説明

防犯機能付きインターホンシステム

【課題】 インターホン装置の録画機能を有効に活用し、煩雑な配線をすることなく建物の周囲、駐車中の車両、エレベータ内などを監視可能とする。
【解決手段】 インターホン親機2とインタホン子機3との相互間で通話を可能とし、インターホン親機2が、カメラユニット4で撮影した映像を記録する録画機能を有しているインターホン装置1に、センサ7が接続された通信子機6から送出された無線信号を受信する通信親機5を接続し、センサ7の異常検知信号でカメラユニット4を動作させ、そのカメラユニット4で撮影した映像をインターホン親機2にて録画可能とする。センサ7は通信子機6と共に、屋内、屋外、駐車中の車両内など、監視が必要な場所に設置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は防犯機能を備えたインターホン装置に係り、特に、インターホン装置に組み付ける防犯用のセンサやそのセンサに連動するカメラの移設、台数の追加等の作業を容易とする防犯機能付きインターホンシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、屋外、或いは屋内の駐車場、エレベータ内など、監視が必要な場所に監視カメラを設置し、その監視カメラで撮影した映像を、管理室や各居室においてモニタする防犯システムが知られている。
又、例えば特許文献1に記載のように、センサが異常を検知すると、カメラが自動的に動作する防犯機能付きインターホン装置や、特許文献2に記載のように、ワイヤレス発信機のセンサが異常を検知すると、ワイヤレス受信機で所定の報知手段が動作するワイヤレス式インターホン装置が提案されている。
【0003】
特許文献1に記載の防犯機能付きインターホン装置は、通信線で接続されたセンサの異常信号で、玄関子機のカメラを動作させ、カメラで撮影した映像をモニタ、及び録画可能としている。
特許文献2に記載のワイヤレス式インターホン装置は、異なる機能を有した複数のワイヤレス発信器から発信される信号を受け、個々の機能に対応した報知手段を動作させるもので、それらの機能の一つとしてセンサが含まれている。
【0004】
【特許文献1】特開2003−346259号公報
【特許文献2】特開平11−161858号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の防犯機能付きインターホン装置では、センサを通信線で接続するための配線が必要であるばかりか、監視エリアが玄関子機のカメラで撮影可能な範囲に限られてしまい、カメラの視野から外れた例えば車庫や駐車場に止めてある車両の監視は、別途車両専用の防犯装置を設置しなくてはならない。
又、特許文献2に記載のワイヤレス式インターホン装置は、配線不要であるものの、玄関に設置した呼び出しボタンから、浴室、更にはダイニングのテーブルに設置した呼び出しボタン、天井や壁面に設置したセンサに至るまで、分散配置した呼び出しボタンやセンサ毎に専用の発信器が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、車両を含む監視エリアの拡大に有効な防犯機能付きインターホンシステムであって、その構成は、異常検知用のセンサが接続された通信子機と、カメラユニットが接続され、そのカメラユニットで撮影した映像を記録可能な機能を有するインタホン装置に接続された通信親機との相互間において、通信子機は、少なくともセンサが異常検知したときカメラユニットを動作をさせるための検知信号を通信親機に無線手段にて自動送信可能とし、通信親機及びインターホン装置は、少なくとも検知信号を送受信するための外部出力I/F、外部入力I/Fをそれぞれ備えたことにある。
【0007】
そして通信子機には、一基の通信子機に対して複数のセンサを接続するようにしたり、カメラユニットをインターホン装置のインターホン子機に組み込んだものとしたり、通信子機に報知手段を接続すると共に、通信親機から通信子機へ報知手段作動用の信号を送出可能としたり、通信親機に備えた外部出力I/Fから送出された信号を、インターホン装置のインターホン親機に備えた外部入力I/Fで受け、インターホン親機にてカメラユニットの動作するようにしたり、通信親機に備えた外部出力I/Fから送出された信号を、カメラユニットに備えた外部入力I/Fで受け、カメラユニットにてインターホン装置の動作を制御するようにもできる。
【0008】
又、通信子機に、接続されているセンサに対応して動作させるカメラユニットを指定するカメラ選択機能を設けたり、通信親機に、通信子機と接続されているセンサに対応して動作させるカメラユニットを指定するカメラ選択機能を設けることができる。
【0009】
更に、通信親機は、第1の場合として受信感度検出部を有し、受信感度検出部にて受信された受信感度が所定の閾値外となった場合、或いは、第2の場合として受信した電波を復調する復調部と、復調部で復調した信号が指定したものか否かを判別する信号判別部とを備え、信号判別部で判別した信号が指定外であった場合に、カメラユニットを動作させるようにすることができる。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によれば、センサが接続された通信子機は、カメラユニットを動作させるための検知信号を通信親機に無線手段にて自動送信することが可能であると共に、通信親機と録画機能付きインターホン装置に、検知信号を送受信するための外部出力I/F、外部入力I/Fをそれぞれ備えているので、センサが異常を検知すれば、検知信号が無線手段にてインターホン装置に伝達され、その信号に基づいてカメラユニットで撮影された映像が記録される。
而も無線手段を利用しているので、配線が不要で、伝送線の切断による妨害の虞れはない。
【0011】
請求項2の発明によれば、通信子機は、その通信子機に接続された複数のセンサの検知信号を一括管理し、そのうちの1つのセンサが異常検知すれば、即座に信号を自動送信するので、一基の通信子機に接続した複数のセンサを広範囲に分散して設置することで、防犯エリアの拡大を図ることができる。
又、請求項3の発明によれば、インターホン子機に組み込まれたカメラを監視用として利用できるので、玄関先の監視エリア用カメラユニットが不要となり、低コストにてシステムを構築できる。
更に請求項4の発明によれば、通信子機に報知手段を備えることで、検知信号の送信と同時に、或いは映像内に不審者を確認したら、通信親機から信号を送信して報知手段を動作させることによって、不審者を撃退することができる。
【0012】
請求項5の発明によれば、検知信号を受けたインターホン親機にてカメラユニットの動作を制御できるので、ズームアップやアングルの変更等で詳細な状況把握が可能となり、請求項6の発明によれば、カメラユニットはセンサを見渡せる位置に設置されるので、そのカメラユニットに接続される通信親機とセンサに接続される通信子機との距離が近くなって、良好な受信状態を維持することができる。
又、請求項7の発明によれば、通信子機にカメラ選択機能を設けたので、個々のセンサに対応して動作させるカメラユニットを指定してセンサの設置された場所を確実に撮影することが可能となり、不審者が移動しても、新たな検知信号に追従してカメラユニットの動作を切り換え、ベストポジションにて撮影した映像を録画することができる。
更に、請求項8の発明によれば、通信親機にカメラ選択機能を設けたので、個々のカメラユニット毎に専用の通信親機を接続せずとも、一基の通信親機のみで効率良く複数のカメラユニットを動作させることができる。
【0013】
請求項9の発明によれば、通信親機が、受信感度が所定の閾値外になった場合、カメラユニットを動作させるようにすれば、映し出された映像から、電波干渉を故意に起こして防犯機能を無力化するような異常事態をすぐに確認することが可能となり、早急に適切な処置に移ることができる。
又、請求項10の発明も、請求項9と同様に、異常事態か否かの判断が可能となり、映像から何の異常も確認されなければ、電波干渉や電池切れ等の原因が考えられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明に係る防犯機能付きインターホンシステムを図面に基づいて説明する。
図1はもっともシンプルな実施例を示したもので、1は、屋内に設置したインターホン親機2と、玄関などに設置されたインターホン子機3との相互間で対話を可能とするインターホン装置であり、このインターホン装置1には、屋外の様子を撮影するカメラユニット4が接続されている。
そしてインターホン親機2には、カメラユニット4で撮影された映像を録画する録画機能が搭載されている。
【0015】
7は、屋外に設置され、不審者の侵入の異常を検知するセンサであって、このセンサ7には、センサ7の検知信号を無線手段にて送出する通信子機6が接続されており、通信子機6から送出された信号が、屋内に設置された通信親機5にて受信されるようになっている。
又、通信親機5は外部出力I/F5aを、インターホン親機2は外部入力I/F2aをそれぞれ備えており、通信親機5の外部出力I/F5aから送出された例えばリレーメイク信号などを、インターホン親機2の外部入力I/F2aで受信するようになっている。
【0016】
インターホン親機2には、外部入力I/F2aにてリレーメイク信号などを受信すると、カメラユニット4に対してカメラ動作信号を送出し、カメラユニット4からの映像信号を一定時間録画するプログラムが組み込まれている。
【0017】
このように構成されたインターホンシステムによれば、カメラユニットをセンサの検知エリアに向けてセットしておけば、センサにより検知された不審者等の映像が自動的に録画されるので、犯罪者にとっては動かぬ証拠となるし、訪問者の記録、家族の行動を監視するなど、多彩な利用範囲が広がる。
【0018】
この実施例では、1つのセンサと1台のカメラユニットとの組み合わせを説明したが、カメラユニットの視界内に複数のセンサを配置し、それらの複数のセンサを一基の通信子機に接続することにより、いずれか一つのセンサが検知すればカメラが動作するようにできるので、通信子機一基のみで広い検知エリア総てをカバーすることが可能となるし、センサに、赤外線、振動、温度等、異なる検知対象のセンサを接続すれば、不審者の侵入のみならず、車両の盗難、不審火の発見等にも適用できる。
【0019】
又、インターホン子機がカメラを備えているインターホン装置にあっては、カメラユニットとして、インターホン子機のカメラを利用するようにしても差し支えなく、玄関先を監視するセンサに通信子機を接続するだけで、玄関先を常に監視体勢にしておくことができる。
更に、通信子機にはブザーなどの報知手段を備えることができ、センサの異常検知信号を送信する際に、警報音を報知させることによって不審者を撃退させたり、センサが異常を検知したら、検知信号を送信してカメラユニットを動作させて映像を録画し、その録画中、或いは録画が終了しても立ち去らない場合、通信親機から信号を送信して報知手段を動作させることによって、退去を促すことができる。
【0020】
この実施例は、通信親機に備えた外部出力I/Fから送出された信号を、インターホン装置のインターホン親機に備えた外部入力I/Fで受け、インターホン親機にてカメラユニットの動作を制御するようになっているので、ズームアップやアングルを変更することにより、居ながらにして屋外の状況を把握することができるメリットがあるが、図2に示すように、通信親機5に備えた外部出力I/F5aから送出された信号を、カメラユニット4に備えた外部入力I/F4aで受け、カメラユニット4にてインターホン装置の動作を制御するようすれば、カメラユニットに接続される通信親機から、センサに接続される通信子機までの電波到達距離が短くなり、通信障害が起こりにくい。
【0021】
又、複数のセンサやカメラユニットが利用される形態においては、何れか1つのセンサが反応する度に総てのカメラユニットが一斉に動作し、不必要な画像までもを撮影していては混乱を招くので、センサ毎にそのセンサに対応するカメラユニットを指定することが望ましい。
その場合、同一場所を異なる角度から複数のカメラユニットで撮影することも考えられるので、マルチ表示可能なモニタや複数画像を同時録画する機能をインターホン親機に設けることもできる。
指定するカメラユニットを選択するカメラ選択機能は、通信子機、或いは通信親機に設けることができ、カメラ選択機能を通信子機に設ければ、センサとの距離が近く、通信不良の虞れがないので、センサが設置された場所を確実に撮影し、不審者が移動しても、別のセンサが検知する都度、検知信号に追従してカメラユニットの動作を切り換え、ベストポジションにて撮影した映像を録画することが可能となるし、カメラ選択機能をインターホン親機に設ければ、複数のカメラユニットを利用する場合でも、カメラユニット毎に専用の通信親機を接続する必要がなく、一基の通信親機にて賄うことができる。
【0022】
更に、通信親機には、第1の場合として受信感度検出部を設け、受信感度検出部にて受信された受信感度が所定の閾値外となった場合、第2の場合としてカメラユニットを動作させるプログラムや、受信した電波を復調する復調部と、復調部で復調した信号が指定したものか否かを判別する信号判別部とを設け、信号判別部で判別した信号が指定外であった場合、カメラユニットを動作させるプログラムを組み込むことができる。
【0023】
そのようなプログラムを組み込むことによって、録画映像を確認することが可能となり、電波干渉や電池切れ等の回線異常が原因なのか、不審者が通信子機やセンサを妨害しようとした異常事態であるのかの明確な判断ができる。
監視エリアは屋外に限らず屋内の駐車場、階段の踊り場やエレベータ内などが含まれ、センサやカメラユニットはそれらの監視エリアに設置される。
【0024】
尚、本発明において、通信子機と通信親機間は少なくとも通信子機側から通信親機側への通信が可能であることが最低条件であって、通信子機に報知手段等が接続された例では、通信親機と通信子機間を送受信可能とする。
又、外部出力I/Fから外部入力I/Fへ送られる信号は、リレーメイク信号に限られず、又外部出力I/Fと外部入力I/Fとは、USB等のシリアル通信による接続とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に係る防犯機能付きインターホンシステムの説明図である。
【図2】防犯機能付きインターホンシステム変更例の説明図である。
【符号の説明】
【0026】
1・・インターホン装置、2・・インターホン親機、2a・・外部入力I/F、3・・インターホン子機、4・・カメラユニット、4a・・外部入力I/F、5・・通信親機、5a・・外部出力I/F、6・・通信子機、7・・センサ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
異常検知用のセンサが接続された通信子機と、カメラユニットが接続され、そのカメラユニットで撮影した映像を記録可能な機能を有するインターホン装置に接続された通信親機との相互間において、
前記通信子機は、少なくとも前記センサが異常検知したとき前記カメラユニットを動作させるための検知信号を通信親機に無線手段にて自動送信可能とし、
前記通信親機及び前記インターホン装置は、少なくとも前記検知信号を送受信するための外部出力I/F、外部入力I/Fをそれぞれ備えたことを特徴とする防犯機能付きインターホンシステム。
【請求項2】
前記通信子機には、一基の通信子機に対して複数のセンサが接続される請求項1に記載の防犯機能付きインターホンシステム。
【請求項3】
カメラユニットがインターホン装置のインターホン子機に組み込まれている請求項1又は2に記載の防犯機能付きインターホンシステム。
【請求項4】
前記通信子機に報知手段を接続すると共に、通信親機から通信子機へ報知手段作動用の信号を送出可能とした請求項1乃至請求項3の何れか1項記載の防犯機能付きインターホンシステム。
【請求項5】
前記通信親機に備えた外部出力I/Fから送出された信号を、インターホン装置のインターホン親機に備えた外部入力I/Fで受け、前記インターホン親機にて前記カメラユニットの動作を制御する請求項1乃至請求項4の何れか1項記載の防犯機能付きインターホンシステム。
【請求項6】
前記通信親機に備えた外部出力I/Fから送出された信号を、前記カメラユニットに備えた外部入力I/Fで受け、前記カメラユニットにてインターホン装置の動作を制御する請求項1乃至請求項4の何れか1項記載の防犯機能付きインターホンシステム。
【請求項7】
前記通信子機に、接続されているセンサに対応して動作させるカメラユニットを指定するカメラ選択機能を設けた請求項1乃至請求項5の何れか1項記載の防犯機能付きインターホンシステム。
【請求項8】
前記通信親機に、前記通信子機と接続されているセンサに対応して動作させるカメラユニットを指定するカメラ選択機能を設けた請求項6記載の防犯機能付きインターホン。
【請求項9】
前記通信親機は、受信感度検出部を有し、
前記受信感度検出部にて受信された受信感度が所定の閾値外となった場合には、前記カメラユニットを動作させることを特徴とする請求項1乃至請求項8何れか1項記載の防犯機能付きインターホンシステム。
【請求項10】
前記通信親機は、受信した電波を復調する復調部と、前記復調部で復調した信号が指定したものか否かを判別する信号判別部とを備え、
前記信号判別部で判別した信号が指定外であった場合、前記カメラユニットを動作させることを特徴とする請求項1乃至請求項9何れか1項記載の防犯機能付きインターホンシステム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−104015(P2007−104015A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−287680(P2005−287680)
【出願日】平成17年9月30日(2005.9.30)
【出願人】(000100908)アイホン株式会社 (777)
【Fターム(参考)】