説明

防災・避難行動シミュレーションシステム

【課題】実際に避難を実行する時間によっては、予め定められた避難経路が使用できなかったり、異なる経路を選択した方が合理的となる場合もあり、現状の洪水と行動に即して改めて避難経路を確認することが必要になってくる。
【解決手段】防災・避難行動シミュレーション手段7は、防災、避難に最適な経路候補の検索を行う最適経路候補検索手段(第1段階)7aと、水理計算の結果を付与する水理計算付与手段(第2段階)7bと、防災、避難の行動軌跡として最適な経路の計算を行う最適経路計算手段(第3段階)7cとの三段階に大別されて検索を行う最適経路検索手段を有し、GIS上に展開された道路デジタル地図を基に、水理計算結果を動的制限条件とすることで、避難の時間・距離上の最短経路を求める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、河川の任意破堤点を入力した際、雨量、水位等の河川情報(例えば、雨量レ
ーダ、テレメータなどの観測データ、水位予測データや浸水深、浸水範囲、破堤幅等の情
報)に基づいて、リアルタイムに氾濫解析及び河道水位予測の計算をし、動的に破堤点毎
、時系列毎の浸水想定区域を表示することができのみならず、刻々と迫る浸水深の状況や
人の行動などの動的変化に対応した的確な防災・避難経路を検索することで、氾濫時に必
要な人間が必要な場所に移動できるのか、最も遅くて何時までに出発し、どの経路を通っ
て行けば良いのかなど、氾濫現象の予測結果を基にして最適な経路(危険地域を避け、安
全に行動可能なルート)を抽出し、当該地域の住民の避難誘導や危険箇所への効率的な防
災活動を支援することができる有用な防災・避難行動シミュレーションシステムに関する

【背景技術】
【0002】
一般的に、洪水氾濫に伴う危機管理を行う場合、まず第1に必要となる情報は、雨や河
川の水位などの気象及び水理水文に係る情報並びにそこから予測される越水、破堤等に伴
う氾濫流の動向などであるが、実際に危機管理を行う場合は、これだけでは充分ではない
。なぜなら、これらの情報は、防災活動や避難行動など、氾濫時にとるべき人間の行動と
結びついて始めて生きた情報となるからである。
【0003】
実際に、越水、破堤、内水氾濫などにより氾濫流が生じる事態になれば、その結果、
発生する恐れのある被害をできるだけ小さくするために、土嚢などによる盛土構造物の築
造、ポンプなどの機械排水の活用、水門などの河川管理施設の操作或いは排水のための堤
防の開削など、河川管理者や水防関係者などによる様々な防災活動が展開されることにな
ろうし、適切な避難勧告や命令などにより、地域住民を安全に避難させることが不可欠に
なる。
【0004】
また、氾濫時にどのような防災対策が必要となるのか或いは有効となるのかについては
、氾濫現象の予測結果を基にして、盛土構造物、ポンプの稼働状況、河川管理施設の操作
状況などの水理計算条件をユーザーが任意に変更して予測計算を行い、その結果を元の予
測と比較することにより、このシステムを運用する中で判断することが可能であるが、仮
にある対策が有効であると判断された場合においても、その対策が実行できなければ、何
の意味も持たないことになる。
【0005】
ある対策が実行できるためには、その対策を実行できる能力を持った人間が、ある場所
から出発して作業地に至り、必要な作業を終了した後、安全な場所まで退避できなければ
ならないが、平常時には実行可能な対策であっても、氾濫時には実行不可能となる場合も
あり得る。
【0006】
なぜなら、ある対策が有効であるということは、すなわち、何らかの時点において、氾
濫流が当該地点に達することを意味するが、実際に氾濫流が当該地点に達すれば、一般的
には作業することも、接近することも不可能となるからである。特に、我が国においては
、外水氾濫の氾濫流が到達する以前であっても、内水氾濫により作業も通行も不可能とな
る場合が多分にあり得るので、この点からの注意も必要である。
【0007】
一方、平成13年6月に水防法が改正され、河川管理者である国や都道府県は、管理す
る河川について浸水想定区域を指定し、これを受けて市町村は、地域防災計画において洪
水予報の伝達方法や避難情報などを定めると共に、住民に対してこれらの情報を公表する
ことになっている。この公表の手段として現在、洪水ハザードマップの作成が進められて
いる。
【0008】
この洪水ハザードマップは、住民に対して水害による被害を軽減できるように水害に対
する各種情報を分かり易いスタイルで公表し、自分の住んでいる地域の水害危険度を認識
してもらい、延いては自主的な防災活動を促すことにより、洪水による被害を最小限に食
い止めることを目的として活用されている。
【0009】
従来、斯かる洪水ハザードマップは、紙に印刷された静的なアナログ図面であり、また
、浸水想定区域について当該河川の基本高水流量の算定に用いられた計画雨量を前提に氾
濫シミュレーションを行うことができる河川地図データとして必要な情報が記載されてい
る(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平10−37150号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上述した従来の洪水ハザードマップにあっては、紙地図上に情報を記し
たものであるため、危険地域や避難ルートの大要は判るものの、実際の洪水が、水位、雨
量などの影響で、時々刻々と変化することから、従来の固定情報では対応できず、住民個
々の情報も十分に反映していない等の問題を有する。
【0011】
換言すれば、従来の洪水ハザードマップは、手作業で上述した(a)〜(d)の情報を紙地
図上に整理し、余白に(e)〜(i)の付属情報を掲載しなければならないといった手間を有
し、また、このような紙地図上では情報が固定されてしまうため、実際の洪水にあたって
は時々刻々と変化する実際の洪水・氾濫に対応することができないなどの問題があり、そ
の作成及び普及にも多々な課題がある。
【0012】
また、洪水ハザードマップの作成を進める過程及び近年の災害の教訓として、的確な水
災情報の伝達、住民の円滑かつ迅速な避難の確保等、水災による被害の軽減を図るために
以下に示す様々な課題が指摘されている。
【0013】
例えば、(a)中小河川の氾濫計算(浸水情報)の簡略化、(b)内水氾濫の取り組み、(c)洪水氾濫以外の災害情報の取り組み、(d)地下街や災害弱者等のマークの統一、(e)正確な浸水実績調査の実施、(f)市町村地域防災計画の整合性、(g)遠距離避難場所の解消、(h)避難場所の適切な運営と整備の充実、(i)自動車利用の避難、(j)避難基準の明確化、(k)避難路の明確化と安全性の確保、(l)災害時の応援態勢の充実、(m)防災(洪水)情報の伝達手段、(n)洪水ハザードマップ等の周知、(o)災害弱者の避難支援、(p)住民に分かり易い表現方法、(q)電子化の活用などが挙げられる。
【0014】
更に、河川の水防上の重要箇所や破堤の可能性が高い箇所等の代表点を選んで、氾濫解
析を行なうシステムも既に案出されているが、当該箇所で破堤した場合の対処は事前準備
が可能であり、万一の場合も問題なく対処できるものの、それ以外の箇所で破堤した想定
外の場合は、準備不足から対処が遅れ、人的、物的被害を最小限に留めることができない

【0015】
また、破堤箇所によって浸水状況が大きく変わる場合などにおいて、未だに破堤点毎、
時系列毎の浸水想定区域表示手段がなく、実際に洪水ハザードマップの検討業務の中でこ
の破堤点毎の浸水想定区域を見たいという要望が増えている。
【0016】
しかも、この破堤点毎、時系列毎の浸水想定区域表示手段がないために、破堤点毎、時
系列毎の出力図をそれぞれ用意しなければならず、かなりの枚数になるため、出力図の取
り扱いにも大変苦慮しなければならない。
【0017】
更に、地域住民の避難の場合は、前述した洪水ハザードマップなどにより、予め氾濫時
における避難所や避難経路が定められていることが多いが、現実の氾濫時にはそれと全く
異なる状況が発生することもあり、また、実際に避難を実行する時間によっては、予め定
められた避難経路が使用できなかったり、異なる経路を選択した方が合理的となる場合も
あり得るので、実際には、現状の洪水と行動に即して改めて避難経路を確認することが必
要になってくる。
【0018】
他方、ノードとリンクからなるネットワーク上で最短経路を検索する手法としては、Fl
oyd法、Bellman-Ford法、Dijkstra法など多くの手法が知られている。これらの何れかの手法を用いて、所与の移動速度の下で、水理計算結果を動的制限条件とする最短経路問題を解くことはできる。
【0019】
しかしながら、その場合には、制限条件が時間的に変動することから、例えば、予め出
発時刻が与えられているとか、到着時刻が与えられているとか、検索アルゴリズムの各ス
テップで、通過時刻がその都度決められなければならない。
【0020】
また、限界出発時刻の計算においては、出発時刻、従って、各ステップでの通過時刻そ
のものが未知数であるので、前述の手法でこれを解こうとすると、相当な困難が伴うなど
の問題がある。
【0021】
更に、最速到着時刻や最遅出発時刻の計算においても、実務的な観点から見ると、出発
地や目的地の選択よりも出発時間や到着時間、移動速度或いは通行可能基準を変更して検
討する場合の方がより頻繁に発生するのではないかと考えられる。
【0022】
しかも、前述の方法では、何らかの条件が変わるたびに最短経路検索を行うことになる
が、最短経路検索はある程度の処理時間を要するアルゴリズムであるため、これらの条件
の変更を柔軟に処理する必要がある。
【0023】
また、ネットワーク上で最短経路を検索をする方法は種々のものが知られているが、何
れもある評価関数の元で、その値を最大又は最少にする経路を1本与えてくれるだけであ
るため、2本目以降の経路候補をどのように検索するかが問題になる。
【0024】
斯かる問題を解決すべくGA法或いはNN法などによる解法が研究されているが、必ず
しも確立した方法ではなく、また、あまりにも厳密な解はこのシミュレーションの目的か
ら見て適当ではない。なぜなら、僅かしか違わない経路が検索されてきた場合、水理的に
は同一の特性を持つことになり、代替ルートとしての意味をもたないからである。
【0025】
本発明はこのような従来の問題点に鑑みてなされたもので、衝突履歴という概念を導入
し、衝突履歴のあるノードをできるだけ避けて検索することにより効率的に異なった経路
が検索できるなど、氾濫現象の予測結果を基にした最適な経路を検索することを目的とす
るものであり、更に詳しくは、河川の任意破堤点を入力した際、現時点での河川情報を利
用して、リアルタイムに氾濫解析及び河道水位予測の計算をし、動的に破堤点毎、時系列
毎の浸水想定区域を表示することができ、また、氾濫時に必要な人間が必要な場所に移動
できるのか、どの経路を通って行けば良いのかなど、氾濫現象の予測結果を基にして最適
な経路(危険地域を避け、安全に行動可能なルート)を抽出し、当該地域の住民に警告・
連絡を行い、延いては、当該地域の住民の避難誘導や危険箇所への効率的な防災活動を支
援することができる有用な防災・避難行動シミュレーションシステムを提供することを目
的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0026】
上述の如き従来の問題点を解決し、所期の目的を達成するため本発明の要旨とする構成
は、河道データ、水文データ、気象データ等の河川情報に関するデータベースと、氾濫原
に関するデータを取得する氾濫原データベースと、河川に流入する流量を予測する流出解
析手段と、河川の基準地点や任意地点の水位を予測する河道水位予測手段と、破堤点の流
入量を計算する破堤点流入量計算手段と、雨量データやテレメータなどの観測データや水
位予測データを用いて任意の破堤点の氾濫解析をリアルタイムに行う氾濫解析手段と、氾
濫流を動的に表示するシミュレーション手段との全て又は何れかを選択又は組み合わせて
なる防災・避難行動シミュレーションシステムにおいて、前記シミュレーション手段は、
防災、避難に最適な経路候補の検索を行う最適経路候補検索手段と、水理計算の結果を付
与する水理計算付与手段と、防災、避難の行動軌跡として最適な経路の計算を行う最適経
路計算手段との三段階に分けて検索を行う防災・避難行動シミュレーションシステムに存
する。
【0027】
また、前記最適経路検索手段は、GIS上に展開された道路デジタル地図から検索され
た最適経路候補を基に、水理計算結果を動的制限条件として、避難の時間及び/又は距離
の最短経路を求めるのが良い。
【0028】
更に、前記最適経路検索手段は、順位付き最短経路検索により決定されると共に、限界
出発時刻を与える最適経路、最速到着時刻を与える最適経路、最遅出発時刻を与える最適
経路の検索を行うのが良い。
【0029】
また、前記動的制限条件は、水理計算結果から予測される浸水状況によって、安全に通
行できるかどうかという観点から使用不能になるノードやリンクを最短経路検索の対象か
ら除外するのが良い。
【0030】
更に、前記道路デジタル地図は、道路構造をノードとリンクによりなるネットワークと
して表現し、ノート及びリンクの位置や接続情報、道路種別や幅員などの属性情報、路面
上の浸水深、浸水範囲、路面標等の観測データを基に、避難の時間及び距離を最短にする
最短経路検索を行うのが良い。
【0031】
また、出発地、目的地、移動速度、出発時刻、到着時刻、総移動距離、総所要時間、経
由ノードとリンク、各ノードにおける安全に通行できる時刻までの余裕時間、クリティカ
ルポイント等の経路情報を基に、移動にかかる時間的要素を決定するのが良い。
【0032】
更に、前記時間的要素は、出発時刻を与えて、最も早く目的地に到達する時刻は何時なの
かを決定する最速到達時刻と、到着時刻を与えて、最も遅く出発しても良い時刻は何時な
のかを決定する最遅出発時刻と、状況全体の中で何時までに出発しなければ安全に目的地
に辿り着けないのかという限界の時刻を決定する限界出発時刻とからなるのが良い。
【発明の効果】
【0033】
本発明は上述のように構成され、防災・避難行動に伴う動的制限条件の処理を三段階に
分けて実現しているため、換言すれば、防災、避難に最適な経路候補の検索を行う最適経
路候補検索手段と、水理計算の結果を付与する水理計算付与手段と、防災、避難の行動軌
跡として最適な経路の計算を行う最適経路計算手段との三段階に分けて検索を行う防災・
避難行動シミュレーション機能を有することによって、刻々と迫る浸水深の状況や人の行
動などの動的変化に対応した的確な防災・避難経路を検索できるといった効果を奏するも
のである。
【0034】
特に、本シミュレーションシステムでは、独自に衝突履歴という概念を導入し、衝突履
歴のあるノードをできるだけ避けて検索することにより、効率的に異なった経路が検索で
きるため、氾濫現象の予測結果を基にした最適な経路を提供できる。
【0035】
しかも、水理計算の結果、全ての地点、全ての時間における浸水深の値を知ることがで
き、また、これ以上、浸水深が大きくなると通行できなくなるといった基準(通行不能水深)を予め定めているため、地点毎に通行が不可能になる時間帯(通行不能時間帯)を計算することができる。
【0036】
更に、本シミュレーションシステムは、人の行動に沿っての最適な防災・避難経路を計
算できるため、従来の如く実際に避難を実行する時間によって予め定められた避難経路が
使用できなかったり、異なる経路を選択しなければならないといった問題を解決できるも
のであり、現状の洪水と行動に即した的確な避難経路を提供し確認することができるとい
った効果を奏するものである。
【0037】
また、避難が必要かどうか、何時までに避難を始めたら良いか、避難に成功したか否か
など、防災・避難行動に必要なシミュレーションを行えるため、防災関係機関の対応能力
が向上し、より適切なタイミングでの避難指示が行われ、当該河川流域住民が安全に避難
できる結果、人命の損失や負傷者の発生を低減すると共に、財産上の被害も最小限化でき
るといった効果を奏する。
【0038】
また、本システムの防災・避難行動シミュレーション手段では、地図上の所要の点をク
リックすることにより、出発点、目的点の位置を入力され、次いで、出発点、目的点の位
置が入力されると、全体のルーチンのうち、第1段階における順位付最短経路検索、第2
段階における通行不能開始時刻計算が自動的に実行でき、次いで、一般道における移動速
度を入力し、また、移動速度の値を変えた場合でも、最短経路検索に戻ることなく、第3
段階の最適経路の計算部分だけ処理することができる。次いで、最後に検討した項目を入
力し、最速到着時刻の場合には出発時刻を、最遅出発時刻の場合には到達時刻を入力する
ことによって、求める時刻とその時の最適な経路を簡単、かつ、迅速に計算できるといっ
た効果を奏する。
【0039】
更に、防災活動にあっては、作業地点から退避地点に至る経路を、何時までに作業地点
を離れないと安全に帰って来れないのかという限界出発時刻を得ることができ、また、こ
らから必要な対策を行うための作業時間を差し引くことで(作業地点に到達する必要のあ
るギリギリの時刻を意味することから)、出発地点から作業地点までの経路を、この時刻
にまで到着するような最遅出発時間の問題として解くことができるため、その解(限界出
発時刻)の時刻までに出発できれば所要の対策を講ずることが可能であるなどの判断・分
析を迅速に行うことができるといった効果をも兼備する。
【0040】
その他、河川の任意破堤点を入力するだけで、現時点での河川情報を利用したリアルタ
イムな氾濫解析及び河道水位予測の計算ができ、動的に破堤点毎、時系列毎の浸水想定区
域を表示することができるといった効果を奏するものであり、河川の水防上の重要箇所や
破堤の可能性が高い箇所の代表点を選んで行う氾濫解析の他、それ以外の箇所で破堤した
場合(想定外の場合)でも円滑に対処できる。
【0041】
また、その結果を地図上やグラフ、帳票形式に表示処理を行うことで、危険地域、安全
に避難可能なルートを抽出し、当該地域の住民に警告・連絡を行い、当該地域の住民の避
難誘導や危険箇所への効率的な防災活動を支援することができるといった効果をも兼備し
ている。
【0042】
換言すれば、(a)氾濫流の予測を踏まえ防災対応に関して防災関係者の迅速かつ的確な
判断を支援することができ(効果的な防災対策の支援)、(b)住民にも直接情報提供がで
きる環境が整えば、避難行動などに関して住民自らの判断を支援できる。また、(c)危機
管理演習時の実践的なシナリオとして活用できる他、(d)防災関係者の学習ツールとして
活用することができるため、平常時にはいくつかの想定したハイドログラフを選択し、氾
濫シミュレーションをゲーム感覚で学習を行うことにより、氾濫の状況を常識化し、いざ
という時の防災対応能力を高めることができる。
【0043】
更に、雨量等の河川情報が入り次第、そのまま流出、氾濫、避難までを一連下で扱い、
多様な洪水氾濫状況に可能な限り近い情報をいち早くかつ正確に提供できるため、従来の
如き紙地図上の洪水ハザードマップとは異なり情報が固定されることなく、時々刻々と変
化する実際の洪水・氾濫に対応することができ、延いては、多様な洪水氾濫状況下に的確
かつリアルタイムに情報を配信して、水害による人命等の被害を最小限に止めるのに役立
つといった効果を奏する。
【0044】
また、ネットワーク上で過去の災害履歴、類似災害を検索することができるデータベー
スから、災害の予測等に関する災害情報データを取得することによって、いつでも必要に
応じて過去の災害状況や災害の現状を取得できるので、シミュレーション結果と合わせる
ことにより、今後どのような被害が生ずるのかの予測が精密に行えるといった効果を奏す
る。
【0045】
しかも、携帯電話、PHS、携帯情報端末、カーナビ及び固定端末のプラットフォーム
を利用して、いつでも洪水ハザードマップを呼び出せると共に、浸水等の河川情報を提供
し、安全かつ適切に避難できるように避難場所までのルートを案内できるのみならず、水
系一貫の下で河川管理が行われるため、流域に降った雨量等から河川への流出、水位の動
向、また、内・外水氾濫の可能性の目安を予見することができるといった効果を奏する。
【0046】
また、危険性のある地域に存在する携帯端末などに災害の危険性を強制的に知らせ、最
寄りの避難場所と避難経路を示したり、或いは災害直前に住民が危険を認識していない場
合、強制的に防災・河川情報を配信して危険を迅速かつ正確に認識させることができる。
【0047】
更に、市町村に対しての適切な大きさの単位流域に着目して時間雨量、累加雨量、水位
などの河川情報を合わせて配信できるため、防災担当者のみならず、一般国民にとっても
、自分の関係範囲、自分が必要なものが分かる(ワン・ツウ・ワン)と共に、水害の危険
性を降雨などから予見、解釈できるなど、極めて効果的である。
【0048】
しかも、防災担当者などが時々刻々と変わる雨量、水位などの河川情報から的確なる水
防活動を行うために必要な系統だった情報、画面の集合的情報を配信できること、換言す
れば、水害の危険性を判断するのに適切な論理、シナリオ性を有し、(できるだけ短い)
一定の更新周期で自動変遷していく情報をリアルタイムに配信できるため、災害対策上、
極めて効率的かつ効果的である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0049】
最適経路候補検索手段と、水理計算結果付与手段と、最適経路計算手段との三段階にわ
けて検索すると共に、前記最適経路検索手段は、GIS上に展開された道路デジタル地図
を基に、水理計算結果を動的制限条件とすることで、避難の時間・距離上の最短経路を求
める。前記動的制限条件は、水理計算結果から予測される浸水状況によって、安全に通行
できるかどうかという観点から使用不能になるノードやリンクを最短経路検索対象から除
外し、また、前記道路デジタル地図は、道路構造をノードとリンクによりなるネットワー
クとして表現し、ノート及びリンクの位置や接続情報、道路種別や幅員などの属性情報、
路面上の浸水深、浸水範囲、路面標等の観測データを基に、避難の時間及び距離を最短に
する最短経路検索を行う。
【実施例1】
【0050】
次に、本発明の実施の一例を図面を参照しながら説明する。図中Aは、本発明に係る防
災・避難行動シミュレーションシステム(以下、単に「本システム」という)であり、こ
の本システムAは、図1に示すように、河川情報に関するデータベース1と、氾濫原に関
するデータを取得する氾濫原データベース2と、河川に流入する流量を予測する流出解析
手段3と、河川の基準地点や任意地点の水位を予測する河道水位予測手段4と、破堤点の
流入量を計算する破堤点流入量計算手段5と、雨量データやテレメータなどの観測データ
や水位予測データを用いて任意の破堤点の氾濫解析をリアルタイムに行う氾濫解析手段6
と、氾濫流を動的に表示する防災・避難行動シミュレーション手段7とを備える。
【0051】
斯かるシミュレーション手段7は、防災、避難に最適な経路候補の検索を行う最適経路
候補検索手段(第1段階)7aと、水理計算の結果を付与する水理計算付与手段(第2段階)
7bと、防災、避難の行動軌跡として最適な経路の計算を行う最適経路計算手段(第3段階)7cの三段階に大別されて検索を行う最適経路検索手段を有している。
【0052】
シュミュレーション手段7は、GIS上に展開された道路デジタル地図を基に、水理計
算結果を動的制限条件とすることで、避難の時間・距離上の最短経路を求めるものである

【0053】
動的制限条件とは、水理計算結果から予測される浸水状況によって、安全に通行できる
かどうかという観点から使用不能になるノードやリンクを最短経路検索対象から除外する
ものであり、最適経路を検索する部分と、水理計算結果及び人間のビヘイビヤー(移動速
度と求めたい時刻の行動パターン)を付与する部分とを分離して、以下の第1段階:最適
経路候補の計算(順位付与最短経路検索)、第2段階:水理計算結果の付与(動的制限条件
の付与)、第3段階:最適経路の計算の三段階に分けて計算する。
【0054】
(1)第1段階:最適経路候補検索手段(順位付与最短経路検索)
まず、斯かる第1段階においては、制限条件がない状態で、時間的距離を最少にする最
短経路検索を必要な本数だけ行い、図2に示すように、出発地Pから目的地Qに向かう経
路パターンの中で、最も短い経路から順にR1,R2・・・Rnとする。
【0055】
ある地点からDijkstra法によって最短の検索を行っていくと、検索されるノードは、図
3に示すように、当該地点から放射状かつ樹木上に、おおむね同心円を描きながら拡大し
ていくが、この時、出発地、目的地の双方からDijkstra法による最短経路の検索を行い、
一つの親ノードが生成される毎に、生成された親ノードが相手側登録ノード群の何れかの
ノードと合致するかを調べる。
【0056】
もし、合致したとすると、斯かる親ノードはこのステップにおける自分自身の視点から
の最短経路であり、かつ、その衝突ノードから相手側の始点に至る最も短い経路であるか
ら、少なくともこの経路は当該衝突点を経由して両始点を結ぶ最も短い経路であるという
ことができる。この衝突点は、同心円が拡大していくに連れて順次外側に拡大していくも
のと考えられるので、このルーチンを繰り返していけば、順次迂回路が生成され、R1、
R2・・・Rnが求まっていくことになる(以下、これを単に衝突法という)。
【0057】
この時、R1が果たして厳密な意味での最も短い経路かということがまず問題となる。
このため、第1段階として通常のDijkstra法でまずR1を求め、次いで、この衝突法によ
りR2以降を検索することにする。
【0058】
次に、問題なのは、複数経路を検索していく場合、同じ経路が重複して検索されたり、
僅かしか違わない経路が検索される恐れがあるが、本システムでは、衝突履歴という概念
を導入して、衝突履歴のあるノードはできるだけ避けて検索することにより、効率的に異
なった経路が検索されるといった利点がある。
【0059】
具体的には、まず、衝突か否かのチェック時に衝突履歴のあるノードは対象から除き、
次いで、Dijkstra法のルーチンに直接干渉し衝突履歴のあるノードはできるだけ避けて検
索するのである。
【0060】
(2)第2段階:水理計算結果付与手段(動的制限条件の付与)
このようにして求められた各経路候補R1,R2・・・Rnに対して水理計算の結果を
付与する。水理計算の結果、全ての地点、全ての時間における浸水深の値が知られている
から、これ以上浸水深が大きくなると通行できなくなるという基準(以下、単に通行不能水深という)を予め定めておくことで、地点毎に通行が不可能となる時間帯を計算することができる。
【0061】
この計算を各経路Ri上で出発点Pから目的点Qまでを行い、その結果をPからの移動
距離xと時間tで作られるx−t時空平面上に図示すると、図2に示すように、経路Ri
毎に、xに沿う通行不要時間帯の範囲を表現することもできる。
【0062】
この場合、氾濫流が過ぎ去った後で通行できるか否かを検討しても意味がないことから
、通行不能となる始めての時刻が需要となるため、この時刻を通行不能開始時刻とし、こ
れ以降、当該地点は通行不能として扱う。
【0063】
このラインを全ての経路候補に対して同一平面上に示すと、図4のようになるが、実空
間では同一地点である目的地Qはx−t時空平面上では必ずしも同一点にならないので注
意を要する。
【0064】
(3)第3段階:最適経路計算手段
x−t時空平面上で、人間の行動に沿って最適経路を計算するものであり、実空間を速
度vで移動する人間の行動は、x−t時空平面上で1/vを接線の傾きとする軌跡で表さ
れる。一定速度vで移動する場合、この軌跡はt=x/v+tで表される直線となる。
【0065】
ある経路を通って出発地から目的地まで移動できるかどうかは、当該軌跡が前述の通行
不能開始時刻のラインより下方にあるかどうかで判定できる。一部でも上方に飛び出す部
分があれば、その地点での浸水深は既に通行可能は範囲を超えていて、それ以上進めない
からである。
【0066】
出発時間が与えられていて最速到着時刻を求める場合、より移動距離の短いR2の方が
、到着時間te2も早いが、この経路においては行動軌跡が通行不能開始時刻のラインよ
りも上方に位置する部分があるので使用不可能であり、結局、全線通行可能な経路の中で
最も到着時間の早いte1が最速到着時刻となる。
【0067】
逆に、到着時刻が与えられていて最遅出発時間を求める場合には、目的地Q1で同一時
間teから逆向きに出発地に向かって下がっていく軌跡とそれぞれの通行不能開始時刻の
ラインとの関係から当該時刻が求められる。
この場合、Qiの位置に応じて行動軌跡そのものが何本かの線に分かれることになるの
で注意を要する。当然、上方に位置する経路ほど出発時刻も遅いが、上方に位置するほど
通行不能開始時刻のラインも接近してくるので、行動軌跡が通行不能開始時刻のラインの
下方に位置する経路の中で最も上方に位置する行動軌跡のP点における時刻tsiが最遅
出発時刻となる。
【0068】
限界出発時間は、各経路の通行不能開始時刻のラインに下方で接する行動軌跡の集合の
うち、最も、上方に位置する行動軌跡のP点における時刻tsgとして計算できる。
【0069】
ここで、衝突法、Dijkstra法乃至速度関係における凡例を以下に示す。
(a)衝突法における凡例
vc[i]:衝突履歴
0:未衝突 1:衝突済
k:経路番号
kk:破棄された経路も含めた経路本数
kqmax:検索された最適経路候補の最大番号
ss:出発点からの登録ノード数
iFs:出発点からの登録ノードの集合
ismin:出発点からの、このステップでの親ノード番号
se:目的点からの登録ノードの数
iFe:目的点からの登録ノードの集合
iemin:目的点からの、このステップでの親ノードの番号
【0070】
(b)出発点からのDijkstra法についての凡例
NMAX:最大ノード数
vs[i]:親ノードかどうかの判定フラグ(初期状態では全て0)
vvs[i]:登録ノードかどうかの判定フラグ(初期状態では全て0)
ssmax:出発点からの登録ノードの最大番号
iFs[i]:出発点からの登録ノードの集合(初期状態では全て0)
ismin:出発点からの、このステップでの親ノードの番号
【0071】
(c)目的点からのDijkstra法についての凡例
ve[i]:親ノードかどうかの判定フラグ(初期状態では全て0)
vve[i]:登録ノードかどうかの判定フラグ(初期状態では全て0)
semax:目的点からの登録ノードの最大番号
iFe[i]:目的点からの登録ノードの集合(初期状態では全て0)
iemin:目的点からの、このステップでの親ノードの番号
【0072】
(d)速度関係
uratio:一般道路上の移動速度に対する高速道路上の移動速度の比
ap1[i][j]:道路種別、0は高速道路
【0073】
また、これ以降で使用される変数、定数、構造体及び関数の主なものを示す。「共通の
意味で用いられる主な変数」
i:ノード番号 j:リンク番号 k:経路番号 l:経路上の経由ポイント番号 m
:メッシュ番号 n:検討番号 座標(x、y) r:距離 z:標高 h:水位 t:時
刻(絶対時刻ta、基準時刻to、同左からの経過時刻tb、時間ステップ数tn、時間
ステップ間隔dt、ta=to+tb、tb=tn・dt)
【0074】
「定数」
IMAX //道路デジタルマップの原データにおけるノードの最大番号
MMAX //メッシュの最大番号
TNMAX //水理計算における時系列の最大数
CORN //一つのノードに接続するリンクの最大数
POINT //一つの経路の中のポイント数の最大数
HONSU //最短経路の候補数
NMAX //防災活動シミュレーションにおいて検討する経路の最大番号
MUGEN //最短経路検索に用いる大きな距離(m)などの大きな数
【0075】
「構造体の定義」
typedef struct Kdata{
short int jp ;//当該ノードに接続するノードの個数
int ip[CORN] ;//同上のノード番号
float rp[CORN];//同上までの距離
float zp[CORN];//接続リンクの最低地盤高
char ap1[CORN];//接続リンクの属性の1(道路の種別)
char ap2[CORN];//接続リンクの属性の2(道路幅種別)
char ap3[CORN];//接続リンクの属性の3(予備)
float xp,yp; //当該ノードの座標
int mp; //当該ノードの属するメッシュの番号
}Kdata;// 経路情報の原データ

typedef struct Kerio_q{
int kqmax; // 最短経路候補の最大番号<HONSU
int lqmax[HONSU];//当該経路に属するポイントの最大番号
int iq[HONSU][POINT] ;// 同上のノード番号
float xq[HONSU][POINT];// 同上のx座標
float yq[HONSU][POINT];// 同上のy座標
float rq[HONSU][POINT];// 同上までの累加距離
float zq[HONSU][POINT];// 同上までの標高
int mq[HONSU][POINT] ;// 同上の属するメッシュ番号
char aq1[HONSU][POINT];// 同上の属性の1
char aq2[HONSU][POINT];// 同上の属性の2
char aq3[HONSU][POINT];// 同上の属性の3
float rdistotal[HONSU] ;//総延長(高速道路考慮)
}Kerio_q;// 最適経路候補(順位付最短経路)の経路情報

typedef struct Keiro_r{
int lrmax;//当該経路に属するポイントの最大番号
int ir[POINT] ;//同上のノード番号
float xr[POINT] ;//同上のx座標
float yr[POINT] ;//同上のy座標
float tb_r[POINT];//同上における余裕時間
int lc; //当該経路上のクリティカルポイント
float u; //一般道路の移動速度
float ta_s,ta_e; //出発時刻、到着時刻
}keiro_r;// 最適経路の経路情報

typedef struct Critime{
float tb[HONSU][POINT];// 通行不能開始時刻
}Critime;//通行不能開始時刻
【0076】
「使用される主な関数の宣言」
Keiro_q findroute(Kdata kd[],float xs,float ys,float xe,float ye,float z[],int i
s,int ie){
//kd[IMAX+1]:経路情報の原データ
//xs,ys,xe,ye:出発地点、目的地点の座標
//z[MMAX];各メッシュの地盤高
//is,ie:出発ノード、目的ノードの番号
};//経路情報の原データkdを基に最適経路候補(順位付最短経路)kqを検索

Critime calcritime(keiro_q *kq,float h[][],float dt,int tnmax,float hdpat){
//*kq: 最適経路候補の経路情報
//h[MMAX+1][TMAX+1]:水理計算結果
//dt: 時間ステップの時間間隔
//tnmax:時間スップの最大番号
//hdpat:通行不能となる水深
};//最適経路候補kqと水理計算結果hから通行不能開始時刻twを算出

keiro_r calatestime(keiro_ q *kq,Critime *tw,float to){
//*kq:最適経路候補の経路情報
//*tw:通行不能開始時刻
// to:基準時刻(tn=0の時の時刻)
};//最適経路候補kqから限界出発時刻を与える最適経路krを生成

keiro_r caletime(keiro_q *kq,Critime *tw,float to,int *fs){
//*kq:最適経路候補の経路情報
//*tw:通行不能開始時刻
// to:基準時刻(tn=0の時の時刻)
//*fs:目的地に到着できたかどうかの判定
};//最適経路候補kqから限界出発時刻を与える最適経路krを生成

keiro_r calstime(keiro_q *kq,Critime *tw,float to,int *fs){
//*kq:最適経路候補の経路情報
//*tw:通行不能開始時刻
// to:基準時刻(tn=0の時の時刻)
//*fs:目的地に到着できたかどうかの判定
};//最適経路候補kqから最遅出発時刻を与える最適経路krを生成
【0077】
上記の定数や変数並びに構造体や関数を用いて最適経路計算を表現し直してみると、第
1段階の最適経路候補を計算する部分は,Kdata型の経路情報の原データkd(道路デジタル地図)を基に順位付最短経路検索を行って、keiro_q型の最適経路候補構造体kqを生成するプロセス、第2段階の水理計算結果の付与の部分は、第1段階で得られた最適経路候補構造体kqと水理計算結果hとから、Critime型の通行不能開始時刻構造体twを算出するプロセス、第3段階の最適経路計算の部分は、最適経路候補構造体kqと通行不能開始時刻構造体twとからkeiro_r型の最適経路構造体krを生成するプロセスであると再定義することができる。
【0078】
次に、最適経路候補検索算手段7aについて簡単に説明する。図8乃至図10は最適経
路候補検索手段(順位付最短経路検索法(衝突法))の計算フローを示すものである。
【0079】
次に、水理計算結果付与手段(通行不能開始時刻 calcritime )7bについて簡単に説明する。水理計算結果を付与する手法として、経路上の通行不能開始時刻tb_w[k][1]を算出するフローを図11に示す。
【0080】
次に、最適経路計算手段7cについて簡単に説明する。最適経路計算手段7cとしては
、限界出発時刻、最速到着時刻、最遅出発時刻を算出する計算のフローを図12乃至図1
4に示す。
【0081】
次に、本発明で使用する表示画面の基本構造について簡単に説明する。防災活動や避難
行動のシミュレーションは、水理計算結果の表示に付随して行われるルーチンであるため
、結果の表示も水理計算結果の表示画面を使用して行われる。当該画面は、多層レイヤ構
造になっており、図15に示すように、最下層の地図レイヤ(図示せず)の上に面的情報の
表示を行う基本画面レイヤ10、市町村境や流域界などを表示する境界表示レイヤ11、
ユーザー使用レイヤ(図示せず)、コンテンツ表示レイヤ12及び13が次々と乗る構造に
なっている。
【0082】
このうち、基本画面表示レイヤ10上には、避難行動における各メッシュ毎の限界避難
開始時刻や避難余裕時間の分布などの面的情報が表示される。また、コンテンツレイヤ1
2上には、避難所や防災関係施設に係る様々な情報、避難経路の係る種々の情報(経路の
位置、経路上の各ポイントにおける避難余裕時間、クリティカルポイント、動画としても
示すことのできる経路に沿う浸水位縦断)並びに各ポイントにおけるハイドログラフなど
浸水の状況などを表示することが可能である。
【0083】
このように構成される本システムの防災・避難行動シミュレーション手段は、まず、地
図上の所要の点をクリックすることにより、出発点、目的点の位置を入力する。出発点、
目的点の位置が入力されると、全体のルーチンのうち、第1段階における順位付最短経路
検索、第2段階における通行不能開始時刻計算が自動的に実行される。
【0084】
次いで、一般道における移動速度を入力する。高速道路における移動速度は、一般道と
は別であるが、両者の移動速度比が異なると、最短経路候補検索からやり直すことになる
ので、環境設定の中で別途この比だけ予め定めておく必要がある。これにより、移動速度
の値を変えた場合でも、最短経路候補検索に戻ることなく、第3段階の最適経路の計算部
分だけ処理することができる。
【0085】
因に、通行不能開始時刻を計算する場合、通行不能水深の値が必要となるが、これはそ
うしばしば変更するものではないので、上記同様、環境設定の中で予め定めておくように
なっている。
【0086】
次いで、最後に検討したい項目を入力し、最速到着時刻の場合には出発時刻を、最遅出
発時刻の場合には到達時刻を入力すると、求める時刻とその時の最適な経路が計算されて
くる。二回目以降の検討では、位置、移動速度、条件となる時刻の変更の何れかからでも
計算に入ることができる。
【0087】
検討の結果は、直ちに画面上に表示されるが、使用されるレイヤは、コンテンツ表示レ
イヤであるので、その下に水理計算の様々な結果を表示しておくことができる。また、避
難所や防災関係施設の状況などの関連情報を同時に表示させておくことも可能である。
【0088】
検討の結果として表示される内容は、出発点、目的点の位置、余裕時間別に色分けされ
た経路、クリティカルポイントなどが挙げられる。当該経路をクリックすることにより、
その経路上の水位縦断面図を呼び起こして動画として表示することができる。
【0089】
また、経路上の任意のポイントをクリックすることにより、そのポイントにおける水位
などの時間変化を表示することも可能である。ここの検討結果は、一覧表に纏めて保存す
る。保存された結果は、この一覧表の中の当該検討番号欄をクリックすることにより、再
度、呼び出して表示することができる。また、呼び出された結果を基に、その条件の一部
を変更して新たな検討を加えられることは云うまでもない。尚、二点間最適経路計算のフ
ローを図16に、二点間最適経路計算のインターフェイスを図17に示す。
【0090】
次に、本システムで使用する防災活動シミュレーション機能について説明する。防災活
動シミュレーションは、効果的な防災活動が判明した場合、実際に防災活動が可能か否か
を検討することを目的としている。同活動が可能か否かの判定は、結局、その活動を担う
者が、ある地点を出発して作業地点に至り、必要な作業を終えた後、安全な地点にまで再
び戻って来れるかどうかにかかっているが、対策として有効であるということは、すなわ
ち、グズグズしていると水が回って来ることを意味しているので、検討内容を必要最小限
なものに限定することにより、できるだけ迅速に検討が終了するようにしている。
【0091】
具体的に検討内容を考えると、大別して二つ挙げられる。一つ目はある出発地点から作
業地点に至るまでの最適経路の検討であり、二つ目は必要な作業を終えた後、再び安全な
地点にまで帰ってくる時の最適経路の検討であるが、実際の検討作業は、逆向きに行われ
ることになる。
【0092】
すなわち、まず作業地点から退避地点に至る経路を、何時までに作業地点を離れないと
安全に帰って来れないのかという限界出発時刻の問題として解き、限界出発時刻を得る。
こらから必要な対策を行うための作業時間を差し引くと、それはすなわち作業地点に到達
する必要のあるギリギリの時刻を意味することから、出発地点から作業地点までの経路を
、この時刻にまで到着するような最遅出発時間の問題として解くと、その解(限界出発時
刻)の時刻までに出発できれば所要の対策を講ずることが可能であると判断される。
【0093】
具体的な検討作業としては、図19に示すように、作業位置入力欄14で作業地点、退
避地点、出発地点の順にそれぞれの位置を入力し、作業条件入力欄15で作業に必要な時
間及び一般道の移動速度を入力すると、二つのパートの計算が全て自動的に実行され、出
発地点を出発する必要のあるギリギリの時刻として検討項目欄16に、この限界出発時刻
が得られるのである。
【0094】
検討結果は、二点間の最適経路の時と同様、コンテンツ表示画面17に出力されるので
、水理計算の結果や関係する防災関係施設、備蓄資材の状況など必要な情報と重ねて表示
することができる。
【0095】
その内容は、出発地点の限界出発時刻、作業地点への到着時刻、作業地点からの出発時
刻、退避地点への到着時刻及び出発地点からの作業地点を経由して退避地点に至る、余裕
時間別に色分けされた経路並びにクリティカルポイントなどからなるが、経路をクリック
すれば当該経路に沿う水位縦断面図が、任意のポイントをクリックすれば、当該ポイント
での水位等の時間変化が見られるのも、前述した二点間の最適経路問題の時と同様である

【0096】
次に、本システムで実施する避難行動シミュレーション機能について説明する。避難行
動シミュレーションは、水理計算結果を基にして行われるため、水理計算で用いられたメ
ッシュより小さな範囲は区別できない。このため同一メッシュに属する人は同一行動をと
るという前提で分析を行うが、現在の水理計算に用いられるメッシュの数は数千から数万
に及ぶので、その処理は膨大なものとなる。
【0097】
しかしながら、避難行動の場合には、予め避難所が定められている場合が多く、また、
行動半径が2km程度とされているので、何れにしてもそれほど選択の余地は多くない。
このため、各メッシュに対して何カ所かの避難所を想定すれば充分であることから、処理
全体を二つのパートに分割して実行することができる。
【0098】
すなわち、まず、第1段階として、図20に示すように、経路情報原データ(kd[i])S201を基に、各メッシュ毎、各想定避難所毎に最適な避難経路候補(kq[m][b])S202の検索を予め実行しておき、その結果得られた最適経路候補構造体をデータとしてハードディスクS202に保存する。
【0099】
こうすることで、第2段階として水理計算が実行された後に実施される避難行動の分析
においては、ハードディスクに保存してあるデータを基に,通行不能開始時刻、最適経路
の計算だけ行えば良いことになるが、処理時間の殆どは順位付最短経路検索の部分で費や
されているので、実際の避難行動の分析は迅速に実行できることになる。
【0100】
氾濫原の全域を対象として一括して避難行動の分析を行う場合、避難所に到着する時間
を設定して最遅出発時間を求めても意味がないので、検討する内容はメッシュ毎の限界出
発時刻か、避難開始時間を各メッシュ毎に与えた上での避難所への最速到着時刻となる。
【0101】
前者の場合は、移動速度さえ与えれば一括して計算ができる。この場合、避難は歩行が
原則であるから、高速道路は考慮する必要はない。車を用いるような特殊な場合には、二
点間の最適経路検索を行うことになる。
【0102】
最速到着時刻を求める時も、この事情は同様であるが、この場合にはメッシュ毎に個別
に出発時間を与える必要があるので、この入力が大変である。このため、避難行動シミュ
レーションのインターフェースでは、この入力の効率を上げるため、図21に示すように
、一括入力ボタン18を押して全域を一括して入力するとか、地図上の範囲を閉曲線で囲
むと、その内部のメッシュが一括して選択される等の工夫が施してある。
【0103】
また、具体的な出発時間が入力されなかったメッシュについては、避難行動の検討が実
施されるようになっているので、個別のメッシュの状況だけを見たい場合には、そのメッ
シュからの出発時間だけを入力すれば良い。
【0104】
検討結果の表示については、基本的には2点間の最適経路問題の時と同様であるが、こ
の場合には、限界出発時刻のメッシュ毎の分布や最速到着時刻の問題の場合の余裕時間の
分布のような面的な情報が発生するので、この情報は基本画面表示レイヤ10に書かれる
ことになる。
【0105】
避難経路については、メッシュをクリックすることにより、当該メッシュに係る経路が
表示される。表示内容は二点間問題の時と同様である。逆に避難所をクリックすると、避
難所の施設内容のような静的な属性データと共に、避難行動の結果としての収容人員とか
、避難してきた人々の範囲など、避難行動に伴う動的なデータも表示される。
【0106】
尚、本発明の防災・避難行動シミュレーションシステムは、本実施例に限定されること
なく、本発明の目的の範囲内で自由に設計変更し得るものであり、本発明はそれらの全て
を包摂するものである。
【0107】
例えば、河川情報のデータベース1は、GIS(地理情報システム:Geograph
ic Information System)による地図データの整備に対応しており
、ネットワーク上で河道データを取得する河道データ取得手段と水文データ取得手段とを
有し、河道水位の計算や横断図の表示に必要となる河川諸元データを整備するものである

【0108】
また、氾濫原データベース2は、国土空間データ基盤の整備に対応しており、ネットワ
ーク上で氾濫原に関するデータを取得する(a)氾濫原データ取得手段を有する。斯かる氾
濫原データ取得手段は、得られた土地情報から浸水深を計算すると共に、避難路の算出に
用いる。具体的には、氾濫解析に必要となる氾濫原の標高や土地利用のデータ、また、避
難計画の検討に必要な避難場所の位置や属性データを整備するものである。
【0109】
更に、流出解析手段3は、上流域平均雨量の予測値又は実測値或いは任意に設定した雨
量の値を指標に河川に流入する流量を計算する河川流入量計算機能を備えるのが良い。
【0110】
また、河道水位予測手段4は、流出解析と河道不定流の二つのモデルからなり、過去に
おける主要洪水の降雨や基本高水流量の算定に用いられた計画降雨など、任意に設定され
た降雨により流出解析計算を行う。これにより求められた流出量を用いて河道内は不定流
計算により水位を計算するものである。
【0111】
更に、破堤点流入量計算手段5は、破堤地点から氾濫原に流入する流量を計算するもの
で、破堤地点の河道水位、氾濫原の水位、破堤幅から横越流公式を用いて計算する。尚、
破堤幅やその広がり方は、例えば、土木研究所のマニュアルに基づいている。
【0112】
また、氾濫解析手段6は、任意の破堤地点から氾濫原に流入する流量を用いて氾濫解析
を行うものであり、氾濫解析手法としては、例えば、氾濫流の運動を厳密に再現できる二
次元不定流モデルが挙げられる。
【0113】
更に、フィードバック補正手段8は、現地からの情報を基に計算する現地情報フィード
バック機能と、浸水センサーによる浸水深から計算する水深フィードバック機能と、人工
衛星等の観測データによる氾濫面積から計算する氾濫面積フィードバック機能と、内水ポ
ンプの排出量から計算する内水排水量フィードバック機能とを備えるのが良く、破堤時に
おいて刻々と変化する各種の観測情報を氾濫予測計算の初期値としてフィードバックし、
氾濫解析を高精度に行うのである。
【0114】
尚、本明細書で言及している「河川情報」とは、少なくとも下述する(a)乃至(f)の全
て又は何れかの情報を選択又は組み合わせてなるものである。
(a)流域に降る雨を流域内に樹枝状に分布する水系網に集水し、その集めた水を周辺地形より連続的に凹地となっていたり、堤防等で囲まれた空間としての河道によって海域まで流下させる現象或いは平水時、洪水時等の全ての時間帯においてその降雨現象、流出現象、流下現象について、それらの現象を物理的に数量として観測する各種施設(レーダ雨量計、雨量観測所、水位観測所等)で得られる全ての情報。
(b)ダム、堤防、集水堰などの流出現象、流下現象に影響を与える人為的な行為の所産としての各種施設に関する諸元や時系列的に変化する全ての情報。
(c)施設の機能不全や破壊によって発生する洪水氾濫現象の分布状況等についての空間的・時系列的に変化する全ての情報。
(d)流域内の降雨量とその流域の地形的な特性によって円滑に排除されずに滞留することによって発生する湛水や浸水現象の分布や状況等についての空間的・時系列的に変化する全ての情報。
(e)洪水氾濫現象や湛水・浸水現象の抑止、抑制を目的として行われる水防活動等についての空間的・時系列的に変化する全ての情報。
(f)洪水氾濫現象や湛水・浸水現象によって、流域内の居住及び存在する人間及び生物の生命の保護及び社会活動の所産として蓄積される財産やその仕組みの毀損を軽減することを目的として行われる警戒行動・避難行動やその行動を惹起するための報道などを含む被害軽減行動に関する全ての情報。
【図面の簡単な説明】
【0115】
【図1】本発明に係る防災・避難行動シミュレーションシステムの全体構成を示す説明図である。
【図2】同防災・避難行動シミュレーションシステムの防災・避難行動シミュレーション手段で実施する経路候補(順位付最短経路検索)の概念を示す説明図である。
【図3】同防災・避難行動シミュレーション手段で実施する衝突法の概念を示す説明図である。
【図4】同防災・避難行動シミュレーション手段で実施する水理計算結果の付与概念図を示す説明図である。
【図5】同防災・避難行動シミュレーション手段で実施する最速到着時刻の計算を示す説明図である。
【図6】同防災・避難行動シミュレーション手段で実施する最遅出発時刻の計算を示す説明図である。
【図7】同防災・避難行動シミュレーション手段で実施する限界出発時刻の計算を示す説明図である。
【図8】同防災・避難行動シミュレーションシステムで実施する最適経路候補検索手段を示すフローチャートである。
【図9】同最適経路候補検索手段を示すフローチャートである。
【図10】同最適経路候補検索手段を示すフローチャートである。
【図11】同防災・避難行動シミュレーションシステムで実施する水理計算結果付与手段で実施する通行不能開始時刻の計算フローである。
【図12】同最適経路計算手段で実施する限界出発時刻の計算フローである。
【図13】同最適経路計算手段で使用する最速到着時刻の計算フローである。
【図14】同最適経路計算手段で使用する最遅出発時刻の計算フローである。
【図15】同防災・避難行動シミュレーションシステムで実施する表示画面の基本構造を示す説明図である。
【図16】同最適経路計算手段で使用する二点間最適経路計算のフローである。
【図17】同二点間最適経路計算のインターフェイスである。
【図18】防災活動シミュレーションの計算フローである。
【図19】防災活動シミュレーションのインターフェースである。
【図20】避難行動シミュレーションの計算フローである。
【図21】避難行動シミュレーションのインターフェイスである。
【符号の説明】
【0116】
1 河川情報に関するデータベース
2 氾濫原データベース
3 流出解析手段
4 河道水位予測手段
5 破堤点流入量計算手段
6 氾濫解析手段
7 防災・避難行動シミュレーション手段
7a 最適経路候補検索手段(第1段階)
7b 水理計算付与手段(第2段階)
7c 最適経路計算手段(第3段階)
8 フィードバック補正手段
10 基本画面表示レイヤ
11 境界表示レイヤ
12 コンテンツ表示レイヤ
13 コンテンツ表示レイヤ
14 作業位置入力欄
15 作業条件入力欄
16 検討項目欄
17 コンテンツ表示画面
18 一括入力ボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
河道データ、水文データ、気象データ等の河川情報に関するデータベースと、氾濫原に関するデータを取得する氾濫原データベースと、河川に流入する流量を予測する流出解析手段と、河川の基準地点や任意地点の水位を予測する河道水位予測手段と、破堤点の流入量を計算する破堤点流入量計算手段と、雨量データやテレメータなどの観測データや水位予測データを用いて任意の破堤点の氾濫解析をリアルタイムに行う氾濫解析手段と、氾濫流を動的に表示するシミュレーション手段との全て又は何れかを選択又は組み合わせてなる防災・避難行動シミュレーションシステムにおいて、
前記シミュレーション手段は、防災、避難に最適な経路候補の検索を行う最適経路候補検索手段と、水理計算の結果を付与する水理計算付与手段と、防災、避難の行動軌跡として最適な経路の計算を行う最適経路計算手段との三段階に分けて検索を行うことを特徴とする防災・避難行動シミュレーションシステム。
【請求項2】
前記最適経路検索手段は、GIS上に展開された道路デジタル地図から検索された最適経路候補を基に、水理計算結果を動的制限条件として、避難の時間及び/又は距離の最短経路を求めることを特徴とする請求項1に記載の防災・避難行動シミュレーションシステム。
【請求項3】
前記最適経路検索手段は、順位付き最短経路検索により決定された最適経路候補を基に、限界出発時刻を与える最適経路、最速到着時刻を与える最適経路、最遅出発時刻を与える最適経路の検索を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の防災・避難行動シミュレーションシステム。
【請求項4】
前記動的制限条件は、水理計算結果から予測される浸水状況によって、安全に通行できるかどうかという観点から使用不能になるノードやリンクを最短経路検索の対象から除外することを特徴とする請求項2に記載の防災・避難行動シミュレーションシステム。
【請求項5】
前記道路デジタル地図は、道路構造をノードとリンクによりなるネットワークとして表現し、ノート及びリンクの位置や接続情報、道路種別や幅員などの属性情報、路面上の浸水深、浸水範囲、路面標等の観測データを基に、避難の時間及び距離を最短にする最短経路検索を行うことを特徴とする請求項1に記載の防災・避難行動シミュレーションシステム。
【請求項6】
出発地、目的地、移動速度、出発時刻、到着時刻、総移動距離、総所要時間、経由ノードとリンク、各ノードにおける安全に通行できる時刻までの余裕時間、クリティカルポイント等の経路情報を基に、移動にかかる時間的要素を決定することを特徴とする請求項1、2に記載の防災・避難行動シミュレーションシステム。
【請求項7】
前記時間的要素は、出発時刻を与えて、最も早く目的地に到達する時刻は何時なのかを決定する最速到達時刻と、到着時刻を与えて、最も遅く出発しても良い時刻は何時なのかを決定する最遅出発時刻と、状況全体の中で何時までに出発しなければ安全に目的地に辿り着けないのかという限界の時刻を決定する限界出発時刻とからなることを特徴とする請求項4に記載の防災・避難行動シミュレーションシステム。

【図1】
image rotate

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2006−323569(P2006−323569A)
【公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−145295(P2005−145295)
【出願日】平成17年5月18日(2005.5.18)
【出願人】(000173577)財団法人河川情報センター (11)
【Fターム(参考)】