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防災設備
説明

防災設備

【課題】避難経路に置かれた障害物を検出すること。
【解決手段】建屋に設けられ、火災を検出する火災感知器と、該火災感知器からの火災信号を受信する火災受信機と、前記火災受信機からの制御信号によって閉じる防火戸とを有する防災設備において、前記火災感知器が接続される信号線に、防火戸の閉動作の障害となる障害物の存在を検知する障害物検知器を設けた。障害物検知器が避難経路上の障害物を検知したときに、火災受信機で障害物警報を行う。障害物検知器は、監視カメラと、画像処理装置とから構成される。画像処理装置は、防火戸の前方に何も障害物がない状態における通常時の画像を背景画像として記憶しており、定期的に撮像する最新画像と背景画像とを差分処理することで、障害物の検知を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防災設備に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物には防災設備が設置されている。防災設備は、火災を検出する火災感知器、火災感知器からの火災信号を受信して、火災発生場所等を表示する火災受信機、防火戸、排煙ダンパなどの防煙・排煙装置とから構成されている。
火災時、建屋の階段室は避難経路となる。避難経路に火災時の煙が入らないように、フロアにおける階段室への出入口部分には、通常は、開放された防火戸(防火扉)が設けられ、防火戸用の専用の火災感知器が動作すると、火災受信機からの制御によって防火戸を閉止するように構成されている。
【0003】
防火戸の閉止する側の通路に、段ボール等の障害物が置かれてしまうと、火災時に、防火戸が閉止しない場合がある。また、障害物が存在すると、防火戸が閉まらなくなるという不具合だけでなく、火災時に避難の妨げとなる。
【0004】
そこで、特許文献1に記載の防火扉装置では、防火戸の近くに人間検知器と物体検知器を設け、人間検知器が動作せず、物体検知器が動作したときには、防火扉の前に障害となる物体が存在するものとして、通報装置により、物をどかすようにその場で警報を行うようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平3−295568号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
先行技術文献に記載された発明では、防火戸がある場所において、警報がなされるので、防災センターの管理者が、防火戸の前に障害物があることに気付くのに時間がかかってしまう。また、障害物の大きさなどを確認することもできない。このように従来の防災設備では、火災時に避難する際、避難の妨げとなる障害物の検出を防災設備全体としては行っておらず、避難経路の確認がなされていないという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、建屋に設けられ、火災を検出する火災感知器と、該火災感知器からの火災信号を受信する火災受信機とを有する防災設備において、火災時における避難経路上にある障害物の存在を検知する障害物検知器を設け、障害物検知器が障害物を検知したときに、火災受信機で障害物警報を行うことを特徴とするものである。
上記発明において、火災感知器が接続される信号線に、障害物検知器を設け、障害物検知器は、避難経路上に設けられ、防排煙装置または避難器具の動作の妨げとなる障害物の存在を検知し、該障害物検知器が障害物を検知したときに、信号線に障害物信号を送ることを特徴とするものである。
また、本発明の好ましい実施形態において、防災設備は、前記建屋内に設けられ、前記火災受信機からの制御信号により表示内容が制御される誘導表示灯を有し、前記障害物検知器は、避難経路上に障害物があることを検知した場合に、前記避難経路が使用可能か判定して、判定結果を前記火災受信機に送信し、前記火災受信機は、前記障害物検知器からの判定結果により使用できないと判定された避難経路の周辺に設置された前記誘導表示灯に制御信号を送信し、前記誘導表示灯の表示が前記避難経路の使用を避けることを促す表示となるように制御することを特徴とする。
また、本発明の好ましい実施形態における防災設備は、前記障害物検知器の検出エリアが複数の領域に分割されており、各領域における障害物撤去の必要度に応じて障害物検知器による障害物検知の態様が設定されていることを特徴とする。
また、本発明の好ましい実施形態における防災設備は、前記障害物検知器の検出エリアが複数の領域に分割されており、障害物が検知された領域における障害物撤去の必要度に応じて前記火災受信機による障害物警報の態様が設定されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、火災時における避難経路上にある障害物の存在を障害物検知器で検知し、検知時に、火災受信機で障害物警報を行うようにしたので、火災受信機のある防災センタ側で避難経路に障害物が置かれていないかを確認でき、建物の避難経路を有効な状態に維持できる。
【0009】
また、障害物検知器は、避難経路上の障害物の検出だけでなく、防排煙装置の正常な動作の妨げとなる障害物の検出もできるような場所に設けられるので、防排煙装置の動作を確実なものにすることができ、それにより避難を確実に行うことができる。
火災感知器が接続される信号線に障害物検知器を設けたので、障害物検知器用の信号線が不要となり配線の敷設作業が容易となる。また、障害物検知器を監視カメラと画像処理装置とから構成したので、防火戸の前方に置かれた障害物の大きさを火災受信機側で確認することができる。
また、前記火災受信機が、前記障害物検知器からの判定結果により使用できないと判定された避難経路経路の周辺に設置された前記誘導表示灯に制御信号を送信し、前記誘導表示灯の表示が前記避難経路の使用を避けることを促す表示となるように制御することにより、使用できない避難経路を避難者が使用しようとするのを防止することができる。
また、前記障害物検知器の検出エリアが複数の領域に分割されており、各領域における障害物撤去の必要度に応じて障害物検知器による障害物検知の態様が設定されていることにより、障害物撤去の必要度の高い領域において障害物が検知されたとき、速やかな障害物の撤去を促進することができる。
また、前記障害物検知器の検出エリアが複数の領域に分割されており、障害物が検知された領域における障害物撤去の必要度に応じて前記火災受信機による障害物警報の態様が設定されていることにより、障害物撤去の必要度の高い領域において障害物が検知されたとき、速やかな障害物の撤去を促進することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の防災設備のシステム図である。
【図2】障害物検知器として監視カメラを使用した場合を示す図面である。
【図3】画像処理装置の差分処理を説明する図面である。
【図4】変形例1に係る防災設備を示すシステム図。
【図5】検出エリアを複数の領域に分割する際の一例を示す模式図。
【図6】変形例3に係る障害物検知器の動作の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
<実施形態1>
以下、本発明の防災設備を、図1を用いて説明する。図1において、10は火災感知器で、建屋内に設けられ、建屋内の火災を検出する。10Cは防火戸の近辺に設けられた、防火戸20専用の火災感知器である。20は防排煙装置の一例である防火戸で、避難経路となる階段室の出入口部分等に設けられる。
防火戸は、通常は、レリーズ21によって開放状態に係止されており、防火戸用の専用の火災感知器10Cが動作するときに、閉止するものである。レリーズ21は、詳細には説明しないが、壁面に設けられ、図示しないストッパ部材をラッチすることで、防火戸20を開放位置に係止している。火災時に火災受信機30から制御信号を受信すると、内蔵したソレノイドに通電しストッパ部材のラッチを解除して防火戸20を閉鎖位置に移動させる。
【0012】
30は火災受信機で、火災感知器10と信号線(伝送線)Lを介して接続され、火災感知器10、10Cからの火災信号を受信する。火災感知器10と火災受信機30とを接続する信号線Lには、後述する障害物検知器40も接続され、信号線を共用化している。また、火災受信機30は、防火戸20と制御線を介して接続されている。
【0013】
火災感知器10と障害物検知器40の信号線を共用化しているため、火災受信機30では、火災感知器10の動作と障害物検知器40の動作を識別できるようにしてある。例えば、受信機30と端末(例えば、火災感知器10、10C及び障害物検知器40)とで伝送を行う本防災設備においては、火災感知器10,10C、および障害物検知器40の中継器41は、固有のアドレスを有する。また、火災受信機30は、このアドレスと端末の種別情報とを対応付けて格納したテーブルを備えており、ポーリング等によって端末の状態情報を収集する際、端末が火災感知器10であるのか、障害物検知器40であるのかを識別できる。
【0014】
尚、図1の防災設備は、各火災感知器10、10Cがスイッチング回路を有し、火災感知器10、10Cが火災発生を検出した時にスイッチング回路を短絡させて信号線Lの電圧を通常時より低下させることで、火災受信機30に火災発生を通知するP型と呼ばれる設備としてもよい。このようなP型の防災設備において、障害物検知器40もスイッチング回路を有するものとしてもよい。その場合、火災感知器10、10C及び障害物検知器40のそれぞれの動作に対して低下する信号線Lの電圧の値を異ならせることで、それぞれの端末の動作を識別できる。
【0015】
次に障害物検知器40の構成について説明する。障害物検知器40は、防火戸20の閉動作の障害となる障害物の存在を検知する。つまり、障害物検知器40は、防火戸20の回動範囲を検出エリアとするセンサであって、防火戸20の閉鎖の妨げとなる物体が、防火戸20の回動範囲内にあると、それを検知して警報音の生成、火災受信機30への通報などの所定の動作をする。
【0016】
障害物検知器40は、防火戸専用の火災感知器10Cの近くに設けられる。この障害物検知器40は、火災感知器10,10Cと同じ信号線Lに中継器41を介して接続されている。障害物検知器40としては、例えば、測距式の反射型センサが使用される。反射型センサは、発光素子から検出エリアに向けて光を発し、反射された光の検知状態によって、検出エリアに物体が存在するかしないかを検知するセンサである。
【0017】
次に火災時における動作について説明する。火災受信機30は、信号線Lを介して定期的に、火災感知器10や障害物検知器40等の端末から情報を収集している。建屋内で火災が発生し、通常の火災感知器10が火災を検知すると、火災信号を火災受信機30に送る。火災受信機30では、ブザー等により火災警報を行うと共に、表示部に火災が発生したことを表示する。
【0018】
通常の火災感知器10が動作した後、通常の火災感知器10よりも感度が低感度の防火戸20の火災感知器10Cが動作して、火災信号を火災受信機30に送ると、火災受信機30は制御線に制御信号を送る。この制御信号によりレリーズ21のソレノイドに通電して、ラッチが解除され、防火戸20は閉止する。
【0019】
続いて、防火戸20の回動範囲に障害物が置かれた場合の動作について説明する。障害物検知器40は、防火戸20の前方を監視しており、防火戸20の前方に所定時間にわたって段ボールなどの障害物が置かれた状態が続くと、障害物が存在すると判断する。
障害物検知器40は障害物を検知すると、火災受信機30からの問いあわせに対して、中継器41を介して障害信号を送り、火災受信機30では障害物警報を行う。これにより、火災受信機30が設置された防災センターの管理員は、防火戸20の前に障害物が置かれたことを直ちに知ることができる。また障害物検知器40は、火災感知器10が接続される信号線Lを利用して火災受信機30に信号を送るので、信号線を共用化することができる。尚、障害物警報としては、「防火戸の前に障害物が置かれています」といった内容の警報メッセージをスピーカ(図示せず)から音声として出力したり、火災受信機の表示部に表示したりしてよい。また、障害物が検知された防火戸の位置を示すフロアマップを表示部に表示してもよい。障害物が検知されたとき音声出力される警報メッセージは、障害物が検知されなくなるまで(または火災受信機30のオペレータが警報停止ボタン(図示せず)を押すなどの予め定められた操作をするまで)繰り返し出力してよい。
【0020】
以上の説明では、避難経路の障害物の検出として、防火戸がある階段室の出入口部分の障害物の検出を一例として説明したが、障害物の存在の検出は防火戸がある場所に限られず、火災時における避難経路となる場所であればどこでもよい。
例えば、避難する際に使用される、単なる階段室や廊下において、障害物検知器を設けてもよいし、室内の窓のあたりに障害物検知器を設けて、障害物検知器の検出エリアに障害物が置かれたときには、その障害物を検出して、火災感知器の信号線を利用して、火災受信機で警報するようにしてもよい。
このように障害物検知器は、避難経路において避難の妨げとなる障害物を検知できるものであればよい。
【0021】
また実施形態1では、防火戸のような防排煙装置が正常に動作するのに障害となる障害物を障害物検知器で検出して、火災受信機で警報するようにしたが、防火戸だけでなく、ベランダ等に設けられた救助袋や緩降機などの避難器具(装置)の動作を妨げる障害物の検知を障害物検知器で行うようにしてもよい。
【0022】
このように上記実施形態では、防災設備を構成する装置(防排煙装置等)が正しく動作するのを妨げる障害物の検知と、避難時における避難の妨げとなる障害物の検知の両方を行うので、災害時における防災設備の動作を確実にすると共に、災害時に確実に避難を行うことができる。
【0023】
<実施形態2>
実施形態1では、障害物検知器40として反射型センサを用いた場合で説明したが、障害物検知器40として監視カメラと画像処理装置を使用するようにしてもよい。
【0024】
監視カメラ50を障害物検知器40として使用する場合には、図2に示すように、監視カメラ50を防火戸20の前方に設置する。このとき、監視カメラ50の監視視野内に、防火戸20全体が入るように監視カメラ50を設置する。このときの監視カメラ50の監視画像の一例を図3(A)に示す。
【0025】
監視カメラ50を利用して障害物の検知を行う場合には、監視カメラ50に画像処理装置51を接続して、画像処理により障害物の検知を行う。画像処理による障害物の検知手法には色々な手法があるが、例えば差分処理によって障害物の検出を行う。
この場合は、画像処理装置51の第1の画像メモリに、防火戸20の前方に何も障害物がない状態における通常時の画像(図3(A))を背景画像として記憶しておく。そして、定期的に撮像する最新画像を第2の画像メモリに取り込み、第1の画像メモリにある背景画像と第2の画像メモリにある最新画像とを差分処理部によって差分処理する。
【0026】
図3(B)は、最新画像の一例であり、防火戸20の前に段ボール箱が複数個置かれた状態を示した図面である。また、図3(C)は、差分処理部による差分処理後の差分画像の図面であり、図3(A)と図3(B)の画像を差分処理することで、障害物である段ボールだけを画像から抽出することができる。この差分処理によって抽出された障害物を示す領域の面積を演算し、所定値と比較することで、防火戸20が閉じる際の障害となりうる障害物の検出を行うことができる。即ち、抽出された障害物を示す領域の面積が所定値より大きい場合、防火戸20が閉じる際の障害となりうる障害物があると判定することができる。画像処理装置51は、防火戸20が閉じる際の障害となりうる障害物を検出した場合、その検知結果を示す障害信号を火災受信機30に送信する。尚、この場合も、障害物が検知されたらすぐに火災受信機30に通報するのではなく、実施形態1と同様に、障害物が検知された状態が予め定められた時間継続した場合に、障害物が放置されたと判定し、火災受信機30に通報するものとしてもよい。
【0027】
なお、監視カメラ50及び画像処理装置51は、図示しない映像線を介して火災受信機30と接続してもよいし、あるいは、この監視カメラ50及び画像処理装置51を障害物検知器として使用する場合において、実施形態1のように、障害物検知器である監視カメラ50及び画像処理装置51を火災感知器が接続される伝送線上に設けるようにしてもよい。また、障害物があることを示す検知結果だけを障害信号として火災受信機30に送るのではなく、最新の画像または差分画像を静止画像として火災受信機30に送るようにしてもよい。火災受信機30において受信した画像を表示部に表示することによって、防災センタの管理員が障害物の存在だけでなく、その障害物の大きさを自分で見て把握できるので、障害物の処理に対応しやすくなる。また、画像処理装置51を火災受信機30に設け、監視カメラ50から送られてくる画像に基づいて、火災受信機30に設けられた画像処理装置51により障害物の有無の判定を行ってもよい。この場合、障害物検知器40の一部の機能(画像処理装置51の機能)が、火災受信機30によりなされると言うこともできる。
【0028】
<変形例>
本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、種々の変形実施が可能である。以下、変形例をいくつか説明する。以下の変形例のうち、2つ以上のものが組み合わせて用いられてもよい。
【0029】
(変形例1)
上記実施形態において、避難経路に放置された障害物を障害物検知器で検知し、火災受信機30において警報を発するものとしたが、本発明はこれに限定されない。例えば、検知された障害物の大きさ等に基づいて障害物が置かれた避難経路が使用可能か障害物検知器で判定し、その判定結果に基づいて、火災発生時の避難誘導を行ってもよい。
【0030】
図4は、避難誘導を行うことが可能な変形例1に係る防災設備を示すシステム図である。本図において、図1と共通する部分には同じ符号を付して詳しい説明を省略する。図4に示した防災設備は、誘導表示灯60が信号線Lに接続されている点が、図1に示した防災設備と異なる。
【0031】
誘導表示灯60は、例えば、液晶表示装置のように表示内容が可変の表示灯である。誘導表示灯60は、例えば避難口の上部に設けられ、通常時は点灯しており、その避難口から避難できることを示すものであるが、障害物があり避難に適さないときには、液晶表示装置において「×」等の表示を行って、その避難口から避難させないように避難者に示すものである。誘導表示灯60の表示内容は、火災受信機から信号線Lを介して供給される制御信号によって制御される。誘導表示灯60は、通常、監視対象の施設(建屋)の複数箇所に設置される。火災受信機30は、各誘導表示灯60の位置、及び、障害物検知器40(または障害物検知器40によって監視される避難経路)の位置を記憶した記憶部(図示せず)を有する。
【0032】
本例において、障害物検知器40は、図2に示した監視カメラ50及び画像処理装置51からなるものとし、画像処理装置51は、監視カメラ50の映像に基づいて障害物の検知を行うだけでなく、検知された障害物の大きさから、障害物が置かれた避難経路が使用可能か判定する。画像処理装置51は、障害物が検知されたとき、障害物があることの通知に加えて避難経路の使用の可否を示す情報を火災受信機30に対して通知する。火災受信機30は、監視されている避難経路の各々を識別する識別情報と、各避難経路の使用の可否を示す情報とを対応付けて、図示しない記憶装置に記憶する。
ここで、避難経路の使用可否について説明する。避難できる経路であっても障害物があり避難に時間がかかたったりする場合等避難に適さない場合には、使用否と判断される。
【0033】
火災受信機30は、火災発生時(即ち、火災感知器10または10Cにより火災の発生が感知されたとき)、使用できない避難経路の周辺に設置された誘導表示灯60の表示を「×」表示などの避難経路の使用を避けることを促す表示にするべく各誘導表示灯60に制御信号を送信し、避難する人がその避難経路または避難口に向かわないようにする。また、火災の発生を感知した火災感知器10、10Cを特定し、火災発生場所の周辺に設置された誘導表示灯60の表示を「×」表示などの表示にするべく各誘導表示灯60に制御信号を送信し、避難する人が火災発生箇所に向かわないようにする。なお、誘導灯において「×」表示の代わりに、誘導灯の点灯状態を消すようにしてもよい。
【0034】
このように、障害物が放置されて使用できない避難経路があるとき、その周辺に設置された誘導表示灯60の表示を「×」表示などの避難経路の使用を避けることを促す表示とすることにより、使用できない避難経路を避難者が使用しようとするのを防止することができる。
なお、障害物検知器の代わりに人体センサなどを避難経路に設けて、避難経路における混雑状況を検出するようにしてもよい。避難者によって混雑している避難経路は、避難に適さない経路であることから、この場合には誘導表示灯で「×」表示を行ってもよい。このようにすると、特定の避難経路を誘導表示灯の矢印表示等で誘導する場合と比べて、一つの避難経路に人が殺到する可能性が低減される。
【0035】
(変形例2)
上記実施形態において、障害物検知器40は、検出エリアにおける障害物の有無を判定し、障害物が検知されたとき火災受信機30に通知するものとしたが、本発明はこれに限定されない。検出エリアを複数の領域に分割し、領域に応じて障害物の検知の態様及び障害物が検知された場合の動作の態様を設定してもよい。
【0036】
図5は、障害物検知器40として監視カメラ50を用いる場合において、検出エリア(即ち、監視画像)を複数の領域に分割する際の一例を示す模式図である。図5に示した例では、監視カメラ50の取得した監視画像は、4行×8列に配置された32個の矩形の領域R11〜R48に分割されている。
【0037】
画像の中央部には防火戸20が位置しており、この防火戸20と重なる領域R24、R25、R34、R35、R44、R45に障害物があると、防火戸20の開閉動作が妨げられる。従って、これら領域R24、R25、R34、R35、R44、R45においては、障害物撤去の必要度が高く、障害物の放置に対し速やかに対処する必要がある。また、防火戸20に隣接した領域R23、R26、R33、R36、R43、R46に障害物が放置されると、防火戸20の開閉がすぐに妨げられるわけではないが、火災発生時に防火戸20を通って避難するのが妨げられる恐れがある。また、これら領域R23、R26、R33、R36、R43、R46に障害物が放置されると、防火戸20と重なる領域R24、R25、R34、R35、R44、R45に障害物が置かれるのを誘発する可能性が増加し得る。従って、防火戸20に隣接した領域R23、R26、R33、R36、R43、R46は、防火戸20と重なる領域R24、R25、R34、R35、R44、R45に次いで、障害物撤去の必要度が高いと考えられる。
【0038】
そこで、本例においては、各領域における障害物検知の必要度が高いほど、障害物が放置されたか否かの判定に用いられる予め定められた時間の値を短くする。即ち、防火戸20と重なる領域R24、R25、R34、R35、R44、R45に対して設定される予め定められた時間をT1、防火戸20に隣接した領域R23、R26、R33、R36、R43、R46に対して設定される予め定められた時間をT2、残りの領域に対して設定される予め定められた時間をT3としたとき、T1<T2<T3となるようにT1、T2、T3を設定する。これにより、障害物の放置が防火戸20の開閉に影響を与える可能性が高い領域(即ち、障害物の撤去の必要度が高い領域)では、障害物が放置されたとき速やかに対処し撤去することができ、一方、障害物の放置が防火戸20の開閉に影響を与える可能性が低い領域において頻繁に障害物放置の通報がなされるのが防止される。
【0039】
また、障害物が検知された領域に応じて、障害物が検知された場合の動作の態様を変えてもよい。本例では、障害物検知器40は、障害物が検知されたことを火災受信機30に通報する際、どの領域で障害物が検知されたかを示す領域情報を火災受信機30に送り、火災受信機30では、各領域における障害物撤去の必要度に応じて障害物警報の内容を変える。具体的には、火災受信機30は、防火戸20と重なる領域R24、R25、R34、R35、R44、R45において障害物が検知された場合は、「防火戸の前に障害物が置かれています。至急撤去して下さい」といった警報メッセージを音声及び/または表示により出力し、他の領域において障害物が検知された場合は、「防火戸の周辺に障害物が置かれています」といった警報メッセージを音声及び/または表示により出力する。また、火災受信機30は、障害物検知時に上記警報メッセージを繰り返し音声出力してよいが、その繰り返しの間隔を、障害物が検知された領域に応じて変えてもよい。即ち、防火戸20と重なる領域R24、R25、R34、R35、R44、R45において障害物が検知された場合の警報メッセージの音声出力の繰り返し間隔をP1、防火戸20に隣接した領域R23、R26、R33、R36、R43、R46において障害物が検知された場合の警報メッセージの音声出力の繰り返し間隔をP2、残りの領域において障害物が検知された場合の警報メッセージの音声出力の繰り返し間隔をP3としたとき、P1<P2<P3となるようにP1、P2、P3を設定してよい。これにより、障害物撤去の緊急性を通知することができ、障害物の放置が防火戸20の開閉に影響を与える可能性が高い領域において、速やかな障害物の撤去が促進される。
【0040】
(変形例3)
上記実施形態では、障害物検知器40は障害物を検知すると火災受信機30に障害物が検知されたことを示す障害信号を送り、それに応じて、火災受信機30で障害物警報を行ったが、本発明はこれに限定されない。障害物検知器40にスピーカ装置と、予め定められた1または複数の警報メッセージを示す音声データを記憶した記憶装置とを設け、障害物が検知されたとき、このスピーカ装置から選択された警報メッセージを出力してもよい。
【0041】
図6は、変形例3に係る障害物検知器40の動作の一例を示すフローチャートである。ステップS1で、障害物検知器40は、検出エリアに障害物があるか判定する。この障害物があるかの判定は、例えば変形例2のように障害物検知器40が監視カメラ50及び画像処理装置51により構成されている場合、監視カメラ50が取得した検出エリアの画像から検出エリア内に背景画像に含まれない静止した物体があるかどうか画像処理装置51で判定し、背景画像に含まれない静止した物体があると判定される場合、障害物が置かれていると判定することにより行ってよい。障害物が検知された場合(ステップS1;YES)、ステップS2に進み、障害物が検知されない場合は(ステップS1;NO)、ステップS1に戻り障害物があるかの判定を繰り返す。この判定を繰り返す周期は、数秒より長い時間、例えば、60秒のように予め定められた周期でよい。
【0042】
ステップS2において、障害物検知器40は、検出エリアに人がいるか判定する。人がいるかの判定は、例えば変形例2のように障害物検知器40が監視カメラ50及び画像処理装置51により構成されている場合、監視カメラ50が取得した検出エリアの画像から検出エリア内に動いている物体があるかどうか画像処理装置51で判定し、動いている物体があると判定される場合、人がいると判定することにより行ってよい。人が検知された場合(ステップS2;YES)、ステップS3に進み、障害物検知器40のスピーカ装置から警報メッセージを出力する。このとき障害物検知器40のスピーカ装置から発せられる警報メッセージは、例えば、「防火戸の周辺に物を置くのは禁止されています。撤去してください」といったように、検出エリアにいる人に、検出エリアに物を置かないよう注意を促す内容とするとよい。人が検知されない場合は(ステップS2;NO)、ステップS4に進む。
【0043】
ステップS4において、障害物検知器40は、障害物が検知された状態が所定時間継続したか判定する。障害物が検知された状態が所定時間継続している場合(ステップS4;YES)、ステップS5に進み、障害物検知器40は、障害物が放置されている旨の通知を火災受信機30に対して行う。このとき、施設内を監視する火災受信機30だけでなく、例えば、管轄の消防署など外部機関にも通報を行ってよい。障害物が検知された状態が所定時間継続していない場合(ステップS4;NO)、ステップS1に戻る。
【0044】
このように、本例においては、検出エリアを監視する障害物検知器40により、検出エリアに人がおり、且つ、検出エリアに障害物があると判定された場合に、障害物検知器40のスピーカ装置から警報メッセージを出力するものとしたので、検出エリアにいる人に障害物の撤去を効果的に促すことができる。また、障害物が検知された状態が所定の時間継続した場合には、火災受信機30へ通報するものとしたので、火災受信機30の監視員等が障害物が放置されたことに速やかに気付き、障害物の撤去など適切な対応をとることができる。
【0045】
(変形例4)
上記実施形態において、障害物が検知された状態が継続した時間に応じて、警報の態様を変えてもよい。例えば、障害物が検知された状態が継続した時間が第1の所定時間に達したとき、障害物検知器40は、スピーカ装置から警報メッセージを出力し、障害物が検知された状態が継続した時間が第1の所定時間より長い第2の所定時間に達したとき、火災受信機30への通報を行ってよい。
【0046】
(変形例5)
上記実施形態では、常時は開放されている防火戸が、火災時に動作して障害物によって正しく閉じられなくなってしまうことを障害物検出器で検出するようしたが、本発明はこれに限定されない。
【0047】
防火戸には、実施形態で説明した、通常時開放しているタイプと、通常時閉鎖しているタイプの二種類がある。本発明の障害物検出器は、この通常時閉鎖しているタイプの防火戸を検出対象とすることも可能である。通常時閉鎖しているタイプの防火戸は、建物の在館者等によって、くさび等を用いて常時開放状態にしたまま利用されることがある。この使用方法は、適切な使い方ではなく、くさび等が使用されていることから、火災時にも閉鎖されることがないので、避難経路に煙を侵入させてしまう。
【0048】
そこでこのような誤った使い方がされていることを検出できるように、画像処理装置による障害物検出器で、防火戸の位置情報を記憶、つまり防火戸が閉じた状態の防火戸の画像を背景画像として記憶しておき、差分処理により防火戸が開放された状態を検出し、警報を行うようにしてもよい。
【0049】
また、画像処理装置の代わりに、反射センサーを利用して、分割した検出エリアとして防火戸部分を設定して防火戸の状態監視を行う方式により、常時閉型の防火戸が継続して開放状態にされていることを検出できるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0050】
10…火災感知器、20…防火戸、30…火災受信機、40…障害物検知器、50…監視カメラ、51…画像処理装置、60…誘導表示灯

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建屋に設けられ、火災を検出する火災感知器と、該火災感知器からの火災信号を受信する火災受信機とを有する防災設備において、
火災時における避難経路上にある障害物の存在を検知する障害物検知器を設け、
該障害物検知器が障害物を検知したときに、前記火災受信機で障害物警報を行うことを特徴とする防災設備。
【請求項2】
前記火災感知器が接続される信号線に、前記障害物検知器を設け、
該障害物検知器は、避難経路上に設けられ、防排煙装置または避難器具の動作の妨げとなる障害物の存在を検知し、該障害物検知器が障害物を検知したときに、前記信号線に障害物信号を送ることを特徴とする請求項1記載の防災設備。
【請求項3】
前記障害物検知器は、監視カメラと、画像処理装置とから構成され、前記画像処理装置は、前記防火戸の前方に何も障害物がない状態における通常時の画像を背景画像として記憶しており、定期的に撮像する最新画像と前記背景画像とを差分処理することで、障害物の検知を行うことを特徴とする請求項2記載の防災設備。
【請求項4】
前記画像処理装置に記憶された画像を、火災受信機側に送ることを特徴とする請求項3記載の防災設備。
【請求項5】
前記建屋内に設けられ、前記火災受信機からの制御信号により表示内容が制御される誘導表示灯を有し、
前記障害物検知器は、避難経路上に障害物があることを検知した場合に、前記避難経路が使用可能か判定して、判定結果を前記火災受信機に送信し、
前記火災受信機は、前記障害物検知器からの判定結果により使用できないと判定された避難経路経路の周辺に設置された前記誘導表示灯に制御信号を送信し、前記誘導表示灯の表示が前記避難経路の使用を避けることを促す表示となるように制御する
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の防災設備。
【請求項6】
前記障害物検知器の検出エリアが複数の領域に分割されており、各領域における障害物撤去の必要度に応じて障害物検知器による障害物検知の態様が設定されている
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の防災設備。
【請求項7】
前記障害物検知器の検出エリアが複数の領域に分割されており、障害物が検知された領域における障害物撤去の必要度に応じて前記火災受信機による障害物警報の態様が設定されている
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の防災設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−101587(P2013−101587A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−50748(P2012−50748)
【出願日】平成24年3月7日(2012.3.7)
【出願人】(000233826)能美防災株式会社 (918)
【Fターム(参考)】