説明

防犯システム、情報処理装置、防犯システムの管理方法及びプログラム

【課題】不審者候補として誤判定された人物のプライバシーを保護しつつ、不審者情報を所要の地域で共有できる防犯システム及び方法を提供する。
【解決手段】情報処理装置は、ネットワークを介して接続される撮影用カメラで撮影された画像データを収集し、該画像に不審者候補が写っているか否かを判定し、不審者候補と判定した人物画像を、予め設定された所定の地域内の各住人が備える、ネットワークを介して接続される複数の端末装置へ配信する。また、情報処理装置は、各端末装置から返信される該端末装置のユーザによって判定された不審者候補が不審者であるか否かを示す判定結果にしたがって該不審者候補を不審者または非不審者として登録し、ユーザによって前記非不審者に認定された不審者候補を各端末装置へ通知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不審者情報を管理するための防犯システム、情報処理装置、防犯システムの管理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の防犯システムは、ある住宅の監視カメラで不審者が発見された場合に、当該住宅の住人と警備会社等に不審者情報が通知されるだけである。しかしながら、例えば空き巣等の犯罪者は、特定の個人宅だけを狙うわけではないため、個々の住居単位で不審者情報を管理するだけでは防犯上不十分であることが多い。
【0003】
そこで、例えば特許文献1では、不審者情報を周辺地域(町内、学区内等)の住人で共有できる防犯システムが提案されている。特許文献1では、各住居に設置されているカメラ(例えばドアホン子器)で撮影された不審者候補の人物画像を管理装置で収集し、管理装置で収集された不審者候補を地域住人が不審者であると投票した場合に不審者として登録し、その不審者の人物画像をウェブページ上で公開することで不審者情報を周辺地域の住人で共有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−172083号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
不審者情報をある一定の地域内で共有する場合、不審者候補として誤判定された人物のプライバシーを保護するために、誤った不審者情報が流布するのを防止することが重要である。
【0006】
上記特許文献1では、例えば地域住人から不審者であるとの投票数が多い不審者候補のみを不審者として登録する、夜間等の特定の時間帯で頻繁に撮影された人物を不審者として登録する等、不審者として判定する際の判定条件を設けることで誤判定を低減している。
【0007】
特許文献1に記載された防犯システムでは、管理装置に不審者候補として判定された人物を地域住人の全員が知っていれば、該不審者候補が不審者として登録されることはない。しかしながら、不審者候補を地域住人の全員が知っていることは稀であり、所定数の地域住人の投票により不審者として管理装置に登録されると、以降、その人物は不審者として取り扱われてしまう。特許文献1では、例えば誤判定された人物を不審者ではないと取り消すための手法を何も示していないため、不審者候補として誤判定された人物のプライバシーを十分に保護することができないという問題がある。
【0008】
本発明は上述したような背景技術が有する問題点を解決するためになされたものであり、不審者候補として誤判定された人物のプライバシーを保護しつつ、不審者情報を所要の地域で共有できる防犯システム、情報処理装置、防犯システムの管理方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため本発明の防犯システムは、撮影した画像データを送信する撮影用カメラと、
予め設定された所定の地域内の各住人が備える複数の端末装置と、
前記撮影用カメラから送信された画像データを収集し、該画像に不審者候補が写っているか否かを判定し、前記不審者候補と判定した人物画像を前記端末装置へ配信し、前記端末装置から返信される、前記不審者候補が不審者であるか否かを示す判定結果にしたがって、該不審者候補を不審者または非不審者として登録し、前記非不審者として登録した不審者候補を前記端末装置へ通知する、前記撮影用カメラ及び前記端末装置とネットワークを介して接続される情報処理装置と、
を有する。
【0010】
また、本発明の情報処理装置は、ネットワークを介して接続された、予め設定された所定の地域内の各住人が備える複数の端末装置と通信可能にするための情報が予め格納されたデータ蓄積装置と、
ネットワークを介して接続される撮影用カメラで撮影された画像データを収集し、該画像に不審者候補が写っているか否かを判定し、前記不審者候補と判定した人物画像を前記端末装置へ配信し、前記端末装置から返信される、前記不審者候補が不審者であるか否かを示す判定結果にしたがって、該不審者候補を不審者または非不審者として登録し、前記非不審者として登録した不審者候補を前記端末装置へ通知する処理装置と、
を有する。
【0011】
また、本発明の防犯システムの管理方法は、コンピュータが、
ネットワークを介して接続される撮影用カメラで撮影された画像データを収集し、
該画像に不審者候補が写っているか否かを判定し、
前記不審者候補と判定した人物画像を、予め設定された所定の地域内の各住人が備える、ネットワークを介して接続される複数の端末装置へ配信し、
前記端末装置から返信される、前記不審者候補が不審者であるか否かを示す判定結果にしたがって、該不審者候補を不審者または非不審者として登録し、
前記非不審者として登録した不審者候補を前記端末装置へ通知する方法である。
【0012】
さらに、本発明のプログラムは、ネットワークを介して接続される撮影用カメラで撮影された画像データを収集させ、
該画像に不審者候補が写っているか否かを判定させ、
前記不審者候補と判定した人物画像を、予め設定された所定の地域内の各住人が備える、ネットワークを介して接続される複数の端末装置へ配信させ、
、前記端末装置から返信される、前記不審者候補が不審者であるか否かを示す判定結果にしたがって、該不審者候補を不審者または非不審者として登録させ、
前記非不審者として登録した不審者候補を前記端末装置へ通知させる処理をコンピュータに実行させるためのものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、不審者候補として誤判定された人物のプライバシーを保護しつつ、不審者情報を所要の地域で共有できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の防犯システムの一構成例を示すブロック図である。
【図2】図1に示した情報処理装置の一構成例を示すブロック図である。
【図3】図1に示した情報処理装置の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に本発明について図面を用いて説明する。
【0016】
図1は、本発明の防犯システムの一構成例を示すブロック図である。
【0017】
図1に示すように、本発明の防犯システムは、撮影した画像データを送信する撮影用カメラ1と、予め設定された所定の地域内の各住人が備える複数の端末装置2と、撮影用カメラ1から送信された画像データを収集し、該画像に不審者候補が写っているか否かを判定し、不審者候補と判定した人物画像を端末装置2へ配信し、端末装置2から返信される、不審者候補が不審者であるか否かを示す判定結果にしたがって、該不審者候補を不審者または非不審者として登録し、非不審者として登録した不審者候補を端末装置2へ通知する、撮影用カメラ1及び端末装置2とネットワーク4を介して接続される情報処理装置3とを有する。
【0018】
図1では、3台の撮影用カメラ1及び3台の端末装置2がそれぞれネットワーク4を介して情報処理装置3と接続された例を示しているが、撮影用カメラ1及び端末装置2の数は、本発明の防犯システムを利用するユーザ(住人)の数や住宅形式(集合住宅、戸建住宅等)に応じて変わるものであり、情報処理装置3で管理可能な範囲内であれば、それぞれ何台であってもよい。
【0019】
撮影用カメラ1は、周知のカメラ機能及び通信手段を備えた撮影装置であり、所定の視野角内を撮影し、該撮影した画像データを、ネットワーク4を介して情報処理装置3へ送信する。撮影用カメラ1は、所定のフレーム毎に撮影した動画像データを情報処理装置3へ送信してもよく、予め決められた時間間隔で撮影した静止画像データを情報処理装置3へ送信してもよい。
【0020】
撮影用カメラ1は、例えばマンション等の集合住宅の場合、各フロア、エレベータ、駐車場等、該集合住宅の敷地内に設置された防犯カメラで実現できる。また、例えば戸建住宅の場合はカメラが内蔵されたドアホン子器で実現できる。撮影用カメラ1がドアホン子器等の内蔵カメラの場合、該カメラで撮影された画像はドアホン子器から情報処理装置3へ直接送信してもよく、住宅内に設置されたドアホンシステムの親器を介して情報処理装置3へ送信してもよい。撮影用カメラ1は、上記集合住宅の防犯カメラや戸建住宅のドアホン子器に限らず、住宅や店舗等で用いる室内用のWebカメラや街頭に設置された街頭カメラ等でもよい。
【0021】
情報処理装置3は、ネットワーク4を介して各撮影用カメラ1で撮影された画像データを受信すると、該画像に写っている人物が不審者候補であるか否かを判定し、不審者候補であると判定した場合は、その人物画像を所定の地域内の住人の各端末装置2へ配信する。情報処理装置3には、予め設定された所定の地域毎の住人の各端末装置2と通信可能にするための情報(メールアドレス、電話番号等)、並びに各撮影用カメラ1の位置情報が登録されており、不審者候補を検出した撮影用カメラ1の位置情報に対応した所定の地域の住人の各端末装置2へ該不審者候補の人物画像を配信する。このように情報処理装置3で不審者候補として判定された人物画像を予め設定した地域内の住人の各端末装置2へ配信することで、不審者情報を所定の地域内の住人で共有できる。
【0022】
また、情報処理装置3は、各端末装置2から不審者候補に関する住人の判定結果(メッセージ)が返信されると、該判定結果に基づき不審者候補の人物画像に「不審者」または「非不審者」のフラグを付与して登録すると共に、一部の住人により該不審者候補が「非不審者」と認定された場合は、その旨を各端末装置2へ通知する。このように情報処理装置3で不審者候補と判定されても、住人の判定結果により「非不審者」と認定されると該不審者候補が「非不審者」として登録され、その旨が情報処理装置3から各端末装置2へ通知されるため、不審者候補と誤判定された人物が継続して不審者候補として取り扱われることが無い。そのため、不審者候補と誤判定された人物のプライバシーを保護できる。
【0023】
さらに、情報処理装置3は、撮影画像から不審者候補を検出すると、周知の顔認識アルゴリズムを用いてその不審者候補が「非不審者」として既に登録されている人物と一致するか否かを判定し、一致した場合は各端末装置2に対する当該不審者候補の画像の送信を中止する。このように不審者候補が「非不審者」として登録された人物と一致する場合に各端末装置2に対する不審者情報の配信を中止することで、不審者候補と誤判定された人物画像が何度も各端末装置2へ配信されることない。そのため、不審者候補と誤判定された人物のプライバシーをより保護できる。
【0024】
なお、撮影用カメラ1として、例えばドアホン子器に内蔵されたカメラを利用している場合、該ドアホン子器は、通常、常時撮影しているわけではない。その場合、情報処理装置3は、例えば不審者候補を撮影したドアホン子器(住宅)から一定の範囲内(区画内、町内等)の住居のドアホン子器を起動させ、起動した各ドアホン子器から画像データを送信させてもよい。
【0025】
情報処理装置3と端末装置2間の通信には、例えば周知の電子メールを利用できる。その場合、不審者候補の人物画像は電子メールに添付して不審者情報として情報処理装置3から各端末装置2へ配信すればよい。また、各端末装置2から情報処理装置3へ返信するメッセージは電子メールの本文に挿入すればよい。不審者候補の人物画像やメッセージの送受信には、電子メールを利用する方法に限定されるものではなく、予め設定した通信フォーマット等を用いて送受信してもよい。
【0026】
情報処理装置3は、例えば図2に示すコンピュータによって実現できる。
【0027】
図2に示すコンピュータは、プログラムにしたがって所定の処理を実行する処理装置10と、処理装置10に対してコマンドや情報等を入力するための入力装置20と、処理装置10の処理結果を出力するための出力装置30とを有する。
【0028】
処理装置10は、CPU11と、CPU11の処理で必要な情報を一時的に保持する主記憶装置12と、CPU11に本発明の処理を実行させるためのプログラムが記録された記録媒体13と、上記所定の地域毎の各住人の端末装置2と通信可能にするための情報(メールアドレスや電話番号等)、撮影用カメラ1毎の位置情報、不審者候補の人物画像、「非不審者」または「不審者」として登録された人物画像等が格納されるデータ蓄積装置14と、主記憶装置12、記録媒体13及びデータ蓄積装置14とのデータ転送を制御するメモリ制御インタフェース部15と、入力装置20及び出力装置30とのインタフェース装置であるI/Oインタフェース部16と、撮影用カメラ1と画像データや起動指示を送受信すると共に、端末装置2と不審者情報やメッセージ等を送受信するための通信制御装置17とを備え、それらがバス18を介して接続された構成である。
【0029】
処理装置10は、記録媒体13に記録された制御用プログラムにしたがってCPU11が処理を実行することで、本発明の情報処理装置3としての機能を実現する。記録媒体13は、磁気ディスク、半導体メモリ、光ディスクあるいはその他の記録媒体であってもよい。データ蓄積装置14は、処理装置10内に備える必要はなく、独立した装置であってもよい。
【0030】
端末装置2は、情報処理装置3からネットワーク4を介して不審者候補の人物画像を含む不審者情報が送信されると、該送信された不審者候補の人物画像を表示する。また、ユーザ(住人)によって不審者候補が不審者であるか否かが判定され、その判定結果を示すメッセージ(例えば「不審者」或いは「非不審者」)が入力されて送信が指示されると、該メッセージを情報処理装置3へ送信する。
【0031】
端末装置2としては、例えば携帯電話機、PHS(Personal Handyphone System)、PDA(Personal Data Assistance,Personal Digital Assistants:個人向け携帯型情報通信機器)、ゲーム機、ノート型やタブレット型のパーソナルコンピュータ、据え置き型のパーソナルコンピュータ、ネットワークに接続可能なテレビジョン受像機、撮影用カメラ1を内蔵したドアホン子器やドアホン子器に対応する親器等がある。端末装置2は、周知の通信手段を介して該端末装置2に対応したネットワークを介して情報処理装置3と接続可能な構成とする。
【0032】
次に、図1に示した防犯システムの動作について図面を用いて説明する。
【0033】
図3は、図1に示した情報処理装置の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【0034】
図3に示すように、情報処理装置3は、各撮影用カメラ1で撮影された画像データが送信されると、該画像データに基づき、撮影画像に写っている人物が不審者候補であるか否かを判定する(ステップS1)。
【0035】
不審者候補を検出した場合は、その人物画像をデータ蓄積装置14で保存し、ステップS2の処理へ移行する。また、不審者候補を検出しなかった場合は、ステップS1の処理に戻って、次の画像データが送信されるまで処理を停止する。不審者候補であるか否かを判定する方法としては、例えば撮影人物の行動軌跡が普通の人の行動軌跡から逸脱する場合に該撮影人物を不審者候補と判定する周知の不審者判別方法、あるいは周知の顔検知アルゴリズムや顔認識アルゴリズムを利用して、カメラの撮影範囲から顔や姿の一部を隠す挙動不審の人物を不審者候補と判定する方法等がある。不審者候補を判定する方法は、これらの方法に限らず、撮影画像から不審者候補を抽出できれば周知のどのような方法を用いてもよい。
【0036】
情報処理装置3は、撮影画像から不審者候補を検出すると、周知の顔認識アルゴリズムを用いて該不審者候補が「非不審者」として既に登録されている人物と一致するか否かを判定する(ステップS2)。このとき情報処理装置3は、該不審者候補が「不審者」として登録されている人物と一致するか否かも併せて判定してもよい。
【0037】
不審者候補が「非不審者」として登録された人物と一致する場合、情報処理装置3は、ステップS1の処理に戻って、次の画像データが送信されるまで処理を停止する。
【0038】
不審者候補が「非不審者」として登録された人物と一致しない場合、情報処理装置3は、該不審者候補を撮影した撮影用カメラ1の位置情報に基づき、予め登録された該撮影用カメラ1の周辺地域の住人が所有する各端末装置2へ該不審者候補の人物画像を含む不審者情報を配信する(ステップS3)。ここで、ステップS2の処理で、不審者候補が「不審者」として登録されている場合、情報処理装置3は、例えば注意を喚起するメッセージと共に、各端末装置2へ当該不審者候補の人物画像を含む不審者情報を配信すればよい。不審者情報を配信する地域は、不審者情報の重大性に応じて変更してもよい。例えば、単なる挙動不審や人相風体がよくない不審者候補の場合は比較的狭い地域内の住人の各端末装置2へ配信し、手配書の人物に似ている等、犯罪者の可能性が高い不審者候補の場合は警察署等を含む広い地域の住人の各端末装置2へ配信する。
【0039】
また、情報処理装置3は、ドアホン子器のように常時起動していないカメラの撮影画像から不審者候補を検出した場合、例えば該カメラの周辺地域の各住居のドアホン子器を起動させ、それらに内蔵されたカメラから画像データを送信させてもよい。その場合、起動した各カメラには、例えば予め設定された時間だけ撮影を継続させればよい。情報処理装置3は、起動したカメラの撮影画像に人物が写っている場合、周知の顔認識アルゴリズムを用いて、最初に検出された不審者候補の人物画像と、起動した各カメラの撮影画像に写っている人物画像とを比較し、それらが一致する場合は、該不審者候補の人物画像に関連付けて、該人物画像を撮影した撮影用カメラ1の位置情報やその撮影時間を保存する。このような処理を実行すれば、不審者候補を撮影した撮影用カメラ1の位置情報やその撮影時間から該不審者候補の行動軌跡も地域住人で共有できる。なお、撮影用カメラ1の位置情報やその撮影時間から不審者候補の行動軌跡を検出する処理は、ドアホン子器のように常時起動していないカメラを用いる場合に限定されるものではなく、常時起動している監視カメラや街頭カメラ等を撮影用カメラ1として用いる場合にも適用することが可能である。
【0040】
端末装置2は、情報処理装置3から不審者情報を受信すると、該不審者情報に含まれる不審者候補の人物画像を表示する。ユーザ(住人)は、表示された人物が不審者であるか否かを判定し、その判定結果を示すメッセージ(例えば「不審者」或いは「非不審者」)を端末装置2に入力する。端末装置2は、ユーザによってメッセージが入力され、送信が指示されると、該メッセージを情報処理装置3へ返信する。このメッセージには、上記判定結果だけでなく、例えば既に登録されている「不審者」の取り消し依頼、あるいは不審者候補が警察等から発行された手配書の人物に似ている等、「不審者」の可能性がより高いことを示す情報等を含めてもよい。
【0041】
情報処理装置3は、各端末装置2からメッセージを受信すると、該メッセージに基づき不審者候補の人物画像に「不審者」または「非不審者」のフラグを付与してデータ蓄積装置に登録する(ステップS4)。また、情報処理装置3は、一部の住人から該不審者候補が「非不審者」と認定されている場合、その旨を各端末装置2へ通知する(ステップS5)。なお、一度「不審者」として登録された不審者候補の人物画像を各端末装置2へ配信し、その返信メッセージに住民からの「不審者」からの登録取り消し依頼が含まれている場合、情報処理装置3は、該不審者候補の人物画像に「非不審者」のフラグを付与してデータ蓄積装置14に再登録し、その旨を各端末装置2へ通知してもよい。このように住人からの依頼に応じて、「不審者」として登録された人物画像を「非不審者」として登録し直し、その結果を各端末装置2へ通知することで、一度「不審者」として誤判定された人物であっても、そのプライバシーを保護できる。
【0042】
本実施形態の防犯システムによれば、情報処理装置3で不審者候補として判定された人物画像を、予め設定した地域内の住人の各端末装置2へ配信するため、不審者情報を所定の地域内の住人で共有できる。
【0043】
また、情報処理装置3で不審者候補と判定されても、住人の判定結果により「非不審者」と認定されると、該不審者候補が「非不審者」として登録され、その旨が情報処理装置3から各端末装置2へ通知されるため、不審者候補と誤判定された人物が継続して不審者候補として取り扱われることが無い。そのため、不審者候補と誤判定された人物のプライバシーを保護できる。
【0044】
さらに、不審者候補が「非不審者」として登録された人物と一致する場合、各端末装置2に対する不審者情報の配信を中止することで、不審者候補と誤判定された人物画像が何度も各端末装置2へ配信されることない。そのため、不審者候補と誤判定された人物のプライバシーをより保護できる。
【符号の説明】
【0045】
1 撮影用カメラ
2 端末装置
3 情報処理装置
4 ネットワーク
10 処理装置
11 CPU
12 主記憶装置
13 記録媒体
14 データ蓄積装置
15 メモリ制御インタフェース部
16 I/Oインタフェース部
17 通信制御装置
18 バス
20 入力装置
30 出力装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影した画像データを送信する撮影用カメラと、
予め設定された所定の地域内の各住人が備える複数の端末装置と、
前記撮影用カメラから送信された画像データを収集し、該画像に不審者候補が写っているか否かを判定し、前記不審者候補と判定した人物画像を前記端末装置へ配信し、前記端末装置から返信される、前記不審者候補が不審者であるか否かを示す判定結果にしたがって、該不審者候補を不審者または非不審者として登録し、前記非不審者として登録した不審者候補を前記端末装置へ通知する、前記撮影用カメラ及び前記端末装置とネットワークを介して接続される情報処理装置と、
を有する防犯システム。
【請求項2】
前記情報処理装置は、
前記撮影用カメラから送信された画像データから前記不審者候補を検出すると、該不審者候補が非不審者として既に登録されている人物と一致するか否かを判定し、一致した場合は前記端末装置に対する当該不審者候補の人物画像の配信を中止する請求項1記載の防犯システム。
【請求項3】
前記情報処理装置は、
前記不審者候補を撮影した撮影用カメラの位置に応じて予め設定された所定の地域内の撮影用カメラの撮影画像に写っている人物と該不審者候補とが一致するか否かを判定し、前記所定の地域内の撮影用カメラの撮影画像に写っている人物と前記不審者候補とが一致する場合、該人物を撮影した前記所定の地域内の撮影用カメラの位置情報及び撮影時刻を該不審者候補の人物画像に関連付けて保存する請求項1または2記載の防犯システム。
【請求項4】
ネットワークを介して接続された、予め設定された所定の地域内の各住人が備える複数の端末装置と通信可能にするための情報が予め格納されたデータ蓄積装置と、
ネットワークを介して接続される撮影用カメラで撮影された画像データを収集し、該画像に不審者候補が写っているか否かを判定し、前記不審者候補と判定した人物画像を前記端末装置へ配信し、前記端末装置から返信される、前記不審者候補が不審者であるか否かを示す判定結果にしたがって、該不審者候補を不審者または非不審者として登録し、前記非不審者として登録した不審者候補を前記端末装置へ通知する処理装置と、
を有する情報処理装置。
【請求項5】
前記処理装置は、
前記撮影用カメラから送信された画像データから前記不審者候補を検出すると、該不審者候補が非不審者として既に登録されている人物と一致するか否かを判定し、一致した場合は前記端末装置に対する当該不審者候補の人物画像の配信を中止する請求項4記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記処理装置は、
前記不審者候補を撮影した撮影用カメラの位置に応じて予め設定された所定の地域内の撮影用カメラの撮影画像に写っている人物と該不審者候補とが一致するか否かを判定し、前記所定の地域内の撮影用カメラの撮影画像に写っている人物と前記不審者候補とが一致する場合、該人物を撮影した前記所定の地域内の撮影用カメラの位置情報及び撮影時刻を該不審者候補の人物画像に関連付けて保存する請求項4または5記載の情報処理装置。
【請求項7】
コンピュータが、
ネットワークを介して接続される撮影用カメラで撮影された画像データを収集し、
該画像に不審者候補が写っているか否かを判定し、
前記不審者候補と判定した人物画像を、予め設定された所定の地域内の各住人が備える、ネットワークを介して接続される複数の端末装置へ配信し、
前記端末装置から返信される、前記不審者候補が不審者であるか否かを示す判定結果にしたがって、該不審者候補を不審者または非不審者として登録し、
前記非不審者として登録した不審者候補を前記端末装置へ通知する防犯システムの管理方法。
【請求項8】
前記コンピュータが、
前記撮影用カメラから送信された画像データから前記不審者候補を検出すると、該不審者候補が非不審者として既に登録されている人物と一致するか否かを判定し、一致した場合は前記端末装置に対する当該不審者候補の人物画像の配信を中止する請求項7記載の防犯システムの管理方法。
【請求項9】
前記コンピュータが、
前記不審者候補を撮影した撮影用カメラの位置に応じて予め設定された所定の地域内の撮影用カメラの撮影画像に写っている人物と該不審者候補とが一致するか否かを判定し、
前記所定の地域内の撮影用カメラの撮影画像に写っている人物と前記不審者候補とが一致する場合、該人物を撮影した前記所定の地域内の撮影用カメラの位置情報及び撮影時刻を該不審者候補の人物画像に関連付けて保存する請求項7または8記載の防犯システムの管理方法。
【請求項10】
ネットワークを介して接続される撮影用カメラで撮影された画像データを収集させ、
該画像に不審者候補が写っているか否かを判定させ、
前記不審者候補と判定した人物画像を、予め設定された所定の地域内の各住人が備える、ネットワークを介して接続される複数の端末装置へ配信させ、
、前記端末装置から返信される、前記不審者候補が不審者であるか否かを示す判定結果にしたがって、該不審者候補を不審者または非不審者として登録させ、
前記非不審者として登録した不審者候補を前記端末装置へ通知させる処理をコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−65187(P2013−65187A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−203182(P2011−203182)
【出願日】平成23年9月16日(2011.9.16)
【出願人】(310006855)NECカシオモバイルコミュニケーションズ株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】