説明

防爆装置用連結部材

【課題】複数の防爆装置を直線状又は直交方向に一体的に連結することができるようにする。
【解決手段】この発明の防爆装置用連結部材300は、同一形状の2つの防爆型照明装置100のそれぞれにおける配線締め付け具21が突出した蓋体2の間に配置され、接続面310及び絶縁体としてのパッキン330を備えている。接続面310は、少なくとも2面を構成し、防爆型照明装置100の横断面と同一の外形形状を呈し、蓋体2の側面に密着した状態で配線締め付け具21が嵌入する貫通孔311を備えている。パッキン320は、貫通孔311の内側で配線締め付け具21から露出した配線を挟持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、可燃性ガス雰囲気の危険区域内での照明に使用される防爆装置に関し、特に、複数の防爆装置の連結に用いられる連結部材に関する。
【背景技術】
【0002】
石油化学プラント等の可燃性ガス雰囲気の危険区域内でも、暗所や夜間の作業時に照明が必要とされる場合がある。このため、光源を電源回路等の電気部品とともに防爆構造の防爆容器に収納した防爆装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
危険区域内での照明は範囲の大きさや形状は多岐にわたるが、使用状況に合わせて光量や形状の異なる多種類の防爆装置を準備することとすると、製造効率が低下する。
【0004】
そこで、比較的小型の単一種類の防爆装置を準備し、使用状況に応じて複数の防爆装置を連結して使用することが考えられる。図6に示すように、複数の防爆装置200は、信号線、電源線及び接地線を通した保護管210によって接続される。即ち、各防爆装置200の側面201から突出した配線締め付け具202を貫通した信号線、電源線及び接地線は、保護管210内を貫通する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−053929号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来の防爆装置は、各防爆装置における防爆容器の外部で保護管によって接続されるため、連結部分が長くなる。また、複数の防爆装置は、単一の方向にのみ連結され、連結部分で角度を変えることが容易でなく、多様な使用状況に対応できない場合を生じる。また、連結された複数の防爆装置の全体に一体感を与えることができない。
【0007】
この発明の目的は、複数の防爆装置を直線状又は直交方向に一体的に連結することができる防爆装置用連結部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係る防爆装置用連結部材は、同一形状の2つの防爆装置のそれぞれにおける配線締め付け具が突出した配線用側面の間に配置され、接続面及び絶縁体を備えている。接続面は、少なくとも2面を構成し、配線用側面と同一の外形形状を呈し、配線用側面に密着した状態で配線締め付け具が嵌入する貫通孔を備えている。絶縁体は、貫通孔の内側で配線締め付け具から露出した配線を挟持する。
【0009】
この構成によれば、2つの防爆装置が、各々の配線用側面から突出した配線締め付け具が貫通孔に嵌入した状態で、各々の配線用側面に接続面を密着させた連結部材によって一体的に連結される。配線締め付け具から露出した配線は、絶縁体によって挟持され、防爆性能が維持される。
【0010】
この構成において、絶縁体は、接続面のそれぞれの内側で配線締め付け具から露出したケーブルを挟持するパッキンとすることができ、接続面の中間部で配線締め付け具から露出した複数の導電線が両端に接続される導電体を保持する保持部材とすることもできる。防爆装置に対する配線がケーブル又はバラ線のいずれであるかに応じて、最適な状態で防爆性能を維持することができる。
【0011】
また、少なくとも2面の接続面は、互いに平行に配置することができ、互いに直交する方向に配置することもできる。複数の防爆装置を複数の方向に連結することができ、多様な使用状況に対応できる。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、複数の防爆装置を直線状又は直交方向に一体的に連結することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】この発明の実施形態に係る防爆装置用連結部材が適用される防爆型照明装置の組立図である。
【図2】この発明の第1の実施形態に係る防爆装置用連結部材の側面断面図である。
【図3】この発明の第2の実施形態に係る防爆装置用連結部材の側面断面図である。
【図4】この発明の実施形態に係る防爆装置用連結部材を用いた防爆装置の連結状態を示す図である。
【図5】(A)〜(C)は、同防爆装置用連結部材の使用例を示す図である。
【図6】従来の防爆装置の接続状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、この発明の実施形態に係る防爆装置用連結部材について、図面を参照しつつ説明する。
【0015】
防爆装置用連結部材が適用される防爆型照明装置100は、図1に示すように、防爆容器101、本体1、蓋体2、ガラス板3、留め具4、パッキン5を備えている。本体1は、正面(図1において上向き。)1Aに矩形状の窓部11を備え、両側面1B,1Cに開口部12を備えた筐体であり、内部の収納部10に光源及び電気部品を収納する。
【0016】
本体1の正面1Aにおいて、窓部11を挟む平行な2箇所には、保持部13が一体的に形成されている。保持部13は、開口面が正面1Aに直交する溝部14を構成する。2つの保持部13は、溝部14の開口面を互いに対向させて配置されている。溝部14の両端は、開放している。
【0017】
蓋体2は、この発明の配線用側面を構成し、本体1の側面1B,1Cのそれぞれに固定され、開口部12を塞ぐ。本体2には、配線締め付け具21が突出して形成されている。配線締め付け具21は、光源及び電気部品に対する電源線、信号線及び接地線が挿通された状態で、本体1の内部を外部に対して遮蔽する。電源線、信号線及び接地線は、単一のケーブル内に収納され、又は各々が個別の導電線として配線される。
【0018】
ガラス板3は、窓部11よりも面積の大きい矩形状の強化ガラスであり、保持部正面1Aに配置されて窓部11を被覆する。ガラス板3の長辺は、保持部13より長い。ガラス板3の外側面の周縁部には、パッキン6が貼付される。ガラス板3は、透光性の板材であればよく、例えば透明樹脂板で構成することもできる。
【0019】
留め具4は、保持部13の両端部の外側で正面1Aに各々2本のネジを貫通孔41を介して装着される。留め具4は、ガラス板3において保持部13の両端から露出した部分を被覆する。
【0020】
パッキン5は、弾性を有する環状体であり、ガラス板3と窓部11の周縁部との間に配置される。
【0021】
ガラス板3の内側面には、パッキン5が嵌入する凹部31が形成されている。正面1Aにおける窓部11の周縁部にも、パッキン5が嵌入する凹部32が形成されている。ガラス板3は、パッキン5により、正面1Aにおける配置位置を規定される。ガラス板3を正面1Aの適正な位置に配置した状態で正面1Aに留め具4を装着すると、溝部14の長手方向におけるガラス板3の移動が規制され、ガラス板3を正面1Aにおける適正な位置に固定することができる。
【0022】
2つの保持部13のそれぞれの溝部14内にガラス板3を挿入することにより、ガラス板3は長辺部を本体1の正面1Aに一体的に形成された保持部13で保持される。ガラス板3を十分な内圧強度を確保した状態で本体1に固定するに際して、コストの低廉化、組立作業の簡略化、装置の小型化を実現できる。
【0023】
図2に示すように、防爆装置用連結部材300は、直方体形状の筐体であり、一例として互いに平行な2側面を連結面310としている。連結面310は、防爆型照明装置100の本体1の横断面形状と同一の外形形状を呈しており、防爆型照明装置100の蓋体2から突出した配線締め付け具21が突出方向に嵌入する貫通孔311を備えている。
【0024】
防爆装置用連結部材300の内部には、各貫通孔311の内側にパッキン320が配置されている。パッキン320は、この発明の絶縁体であり、配線締め付け具21から露出したケーブル330を挟持する。2つのパッキン320は、2つの貫通孔311に連通した連通孔340の内周面に密着して配置されている。これによって、防爆装置用連結部材300の内部における防爆性能が維持される。
【0025】
なお、底面350に装着されている蓋360を取外して新たな貫通孔を形成し、別のパッキン320を配置することで、互いに直交する2側面を連結面310とすることもできる。この場合に、連結しない一方の側面を閉鎖することもできる。
【0026】
図3に示すように、防爆装置用連結部材300の内部に、3本の導電体380を挟持する絶縁性の保持具370を、連通孔340の内周面に密着させて配置することで、電源線、信号線及び接地線を個別の導電線として配線される場合に対応することができる。この場合には、保持具370がこの発明の絶縁体に相当し、保持具370によって防爆装置用連結部材300内の防爆性能を維持することができる。
【0027】
図2又は図3に示した防爆装置用連結部材300を用いることで、防爆装置用連結部材300に設けられた貫通孔371、蓋体2に設けられた貫通孔22及び本体1の側面に設けられたネジ穴15にネジ381を通して締め付けることにより、防爆装置用連結部材300が防爆型照明装置100に固定される。これによって、2つの防爆型照明装置100が図4に示すように、一体的に連結される。また、互いに直交する2面を連結面310とすることで、図5(A)及び(B)に示すように複数の防爆型照明装置100を互いに直交させて一体的に連結することができる。
【0028】
さらに、3面を連結面とすることで、図5(C)に示すように3つの防爆型照明装置100をT字状に一体的に連結することもでき、3つ以上の防爆型照明装置100を立体状に一体的に連結することもできる。
【0029】
上述の実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0030】
例えば、防爆装置は、照明機能を有する防爆型照明装置100に限るものではなく、光電スイッチの機能を有する防毒装置や画像表示機能を有する防爆装置にも、この発明の防爆装置用連結部材を同様に適用できる。
【符号の説明】
【0031】
100−防爆型照明装置(防爆装置)
300−防爆装置用連結部材
310−連結面
311−貫通孔
320−パッキン(絶縁体)
370−保持具(絶縁体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一形状の2つの防爆装置のそれぞれにおける配線締め付け具が突出した配線用側面の間に配置され、複数の前記防爆装置の電気的接続に用いられる防爆装置用連結部材であって、
少なくとも2面のそれぞれが、前記配線用側面と同一の外形形状を呈し、前記配線用側面に密着した状態で前記配線締め付け具が嵌入する貫通孔を備えた接続面であり、
内部に、前記貫通孔の内側で前記配線締め付け具から露出した配線を挟持する絶縁体を備えた防爆装置用連結部材。
【請求項2】
前記絶縁体は、前記接続面のそれぞれの内側で前記配線締め付け具から露出したケーブルを挟持するパッキンである請求項1に記載の防爆装置用連結部材。
【請求項3】
前記絶縁体は、前記接続面の中間部で前記配線締め付け具から露出した複数の導電線が両端に接続される導電体を保持する保持具である請求項1に記載の防爆装置用連結部材。
【請求項4】
前記接続面を互いに平行に配置した請求項1乃至3の何れかに記載の防爆装置用連結部材。
【請求項5】
前記接続面を互いに直交させて配置した請求項1乃至3の何れかに記載の防爆装置用連結部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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