説明

防犯システム用増設入出力装置

【課題】 防犯システムの防犯端末機器または制御機器等と通信により入出力情報を送受信する防犯システム用増設入出力装置を、少ない設置台数で防犯システムに必要な信号の入出力の設定を容易に行うことができる防犯システム用増設入出力装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 複数組の端子(11(An,Bn))を備えた防犯システム用増設入出力装置3に、端子の組毎に対応して備えられ、端子と入出力制御線8n−1、8n−2、・・・を介して接続された外部機器(1、9、13)に信号を出力する出力回路として動作するかまたは前記外部機器が出力した信号を入力する入力回路として動作するように回路動作を切り替える入出力切替回路10と、該入出力切替回路の回路動作モードを設定する設定部(20、14)とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防犯システムの防犯端末機器または制御機器等と通信により入出力情報を送受信する防犯システム用増設入出力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、防犯システムは、ビルやテナント設備等の警戒区域毎に設置された電気錠、ドアセンサあるいはパッシブセンサなどの各種防犯センサ(防犯機器)と、防犯機器を点検または機器状態等を表示する点検装置等から構成されている。さらに、防犯機器の検出信号を受信して警備センター等へ通報(発信)する制御装置から構成されている。
【0003】
また、防犯システムは、各警戒区域に設置された照明(警報灯)や電気錠などの設備機器を防犯システムに関連して動作させる。あるいは防犯システムの情報を火災報知設備、非常放送設備、エレベータ設備などの他のシステムへ移報出力する(または他設備から防犯システムへ移報入力する)複合システムもある。
【0004】
このような防犯システムを構築する場合、警戒区域の特性や増改築あるいは顧客の要望などにより防犯システムを構成する各種機器および設備機器等の設計は多種多様であるため、これらの事情に柔軟に対応すべく増設用入力装置や増設用出力装置が用いられている(例えば特許文献1)。
【特許文献1】特開2001−243573号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1においては、機器増設の際に入出力(入出力端子)がともに必要である場合、増設用入力装置および増設用出力装置をそれぞれ設置しなければならず、設置台数が増えて費用上および設置スペース上の問題があった。さらに施工する際、実際に施工が開始されないと防犯機器・設備機器の入出力数(入出力端子数)が不明であり、増設用出力装置および/または増設用入力装置の手配が面倒かつ停滞するため非効率かつ不経済となる場合もあった。
【0006】
したがって、本発明は、少ない設置台数で防犯システムに必要な信号の入出力の設定を容易に行うことができる防犯システム用増設入出力装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明の防犯システム用増設入出力装置は、接続線を介して外部機器が接続される端子と、該端子に接続される外部機器に対して信号を出力する出力回路として動作するか、または前記外部機器が出力する信号を入力する入力回路として動作する入出力切替回路と、該入出力切替回路の回路動作モードを設定する設定部とを備えたことを特徴とする。
【0008】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の防犯システム用増設入出力装置において、前記入出力切替回路の出力を無電圧接点出力としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、少ない設置台数で防犯システムに必要な信号の入出力の設定を容易に行うことができ、防犯システムの導入・増改築の際のコスト削減かつ省スペース化を実現することができる。
【0010】
また、入出力切替回路からの出力を無電圧接点出力により電気的に無極性化したため、防犯システム用増設入出力装置と出力先の外部機器(設備機器または制御装置)とのアイソレーション化がなされる上、極性を気にして配線する必要が無くなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
(全体の構成)
図1は、本発明の防犯システム100を示す図である。図2は、防犯システム100に用いる防犯システム用増設入出力装置3(3a)を示す回路構成図である。また図3は、入出力切替回路12の要部回路図である。
【0012】
図1に示される本発明の防犯システム100はビルやテナントなどに設置されるものであり、1又は複数の警戒区域に設置されたドアセンサやパッシブセンサなどの各種の防犯センサ(以下、防犯機器4)と、防犯機器4と伝送線(以下、第2伝送線6)を介して接続され、各種防犯機器4を点検するとともに点検状態を表示する点検装置2と、点検装置2と伝送線(以下、第1伝送線5)を介して防犯機器4の検出信号等の防犯機器4の状態を監視制御するとともに警備センターへ通報する制御装置1から構成される。
【0013】
また、防犯システム100は、建物内の照明設備(警報灯9)やエレベータ設備機器13などの他システムの設備機器等との連動動作(移報入力および/または移報出力)を行う。このため、防犯システムは100は、制御装置1から出力された警備入力信号を入出力制御線8a−1(または8b−1)を介してを入力し、さらに出力制御線8a−2および8b−2を介して警報灯9やエレベータ設備機器(以下、他設備機器13)に警備出力信号を出力する防犯システム用増設入出力装置3(3a、3b)から構成されている。なお、防犯システム用増設入出力装置3(3a、3b)は、後述する入出力設定により警報灯9や他設備機器13からの異常信号等を受けて、自己判断もしくは点検装置2から第3伝送線7を介して送出される制御命令により、制御装置1へ移報出力することもできる。
【0014】
(防犯システム用増設入出力装置の構成)
次に、本発明の防犯システム用増設入出力装置3(3a)の構成について説明する。
図2に示されるように、防犯システム用増設入出力装置3(3a、3b、…)は、制御装置1と入出力制御線8a−1を介して接続される一組の端子からなる端子部11a−1および設備機器(警報灯9)と入出力制御線8a−2を介して接続される一組の端子からなる端子部11a−2などから複数組の端子部11a−1、・・11a−nを備えており、さらに端子部11a−1、・・11a−nを信号入力用端子部とするか出力用端子部とするかの入出力設定に応じて入力回路または出力回路として動作する入出力切替回路10a−1、10a−2、・・10a−nが各端子部に対応して設けられている。
【0015】
また、防犯システム用増設入出力装置3(3a)は、入出力切替回路10a−1等をコマンド制御により回路動作設定するとともに装置全体の各種制御を行う制御部(CPU)20と、記憶部としてのROM18およびワークエリアとしてのRAM19と、入出力切替回路10a−1等をスイッチ操作により回路動作設定する(入出力設定する)操作部14と、外部電源から電源供給を受け、所定電圧(Vcc)に変圧して回路系に供給する電源部17と、点検装置2または他の防犯システム用増設入出力装置3(3b)と伝送線(以下、第3伝送線7)を介して信号の入出力情報を送受信する送受信部16から構成される。
なお、点検装置2(中継装置)−増設入出力装置間の通信(第3伝送線7間の通信)は、長距離通信可能なシリアル通信を行っている。
【0016】
(入出力設定の設定方法と動作)
次に、図1から図3を用いて本発明の実施例における防犯システム用増設入出力装置3の入出力部12の入出力設定について説明する。
(入力設定)
操作部14には、入出力切替回路10の数に対応した汎用のディップスイッチ等が設けられており、入出力切替回路10a−1(スイッチ番号1とする(図示せず))を入力回路として動作させる場合には、番号1のスイッチをON設定にする。制御部20は、自身のpinI1をHighからLowの出力にして、入出力切替回路10a−1のTr1をON制御する。この際、LED1も点灯制御され、入力設定を示す。また、入力設定時に入力切替部IPD内においてSおよびdが短絡する。したがって、本実施例の場合、操作部14および制御部20が本発明の設定部となる。
【0017】
この入力設定状態において、端子Aおよび端子Bには入出力制御線8a−1が接続されており、その先に制御装置1が接続されているので、制御装置1の警備設定制御により制御装置1が入出力制御線8a−1をリレー制御等により接点を閉じると、入出力切替回路10a−1および入出力制御線8a−1が閉回路を形成し、フォトトランジスタPC1がONして制御部20のpinI2に信号入力する。すなわち、端子部11a−1および入出力切替回路10a−1は、制御装置1から警備入力信号を入力する。
なお、図3のD1は出力との誤配線を防止するダイオードである。また、R1は、制御装置1などの外部機器から入出力制御線8a−1に出力設定用の電圧が誤出力されても増設入出力装置3aが機器破壊されないための保護素子である。
【0018】
(出力設定)
入出力切替回路10a−1(スイッチ番号1)を出力回路として動作させる場合には、番号1のスイッチをOFF設定する。制御部20は、自身のpinI1の出力制御を行わず(Highのまま)、入出力切替回路10a−1のTr1をOFF制御する。この際、LED1も消灯しており、出力設定を示す。さらに、制御部20は、pinO1ryをON/OFF出力することにより図示しないリレー(アレイ)(すなわち、図3の接点Ry)をON/OFF制御する。
【0019】
この出力設定状態において、端子Aおよび端子Bには入出力制御線8a−1が接続されており、その先に制御装置1が接続されているので、この場合には、増設入出力装置3aのRyのON/OFF動作により、制御装置1が、入出力制御線8a−1と入出力制御線8a−1を接続した回路の開閉動作を認識し、増設入出力装置3aから制御装置1に対して移報入力があったと判断する。
【0020】
ここで、本発明の増設入出力装置3は、入出力切替回路10a−1および端子部11a−1を出力設定した場合、リレー接点Ryによる無電圧接点出力を行うので、無極性かつ増設入出力装置3aと制御装置1がアイソレーション化がなされる上、極性を気にして配線する必要が無くなる。
【0021】
なお、防犯システム用増設入出力装置3の入出力設定は、点検装置2にパソコンなどのデータ設定ツールを接続し、第3伝送線7を介してシリアル通信によりデータをロードしてもよい。この場合、制御部20が設定部となる
【0022】
また、上記実施例においては、防犯システム用増設入出力装置3aと制御装置1との入出力設定について説明したが、防犯システム用増設入出力装置3aのその他の端子部に接続される警報灯9や他設備機器13(エレベータ設備機器)などに応じて移報入力または移報出力を同様に設定することができる。
【0023】
以上のように、防犯システムに本発明の増設入出力装置3を用いることにより、一般的に点検装置2は防犯機器4および制御装置1間の情報を中継することが主要な機能であって接点出力機能を備えていないことから、多くの出力をしたい時に廉価かつ簡便にこのような問題を解消することができる。
また、点検装置2と防犯システム用増設入出力装置3はシリアル通信なので高速であり、距離も離すことも可能となり、点検装置2と防犯システム用増設入出力装置3間の配線も入出力の数だけ入出力制御線8を配線する必要がない。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明は、上記実施の形態に限定されることはなく適宜変更可能である。例えば、火災報知設備の防排煙端末用中継器としても応用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に係る防犯システム100を示す図である。
【図2】図1の防犯システムの増設入出力装置3の概略回路構成を示す図である。
【図3】図2の防犯システム用増設入出力装置3の入出力部12の概略回路図である。
【符号の説明】
【0026】
100 防犯システム
1 制御装置
2 点検装置(中継装置)
3a,3b,…,3n 増設入出力装置
4 防犯端末機器
5 第1伝送線(点検装置(中継装置)−制御装置通信用)
6 第2伝送線(防犯端末機器−点検装置(中継装置)通信用)
7 第3伝送線(点検装置(中継装置)−増設入出力装置間通信用)
8a−1,8a−2,8a−n 入出力制御線(増設入出力装置−制御装置間)
8b−1,8b−2,8b−n 入出力制御線(増設入出力装置−他設備機器間)
9 設備機器(警報灯)
10a−1、10a−2、…10a−n 入出力切替回路
11a−1、11a−2、…11a−n 端子部
12 入出力部
13 他設備機器(エレベータ設備機器)
14 操作部(設定スイッチ)
16 送受信部(第3伝送線接続用、シリアル通信)
20 制御部(CPU)
An,Bn 端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続線を介して外部機器が接続される端子と、該端子に接続される外部機器に対して信号を出力する出力回路として動作するか、または前記外部機器が出力する信号を入力する入力回路として動作する入出力切替回路と、該入出力切替回路の回路動作モードを設定する設定部とを備えたことを特徴とする防犯システム用増設入出力装置。
【請求項2】
前記入出力切替回路の出力を無電圧接点出力としたことを特徴とする請求項1に記載の防犯システム用増設入出力装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2010−16537(P2010−16537A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−173483(P2008−173483)
【出願日】平成20年7月2日(2008.7.2)
【出願人】(000111074)ニッタン株式会社 (93)
【Fターム(参考)】