説明

防犯灯ポール及び緊急通報システム

【課題】防犯灯ポール及び緊急通報システムにおいて、火災の早期発見が可能な防犯灯ポール及び緊急通報システムを提供する。
【解決手段】路上及び公共施設に設置され、ネットワークにより接続された監視センターに画像及び音声を含む信号を送受信する防犯灯ポールであって、通報機器と、ピンホールカメラと、警戒音ブザーと、警告灯と、可動式の監視カメラと、火災検知器と、前記ネットワークに接続され、信号及び情報を送受信する機器と、を備え、前記信号及び情報を送受信する機器に備えられた送受信部は、前記ネットワークを介して前記監視センターに接続されることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防犯灯ポール及び緊急通報システムに係り、特に、火炎検知器を備えた防犯灯ポール及び緊急通報システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ひったくり、痴漢、ストーカー、通り魔などによる路上犯罪が増加しており、それに伴う治安の悪化が問題になっている。刑法犯の認知件数は増加する一方、検挙率が低下しているという状況下において、地域住民が安心して生活することができる街づくりが課題とされ、防犯のための対策が急がれている。
【0003】
防犯対策の一つとして、警察官のパトロール及び交番の設置が挙げられる。警察官の増員、交番機能の強化を図り、さらに人員の効率的運用が進められているが、依然として警察官数は十分とは言い難いという現状がある。さらに、警察官の増員及び交番の増設は、費用が嵩むという問題点もある。
【0004】
そこで、新たな防犯対策として、例えば特許文献1、2のように、緊急事態発生時、街頭に設置された監視機能及び警報機能を具備した防犯灯ポールから、該防犯灯ポールに対して遠隔地に設けられた監視センターに対して通報することができる緊急通報システムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3988514号公報
【特許文献2】特開2002−288764号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一方、増加している路上犯罪の一つに、放火が挙げられる。火災への対応として、各種火災検知器を用いる技術が提案されているが、火災検知器のみを備えた場合、その誤報により警報が作動し、消防への通報が成されるという事態が発生する。また警備員等が、火災検知器により火災が検知された箇所へ行き、誤報か否かの確認を行う際、確認までの時間を要し、火災が大きくなるという問題点がある。さらに、火災発生現場に警備員が取り残されるという危険性がある。
【0007】
放火による火災に対し、特許文献1及び2のような監視カメラを備えた防犯灯ポールを、例えば、建造物等が複雑に入り組んだ環境に設置した場合、検知手段は監視カメラのみに限定される。したがって、監視カメラの死角が生じ、火災を検知できる範囲が限定されるという問題点がある。また、火災は初期段階、すなわち炎が小さい段階で対処することが望ましいが、炎が小さい段階では、監視カメラでは検知しにくいという問題点がある。さらにまた、監視カメラが破損した場合は、火災に対する検知手段が失われるため、緊急通報システムが機能しなくなるという問題点がある。
【0008】
また、特許文献1及び2に開示された緊急通報システムは、防犯灯ポールからの通報時にのみ監視センターと通話するシステムであるため、放火等の対人犯罪でない場合には、通報者が周囲に存在しない可能性が高く、監視センターからの音声による注意、警告により未然に犯罪を防止する効果が低いという問題点も挙げられる。さらにまた、放火以外の他の路上犯罪に対し、通報者が危険を察知してから通報し、その後、監視センターから注意、警告及び警察への通報を行った場合、未然に犯罪を防ぐ効果が低いという問題点もある。
【0009】
本発明の目的は、防犯灯ポール及び緊急通報システムにおいて、特に放火等による火災を確実に検知する防犯灯ポール及び緊急通報システムを提供することにある。また、本発明の他の目的は、防犯灯ポール及び緊急通報システムにおいて、特に放火を防止する効果の高い防犯灯ポール及び緊急通報システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題は、本発明に係る防犯灯ポールによれば、路上及び公共施設に設置され、ネットワークにより接続された監視センターに画像及び音声を含む信号を送受信する防犯灯ポールであって、地面から鉛直に立ち上がった支柱部に、通報機器と、ピンホールカメラと、警戒音ブザーと、警告灯と、可動式の監視カメラと、火災検知器と、前記ネットワークに接続され、信号及び情報を送受信する機器と、を備え、前記通報機器は、通報ボタンと、通報用スピーカーと、通報用マイクとを有し、前記信号及び情報を送受信する機器は、前記監視カメラ及び前記ピンホールカメラが接続された画像処理部と、前記通報用マイク及び前記通報用スピーカーが接続された音声処理部と、制御部と、送受信部と、電源と、を有し、前記制御部は、前記警告灯と、前記警戒音ブザーと、前記火災検知器と、前記通報ボタンと、前記画像処理部と、前記音声処理部と、前記送受信部と接続され、前記送受信部は、前記ネットワークを介して前記監視センターに接続されること、により解決される。
【0011】
このように、防犯灯ポールに、火災検出手段又は火災確認手段として用いられる監視カメラ、及び火災検出手段である火災検知器を備えることにより、火災検出手段(又は火災確認手段)を2種類備える構成となるため、火災に対する検知性能が高い防犯灯ポールとすることができる。また、火災検出手段を2種類備えることにより、一方の検知手段による誤報であった場合、又は一方の火災検出手段が破損した場合であっても、もう一方の検知手段で火災を確認できる構成であるため、確度の高い火災検知を行うことができる。したがって、警備員等が、防犯灯ポールにより火災通報が成された箇所に行き、確認作業を行う等の作業を軽減することができる。さらにまた、警備員等が確認のため火災発生箇所に行くことにより、火災に巻き込まれる危険性を低減することができる。
【0012】
またさらに、監視カメラ及び通報機器を備えるため、設置箇所周辺の様子を常時動画で確認することができ、防犯灯ポールを介して通報が成された場合であっても、監視カメラ及びピンホールカメラにより、通報者の様子を迅速に確認することができる。そして、警戒音ブザー及び警告灯を備える構成であるため、これら警戒音ブザー及び警告灯が鳴動することにより、不審者に対して威嚇を行うことができ、高い防犯効果が得られる。
【0013】
このとき、請求項2のように、前記火災検知器は、煙検出式、温度検出式、赤外線検出式のうち、少なくとも一つ以上の検出手段を備えた火災検知器であって、前記監視カメラは、光の輝度を測定するための輝度測定器を備えていると好適である。
【0014】
このように、防犯灯ポールに備えられた監視カメラにより、輝度を測定できる構成とすると、その炎の輝度により火災を検知することができる。さらに、防犯灯ポールに備えられた火災検知器の火災検出方法を輝度によるもの以外で、少なくとも一つ以上備える構成とすることにより、防犯灯ポールは、火災検出方法を2種類以上備えることができるため、より正確な火災検知が可能となる。
【0015】
また、前記課題は、本発明に係る緊急通報システムによれば、請求項1又は2に記載の複数の防犯灯ポールと、該防犯灯ポールが前記ネットワークにより接続された前記監視センターと、から構築される緊急通報システムであって、前記監視センターは、監視制御サーバーと、画像表示部と、コントローラーと、インターホンと、を備え、前記監視制御サーバーは、少なくともマッピングソフトを備えた主制御部と、前記防犯灯ポールの送受信部及び前記主制御部と接続され、前記防犯灯ポールからの信号及び情報を送受信する送受信部と、前記主制御部に接続され、前記防犯灯ポールの座標に基づいた位置情報が記録された位置情報データベースと、前記主制御部に接続され、前記防犯灯ポールが設置された地図情報が記録された地図情報データベースと、前記主制御部に接続され、前記防犯灯ポールから信号及び情報を受信した日時を含む履歴情報を記録する履歴データベースと、前記主制御部に接続され、前記監視カメラ及び前記ピンホールカメラにより撮影された画像情報を記録する画像情報データベースと、前記主制御部に接続され、前記通報用マイク及び前記インターホンからの音声情報を記録する音声情報データベースと、を有し、前記位置情報と、前記地図情報は、前記マッピングソフトにより、前記防犯灯ポールが設置された位置を地図上に描画させた画像に変換された後、前記画像表示部に表示されること、により解決される。
【0016】
このように、監視センターに備えられた位置情報データベースと、地図情報データベースに収められたデータを基に、主制御部に備えられたマッピングソフトを用いることにより、通報及び火災発生信号が送信された防犯灯ポールの所在地を、監視センターの作業者が迅速に把握し、警察や消防に通報することが可能となる。
【0017】
このとき、請求項4のように、前記防犯灯ポールの近傍における火災発生時に使用される緊急通報システムであって、前記火災検知器又は前記監視カメラに備えられた前記輝度測定器が火災を検知して、前記防犯灯ポールから前記監視センターへ火災発生信号が送信され、前記監視センターから前記防犯灯ポールへ警報信号が伝達されることにより、前記警戒音ブザー及び前記警告灯が作動し、前記画像情報及び前記音声情報が、前記防犯灯ポールと前記監視センターとの間で送受信される構成とすると好適である。
【0018】
このように、防犯灯ポールの周辺で火災が発生した場合、火災検知器又は監視カメラに備えられた輝度測定器により火災が検知され、監視センターへ火災発生信号が送信される構成とすると、2種類の火災検出手段により火災検知が行われるため、確度の高い通報が可能となる。さらに、火災検知時、警戒音ブザー及び警告灯が鳴動する構成であるため、周囲への注意喚起を迅速に行うことができ、火災の被害を最小限にとどめることが可能となる。
【0019】
また、このとき請求項5のように、通報時に使用される緊急通報システムであって、通報者が前記防犯灯ポールに備えられた前記通報ボタンを押圧することにより、前記警戒音ブザー及び前記警告灯が作動し、前記画像情報及び前記音声情報が、前記防犯灯ポールと前記監視センターとの間で送受信される構成であると好ましい。
【0020】
このように、防犯灯ポールの周辺で路上犯罪が発生した場合、通報者は防犯灯ポールに備えられた通報ボタンを押圧することにより通報を行い、監視センターに救助を求めることができる。また、通報に伴い、警戒音ブザー及び警告灯が鳴動するため、不審者への威嚇を行うことができるだけでなく、周囲の通行者に救助を求めることができる。
【0021】
さらに、このとき請求項6のように、前記監視センターの作業者による警告時に使用される緊急通報システムであって、前記監視センターの作業者が、前記監視センターに備えられたコントローラーを操作することにより、前記警戒音ブザー及び前記警告灯が作動し、前記画像情報及び前記音声情報が、前記防犯灯ポールと前記監視センターとの間で送受信される構成であると好ましい。
【0022】
このように、通報時、又は火災検知時以外の場合であっても、監視センターの作業者は防犯灯ポールを介して、防犯灯ポールの周囲にいる不審者に対し警告を行うことができる。監視カメラの画像に不審者が確認された場合、監視センターの作業者は、音声による警告を行うことができ、路上犯罪を未然に防止する効果が得られる。また、監視センターからの遠隔操作により、警戒音ブザー及び警告灯を鳴動させることができるため、路上犯罪が発生する前に、周囲の通行人に対して注意喚起を促すことができる。
【0023】
特に放火等による火災は、対人犯罪ではないため、その発生時、周囲に通行人がいない場合が多い。したがって、通報によってのみ監視センターと防犯灯ポールとの間で画像及び音声の送受信が行われる緊急通報システムにおいて、通報者がいない場合、放火等の路上犯罪に対する防犯性は高くない。しかし、本発明の請求項6のように、監視センターからの警告を常時行うことができる構成とすると、放火を含む路上犯罪に対し、発生を防止する効果を高めることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の請求項1の防犯灯ポールによれば、放火を含む路上犯罪に対し、高い防犯性を備えた防犯灯ポールを提供することができる。特に、火災検知器及び監視カメラを備えることにより、火災検出手段(又は火災発生確認手段)を複数備えるため、火災検知を正確に、かつ確実に行うことが可能となる。
また請求項2の発明によれば、防犯灯ポールは、火災検出手段を少なくとも2種類以上備えるため、より正確な火災検知を行うことが可能となる。
本発明の、請求項3の緊急通報システムによれば、通報又は火災発生信号が送信された場合、その通報又は火災発生信号を送信した防犯灯ポールの所在地を、監視センターに備えられた画像表示部で作業者が迅速に把握し、警察や消防に通報することができるため、路上犯罪の被害を最小限にとどめることができる。
また請求項4の発明によれば、火災検知時に警戒音ブザー及び警告灯が鳴動する構成により、防犯灯ポールの周囲への注意喚起を迅速に行うことができる。
さらに請求項5の発明によれば、通報者は不審者を目撃した場合、防犯灯ポールを介して通報を行うことができ、迅速に監視センターに救助を求めることができる。また、警戒音ブザー及び警告灯の鳴動により、不審者への威嚇、周囲の通行者への救助要請を行うことが可能となる。
さらにまた、請求項6の発明によれば、監視センターの作業者は、防犯灯ポールを介して常時音声による警告を行うことができ、また、監視センターからの遠隔操作により、警戒音ブザー及び警告灯を鳴動させることができるため、放火を含む路上犯罪を未然に防止する効果が高い。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施形態に係る緊急通報システムの構成図である。
【図2】本発明の実施形態に係る防犯灯ポールの概略側面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る図2のA側からの通報機器の概略正面図である。
【図4】本発明の実施形態に係る防犯灯ポール側制御機構の説明図である。
【図5】本発明の実施形態に係る防犯灯ポールのブロック図である。
【図6】本発明の実施形態に係る監視センターのブロック図である。
【図7】本発明の実施形態に係る画像表示部における画面構成の説明図である。
【図8】本発明の実施形態に係る通報時のフローチャート図である。
【図9】本発明の実施形態に係る監視センター側からの警告時のフローチャート図である。
【図10】本発明の実施形態に係る火災発生時のフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の実施形態に係る防犯灯ポール及び緊急通報システムを図面に基づいて説明する。なお、以下に説明する配置、構成等は、本発明を限定するものでなく、本発明の趣旨の範囲内で種々改変することができるものである。
【0027】
図1は本発明の実施形態に係る緊急通報システムの構成図、図2は本発明の実施形態に係る防犯灯ポールの概略側面図、図3は本発明の実施形態に係る図2のA側からの通報機器の概略正面図、図4は本発明の実施形態に係る防犯灯ポール側制御機構の説明図、図5は本発明の実施形態に係る防犯灯ポールのブロック図、図6は本発明の実施形態に係る監視センターのブロック図、図7は本発明の実施形態に係る画像表示部における画面構成の説明図、図8は本発明の実施形態に係る通報時のフローチャート図、図9は本発明の実施形態に係る監視センター側からの警告時のフローチャート図、図10は本発明の実施形態に係る火災発生時のフローチャート図である。
【0028】
本発明の実施形態に係る防犯灯ポール1は、図1に示すように、通学路等の道路の路肩、マンション、商店街、学校、駐輪及び駐車場、公園等の公共施設において、所定の間隔をおいて複数配設される。防犯灯ポール1は、ネットワーク3を介して、監視制御サーバー4、画像表示部5、コントローラー6及びインターホン7を備えた監視センター2に接続されている。本発明の防犯灯ポール1は、例えば、通行者が不審者に追いかけられる等の、緊急事態発生時に通報する時に使用される。
【0029】
図2は、防犯灯ポール1の概略側面図であり、図3は通報機器10の周辺部を図2のA側から見た概略正面図である。防犯灯ポール1は、地面から鉛直に立ち上がった支柱部11aの上端に歩道側或いは車道側に向けて突出した突出部11bが形成されており、この突出部11bに、少なくとも警戒音ブザー12、警告灯13、可動式の監視カメラ14を備えている。さらに防犯灯ポール1は、直立する支柱部11aの適当な位置に火災検知器15、通報のための通報機器10及びピンホールカメラ16を備え、さらに角型表示灯17を備えていると好ましい。また、防犯灯ポール1は、画像、音声等のデータ送受信用の機器を収納ボックス18内に備えている。図3及び図5に示すように、通報機器10は少なくとも通報用マイク19、通報用スピーカー20、通報ボタン21などの周辺機器を備える。
【0030】
なお、上記警戒音ブザー12の音量は、防犯灯ポール1の設置時等、適宜変更することができるが、音量の範囲は60〜85dB程度とすることが好ましい。上記警戒音ブザー12と警告灯13とを一体に形成したり、あるいは警戒音ブザー12を通報機器10の機器本体内に設けたりしても良い。また、警告灯13は赤色灯が好ましいが、その他、黄色灯等を用いることができる。これらの配置は、本発明の趣旨の範囲内であれば、特に図示したものに限定されることはない。
【0031】
監視カメラ14は、防犯灯ポール1の周辺の状況を常時動画で撮影するための可動式カメラである。したがって、撮影可能範囲は360°としてあり、そのカメラ角度の制御及びズーム等の切り替えは、監視センター2で適宜操作することができる。また、監視カメラ14として、一般的な防犯用カメラ(赤外線カメラ)を用いることができ、その形状はドーム型、箱型等、設計に応じ変更することができる。
【0032】
さらに監視カメラ14は、明所ではカラー画像を撮像し、暗所では白黒画像を撮像する。その際、画像信号をデジタル信号に変換するAD変換器を備え、そのデジタル画像の輝度の大小により、火災発生を検知することができる構成であると好ましい。
【0033】
火災検知器15は、防犯灯ポール1の周辺に発生した火災を検知するために備えられる。火災検知器15には一般的な火災検知器を用いることができ、透過光量の減少を検出する煙検出式、光ファイバ温度センサを用いた温度検出式、CO共鳴を用いて炎から発生する赤外線を検出する赤外線検出式、光の輝度を測定する方式等、様々な検出方式の火災検知器を利用することができる。
【0034】
ただし、監視カメラ14において、光の輝度を測定して火災を検知できる構成とした場合は、これ以外の火災検知方式を備えた火災検知器15とし、防犯灯ポール1が火災の検出方法を複数備えるようにすると好ましい。これにより、防犯灯ポール1が火災の検出を確実に行うことができるようになる。
【0035】
ピンホールカメラ16は、通報者の状況を撮影するために設置され、通報者と監視センター2の作業者の会話を補助する。ピンホールカメラ16には、上記監視カメラ14同様、一般的な防犯用カメラ(赤外線カメラ)を用いることができる。
【0036】
角型表示灯17は、防犯灯ポール1が暗所に設置された場合であっても、その所在を明確にするために設置されると好ましい。角型表示灯17は、LED照光と白熱球照光のいずれかを用いることができ、様々な照光色とすることができるが、暗所でも目立ちやすい乳白色又は赤色等を用いるのが好ましい。
【0037】
通報機器10に備えられた通報用マイク19及び通報用スピーカー20は、通報者が監視センター2の作業者と通話するために設置される。通報用マイク19及び通報用スピーカー20は、通報ボタン21が押圧された時、又は通報ボタン21が押圧されない場合でも、監視センター2の作業者が操作することにより、通話可能となる。監視センター2の作業者は、例えば、監視カメラ14により不審な人物等を認識した場合に、通話機能(通報用マイク19及び通報用スピーカー20)を作動させることにより、防犯灯ポールの周囲に対し、注意喚起を図ることができる。さらに、火災検知器15が火災を検知した場合も同様に通話可能となる。
【0038】
上記通報機器10は小さい子供でも押圧操作、及び通話可能な高さにあることが望ましい。また、通報機器10に備えられた通報ボタン21はその他の警戒音ブザー12、警告灯13等の電子機器に電気的に接続されており、通報ボタン21が押圧された場合、又は火災検知器15が火災を検知し、監視制御サーバー4から警報信号を受信した場合に警戒音ブザー12及び警告灯13が動作するように設置されている。警告灯13は点灯時に回転する回転式のもので、円筒形又はドーム型をしているものが好ましい。なお、点滅速度は40〜180rpm程度とすると好ましい。また、通報機器10及び警戒音ブザー12、警告灯13、火災検知器15等の電子機器は、全て防水構造を有し、雨水等の侵入によって誤作動したり腐食したりすることがないように構成されている。
【0039】
図4は、防犯灯ポール1側制御機構の説明図であり、具体的には、収納ボックス18に備えられた機器の概略図を示している。収納ボックス18内には、制御部31、送受信部32、画像処理部33、音声処理部34、電源35、ファン36等を備える。
【0040】
送受信部32は、ネットワーク3を介して、防犯灯ポール1と監視センター2との間で通信を行うために設置され、さらに具体的には、監視センター2に設置された監視制御サーバー4との間で通信を行うために設置される(図1を参照)。制御部31はCPUを備え、送受信部32はメディアコンバーター、HUB及び通信用ソフトウェア等で構成される。また、画像処理部33は、ビデオボード等で構成されている。さらにまた、制御部31は、画像処理部33から伝達された画像データから光の輝度を比較するソフトを備え、火災を検知する構成としてもよい。なお、これら制御部31、送受信部32、画像処理部33、音声処理部34及び各機器の電源35は収納ボックス18内に収められており、さらに収納ボックス18は、冷却用のファン36を備えている。なお、電源35は一般の電源に直接接続してもよいし、蓄電池を介して、一般電源或いは太陽電池による電力供給としてもよい。蓄電池を介して太陽電池からの電力供給にした場合には、電気のインフラが存在しない場所に設置することが可能となる。
【0041】
図5は、防犯灯ポール1のブロック図である。上述の監視カメラ14及びピンホールカメラ16で撮影された画像は、画像処理部33にて画像信号をデジタル化して画像データとした後、データ圧縮され、制御部31へ送られ、さらに送受信部32を経て、ネットワーク3を介して監視センター2に送信される。また、通報用マイク19から入力された音声は、音声処理部34にて音声信号をデジタル化して音声データとした後、データ圧縮され、上述の画像データの送信機構と同様の機構を経てネットワーク3を介して監視センター2に送信される。送信された画像及び音声は、監視センター2に備えられた監視制御サーバー4内の画像情報データベースDB4及び音声情報データベースDB5にそれぞれに記録される(図6参照)。
【0042】
制御部31は、通報ボタン21が押圧されたとき、又は火災検知器15が火災を検知したときに監視センター2に対してデータを送信すると共に、警戒音ブザー12及び警告灯13の動作制御を行うものである。
【0043】
ネットワーク3は、インターネットに限定されず、様々な通信手段を用いることができ、例えば、一般加入電話回線、LAN等の専用回線、ISDN(Integrated Services Digital Network)回線、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)回線、光回線、無線通信等が使用可能であるが、通信速度の速い光回線を用いるのが好ましい。また無線通信を用いると、設置場所のインフラを考慮しないで配設することが可能となる。
【0044】
図6は、監視センター2のブロック図である。監視センター2には、監視制御サーバー4、画像表示部5、コントローラー6及びインターホン7が少なくとも備えられている。監視制御サーバー4は、位置情報データベースDB1、地図情報データベースDB2、履歴情報データベースDB3、画像情報データベースDB4、音声情報データベースDB5が備えられ、通報時及び火災発生時等、防犯灯ポール1との間で通話があった場合、履歴情報を記録し、また、音声情報を記録する。さらに、緊急事態が発生していない時においても、監視カメラ14により撮影された画像は画像情報データベースDB4に収められる。
【0045】
位置情報データベースDB1は、各防犯灯ポール1に付された識別情報を見出しとして、設置場所及び設置場所の座標等が記録されている。防犯灯ポールは個々に識別情報を有しており、この識別情報は、監視制御サーバー4に備えられた主制御部41との間で通信を行うために必要なIPアドレス情報等が含まれている。
【0046】
地図情報データベースDB2は、防犯灯ポール1が設置された場所が判別しやすいように、画像表示部5において表示する際に必要な地図情報が記録されている。記録された地図情報は、主制御部41に備えられたマッピングソフトを用いて、上記位置情報データベースDB1に収められた位置情報とリンクすることにより、画像表示部5において、防犯灯ポール1が設置された場所を地図上で確認することができるようになる。
【0047】
履歴情報データベースDB3は、防犯灯ポール1からの通報時又は火災発生信号受信時の情報を記録する。この時、履歴管理のための見出しとなる通し番号、通報及び火災発生信号を受信した防犯灯ポールの識別情報、通報及び火災発生信号を受信した日時、通報及び火災の種別、処理結果等が記録される。
【0048】
画像情報データベースDB4は、監視カメラ14及びピンホールカメラ16により撮影された画像を記録する。このとき、画像データの見出しとなる通し番号等も同時に記録される。画像情報データベースDB4には、画像データをデジタル圧縮したものが記録されており、画像表示部5で任意の画像を作業者に提示することができる。
【0049】
音声情報データベースDB5は、通報時及び火災発生時等、監視センター2の作業者及び防犯灯ポール1との間でなされた会話等の音声情報を記録する。このとき、音声データの見出しとなる通し番号も同時に記録される。音声情報データベースDB5には、音声データをデジタル圧縮したものが記録されており、スピーカー46を介して、作業者に提示することができる。
【0050】
また、監視制御サーバー4は送受信部42を備え、防犯灯ポール1からの音声及び画像情報及び監視センター2の作業者からの音声を圧縮されたデジタルデータとして送受信する。さらに、監視制御サーバー4には主制御部41が備えられ、該主制御部41は、以下に説明する位置識別機能を備えている。また、主制御部41は、火災検知器15からの火災通報を受信すると、送受信部42を介して火災発生信号を防犯灯ポール1に備えられた制御部31に送信し、警戒音ブザー12及び警告灯13を作動させる。
【0051】
監視センター2に備えられた画像表示部5は、図7のように、監視カメラ14による映像、ピンホールカメラ16による映像、及びマッピング画像(不図示)を適宜選択して表示させることができ、これらを同時に表示させることもできる。なお、マッピング画像とは、地図上の防犯灯ポール1の設置箇所を示したものである。このとき、防犯灯ポール1の表示形式において、通報又は火災発生信号を送信した防犯灯ポール1のみを個別の色を用いることにより、判別しやすい形式で表示させることができる。
【0052】
また、このマッピング画像上で、通報又は火災発生信号を送信した防犯灯ポール1の近傍の防犯灯ポール1を選択し、選択された防犯灯ポール1の警戒音ブザー12及び警告灯13を鳴動させることも可能である。この時、監視センター2の作業者は、コントローラー6を操作することにより、画像表示部5に表示されたマッピング画像上に表示された防犯灯ポール1を選択し、警戒音ブザー12及び警告灯13を鳴動させる操作を行う。この操作により、主制御部41から選択された防犯灯ポール1へ制御信号が送信されることにより、任意の防犯灯ポール1の警戒音ブザー12及び警告灯13を鳴動させることができる。
【0053】
さらにまた、監視センター2からの制御信号を受信せずに、防犯灯ポール1が通報又は火災発生信号を送信した場合、周囲の任意の数の防犯灯ポール1の警戒音ブザー12及び警告灯13を鳴動させるように設定することもできる。
【0054】
監視制御サーバー4に備えられた送受信部42は、防犯灯ポール1との間で通信を行うために設置される。主制御部41はCPUを備え、送受信部42はメディアコンバーター、HUB及び通信用ソフトウェア等で構成される。
【0055】
画像表示部5は、例えばディスプレイ装置や液晶表示装置等が用いられる。パソコンのディスプレイや、テレビ、その他の表示装置を用いることができる。画像表示部の画面上には、監視カメラ14及びピンホールカメラ16により撮像された画像の他、画像情報データベースDB4に記録された画像を呼び出すことができる。また、図7のように、コントローラー6による制御信号種別(たとえば、「履歴」、「通話開始」、「通話終了」など)を表示させることもできる。このとき、画像表示部5をタッチパネルを搭載したディスプレイ装置とすることで、コントローラー6を用いずに各操作を行うことができるようになるため、各操作を簡便に行うことが可能となる。なお、その際は図6において、画像表示部5と主制御部41との間に、制御信号処理部44を設ける構成とする。
【0056】
また、監視センター2は制御信号処理部44に接続された操作手段43を有するコントローラー6と、音声処理部47に接続されたマイク45及びスピーカー46を有するインターホン7を備えている。監視センター2において、作業者の音声はマイク45を通した後、音声処理部47で圧縮されたデジタルデータに変換され、主制御部41を介して音声情報データベースDB5に記録される一方で、送受信部42を介して防犯灯ポール1に備えられた送受信部32に送信される。その後、防犯灯ポール1の音声処理部34において拡張され、通報用スピーカー20を通して通報者に音声が伝達される。
【0057】
コントローラー6は、監視カメラ14の角度等を制御する機能を備える。コントローラー6を操作することにより、制御信号処理部44を介してその制御信号をデータ化し、その後防犯灯ポール1に制御信号を送信することにより、監視カメラの角度を所望の角度に回動させ、調整する。
【0058】
さらにまた、コントローラー6は、警戒音ブザー12及び警告灯13の動作を制御する機構を備えており、ONOffを自在に切り替えることができる。
【0059】
次に、本発明に係る緊急通報システムにおいて、通報時の動作について、図8に基づいて説明する。
【0060】
ステップS101において、防犯灯ポール1に備えられた制御部31は、通報信号を検知したか否かを判定する。通報信号は、例えば路上犯罪に遭遇した通報者が通報ボタン21を押圧すると発生するが、ステップS101において、通報信号を検知したか否か判定し、通報信号を検知しない場合(ステップS101:NO)は検知するまで待機する。通報信号を検知した場合(ステップS101:YES)、ステップS102で、監視センター2との回線の接続が行なわれ、警戒音ブザー12を鳴動し、警告灯13を点灯する処理を行う。
【0061】
ステップS102の後で、ステップS103により、監視カメラ14を所定の位置にセットする処理を行う。このステップS103の後で、ステップS104により、防犯灯ポール1と監視センター2の作業者との間でピンホールカメラ16による画像・音声の送受信が開始され、通話可能となる処理を行う。
【0062】
ステップS104によって、画像・音声が監視センター2の作業者に届き、次のステップS105で、監視センター2の作業者により、現場状況の判断に際し、監視カメラ14による画像が所望の画像か否かの判定処理が行われる。このステップS105の判定処理は、具体的には、予め設定されたサンプルフレームに適合しているかどうかを対比判定するものである。ここで、サンプルフレームとは、設置のときに、予め設置位置周囲を撮影したもので、基準画像としているものである。なお基準画像は、監視カメラ14の撮像範囲で複数のものをフレームメモリ等に記憶しておき、これに基づいて、監視カメラ14の映像を重ね合わせて、対比判断される。
【0063】
ステップS105で、監視カメラ14の位置が適正でないと判定された場合(ステップS105:NO)、ステップS106で、監視センター2の作業者により、監視カメラ14の位置調整が行われる。この調整は、作業者が監視センター2に備えられたコントローラー6を遠隔操作することにより行われる。このステップS106は、具体的には、監視カメラ14の制御信号を検知するか否かを判定するもので、監視カメラ14の制御信号を検知した場合(ステップS106:YES)、ステップS107で監視カメラ14の位置を調整する。そして、ステップS105へ戻る。
【0064】
これにより、監視カメラ14位置が適正になるまで調整を行う。監視カメラ14の制御信号を検知しない場合(つまり作業者により監視カメラ14の操作が行われない場合:ステップS106:NO)、検知するまで待機する。また、ステップS105で監視カメラ14の位置が適正であると判断された場合(ステップS105:YES)には、次のステップS108に進む。
【0065】
ステップS108で、監視センター2の作業者により、通報者との会話が行われ、監視カメラ14及びピンホールカメラ16の画像から、現場の状況が確認される。このステップS108の処理は、具体的には、防犯灯ポール1に備えられた通報用マイク19及び通報用スピーカー20と、監視センター2に備えられたインターホン7との間で、通報者と監視センター2の作業者の音声を送受信することにより行われる。
【0066】
これにより、監視センター2の作業者により、不審者に対する警告が行われる。また、不図示の通報手段又は連絡手段によって、警察に通報するなどの処理が行われる。その後、ステップS109で、監視センター2の作業者により、画像、又は音声を基に通報者の安全が確保されたか否かが確認され、処理が終了したか否かが判定される。このステップS109の判定処理は、具体的には、防犯灯ポール1の制御部31が回線切断信号を検知したか否かを判定するもので、回線切断信号を検知した場合(つまり、通報者の安全が確保され、処理が終了したと作業者が判定した場合:ステップS109:YES)、次のステップS110に進む。一方、回線切断信号が検知されなかった場合(ステップS109:NO)、ステップS108に戻る。
【0067】
ステップS110では、防犯灯ポール1と監視センター2の回線が切断され、警戒音ブザー12及び警告灯13がOFFとなる処理を行う。なお、この時、防犯灯ポール1と監視センター2の間で送受信された音声、及び撮影された画像は音声及び画像情報として、監視制御サーバー4に備えられている音声情報データベースDB5及び画像情報データベースDB4にそれぞれ保存される。
【0068】
なお、不審者又は被疑者に対する対策として、防犯灯ポール1に、不図示のマーキング材放出装置を備えていてもよい。マーキング材としては、例えば、粘着性の色素を含有するカラーボールや、催涙剤、不快な臭いを有する液体等が挙げられ、被疑者を特定したり、撃退したりする効果を有するものが好ましい。
【0069】
次に、本発明に係る緊急通報システムにおいて、監視センター2の作業者が防犯灯ポール1に対して呼びかけを行う場合(通報を受ける前に、監視カメラ14の映像により監視センター2の作業者が危険を察知した場合)の動作について、図9に基づいて説明する。
【0070】
監視センター2の作業者は、監視カメラ14の画像を、監視センター2に備えられた画像表示部5を用いて常時監視することができる。このとき、不審者が防犯灯ポール1付近に確認された場合、以下のステップを経る。
【0071】
ステップS201において、防犯灯ポール1に備えられた制御部31は、接続信号を検知したか否かを判定する。接続信号は、監視センター2の作業者がコントローラー6を操作することで発生するが、ステップS201において、接続信号を検知したか否か判定し、防犯灯ポール1に備えられた制御部31が接続信号を検知しない場合(ステップS201:NO)、検知するまで待機する。接続信号を検知した場合(例えば、作業者が防犯灯ポール1に対し、呼びかけを行う場合:ステップS201:YES)、ステップS202で、監視センター2との回線の接続が行われる処理を行う。
【0072】
ステップS202の後で、ステップS203により、防犯灯ポール1と監視センター2の作業者との間でピンホールカメラ16による画像・音声の送受信が開始され、通話可能となる処理を行う。
【0073】
ステップS203によって、画像・音声が監視センター2の作業者に届き、次のステップS204で、監視センター2の作業者により、現場状況の判断に際し、監視カメラ14による画像が所望の画像か否かの判定処理が行われる。このステップS204の判定処理は、具体的には、予め設定されたサンプルフレームに適合しているかどうかを対比判定するものである。ここで、サンプルフレームとは、設置のときに、予め設置位置周囲を撮影したもので、基準画像としているものである。なお基準画像は、監視カメラ14の撮像範囲で複数のものをフレームメモリ等に記憶しておき、これに基づいて、監視カメラ14の映像を重ね合わせて、対比判断される。したがって、不審者が移動することがあっても、監視カメラ14の撮像範囲であれば、容易に対比判断することができる。
【0074】
ステップS204で、監視カメラ14の位置が適正でないと判定された場合(ステップS204:NO)、ステップS205で、監視センター2の作業者により、監視カメラ14の位置調整が行われる。この調整は、作業者が監視センター2に備えられたコントローラー6を遠隔操作することにより行われる。このステップS205は、具体的には、監視カメラ14の制御信号を検知するか否かを判定するもので、監視カメラ14の制御信号を検知した場合(ステップS205:YES)、ステップS206で監視カメラ14の位置を調整する。そして、ステップS204へ戻る。
【0075】
これにより、監視カメラ14の位置が適正になるまで調整を行う。監視カメラ14の制御信号を検知しない場合(つまり作業者により監視カメラ14の操作が行われない場合:ステップS205:NO)、検知するまで待機する。また、ステップS204で監視カメラ14の位置が適正であると判断された場合(ステップS204:YES)には、次のステップS207に進む。
【0076】
ステップS207で、監視センター2の作業者により、不審者に対する警告が行われ、監視カメラ14及びピンホールカメラ16の画像から、現場の状況が確認される。このステップS207の処理は、具体的には、防犯灯ポール1に備えられた通報用マイク19及び通報用スピーカー20と、監視センター2に備えられたインターホン7との間で、不審者の周囲の音声と監視センター2の作業者の音声を送受信することにより行われる。なお、この時、監視センター2の作業者により、現場の状況から判断して、コントローラー6を操作して警告信号が送信され、警戒音ブザー12及び警告灯13を動作させる処理を行うことも可能であり、また、不図示の通報手段又は連絡手段によって、警察に通報する処理を行うことも可能である。
【0077】
その後、ステップS208で、監視センター2の作業者により、画像、又は音声を基に防犯灯ポール1周辺の安全が確保されたか否かが確認され、処理が終了したか否かが判定される。このステップS208の判定処理は、具体的には、防犯灯ポール1の制御部31が回線切断信号を検知したか否かを判定するもので、回線切断信号を検知した場合(つまり、不審者への警告により、周囲の安全が確保され、処理が終了したと作業者が判定した場合:ステップS208:YES)、次のステップS209に進む。一方、回線切断信号が検知されなかった場合(ステップS208:NO)、ステップS207に戻る。
【0078】
ステップS209では、防犯灯ポール1と監視センター2の回線が切断される処理を行う。なお、この時、防犯灯ポール1と監視センター2の間で送受信された音声、及び撮影された画像は音声及び画像情報として、監視制御サーバー4に備えられている音声情報データベースDB5及び画像情報データベースDB4にそれぞれ保存される。
【0079】
上述のように、通報を受ける前に、監視センター2の作業者が監視カメラ14の画像から判断し、周囲に緊急事態を知らせることができる。さらに、犯罪が発生する前に不審者に対し警告することができるため、犯罪の発生を未然に防止することが可能となる。
【0080】
次に、火災検知器15又は監視カメラ14に備えられた輝度計により火災が検知された場合の動作について、図10に基づいて説明する。
【0081】
ステップS301において、防犯灯ポール1の制御部31は、火災検知器15又は監視カメラ14に備えられた輝度計が、火災を検知したか否かを判定する。ステップS301において、火災を検知しない場合(ステップS301:NO)は検知するまで待機する。火災を検知した場合(ステップS301:YES)、ステップS302で、監視センター2との回線の接続が行われる処理を行う。
【0082】
ステップS302の後で、ステップS303により、火災発生信号が防犯灯ポール1に備えられた制御部31によって送信され、監視センター2が防犯灯ポール1からの火災発生信号を受信したか否かの判定処理が行われる。ステップS303において、監視センター2に備えられた主制御部41が火災発生信号を受信しない場合(ステップS303:NO)、受信するまで待機する。火災発生信号を監視センター2に備えられた主制御部41が受信した場合(ステップS303:YES)、次のステップS304へ進む。
【0083】
ステップS304では、警報信号が監視センター2に備えられた主制御部41から防犯灯ポール1に備えられた制御部31に送信され、防犯灯ポール1に備えられた制御部31が警報信号を受信したか否かの判定処理が行われる。ステップS304において、防犯灯ポール1に備えられた制御部31が警報信号を受信しない場合(ステップS304:NO)、受信するまで待機する。警報信号を防犯灯ポール1に備えられた制御部31が受信した場合(ステップS304:YES)、次のステップS305へ進む。
【0084】
ステップS305で、防犯灯ポール1に備えられた警戒音ブザー12を鳴動し、警告灯13を点灯する処理を行う。ステップS305の後で、ステップS306により、監視カメラ14を所定の位置にセットする処理を行う。なお、ステップS306の後、ステップS307の前に、防犯灯ポール1と監視センター2の作業者との間でピンホールカメラ16の画像・音声の送受信を行い、通話可能とする処理を行ってもよい。
【0085】
次のステップS307で、監視センター2の作業者により、現場状況の判断に際し、監視カメラ14による画像が所望の画像か否かの判定処理が行われる。このステップS307の判定処理は、具体的には、予め設定されたサンプルフレームに適合しているかどうかを対比判定するものである。ここで、サンプルフレームとは、設置のときに、予め設置位置周囲を撮影したもので、基準画像としているものである。なお基準画像は、監視カメラ14の撮像範囲で複数のものをフレームメモリ等に記憶しておき、これに基づいて、監視カメラ14の映像を重ね合わせて、対比判断される。したがって、不審者が移動することがあっても、監視カメラ14の撮像範囲であれば、容易に対比判断することができる。したがって、輝度に基づいて火災を検知する場合、基準画像との比較により火災を検知できるため、火災検知の精度が向上する。
【0086】
ステップS307で、監視カメラ14の位置が適正でないと判定された場合(ステップS307:NO)、ステップS308で、監視センター2の作業者により、監視カメラ14の位置調整が行われる。この調整は、作業者が監視センター2に備えられたコントローラー6を遠隔操作することにより行われる。このステップS308は、具体的には、監視カメラ14の制御信号を検知するか否かを判定するもので、監視カメラ14の制御信号を検知した場合(ステップS308:YES)、ステップS309で監視カメラ14の位置を調整する。そして、ステップS307へ戻る。
【0087】
これにより、監視カメラ14の位置が適正になるまで調整を行う。監視カメラ14の制御信号を検知しない場合(つまり作業者により監視カメラ14の操作が行われない場合:ステップS308:NO)、検知するまで待機する。また、ステップS307で監視カメラ14の位置が適正であると判断された場合(ステップS307:YES)には、次のステップS310に進む。
【0088】
ステップS310で、監視センター2の作業者により、監視カメラ14及びピンホールカメラ16の画像に基づき、火災発生の確認が行われ、現場の状況が確認される。このステップS310の処理は、具体的には、防犯灯ポール1に備えられた監視カメラ14及びピンホールカメラ16と、監視センター2に備えられた画像表示部5との間で、防犯灯ポール1の周囲の画像を送受信することにより行われる。なお、この時、不図示の通報手段又は連絡手段によって、警察や消防に通報する処理を行うことも可能である。
【0089】
その後、ステップS311で、監視センター2の作業者により、画像、又は音声を基に防犯灯ポール1周辺の安全が確保されたか否かが確認され、処理が終了したか否かが判定される。このステップS311の判定処理は、具体的には、防犯灯ポール1の制御部31が回線切断信号を検知したか否かを判定するもので、回線切断信号を検知した場合(つまり、周囲の安全が確保され、処理が終了したと作業者が判定して、回線切断信号を送信した場合:ステップS311:YES)、次のステップS312に進む。一方、回線切断信号が検知されなかった場合(ステップS311:NO)、ステップS310に戻る。
【0090】
ステップS312では、防犯灯ポール1と監視センター2の回線が切断される処理を行う。なお、この時、防犯灯ポール1と監視センター2の間で送受信された音声、及び撮影された画像は音声及び画像情報として、監視制御サーバー4に備えられている音声情報データベースDB5及び画像情報データベースDB4にそれぞれ保存される。
【0091】
上述のように、本発明の防犯灯ポール1及び緊急通報システムは、火災検知器15を備えるため、放火等による火災に関し、早期発見が可能となる。したがって、各種防犯だけでなく、防火管理の効果が非常に高い緊急通報システムを提供することができる。
【0092】
さらに上記防犯灯ポール1に設置された機能は、既存に設置されている防犯カメラシステムに組み込むことができ、導入時のコストを削減することも可能である。
【符号の説明】
【0093】
DB1 位置情報データベース、DB2 地図情報データベース、DB3 履歴情報データベース、DB4 画像情報データベース、DB5 音声情報データベース、1 防犯灯ポール、2 監視センター、3 ネットワーク、4 監視制御サーバー、5 画像表示部、6 コントローラー、7 インターホン、10 通報機器、11a 支柱部、11b 突出部、12 警戒音ブザー、13 警告灯、14 監視カメラ、15 火災検知器、16 ピンホールカメラ、17 角型表示灯、18 収納ボックス、19 通報用マイク、20 通報用スピーカー、21 通報ボタン、31 制御部、32,42 送受信部、33 画像処理部、34,47 音声処理部、35 電源、36 ファン、41 主制御部、43 操作手段、44 制御信号処理部、45 マイク、46 スピーカー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
路上及び公共施設に設置され、ネットワークにより接続された監視センターに画像及び音声を含む信号を送受信する防犯灯ポールであって、
地面から鉛直に立ち上がった支柱部に、
通報機器と、ピンホールカメラと、警戒音ブザーと、警告灯と、可動式の監視カメラと、火災検知器と、前記ネットワークに接続され、信号及び情報を送受信する機器と、を備え、
前記通報機器は、通報ボタンと、通報用スピーカーと、通報用マイクとを有し、
前記信号及び情報を送受信する機器は、前記監視カメラ及び前記ピンホールカメラが接続された画像処理部と、前記通報用マイク及び前記通報用スピーカーが接続された音声処理部と、制御部と、送受信部と、電源と、を有し、
前記制御部は、前記警告灯と、前記警戒音ブザーと、前記火災検知器と、前記通報ボタンと、前記画像処理部と、前記音声処理部と、前記送受信部と接続され、
前記送受信部は、前記ネットワークを介して前記監視センターに接続されることを特徴とした防犯灯ポール。
【請求項2】
前記火災検知器は、煙検出式、温度検出式、赤外線検出式のうち、少なくとも一つ以上の検出手段を備えた火災検知器であって、
前記監視カメラは、光の輝度を測定するための輝度測定器を備えていることを特徴とする、請求項1に記載の防犯灯ポール。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の複数の防犯灯ポールと、該防犯灯ポールが前記ネットワークにより接続された前記監視センターと、から構築される緊急通報システムであって、
前記監視センターは、監視制御サーバーと、画像表示部と、コントローラーと、インターホンと、を備え、
前記監視制御サーバーは、少なくともマッピングソフトを備えた主制御部と、
前記防犯灯ポールの送受信部及び前記主制御部と接続され、前記防犯灯ポールからの信号及び情報を送受信する送受信部と、
前記主制御部に接続され、前記防犯灯ポールの座標に基づいた位置情報が記録された位置情報データベースと、
前記主制御部に接続され、前記防犯灯ポールが設置された地図情報が記録された地図情報データベースと、
前記主制御部に接続され、前記防犯灯ポールから信号及び情報を受信した日時を含む履歴情報を記録する履歴データベースと、
前記主制御部に接続され、前記監視カメラ及び前記ピンホールカメラにより撮影された画像情報を記録する画像情報データベースと、
前記主制御部に接続され、前記通報用マイク及び前記インターホンからの音声情報を記録する音声情報データベースと、を有し、
前記位置情報と、前記地図情報は、前記マッピングソフトにより、前記防犯灯ポールが設置された位置を地図上に描画させた画像に変換された後、前記画像表示部に表示されることを特徴とする緊急通報システム。
【請求項4】
前記防犯灯ポールの近傍における火災発生時に使用される緊急通報システムであって、
前記火災検知器又は前記監視カメラに備えられた前記輝度測定器が火災を検知して、前記防犯灯ポールから前記監視センターへ火災発生信号が送信され、前記監視センターから前記防犯灯ポールへ警報信号が伝達されることにより、前記警戒音ブザー及び前記警告灯が作動し、
前記画像情報及び前記音声情報が、前記防犯灯ポールと前記監視センターとの間で送受信されることを特徴とする、請求項3に記載の緊急通報システム。
【請求項5】
通報時に使用される緊急通報システムであって、
通報者が前記防犯灯ポールに備えられた前記通報ボタンを押圧することにより、前記警戒音ブザー及び前記警告灯が作動し、
前記画像情報及び前記音声情報が、前記防犯灯ポールと前記監視センターとの間で送受信されることを特徴とする、請求項3に記載の緊急通報システム。
【請求項6】
前記監視センターの作業者による警告時に使用される緊急通報システムであって、
前記監視センターの作業者が、前記監視センターに備えられたコントローラーを操作することにより、前記警戒音ブザー及び前記警告灯が作動し、
前記画像情報及び前記音声情報が、前記防犯灯ポールと前記監視センターとの間で送受信されることを特徴とする、請求項3に記載の緊急通報システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−282316(P2010−282316A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−133697(P2009−133697)
【出願日】平成21年6月3日(2009.6.3)
【出願人】(596179988)株式会社ドッドウエル ビー・エム・エス (13)
【Fターム(参考)】