130は、長手寸法134が短手寸法136よりも大きければ常に役立ち得るが、長手寸法134は、通常は短手寸法136の大きさの少なくとも約2倍である。幾つかの実施形態では、長手寸法134は、約0.080インチ(0.2032cm)を超える。所定の短手寸法136について、長手寸法は、開口部が防滴毛管チャネル130として機能し続ける限り、所与の用途に望ましい長さとなるように選択されてよいことが想定される。長手寸法134は、細長い経路、つまり防滴毛管チャネル130の軌道に沿って測定される寸法であり、必ずしも直線ではないことに留意されたい。例えば図15では、長手寸法134は湾曲部分を含む細長い経路に沿って測定される。同様に図16では、長手寸法134は鋭角の屈曲部を含む細長い経路に沿って測定される。図2、3、4、5、7、10、及び12に示されるもののように、幾つかの実施形態では、長手寸法134は、所与の濾過器カートリッジ100の1つ以上の防滴毛管チャネル130によって異なってよい。
【0064】
図11は、本開示による例示の濾過器カートリッジ100の断面図を示しており、濾過器カートリッジ100には残留水が含まれており、横倒しになっている。示されるように、水は毛管現象によって防滴毛管チャネル130に引き込まれ、水の表面張力のおかげで捕捉されたまま留まることから、防滴毛管チャネル130には空気が侵入できない。したがって、残留水が防滴毛管チャネル130を貫流して濾過器カートリッジ100から滴下することが防止される。同時に、中央導管144内の残留水については、防滴毛管チャネル130内に捕捉された水によってもたらされる真空封止のおかげで、流体出口112から流出することが防がれる。
【0065】
図13は、図5の13−13で切った詳細断面図であり、フランジ160内に形成された防滴毛管チャネル130へと毛管現象によって引き込まれた流体を示している。示されるように、各防滴毛管チャネル130は、奥行き寸法138と、短手寸法136と、長手寸法134(図示せず)と、チャネル側壁132と、を含む。示されるように、チャネル側壁132に対する流体の接触角φは、90度未満(即ち、負の接触角)であり、したがって流体は、横断面において凹状輪郭を形成する。接触角及び流体とチャネル側壁132との間の密着度は、チャネル側壁132の材料、用いられる流体、及び雰囲気(典型的には空気)の間の相互作用の性質によって決定される。比較として、水銀を充填した典型的なガラス管温度計内で、水銀とガラスを相互作用させると凸状輪郭が形成される。作動流体に応じて、防滴毛管チャネル130を構成するために選択する材料は、防滴機能を維持できるように、作動流体、チャネル側壁132、及び空気の間の適切な力の相互作用を促進するように選択する必要がある。必ずしもではないが、典型的には、作動流体は水である。
【0066】
各防滴毛管チャネル130の横断面が(円形横断面とは対照的に)少なくとも1つの方向において細長い場合、奥行き寸法138は、通常、Fritze‘355型の小内径穴を用いる場合よりも大きい。より大きい奥行き寸法138は、流体と相互作用するためのチャネル側壁132の表面積を比例的により多くもたらすため、流体は、奥行き寸法138が増加するにつれてより良好に防滴毛管チャネル130内に保持され得る。しかし、奥行き寸法138を大きくし過ぎると、流体流を制限し、したがって、濾過器カートリッジ100全体にわたって増大した圧力低下がもたらされることがある。これに関して、奥行き寸法138は、0.35インチ(0.889センチメートル)、0.40インチ(1.016センチメートル)、0.45インチ(1.143センチメートル)、0.50インチ(1.27センチメートル)、0.55インチ(1.397センチメートル)、0.60インチ(1.524センチメートル)、0.70インチ(1.778センチメートル)、0.80インチ(2.032センチメートル)、及び0.90インチ(2.286センチメートル)など、約0.30インチ(約0.762センチメートル)〜約1.0インチ(約2.54センチメートル)の範囲で有利に選択され得る。
【0067】
チャネル側壁132の表面を相対的により粗くすることで、驚くほどより良好に防滴毛管チャネル130内に流体を保持できることもまた、観察されている。例えば、ステレオリソグラフィ(SLA)によって製造された防滴毛管チャネル130を含むプロトタイプのフランジ160は、典型的な型表面仕上げを用いた射出成形で製造された防滴毛管チャネル130を含むプロトタイプのフランジ160よりも粗い表面を有した。意外にも、粗いSLAプロトタイプは、より研磨された射出成形部品よりも良好に流体を保持した。より粗いチャネル側壁132の表面仕上げは、流体と相互作用するためのチャネル側壁132の表面積をより多くもたらすことができるため、表面粗さが増すにつれて、流体はより良好に防滴毛管チャネル130内に保持されることができると考えられる。射出成形部品の典型的なRa表面粗さの高さは、ASME B46.1に従って測定された場合、約10マイクロインチ(約0.254マイクロメートル)〜約32マイクロインチ(約0.8128マイクロメートル)の範囲であってよい。これに関して、チャネル側壁132のRa表面粗さの高さは、128マイクロインチ(3.251マイクロメートル)、256マイクロインチ(6.502マイクロメートル)、500マイクロインチ(12.7マイクロメートル)、1000マイクロインチ(25.4マイクロメートル)、1250マイクロインチ(31.75マイクロメートル)、1500マイクロインチ(38.1マイクロメートル)、又は更には2000マイクロインチ(50.8マイクロメートル)など、約64マイクロインチ(約1.626マイクロメートル)を超えるように有利に設計されてよい。一実施形態では、チャネル側壁132のRa表面粗さの高さは、約900マイクロインチ(約22.86マイクロメートル)〜約1600マイクロインチ(約40.64マイクロメートル)の範囲である。1つ以上の防滴毛管チャネル130の形成に用いる成形型部品において異なる表面仕上げ、即ちテクスチャを指定することにより、異なるRa表面粗さの高さ値が得られた。
【0068】
図12に示されるように、防滴毛管チャネル130は、Fritze‘355の図3、9、及び10に示されるように、又はFritzeに付与された米国特許第7,481,928号(「Fritze‘928」、この開示の内容全体を参照によって本明細書に組み込むものとする)に示され、記載されるように構成された濾過器カートリッジ100の接続端部106上に配置されてよいことも想定される。防滴毛管チャネル130は、Bassettらに付与された米国特許第6,949,189号及び同第7,135,113号(これらの開示の内容全体を参照によって本明細書に組み込むものとする)に示され、記載されるような濾過器カートリッジに用いられてよいことも想定される。
【0069】
この発明の種々の修正及び変更が発明の趣旨及び範囲から逸脱しないことは、当業者には分かるであろう。本発明は、本明細書において説明した例示の実施形態に制限されないことを理解されたい。
【背景技術】
【0001】
冷蔵庫などの電化製品には、消費者に氷及び冷水を供給する手段が含まれることが多い。供給される水、並びに製氷に用いられる水は、好ましくは不純物を除去して味を改善するために濾過される。したがって、多くの冷蔵庫は、消費者に供給する前に住宅用水道水を濾過するために搭載された使い捨て水濾過器カートリッジを含む。
【0002】
ほとんどの住宅においては空間が非常に貴重であるため、水濾過システムが占める空間全体が最小化されるように、しかも消費者が取り外し及び交換を行う際の便宜のため濾過器カートリッジに容易に手が届くように、かかる冷蔵庫を設計することが望ましいことが多い。これらの基準を用いる設計により、様々な配向で最適に配置される濾過器カートリッジがもたらされ得る。例えば、この濾過器カートリッジは、水平方向、即ち、横倒しに取り付けられ、取り外されてよい。
【0003】
使用済みの濾過器カートリッジが冷蔵庫から取り外される場合、カートリッジには、通常、カートリッジから望ましくなく滴下又は漏出し得る残留水が含まれる。これは、濾過器カートリッジが水平に配向され、残留水がカートリッジの入口又は出口から流出する傾向にある場合に特に発生しやすい。濾過器カートリッジの水平取り付け及び取り外しが行われない冷蔵庫であっても、濾過器カートリッジが過失により水平に倒されたり、逆さまに把持されたりすると、消費者が残留水を漏出させる場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電化製品からの取り外し時に滴下又は漏出を低減できるか、防止できる濾過器カートリッジに対する継続的な必要性が存在する。濾過器カートリッジ全体における圧力低下を増大させずに、電化製品からの取り外し時に滴下又は漏出を低減できるか、防止できる濾過器カートリッジに対する必要性も存在する。バルブ又は他の可動部品を用いずに、電化製品からの取り外し時に滴下又は漏出を低減できるか、防止できる濾過器カートリッジに対する必要性も存在する。比較的製造が容易でありながらも、電化製品からの取り外し時に滴下又は漏出を低減できるか、防止できる濾過器カートリッジに対する必要性も存在する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、概して、使い捨て濾過器カートリッジを備えた水濾過システムに関する。本開示は、更に、防滴機構を備えた濾過器カートリッジに関する。かかるシステムは、既知の濾過器カートリッジと比較して相対的により高い比率の、水が貫流するための開放領域を提供する一方で、滴下を防止できる。水流用の相対的により広い開放領域のおかげで、本開示による濾過器カートリッジは、既知の濾過器と比較して低減された流動抵抗を有するように製造できる。本開示による防滴機構は、既知の防滴機構よりも容易に製造可能である。
【0006】
一実施形態では、本開示は、末端部と、接続端部と、長手方向軸と、を含むハウジングを備える、濾過器カートリッジを提供する。典型的には、接続端部は、流体入口と、流体出口と、を含む。濾過媒体は、ハウジング内の末端部と接続端部との間に配置される。濾過媒体は、流体入口を流体出口に流体連通させ、流体入口又は流体出口の1つは、1つ以上の防滴毛管チャネルを含み、防滴毛管チャネルの横断面は、少なくとも1つの方向に細長い。
【0007】
幾つかの実施形態では、防滴毛管チャネルの横断面は、長手寸法と、短手寸法と、を含み、短手寸法は約0.020インチ(約0.0508センチメートル)〜約0.060インチ(約0.1524センチメートル)の範囲であり、長手寸法は約0.080インチ(約0.2032センチメートル)を超える。一実施形態では、短手寸法は約0.025インチ(約0.0635センチメートル)〜約0.040インチ(約0.1016センチメートル)の範囲である。一実施形態では、短手寸法は約0.030インチ(約0.0762センチメートル)である。
【0008】
幾つかの実施形態では、1つ以上の防滴毛管チャネルの長手寸法は湾曲部分を含む。幾つかの実施形態では、1つ以上の防滴毛管チャネルの長手寸法は実質的直線を含む。幾つかの実施形態では、1つ以上の防滴毛管チャネルの長手寸法は頂点を含む。一実施形態では、1つ以上の防滴毛管チャネルの短手寸法は、長手寸法に沿って実質的に一定である。
【0009】
幾つかの実施形態では、防滴毛管チャネルは長手方向軸から外側に放射状に広がる。幾つかの実施形態では、防滴毛管チャネルは互いに平行に配向される。幾つかの実施形態では、防滴毛管チャネルは長手方向軸の周りに円周方向に配向される。
【0010】
一実施形態では、接続端部は、濾過媒体に対して封止された内側支柱と、濾過媒体の開放内芯と流体連通している中央導管と、を含む。幾つかのかかる実施形態では、ハウジングの接続端部にスリーブが形成され、内側支柱を放射状に包囲する。幾つかの実施形態では、1つ以上の防滴毛管チャネルは内側支柱とスリーブとの間の環状領域に広がるフランジに配置され、防滴毛管チャネルは濾過媒体の外表面と流体連通している。
【0011】
一実施形態では、内側支柱はフランジを含む。幾つかのかかる実施形態では、フランジはスリーブに取り付けられていない。幾つかの実施形態では、1つ以上の防滴毛管チャネルはフランジの半径方向外縁部を遮る。
【0012】
別の実施形態では、スリーブはフランジを備える。幾つかのかかる実施形態では、フランジは内側支柱に取り付けられていない。幾つかの実施形態では、1つ以上の防滴毛管チャネルはフランジの半径方向内縁部を遮る。
【0013】
幾つかの実施形態では、中央導管は流体出口を形成し、1つ以上の防滴毛管チャネルは流体入口を形成する。
【0014】
一実施形態では、各防滴毛管チャネルは少なくとも1つのチャネル側壁を含み、少なくとも1つのチャネル側壁のRa表面粗さの高さは約64マイクロインチ(約1.626マイクロメートル)を超える。
【0015】
幾つかの実施形態では、各防滴毛管チャネルは長手方向軸に沿って測定される奥行き寸法を更に含み、奥行き寸法は約0.30インチ(約0.762センチメートル)〜約1.0インチ(約2.54センチメートル)の範囲である。一実施形態では、奥行き寸法は約0.40インチ(約1.016センチメートル)〜約0.70インチ(約1.778センチメートル)の範囲である。
【0016】
本開示はまた、チャネル側壁を有する防滴毛管チャネルを形成するための成形型を設計する工程と、この成形型の質感を指定して、少なくとも64マイクロインチ(1.626マイクロメートル)のRa表面粗さの高さをチャネル側壁に付与する工程と、この質感を加えられた成形型に溶融プラスチックを注入して、少なくとも64マイクロインチ(1.626マイクロメートル)のRa表面粗さの高さのチャネル側壁を有する防滴毛管チャネルを形成する工程と、を含む、防滴毛管チャネルの形成方法も提供する。
【0017】
本発明のこれら及び他の態様は、以下の「発明を実施するための形態」から明らかになるであろう。しかし、決して、上記概要は、請求された主題に関する限定として解釈されるべきでなく、主題は、手続処理の間補正することができる添付の特許請求の範囲によってのみ規定される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本明細書全体にわたって、類似の参照数字が類似の要素を指す添付図面が参照される。
【図1】本開示による濾過器カートリッジの斜視図。
【図2】本開示による濾過器カートリッジの図1の2−2で切った断面図。
【図3】本開示による濾過器カートリッジの分解斜視図。
【図4】本開示による濾過器カートリッジの分解斜視図。
【図5】本開示による濾過器カートリッジの図2の10−10から見た平面図であり、防滴毛管チャネルの様々な構成を示す。
【図6】本開示による濾過器カートリッジの図2の10−10から見た平面図であり、防滴毛管チャネルの様々な構成を示す。
【図7】本開示による濾過器カートリッジの図2の10−10から見た平面図であり、防滴毛管チャネルの様々な構成を示す。
【図8】本開示による濾過器カートリッジの図2の10−10から見た平面図であり、防滴毛管チャネルの様々な構成を示す。
【図9】本開示による濾過器カートリッジの図2の10−10から見た平面図であり、防滴毛管チャネルの様々な構成を示す。
【図10】本開示による濾過器カートリッジの図2の10−10から見た平面図であり、防滴毛管チャネルの様々な構成を示す。
【図11】横倒しに配向されており、内部に残留流体が含まれている、本開示による濾過器カートリッジの図1の2−2で切った断面図。
【図12】本開示による濾過器カートリッジの斜視図。
【図13】本開示による例示の防滴毛管チャネルの図5の13−13で切った斜視断面図。
【図14】本開示による例示の防滴毛管チャネルの横断面の平面図。
【図15】本開示による例示の防滴毛管チャネルの横断面の平面図。
【図16】本開示による例示の防滴毛管チャネルの横断面の平面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1及び2は、本開示による例示の濾過器カートリッジ100を示す。示されるように、濾過器カートリッジ100は、末端部104(図11又は12)と、接続端部106と、長手方向軸103と、を含む、ハウジング102を備える。典型的には、接続端部106は、流体入口110と、流体出口112と、を含む。濾過媒体120は、ハウジング102内の末端部104と接続端部106との間に配置される。濾過媒体120は、流体入口110を流体出口112に流体連通させ、流体入口110又は流体出口112の1つは、1つ以上の防滴毛管チャネル130を含み、防滴毛管チャネル130の横断面は、少なくとも1つの方向に細長い。図1及び図2は1つ以上の防滴毛管チャネル130を含むものとして流体入口110を示しているが、示される防滴毛管チャネル130は流体出口112も形成できると想定される。流体入口110及び流体出口112の両方が1つ以上の防滴毛管チャネル130を含み得ることも想定される。
【0020】
防滴毛管チャネル130は、濾過器カートリッジ100内部に取り込まれた残留流体の滴下を少なくとも2種類の方法で低減するか、防止することができる。
【0021】
まず、図11及び13に示されるように、残留水は、毛管現象によって防滴毛管チャネル130に引き込まれる。残留水が防滴毛管チャネル130に引き込まれると、水とチャネル側壁132との間の力の相互作用によって保持される。この毛管現象によって生じる引力は十分に強いため、濾過器カートリッジ100が横倒しになったとしても、通常重力だけでは、残留水に防滴毛管チャネル130を貫流させ、滴下又は漏出を発生させるには不十分である。
【0022】
次に、流体は、防滴毛管チャネル130内に保持される残留水によってもたらされる真空のおかげで、他方の流体口(常にではないが、通常は中央導管144を通って流体出口112)内に保持される。この状況は、流体で満たされた飲み物用ストローの一端を親指で塞ぐことに類似しており、この場合、流体はストローの自由端から流出しない。これは、反対側の端部を親指で真空密閉したために、空気侵入が妨げられるためである。ここでは、防滴毛管チャネル130内に保持された残留水がストロー上の親指に類似の役割を果たしており、真空を破壊して他方の流体口から流体を解放する空気侵入を防いでいる。
【0023】
同様の防滴現象は、これまでにFritzeに付与された、同一所有者の米国特許第6,632,355号(「Fritze‘355」)に記載されており、この開示の内容全体を参照によって本明細書に組み込むものとする。しかしFritze‘355は、防滴毛管チャネルの使用を開示しておらず、むしろ小内径穴(即ち、円形横断面を有する穴)の使用を報告する。Fritze‘355には、次のように記載されている。
【0024】
濾過器の末端キャップ上の小内径穴は、水の表面張力が、水濾過器アセンブリの取り外し時の小内径穴からの水の漏出を防ぐ寸法である。これによりもたらされる真空がまた、濾過器の末端キャップ上の貫通穴からの水の漏出をも防止する。
【0025】
Fritze‘355、第8段落、44〜49行目(参照番号は省略)。
【0026】
しかし、Fritze‘355の小内径穴には、使用の際に若干の欠点が存在し得る。例えば、典型的には直径約0.050インチ(0.127cm)の小内径穴は、一般に機械加工(即ち、ドリル加工)又は極小ピンを使用した鋳造のいずれかによらなければならない。通常、機械加工は鋳造作業よりも高価であり、時間がかかる。また、小内径穴の鋳造に用いられる極小ピンは極めて壊れやすく、損傷しやすい。したがって、いずれの製造方法も不都合であり得る。
【0027】
更に、複数のFritze‘355型の穴が1つの部品に形成されるとしても、流体流用に設けられた開放領域(横断面における開放領域)の相対量は、1つ以上の防滴毛管チャネル130が用いられる場合に設けることができる開放領域よりも著しく小さい。
【0028】
例えば、直径Dを有するFritze‘355による小内径穴を長さLの経路に沿って、中心を距離xずつ離隔して配置すると仮定すれば、水流用の総開放領域A穴は次の式で算出できる。
【0029】
【数1】
【0030】
一方、幅W(即ち、短手寸法136)及び経路長L(即ち、長手寸法134)を有する防滴毛管チャネル130については、水流用の総開放領域Aチャネルは次の式で算出できる。
【0031】
【数2】
【0032】
その結果、A穴に対するAチャネルの比率は次の式で算出できる。
【0033】
【数3】
【0034】
この式を単純化すると次のようになる。
【0035】
【数4】
【0036】
実際には、小内径穴の中心間の距離xはDよりも大きくなくてはいけないことに留意されたい。これは、xよりも小さい値であれば、隣接する穴が互いに干渉するようになるためである。したがって、実際には現実的ではないが、所与の経路長Lにおける小内径穴の数は、理論的にはx=Dの場合に最大となる。したがって、A穴が理論的に最大化された場合のA穴に対するAチャネルの比率は、式3でxの代わりにDを用いることによって算出でき、次のようになる。
【0037】
【数5】
【0038】
したがって、防滴毛管チャネル130の幅Wが各穴の直径Dと等しくなるように選択されると、A穴に対するAチャネルの比率は、常に次の値よりも大きくなる。
【0039】
【数6】
【0040】
したがって、上記のように配置される場合、防滴毛管チャネル130は、直径が防滴毛管チャネル130の幅と同じである、1列に並んだ小内径穴よりも、少なくとも27%多い水流用の開放領域を常に設けることができるはずである。当然ながら、実用においては、小内径穴をはるかに大きい間隔で離隔する必要があり、単位長さあたりの小内径穴が少なくなるため、この比率は、通常、はるかに大きくなる。1つの実際的比較例を次に示す。
【0041】
0.050インチ(0.127cm)の直径を有し、2インチ(5.08cm)の経路長にわたって中心を直径2つ分(0.100インチ(0.254cm))の距離ずつ離隔した、Fritze‘355によって教示される小内径穴を仮定すると、水流用の総開放領域A穴は次のように算出される。
【0042】
【数7】
【0043】
次に、0.030インチ(0.0762cm)の幅及び2インチ(5.08cm)の経路長を有する防滴毛管チャネル130を仮定すると、水流用の総開放領域Aチャネルは次のように算出できる。
【0044】
【数8】
【0045】
したがって、上記の例では、A穴に対するAチャネルの比率は、次のとおりである。
【0046】
【数9】
【0047】
したがって、上記の典型的な実用では、1つの防滴毛管チャネル130は、濾過器カートリッジ100に防滴機能を提供しつつ、同じ長さに沿って配置された典型的な1列の小内径穴よりも、約53%大きい水流用の開放領域を設けることができる。したがって、防滴毛管チャネル130は、典型的な1列の小内径穴よりも相対的により大きい水流用の開放領域をもたらすことができ、防滴毛管チャネル130には、濾過器カートリッジ100の流体入口110又は流体出口112を設けることができるので、本開示による濾過器カートリッジ100は、相対的により小さな全体的圧力低下を有するように設計され得る。
【0048】
上記の例で述べたように、幅Wは、1つ以上の防滴毛管チャネル130の短手寸法136に等しくてよく、一方、経路長Lは長手寸法134に等しくてよい。
【0049】
図2及び3に示されるように、接続端部106は複数の部品で構成されてよい。示されるように、接続端部106は、スリーブ150内の長手方向軸103に沿って配置される内側支柱140を含む。必ずしもではないが、典型的には、スリーブ150はハウジング102上に一体形成される。幾つかの実施形態では、内側支柱140は、濾過媒体120の開放内芯124と流体連通している中央導管144を含む。示されるように、中央導管144は流体出口112で終結する。スリーブ150は、ハウジング102からの円筒形突出部を含んでよい。幾つかの実施形態では、内側支柱140とスリーブ150との間の空間に環状領域170が広がる。幾つかの実施形態では、1つ以上の防滴毛管チャネル130は、環状領域170に広がるフランジ160上に配置される。
【0050】
フランジ160は、図4に示されるようにスリーブ150から内側に放射状に広がってよいか、図3に示されるように内側支柱140から外側に放射状に広がってよい。
【0051】
防滴毛管チャネル130の横断面は、図5〜10に示されるように閉じていてもよいし、又は、1つ以上の防滴毛管チャネル130は、図3に示されるようにフランジ160の半径方向外縁部164を遮り、若しくは図4に示されるようにフランジ160の半径方向内縁部168を遮ってもよい。1つ以上の防滴毛管チャネル130が半径方向外縁部164又は内縁部168を遮る場合、遮られた半径方向縁部は、隣接する表面に取り付けられても取り付けられなくてもよい。図2に示されるように、フランジ160は内側支柱140から外側に放射状に広がり、スリーブ150と密接に当接するが、取り付けられてはいない。かかる実施形態では、フランジ160とスリーブ150との間に小間隙が存在してよい。この小間隙は、流体の側路をもたらすことがあるが、この間隙が1つ以上の防滴毛管チャネル130よりも流体に対してより制限的である限り許容される。かかる構成体は、内側支柱140のスリーブ150内へのアセンブリをより速くかつ簡単にしつつ、濾過器カートリッジ100の防滴機能を維持できる。
【0052】
フランジ160が内側支柱140から外側に放射状に広がる実施形態では、防滴毛管チャネル130がフランジ160の半径方向外縁部164を遮るように構成することが有利であり得る。例えば、内側支柱140が射出成形される場合、濾過器カートリッジ100の長手方向軸103に対して平行に分かれる成形型は、長手方向軸103に直交して分かれる成形型よりも、設計及び製造が容易で、費用が安くつくことがある。成形型が長手方向軸103に対して平行に分かれる場合、成形型の各半分から突出する「指」つまり「フィン」は、溶融プラスチックで1つ以上の防滴毛管チャネル130を形成してよく、一方で、成形型の半分が引き離されると、半径方向外縁部164が遮られた状態でフランジ160が残される。
【0053】
幾つかの実施形態では、濾過媒体120は内側支柱140に取り付けられている。幾つかのかかる実施形態では、中央導管144は、濾過媒体120の開放内芯124の内部に突出する。濾過媒体120は、例えばカーボンブロック、プリーツ加工を施した複合材料、中空繊維束、逆浸透膜、又はこれらの組み合わせを含んでよい。通常、内側支柱140は、内側支柱140と濾過媒体120との間の流体側路を防ぐように濾過媒体120に取り付けられる。かかる実施形態では、濾過されるべき流体は、流体入口110に流入し、濾過媒体120の外表面128に浸透し、濾過媒体120を貫流して開放内芯124に入り、次に内側支柱140の中央導管144を通って、最終的には流体出口112から流出する必要がある。
【0054】
通常、図11に示されるように、末端部104は、内側支柱140及び濾過媒体120のハウジング102内への配置後に、ハウジング102に封止可能に取り付けられる。
【0055】
図5〜10は、各防滴毛管チャネル130の平面図が見えるように長手方向軸103に沿って見た場合の、本開示による防滴毛管チャネル130の様々な構成を示している。図2の断面矢印10−10は、図5〜10の視線方向を示す。
【0056】
図5及び10は濾過器カートリッジ100を示しており、防滴毛管チャネル130は互いに平行に配向されている。
【0057】
図5、9、及び10は濾過器カートリッジ100を示しており、1つ以上の防滴毛管チャネルの長手寸法134は実質的直線を含んでいる。
【0058】
図6及び7は濾過器カートリッジ100を示しており、1つ以上の防滴毛管チャネル130の長手寸法134は湾曲部分を含んでいる。
【0059】
図7は濾過器カートリッジ100を示しており、1つ以上の防滴毛管チャネル130は長手方向軸103の周囲に円周方向に配向されている。
【0060】
図8は濾過器カートリッジ100を示しており、1つ以上の防滴毛管チャネル130の長手寸法134は頂点を含んでいる。
【0061】
図6、8、及び9は濾過器カートリッジ100を示しており、1つ以上の防滴毛管チャネル130は、長手方向軸103から外側に放射状に広がっている。
【0062】
本開示による例示の防滴毛管チャネル130の平面図は、図14〜16に更に詳細に示される。これらの各図では、短手寸法136及び長手寸法134を簡単に見ることができる。図14は防滴毛管チャネル130を示しており、長手寸法134は実質的直線を含んでいる。図15は防滴毛管チャネル130を示しており、長手寸法134は湾曲部分を含んでいる。図16は防滴毛管チャネル130を示しており、長手寸法134は頂点を含んでいる。図14〜16の各図は、短手寸法136が長手寸法134に沿って実質的に一定である防滴毛管チャネル130を示す。防滴機能が維持される限り、短手寸法136が長手寸法134に沿った1つ以上の位置において増減し得ることもまた、想定される。幾つかの実施形態では、短手寸法136は、0.020インチ(0.0508cm)、0.025インチ(0.0635cm)、0.030インチ(0.0762cm)、0.035インチ(0.0889cm)、0.040インチ(0.1016cm)、0.045インチ(0.1143cm)、0.050インチ(0.127cm)、及び0.055インチ(0.1397cm)など、約0.010インチ(0.0254cm)〜約0.060インチ(0.1524cm)の範囲である。一実施形態では、短手寸法136は約0.025インチ(0.0635cm)〜約0.040インチ(0.1016cm)の範囲である。相対的により小さい短手寸法136は流動制限を増す傾向にある可能性があり、その一方で、大き過ぎる短手寸法136では、毛管現象が開口部に流体を引き込むことに失敗してしまい、したがって開口部が防滴毛管チャネル130ではなくなる恐れがあることを理解されたい。
【0063】
防滴毛管チャネル130は、長手寸法134が短手寸法136よりも大きければ常に役立ち得るが、長手寸法134は、通常は短手寸法136の大きさの少なくとも約2倍である。幾つかの実施形態では、長手寸法134は、約0.080インチ(0.2032cm)を超える。所定の短手寸法136について、長手寸法は、開口部が防滴毛管チャネル130として機能し続ける限り、所与の用途に望ましい長さとなるように選択されてよいことが想定される。長手寸法134は、細長い経路、つまり防滴毛管チャネル130の軌道に沿って測定される寸法であり、必ずしも直線ではないことに留意されたい。例えば図15では、長手寸法134は湾曲部分を含む細長い経路に沿って測定される。同様に図16では、長手寸法134は鋭角の屈曲部を含む細長い経路に沿って測定される。図2、3、4、5、7、10、及び12に示されるもののように、幾つかの実施形態では、長手寸法134は、所与の濾過器カートリッジ100の1つ以上の防滴毛管チャネル130によって異なってよい。
【0064】
図11は、本開示による例示の濾過器カートリッジ100の断面図を示しており、濾過器カートリッジ100には残留水が含まれており、横倒しになっている。示されるように、水は毛管現象によって防滴毛管チャネル130に引き込まれ、水の表面張力のおかげで捕捉されたまま留まることから、防滴毛管チャネル130には空気が侵入できない。したがって、残留水が防滴毛管チャネル130を貫流して濾過器カートリッジ100から滴下することが防止される。同時に、中央導管144内の残留水については、防滴毛管チャネル130内に捕捉された水によってもたらされる真空封止のおかげで、流体出口112から流出することが防がれる。
【0065】
図13は、図5の13−13で切った詳細断面図であり、フランジ160内に形成された防滴毛管チャネル130へと毛管現象によって引き込まれた流体を示している。示されるように、各防滴毛管チャネル130は、奥行き寸法138と、短手寸法136と、長手寸法134(図示せず)と、チャネル側壁132と、を含む。示されるように、チャネル側壁132に対する流体の接触角φは、90度未満(即ち、負の接触角)であり、したがって流体は、横断面において凹状輪郭を形成する。接触角及び流体とチャネル側壁132との間の密着度は、チャネル側壁132の材料、用いられる流体、及び雰囲気(典型的には空気)の間の相互作用の性質によって決定される。比較として、水銀を充填した典型的なガラス管温度計内で、水銀とガラスを相互作用させると凸状輪郭が形成される。作動流体に応じて、防滴毛管チャネル130を構成するために選択する材料は、防滴機能を維持できるように、作動流体、チャネル側壁132、及び空気の間の適切な力の相互作用を促進するように選択する必要がある。必ずしもではないが、典型的には、作動流体は水である。
【0066】
各防滴毛管チャネル130の横断面が(円形横断面とは対照的に)少なくとも1つの方向において細長い場合、奥行き寸法138は、通常、Fritze‘355型の小内径穴を用いる場合よりも大きい。より大きい奥行き寸法138は、流体と相互作用するためのチャネル側壁132の表面積を比例的により多くもたらすため、流体は、奥行き寸法138が増加するにつれてより良好に防滴毛管チャネル130内に保持され得る。しかし、奥行き寸法138を大きくし過ぎると、流体流を制限し、したがって、濾過器カートリッジ100全体にわたって増大した圧力低下がもたらされることがある。これに関して、奥行き寸法138は、0.35インチ(0.889センチメートル)、0.40インチ(1.016センチメートル)、0.45インチ(1.143センチメートル)、0.50インチ(1.27センチメートル)、0.55インチ(1.397センチメートル)、0.60インチ(1.524センチメートル)、0.70インチ(1.778センチメートル)、0.80インチ(2.032センチメートル)、及び0.90インチ(2.286センチメートル)など、約0.30インチ(約0.762センチメートル)〜約1.0インチ(約2.54センチメートル)の範囲で有利に選択され得る。
【0067】
チャネル側壁132の表面を相対的により粗くすることで、驚くほどより良好に防滴毛管チャネル130内に流体を保持できることもまた、観察されている。例えば、ステレオリソグラフィ(SLA)によって製造された防滴毛管チャネル130を含むプロトタイプのフランジ160は、典型的な型表面仕上げを用いた射出成形で製造された防滴毛管チャネル130を含むプロトタイプのフランジ160よりも粗い表面を有した。意外にも、粗いSLAプロトタイプは、より研磨された射出成形部品よりも良好に流体を保持した。より粗いチャネル側壁132の表面仕上げは、流体と相互作用するためのチャネル側壁132の表面積をより多くもたらすことができるため、表面粗さが増すにつれて、流体はより良好に防滴毛管チャネル130内に保持されることができると考えられる。射出成形部品の典型的なRa表面粗さの高さは、ASME B46.1に従って測定された場合、約10マイクロインチ(約0.254マイクロメートル)〜約32マイクロインチ(約0.8128マイクロメートル)の範囲であってよい。これに関して、チャネル側壁132のRa表面粗さの高さは、128マイクロインチ(3.251マイクロメートル)、256マイクロインチ(6.502マイクロメートル)、500マイクロインチ(12.7マイクロメートル)、1000マイクロインチ(25.4マイクロメートル)、1250マイクロインチ(31.75マイクロメートル)、1500マイクロインチ(38.1マイクロメートル)、又は更には2000マイクロインチ(50.8マイクロメートル)など、約64マイクロインチ(約1.626マイクロメートル)を超えるように有利に設計されてよい。一実施形態では、チャネル側壁132のRa表面粗さの高さは、約900マイクロインチ(約22.86マイクロメートル)〜約1600マイクロインチ(約40.64マイクロメートル)の範囲である。1つ以上の防滴毛管チャネル130の形成に用いる成形型部品において異なる表面仕上げ、即ちテクスチャを指定することにより、異なるRa表面粗さの高さ値が得られた。
【0068】
図12に示されるように、防滴毛管チャネル130は、Fritze‘355の図3、9、及び10に示されるように、又はFritzeに付与された米国特許第7,481,928号(「Fritze‘928」、この開示の内容全体を参照によって本明細書に組み込むものとする)に示され、記載されるように構成された濾過器カートリッジ100の接続端部106上に配置されてよいことも想定される。防滴毛管チャネル130は、Bassettらに付与された米国特許第6,949,189号及び同第7,135,113号(これらの開示の内容全体を参照によって本明細書に組み込むものとする)に示され、記載されるような濾過器カートリッジに用いられてよいことも想定される。
【0069】
この発明の種々の修正及び変更が発明の趣旨及び範囲から逸脱しないことは、当業者には分かるであろう。本発明は、本明細書において説明した例示の実施形態に制限されないことを理解されたい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
末端部と、接続端部と、長手方向軸と、を含むハウジングであって、前記接続端部が、流体入口と、流体出口と、を含むハウジングと、
前記ハウジング内の前記末端部と前記接続端部との間に配置され、前記流体入口を前記流体出口に流体連通させる濾過媒体と、を備える濾過器カートリッジであって、
前記流体入口又は前記流体出口の1つが1つ以上の防滴毛管チャネルを含み、該防滴毛管チャネルの横断面が少なくとも1つの方向に細長い、濾過器カートリッジ。
【請求項2】
前記防滴毛管チャネルの横断面が、長手寸法と、短手寸法と、を含み、該短手寸法が約0.020インチ(約0.0508センチメートル)〜約0.060インチ(約0.1524センチメートル)の範囲であり、前記長手寸法が約0.080インチ(約0.2032センチメートル)を超える、請求項1に記載の濾過器カートリッジ。
【請求項3】
前記短手寸法が約0.025インチ(約0.0635センチメートル)〜約0.040インチ(約0.1016センチメートル)の範囲である、請求項2に記載の濾過器カートリッジ。
【請求項4】
前記短手寸法が約0.030インチ(約0.0762センチメートル)である、請求項3に記載の濾過器カートリッジ。
【請求項5】
1つ以上の前記防滴毛管チャネルの前記長手寸法が湾曲部分を含む、請求項2〜4のいずれか一項に記載の濾過器カートリッジ。
【請求項6】
1つ以上の前記防滴毛管チャネルの前記長手寸法が実質的直線を含む、請求項2〜4のいずれか一項に記載の濾過器カートリッジ。
【請求項7】
1つ以上の前記防滴毛管チャネルの前記長手寸法が頂点を含む、請求項2〜4のいずれか一項に記載の濾過器カートリッジ。
【請求項8】
1つ以上の前記防滴毛管チャネルの前記短手寸法が前記長手寸法に沿って実質的に一定である、請求項2〜7のいずれか一項に記載の濾過器カートリッジ。
【請求項9】
前記防滴毛管チャネルが前記長手方向軸から外側に放射状に広がる、請求項1〜8のいずれか一項に記載の濾過器カートリッジ。
【請求項10】
前記防滴毛管チャネルが互いに平行に配向される、請求項1〜8のいずれか一項に記載の濾過器カートリッジ。
【請求項11】
前記防滴毛管チャネルが前記長手方向軸の周囲に円周方向に配向される、請求項1〜8のいずれか一項に記載の濾過器カートリッジ。
【請求項12】
前記接続端部が、
前記濾過媒体に対して封止された内側支柱であって、前記濾過媒体の開放内芯と流体連通している中央導管を含む内側支柱と、
前記ハウジングの前記接続端部に形成され、前記内側支柱を放射状に包囲するスリーブと、を含み、
前記1つ以上の防滴毛管チャネルが、前記内側支柱と前記スリーブとの間の環状領域に広がるフランジに配置され、前記防滴毛管チャネルが前記濾過媒体の外表面と流体連通している、請求項1〜11のいずれか一項に記載の濾過器カートリッジ。
【請求項13】
前記内側支柱が前記フランジを含む、請求項12に記載の濾過器カートリッジ。
【請求項14】
前記フランジが前記スリーブに取り付けられていない、請求項13に記載の濾過器カートリッジ。
【請求項15】
1つ以上の前記防滴毛管チャネルが前記フランジの半径方向外縁部を遮る、請求項13又は14のいずれか一項に記載の濾過器カートリッジ。
【請求項16】
前記スリーブが前記フランジを含む、請求項12に記載の濾過器カートリッジ。
【請求項17】
前記フランジが前記内側支柱に取り付けられていない、請求項16に記載の濾過器カートリッジ。
【請求項18】
1つ以上の前記防滴毛管チャネルが前記フランジの半径方向内縁部を遮る、請求項16又は17に記載の濾過器カートリッジ。
【請求項19】
前記中央導管が前記流体出口を形成し、前記1つ以上の防滴毛管チャネルが前記流体入口を形成する、請求項12〜18のいずれか一項に記載の濾過器カートリッジ。
【請求項20】
各防滴毛管チャネルが少なくとも1つのチャネル側壁を含み、該少なくとも1つのチャネル側壁のRa表面粗さの高さが約64マイクロインチ(約1.626マイクロメートル)を超える、請求項1〜19のいずれか一項に記載の濾過器カートリッジ。
【請求項21】
各防滴毛管チャネルが、前記長手方向軸に沿って測定される奥行き寸法を更に含み、該奥行き寸法が約0.30インチ(約0.762センチメートル)〜約1.0インチ(約2.54センチメートル)の範囲である、請求項2〜20のいずれか一項に記載の濾過器カートリッジ。
【請求項22】
前記奥行き寸法が約0.40インチ(約1.016センチメートル)〜約0.70インチ(約1.778センチメートル)の範囲である、請求項21に記載の濾過器カートリッジ。
【請求項23】
チャネル側壁を有する防滴毛管チャネルを形成するための成形型を設計する工程と、
前記成形型の質感を指定して、少なくとも64マイクロインチ(1.626マイクロメートル)のRa表面粗さの高さを前記チャネル側壁に付与する工程と、
前記質感を加えられた成形型に溶融プラスチックを注入して、少なくとも64マイクロインチ(1.626マイクロメートル)のRa表面粗さの高さのチャネル側壁を有する防滴毛管チャネルを形成する工程と、を含む、防滴毛管チャネルの形成方法。
【請求項1】
末端部と、接続端部と、長手方向軸と、を含むハウジングであって、前記接続端部が、流体入口と、流体出口と、を含むハウジングと、
前記ハウジング内の前記末端部と前記接続端部との間に配置され、前記流体入口を前記流体出口に流体連通させる濾過媒体と、を備える濾過器カートリッジであって、
前記流体入口又は前記流体出口の1つが1つ以上の防滴毛管チャネルを含み、該防滴毛管チャネルの横断面が少なくとも1つの方向に細長い、濾過器カートリッジ。
【請求項2】
前記防滴毛管チャネルの横断面が、長手寸法と、短手寸法と、を含み、該短手寸法が約0.020インチ(約0.0508センチメートル)〜約0.060インチ(約0.1524センチメートル)の範囲であり、前記長手寸法が約0.080インチ(約0.2032センチメートル)を超える、請求項1に記載の濾過器カートリッジ。
【請求項3】
前記短手寸法が約0.025インチ(約0.0635センチメートル)〜約0.040インチ(約0.1016センチメートル)の範囲である、請求項2に記載の濾過器カートリッジ。
【請求項4】
前記短手寸法が約0.030インチ(約0.0762センチメートル)である、請求項3に記載の濾過器カートリッジ。
【請求項5】
1つ以上の前記防滴毛管チャネルの前記長手寸法が湾曲部分を含む、請求項2〜4のいずれか一項に記載の濾過器カートリッジ。
【請求項6】
1つ以上の前記防滴毛管チャネルの前記長手寸法が実質的直線を含む、請求項2〜4のいずれか一項に記載の濾過器カートリッジ。
【請求項7】
1つ以上の前記防滴毛管チャネルの前記長手寸法が頂点を含む、請求項2〜4のいずれか一項に記載の濾過器カートリッジ。
【請求項8】
1つ以上の前記防滴毛管チャネルの前記短手寸法が前記長手寸法に沿って実質的に一定である、請求項2〜7のいずれか一項に記載の濾過器カートリッジ。
【請求項9】
前記防滴毛管チャネルが前記長手方向軸から外側に放射状に広がる、請求項1〜8のいずれか一項に記載の濾過器カートリッジ。
【請求項10】
前記防滴毛管チャネルが互いに平行に配向される、請求項1〜8のいずれか一項に記載の濾過器カートリッジ。
【請求項11】
前記防滴毛管チャネルが前記長手方向軸の周囲に円周方向に配向される、請求項1〜8のいずれか一項に記載の濾過器カートリッジ。
【請求項12】
前記接続端部が、
前記濾過媒体に対して封止された内側支柱であって、前記濾過媒体の開放内芯と流体連通している中央導管を含む内側支柱と、
前記ハウジングの前記接続端部に形成され、前記内側支柱を放射状に包囲するスリーブと、を含み、
前記1つ以上の防滴毛管チャネルが、前記内側支柱と前記スリーブとの間の環状領域に広がるフランジに配置され、前記防滴毛管チャネルが前記濾過媒体の外表面と流体連通している、請求項1〜11のいずれか一項に記載の濾過器カートリッジ。
【請求項13】
前記内側支柱が前記フランジを含む、請求項12に記載の濾過器カートリッジ。
【請求項14】
前記フランジが前記スリーブに取り付けられていない、請求項13に記載の濾過器カートリッジ。
【請求項15】
1つ以上の前記防滴毛管チャネルが前記フランジの半径方向外縁部を遮る、請求項13又は14のいずれか一項に記載の濾過器カートリッジ。
【請求項16】
前記スリーブが前記フランジを含む、請求項12に記載の濾過器カートリッジ。
【請求項17】
前記フランジが前記内側支柱に取り付けられていない、請求項16に記載の濾過器カートリッジ。
【請求項18】
1つ以上の前記防滴毛管チャネルが前記フランジの半径方向内縁部を遮る、請求項16又は17に記載の濾過器カートリッジ。
【請求項19】
前記中央導管が前記流体出口を形成し、前記1つ以上の防滴毛管チャネルが前記流体入口を形成する、請求項12〜18のいずれか一項に記載の濾過器カートリッジ。
【請求項20】
各防滴毛管チャネルが少なくとも1つのチャネル側壁を含み、該少なくとも1つのチャネル側壁のRa表面粗さの高さが約64マイクロインチ(約1.626マイクロメートル)を超える、請求項1〜19のいずれか一項に記載の濾過器カートリッジ。
【請求項21】
各防滴毛管チャネルが、前記長手方向軸に沿って測定される奥行き寸法を更に含み、該奥行き寸法が約0.30インチ(約0.762センチメートル)〜約1.0インチ(約2.54センチメートル)の範囲である、請求項2〜20のいずれか一項に記載の濾過器カートリッジ。
【請求項22】
前記奥行き寸法が約0.40インチ(約1.016センチメートル)〜約0.70インチ(約1.778センチメートル)の範囲である、請求項21に記載の濾過器カートリッジ。
【請求項23】
チャネル側壁を有する防滴毛管チャネルを形成するための成形型を設計する工程と、
前記成形型の質感を指定して、少なくとも64マイクロインチ(1.626マイクロメートル)のRa表面粗さの高さを前記チャネル側壁に付与する工程と、
前記質感を加えられた成形型に溶融プラスチックを注入して、少なくとも64マイクロインチ(1.626マイクロメートル)のRa表面粗さの高さのチャネル側壁を有する防滴毛管チャネルを形成する工程と、を含む、防滴毛管チャネルの形成方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公表番号】特表2013−511388(P2013−511388A)
【公表日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−540051(P2012−540051)
【出願日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際出願番号】PCT/US2010/057197
【国際公開番号】WO2011/063100
【国際公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際出願番号】PCT/US2010/057197
【国際公開番号】WO2011/063100
【国際公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】
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