説明

防犯ブザー

【課題】ベルトの着用を利用者に強いることを抑える防犯ブザーを提供する。
【解決手段】コード3に取り付けられ該コード3の通し孔へ該コード3が引き込まれることを止めるコードロック1と、前記コード3に固定されブザー音を発するブザーユニット2とを備え、さらにブザーユニット2をコードロック1に対して着脱する着脱機構を備える。そして、ブザーユニット2を駆動する駆動部を有し、該駆動部は、コード3の先端部31に係合する駆動スイッチ22を有し、ブザー音の発生条件に、コード3の先端部31と駆動スイッチ22との係合の解除を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、利用者に携帯される防犯ブザーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に記載のように、アラーム装置が備えられたベルト用のバックルが考案されている。特許文献1に記載のバックルでは、ベルト用のバックルの表面を構成するカバー部がバックル本体に対して取り外し可能に保持され、該カバー部にアラーム装置が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3097326号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ジョギング等の運動時には、通常、動きやすい服装が選択されるため、上述のようなベルトが着用されないことが少なくない。一方、アラーム装置の一つである防犯ブザーに対しては、上述したジョギング時等、ベルトが着用され難い場合であってもそれの携帯が望まれている。
【0005】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ベルトの着用を利用者に強いることを抑える防犯ブザーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について説明する。
本発明における防犯ブザーの一態様は、紐状体に取り付けられ該紐状体の通し孔へ該紐状体が引き込まれることを止める紐止部と、前記紐状体に固定されブザー音を発するブザー部と、を備える。
【0007】
上述したジョギング時に着用される衣類等、ベルトが用いられない衣類では、衣類のかたちを利用者の体形に合わせる紐状体が、衣類の通し穴に通される状態で用いられる。そして、このような紐状体には、通常、該紐状体の通し孔に該紐状体が引き込まれることを止めるコードストッパーやコードロック等の紐止部が取り付けられる。ここで、上述した態様によれば、紐状体に取り付けられる紐止部にブザー部が設けられるため、防犯ブザーが携帯されるにあたり、防犯ブザーの取り付けられたベルトの装着を利用者に別途強いることがない。
【0008】
本発明における防犯ブザーの一態様は、上述した態様において、前記ブザー部を前記紐止部に対して着脱する着脱機構を備える。
上記の態様によれば、着脱機構によってブザー部が紐止部から離される。このため、紐止部を有した衣類等が洗濯されるときにブザー部が該衣類等から離されるため、ブザー部が水に浸かることを回避することができる。
【0009】
本発明における防犯ブザーの一態様は、上述した態様の防犯ブザーにおいて、前記ブザー部を駆動する駆動部を有し、前記駆動部は、前記紐状体の先端に係合する係合部を有し、前記ブザー音の発生条件に、前記紐状体の先端と前記係合部との係合の解除を有する。
【0010】
上記の態様によれば、駆動部における係合部が紐状体の先端に係合することでブザー部の駆動が無効化される。このため、紐状体の先端が駆動部における操作部を兼ねているため、このような操作部を別部材とする態様と比べ、防犯ブザーにおける部材の点数が増えることを抑えることが可能でもある。
【0011】
本発明における防犯ブザーの一態様は、上記の態様において、前記駆動部が、前記ブザー部に対する電源の供給と遮断とを切り替える第1スイッチと、前記第1スイッチによる電源供給の有効と無効とを切り替える第2スイッチとを有し、前記第2スイッチが、前記紐状体の先端と係合する前記係合部を有し、前記紐状体の先端と前記係合部との係合で前記電源の供給を無効とし、前記紐状体の先端と前記係合部との非係合で前記電源の供給を有効とする。
【0012】
上記の態様によれば、第2スイッチの係合部が紐状体から外されることで第1スイッチによるブザー部の駆動が可能になる。一方、第2スイッチの係合部と紐状体とが係合している限りは、利用者の意図しない外力により第1スイッチが操作されても、こうした操作によりブザー部が駆動されることはない。また、紐状体が取り付けられた衣類等の洗濯時等、ブザー部が紐状体から外される場合であっても、第1スイッチが操作されない限りは、こうしたブザー部の取り外しによりブザー部が駆動されることもない。そして、紐状体の先端が第2スイッチの操作部を兼ねているため、第2スイッチを操作するための操作部を別部材とする態様と比べ、上記効果を得るために部材の点数が増えることを抑えることが可能でもある。
【0013】
本発明における防犯ブザーの一態様は、上記の態様において、前記駆動部が、前記ブザー部に対する電源の供給と遮断とを切り替える第1スイッチと、前記第1スイッチによる電源供給の有効と無効とを切り替える第2スイッチとを有し、前記第1スイッチは、前記紐状体の先端と係合する前記係合部を有し、前記紐状体の先端と前記係合部との係合で前記ブザー部に対して前記電源を遮断し、前記紐状体の先端と前記係合部との非係合で前記ブザー部に対して前記電源を供給する。
【0014】
上記の態様によれば、第2スイッチによりブザー部への電源供給が有効化され、且つ第1スイッチの係合部が紐状体から外されることによって、ブザー部が駆動される。すなわち、第1スイッチの係合部が紐状体から外されることと、第2スイッチの操作との両方が行われることでブザー部が駆動されるため、ブザー部における誤った駆動をより確実に抑えることが可能になる。一方、第2スイッチにより電源供給が無効化されている限りは、衣類の洗濯時等、第1スイッチの係合部が紐状体から取り外されても、ブザー部が駆動されることはない。そして、紐状体の先端が第1スイッチの操作部を兼ねているため、第1スイッチを操作するための操作部を別部材とする態様と比べ、上記効果を得るために部材の点数が増えることを抑えることが可能でもある。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ベルトや鞄等の装身具の装着を利用者に強いることを抑える防犯ブザーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明における防犯ブザーの第1の実施形態の断面構造を示す断面図。
【図2】本発明における防犯ブザーの第2の実施形態の断面構造を示す断面図。
【図3】本発明における防犯ブザーの第3の実施形態の断面構造を示す断面図。
【図4】本発明における防犯ブザーの第4の実施形態の断面構造を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(第1の実施形態)
以下、本発明の防犯ブザーにおける紐止部をコードロックに具体化した第1の実施形態について図1を参照して説明する。
【0018】
図1に示されるように、防犯ブザーにおける紐止部としてのコードロック1は、紐状体であるコード3が該コード3の通し孔から抜け落ちること、また該コード3の通し孔に引き込まれること、これらを防止する。コードロック1の下端部16には、ブザー部を有するブザーユニット2が着脱可能に嵌着されている。コードロック1によってロックされたコード3の先端部31は、ブザーユニット2に接続されている。
【0019】
コードロック1における有底円筒状のハウジング11には、該ハウジング11における上部の側面に、互いに向かい合う一対の挿通孔14がコード3の挿通可能な大きさで貫通している。ハウジング11において挿通孔14が形成された部分の内径は、該部分以外の他の部分よりも若干小さく形成されている。このハウジング11の内側には、該ハウジング11の内径と同径の円柱状をなすロック部材12が、該ハウジング11における上側の開口を塞ぐように内挿されている。
【0020】
ロック部材12における軸方向の長さは、同軸方向におけるハウジング11の略半分の大きさである。ロック部材12の側面のうち上記挿通孔14と互いに向い合う部位には、一対の挿通孔14と連通するロック挿通孔15がコード3の挿通可能な大きさで貫通している。このロック部材12の底面とハウジング11における内側の底面との間には、ロック部材12を上方へ付勢する付勢ばね13が挟入されている。
【0021】
こうした構成からなるコードロック1に対して、コード3は、ハウジング11における一方の挿通孔14、ロック部材12のロック挿通孔15、ハウジング11における他方の挿通孔14、この順に各孔を通過してハウジング11に挿通されている。そして、付勢ばね13の付勢力に抗した外力がロック部材12に加えられていないとき、付勢ばね13の付勢力によってロック挿通孔15の下面と一対の挿通孔14の上端とによってコード3が挟み込まれる。これにより、コードロック1に対してコード3が抜き差し不能となる、すなわちロックされる。これに対して、付勢ばね13の付勢力に抗した外力がロック部材12に加えられるとき、ロック挿通孔15の下面と一対の挿通孔14の上端との間が広げられてこれらによるコード3の挟み込みが解除される。これにより、コードロック1に対してコード3が抜き差し可能となる、すなわちロックが解除される。
【0022】
ブザーユニット2は、円柱状であって、コードロック1の下端部に装着されている。ブザーユニット2の上面には、コードロック1の下端部16と係合する一対の係合爪21が形成されている。一方、ハウジング11の下端部16には、ブザーユニット2に形成された一対の係合爪21と係合する被係合溝17が形成されている。そして、係合爪21が被係合溝17に挿入されると、被係合溝17の溝側面と係合爪21とが係合して、コードロック1に対するブザーユニット2の移動が係止される。これに対して、ブザーユニット2がコードロック1から引っ張られると、係合爪21が被係合溝17から外れ、ブザーユニット2がコードロック1から取り外される。なお、これら係合爪21と被係合溝17とによって着脱機構が構成されている。
【0023】
ブザーユニット2には、ブザー音を発するブザー部が内蔵され、該ブザー部を駆動する駆動部としての駆動スイッチ22が該ブザーユニット2の下端に搭載されている。この駆動スイッチ22には、コード3の先端部31に取り付けられたピン32と係合する係合部が凹設されている。そして、駆動スイッチ22の係合部からピン32が抜き出されると、駆動スイッチ22がオン状態となり、ブザー部がブザー音を発する。これに対して、駆動スイッチ22の係合部にピン32が挿着されると、駆動スイッチ22がオフ状態となり、ブザー部がブザー音を停止させる。
【0024】
次に、上記構成からなる防犯ブザーの作用について図1を参照して説明する。
図1に示されるように、コードロック1は、ロック部材12が上部から押されることでコード3に対するロックが解除され、コード3の長さを調節可能となる。そして、ロック部材12に対する押し操作を解除すると、付勢ばね13の付勢力によってロック部材12がハウジング11の上端側へ付勢されて、コード3がロックされる。
【0025】
緊急時等に防犯ブザーが使用される際には、コード3の先端部31が駆動スイッチ22から引っ張られることによって、ピン32が駆動スイッチ22から外れ、駆動スイッチ22がオン状態となる。これにより、ブザー部がブザー音を発する。そして、ブザー音が不要になった際には、ピン32が駆動スイッチ22に挿着されることによって、駆動スイッチ22がオフ状態になる。これにより、ブザー部にてブザー音が停止される。
【0026】
ここで、上述したジョギング時に着用される衣類等、ベルトが用いられない衣類では、衣類のかたちを利用者の体形に合わせる上述のようなコード3が、衣類の通し穴に通される状態で用いられる。そして、このようなコード3には、通常、該コード3の通し孔に該コード3が引き込まれることを止めるため、上述のようなコードロック1が取り付けられる。この際、上述のような防犯ブザーであれば、コードロック1の下端部16にブザーユニット2が嵌着され、コード3の先端部31に取り付けられたピン32がブザーユニット2の駆動スイッチ22から外れることでブザー音が発せられる。そのため、服装の一部であるコード3を止めるコードロック1とともにブザーユニット2が携帯されることになるため、防犯ブザーの取り付けられたベルトを別途装着すること、さらには防犯ブザーを別途ぶら下げること、これらを利用者に強いることがない。
【0027】
以上、上述した第1の実施形態によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)コード3を止めるコードロック1にブザーユニット2が固定されるため、防犯ブザーの携帯に際し、防犯ブザーの取り付けられたベルトの装着を利用者に強いることがない。
【0028】
(2)係合爪21と被係合溝17との係合及び非係合によって、コードロック1に対しブザーユニット2が着脱可能になる。このため、コードロック1が設けられた鞄やバックパック等の装身具や衣類等が洗濯されるときに、ブザーユニット2がコードロック1から取り外されることで、防犯ブザーの浸水を抑えることが可能にもなる。
【0029】
(3)コード3の先端部31に取り付けられたピン32が駆動スイッチ22に挿着されることでブザー音が停止され、このピン32が駆動スイッチ22から外されることでブザー音が発せられる。このため、コード3の操作という簡単な操作でブザー音を発せさせることが可能にもなる。また、コード3の先端部31が駆動スイッチ22における操作部を兼ねているため、このような操作部を別部材とする態様と比べ、防犯ブザーにおける部材の点数が増えることを抑えることが可能でもある。
【0030】
(第2の実施形態)
以下、本発明の防犯ブザーをコードロックに具体化した第2の実施形態について、図2を参照して説明する。第2の実施形態の防犯ブザーは、コードロックからブザーユニットが取り外されることでブザー音が発せられる点、コードロックからのブザーユニットの取り外しとブザーユニットにおけるスイッチの操作とを条件にブザー音が発せられる点が、上記第1の実施形態と異なっている。以下、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。なお、第2の実施形態のコードロックは、図1に示す第1の実施形態のコードロックとほぼ同様の構成を備えている。
【0031】
図2に示されるように、ブザーユニット2には、ブザー部に対する電源の供給と遮断とを切り替える第1スイッチ22aが上端側に設けられている。一方、ハウジング11の下端部16には、第1スイッチ22aが有する係合部と互いに向い合う位置にピン18が突設されている。そして、ブザーユニット2がハウジング11に取り付けられた状態では、第1スイッチ22aの係合部にピン18が挿着されている。
【0032】
ブザーユニット2の側面には、第1スイッチ22aによる電源供給の有効と無効とを切り替える第2スイッチ22bが設けられている。ブザーユニット2では、第2スイッチ22bが一度押されると、第1スイッチ22aによる電源供給が有効化され、該第2スイッチ22bが再度押されると、第1スイッチ22aによる電源供給が無効化される。そして、ブザーユニット2では、第2スイッチ22bが押される度に、第1スイッチ22aによる電源供給の有効化と無効化とが繰り返される。
【0033】
上述した構成からなる防犯ブザーでは、ブザー音が発せられる発生条件として下記2つの条件が共に成立することによりブザー音が発せられる。
[第1発生条件]第1スイッチ22aの係合部からピン18が外されること。
[第2発生条件]第2スイッチ22bの押下により電源供給が有効化されること。
【0034】
また、同防犯ブザーでは、ブザー音が停止する停止条件として下記2つの条件のいずれか一方が成立することによりブザー音が停止する。
[第1停止条件]第1スイッチ22aの係合部にピン18が挿着されること。
[第2停止条件]第2スイッチ22bの押下により電源供給が無効化されること。
【0035】
次に、上記構成からなる防犯ブザーの作用について図2を参照して説明する。
図2に示されるように、緊急時等に防犯ブザーが使用される際には、まず、ブザーユニット2がコードロック1から取り外され、これによりブザーユニット2の上端側に設けられた第1スイッチ22aからピン18が離脱する。次いで、上記第1発生条件が満たされた状態から第2スイッチ22bが押下されることで、第1スイッチ22aの電源供給が有効化される。これにより、上記第1発生条件及び第2発生条件の双方が満たされてブザー音が発せられる。一方、ブザー音が不要になった際には、ブザーユニット2がコードロック1に装着されて第1停止条件が満たされるか、または第2スイッチ22bが再度押下されて第2停止条件が満たされることで、ブザー部への電源供給が遮断されてブザー音が停止される。
【0036】
なお、コードロック1が設けられた鞄やバックパック等の装身具や衣類等が洗濯されるときには、ブザーユニット2がコードロック1から取り外されることで、ブザー部の浸水が抑えられる。このとき、ブザーユニット2がコードロック1から取り外されたとしても、第2スイッチ22bが押下されなければブザー音が発せられない。そのため、ブザー音が不要に発せられることを抑えつつ、ブザーユニット2をコードロック1から取り外すことが可能になる。
【0037】
以上、説明した実施形態によれば、第1の実施形態の(1)及び(2)の効果に加え、以下の効果を奏することができる。
(4)ブザー部に対する電源の供給と遮断とが、第1スイッチ22aの係合部にピン18が挿着されるか否かによって切り替えられ、且つ第1スイッチ22aによる電源供給の有効と無効とが、第2スイッチ22bの押下によって切り替えられる。そのため、第1スイッチ22aの係合部からピン18が外れたとしても、第2スイッチ22bの押下によって電源供給が有効化されない限り、ブザー音が発せられることはない。
【0038】
例えば、ブザーユニット2がコードロック1から誤って取り外されたり、コードロック1が設けられた衣類や鞄やバックパック等の装身具が洗濯されるときにブザーユニット2がコードロック1から取り外されたりしても、ブザー音が発せられることはない。そのため、利用者の意図しないタイミングでブザー音が発せられることを抑えることが可能になる。
【0039】
(5)一方、第2スイッチ22bの押下により電源供給が有効化された状態であれば、第1スイッチ22aの係合部からピン18が外されるだけで、ブザー音を発せさせることが可能になる。あるいは、第1スイッチ22aの係合部からピン18が外された状態から第2スイッチ22bが押下されるだけで、ブザー音を発せさせることが可能になる。そのため、ブザー音を発生させるための操作が複雑になることを抑えつつ、上記(4)に記載の効果を得ることが可能でもある。
【0040】
(第3の実施形態)
以下、本発明の防犯ブザーにおける紐止部をコードストッパーに具体化した第3の実施形態について、図3を参照して説明する。第3の実施形態の防犯ブザーは、コードロックに代えてコードストッパーに防犯ブザーが設けられている点が上記第1の実施形態と異なっている。以下、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0041】
図3に示されるように、防犯ブザーにおける紐止部としてのコードストッパー4は、紐状体であるコード7が該コード7の通し孔から抜け落ちること、また該コード7の通し孔に引き込まれること、これらを防止する。コードストッパー4の下端部41には、ブザー部を有するブザーユニット6が着脱可能に嵌着されている。コードストッパー4が先端に取着されたコード7の先端部71は、ブザーユニット6に接続されている。
【0042】
コードストッパー4におけるハウジング42は、コード7が挿入される上端から下端に向けて内径が小さくなる上下両端部が開口した円筒状をなしている。このハウジング42の内部には、コード7が抜けることを係止するコード係止部材51が挿着されている。
【0043】
コード係止部材51は、ハウジング42の下端開口に装着される円柱状の基部52を有している。この基部52における上面の中央には、ばね状の緩衝部53を介してU字状の挿入部54が連結され、また、基部52における上面の外周部には、該ハウジング42の下端内壁に形成された第1被係合溝43と係合する左右一対の第1係合爪55が突設されている。挿入部54の先端部には、ハウジング42の上端内壁に形成された第2被係合溝44と係合する第2係合爪57が設けられている。また、挿入部54の内壁には、該挿入部54の内側に向けて係止突起58が突設されている。そして、挿入部54がハウジング42内に挿入される際、挿入部54の外形は、ハウジング42の内壁の形状に従ってその内側へ湾曲し、これに伴い、係止突起58がコード7に噛み込む。こうした係止突起58の噛み込みによって、コード7が抜け止めされる。コードストッパー4に挿入されたコード7の先端部71は、基部52に形成された挿通孔からブザーユニット6側に露出している。
【0044】
基部52における下面の中央には、ブザーユニット6に形成された一対のユニット係合爪61と係合するユニット被係合溝56が凹設されている。
ブザーユニット6は、円柱状であって、コードストッパー4の下端部に装着されている。ブザーユニット6の上面には、上記ユニット被係合溝56と係合する一対のユニット係合爪61が形成されている。そして、ユニット係合爪61がユニット被係合溝56に挿入されると、ユニット係合爪61とユニット被係合溝56とが係合して、ブザーユニット6がコードストッパー4に装着される。一方、ブザーユニット6がコードストッパー4から引っ張られると、ユニット係合爪61とユニット被係合溝56との係合が解除され、ブザーユニット6がコードストッパー4から取り外される。なお、ユニット係合爪61とユニット被係合溝56とが、着脱手段を構成する。
【0045】
ブザーユニット6には、ブザー音を発するブザー部が内蔵され、該ブザー部を駆動する駆動部としての駆動スイッチ62が該ブザーユニット6の上端側に設けられている。この駆動スイッチ62には、コード7の先端部71に取り付けられたピン72と係合する係合部が凹設されている。そして、駆動スイッチ62の係合部からピン72が抜き出されると、駆動スイッチ62がオン状態となり、ブザー部がブザー音を発する。これに対して、駆動スイッチ62の係合部にピン72が挿着されると、駆動スイッチ62がオフ状態となり、ブザー部がブザー音を停止させる。
【0046】
次に、上記構成からなる防犯ブザーの作用について図3を参照して説明する。
図3に示されるように、緊急時等に防犯ブザーが使用される際には、ブザーユニット6がコードストッパー4から取り外されることによって、ピン72が駆動スイッチ62から外れ、駆動スイッチ62オン状態になる。これにより、ブザー部がブザー音を発する。そして、ブザー音の鳴動が不要になった際には、ピン72が駆動スイッチ62に挿着されることによって、駆動スイッチ62がオフ状態になる。これにより、ブザー部にてブザー音が停止される。
【0047】
ここで、上記第1の実施形態と同じく、上述したジョギング時に着用される衣類等、ベルトが用いられない衣類では、衣類のかたちを利用者の体形に合わせる上述のようなコード7が、衣類の通し穴に通される状態で用いられる。そして、このようなコード7には、通常、該コード7の通し孔に該コード7が引き込まれることを止めるため、上述のようなコードストッパー4が取り付けられる。この際、上述のような防犯ブザーであれば、コードストッパー4の基部52にブザーユニット6が嵌着され、コード7の先端部71に取り付けられたピン72がブザーユニット6の駆動スイッチ62から外れることでブザー音が発せられる。そのため、服装の一部であるコード7を止めるコードストッパー4とともにブザーユニット2が携帯されることになるため、防犯ブザーの取り付けられたベルトを別途装着すること、さらには防犯ブザーを別途ぶら下げること、これらを利用者に強いることがない。
【0048】
以上、上述した第3の実施形態によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)コード7を止めるコードストッパー4にブザーユニット6が固定されるため、防犯ブザーの携帯に際し、防犯ブザーの取り付けられたベルトの装着を利用者に強いることがない。
【0049】
(2)ユニット係合爪61とユニット被係合溝56との係合及び非係合によって、コードストッパー4に対しブザーユニット6が着脱可能になる。このため、コードストッパー4が設けられた鞄やバックパック等の装身具や衣類等が洗濯されるときに、ブザーユニット6がコードストッパー4から取り外されることで、防犯ブザーの浸水を抑えることが可能にもなる。
【0050】
(3)コード7の先端部71に取り付けられたピン72が駆動スイッチ62に挿着されることでブザー音が停止され、このピン72が駆動スイッチ62から外されることでブザー音が発せられる。このため、ブザーユニット6を介したコード7の操作という簡単な操作でブザー音を発せさせることが可能にもなる。また、コード7の先端部71が駆動スイッチ62における操作部を兼ねているため、このような操作部を別部材とする態様と比べ、防犯ブザーにおける部材の点数が増えることを抑えることが可能でもある。
【0051】
(第4の実施形態)
以下、本発明の防犯ブザーをコードストッパーに具体化した第4の実施形態について、図4を参照して説明する。第4の実施形態の防犯ブザーは、コードストッパーからのブザーユニットが取り外されることでブザー音が発せられる点、コードストッパーからのブザーユニットの取り外しとブザーユニットにおけるスイッチの操作とを条件にブザー音が発せられる点が、上記第3の実施形態と異なっている。以下、第3の実施形態との相違点を中心に説明する。なお、第4の実施形態の防犯ブザーは、図3に示す第3の実施形態の防犯ブザーとほぼ同様の構成を備えている。
【0052】
図4に示されるように、ブザーユニット6には、ブザー部に対する電源の供給と遮断とを切り替える第1スイッチ62aが上端側に設けられている。一方、ハウジング42の下端部41には、第1スイッチ62aが有する係合部と互いに向い合う位置にピン72が突設されている。そして、ブザーユニット6がハウジング42に取り付けられた状態では、第1スイッチ62aの係合部にピン72が挿着されている。
【0053】
ブザーユニット6の側面には、第1スイッチ62aによる電源供給の有効と無効とを切り替える第2スイッチ62bが設けられている。ブザーユニット6では、第2スイッチ62bが一度押されると、第1スイッチ62aによる電源供給が有効化され、該第2スイッチ62bが再度押されると、第1スイッチ62aによる電源供給が無効化される。そして、ブザーユニット6では、第2スイッチ62bが押される度に、第1スイッチ62aによる電源供給の有効化と無効化とが繰り返される。
【0054】
上述した構成からなる防犯ブザーでは、第2の実施形態と同様に、ブザー音が発せられる発生条件として下記2つの条件が共に成立することによりブザー音が発せられる。
[第3発生条件]第1スイッチ62aの係合部からピン72が外されること。
[第4発生条件]第2スイッチ62bの押下により電源供給が有効化されること。
【0055】
また、同防犯ブザーでは、第2の実施形態と同様に、ブザー音が停止する停止条件として下記2つの条件のいずれか一方が成立することによりブザー音が停止する。
[第3停止条件]第1スイッチ62aの係合部にピン72が挿着されること。
[第4停止条件]第2スイッチ62bの押下により電源供給が無効化されること。
【0056】
次に、上記構成からなる防犯ブザーの作用について図4を参照して説明する。
図4に示されるように、緊急時等に防犯ブザーが使用される際には、まず、ブザーユニット6がコードストッパー4から取り外され、これによりブザーユニット6の上端側に設けられた第1スイッチ62aからピン72が離脱する。次いで、上記第3発生条件が満たされた状態から第2スイッチ22bが押下されることで、第1スイッチ62aの電源供給が有効化される。これにより、上記第3発生条件及び第4発生条件の双方が満たされてブザー音が発せられる。一方、ブザー音の鳴動が不要になった際には、ブザーユニット6がコードストッパー4に装着されて第3停止条件が満たされるか、または第2スイッチ62bが再度押下されて第4停止条件が満たされることで、ブザー部への電源供給が遮断されてブザー音が停止される。
【0057】
なお、コードストッパー4が設けられた鞄やバックパック等の装身具や衣類等を洗濯されるときには、ブザーユニット6がコードストッパー4から取り外されることで、ブザー部の浸水が抑えられる。このとき、ブザーユニット6がコードストッパー4から取り外したとしても、第2スイッチ22bが押下されなければブザー音が発せられない。そのため、ブザー音が不要に発せられることを抑えつつ、ブザーユニット2をコードストッパー4から取り外すことが可能になる。
【0058】
以上、説明した実施形態によれば、第3の実施形態の(1)及び(2)の効果に加え、以下の効果を奏することができる。
(4)ブザー部に対する電源の供給と遮断とが、第1スイッチ62aの係合部にピン72が挿着されるか否かによって切り替えられ、且つ第1スイッチ62aによる電源供給の有効と無効とが、第2スイッチ62bの押下によって切り替えられる。そのため、第1スイッチ62aの係合部からピン72が外れたとしても、第2スイッチ62bの押下によって電源供給が有効化されない限り、ブザー音が発せられることはない。そのため、利用者の意図しないタイミングでブザー音が発せられることを抑えることが可能になる。
【0059】
(5)一方、第2スイッチ62bの押下により電源供給が有効化された状態であれば、第1スイッチ62aの係合部からピン72が外されるだけで、ブザー音を発せさせることが可能になる。あるいは、第1スイッチ62aの係合部からピン72が外された状態から第2スイッチ62bが押下されるだけで、ブザー音を発せさせることが可能になる。そのため、ブザー音を発生させるための操作が複雑になることを抑えつつ、上記(4)に記載の効果を得ることが可能でもある。
【0060】
なお、上記実施形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実施することができる。
・上記実施形態では、着脱機構の一例として、係合爪21,61と被係合溝17,56とからなる嵌着機構を説明したが、着脱機構は、螺子式や磁石等、ブザー部を紐止部に対して着脱可能にする機構であればよい。
【0061】
・上記実施形態では、ブザーユニット2,6が紐止部に対して着脱可能に構成されているが、こうした着脱機構が省略される構成であってもよい。すなわち、防犯ブザーは、ブザーユニット2,6の着脱をブザー音の発生条件及び停止条件として有しない構成であってもよい。例えば、防犯ブザーは、駆動スイッチ22,62の状態や第2スイッチ22b,62bの状態のみをブザー音の発生条件及び停止条件とする構成であってもよい。
【0062】
・上記第1,3の実施形態では、駆動スイッチ22,62の操作のみによってブザー音が発せられる。しかしながら、防犯ブザーは、こうした駆動スイッチ22,62の操作に加え、第2,4の実施形態における第2スイッチ22b,62bの操作が発生条件となる構成であってもよい。
【0063】
・上記第2,4の実施形態では、第1スイッチ22a,62aの操作と第2スイッチ22b,62bの操作とが発生条件及び停止条件である。しかしながら、第1スイッチ22a,62aの操作のみ、あるいは第2スイッチ22b,62bの操作のみが発生条件及び停止条件となる構成であってもよい。
【0064】
・上記第2,4の実施形態における第2スイッチ22b,62bは、第1,3の実施形態における駆動スイッチ22,62と同じく、コード3,7の先端部が係合する係合部を有し、該先端部と係合部とが係合しているか否かによってオン状態とオフ状態とを切り替えるスイッチであってもよい。
【0065】
・上記第2,4の実施形態における防犯ブザーは、第2スイッチ22b,62bによりブザー部に対する電源の供給と遮断とを切り替え、且つ、第1スイッチ22a,62aにより第2スイッチ22b,62bによる電源供給の有効と無効とを切り替える構成であってもよい。
【0066】
・上記実施形態の防犯ブザーは、第2スイッチ22b,62bが押下される度に電源供給の有効と無効とが切り替るが、第2スイッチ22b,62bが押下される期間のみ、電源供給が有効になる構成であってもよい。
【符号の説明】
【0067】
1…コードロック、2…ブザーユニット、3…コード、4…コードストッパー、6…ブザーユニット、7…コード、11…ハウジング、12…ロック部材、13…付勢ばね、14…挿通孔、15…ロック挿通孔、16…下端部、17…被係合溝、18…ピン、21…係合爪、22…駆動スイッチ、22a…第1スイッチ、22b…第2スイッチ、31…先端部、32…ピン、41…下端部、42…ハウジング、43…第1被係合溝、44…第2被係合溝、51…コード係止部材、52…基部、53…緩衝部、54…挿入部、55…第1係合爪、56…ユニット被係合溝、57…第2係合爪、58…係止突起、61…ユニット係合爪、62…駆動スイッチ、62a…第1スイッチ、62b…第2スイッチ、71…先端部、72…ピン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紐状体に取り付けられ該紐状体の通し孔へ該紐状体が引き込まれることを止める紐止部と、
前記紐状体に固定されブザー音を発するブザー部と、を備える
ことを特徴とする防犯ブザー。
【請求項2】
請求項1に記載の防犯ブザーにおいて、
前記ブザー部を前記紐止部に対して着脱する着脱機構を備える
ことを特徴とする防犯ブザー。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の防犯ブザーにおいて、
前記ブザー部を駆動する駆動部を有し、
前記駆動部は、
前記紐状体の先端に係合する係合部を有し、
前記ブザー音の発生条件に、前記紐状体の先端と前記係合部との係合の解除を有する
ことを特徴とする防犯ブザー。
【請求項4】
請求項3に記載の防犯ブザーにおいて、
前記駆動部は、
前記ブザー部に対する電源の供給と遮断とを切り替える第1スイッチと、
前記第1スイッチによる電源供給の有効と無効とを切り替える第2スイッチとを有し、
前記第2スイッチは、
前記紐状体の先端と係合する前記係合部を有し、
前記紐状体の先端と前記係合部との係合で前記電源の供給を無効とし、
前記紐状体の先端と前記係合部との非係合で前記電源の供給を有効とする
ことを特徴とする防犯ブザー。
【請求項5】
請求項3に記載の防犯ブザーにおいて、
前記駆動部は、
前記ブザー部に対する電源の供給と遮断とを切り替える第1スイッチと、
前記第1スイッチによる電源供給の有効と無効とを切り替える第2スイッチとを有し、
前記第1スイッチは、
前記紐状体の先端と係合する前記係合部を有し、
前記紐状体の先端と前記係合部との係合で前記ブザー部に対して前記電源を遮断し、
前記紐状体の先端と前記係合部との非係合で前記ブザー部に対して前記電源を供給する
ことを特徴とする防犯ブザー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−77199(P2013−77199A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−217260(P2011−217260)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000135209)株式会社ニフコ (972)
【Fターム(参考)】