説明

防炎抗菌用コーティング部材及びその製造方法ならびに防炎抗菌性製品

【課題】防炎抗菌用コーティング部材及びその製造方法ならびに防炎抗菌性製品を提供する。
【解決手段】有機素材を含有する可燃性基材に、防炎性と抗菌性その固着性を付与したコーティング部材を製造する方法であって、可燃性基材表面に、窒素含有縮合リン酸化合物と銀イオン抗菌剤さらにエマルジョンを含有してなる防炎抗菌用複合溶液をコーティングして、防炎抗菌用コーティング膜を形成する工程と、前記防炎抗菌用コーティング膜を固化する工程を含んでなることを特徴とする防炎抗菌用コーティング部材の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防炎抗菌用コーティング部材及びその製造方法ならびに防炎抗菌性製品に関するものであり、更に詳しくは、防炎性や抗菌性の機能を有しない、有機素材を含有する可燃性基材を原料として、これに防炎性と抗菌性その固着性を付与した新規防炎抗菌用コーティング部材、その製造方法及び該コーティング部材を用いた製品に関するものである。本発明は、例えば、プラスチックス、紙、繊維、木材、竹などに代表される防炎性や抗菌性の機能がない有機素材を含有する可燃性基材を利用し、これらの可燃性基材表面に、防炎性と抗菌性を付与し、かつ、これを長期間に亘って維持することを可能とする固着性を共に付与した新規防炎抗菌用コーティング部材を製造し、提供すること、そして、それにより、上記可燃性基材の技術分野における新技術・新産業を創出すること、を可能とするものとして有用である。
【背景技術】
【0002】
一般に、プラスチックス、紙、繊維、木材、竹などの有機素材を含有する可燃性基材は、その優れた加工性や物性により、業務用製品、家庭用製品、インテリア製品、雑貨類など広範囲の分野で大量に使用されているが、用途によっては不慮の発火や燃焼時における災禍の抑制や最小化、人命保護の観点などから、使用する可燃性基材の防炎化が要求されている。更に、近年は病院や老人福祉施設における院内感染が問題になっており、その防止策として、感染を予防するため患者や治療に当たる医師及び看護士の衣服や病室のカーテン、床などに抗菌化が求められている。このように多目的の分野で採用されている可燃性基材の表面に、防炎性と抗菌性その固着性を付与することにより、製品を安心・安全の高付加価値化することが可能となる。そのため、従来、さまざまな製品の研究開発が行われているが、有機素材を含有する可燃性基材に、防炎性と抗菌性を付与し、その機能を維持する固着性を共に付与することはなかなか困難であり、実用化されているのは少ないのが実情である。
【0003】
可燃性基材の防炎化の最も一般的な方法は、防炎剤を配合することであり、例えば、臭素系のテトラブロモビスフェノール、塩素系の塩素化パラフィン、リン系のリン酸エステル、ホウ素系のポリホウ酸ナトリウム、あるいは、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムなどが多く用いられている。しかしながら、燃焼時において、臭素系ダイオキシン類や塩化水素ガスあるいは、ホスフィンガスなど有毒ガスの発生や高濃度・大量添加の必要性など多くの課題が存在しているのが現状である。
【0004】
一方、比較的にこのような課題の少ない窒素含有縮合リン酸化合物を用いた、例えば、航空機用途における断熱材として有用な難燃性ハロゲンフリーポリイミドフィルム、およびそれに関する方法(特許文献1)、樹脂・ゴム用改質材(特許文献2)、また、例えば、リン・窒素系化合物では、防災障子紙及びその製造方法(特許文献3)、改質木材の製造方法(特許文献4)、が提案されており、更に、抗菌性を付与する銀イオン抗菌剤は、防藻および防カビコンクリート(特許文献5)その他、多数の技術が提案されている。このように、従来、リン酸化合物や窒素化合物を防炎性コーティング材として、また、銀イオン抗菌剤を抗菌性コーティング材として使用することは公知技術である。しかしながら、従来、当該技術分野において、窒素含有縮合リン酸化合物及び銀イオン抗菌剤とエマルジョンを含有するコーティング膜を施して、有機素材を含有する可燃性基材に、防炎性及び抗菌性と固着性を付与することは実現されていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−037106号広報
【特許文献2】特開平07−228785号広報
【特許文献3】特開2001−226894号広報
【特許文献4】特開平07−032312号広報
【特許文献5】特開平09−002859号広報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような状況の中で、上記従来技術に鑑みて、上記従来技術の諸問題を抜本的に解決する共に、有機素材を含有する可燃性基材に、防炎性と抗菌性その固着性を付与することが可能な防炎抗菌用コーティング部材を開発することを目標として、鋭意研究を重ねた結果、可燃性基材に、窒素含有縮合リン酸化合物と銀イオン抗菌剤及びエマルジョンを含有する防炎抗菌用複合溶液をコーティングして、防炎抗菌用コーティング膜を形成するという簡便な方法を採用することにより、防炎性と抗菌性その固着性に優れたコーティング部材が得られることを見出し、更に研究を重ねて本発明を完成するに至った。即ち、本発明は、上記の点に鑑み、安価で製造プロセスがエネルギー低消費型であり、使用後の廃棄物を処理する際に有害な物質が発生せず、防炎抗菌の効果を長期間持続できる、防炎性と抗菌性その固着性に優れた防炎抗菌用コーティング部材及びその製造方法ならびに防炎抗菌性製品を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための本発明は、以下の技術的手段から構成される。
(1)有機素材を含有する可燃性基材に、防炎性と抗菌性その固着性を付与したコーティング部材であって、可燃性基材表面に、窒素含有縮合リン酸化合物と銀イオン抗菌剤さらにエマルジョンを含有してなる防炎抗菌用複合溶液をコーティングして、防炎抗菌用コーティング膜を形成してなることを特徴とする防炎抗菌用コーティング部材。
(2)前記窒素含有縮合リン酸化合物は、ポリリン酸アンモニウム、メラミン変性ポリリン酸アンモニウムの1種又は2種であることを特徴とする前記(1)に記載の防炎抗菌用コーティング部材。
(3)前記エマルジョンは、シリコーンレジンエマルジョン、アクリル酸エステル共重合体エマルジョン、フッ素樹脂エマルジョンの1種又は2種以上であることを特徴とする前記(1)に記載の防炎抗菌用コーティング部材。
(4)前記有機素材を含有する可燃性基材が、プラスチックス、紙、繊維、木材、竹、それらの組み合わせ、及びそれらの積層体からなる群から選ばれた1種の材料であることを特徴とする前記(1)から(3)に記載の防炎抗菌用コーティング部材。
(5)有機素材を含有する可燃性基材に、防炎性と抗菌性その固着性を付与したコーティング部材を製造する方法であって、可燃性基材表面に、窒素含有縮合リン酸化合物と銀イオン抗菌剤さらにエマルジョンを含有してなる防炎抗菌用複合溶液をコーティングして、防炎抗菌用コーティング膜を形成する工程と、前記防炎抗菌用コーティング膜を固化する工程を含んでなることを特徴とする防炎抗菌用コーティング部材の製造方法。
(6)前記(1)から(4)の何れか1項に記載の防炎抗菌用コーティング部材を構成要素として含むことを特徴とする防炎抗菌性製品。
【0008】
次に、本発明について更に詳細に説明する。
本発明は、有機素材を含有する可燃性基材の表面に、窒素含有縮合リン酸化合物と銀イオン抗菌剤さらにエマルジョンを含有する防炎抗菌用複合溶液をコーティングし、防炎抗菌用コーティング膜を形成する防炎抗菌用コーティング部材を製造することを特徴とするものである。本発明では、上記有機素材を含有する可燃性基材として、好適には、例えば、プラスチックス、紙、繊維、木材、竹、それらの組み合わせ、及びそれらの積層体が例示される。しかし、これらに限定されるものではなく、これらと同等あるいは類似のものであれば同様に使用することができる。このように、本発明では、上記のような、柔軟性があり、比較的に防炎性、抗菌性の機能を有しない有機素材を含有する可燃性基材が原料として用いられる。
【0009】
次に、本発明で用いられる窒素含有縮合リン酸化合物としては、例えば、ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸アミド、ポリリン酸メラミン、メラミン変性ポリリン酸アンモニウム、メラミン変性ポリリン酸アミド、メラミン変性ポリリン酸アミドアンモニウム、それらの混合物が例示されるが、その中でも、ポリリン酸アンモニウム、メラミン変性ポリリン酸アンモニウムがコーティング部材の性質、他の部材との相溶性から最も好ましい。
【0010】
また、本発明で用いられる銀イオン抗菌剤としては、アルミノ珪酸塩による三次元骨格構造を持つゼオライトの構造内に抗菌性を有する銀イオンを取り込んだ無機抗菌剤が抗菌スペクトル、持続性から最も好ましい。
【0011】
更に、本発明で用いられるエマルジョンにあっては、シリコーンレジンエマルジョン、アクリル酸エステル共重合体エマルジョン、フッ素樹脂エマルジョンが例示できる。これらのエマルジョンの物性を考慮して使い分けるのも選択肢として必要事項である。例えば、シリコーンレジンエマルジョンは分岐度の高い三次元ポリマーであり、硬い皮膜を形成し、耐候性、電気絶縁性などと共に固着性に優れた特徴を有している。また、アクリル酸エステル共重合体エマルジョンは、特に耐折強度と固着性に優れており、耐ガムアップ性が良好で生産性の向上に都合がよく、また、安価で入手が容易である特徴を有している。そして、フッ素樹脂エマルジョンは2つの使用方法があり、その1.固着機能剤として、シリコーンレジンエマルジョン又はアクリル酸エステル共重合体エマルジョンを採用する場合には、フッ素樹脂エマルジョンを少量添加して、サイズ度の調節機能と共に、はっ水はつ油性と防汚性を付与する。その2.フッ素樹脂エマルジョンにブロックドイソシアネート系架橋剤を添加することにより、固着機能剤として採用することができ、その際には、椅子張り生地、カーシート生地などの各種繊維にサイズ度の調節機能と共に、はっ水はつ油性と防汚性がより効果的で好まれる。
【0012】
本発明の防炎抗菌用コーティング部材は、好適には、プラスチックス、紙、繊維、木材、竹、それらの組み合わせ、及びそれらの積層体などの有機素材を含有する可燃性基材の表面に、窒素含有縮合リン酸化合物と銀イオン抗菌剤さらにエマルジョンを含有する防炎抗菌用複合溶液をコーティングして、防炎抗菌用コーティング膜を形成するという簡便な方法によって製造される。この際、防炎抗菌用複合溶液に用いられる溶媒としては、水がコストや安全性の面と入手の容易さなどから最も好ましいが、可燃性基材との濡れ性が悪い場合にはアルコールなどの有機溶剤を添加もしくは使用することも可能である。しかしながら人や環境への負荷を考慮すると界面活性剤の添加による濡れ性の改善策が望ましい。
【0013】
また、有機素材を含有する可燃性基材の表面に、窒素含有縮合リン酸化合物と銀イオン抗菌剤さらにエマルジョンを含有する防炎抗菌用複合溶液をコーティングして、防炎抗菌用コーティング膜を形成する場合、可燃性基材に防炎抗菌用複合溶液が染み込むように、コーティングや含浸させる方法が例示される。防炎抗菌用複合溶液の大半は不燃物で構成されており、可燃性基材表面に、防炎抗菌用複合溶液をコーティングして、防炎抗菌用コーティング膜で被服することによって、防炎性と共に抗菌性及びその固着性の機能が付与される。そのため、可燃性基材が、紙や木材などの多孔質で比表面積の大きなものは、大量に機能剤が付着して防炎性と抗菌性が向上して好ましい。また、プラスチックスなど細孔質基材にあっては、防炎抗菌用コーティング膜が厚くなりすぎると剥がれ易く、薄いと機能が弱くなるのでの被膜形成には十分なる配慮が望まれる。
【0014】
また、この際、防炎抗菌用複合溶液の窒素含有縮合リン酸化合物の濃度としては、1重量%〜50重量%程度、特に20重量%〜40重量%程度が好ましい。窒素含有縮合リン酸化合物の濃度がこの範囲であると透明で丈夫なコーティング膜が得られる。窒素含有縮合リン酸化合物の濃度がこれよりも高すぎると、コーティング膜の乾燥が悪くなり、低すぎると防炎機能が不十分になるため好ましくない。
【0015】
また、防炎抗菌用複合溶液の銀イオン抗菌剤の濃度としては、0.01重量%〜10重量%程度、特に0.5重量%〜3重量%程度が好ましい。銀イオン抗菌剤の安全性は抗菌性能とのバランスが重要で、安全性を高めるため添加量が少な過ぎると抗菌効果が弱く、機能性を重視し添加量を過多にすると安全性が問題となり好ましくない。
【0016】
次に、防炎抗菌用複合溶液のシリコーンレジンエマルジョン又はアクリル酸エステル共重合体エマルジョンは固着機能剤として採用しており、フッ素樹脂エマルジョンはサイズ剤としての採用と共に架橋剤を添加して固着機能剤として併用することが好まれている。シリコーンレジンエマルジョン又はアクリル酸エステル共重合体エマルジョンの固着機能剤の濃度としては、0.5重量%〜50重量%程度、特に5重量%〜30重量%程度が好ましい。この範囲であれば窒素含有縮合リン酸化合物及び銀イオン抗菌剤を可燃性基材であるプラスチックス、紙、繊維、木材、竹、それらの組み合わせ、及びそれらの積層体からなる群から選ばれた1種の材料などに十分なる固着性能を有する。可燃性基材が、紙や繊維の場合には、更に、フッ素樹脂エマルジョンを0.01重量%〜10重量%程度、特に0.1重量%〜5重量%程度添加することで、サイズ度の調節機能と共に、はっ水はつ油性と防汚性が付与される。また、フッ素樹脂エマルジョン0.5重量%〜50重量%程度、特に5重量%〜30重量%程度にブロックドイソシアネート系架橋剤0.5重量%〜50重量%程度、特に0.5重量%〜30重量%程度を添加することにより、固着性付与に十分な機能を有する。その際には、椅子張り生地、カーシート生地などの各種繊維にサイズ度の調節機能と共に、はっ水はつ油性と防汚性がより効果的になり好まれる。また、固化手段としては、自然乾燥や加熱乾燥を用いることができるが加熱乾燥の場合には、急速加熱するとクラックや剥離が生じ易くなるため、遠赤外線ランプ、ハロゲンランプなどを使用して均一に乾燥した方がきれいなコーティング膜を得ることができて好ましい。
【0017】
本発明における可燃性基材に、防炎抗菌用複合溶液をコーティングし、防炎抗菌用コーティング膜を形成する方法としては、例えば、刷毛塗り、ローラー塗り、スプレーコーティング、フローコーティング、ディップコーティング、ロールコーティングなどが例示されるが特定する必要性はなく、可燃性基材の種類やコーティングする場所に応じた方法で柔軟に実施するのが望ましい。
【0018】
また、防炎抗菌用複合溶液をコーティングし、防炎抗菌用コーティング膜を形成した被膜の固化手段としては、自然乾燥や室温乾燥又は加熱乾燥を用いることができるが、加熱乾燥の場合には有機素材を含有している可燃性基材でもあり、温度管理には十分な注意が必要である。一般的に加熱乾燥の方が速く製膜することができ、その際、赤外線加熱や紫外線加熱、ドライヤーなどを用いることが望まれる。
【0019】
更に、本発明では、防炎抗菌用コーティング部材を用いることにより、防炎抗菌性製品を作製し、提供することができる。本発明が適用可能な基材としては、例えば、プラスチックス、紙、繊維、木材、竹、それらの組み合わせ、及びそれらの積層体が好適に利用できる。適用可能な基材を製品でいえば、洋服、衣類、テント、レインコート、カーテン、テーブルクロス、合成皮革製品、各種インテリア製品、各種プラスチック製品、各種フィルム、各種シート、各種レース、各種フェルト、各種編み物、足マット、ジュータン、ガーゼ、タオル、布団、布団カバー、敷布、毛布、畳、ござ、壁紙、壁布、クロス、障子、襖紙、衝立、造花、文房具、本やノート、合板、家具、木材、柱、天井板、板壁、及び上記物品表面に添付させるためのフィルムを含む。などが例示される。
【0020】
本発明の、防炎抗菌用コーティング部材は、表面に形成されるコーティング膜が、窒素含有縮合リン酸化合物によって防炎性、銀イオン抗菌剤によって抗菌性、更に、それらを固着するためのエマルジョンから構成されている。これを、例えば、プラスチックス、紙、繊維、木材、竹、それらの組み合わせ、及びそれらの積層体などの可燃性基材にコーティングすることにより、これらを防炎性にするだけではなく、抗菌性をも付与することができる。本発明は、可燃性基材に防炎性と抗菌性を付与すると共に、その機能を長期間に亘り持続させることを可能にしたことを最大の特徴としている。
【0021】
これら可燃性基材の製品は、その優れた加工性や物性により、業務用製品、家庭用製品、インテリア製品、雑貨類など広範囲の分野で大量に使用されており、防炎性と抗菌性を付与することにより、防炎性機能において不慮の発火や燃焼時における災禍の抑制や最小化、人命保護などに有効性が発揮できる。しかも、抗菌性機能により、大腸菌、緑膿菌等のグラム陰性細菌類、黄色ブドウ球菌、MRSA等のグラム陽性細菌類、及び、かび類の広範囲の微生物に対して抗菌作用を示すため、病院、老人福祉施設など特に衛生面に注意しなければならない施設に効果的である。更に、この抗菌作用は光や熱の有無に関係なく表面に接触する雑菌類の繁殖を抑制することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、防炎抗菌用コーティング部材及びその製造方法ならびに防炎抗菌性製品に関するものであり、本発明により、(1)防炎性、抗菌性の機能を有しない、有機素材を含有する、プラスチックス、紙、繊維、木材、竹、それらの組み合わせ、及びそれらの積層体からなる可燃性基材の表面に、窒素含有縮合リン酸化合物と銀イオン抗菌剤さらにエマルジョンを含有してなる防炎抗菌用複合溶液をコーティングし、防炎抗菌用コーティング膜を施すことにより防炎抗菌用コーティング部材を製造し、提供することができる。(2)本発明の防炎抗菌用コーティング部材あるいはそれを用いた防炎抗菌性製品は、低コストで製造でき、防炎性と抗菌性の機能を付与し、かつ、これを長期間に亘って維持することを可能とする固着性に優れており、エネルギーを必要とせず、メンテナンスフリーで、例えば、灰皿からタバコがテーブルクロスの上に落下しても延焼することなく、自己消火する防炎性と共に、犬や猫などのペットが付着させる雑菌などの繁殖を抑制する抗菌性の効果を発揮することができる。(3)更に、防炎性と抗菌性の機能はしっかりと固着されており長期間に亘り有効性が維持されるため、これらの技術分野で種々の用途に利用することができる。(4)上記(1)〜(3)により、防炎性と抗菌性その固着性を有する新規コーティング部材及びその製品を提供することができる、という効果が奏される。
【発明を実施するための形態】
【0023】
次に、本発明を実施例及び比較例に基づいて具体的に説明する。なを、各例における防炎性、抗菌性、固着性の評価は以下の方法で実施した。
【0024】
(1)防炎性は、評価消防法の防火性能試験方法(45°ミクロバーナー法)に準拠して1分間の加熱を行い、残炎時間、残じん時間、炭化面積を測定した。消防庁告示第11号(昭和48年6月1日)に基づいて、残炎時間が3秒以下、残じん時間が5秒以下、炭化面積が26cm以下、全てを満たす場合は○、何れか1つでも基準外のある場合は×と評価した。
(2)抗菌性は、抗菌JIS Z2801により「製品の表面における細菌の増殖を抑制する状態」と定義されており製品表面の細菌数を測定し、それが抗菌状態であるかどうかで判定する。方法:試験機関 社団法人日本食品衛生協会(単位;cfu/枚)
(3)固着性は、JIS D0202−1988に準拠して、1mm間隔で碁盤目にナイフで傷を入れ、セロハンテープ(ニチバン)を強く貼りつけた後、急速にセロハンテープを引き剥がす碁盤目テープ剥離試験方法で実施した。判定は100マスの内、剥離しない場合を100/100、完全に剥離した場合を0/100として表した。
【実施例1】
【0025】
本実施例では、可燃性基材として、パルプ60%、合成繊維40%の不織布を使用して防炎抗菌用コーティング部材を作製した。
(1)部材の作製
ポリリン酸アンモニウム(住友化学、スミセーフP:リン含有量31〜32%、窒素含有量14〜16%)35重量%と銀イオン抗菌剤(シナネンゼオミック、ゼオミック)2重量%、及び、シリコーンレジンエマルジョン(信越化学、X−52−8148:不揮発分47%)10重量%と、フッ素樹脂エマルジョン(旭硝子、AG−E082:固形分20%)5重量%、更に、精製水(エスケイティ、クリーン水)を加えてマグネチックスターラーで撹拌・混合して防炎抗菌用複合溶液#1試料を得た。この防炎抗菌用複合溶液#1試料の固形分含有量は20.7%である。次に、ロールコータを使って、塗布する量を1m当たり100g程度になるよう調整しながら不織布にコーティングを施した後、室温25℃で24時間自然乾燥して防炎抗菌用コーティング部材である防炎抗菌用不織布#1試料を得た。同様の方法で防炎抗菌用不織布#2試料、防炎抗菌用不織布#3試料を得た。なを、比較のために、0.1重量%珪酸ナトリウム水溶液を比較水溶液#1試料として、ロールコータを使って、塗布する量を1m当たり100g程度になるよう調整しながら不織布にコーティングを施した後、室温25℃で24時間自然乾燥して比較不織布#1試料を得た。同様の方法にて比較不織布#2試料、比較不織布#3試料、を得た。
(2)試験方法及び結果
1.防炎性試験
【表1−1】

2.抗菌性試験
【表1−2】

3.固着性試験
【表1−3】

【実施例2】
【0026】
本実施例では、可燃性基材として、パルプ75%、合成繊維25%の障子紙を使用して防炎抗菌用コーティング部材を作製した。
(1)部材の作製
メラミン変性ポリリン酸アンモニウム(住友化学、スミセーフPM:リン含有量20〜21%、窒素含有量32〜35%)35重量%と銀イオン抗菌剤(シナネンゼオミック、ゼオミック)2重量%、及び、シリコーンレジンエマルジョン(信越化学、X−52−8148:不揮発分47%)10重量%と、フッ素樹脂エマルジョン(旭硝子、AG−E082:固形分20%)5重量%、更に、精製水(エスケイティ、クリーン水)を加えてマグネチックスターラーで撹拌・混合して防炎抗菌用複合溶液#2試料を得た。この防炎抗菌用複合溶液#2試料の固形分含有量は23.2%である。次に、ロールコータを使って、塗布する量を1m当たり100g程度になるよう調整しながら障子紙にコーティングを施した後、室温25℃で24時間自然乾燥して防炎抗菌用コーティング部材である防炎抗菌用障子紙#1試料を得た。同様の方法で防炎抗菌用障子紙#2試料、防炎抗菌用障子紙#3試料を得た。なを、比較のために、0.1重量%珪酸ナトリウム水溶液を比較水溶液#2試料として、ロールコータを使って、塗布する量を1m当たり100g程度になるよう調整しながら障子紙にコーティングを施した後、室温25℃で24時間自然乾燥して比較障子紙#1試料を得た。同様の方法にて比較障子紙#2試料、比較障子紙#3試料、を得た。
(2)試験方法及び結果
1.防炎性試験
【表2−1】

2.抗菌性試験
【表2−2】

3.固着性試験
【表2−3】

【実施例3】
【0027】
本実施例では、可燃性基材として、ウール50%、合成繊維50%のカーシート生地を使用して防炎抗菌用コーティング部材を作製した。
(1)部材の作製
ポリリン酸アンモニウム(住友化学、スミセーフP:リン含有量31〜32%、窒素含有量14〜16%)35重量%と銀イオン抗菌剤(シナネンゼオミック、ゼオミック)2重量%、及び、フッ素樹脂エマルジョン(旭硝子、AG−E082:固形分20%)10重量%とブロックドイソシアネート系架橋剤(明成化学、メイカネート:固形分不明)1重量%、更に、精製水(エスケイティ、クリーン水)を加えてマグネチックスターラーで撹拌・混合して防炎抗菌用複合溶液#3試料を得た。この防炎抗菌用複合溶液#3試料の固形分含有量は約17.9%である。このようにして得た防炎抗菌用複合溶液#3試料をステンレス製角バッドに移し、その中に1mのカーシート生地を入れディップコーティングを施した。カーシート生地の重量が最初より100g増加になるまで絞って塗布量を調節した後、室温25℃で24時間自然乾燥して、防炎抗菌用コーティング部材となる防炎抗菌用カーシート生地#1試料を得て、同様の方法で防炎抗菌用カーシート生地#2試料、防炎抗菌用カーシート生地#3試料を得た。なを、比較のために、0.1重量%珪酸ナトリウム水溶液を比較水溶液#3試料として、ステンレス製角バッドに移し、その中に1mのカーシート生地を入れディップコーティングを施した。カーシート生地の重量が最初より100g増加になるまで絞って塗布量を調節した後、室温25℃で24時間自然乾燥して、比較カーシート生地#1試料を得た。同様の方法にて比較カーシート生地#2試料、比較カーシート生地#3試料、を得た。
(2)試験方法及び結果
1.防炎性試験
【表3−1】

2.抗菌性試験
【表3−2】

3.固着性試験
【表3−3】

【実施例4】
【0028】
本実施例では、可燃性基材として、ポリエステルフィルムを使用して防炎抗菌用コーティング部材を作製した。
(1)部材の作製
メラミン変性ポリリン酸アンモニウム(住友化学、スミセーフPM:リン含有量20〜21%、窒素含有量32〜35%)35重量%と銀イオン抗菌剤(シナネンゼオミック、ゼオミック)2重量%、及び、シリコーンレジンエマルジョン(信越化学、X−52−8148:不揮発分47%)10重量%と、フッ素樹脂エマルジョン(旭硝子、AG−E082:固形分20%)5重量%、更に、濡れ性の改善用に界面活性剤(信越化学、KF−642:不揮発分不明)0.1重量%を添加し、精製水(エスケイティ、クリーン水)を加えてマグネチックスターラーで撹拌・混合して防炎抗菌用複合溶液#4試料を得た。この防炎抗菌用複合溶液#4試料の固形分含有量は約23.2%である。このようにして得た防炎抗菌用複合溶液#4試料を、ポリエステルフィルム(サクラクレパス)A4サイズの表裏に低圧温風塗装機で、1枚につき6〜6.5gスプレーコーティングを施し、室温25℃で24時間自然乾燥をして、防炎抗菌用コーティング部材となる防炎抗菌用ポリエステルフィルム#1試料を得て、同様の方法で防炎抗菌用ポリエステルフィルム#2試料、防炎抗菌用ポリエステルフィルム#3試料、を得た。なを、比較のために、0.1重量%の珪酸ナトリウム水溶液に0.01重量%の界面活性剤(信越化学、KF−618:不揮発分不明)を混合して比較水溶液#4試料を得た。この比較水溶液#4試料を、ポリエステルフィルム(サクラクレパス)A4サイズの表裏に低圧温風塗装機を用いて1枚につき6〜6.5gスプレーコーティングを施し、室温25℃で24時間自然乾燥して、比較ポリエステルフィルム#1試料を得て、同様の方法で比較ポリエステルフィルム#2試料、比較ポリエステルフィルム#3試料、を得た。
(2)試験方法及び結果
1.防炎性試験
【表4−1】

2.抗菌性試験
【表4−2】

3.固着性試験
【表4−3】

【実施例5】
【0029】
本実施例では、可燃性基材として、プリント合板を使用して防炎抗菌用コーティング部材を作製した。
(1)部材の作製
メラミン変性ポリリン酸アンモニウム(住友化学、スミセーフPM:リン含有量20〜21%、窒素含有量32〜35%)35重量%と銀イオン抗菌剤(シナネンゼオミック、ゼオミック)2重量%、及び、アクリル酸エステル共重合体エマルジョン(昭和高分子、AM−961:不揮発分48〜52%)10重量%、更に、精製水(エスケイティ、クリーン水)を加えてマグネチックスターラーで撹拌・混合して防炎抗菌用複合溶液#5試料を得た。この防炎抗菌用複合溶液#5試料の固形分含有量は23.4%である。このようにして得た防炎抗菌用複合溶液#5試料をステンレス製角バッドに移し、その中に1mのプリント合板を入れディップコーティングを施した。プリント合板の重量を計測しながら含浸し、最初より100g増加した時点で含浸を止め、室温25℃で24時間自然乾燥して、防炎抗菌用コーティング部材となる防炎抗菌用プリント合板#1試料を得て、同様の方法で防炎抗菌用プリント合板#2試料、防炎抗菌用プリント合板#3試料を得た。なを、比較のために、0.1重量%珪酸ナトリウム水溶液を比較水溶液#3試料として、ステンレス製角バッドに移し、その中に1mのプリント合板を入れディップコーティングを施した。プリント合板の重量が最初より100g増加した時点で含浸を止め、室温25℃で24時間自然乾燥して、比較プリント合板#1試料を得た。同様の方法にて比較プリント合板#2試料、比較プリント合板#3試料、を得た。
(2)試験方法及び結果
1.防炎性試験
【表5−1】

2.抗菌性
【表5−2】

3.固着性試験
【表5−3】

【実施例6】
【0030】
本実施例では、可燃性基材として、和紙の両面をアセテートフィルムで積層されている超強和紙を使用して防炎抗菌用コーティング部材を作製した。
(1)部材の作製
ポリリン酸アンモニウム(住友化学、スミセーフP:リン含有量31〜32%、窒素含有量14〜16%)35重量%と銀イオン抗菌剤(シナネンゼオミック、ゼオミック)2重量%、及び、アクリル酸エステル共重合体エマルジョン(昭和高分子、AM−961:不揮発分48〜52%)10重量%、濡れ性の改善用に界面活性剤(信越化学、KF−642:不揮発分不明)0.1重量%を添加し、精製水(エスケイティ、クリーン水)を加えてマグネチックスターラーで撹拌・混合して防炎抗菌用複合溶液#6試料を得た。この防炎抗菌用複合溶液#6試料の固形分含有量は20.9%である。このようにして得た防炎抗菌用複合溶液#6試料を、超強和紙(山本紙工)A4サイズの表裏に低圧温風塗装機を用いて、1枚につき6〜6.5gスプレーコーティングを施し、室温25℃で24時間自然乾燥をして、防炎抗菌用コーティング部材となる防炎抗菌超強和紙#1試料を得て、同様の方法で防炎抗菌超強和紙#2試料、防炎抗菌超強和紙#3試料、を得た。なを、比較のために、0.1重量%の珪酸ナトリウム水溶液に0.001重量%の界面活性剤(信越化学、KF−618)を混合して比較水溶液#6試料を得た。この比較水溶液#6試料を、超強和紙(山本紙工)A4サイズの表裏に低圧温風塗装機を用いて、1枚につき6〜6.5gスプレーコーティングを施し、室温25℃で24時間自然乾燥して、比較超強和紙#1試料を得て、同様の方法で比較超強和紙#2試料、比較超強和紙#3試料、を得た。
(2)試験方法及び結果
1.防炎性試験
【表6−1】

2.抗菌性試験
【表6−2】

3.固着性試験
【表6−3】

【実施例7】
【0031】
本実施例では、可燃性基材として、ウール100%の毛織物を使用して防炎抗菌用コーティング部材を作製した。
(1)部材の作製
メラミン変性ポリリン酸アンモニウム(住友化学、スミセーフPM:リン含有量20〜21%、窒素含有量32〜35%)35重量%と銀イオン抗菌剤(シナネンゼオミック、ゼオミック)2重量%、及び、アクリル酸エステル共重合体エマルジョン(昭和高分子、AM−961:不揮発分48〜52%)10重量%と、フッ素樹脂エマルジョン(旭硝子、AG−E082:固形分20%)5重量%、更に、精製水(エスケイティ、クリーン水)を加えてマグネチックスターラーで撹拌・混合して防炎抗菌用複合溶液#7試料を得た。この防炎抗菌用複合溶液#7試料の固形分含有量は23.5%である。次に、ロールコータを使って、塗布する量を1m当たり100g程度になるよう調整しながら毛織物にコーティングを施した後、室温25℃で24時間自然乾燥して防炎抗菌用コーティング部材である防炎抗菌用毛織物#1試料を得た。同様の方法で防炎抗菌用毛織物#2試料、防炎抗菌用毛織物#3試料を得た。なを、比較のために、0.1重量%珪酸ナトリウム水溶液を比較水溶液#7試料として、ロールコータを使って、塗布する量を1m当たり100g程度になるよう調整しながら毛織物にコーティングを施した後、室温25℃で24時間自然乾燥して比較毛織物#1試料を得た。同様の方法にて比較毛織物#2試料、比較毛織物#3試料、を得た。
(2)試験方法及び結果
1.防炎性試験
【表7−1】

2.抗菌性試験
【表7−2】

3.固着性試験
【表7−3】

【実施例8】
【0032】
本実施例では、可燃性基材として、ビニル壁紙を使用して防炎抗菌用コーティング部材を作製した。
(1)部材の作製
メラミン変性ポリリン酸アンモニウム(住友化学、スミセーフPM:リン含有量20〜21%、窒素含有量32〜35%)35重量%と銀イオン抗菌剤(シナネンゼオミック、ゼオミック)2重量%、及び、フッ素樹脂エマルジョン(旭硝子、AG−E082:固形分20%)10重量%とブロックドイソシアネート系架橋剤(明成化学、メイカネート:固形分不明)1重量%、更に、精製水(エスケイティ、クリーン水)を加えてマグネチックスターラーで撹拌・混合して防炎抗菌用複合溶液#8試料を得た。この防炎抗菌用複合溶液#8試料の固形分含有量は約20.4%である。このようにして得た防炎抗菌用複合溶液#8試料を、1mのビニル壁紙(サンゲツ)の表面に低圧温風塗装機を用いて、1回につき30〜35gスプレーコーティングを施した後、赤外線ランプで乾燥し、これを3回繰り返した。したがって、1枚のビニル壁紙表面に防炎抗菌用複合溶液#8試料を3回の合計100g程度塗布したことになり、乾燥後のビニル壁紙の重量はコーティングする前より約20.4g増えていた。このようにして防炎抗菌用ビニル壁紙#1試料を得た。同様の方法により防炎抗菌用ビニル壁紙#2試料、防炎抗菌用ビニル壁紙#3試料を得た。なを、比較のために、0.1重量%の珪酸ナトリウム水溶液に0.001重量%の界面活性剤(信越化学、KF−618)を混合して比較水溶液#8試料を得た。このようにして得た比較水溶液#8試料を、1mのビニル壁紙(サンゲツ)の表面に低圧温風塗装機を用いて、1回につき30〜35gスプレーコーティングを施した後、赤外線ランプで乾燥し、これを3回繰り返した。したがって、1枚のビニル壁紙表面に比較水溶液#8試料を3回の合計100g程度塗布したことになる。このようにして比較ビニル壁紙#1試料を得た。同様の方法により比較ビニル壁紙#2試料、比較ビニル壁紙#3試料を得た。
(2)試験方法及び結果
1.防炎性試験
【表8−1】

2.抗菌性試験
【表8−2】

3.固着性試験
【表8−3】

【産業上の利用可能性】
【0033】
以上詳述したように本発明は、防炎抗菌用コーティング部材及びその製造方法ならびに防炎抗菌性製品に係るものであり、本発明により、(1)防炎性、抗菌性の機能を有しない、プラスチックス、紙、繊維、木材、竹、それらの組み合わせ、及びそれらの積層体などからなる、有機素材を含有する可燃性基材表面に、窒素含有縮合リン酸化合物と銀イオン抗菌剤さらにエマルジョンを含有してなる防炎抗菌用複合溶液をコーティングして、防炎抗菌用コーティング膜を施すことにより防炎抗菌用コーティング部材を製造し、提供することができる。(2)本発明の防炎抗菌用コーティング部材あるいは、それを用いた防炎抗菌性製品は低コストで製造でき、防炎性と抗菌性その固着性に優れており、エネルギーを必要とせず、メンテナンスフリーで、例えば、灰皿からタバコがテーブルクロスの上に落下しても延焼することなく、自己消火する防炎性と犬や猫などのペットが付着させる雑菌などの繁殖を抑制する抗菌性の効果を発揮することができる。(3)更に、防炎性と抗菌性の機能はしっかりと固着されており長期間に亘り有効性が維持されるため、これらの技術分野で種々の用途に利用することができる。(4)上記(1)〜(3)により、防炎性と抗菌性その固着性を有する新規コーティング部材及びその製品を提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機素材を含有する可燃性基材に、防炎性と抗菌性その固着性を付与したコーティング部材であって、可燃性基材表面に、窒素含有縮合リン酸化合物と銀イオン抗菌剤さらにエマルジョンを含有してなる防炎抗菌用複合溶液をコーティングして、防炎抗菌用コーティング膜を形成してなることを特徴とする防炎抗菌用コーティング部材。
【請求項2】
前記窒素含有縮合リン酸化合物は、ポリリン酸アンモニウム、メラミン変性ポリリン酸アンモニウムの1種又は2種であることを特徴とする請求項1に記載の防炎抗菌用コーティング部材。
【請求項3】
前記エマルジョンは、シリコーンレジンエマルジョン、アクリル酸エステル共重合体エマルジョン、フッ素樹脂エマルジョンの1種又は2種以上であることを特徴とする請求項1に記載の防炎抗菌用コーティング部材。
【請求項4】
前記有機素材を含有する可燃性基材が、プラスチックス、紙、繊維、木材、竹、それらの組み合わせ、及びそれらの積層体からなる群から選ばれた1種の材料であることを特徴とする請求項1から3に記載の防炎抗菌用コーティング部材。
【請求項5】
有機素材を含有する可燃性基材に、防炎性と抗菌性その固着性を付与したコーティング部材を製造する方法であって、可燃性基材表面に、窒素含有縮合リン酸化合物と銀イオン抗菌剤さらにエマルジョンを含有してなる防炎抗菌用複合溶液をコーティングして、防炎抗菌用コーティング膜を形成する工程と、前記防炎抗菌用コーティング膜を固化する工程を含んでなることを特徴とする防炎抗菌用コーティング部材の製造方法。
【請求項6】
請求項1から4の何れか1項に記載の防炎抗菌用コーティング部材を構成要素として含むことを特徴とする防炎抗菌性製品。

【公開番号】特開2010−159508(P2010−159508A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−1271(P2009−1271)
【出願日】平成21年1月7日(2009.1.7)
【出願人】(598163857)有限会社総合技研 (10)
【Fターム(参考)】