説明

防犯機能付き携帯電話機

【課題】防犯機能の他人等による強制停止を防いだ防犯機能付き携帯電話機を提供すること。
【解決手段】本発明の防犯機能付き携帯電話機1は、下側本体2と、二次電池7と、二次電池7を収納するための電池収納部3と、電池収納部3を覆うカバー10と、所定の操作により警報音等を発生する警報発生手段と、を備えた防犯機能付き携帯電話機1であって、カバー10の端部には少なくとも1つの鉤片12から構成される固定穴13が設けられ、固定穴13を介してビス8によってカバー10を電池収納部3を覆った状態で固定するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は防犯機能付き携帯電話機に関し、特に、例えば防犯機能として防犯ブザー等を備える携帯電話機において、防犯ブザー作動時にこの防犯ブザーの作動が強制的に停止されることを防ぐための防犯機能付き携帯電話機に関する。
【背景技術】
【0002】
防犯を目的とする防犯ブザーが、現在特に子供や女性に広く普及している。しかし、この防犯ブザーは常に携帯しておく必要があり、また、緊急時に瞬時に作動させる必要があることから、この防犯ブザーの機能を一般的に常に手の届く所に携帯される携帯電話機に備えたものが特許文献にも紹介されている(例えば特許文献1〜3参照)。
【0003】
図8は下記特許文献1に開示された警報ブザー付き携帯電話機の斜視図である。
【0004】
下記特許文献1に開示された警報ブザー付き携帯電話機は、携帯電話機本体108の正面に、電話番号表示等を行う液晶画面109と、ダイヤルしたり、携帯電話機の機能を操作したりする複数のボタン110とが設けられている。また、正面上端部には、受信用スピーカーの音を外部に聞こえるようにする受信用穴111が穿孔され、下端部には、携帯電話機本体108内に内装された送信用の音声マイクに通話者の声が届くように通話用穴112が穿孔されている。そして、携帯電話機の背面には、携帯電話機本体108に内装された呼び出し音(いわゆる、着信音)を発生するスピーカーの音が外部に聞こえるようにする着信音用穴(図示せず)が穿孔されている。加えて、その上面には、伸縮自在とされた送受信用アンテナ113と、吊り紐101が取り付けられた警報発信用のスイッチ103とが設けられている。そして、このスイッチ103がオン状態、すなわち、吊り紐101が引っ張られて携帯電話機本体108から取り外された状態となったときに駆動する警報発生部を備えており、この警報発生部はスピーカーから例えば100dB以上の警報音を発生させるようになっている。また、警報発生部の駆動に伴い、警報が駆動された携帯電話機を特定するための信号を送信したり、特定の電話番号にダイヤルするようにしたり、加えてこのダイヤルにより特定の電話番号に接続された際に、所定のメッセージを送るようにすることもできるものである。
【0005】
また、下記特許文献2に開示された防犯または緊急避難機能を有する携帯電話機は、携帯電話機本体が防犯ブザーを備えているとともに、この防犯ブザーが携帯電話機のアンテナを引き抜くことにより鳴動するようになっている。詳しくは、携帯電話機本体には外周が胴体で覆われたアンテナガイドがある程度堅く嵌合しており、このアンテナガイドにはアンテナが比較的緩く摺動自在に嵌合しており、通常時はアンテナ部分のみ引出されて使用され、緊急時にはアンテナ部分を強く引っ張ることにより、アンテナガイドを本体から引き抜くことによって防犯ブザーが鳴動するものである。
【0006】
さらに、下記特許文献3に開示された防犯機能付き携帯電話は、防犯機能を備えるとともに、この防犯機能が作動しているときに他人が勝手に警報を止めることを防止したものであって、本先行技術の携帯電話は、携帯電話本体と、この携帯電話本体に内蔵された防犯ブザー及びこの防犯ブザーの入力スイッチと、暗証番号記憶手段と、この暗証番号記憶手段内に記憶された暗証番号を入力することにより前記防犯ブザーを停止させる停止手段と、を備えている。そして、入力スイッチは携帯電話本体の外面より低く押した状態で防犯ブザーを作動させる押しボタンスイッチからなり、この押しボタンスイッチは、停止手段により防犯ブザーが停止されたときに、携帯電話本体の外面に突出する位置に復帰するようになしている。これにより、暗証番号を知らない他人は防犯ブザーを解除することができず、以って警報機としての機能を高めることができたものである。
【特許文献1】特開2003−60752号公報(段落[0018]、[0021]〜[0024]、図1)
【特許文献2】特開2003−60753号公報([請求項1]、[請求項2]、段落[0012]〜[0014])
【特許文献3】特開2002−57816号公報(段落[0003]、[0005]、[0007]、[0023])
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記各特許文献に開示された携帯電話機においては、防犯ブザーの機能を携帯電話機に備えるようにしたことによって別途防犯ブザーを持ち歩くことなく、非常時には迅速に防犯ブザーを作動させることができ好ましい。また、上記特許文献3に開示された携帯電話機においては、防犯機能が作動した状態で他人が勝手に防犯ブザーを停止させないように、物理的に防犯ブザーを停止させる機能を持たず、暗証番号によってのみ停止できるようにしたので、警報機能がより向上し、好ましい。
【0008】
しかしながら、上記各特許文献に開示された防犯機能を備える携帯電話機の防犯ブザーの鳴動あるいは非常時における通信機能は、何れも携帯電話機本体の電源である二次電池から電源をとって作動するものである。すなわち、この防犯機能は例えば上記特許文献3に示すような機構を備えていたとしても、携帯電話の二次電池を取り外されてしまうと防犯機能は実質機能しなくなり、暗証番号を入力することなく防犯機能を停止されてしまうという問題点がある。加えて、既存の携帯電話機に使用されている二次電池は、携帯電話機背面に設けられた収納部に容易に着脱できる状態で収納され、カバーで覆っただけの極めて簡単な構造によって固定されているものであるので、緊急時にもすばやく取り外すことができてしまう。
【0009】
本発明者らは上記問題点に鑑みて、防犯機能をより有効に動作させるための構成を種々検討した結果、携帯電話機の二次電池は、通常使用時には特に取り外す必要がない点に着目し、二次電池を覆うように取り付けられるカバーを容易に取り外すことが難しい固定手段を用いて固定するようになせば、上記問題点を解決することができることを見出し、本発明に至ったものである。
【0010】
すなわち、本発明の目的は、防犯機能の他人等による強制停止を防いだ防犯機能付き携帯電話機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の防犯機能付き携帯電話機は、携帯電話機本体と、二次電池と、該二次電池を収納するための電池収納部と、該電池収納部を覆うカバーと、所定の操作により警報音等を発生する警報発生手段と、を備えた防犯機能付き携帯電話機であって、前記カバーの端部には少なくとも1つの固定穴が設けられ、該固定穴を介してビスによって前記カバーを前記電池収納部を覆った状態で固定するようにしたことを特徴とする。
【0012】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の防犯機能付き携帯電話機において、前記ビスは特定の工具を用いて固定及び解除がなされるものであることを特徴とする。
【0013】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の防犯機能付き携帯電話機において、前記固定穴は、前記カバーの一側壁に設けられた切り欠きと、所定の剛性を備え前記カバーの前記切り欠きが設けられた裏面に取り付けられ前記切り欠きの開口に対向する位置に開口を有する実質的にU字状の鉤片と、から構成されていることを特徴とする。
【0014】
また、請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の防犯機能付き携帯電話機において、前記ビスは前記固定穴に挿入されて固定された状態で、その頭部が前記切り欠き内に収納できる大きさを有していることを特徴とする。
【0015】
また、請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の防犯機能付き携帯電話機において、前記固定穴には、前記ビスが挿入されその頭部が前記切り欠き内に収納された状態で取り付けられる蓋体を備え、該蓋体は前記固定穴に取り付けた状態で、その上面が前記カバーの表面と同一平面状に位置することを特徴とする。
【0016】
また、請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれかに記載の防犯機能付き携帯電話機において、前記カバーは前記電池収納部の開口の少なくとも一部を覆った後スライドさせて取り付けられ、その先端に位置する側壁近傍に前記固定穴が形成されているとともに該側壁から外方に延びてその先端部に係止段部が形成された少なくとも2つの舌片が設けられ、この取り付けにより該側壁が当接する前記携帯電話機本体の当接面に設けられたスリット内に前記舌片が挿入されて前記係止段部により抜け止めがなされることを特徴とする。
【0017】
請求項7に記載の防犯機能付き携帯電話機の発明は、携帯電話機本体と、二次電池と、該二次電池を収納するための電池収納部と、該電池収納部を覆うカバーと、所定の操作により警報音等を発生する警報発生手段と、を備えた防犯機能付き携帯電話機であって、前記カバーの一側壁には少なくとも2つの切り欠きが設けられ、更に該各切り欠きに連通する貫通孔が設けられるとともにその下面中間部に前記カバーの表面に設けられた取付穴に収納される突起が設けられたブリッジ片を備え、該ブリッジ片の突起を前記カバーの取付穴に収納するとともに前記貫通孔を前記切り欠きに連通させた状態で、ビスを前記ブリッジ片の貫通孔及び前記各固定穴に挿通させて前記カバーを固定することを特徴とする。
【0018】
また、請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の防犯機能付き携帯電話機において、前記ビスは特定の工具を用いて固定及び解除がなされるものであることを特徴とする。
【0019】
また、請求項9に記載の発明は、請求項7に記載の防犯機能付き携帯電話機において、前記ブリッジ片の貫通孔の下面側外縁部には、前記切り欠き内に収納される所定長さの垂下部が形成されていることを特徴とする。
【0020】
また、請求項10に記載の発明は、請求項7に記載の防犯機能付き携帯電話機において、前記ブリッジ片の貫通孔の上面側外縁部は、前記ビスの頭部が収納できるように前記貫通孔よりも大径な段部が設けられていることを特徴とする。
【0021】
また、請求項11に記載の発明は、請求項7〜10のいずれかに記載の防犯機能付き携帯電話機において、前記カバーは前記電池収納部の開口の少なくとも一部を覆った後スライドさせて取り付けられ、その先端に位置する側壁近傍に前記切り欠きが形成されているとともに該側壁から外方に延びる少なくとも1つの舌片が設けられ、この取り付けにより該側壁が当接する前記携帯電話機本体の当接面に設けられたスリット内に前記舌片が挿入されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明は上記構成を備えることにより、以下に示すような優れた効果を奏するものである。すなわち、請求項1に記載の発明によれば、電池収納部に二次電池を収納した状態でカバーを取り付け、このカバーをビスを用いて固定したことにより、例えばユーザが防犯目的で携帯電話機の警報発生手段を作動させたとき、他人によって携帯電話機の電池が取り外されることによってこの警報発生手段が強制的に停止される恐れがなく、高い防犯機能を維持することができる。すなわち、従来は容易にカバーを取り外すことができたために二次電池を簡単に取り外すことができたが、ビスを用いることでカバーの取り外しに特定の工具を必要としたため、二次電池の取り外しを容易に行えないようにできる。
【0023】
また、請求項2に記載の発明によれば、二次電池を固定する固定手段として、特定の工具を用いるようなもの、例えば各種ドライバーや六角レンチ等が必要なビス等を用いるようになせば、容易にビスを取り外すことができなくなり、上記請求項1の効果をより得られるようになる。
【0024】
また、請求項3に記載の発明によれば、固定穴をカバーに設けた切り欠きと、この切り欠きの裏面に取り付けられた鉤片とで構成することにより、簡単な構成でカバーをビスで固定できるようになる。
【0025】
また、請求項4に記載の発明によれば、ビスを取り付けた状態でこのビスの頭部が切り欠き内に収納されるようにしたため、ビスが携帯電話機本体に露出することがなく、引っ掛かり等が生じる恐れもない。
【0026】
また、請求項5に記載の発明によれば、切り欠きにビスの頭部を収納した状態でこの切り欠きを塞ぐ蓋体を設けたことにより、蓋体によってビスを隠すようになり、携帯電話機本体の美観が向上する。
【0027】
また、請求項6に記載の発明によれば、カバーの側壁にその先端に係止突起を備える舌片を形成し、この舌片を携帯電話機のスリットに挿入して係止したことにより、より簡単にカバーのスライド移動を規制することができるようになる。また、この舌片をカバーの両側端部付近に設けると、カバー側端部のめくれを防止することができるようになる。
【0028】
また、請求項7に記載の防犯機能付き携帯電話機によれば、カバーをカバーに固定されたブリッジ片を介してビス止めすることにより、上述した請求項1の発明に示すような効果を奏することができるようになる。
【0029】
また、請求項8に記載の発明によれば、請求項7の発明の効果に加えて、上記請求項2に示すものと同様の効果を奏することができるようになる。
【0030】
また、請求項9に記載の発明によれば、ブリッジ片の貫通孔の下側外周縁部からカバーの切り欠きに収納される垂下部が突出しているので、ブリッジ片を取り付ける際にこの垂下部が切り欠き内に収納されたカバーを仮止め状態とするようになり、後にビスを取り付ける際の作業性を向上させることができる。
【0031】
また、請求項10に記載の発明によれば、ブリッジ片に段部を形成することで、ブリッジ片内にビスの頭部が収納されるようになり、携帯電話機の美観を向上させることができる。
【0032】
また、請求項11に記載の発明によれば、カバーに舌片を設け、この舌片を携帯電話機本体のスリットに挿入するようになせば、例えばこの舌片をカバーの両側端部付近に設けると、カバー側端部のめくれを防止することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、図面を参照して本発明の最良の実施形態を説明する。但し、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための防犯機能付き携帯電話機を例示するものであって、本発明をこれらに特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態のものも等しく適応し得るものである。なお、以下には本発明の一実施例として防犯機能を備える折畳み式の携帯電話機について説明する。また、本発明の携帯電話機の備える防犯機能、すなわち警報発生手段は上述した従前の構造であっても、その他の構造であっても良く、適宜選択すればよいものであるのでこの警報発生手段に関する説明は以下では省略する。
【実施例1】
【0034】
図1は本発明の実施例1に係る携帯電話機を示し、図1(a)は携帯電話機の下側本体の裏面図、図1(b)は図1(a)のA−A線で切断した断面図、図2は図1(a)のB−B線で切断した状態を示す断面図、図3はカバーを示す平面図である。実施例1の携帯電話機1は、表示部、各種操作ボタン、アンテナ、マイク及びスピーカー等を備えた公知の携帯電話機であり、ヒンジ機構5(図2参照)により上側本体(図示省略)と下側本体2とが折畳み可能となっている。なお、公知の携帯電話機の構造については説明を省略し、また、携帯電話機1の上側本体についても公知の構造を採用するものとして図示及びその説明を省略する。
【0035】
この携帯電話機1の下側本体2の裏面には、図1及び図2に示すように、その上部に着信等を通知するスピーカー用のスピーカー穴6が設けられているとともに、その下方にはカバー10に覆われた、二次電池7が収納される電池収納部3が設けられている。この電池収納部3は所定の深さを有する開口が方形状の凹部から構成されている。また、この電池収納部3には図1(a)における下方に位置する一側面に二次電池7の端子と接続する端子(図示省略)が構成されており、この端子が形成された側面に対向する他の側面に近接する底面には、後述するビス8が取り付けられるビス孔4が形成されている。
【0036】
カバー10は、図3に示すように、携帯電話機1の外装に用いられる材料と同一の材料、例えばプラスティック材等から構成されており、その形状は電池収納部3を覆う大きさの扁平な板体からなる。また、このカバー10の図3における上方に位置する側面には、所定深さの切り欠き11が設けられており、この切り欠き11の幅は後述するビス8の頭部外径よりも僅かに大きく形成され、その閉鎖端部は半円形状となっている。そして、この切り欠き11が設けられた位置の下面には、薄肉で略U字状であり、さらにこのU字状両端部が互いに近接する方向に延設された形状を備えた鉤片12が固定されている。この鉤片12は、所定の剛性を備えた金属材等で形成されており、その側縁部の上面がカバー10への固着面となっている。そして、この鉤片12のU字状の開口部は固定穴13を形成しており、切り欠き11の開口部に対向するように配置され、その固定穴13の径はビス8の頭部の径より小さく形成されている。これにより、この固定穴13周辺の上面はビス8の頭部の座部となる。
【0037】
また、カバー10の切り欠きが設けられた一側面には、外方に向かって延び、且つその先端部に係止突起15a(図3参照)が形成された舌片15が設けられており、この舌片15は、下側本体2にカバー10を取り付けた際に、下側本体2の電池収納部3のビス孔4が設けられた位置に近接する側面に設けられたスリット16(図4(a)参照)内に収納され、係止突起15aがスリット16内で係止されることにより、抜け止めがなされるようになっている。
【0038】
次に上述した構成のカバー10を携帯電話機1の下側本体2に固定する方法について主に図4を参照して説明する。なお、図4は実施例1の携帯電話機に二次電池を固定する工程を順に示した図である。
【0039】
この固定に際しては、図4(a)に示すように、先ず下側本体2の電池収納部3内に、二次電池7をその端子が電池収納部3の一側面に設けられた端子に接続するように収納し、次いで、この電池収納部3を覆うようにカバー10を取り付ける。この取り付けは、例えばカバー10を電池収納部3に対して若干下方にずらした位置で電池収納部3を覆うように配置した後、カバー10を上方にスライドさせてカバー10の舌片15が下側本体2に設けられたスリット16内に挿入されるようにして取り付けられる。
【0040】
上述のようにカバー10が取り付けられると、次いでこのカバー10の固定を行う。この固定はビス8を用いて行われるものであり、このビス8は、その頭部に六角棒レンチが嵌合する凹部8aが形成されており、これによりビス8を取り付ける際及び取り外す際には六角棒レンチが必要となる。なお、ビス8を取り付ける際に必要な工具としては六角棒レンチに限らず、ドライバー等の種々の工具を用いて取り付けられるようにしても良く、ビス8も合わせて適宜変更すればよいが、工具を用いることなく取り外しができるものでなければ良い。そして、このような構成のビス8を鉤片12のU字状開口に挿通させ電池収納部3のビス孔4に螺合させて固定する。
【0041】
上述のようにビス8により固定されたカバー10は、ビス8を取り外すことなく取り外しを行うことが不可能となったが、下側本体2の裏面からビス8の頭部が露出しており、美観を損ねるため、ビス8を取り付けた切り欠き11を蓋体14を用いて覆うと更に好ましい。蓋体14は、切り欠き11と同一形状をなす部材であって、カバー10と同一の材料を用いて形成され、その下面が開口となっており、内部には空洞が形成されている。この空洞は、蓋体14を切り欠き11に取り付けた際にビス8の頭部が収納されるものであり、なお、ビス8の頭部は切り欠き11の上下方向の肉厚よりも薄肉に形成されている。また、蓋体14の上面は平坦面となっており、この平坦面は切り欠き11に取り付けられた状態でカバー10の表面と同一平面上に位置するようになっている。これにより、図4(b)に示すように、下側本体2の裏面の外観に凹凸がなくなるとともにビス8を隠すことができるので、携帯電話機1の美観を向上させることができる。
【0042】
以上の工程で取り付けられ固定されたカバー10を取り外す際には、先ず蓋体14を取り外し、ビス8を六角棒レンチを用いて取り外した後、係止突起15aの係止が解除される方向にカバー10を押圧しながら下側本体2の下方向にスライドさせることにより取り外しを行うようになる。このように構成することによって、緊急時に防犯機能を作動させた携帯電話機1から他人が勝手に二次電池7を取り外すことを防止し、防犯機能が不必要に停止される危険性がなくなる。すなわち、従来の携帯電話機では、特別な工具を用いることなく二次電池の取り外しが行えてしまったために防犯機能を実現するための電源である二次電池7を取り外されると防犯機能は実質機能しなくなっていたが、本発明のように特別に工具を用いなければ二次電池7を取り外すことができないようにすれば、他人がたまたまこのビス8に合う工具を持ち合わせているようなことがない限り、二次電池7を取り外すことによって防犯機能を停止することはできない。加えて、防犯機能は上述のとおり、通常その機能を停止させるときには暗証番号等を用いて行うものであるから、本発明の構造によって不都合が生じることもなく、また二次電池を取り外さなければいけない状態、例えばメンテナンスのために一時的に取り外すような場合にはメーカー等に任せればよく、何らの支障も生じない。
【実施例2】
【0043】
上記実施例1に述べた構造を用いる以外にも、好適にカバーの固定を行うことができる構造を採用した実施例2について以下に述べる。なお、実施例2の携帯電話機1Aはカバーの固定構造以外は上記実施例1に示す構造と同一であるので、同一構造である部分には実施例1に示す符号と同一の符号を付してその説明を省略するものとする。
【0044】
図5は本発明の実施例2に係る携帯電話機を示し、図5(a)は携帯電話機の下側本体の裏面図、図5(b)は図5(a)のC−C線で切断した断面図、図6は図5の携帯電話機の側断面図を示し、図6(a)は図5(a)のD−D線で切断した状態を示す断面図、図6(b)は図5(a)のE−E線で切断した状態を示す断面図である。図5に示すように、実施例2の携帯電話機1Aの下側本体2に設けられた電池収納部3には、図5(a)における上方の側面に近接する底面に、所定間隔をおいて2つのビス孔4、4が設けられており、このビス孔4、4には後述するビス8、8が螺合される。
【0045】
また、携帯電話機1Aのカバー20の図5(a)における上方の側壁には、上記ビス孔4、4に対応する位置に2つの切り欠き21、21(図7(a)参照)が設けられている。この切り欠き21、21の閉鎖端部は半円形状に形成され、その幅はビス孔4、4の径よりも大きくなっている。また、このカバー20上面における2つの切り欠き21、21同士を結んだ中心部には、比較的小径な取付穴22が設けられている。なお、この取付穴22は貫通孔で形成されても良いし、所定深さの窪みで形成されても良く、後述するブリッジ片23の突起27の高さに合わせて適宜変更すればよい。
【0046】
次に、カバー20を固定する固定構造について説明する。カバー20の固定は、ブリッジ片23とこのブリッジ片23に取り付けられるビス8、8とから達成される。ブリッジ片23は、図5(b)及び図6に示すように、その両端部が上述したカバー20の2つの切り欠き21、21を覆う位置まで延設され、この両端部には切り欠き21、21に連通する貫通孔25、25が設けられている。そしてこの貫通孔25、25が設けられた両端部は連結部24により連結されている。すなわち、このブリッジ片23は薄肉でその長手方向両端部が半円形状の細長な板体から構成されている、さらに、このブリッジ片23の両端部に設けられた貫通孔25の下面側外周縁部には、この下面から垂直に所定長さ延びる円環状の垂下部26が設けられており、この垂下部26の外径はカバー20の切り欠き21、21の幅とほぼ同一であり、ブリッジ片23の取り付け時には、この垂下部26が切り欠き21内に収納されるようになっている。そして、貫通孔25、25の径はビス孔4、4の径と同一となっているとともに、その上側開口付近は、ビス8の頭部が収納できるように拡径された段部が形成されている。
【0047】
次に上述した構成のカバー20を携帯電話機1Aの下側本体2に固定する方法について主に図7を参照して説明する。なお、図7は実施例2の携帯電話機に二次電池を固定する工程を順に示した図である。
【0048】
この固定に際しては、図7(a)に示すように、先ず下側本体2の電池収納部3内に、二次電池7をその端子が電池収納部3の一側面に設けられた端子に接続するように収納し、次いで、この電池収納部3を覆うようにカバー20を取り付ける。この取り付けは、上記実施例1に示したものと同様に、例えばカバー20を電池収納部3に対して若干下方にずらした位置で電池収納部3を覆うように配置した後、カバー20を上方にスライドさせて取り付けられる。
【0049】
次に、電池収納部3を覆ったカバー20に設けられている2つの切り欠き21、21内にブリッジ片23の垂下部26を収納するように、かつブリッジ片23の突起27がカバー20の取付穴22内に収納するように、ブリッジ片23をカバー20に取り付ける。このとき、ブリッジ片23の垂下部26は電池収納部3の上側側面と二次電池7の同じく上側側面との間に形成された空間内に入り込み、これによりカバー20移動を規制した仮止め状態となる。そして、ブリッジ片23の2つの貫通孔25、25にビス8、8をそれぞれ挿入し、このビス8、8を六角棒レンチを用いてビス孔4、4に螺合させて固定する。
【0050】
このようにカバー20を固定することにより、実施例1と同様、カバー20を取り外す際にはビス8、8を取り外す必要があるため、防犯機能を作動させた携帯電話機1Aから他人が勝手に二次電池7を取り外すことを防止することができるようになる。
【0051】
なお、本実施例2の携帯電話機1Aのカバー20に、実施例1のカバー10に設けられた舌片15を設けることもできる。ただし、この舌片15を設ける場合には、ブリッジ片23によりカバー20のスライド方向の移動をも強固に規制されているので、舌片15の先端部に係止突起16を形成する必要はない。
【0052】
また、本実施例2においては、下側本体の裏側表面にブリッジ片23が露出するため、引っ掛かり等を防止するためにその角部を面取り加工を施しておくと良い。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】図1は本発明の実施例1に係る携帯電話機を示し、図1(a)は携帯電話機の下側本体の裏面図、図1(b)は図1(a)のA−A線で切断した断面図である。
【図2】図2は図1(a)のB−B線で切断した状態を示す断面図である。
【図3】図3はカバーを示す平面図である。
【図4】図4は実施例1の携帯電話機に二次電池を固定する工程を順に示した図である。
【図5】図5は本発明の実施例2に係る携帯電話機を示し、図5(a)は携帯電話機の下側本体の裏面図、図5(b)は図5(a)のC−C線で切断した断面図である。
【図6】図6は図5の携帯電話機の側断面図を示し、図6(a)は図5(a)のD−D線で切断した状態を示す断面図、図6(b)は図5(a)のE−E線で切断した状態を示す断面図である。
【図7】図7は実施例2の携帯電話機に二次電池を固定する工程を順に示した図である。
【図8】図8は先行技術の警報ブザー付き携帯電話機の斜視図である。
【符号の説明】
【0054】
1 携帯電話機
2 下側本体
3 電池収納部
4 ビス孔
5 ヒンジ機構
6 スピーカー穴
7 二次電池
8 ビス
8a 凹部
10 カバー
11 切り欠き
12 鉤片
13 固定穴
14 蓋体
15 舌片
15a 係止突起
16 スリット
20 カバー
21 切り欠き
22 取付穴
23 ブリッジ片
24 連結部
25 貫通孔
26 垂下部
27 突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯電話機本体と、二次電池と、該二次電池を収納するための電池収納部と、該電池収納部を覆うカバーと、所定の操作により警報音等を発生する警報発生手段と、を備えた防犯機能付き携帯電話機であって、前記カバーの端部には少なくとも1つの固定穴が設けられ、該固定穴を介してビスによって前記カバーを前記電池収納部を覆った状態で固定するようにしたことを特徴とする防犯機能付き携帯電話機。
【請求項2】
前記ビスは特定の工具を用いて固定及び解除がなされるものであることを特徴とする請求項1に記載の防犯機能付き携帯電話機。
【請求項3】
前記固定穴は、前記カバーの一側壁に設けられた切り欠きと、所定の剛性を備え前記カバーの前記切り欠きが設けられた裏面に取り付けられ前記切り欠きの開口に対向する位置に開口を有する実質的にU字状の鉤片と、から構成されていることを特徴とする請求項1に記載の防犯機能付き携帯電話機。
【請求項4】
前記ビスは前記固定穴に挿入されて固定された状態で、その頭部が前記切り欠き内に収納できる大きさを有していることを特徴とする請求項3に記載の防犯機能付き携帯電話機。
【請求項5】
前記固定穴には、前記ビスが挿入されその頭部が前記切り欠き内に収納された状態で取り付けられる蓋体を備え、該蓋体は前記固定穴に取り付けた状態で、その上面が前記カバーの表面と同一平面状に位置することを特徴とする請求項4に記載の防犯機能付き携帯電話機。
【請求項6】
前記カバーは前記電池収納部の開口の少なくとも一部を覆った後スライドさせて取り付けられ、その先端に位置する側壁近傍に前記固定穴が形成されているとともに該側壁から外方に延びてその先端部に係止段部が形成された少なくとも2つの舌片が設けられ、この取り付けにより該側壁が当接する前記携帯電話機本体の当接面に設けられたスリット内に前記舌片が挿入されて前記係止段部により抜け止めがなされることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の防犯機能付き携帯電話機。
【請求項7】
携帯電話機本体と、二次電池と、該二次電池を収納するための電池収納部と、該電池収納部を覆うカバーと、所定の操作により警報音等を発生する警報発生手段と、を備えた防犯機能付き携帯電話機であって、前記カバーの一側壁には少なくとも2つの切り欠きが設けられ、更に該各切り欠きに連通する貫通孔が設けられるとともにその下面中間部に前記カバーの表面に設けられた取付穴に収納される突起が設けられたブリッジ片を備え、該ブリッジ片の突起を前記カバーの取付穴に収納するとともに前記貫通孔を前記切り欠きに連通させた状態で、ビスを前記ブリッジ片の貫通孔及び前記各固定穴に挿通させて前記カバーを固定することを特徴とする防犯機能付き携帯電話機。
【請求項8】
前記ビスは特定の工具を用いて固定及び解除がなされるものであることを特徴とする請求項7に記載の防犯機能付き携帯電話機。
【請求項9】
前記ブリッジ片の貫通孔の下面側外縁部には、前記切り欠き内に収納される所定長さの垂下部が形成されていることを特徴とする請求項7に記載の防犯機能付き携帯電話機。
【請求項10】
前記ブリッジ片の貫通孔の上面側外縁部は、前記ビスの頭部が収納できるように前記貫通孔よりも大径な段部が設けられていることを特徴とする請求項7に記載の防犯機能付き携帯電話機。
【請求項11】
前記カバーは前記電池収納部の開口の少なくとも一部を覆った後スライドさせて取り付けられ、その先端に位置する側壁近傍に前記切り欠きが形成されているとともに該側壁から外方に延びる少なくとも1つの舌片が設けられ、この取り付けにより該側壁が当接する前記携帯電話機本体の当接面に設けられたスリット内に前記舌片が挿入されることを特徴とする請求項7〜10のいずれかに記載の防犯機能付き携帯電話機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2008−16924(P2008−16924A)
【公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−183306(P2006−183306)
【出願日】平成18年7月3日(2006.7.3)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)鳥取三洋電機株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】