説明

防皺性を有する伸縮性布地のためのオレフィンブロック組成物

エチレンマルチブロックコポリマーから製造することができる衣服を製造したとき、良好な防皺性および他の特性を有する組成物。生じる布地および衣服は、しばしば、良好な耐化学性、耐熱性を有し、かつ寸法的に安定である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互参照
米国の特許実務の目的上、2006年11月30日出願の米国特許仮出願第60/868,020号、2005年3月17日出願のPCT出願PCT/US2005/008917(Dow 63558D)(これは、次に、2004年3月17日出願の米国特許仮出願第60/553,906号に対する優先権を主張する)は参照によりそれら全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は防皺性を有するストレッチ布地のための改善された組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
テキスタイル物品、例えば、布地、リネンおよび衣服が用いられる場合、皺が表面に現れる。衣服、特には、セルロース系衣服の場合、衣服の着用および、特には、洗濯で皺が生じ、それが一般には望ましくない外見を生じる。皺を除くため、衣服の消費者は、アイロン掛け、プレスおよび厳重に監視された回転式乾燥さえをも含む様々な方法を用いる。頻繁な、もしくは困難な皺は消費者の不満につながる。テキスタイル物品の製造者およびデザイナーは、物品が皺形成を回避する能力および/もしくは最小限の労力で皺を迅速に取り除く能力を示すように、物品に耐久力のあるプレスを付与することを求めている。
【0004】
典型的な皺なし処理(時折、耐久性プレスコーティングとも呼ばれる)には、布地を幾つかの方式、典型的には、手洗いもしくは機械洗いによって洗浄するときに著しく劣化させない水素もしくは共有結合の付与が含まれる。この意味において、結合は恒久的であり、布地はその有用な寿命の間比較的皺なしである。典型的な耐久的プレスコーティングは、しばしば、布地、すなわち、テキスタイルの表面への化学コーティングの適用を含む。これらのコーティングは、通常、架橋剤および触媒を、布地においてその薬剤と材料、例えば、セルロースとの間に架橋が形成されるように含む。これらの架橋は、防皺性をもたらすだけではなく、寸法安定性を改善し、布地の平滑性を高め、かつひだ保持を改善し得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
防皺性をテキスタイルに付与するのに現在しばしば用いられる化学コーティングは比較的苛酷なものであり、多くの布地にとっては不適切である。皺なし処理を施すことができる伸縮性布地に対する継続した必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ここで提供されるものは、以下の1つまたはそれ以上を含む望ましい特性の組み合わせを有する伸縮性布地を含むテキスタイル物品である:寸法安定性、ヒートセット特性、皺なしにすることができる可能性、一次元または2つの次元における伸長可能性、ひだを保持する衣服にすることができる可能性、耐化学性、耐熱性および耐摩耗性、靱性等。一態様において、そのような布地は前記特性の1つまたはそれ以上を著しく劣化させることなしに手洗いもしくは機械洗いに耐えることができる。
【0007】
ここで提供される伸縮性布地もしくは伸縮性布地組成物は望ましい特性の均衡のとれた組み合わせを有する。ここで提供される布地は、典型的には、皺なし処理を施すことができる伸縮性布地である。ここで提供される伸縮性布地は:
(A)以下の特徴の1つまたはそれ以上を有するエチレン/α−オレフィンインターポリマー:
(1)ゼロを上回り約1.0までの平均ブロック指数および約1.3を上回る分子量分布Mw/Mn;または
(2)TREFを用いて分画するときに40℃〜130℃で溶出する、少なくとも0.5で約1までのブロック指数を有することを特徴とする少なくとも1つの分子画分;または
(3)約1.7〜約3.5のMw/Mn、少なくとも1つの摂氏度表示の融点Tmおよびグラム/立方センチメートル表示の密度d(ここで、Tmおよびdの数値は以下の関係に対応する:
Tm>−2002.9−4538.5(d)−2422.2(d)):または
(4)約1.7〜約3.5のMw/Mn、並びにJ/g表示の融解熱ΔHおよび最高DSCピークと最高CRYSRAFピークとの温度差として定義される摂氏度表示のデルタ量ΔTによって特徴づけられる(ここで、ΔTおよびΔHの数値は以下の関係:
ゼロを上回り130J/gまでのΔHについては、ΔT>−0.1299(ΔH)+62.81
130J/gを上回るΔHについては、ΔT≧48℃、
を有し、ここでCRYSTAFピークは累積ポリマーの少なくとも5パーセントを用いて決定され、並びにポリマーの5パーセント未満が識別可能なCRYSTAFピークを有する場合にはCRYSTAF温度は30℃である);または
(5)エチレン/α−オレフィンインターポリマーの圧縮成型フィルムで測定される300パーセント歪みおよび1サイクルでのパーセント表示の弾性回復率Re並びにグラム/立方センチメートル表示の密度dを有する(ここで、Reおよびdの数値は、エチレン/α−オレフィンインターポリマーが架橋相を実質的に含まないとき、以下の関係を満たす:
Re>1481−1629(d));または
(6)TREFを用いて分画するときに40℃〜130℃で溶出する分子画分であって、同じ温度間で溶出する比較ランダムエチレンインターポリマーよりも少なくとも5パーセント高いコモノマーモル含有率を有することを特徴とし、該比較ランダムエチレンインターポリマーは同じコモノマーを有し、かつエチレン/α−オレフィンインターポリマーのものから10パーセント以内のメルト指数、密度および(全ポリマーを基準にした)コモノマーモル含有率を有する分子画分;または
(7)25℃での貯蔵弾性率G’(25℃)および100℃での貯蔵弾性率G’(100℃)(ここで、G’(25℃)のG’(100℃)に対する比は約1:1〜約9:1の範囲である);並びに
(B)少なくとも1種類の他の物質;
を含み、ASTM D3107による測定で少なくとも8パーセントの伸長を有し、並びに皺なし処理を施した後、AATCC−124もしくはMarksおよびSpencer P134を用いる5回の洗浄の後に少なくとも3.0の耐久性プレス評点を有する。
【0008】
上記(1)〜(7)のエチレン/α−オレフィンインターポリマーの特徴は、あらゆる有意の架橋の前に、すなわち、架橋の前にエチレン/α−オレフィンインターポリマーに対してもたらされる。本発明において有用なエチレン/α−オレフィンインターポリマーは、望ましい特性に応じて、架橋していてもいなくてもよい。架橋の前に測定される特徴(1)〜(7)の使用によってそのインターポリマーを架橋することが必要であるかないかを示唆しようとするものではなく、その特徴が有意な架橋がないインターポリマーに対して測定されることのみを示唆しようとするものである。架橋は、具体的なポリマーおよび架橋の程度に応じて、これらの特性の各々を変化させることもさせないこともある。
【0009】
特定の実施形態において、ここで提供される伸縮性布地におけるエチレン/α−オレインインターポリマーは弾性繊維の形態にある。
【0010】
他の物質は、しばしば、木綿、亜麻、ラミー、レーヨン、ビスコース、麻、羊毛、絹、リネン、竹、テンセル(tencel)、ビスコース、モヘア、ポリエステル、ポリアミド、ポリプロピレン、他のセルロース誘導体、タンパク質もしくは合成繊維に加えてそれらの混合物からなる群より選択される。一実施形態において、他の物質はセルロース、羊毛もしくはそれらの混合物を含む。一実施形態において、布地は編まれているか、もしくは織られている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、(円によって表される)伝統的なランダムコポリマーおよび(三角によって表される)チーグラー・ナッタコポリマーと比較した、(ダイヤモンドによって表される)本発明のポリマーの融点/密度の関係を示す。
【図2】図2は、様々なポリマーのDSC溶融エンタルピーの関数としてのデルタDSC−CRYSTAFのプロットを示す。ダイヤモンドはランダムエチレン/オクテンコポリマーを表し;四角はポリマー例1〜4を表し;三角はポリマー例5〜9を表し;および円はポリマー例10〜19を表す。記号「X」はポリマー例A〜Fを表す。
【図3】図3は、(四角および円によって表される)本発明のインターポリマーおよび(三角によって表される、様々なDow AFFINITY(登録商標)ポリマーである)伝統的なコポリマーから製造される非配向性フィルムの弾性回復率に対する密度の効果を示す。四角は本発明のエチレン/ブテンコポリマーを表し;および円は本発明のエチレン/オクテンコポリマーを表す。
【図4】図4は、TREF分画エチレン/1−オクテンコポリマー画分のオクテン含有率対(円によって表される)実施例5のポリマー並びに(記号「X」によって表される)比較ポリマーEおよびFの画分のTREF溶出温度のプロットである。ダイヤモンドは伝統的なランダムエチレン/オクテンコポリマーを表す。
【図5】図5は、TREF分画エチレン/1−オクテンコポリマーのオクテン含有率 対 実施例5のポリマー(曲線1)および比較F(曲線2)の画分のTREF溶出温度のプロットである。四角は実施例Fを表し;および三角は実施例5を表す。
【図6】図6は、比較エチレン/1−オクテンコポリマー(曲線2)およびプロピレン/エチレン−コポリマー(曲線3)並びに異なる量の可逆的連鎖移動剤(chain shuttling agent)で製造される本発明の2種類のエチレン/1−オクテンブロックコポリマー(曲線1)の、温度の関数としての貯蔵弾性率のlogのグラフである。
【図7】図7は、幾つかの公知ポリマーと比較した、TMA(1mm)対(ダイヤモンドによって表される)幾つかの本発明のポリマーの曲げ弾性率のプロットを示す。三角は様々なDow VERSIFY(登録商標)ポリマーを表し;円は様々なランダムエチレン/スチレンコポリマーを表し;および四角は様々なDow AFFINITY(登録商標)ポリマーを表す。
【図8】図8は、オレフィンブロックコポリマーのe−ビーム照射対架橋パーセントのプロットを示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
一般定義
「ポリマー」は、同じタイプであろうと異なるタイプであろうと、モノマーを重合させることよって調製されるポリマー性化合物を意味する。一般用語「ポリマー」は、「ホモポリマー」、「コポリマー」という用語に加えて、「インターポリマー」という用語を包含する。
【0013】
「インターポリマー」は、少なくとも2つの異なるタイプのモノマーを重合させることによって調製されるポリマーを意味する。一般用語「インターポリマー」は、「コポリマー」(これは、通常、2つの異なるモノマーから調製されるポリマーを指すのに用いられる)という用語に加えて、「ターポリマー」(これは、通常、3つの異なるタイプのモノマーから調製されるポリマーを指すのに用いられる)という用語を含む。それは4つまたはそれ以上のタイプのモノマーを重合させることによって製造されるポリマーも包含する。
【0014】
「エチレン/α−オレフィンインターポリマー」という用語は、一般には、エチレンおよび3個またはそれ以上の炭素原子を有するα−オレフィンを含むポリマーを指す。好ましくは、エチレンは全ポリマーの大多数のモル分率を構成し、すなわち、エチレンは全ポリマーの少なくとも約50モルパーセントを構成する。より好ましくは、エチレンは少なくとも約60モルパーセント、少なくとも約70モルパーセント、もしくは少なくとも約80モルパーセントを構成し、全ポリマーの実質的な残部は、好ましくは3個またはそれ以上の炭素原子を有するα−オレフィンである、少なくとも1種類の他のコモノマーを含む。多くのエチレン/オクテンコポリマーでは、好ましい組成物は全ポリマーの約80モルパーセントを上回るエチレン含有率および全ポリマーの約10〜約15、好ましくは、約15〜約20モルパーセントのオクテン含有率を含む。幾つかの実施形態において、エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、低収率で、もしくは微量に、もしくは化学プロセスの副生物として生成されるものを含まない。エチレン/α−オレフィンインターポリマーは1またはそれ以上の種類のポリマーと配合することができるが、生成されたままのエチレン/α−オレフィンインターポリマーは実質的に純粋であり、重合プロセスの反応生成物の主要成分をしばしば構成する。
【0015】
エチレン/α−オレフィンブロックインターポリマーはエチレンおよび1またはそれ以上の共重合性α−オレフィンコモノマーを重合形態で含み、化学的もしくは物理的特性が異なる2またはそれ以上の重合モノマー単位の複数のブロックもしくはセグメントによって特徴づけられる。すなわち、エチレン/α−オレフィンインターポリマーはブロックインターポリマー、好ましくは、マルチブロックインターポリマーもしくはコポリマーである。「インターポリマー」および「コポリマー」という用語はここでは交換可能に用いられる。幾つかの実施形態において、このマルチブロックコポリマーは以下の式:
(AB)
によって表すことができ、式中、nは少なくとも1、好ましくは、1を上回る整数、例えば、2、3、4、5、10、15、20、30、40、50、60、70、80、90、100、もしくはそれを上回るものであり、「A」はハードブロックもしくはセグメントを表し、「B」はソフトブロックもしくはセグメントを表す。好ましくは、AおよびBは、実質的に分岐もしくは実質的に星状の形式とは対照的に、実質的に直線の形式で連結する。他の実施形態においては、AブロックおよびBブロックがポリマー鎖に沿って無作為に分布する。換言すると、これらのブロックコポリマーは、通常、以下のような構造を有することがない。
【化1】

【0016】
さらに他の実施形態においては、ブロックコポリマーは、通常、異なるコモノマーを含む第3のタイプのブロックを有してはいない。さらに別の実施形態においては、ブロックAおよびブロックBの各々がそのブロック内に実質的に無作為に分布するモノマーもしくはコモノマーを有する。換言すると、ブロックAおよびブロックBのいずれもが異なる組成の2またはそれ以上のサブセグメント(もしくはサブブロック)、例えば、そのブロックの残部とは実質的に異なる組成を有するチップセグメントを含むことがない。
【0017】
マルチブロックポリマーは、典型的には、様々な量の「ハード」および「ソフト」セグメントを含む。「ハード」セグメントは、エチレンがポリマーの重量を基準にして約95重量パーセントを上回る量で、好ましくは、約98重量パーセントを上回る量で存在する重合単位のブロックを指す。換言すると、ハードセグメント中のコモノマー含有率(エチレン以外のモノマーの含有率)は、ポリマーの重量を基準にして、約5重量パーセント未満、好ましくは、約2重量パーセント未満である。幾つかの実施形態においては、ハードセグメントがすべての、もしくは実質的にすべての、エチレンを含む。他方、「ソフト」セグメントは、コモノマー含有率(エチレン以外のモノマーの含有率)がポリマーの重量を基準にして約5重量パーセントを上回り、好ましくは、約8重量パーセントを上回り、約10重量パーセントを上回り、もしくは約15重量パーセントを上回る、重合単位のブロックを指す。幾つかの実施形態において、ソフトセグメント中のコモノマー含有率は約20重量パーセントを上回り、約25重量パーセントを上回り、約30重量パーセントを上回り、約35重量パーセントを上回り、約40重量パーセントを上回り、約45重量パーセントを上回り、約50重量パーセントを上回り、もしくは約60重量パーセントを上回り得る。
【0018】
ソフトセグメントは、しばしば、ブロックインターポリマー中に、ブロックインターポリマーの総重量の約1重量パーセント〜約99重量パーセント、好ましくは、ブロックインターポリマーの総重量の約5重量パーセント〜約95重量パーセント、約10重量パーセント〜約90重量パーセント、約15重量パーセント〜約85重量パーセント、約20重量パーセント〜約80重量パーセント、約25重量パーセント〜約75重量パーセント、約30重量パーセント〜約70重量パーセント、約35重量パーセント〜約65重量パーセント、約40重量パーセント〜約60重量パーセント、もしくは約45重量パーセント〜約55重量パーセントが存在し得る。反対に、ハードセグメントが同様の範囲で存在し得る。ソフトセグメントの重量パーセンテージおよびハードセグメントの重量パーセンテージはDSCもしくはNMRから得られるデータに基づいて算出することができる。そのような方法および計算は、「エチレン/α−オレフィンブロックインターポリマー」と題する、Colin L.P. Shan, Lonnie Hazlittらの名前で2006年3月15日出願され、Dow Global Technologies Inc.に譲渡された、同時に出願された米国特許出願第11/376,835号、代理人事件整理番号385063−999558に開示され、その開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0019】
「結晶性」という用語は、用いられる場合には、示差走査熱量測定(DSC)もしくは等価の技術によって決定される一次転移もしくは結晶融点(Tm)を有するポリマーを指す。この用語は「半結晶性」という用語と交換可能に用いることができる。「非晶質」という用語は、示差走査熱量測定(DSC)もしくは等価の技術によって決定される結晶融点を欠くポリマーを指す。
【0020】
「マルチブロックコポリマー」もしくは「セグメント化コポリマー」という用語は、2つまたはそれ以上の化学的に異なる領域もしくはセグメント(「ブロック」と呼ばれる)を含み、それらが、好ましくは、直線形式で結合するポリマー、すなわち、化学的に区別される単位を含み、それらが、重合したエチレン性官能基に対して、ペンダントもしくはグラフト化方式ではなく、端部を接して結合するポリマーを指す。好ましい実施形態において、これらのブロックは、そこに組み込まれるコモノマーの量もしくはタイプ、密度、結晶性の量、そのような組成のポリマーに起因するクリスタライトのサイズ、立体規則性(イソタクチックもしくはシンジオタクチック)のタイプもしくは程度、レギオ規則性(regio-regularity)もしくはレギオ不規則性、長鎖分岐もしくは超分岐(hyper-branching)を含む分岐の量、均質性、またはあらゆる他の化学的もしくは物理的特性が異なる。マルチブロックコポリマーは、それらのコポリマーを製造する独自プロセスによる、両多分散指数(polydispersity index)(PDIもしくはMw/Mn)、ブロック長分布および/もしくはブロック数分布の独特な分布によって特徴づけられる。より具体的には、連続法において製造されるとき、これらのポリマーは、望ましくは、1.7〜2.9、好ましくは1.8〜2.5、より好ましくは1.8〜2.2、最も好ましくは1.8〜2.1のPDIを有する。バッチもしくは半バッチ法において製造されるとき、これらのポリマーは1.0〜2.9、好ましくは1.3〜2.5、より好ましくは1.4〜2.0、最も好ましくは1.4〜1.8のPDIを有する。
【0021】
以下の説明において、ここで開示されるすべての数字は、「約」もしくは「おおよそ」という単語がそれらに関連して用いられるかどうかに関わらず、おおよその値である。それらは、1パーセント、2パーセント、5パーセント、もしくは時折は、10〜20パーセントだけ変化し得る。下限Rおよび上限Rを備える数値範囲が開示されるときにはいつでも、その範囲内に収まるあらゆる数字が明確に開示される。特には、その範囲内の以下の数字が明確に開示される:R=R+k(R−R)(式中、kは1パーセント〜100パーセントを1パーセント刻みで範囲とする変数であり、すなわち、kは1パーセント、2パーセント、3パーセント、4パーセント、5パーセント、...、50パーセント、51パーセント、52パーセント、...、95パーセント、96パーセント、97パーセント、98パーセント、99パーセント、もしくは100パーセントである)。さらに、上で定義される2つのR数によって定義されるあらゆる数値範囲も明確に開示される。
【0022】
(A)エチレン/α−オレフィンインターポリマー
本発明の実施形態において用いられるエチレン/α−オレフィンインターポリマー(「本発明のインターポリマー」もしくは「本発明のポリマー」とも呼ばれる)は、エチレンおよび1またはそれ以上の共重合性α−オレフィンコモノマーを重合形態で含み、化学的もしくは物理的特性が異なる2つまたはそれ以上の重合モノマー単位の複数のブロックもしくはセグメントによって特徴づけられ(ブロックインターポリマー)、好ましくは、マルチブロックインターポリマーである。これらのエチレン/α−オレフィンインターポリマーは以下のように説明される1またはそれ以上の態様によって特徴づけられる。
【0023】
一態様において、本発明の実施形態において用いられるエチレン/α−オレフィンインターポリマーは約1.7〜約3.5のM/M、少なくとも1つの摂氏度表示の融点Tおよびグラム/立方センチメートル表示の密度dを有し、これらの変数の数値は以下の関係に相当する:
>−2002.9+4538.5(d)−2422.2(d)、好ましくは
≧−6288.1+13141(d)−6720.3(d)、より好ましくは
≧858.91−1825.3(d)+1112.8(d)
【0024】
そのような融点/密度の関係が図1に図示される。その融点が密度の減少に伴って低下するエチレン/α−オレフィンの伝統的なランダムコポリマーとは異なり、(ダイヤモンドによって表される)本発明のインターポリマーは、特には密度が約0.87g/cc〜約0.95g/ccであるとき、密度とは実質的に無関係の融点を示す。例えば、そのようなポリマーの融点は、密度が0.875g/cc〜約0.945g/ccの範囲をとるとき、約110℃〜約130℃の範囲にある。幾つかの実施形態においては、そのようなポリマーの融点は、密度が0.875g/cc〜約0.945g/ccの範囲をとるとき、約115℃〜約125℃の範囲にある。
【0025】
別の態様において、エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、重合形態で、エチレンおよび1またはそれ以上のα−オレフィンを含み、最高示差走査熱量測定(「DSC」)ピークの温度から最高結晶化解析分別(Crystallization Analysis Fractionation)(「CRYSTAF」)ピークの温度を差し引いたものとして定義される、摂氏度表示のΔTおよびJ/g表示の融解熱ΔHによって特徴づけられ、ΔTおよびΔHは、130J/gまでのΔHについて、以下の関係を満たす:
ΔT>−0.1299(ΔH)+62.81、好ましくは
ΔT≧−0.1299(ΔH)+64.38、より好ましくは
ΔT≧−0.1299(ΔH)+65.95。
さらに、130J/gを上回るΔHについては、ΔTは48℃以上である。CRYSTAFピークは累積ポリマーの少なくとも5パーセントを用いて決定され(すなわち、そのピークは累積ポリマーの少なくとも5パーセントを表さなければならず)、5パーセント未満のポリマーが識別可能なCRYSTAFピークを有する場合、CRYSTAF温度は30℃であり、かつΔHはJ/g表示の融合熱の数値である。より好ましくは、最高CRYSTAFピークは累積ポリマーの少なくとも10パーセントを含む。図2は本発明のポリマーに加えて比較例のプロットされたデータを示す。積分ピーク面積およびピーク温度は機器製造業者によって供給されるコンピュータ化描画プログラムによって算出される。ランダムエチレンオクテン比較ポリマーについて示される対角線は、式ΔT=−0.1299(ΔH)+62.81に相当する。
【0026】
さらに別の態様において、エチレン/α−オレフィンインターポリマーは温度上昇溶離分別(「TREF」)を用いて分画するときに40℃〜130℃で溶離する分子画分を有し、その画分は同じ温度間で溶離する比較ランダムエチレンインターポリマー画分よりも高い、好ましくは少なくとも5パーセント高い、より好ましくは少なくとも10パーセント高い、コモノマーモル含有率を有することを特徴とし、その比較ランダムエチレンインターポリマーは同じコモノマーを有し、かつそのブロックインターポリマーのものから10パーセント以内のメルトインデックス、密度および(全ポリマーを基準とする)コモノマーモル含有率を有する。好ましくは、比較インターポリマーのMw/Mnもそのブロックインターポリマーのものから10パーセント以内にあり、および/もしくは比較インターポリマーはそのブロックインターポリマーのものから10重量パーセント以内の合計コモノマー含有率を有する。
【0027】
さらに別の態様において、エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、エチレン/α−オレフィンインターポリマーの圧縮成型フィルムで測定される、300パーセント歪みおよび1サイクルでのパーセント表示の弾性回復率Reによって特徴づけられ、かつグラム/立方センチメートル表示の密度dを有し、Reおよびdの数値は、エチレン/α−オレフィンインターポリマーが架橋相を実質的に含まないとき、以下の関係を満たす:
Re>1481−1629(d);好ましくは
Re≧1491−1629(d);より好ましくは
Re≧1501−1629(d);さらにより好ましくは
Re≧151l−1629(d)。
【0028】
図3は、特定の本発明のインターポリマーおよび伝統的なランダムコポリマーから製造される非配向フィルムの弾性回復率に対する密度の効果を示す。同じ密度では、本発明のインターポリマーは実質的により高い弾性回復率を有する。
【0029】
幾つかの実施形態において、エチレン/α−オレフィンインターポリマーは10MPaを上回る引張り強さ、好ましくは≧11MPaの引張り強さ、より好ましくは≧13MPaの引張り強さ、および/もしくは、11cm/分のクロスヘッド分離で、少なくとも600パーセント、より好ましくは少なくとも700パーセント、非常に好ましくは少なくとも800パーセント、最も非常に好ましくは少なくとも900パーセントの破断点伸びを有する。
【0030】
他の実施形態において、エチレン/α−オレフィンインターポリマーは(1)1〜50、好ましくは1〜20、より好ましくは1〜10の貯蔵弾性比G’(25℃)/G’(100℃)、および/もしくは(2)80パーセント未満、好ましくは70パーセント未満、特には60パーセント未満、50パーセント未満もしくは40パーセント未満で0パーセントの圧縮永久歪みまで低下する70℃圧縮永久歪みを有する。
【0031】
さらに他の実施形態において、エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、80パーセント未満、70パーセント未満、60パーセント未満もしくは50パーセント未満の70℃圧縮永久歪みを有する。好ましくは、これらのインターポリマーの70℃圧縮永久歪みは、40パーセント未満、30パーセント未満、20パーセント未満であり、約0パーセントまで低下することがある。
【0032】
幾つかの実施形態において、エチレン/α−オレフィンインターポリマーは85J/g未満の融合熱、並びに/または100ポンド/フィート(4800Pa)以下、好ましくは50lb/ft(2400Pa)以下、特には5lb/ft(240Pa)以下および0lb/ft(0Pa)という低さのペレットブロッキング強度を有する。
【0033】
他の実施形態において、エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、重合形態で、少なくとも50モルパーセントのエチレンを含み、かつ80パーセント未満、好ましくは70パーセント未満もしくは60パーセント未満、最も好ましくは40〜50パーセント未満でゼロパーセント近くまで低下する70℃圧縮永久歪みを有する。
【0034】
幾つかの実施形態において、マルチブロックコポリマーはポアソン分布よりもむしろシュルツ・フローリー分布に一致するPDIを有する。これらのコポリマーは、さらに、多分散ブロック分布およびブロックサイズの多分散分布の両者を有し、かつブロック長の最確分布を有するものとして特徴づけられる。好ましいマルチブロックコポリマーは、末端ブロックを含めて、4またはそれ以上のブロックもしくはセグメントを含むものである。より好ましくは、これらのコポリマーは、末端ブロックを含めて、少なくとも5、10もしくは20のブロックもしくはセグメントを含む。
【0035】
コモノマー含有率はあらゆる適切な技術を用いて測定することができ、核磁気共鳴(「NMR」)分析に基づく技術が好ましい。さらに、比較的幅広なTREF曲線を有するポリマーもしくはポリマーの配合物については、望ましくは、まずポリマーをTREFを用いて各々が10℃以下の溶離温度範囲を有する画分に分画する。すなわち、各々の溶離画分は10℃以下の収集温度窓を有する。この技術を用いることで、それらのブロックインターポリマーは、比較インターポリマーの対応画分よりも高いコモノマーモル含有率を有するような、少なくとも1つの画分を有する。
【0036】
別の態様において、本発明のポリマーは、好ましくはエチレンおよび1またはそれ以上の共重合性コモノマーを重合形態で含み、化学的もしくは物理的特性が異なる2またはそれ以上の重合モノマー単位の複数のブロック(すなわち、少なくとも2つのブロック)もしくはセグメント(ブロック化インターポリマー)によって特徴づけられるオレフィンインターポリマー、最も好ましくは、マルチブロックコポリマーであり、そのブロックインターポリマーは40℃〜130℃で溶離する(しかしながら、個々の画分の収集および/もしくは単離はない)ピークを有し(しかしながら、分子画分そのものではなく)、そのピークは半値全幅(full width/half maximum)(FWHM)面積計算を用いて拡張されるときに赤外分光測定によって見積もられるコモノマー含有率を有し、半値全幅(FWHM)面積計算を用いて拡張される同じ溶離温度の比較ランダムエチレンインターポリマーピークのものよりも高い、好ましくは少なくとも5パーセント高い、より好ましくは少なくとも10パーセント高い平均コモノマーモル含有率を有する。ここで、その比較ランダムエチレンインターポリマーは同じコモノマーを有し、かつそのブロック化インターポリマーのものから10パーセント以内のメルトインデックス、密度および(全ポリマーを基準とする)コモノマーモル含有率を有する。好ましくは、比較インターポリマーのMw/Mnもそのブロック化インターポリマーのものから10パーセント以内にあり、および/もしくは比較インターポリマーはそのブロック化インターポリマーのものから10重量パーセント以内の合計コモノマー含有率を有する。半値全幅(FWHM)計算はATREF赤外検出器からのメチルのメチレン応答面積に対する比[CH/CH]に基づくものであり、そこでは最も背の高い(最高)ピークを基線から識別した後、FWHM面積を決定する。ATREFピークを用いて測定される分布については、FWHM面積はTおよびTの間の曲線下の面積と定義され、TおよびTは、そのピーク高さを2で割った後、ATREF曲線の左右部分と交差する、基線に水平な線を引くことによってATREFピークの左右に対して決定される点である。コモノマー含有率の較正曲線は、ランダムエチレン/α−オレフィンコポリマーを用い、NMRからのコモノマー含有率 対 TREFピークのFWHM面積比をプロットして作成する。この赤外法では、較正曲線は関心のある同じコモノマーのタイプについて作成される。本発明のポリマーのTREFピークのコモノマー含有率は、そのTREFピークのFWHMメチル:メチレン面積比[CH/CH]を用いてこの較正曲線を参照することによって決定することができる。
【0037】
コモノマー含有率はあらゆる適切な技術を用いて測定することができ、核磁気共鳴(NMR)測定に基づく技術が好ましい。この技術を用いると、前記ブロック化インターポリマーは対応する比較インターポリマーよりも高いコモノマーモル含有率を有する。
【0038】
好ましくは、エチレンおよび1−オクテンのインターポリマーでは、ブロックインターポリマーは(−0.2013)T+20.07の量以上、より好ましくは、(−0.2013)T+21.07の量以上の、40〜130℃で溶離するTREF画分のコモノマー含有率を有し、式中、Tは、℃で測定される、比較されるTREF画分のピーク溶離温度の数値である。
【0039】
図4はエチレンおよび1−オクテンのブロックインターポリマーの実施形態をグラフ表示し、ここでは幾つかの比較エチレン/1−オクテンインターポリマー(ランダムコポリマー)のコモノマー含有率対TREF溶離温度のプロットが(−0.2013)T+20.07(実線)を表す線にフィットする。式(−0.2013)T+21.07の線は破線によって示される。本発明の幾つかのブロックエチレン/1−オクテンインターポリマー(マルチブロックコポリマー)の画分のコモノマー含有率も示される。すべてのブロックインターポリマー画分が等しい溶離温度でいずれかの線よりも有意に高い1−オクテン含有率を有する。この結果は本発明のインターポリマーに特徴的なものであり、結晶性および非晶質性の両者を有する、ポリマー鎖内の差別化されたブロックの存在のためであると考えられる。
【0040】
図5は、以下で論じられる実施例5および比較Fのポリマー画分のTREF曲線およびコモノマー含有率をグラフ表示する。両ポリマーの40〜130℃、好ましくは、60℃〜95℃で溶出するピークは3つの部分に分別され、各々の部分は10℃未満の温度範囲にわたって溶離する。実施例5の実際のデータは三角によって表される。熟練技術者は、異なるコモノマーを含むインターポリマーおよび、同じモノマーの比較インターポリマー、好ましくは、メタロセンもしくは他の均一触媒組成物を用いて製造されるランダムコポリマーから得られるTREF値にフィットされた、比較として用いられる線について、適切な較正曲線が構築できることを理解することができる。本発明のインターポリマーは、同じTREF溶離温度で較正曲線から決定される値よりも大きい、好ましくは少なくとも5パーセント大きい、より好ましくは少なくとも10パーセント大きい、コモノマーモル含有率によって特徴づけられる。
【0041】
上記態様およびここで説明される特性に加えて、本発明のポリマーは1またはそれ以上のさらなる特徴によって特徴付けることができる。一態様において、本発明のポリマーは、好ましくはエチレンおよび1またはそれ種類以上の共重合性コモノマーを重合形態で含み、化学的もしくは物理的特性が異なる2つまたはそれ以上の重合モノマー単位の複数のブロックもしくはセグメント(ブロック化インターポリマー)によって特徴づけられるオレフィンインターポリマー、最も好ましくはマルチブロックコポリマーであり、そのブロックインターポリマーはTREF増分を用いて分別するときに40℃〜130℃で溶離する分子画分を有し、その画分は同じ温度間で溶離する比較ランダムエチレンインターポリマー画分のものよりも高く、好ましくは少なくとも5パーセント高く、より好ましくは少なくとも10、15、20もしくは25パーセント高いコモノマーモル含有率を有し、その比較ランダムエチレンインターポリマーは同じコモノマーを含み、好ましくは、同じコモノマーであり、かつそのブロック化インターポリマーのものから10パーセント以内のメルト指数、密度および(全ポリマーを基準とする)コモノマーモル含有率を含む。好ましくは、比較インターポリマーのMw/Mnもそのブロック化インターポリマーのものから10パーセント以内にあり、および/もしくは比較インターポリマーはそのブロック化インターポリマーのものから10重量パーセント以内の合計コモノマー含有率を有する。
【0042】
好ましくは、上記インターポリマーはエチレンおよび少なくとも1種類のα−オレフィンのインターポリマー、特には、約0.855〜約0.935g/cmの全ポリマー密度を有するインターポリマーであり、とりわけ、約1モルパーセントを上回るコモノマーを有するポリマーについて、ブロック化インターポリマーは(−0.1356)T+13.89の量以上、より好ましくは(−0.1356)T+14.93の量以上、最も好ましくは(−0.2013)T+21.07の量以上の、40〜130℃で溶離するTREF画分のコモノマー含有量を有し、式中、Tは、℃で測定される、比較されるTREF画分のピークATREF溶離温度の数値である。
【0043】
好ましくは、エチレンおよび少なくとも1種類のアルファ−オレフィンの上記インターポリマー、特には、約0.855〜約0.935g/cmの全ポリマー密度を有するインターポリマー、とりわけ、約1モルパーセントを上回るコモノマーを有するポリマーについて、ブロック化インターポリマーは、(−0.2013)T+20.07の量以上、より好ましくは、(−0.2013)T+21.07の量以上の、40〜130℃で溶離するTREF画分のコモノマー含有率を有し、式中、Tは、℃で測定される、比較されるTREF画分のピーク溶離温度の数値である。
【0044】
さらに別の態様において、本発明のポリマーは、好ましくはエチレンおよび1またはそれ種類以上の共重合性コモノマーを重合形態で含み、化学的もしくは物理的特性が異なる2つまたはそれ以上の重合モノマー単位の複数のブロックもしくはセグメント(ブロック化インターポリマー)によって特徴づけられるオレフィンインターポリマー、最も好ましくは、マルチブロックコポリマーであり、そのブロックインターポリマーはTREF増分を用いて分別するときに40℃〜130℃で溶離する分子画分を有し、少なくとも約6モルパーセントのコモノマー含有率を有するすべての画分が約100℃を上回る融点を有することを特徴とする。約3モルパーセント〜約6モルパーセントのコモノマー含有率を有する画分については、すべての画分が約110℃以上のDSC融点を有する。より好ましくは、少なくとも1モルパーセントのコモノマーを有するそれらのポリマー画分が下記式に相当するDSC融点を有する:
Tm≧(−5.5926)(画分中のコモノマーのモルパーセント)+135.90。
【0045】
さらに別の態様において、本発明のポリマーは、好ましくはエチレンおよび1またはそれ種類以上の共重合性コモノマーを重合形態で含み、化学的もしくは物理的特性が異なる2つまたはそれ以上の重合モノマー単位の複数のブロックもしくはセグメントによって特徴づけられるオレフィンインターポリマー(ブロック化インターポリマー)、最も好ましくは、マルチブロックコポリマーであり、そのブロックインターポリマーはTREF増分を用いて分別するときに40℃〜130℃で溶離する分子画分を有し、約76℃以上のATREF溶離温度を有する全ての画分が、DSCによる測定で、以下の式に相当する溶融エンタルピー(融合熱)を有することを特徴とする:
融解熱(J/gm)≦(3.1718)(摂氏表示のATREF溶離温度)−136.58。
【0046】
本発明のブロックインターポリマーは、TREF増分を用いて分別するときに40℃〜130℃で溶離する分子画分を有し、40℃〜約76℃未満のATREF溶離温度を有する全ての画分が、DSCによる測定で、以下の式に対応する溶融エンタルピー(融解熱)を有することを特徴とする:
融解熱(J/gm)≦(1.1312)(摂氏表示のATREF溶離温度)+22.97。
【0047】
赤外検出器によるATREFピークのコモノマー組成測定
TREFピークのコモノマー組成はスペイン国バレンシアのPolymerChar(http://www.polymerchar.com/)から入手可能なIR4赤外検出器を用いて測定することができる。
【0048】
この検出器の「組成モード」は測定センサ(CH)および組成センサ(CH)を備え、これらは2800〜3000cm−1の領域の固定ナローバンド赤外フィルタである。測定センサはポリマーのメチレン(CH)炭素(これは溶液中のポリマー濃度に直接関連する)を検出し、それに対して組成センサはポリマーのメチル(CH)基を検出する。組成シグナル(CH)を測定シグナル(CH)で割った数学的な比は溶液中の測定されるポリマーのコモノマー含有率に影響を受け、その応答は既知のエチレン・アルファ−オレフィンコポリマー標準で較正する。
【0049】
この検出器は、ATREF増分と共に用いられるとき、TREFプロセスの最中に溶離するポリマーの濃度(CH)および組成(CH)の両者のシグナル応答をもたらす。ポリマーに特異的な較正は、(好ましくはNMRによって測定される)既知のコモノマー含有率を有するポリマーのCHのCHに対する面積比を測定することによって作成することができる。ポリマーのATREFピークのコモノマー含有率は、個々のCHおよびCH応答の面積の比の参照較正を適用することによって見積もることができる(すなわち、面積比CH/CH対コモノマー含有率)。
【0050】
ピークの面積は、適切な基線を適用してTREFクロマトグラムからの個々のシグナル応答を積分した後、半値全幅(FWHM)計算を用いて算出することができる。半値全幅計算はATREF赤外検出器からのメチルのメチレン応答面積に対する比[CH/CH]に基づくものであり、そこでは最も背の高い(最高)ピークを基線から識別した後、FWHM面積を決定する。ATREFピークを用いて測定した分布については、FWHM面積はT1およびT2の間の曲線下の面積と定義され、T1およびT2は、ピーク高さを2で割った後、ATREF曲線の左右部分と交差する、基線に水平の線を引くことにより、ATREFピークの左右に対して決定される点である。
【0051】
このATREF−赤外法におけるポリマーのコモノマー含有率の測定への赤外分光法の適用は、原理的には、以下の参考文献に記載されるGPC/FTIR系に類似する:Markovich, Ronald P.; Hazlitt, Lonnie G.; Smith, Linley; 「Development of gel-permeation chromatography-Fourier transform infrared spectroscopy for characterization of ethylene-based polyolefin copolymers」. Polymeric Materials Science and Engineering (1991), 65, 98-100.;およびDeslauriers, P.J.; Rohlfing, D.C.; Shieh, E.T.; 「Quantifying short chain branching microstructures in ethylene-1-olefin copolymers using size exclusion chromatography and Fourier transform infrared spectroscopy (SEC-FTIR)」, Polymer (2002), 43, 59-170(これらの両者とも参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる)。
【0052】
他の実施形態において、本発明のエチレン/α−オレフィンインターポリマーは、ゼロを上回って約1.0までの平均ブロック指数ABIおよび約1.3を上回る分子量分布M/Mによって特徴づけられる。平均ブロック指数ABIは、5℃の増分で20℃〜110℃の分取用TREFにおいて得られる、ポリマー画分の各々のブロック指数(「BI」の重量平均であり:
【数1】

式中、BIは分取用TREFにおいて得られる本発明のエチレン/α−オレフィンインターポリマーの第i画分のブロック指数であり、wは第i画分の重量パーセンテージである。
【0053】
各々のポリマー画分について、BIは以下の2つの式(それらの両者とも同じBI値をもたらす)のうちの一方によって定義され:
【数2】

式中、Tは(好ましくはケルビンで表される)第i画分の調製用ATREF溶離温度であり、Pは、上述のようにNMRもしくはIRによって測定することができる、第i画分のエチレンモル分率である。PABは(分画前の)全エチレン/α−オレフィンインターポリマーのエチレンモル分率であり、これもNMRもしくはIRによって測定することができる。TおよびPは純粋「ハードセグメント」(これはインターポリマーの結晶性セグメントを指す)のATREF溶離温度およびエチレンモル分率である。「ハードセグメント」の実際の値が利用可能ではない場合、一次近似として、TおよびP値は高密度ポリエチレンホモポリマーのものに設定される。ここで行われる計算では、Tは372°Kであり、Pは1である。
【0054】
ABは、PABのエチレンモル分率を有する、同じ組成のランダムコポリマーのATREF温度である。TABは以下の式から算出することができ:
LnPAB=α/TAB+β
式中、αおよびβは幾つかの既知ランダムエチレンコポリマーを用いる較正によって決定することができる2つの定数である。αおよびβは機器間で変化し得ることに注意すべきである。さらに、関心のあるポリマー組成物を用い、およびその上、それらの画分に類似する分子量範囲で、自身の較正曲線を創出する必要がある。僅かな分子量効果が存在する。較正曲線が類似の分子量範囲から得られる場合、そのような効果は本質的に無視し得る。幾つかの実施形態において、ランダムエチレンコポリマーは以下の関係を満たす:
LnP=−237.83/TATREF+0.639
XOは、Pのエチレンモル分率を有する、同じ組成のランダムコポリマーのATREF温度である。TXOはLnP=α/TXO+βから算出することができる。反対に、PXOは、TのATREF温度を有する、同じ組成のランダムコポリマーのエチレンモル分率であり、LnPXO=α/T+βから算出することができる。
【0055】
各々の分取用TREF画分のブロック指数(BI)が一度得られると、全ポリマーの重量平均ブロック指数ABIを算出することができる。幾つかの実施形態において、ABIはゼロを上回るが約0.3未満であるか、もしくは約0.1〜約0.3である。他の実施形態において、ABIは約0.3を上回って約1.0までである。好ましくは、ABIは約0.4〜約0.7、約0.5〜約0.7、もしくは約0.6〜約0.9の範囲内にあるべきである。幾つかの実施形態において、ABIは約0.3〜約0.9、約0.3〜約0.8、もしくは約0.3〜約0.7、約0.3〜約0.6、約0.3〜約0.5、もしくは約0.3〜約0.4の範囲内にある。他の実施形態において、ABIは約0.4〜約1.0、約0.5〜約1.0、もしくは約0.6〜約1.0、約0.7〜約1.0、約0.8〜約1.0、または約0.9〜約1.0の範囲内にある。
【0056】
本発明のエチレン/α−オレフィンインターポリマーの別の特徴は、本発明のエチレン/α−オレフィンインターポリマーが分取用TREFによって得ることができる少なくとも1つのポリマー画分を含み、その画分が約0.1を上回って約1.0までのブロック指数および約1.3を上回る分子量分布M/Mを有することである。幾つかの実施形態において、このポリマー画分は約0.6を上回って約1.0まで、約0.7を上回って約1.0まで、約0.8を上回って約1.0まで、もしくは約0.9を上回って約1.0までのブロック指数を有する。他の実施形態において、このポリマー画分は約0.1を上回って約1.0まで、約0.2を上回って約1.0まで、約0.3を上回って約1.0まで、約0.4を上回って約1.0まで、もしくは約0.4を上回って約1.0までのブロック指数を有する。さらに別の実施形態において、このポリマー画分は約0.1を上回って約0.5まで、約0.2を上回って約0.5まで、約0.3を上回って約0.5まで、約0.4を上回って約0.5までのブロック指数を有する。さらに別の実施形態において、このポリマー画分は約0.2を上回って約0.9まで、約0.3を上回って約0.8まで、約0.4を上回って約0.7まで、もしくは約0.5を上回って約0.6までのブロック指数を有する。
【0057】
エチレンおよびα−オレフィンのコポリマーについては、本発明のポリマーは、好ましくは、(1)少なくとも1.3、より好ましくは少なくとも1.5、少なくとも1.7、もしくは少なくとも2.0、最も好ましくは少なくとも2.6で、5.0の最大値まで、より好ましくは3.5の最大値まで、特には2.7の最大までのPDI;(2)80J/g以下の融解熱;(3)少なくとも50重量パーセントのエチレン含有率;(4)−25℃未満、より好ましくは、−30℃未満のガラス転移温度T;および/もしくは(5)唯一無二のTを有する。
【0058】
さらに、本発明のポリマーは、単独で、もしくは本明細書に開示される他のあらゆる特性との組み合わせで、貯蔵弾性率G’を、log(G’)が100℃の温度で400kPa以上、好ましくは、1.0MPa以上となるように有することができる。さらに、本発明のポリマーは比較的平坦な貯蔵弾性率を0〜100℃の範囲の温度の関数として有し(図6に図示される)、これはブロックコポリマーに特徴的なものであり、オレフィンコポリマー、特には、エチレンおよび1またはそれ種類以上のC3−8脂肪族α−オレフィンのコポリマーには従来知られていないものである。(この文脈において「比較的平坦」という用語が意味するところは、logG’(パスカル表示)の減少が50〜100℃の間、好ましくは、0〜100℃の間で一桁未満であることである。)
【0059】
本発明のインターポリマーは、少なくとも90℃の温度で1mmの熱機械的分析貫入深さに加えて、3kpsi(20MPa)〜13kpsi(90MPa)の曲げ弾性率によってさらに特徴付けることができる。その代わりに、本発明のインターポリマーは、少なくとも104℃の温度で1mmの熱機械的分析貫入深さに加えて、少なくとも3kpsi(20MPa)の曲げ弾性率を有することもできる。それらは90mm未満の耐摩耗性(もしくは体積損失)を有するものと特徴付けることができる。図7は、他の公知ポリマーと比較した、本発明のポリマーのTMA(1mm)対曲げ弾性率を示す。本発明のポリマーは他のポリマーよりも有意に良好な柔軟性−耐熱性バランスを有する。
【0060】
加えて、エチレン/α−オレフィンインターポリマーは0.01〜2000g/10分、好ましくは0.01〜1000g/10分、より好ましくは0.01〜500g/10分、特には0.01〜100g/10分のメルトインデックスIを有することができる。特定の実施形態において、エチレン/α−オレフィンインターポリマーは0.01〜10g/10分、0.5〜50g/10分、1〜30g/10分、1〜6g/10分もしくは0.3〜10g/10分のメルトインデックスIを有する。特定の実施形態において、エチレン/α−オレフィンポリマーのメルトインデックスは1g/10分、3g/10分もしくは5g/10分である。
【0061】
これらのインターポリマーは、1,000g/モル〜5,000,000g/モル、好ましくは1000g/モル〜1,000,000、より好ましくは10,000g/モル〜500,000g/モル、特には10,000g/モル〜300,000g/モルの分子量Mを有することができる。本発明のポリマーの密度は0.80〜0.99g/cm、好ましくは、エチレン含有ポリマーについて、0.85g/cm〜0.97g/cmであり得る。特定の実施形態において、エチレン/α−オレフィンポリマーの密度は0.860〜0.925g/cmもしくは0.867〜0.910g/cmの範囲をとる。
【0062】
これらのポリマーの製造方法は以下の特許出願に開示されている:2004年3月17日出願の米国特許仮出願第60/553,906号;2005年3月17日出願の米国特許仮出願第60/662,937号;2005年3月17日出願の米国特許仮出願第60/662,939号;2005年3月17日出願の米国特許仮出願第60/662,938号;2005年3月17日出願の米国特許仮出願第60/5662938号;2005年3月17日出願のPCT出願PCT/US2005/008916;2005年3月17日出願のPCT出願PCT/US2005/008915;および2005年3月17日出願のPCT出願PCT/US2005/008917(これらの全ては参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる)。例えば、そのような方法の1つは、エチレンおよび、任意に、エチレン以外の1またはそれ以上の種類の重合性モノマーを、付加重合条件下で:
(A)高コモノマー取り込み指数(comonomer incorporation index)を有する第1オレフィン重合触媒、
(B)触媒(A)のコモノマー取り込み指数の90パーセント未満、好ましくは50パーセント未満、最も好ましくは5パーセント未満のコモノマー取り込み指数を有する第2オレフィン重合触媒、および
(C)可逆的連鎖移動剤(chain shuttling agent)
を組み合わせることから生じる混合物もしくは反応生成物、
を含有する触媒組成物と接触させることを含む。
【0063】
代表的な触媒および可逆的連鎖移動剤は以下のようなものである。
【0064】
触媒(A1)は、WO 03/40195、2003US0204017、2003年5月2日出願のUSSN 10/429,024およびWO 04/24740の教示に従って調製される、[N−(2,6−ジ(1−メチルエチル)フェニル)アミド)(2−イソプロピルフェニル)(α−ナフタレン−2−ジイル(6−ピリジン−2−ジイル)メタン)]ハフニウムジメチルである:
【化2】

【0065】
触媒(A2)は、WO 03/40195、2003US0204017、2003年5月2日出願のUSSN 10/429,024およびWO 04/24740の教示に従って調製される、[N−(2,6−ジ(1−メチルエチル)フェニル)アミド)(2−メチルフェニル)(1,2−フェニレン−(6−ピリジン−2−ジイル)メタン)]ハフニウムジメチルである:
【化3】

【0066】
触媒(A3)は、ビス[N,N’’’−(2,4,6−トリ(メチルフェニル)アミド)エチレンジアミン]ハフニウムジベンジルである:
【化4】

【0067】
触媒(A4)は、実質的にUS−A−2004/0010103の教示に従って調製される、ビス((2−オキソイル−3−(ジベンゾ−1H−ピロール−1−イル)−5−(メチル)フェニル)−2−フェノキシメチル)シクロヘキサン−1,2−ジイルジルコニウム(IV)ジベンジルである:
【化5】

【0068】
触媒(B1)は、1,2−ビス−(3,5−ジ−t−ブチルフェニレン)(1−(N−(1−メチルエチル)イミノ)メチル)(2−オキソイル)ジルコニウムジベンジルである:
【化6】

【0069】
触媒(B2)は、1,2−ビス−(3,5−ジ−t−ブチルフェニレン)(1−(N−(2−メチルシクロヘキシル)−イミノ)メチル)(2−オキソイル)ジルコニウムジベンジルである:
【化7】

【0070】
触媒(C1)は、実質的にUSP6,268,444の教示に従って調製される、(t−ブチルアミド)ジメチル(3−N−ピロリル−1,2,3,3a,7a−η−インデン−1−イル)シランチタンジメチルである:
【化8】

【0071】
触媒(C2)は、実質的にUS−A−2003/004286の教示に従って調製される、(t−ブチルアミド)ジ(4−メチルフェニル)(2−メチル−1,2,3,3a,7a−η−インデン−1−イル)シランチタンジメチルである:
【化9】

【0072】
触媒(C3)は、実質的にUS−A−2003/004286の教示に従って調製される、(t−ブチルアミド)ジ(4−メチルフェニル)(2−メチル−1,2,3,3a,8a−η−s−インダセン−1−イル)シランチタンジメチルである:
【化10】

【0073】
触媒(D1)は、Sigma−Aldrichから入手可能な、二塩化ビス(ジメチルジシロキサン)(インデン−1−イル)ジルコニウムである:
【化11】

【0074】
可逆的移動剤(shuttling agent) 用いられる可逆的移動剤には、ジエチル亜鉛、ジ(i−ブチル)亜鉛、ジ(n−ヘキシル)亜鉛、トリエチルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリエチルガリウム、i−ブチルアルミニウムビス(ジメチル(t−ブチル)シロキサン)、i−ブチルアルミニウムビス(ジ(トリメチルシリル)アミド)、n−オクチルアルミニウムジ(ピリジン−2−メトキシド)、ビス(n−オクタデシル)i−ブチルアルミニウム、i−ブチルアルミニウムビス(ジ(n−ペンチル)アミド)、n−オクチルアルミニウムビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノキシド)、n−オクチルアルミニウムジ(エチル(1−ナフチル)アミド)、エチルアルミニウムビス(t−ブチルジメチルシロキシド)、エチルアルミニウムジ(ビス(トリメチルシリル)アミド)、エチルアルミニウムビス(2,3,6,7−ジベンゾ−1−アザシクロヘプタンアミド)、n−オクチルアルミニウムビス(2,3,6,7−ジベンゾ−1−アザシクロヘプタンアミド)、n−オクチルアルミニウムビス(ジメチル(t−ブチル)シロキシド、エチル亜鉛(2,6−ジフェニルフェノキシド)およびエチル亜鉛(t−ブトキシド)が含まれる。
【0075】
好ましくは、前記方法は、相互交換が不可能である複数の触媒を用いる、ブロックコポリマー、特には、マルチブロックコポリマー、好ましくは、2またはそれ以上の種類のモノマー、特にはエチレンおよびC3−20オレフィンもしくはシクロオレフィン、とりわけ、エチレンおよびC4−20α−オレフィンの直鎖マルチブロックコポリマーを形成するための連続溶液法の形態をとる。すなわち、これらの触媒は化学的に異なる。連続溶液重合条件の下で、この方法はモノマーの混合物の高モノマー変換での重合に理想的に適合する。これらの重合条件の下で、可逆的連鎖移動剤から触媒への移動(シャトリング)は鎖生長と比較して有利になり、マルチブロックコポリマー、特には、直鎖マルチブロックコポリマーが高い効率で形成される。
【0076】
本発明のインターポリマーは、従来のランダムコポリマー、ポリマーの物理的配合物および連続モノマー添加、流動触媒、アニオンもしくはカチオンリビング重合技術によって調製されるブロックコポリマーと区別することができる。特には、同等の結晶化度もしくは弾性率の同じモノマーおよびモノマー含有率のランダムコポリマーと比較して、本発明のインターポリマーは、融点によって測定されるより良好な(より高い)耐熱性、より高いTMA貫入温度、より強い高温引張り強さ、および/もしくは動的機械分析によって決定されるより高い高温ねじれ貯蔵弾性率を有する。同じモノマーおよびモノマー含有率を有するランダムコポリマーと比較して、本発明のインターポリマーは、特には高温での、より少ない圧縮永久歪み、より少ない応力緩和、より高いクリープ耐性、より高い引き裂き強度、より高いブロッキング耐性、より高い結晶化(固化)温度によるより速い準備、(特には高温での)より高い回復率、より良好な耐摩耗性、より強い開離力並びにより良好な油および充填剤受容性を有する。
【0077】
本発明のインターポリマーは独自の結晶化および分岐分布の関係をも示す。すなわち、本発明のインターポリマーは、特には同じモノマーおよびモノマーレベルを有するランダムコポリマーもしくはポリマーの物理的配合物、例えば、同等の全体密度の高密度ポリマーおよび低密度コポリマーの配合物と比較したとき、CRYSTAFおよびDSCを用いて融解熱の関数として測定される最高ピーク温度に比較的大きな差がある。本発明のインターポリマーのこの独自の特徴は、ポリマー主鎖内のブロックにおけるコモノマーの独自分布によるものと考えられる。特には、本発明のインターポリマーは、異なるコモノマー含有率の交互ブロック(ホモポリマーブロックを含む)を含むことができる。本発明のインターポリマーは、密度もしくはコモノマー含有率が異なるポリマーブロックの数および/もしくはブロックサイズに、シュルツ・フローリー型の分布である、分布を有していてもよい。加えて、本発明のインターポリマーは、ポリマーの密度、弾性率および形態とは実質的に無関係である、独自のピーク融点および結晶化温度プロフィールを有することもできる。好ましい実施形態において、これらのポリマーの微結晶階層では、1.7未満であり、もしくは1.5未満でさえあり、1.3未満にまで低下するPDI値であっても、ランダムもしくはブロックコポリマーと区別し得る特徴的な小球体および積層体が示される。
【0078】
さらに、本発明のインターポリマーは、ブロック化(blockiness)の程度もしくはレベルに影響を及ぼす技術を用いて調製することができる。すなわち、触媒および可逆的移動剤の比およびタイプに加えて重合の温度および他の重合変数を制御することにより、コモノマーの量および各ポリマーブロックもしくはセグメントの長さを変化させることができる。この現象の驚くべき利点は、ブロック化の程度が増加するに従い、生じるポリマーの光学特性、引き裂き強度および高温回復特性が改善されるという発見である。特には、ポリマー中のブロックの平均数が増加するに従い、透明度、引き裂き強度および高温回復特性が増加しつつ曇りが減少する。望ましい可逆的連鎖移動能力(低レベルの鎖生長停止で高速のシャトリング)を有する可逆的移動剤および触媒の組み合わせを選択することにより、他の形態のポリマー生長停止が効率的に抑制される。したがって、本発明の実施形態によるエチレン/α−オレフィンコモノマー混合物の重合において観察されるβ−ヒドリド除去は、存在するとしても僅かであり、生じる結晶性ブロックは高度にもしくは実質的に完全に直鎖であり、長鎖分岐はほとんどもしくは全く存在しない。
【0079】
高度に結晶性の鎖末端を有するポリマーを本発明の実施形態に従って選択的に調製することができる。エラストマー用途において、非晶質ブロックで停止するポリマーの相対量を減少させることは結晶領域に対する分子間希薄効果(intermolecular dilutive effect)を弱める。この結果は、水素もしくは他の連鎖停止剤に対して適切に応答する可逆的連鎖移動剤および触媒を選択することによって得ることができる。具体的には、高度に結晶性のポリマーを生成する触媒が(例えば、より多くのコモノマー取り込み、レギオエラーもしくはアタクチックポリマーの形成によって)より結晶性の少ないポリマーセグメントを生成する原因である触媒よりも(例えば、水素の使用による)鎖生長停止の影響を受けやすい場合、高度に結晶性のポリマーセグメントがそのポリマーの停止部分を優先的に占める。生じる停止基が結晶性であるだけではなく、停止時に、高度に結晶性のポリマーを形成する触媒部位をポリマー形成の再開に再度利用することができる。したがって、最初に形成されるポリマーは他方では高度に結晶性のポリマーセグメントである。したがって、生じるマルチブロックコポリマーの両端は優先的に高度に結晶性である。
【0080】
本発明の実施形態において用いられるエチレン・α−オレフィンインターポリマーは、好ましくは、エチレンと少なくとも1種類のC−C20α−オレフィンとのインターポリマーである。エチレンおよびC−C20α−オレフィンのコポリマーが特に好ましい。これらのインターポリマーは、C−C18ジオレフィンおよび/もしくはアルケニルベンゼンをさらに含むことができる。エチレンとの重合に有用な適切な不飽和コモノマーには、例えば、エチレン性不飽和モノマー、共役もしくは非共役ジエン、ポリエン、アルケニルベンゼン等が含まれる。そのようなコモノマーの例には、C−C20α−オレフィン、例えば、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン等が含まれる。1−ブテンおよび1−オクテンが特に好ましい。他の適切なモノマーには、スチレン、ハロもしくはアルキル置換スチレン、ビニルベンゾシクロブタン、1,4−ヘキサジエン、1,7−オクタジエンおよびナフテン系物質(例えば、シクロペンテン、シクロヘキセンおよびシクロオクテン)が含まれる。
【0081】
エチレン/α−オレフィンインターポリマーが好ましいポリマーではあるが、他のエチレン/オレフィンポリマーを用いることもできる。ここで用いられるオレフィンは、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含む不飽和炭化水素系化合物の系統群を指す。触媒の選択に応じて、あらゆるオレフィンを本発明の実施形態において用いることができる。好ましくは、適切なオレフィンは、ビニル性不飽和を含むC−C20脂肪族および芳香族化合物に加えて、環状化合物、例えば、シクロブテン、シクロペンテン、ジシクロペンタジエン並びに、5および6位がC−C20ヒドロカルビルもしくはシクロヒドロカルビル基で置換されたノルボルネンを含むがこれに限定されるものではない、ノルボルネンである。そのようなオレフィンの混合物に加えてそのようなオレフィンとC−C-40ジオレフィン化合物との混合物も含まれる。
【0082】
オレフィンモノマーの例には、これらに限定されるものではないが、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセンおよび1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4,6−ジメチル−1−ヘプテン、4−ビニルシクロヘキセン、ビニルシクロヘキサン、ノルボルナジエン、エチリデンノルボルネン、シクロペンテン、シクロヘキセン、ジシクロペンタジエン、シクロオクテン、C−C40ジエン(これには1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン、1,9−デカジエンが含まれるがこれらに限定されるものではない)、他のC−C40α−オレフィン等が含まれる。特定の実施形態において、α−オレフィンはプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンもしくはそれらの組み合わせである。ビニル基を含むあらゆる炭化水素を本発明の実施形態において潜在的に用いることができるが、実務上の問題、例えば、モノマーの利用可能性、経費および生じるポリマーから未反応モノマーを簡単に除去する能力が、モノマーの分子量が過度に大きくなるに従い、より問題となり得る。
【0083】
ここで説明される重合法は、スチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、t−ブチルスチレン等を含むモノビニリデン芳香族モノマーを含有するオレフィンポリマーの製造に適する。特には、エチレンおよびスチレンを含むインターポリマーをここでの教示に従うことによって調製することができる。任意に、エチレン、スチレンおよびC−C20α−オレフィンを含み、任意にC−C20ジエンを含む、改善された特性を有するコポリマーを調製することができる。
【0084】
適切な非共役ジエンモノマーは、6〜15個の炭素原子を有する、直鎖、分岐鎖もしくは環状炭化水素ジエンであり得る。適切な非共役ジエンの例には、これらに限定されるものではないが、直鎖非環式ジエン、例えば、1,4−ヘキサジエン、1,6−オクタジエン、1,7−オクタジエン、1,9−デカジエン、分岐鎖非環式ジエン、例えば、5−メチル−1,4−ヘキサジエン;3,7−ジメチル−1,6−オクタジエン;3,7−ジメチル−1,7−オクタジエン並びにジヒドロミリセンおよびジヒドロオシネンの混合異性体、単環脂環式ジエン、例えば、1,3−シクロペンタジエン;1,4−シクロヘキサジエン;1,5−シクロオクタジエンおよび1,5−シクロドデカジエン、並びに多環脂環式縮合環および架橋環ジエン、例えば、テトラヒドロインデン、メチルテトラヒドロインデン、ジシクロペンタジエン、ビシクロ−(2,2,1)−ヘプタ−2,5−ジエン;アルケニル、アルキリデン、シクロアルケニルおよびシクロアルキリデンノルボルネン、例えば、5−メチレン−2−ノルボルネン(MNB);5−プロペニル−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、5−(4−シクロペンテニル)−2−ノルボルネン、5−シクロヘキシリデン−2−ノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネンおよびノルボルナジエンが含まれる。EPDMの調製に典型的に用いられるジエンのうち、特に好ましいジエンは、1,4−ヘキサジエン(HD)、5−エチリデン−2−ノルボルネン(ENB)、5−ビニリデン−2−ノルボルネン(VNB)、5−メチレン−2−ノルボルネン(MNB)およびジシクロペンタジエン(DCPD)である。特に好ましいジエンは5−エチリデン−2−ノルボルネン(ENB)および1,4−ヘキサジエン(HD)である。
【0085】
本発明の実施形態に従って製造することができる望ましいポリマーの1クラスは、エチレン、C−C20α−オレフィン、特にはプロピレン、および、任意に、1またはそれ以上の種類のジエンモノマーのエラストマー性インターポリマーである。本発明のこの実施形態において用いるのに好ましいα−オレフィンは式CH=CHRで表され、式中、Rは1〜12個の炭素原子の直鎖もしくは分岐鎖アルキル基である。適切なα−オレフィンの例には、これらに限定されるものではないが、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテンおよび1−オクテンが含まれる。特に好ましいα−オレフィンはプロピレンである。プロピレン系ポリマーは、当分野において、一般にEPもしくはEPDMポリマーと呼ばれる。そのようなポリマー、特には、マルチブロックEPDM型ポリマーの調製において用いるのに適するジエンには、4〜20個の炭素を含む、共役もしくは非共役、直鎖もしくは分岐鎖、環状もしくは多環式ジエンが含まれる。好ましいジエンには、1,4−ペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、シクロヘキサジエンおよび5−ブチリデン−2−ノルボルネンが含まれる。特に好ましいジエンは5−エチリデン−2−ノルボルネンである。
【0086】
ジエン含有ポリマーはより多量もしくはより少量のジエン(無しを含む)およびα−オレフィン(無しを含む)を含有する交互セグメントもしくはブロックを含むため、その後のポリマーの特性を失うことなしに、ジエンおよびα−オレフィンの総量を減少させることができる。すなわち、ジエンおよびα−オレフィンモノマーが、ポリマー全体を通して均一もしくは無作為にではなく、むしろポリマーのあるタイプのブロックに優先的に取り込まれるため、それらがより有効に利用され、それに続いてポリマーの架橋密度をより良好に制御することができる。そのような架橋性エラストマーおよび硬化生成物は、より強い引張り強さおよびより良好な弾性回復率を含む、有利な特性を有する。
【0087】
幾つかの実施形態において、異なる量のコモノマーを取り込む2種類の触媒で製造された本発明のインターポリマーは、95:5〜5:95の、それにより形成されるブロックの重量比を有する。これらのエラストマー性ポリマーは、望ましくは、そのポリマーの総重量を基準にして、20〜90パーセントのエチレン含有率、0.1〜10パーセントのジエン含有率および10〜80パーセントのα−オレフィン含有率を有する。さらに好ましくは、それらのマルチブロックエラストマー性ポリマーは、そのポリマーの総重量を基準にして、60〜90パーセントのエチレン含有率、0.1〜10パーセントのジエン含有率および10〜40パーセントのα−オレフィン含有率を有する。好ましいポリマーは、10,000〜約2,500,000、好ましくは20,000〜500,000、より好ましくは20,000〜350,000の重量平均分子量(Mw)および3.5未満、より好ましくは3.0未満の多分散性および1〜250のムーニー粘度(ML(1+4)125℃)を有する高分子量ポリマーである。より好ましくは、そのようなポリマーは65〜75パーセントのエチレン含有率、0〜6パーセントのジエン含有率および20〜35パーセントのα−オレフィン含有率を有する。
【0088】
これらのエチレン/α−オレフィンインターポリマーは、少なくとも1つの官能基をそのポリマー構造に組み込むことによって官能化することができる。例示的な官能基には、例えば、エチレン性不飽和一もしくは二官能性カルボン酸、エチレン性不飽和一もしくは二官能性カルボン酸無水物、それらの塩およびそれらのエステルが含まれ得る。そのような官能基はエチレン/α−オレフィンインターポリマーにグラフト化することができ、もしくはエチレンおよび任意のさらなるコモノマーと共重合させてエチレン、官能性コモノマーおよび、任意に、他のコモノマーのインターポリマーを形成することができる。ポリエチレンに官能基をグラフト化するための手段は、例えば、米国特許第4,762,890号、第4,927,888号および第4,950,541号に記載され、これらの特許の開示は参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。特に有用な官能基の1つは無水マレイン酸である。
【0089】
官能性インターポリマー中に存在する官能基の量は変化し得る。官能基は、典型的には、コポリマー型官能化インターポリマー中に、少なくとも約1.0重量パーセント、好ましくは少なくとも約5重量パーセント、より好ましくは少なくとも約7重量パーセントの量で存在し得る。官能基は、典型的には、コポリマー型官能化インターポリマー中に、約40重量パーセント未満、好ましくは約30重量パーセント未満、より好ましくは約25重量パーセント未満の量で存在し得る。
【0090】
弾性線維
所定の布地におけるエチレン/α−オレフィンインターポリマーの量は、望ましい特性、望ましい用途およびその布地の他の構成要素に依存する。一実施形態において、エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、その布地の重量基準で、少なくとも約2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18、20、22、24、26もしくは28、30パーセントまで、もしくはそれを上回るものを構成する。エチレン/α−オレフィンインターポリマーはその布地の約30重量パーセント未満、28、26、24、22、20、18、16、14、12、10、9、8、7、6、5、4もしくは3重量パーセント未満を構成することができる。典型的には、エチレン/α−オレフィンインターポリマーは弾性特性を有する繊維の形態であり、しばしば、布地の約1〜約30、好ましくは、約2ないし約10重量パーセントを構成し得る。
【0091】
材料は、典型的には、それが偏向力(biasing force)の適用の後に高い割合の弾性回復率(すなわち、低い割合の永久歪み)を有する場合に弾性である(もしくは伸縮性を有する)ものと特徴づけられる。特定の実施形態において、弾性材料は3つの重要な特性、すなわち、(i)歪み時の低い応力もしくは負荷;(ii)低い割合の応力もしくは負荷緩和および(iii)低い割合の永久歪みの組み合わせによって特徴づけられる。換言すると、(i)材料の伸長に対する低い応力もしくは負荷要求、(ii)材料が一度伸長されたときの応力のゼロもしくは低緩和または負荷解除、および(iii)伸長、偏向もしくは歪みが中断された後の元の寸法への完全な、もしくは高い回復率が存在しなければならない。
【0092】
ここで提供される物品において用いられる繊維は、典型的には、第1回の引きの後および第4回の100パーセント歪み(長さの2倍)の後に、その伸長した長さの少なくとも約40パーセント、少なくとも約50パーセント、少なくとも約60パーセント、約70パーセント以上を回復する。この試験を行う適切な方法の1つは、International Bureau for Standardization of Manmade Fibers, BISFA 1998, chapter 7, option Aに見出されるものに基づく。そのような試験の下では、繊維を4インチ離して配置されたグリップの間に置き、次に毎分約20インチの速度で8インチの距離までグリップを引き離した後、直ちに回復させる。その後、回復パーセントを測定する。
【0093】
特定の実施形態において、ここで提供される繊維には、架橋して均一に分岐したエチレンポリマー、例えば、US 6,437,014に記載され、ラストール(lastol)として一般に公知であるものがさらに含まれる。そのような均一分岐エチレンポリマーの量は望ましい弾性率および用いられる特定のエチレン/α−オレフィンインターポリマーとの適合性に応じて異なる。
【0094】
特定の実施形態において、ここで用いられる繊維には、他のポリマー、例えば、ランダムエチレンコポリマー、例えば、AFFINITY(登録商標)もしくはENGAGES(登録商標)、伝統的なポリエチレン、例えば、HDPE、LLDPE、ULDPE、LDPEおよびプロピレン系ポリマー、例えば、ホモポリマーPP、ランダムコポリマーPPもしくはPP系プラストマー/エラストマーまたはそれらの組み合わせがさらに含まれる。そのような他のポリマーの量は、望ましい弾性率および用いられる特定のエチレン/α−オレフィンインターポリマーとの適合性に応じて異なる。
【0095】
所望であれば、さらなる伸縮性材料をエチレン/α−オレフィンインターポリマーに加えて用いることができる。例えば、エチレン/α−オレフィンインターポリマー繊維を縦糸もしくは横糸方向のいずれかで用い、それに対して第2の伸縮性材料を残りの方向で用いることができる。適切なさらなる伸縮性材料には、ポリブチレンテレフタレート、スパンデックス、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(トリメチレンテレフタレート)もしくはそれらの混合物からなる群より選択されるポリマーを含んでなる弾性繊維が含まれ得る。そのような混合物には、ポリ(エチレンテレフタレート)/ポリ(トリメチレンテレフタレート)の二成分繊維、例えば、T−400(商標)繊維が含まれる。弾性率および特性は材料および布地の構成に応じて変化するが、エチレン/α−オレフィンインターポリマー繊維を縦糸方向で、さらなる伸縮性材料を横糸方向で用いることが望ましいものであり得る。
【0096】
これらの繊維は、望ましい用途に応じて、あらゆる望ましいサイズおよび断面形状に製造することができる。多くの用途では、その摩擦の減少のため、ほぼ円形の断面が望ましい。しかしながら、他の形状、例えば、三葉形状(trilobal shape)もしくは平坦(すなわち、「リボン」様)形状を用いることもできる。デニールは、繊維の長さの9000メートルあたりの繊維のグラムとして定義されるテキスタイル用語である。好ましいサイズには、少なくとも約1、好ましく少なくとも約20、好ましくは少なくとも約50デニールから、多くとも約180、好ましくは多くとも約150、好ましくは多くとも約100デニール、好ましくは多くとも約80デニールが含まれる。例えば、繊維の厚みは約1〜180デニール、約5〜約160デニール、約10〜約150デニール、約20〜約140デニール、約30〜約120デニール、約40〜約100デニール、約50〜約90デニール、約40〜約70デニールの範囲をとり得る。
【0097】
特定の実施形態において、エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、約10重量%〜約75重量%のゲル含有率を有する繊維の形態にある。特定の実施形態において、エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、約10重量%、20重量%、30重量%、40重量%、50重量%、60重量%もしくは約75重量%のゲル含有率を有する繊維の形態にある。特定の実施形態において、エチレン/α−オレフィンインターポリマーは少なくとも約10重量%のゲル含有率を有する繊維の形態にある。
【0098】
繊維は、通常弾性であり、かつ通常架橋している。繊維はエチレン/α−オレフィンインターポリマーおよびあらゆる適切な架橋剤の反応生成物、すなわち、架橋エチレン/α−オレフィンインターポリマーを含む。ここで用いられる場合、「架橋剤」は繊維の1またはそれ以上、好ましくは、大多数を架橋させるあらゆる手段である。したがって、架橋剤は化学的化合物であり得るが、必ずしもそうである必要はない。ここで用いられる架橋剤には、架橋触媒の有無に関わらず、電子線照射、ベータ照射、ガンマ照射、コロナ照射、シラン、過酸化物、アリル化合物およびUV線が含まれる。米国特許第6,803,014号および第6,667,351号が本発明の実施形態において用いることができる電子線照射法を開示する。幾つかの実施形態において、架橋ポリマーのパーセントは、形成されるゲルの重量パーセントによる測定で、少なくとも10パーセント、好ましくは少なくとも約20、より好ましくは少なくとも約25重量パーセントから、多くとも75、好ましくは多くとも約50パーセントである。
【0099】
用途に応じて、繊維は、ステープル繊維もしくはバインダー繊維を含めて、あらゆる適切な形態をとることができる。典型的な例には、フィラメント、ホモフィル繊維もしくは二成分繊維が含まれ得る。二成分繊維の場合、シース・コア構造;海島構造;サイド・バイ・サイド構造;マトリックス・フィブリル構造;もしくはセグメント化パイ構造を有することができる。有利なことには、従来の繊維形成方法を用いて前記繊維を製造することができる。そのような方法には、例えば、米国特許第4,340,563号;第4,663,220号;第4,668,566号;第4,322,027号;および第4,413,110号に記載されるものが含まれる。
【0100】
本発明の繊維は幾つかの点で加工を容易にする。第1に、本発明の繊維は従来の繊維よりもスプールからより良好に巻き戻される。通常の繊維は、円形断面であるとき、それらの基本ポリマーの過度の応力緩和のため、しばしば満足のいく巻き戻し性能を提供することができない。この応力緩和はスプールの古さに比例し、スプールのまさに表面に位置するフィラメントにその表面上でのグリップを失わせ、フィラメント糸が緩むようになる。後に、従来の繊維を収容するそのようなスプールをポジティブフィーダー、すなわち、Memminger−IROのロール上に配置し、産業速度、すなわち、100〜300回転/分まで回転させ始めるとき、緩んだ繊維はスプール表面の側部に投げ出され、最終的にスプールの端部から脱落する。この失敗は脱線として公知であって、従来の繊維がパッケージの肩もしくは端部から滑り落ちる傾向を示し、それは巻き戻しプロセスを中断させ、最終的には機械の停止を生じる。本発明の繊維が示す脱線の程度は著しく少なく、これはより多くのスループットを可能にする。
【0101】
他の材料
ここで提供される皺なし布地において用いられる他の材料(1種類もしくは複数)は、しばしば、セルロース、木綿、亜麻、ラミー、レーヨン、ビスコース、麻、リネン、竹、テンセル、ビスコース、モヘア、ポリエステル、ポリアミド、ポリプロピレンおよび動物性繊維、例えば、羊毛、絹もしくはケラチンからなる群より選択される。加えて、前記材料の混合物を用いることができる。好ましい布地には、他の材料にセルロース、羊毛もしくはそれらの混合物が含まれ、かつ布地が編まれているか、もしくは織られているものが含まれる。布地に防皺性処理を施す場合、他の材料がそのような処理に耐え得ることが有用である。
【0102】
一実施形態において、ここで提供されるテキスタイル物品はセルロース材料を含む。一態様において、セルロース材料はテキスタイル物品の60〜98重量パーセント、65〜90重量パーセントもしくは70〜85重量パーセントを構成する。一実施形態において、セルロース材料はテキスタイル物品の約90重量パーセントを上回るものを構成する。特定の実施形態において、布地は木綿を含む。1種類またはそれ以上の他の材料を、単一で、もしくはセルロース材料との組み合わせで、本発明のテキスタイル物品において用いることもできる。これらの他の材料には、天然繊維、例えば、羊毛、絹もしくはモヘアおよび合成繊維、例えば、ポリエステル、ポリアミドもしくはポリプロピレンが含まれる。
【0103】
一実施形態において、ここで提供される物品における弾性繊維はそのまま用いることができ、もしくはむしろマルチフィラメントヤーンに組み込むことができる。多くの用途において、弾性繊維は天然繊維、例えば、木綿で包むことができる。
【0104】
ここで提供される布地において用いられる非弾性繊維の選択は、選択された繊維が適切な靱性を有することを保証するため、望ましい布地構成および布地に防皺性を付与するのに用いられる方法に依存し得る。例えば、軽量木綿含有布地が望ましく、比較的苛酷な化学処理を防皺性の付与に用いる場合、仕上げられた布地における繊維が依然として許容し得る靱性を有するように、より高い初期靱性を有する木綿繊維、例えば、PIMA木綿を用いることが有利であり得る。
【0105】
特性
ここで提供される場合、物品、例えば、布地もしくは衣服は、その物品が縦糸および/もしくは横糸方向に少なくとも5パーセント、少なくとも約8、9、10、11、12、13、14、18、20で少なくとも約25パーセントまで伸長可能である場合、「弾性」もしくは「伸縮性」物品とみなされる。幾つかの布地は2方向、すなわち、縦糸および横糸方向に伸長可能である。布地は、ASTM D3107−1980による伸長力の解放後、その元の寸法に近い値に戻る。ここで提供される布地は、しばしば、0.5未満、好ましくは0.4未満、好ましくは0.35未満、好ましくは0.3未満、好ましくは0.25未満、好ましくは0.2未満、好ましくは0.15未満、好ましくは0.1未満、好ましくは0.05未満の増加 対 伸長比を示す。例えば、25パーセント伸長し、かつ元の寸法を5パーセント上回る値まで回復する布地は0.2の比を有する。伸長および回復の量が布地の重量(すなわち、より軽量の布地、例えば、ボイルは、一般には、より多く伸長し、かつ回復がより少ない)および布地の構成(例えば、ヘリンボン布地はより大きな伸長を有することが公知である)の関数であることは理解されるべきである。幾つかの場合、物品は、縦糸および/もしくは横糸方向に、少なくとも15パーセントおよび少なくとも25パーセントでさえ伸長可能である。特定の実施形態においては、ここで提供される物品が2方向以上の伸縮性を有することも考慮される。2方向以上の伸縮性を有する物品もしくは各々の方向に同じ量の伸縮性を有する物品が本発明の範囲内にあることは必ずしも必要ではない。
【0106】
ここで提供されるテキスタイル物品を防皺性にできることも有利である。典型的な皺なし処理(時折、耐久性プレスコーティングとも呼ばれる)には、布地を幾つかの方式、典型的には、手洗いもしくは機械洗いによって洗浄するときに著しく劣化させない水素もしくは共有結合の付与が含まれる。この意味において、結合は恒久的であり、布地はその有用な寿命の間比較的皺なしである。典型的な耐久性プレスコーティングは、しばしば、布地、すなわち、テキスタイルの表面への化学コーティングの適用を含む。これらのコーティングは、通常、架橋剤および触媒を、布地においてその薬剤と材料、例えば、セルロースとの間に架橋が形成されるように含む。これらの架橋は防皺性をもたらすだけではなく、寸法安定性を改善し、布地の平滑性を高め、かつ折り目保持も改善し得る。防皺性をテキスタイルに付与するのに現在しばしば用いられる化学コーティングは比較的苛酷である。本発明の伸縮性布地およびそれで製造される衣服は、しばしば、防皺性に用いられる通常の化学処理もしくは熱(硬化)処理に耐え得る。
【0107】
テキスタイル産業における防皺性は、AATCC 143−1996(衣服用)もしくはAATCC−124−2001(仕上げ済み布地用)またはMarksおよびSpencer P134に従って測定することができる。この試験プロトコルを用いると、特定の実施形態においては、ここで提供される物品は5回の洗浄の後に少なくとも3.0、少なくとも3.5もしくは少なくとも約4.0の耐久性プレス(もしくはDP)評点を有する。一実施形態においては、DP評点は、25回もしくは50回の洗浄後でさえ、少なくとも3.0のままである。
【0108】
幾つかの用途、例えば、パンツにおいては、物品が折り目を維持することが望ましい。この折り目を維持する要求は、時折、皺を抑制するのに用いられる技術的解決法と矛盾する。それにも関わらず、本発明の布地を用いることで、そのような防皺性の折り目付き物品が可能である。一実施形態において、ここで提供されるテキスタイル物品は、AATCC 143−1996に記載される試験プロトコルによる決定で、少なくとも3.5の折り目保持(Crease Retention)(「CR」)評点を示す。一実施形態においては、AATCC 143−1996 3(IV)A(iii)がCRの決定に用いられる。したがって、本発明のテキスタイル物品は少なくとも約2.5、3.0、3.5、4.0、4.5もしくは5のCRを有する。
【0109】
例示の物品の調製方法
ここで提供される物品はそれらの製造方法によって限定されることはない。したがって、本発明の物品には、例えば、織られている(弾性繊維は縦糸方向、横糸方向もしくはその両者であり得る)、もしくは編まれている布地が含まれる。
【0110】
一実施形態において、ここで提供される皺なし物品は以下によって生成することができる:
a)ノーアイロン布地処理:木綿(>80%の木綿含有率)およびエチレン・α−オレフィンインターポリマー繊維/木綿糸を特定の布地織物構成に織り上げた後、その布地に樹脂配合物を含浸させ、次いで湿気硬化させる。この化学的樹脂処理の後、この布地は伸縮性および皺なしであり、DP評点は5回の洗浄の後に3.5を上回り、折り目保持評点は5回の洗浄の後に>3.5である。この布地で製造される衣服は伸縮性皺なし衣服を形成する。
b)ノーアイロン衣服処理:木綿(>80%の木綿含有率)およびエチレン・α−オレフィンインターポリマー繊維/木綿糸を特定の布地織物構成に織り上げた後、その布地を衣服製造プロセスに通す。その後、化学樹脂を衣服上に適用し、衣服を特定の温度およびpH値の下で硬化させる。この硬化プロセスの後、上記衣服は伸縮性および皺なしであり、DP評点は5回の洗浄の後に>3.5であり、折り目保持評点は5回の洗浄の後に>3.5である。
【0111】
本発明は木綿およびエチレン・α−オレフィンインターポリマー配合布地(織物もしくは編み物)に対するすべての種類の化学樹脂仕上げに適用することができる。標準皺なしプロセスは皺なし衣服を製造する多くの方法を有しており、これには処理工程の順序の選択並びに/または異なる処理温度、化学樹脂およびpH値の選択が含まれる。これらの条件の組み合わせを類似の皺なし布地もしくは衣服が製造されるように選択することができる。
【0112】
当業者は、望ましい特性、例えば、防皺性もしくは折り目保持を示す衣服および他の有用なテキスタイルを調製するのに、本発明の布地を採用して通常の技術を用いることができる。特定の実施形態において、そのような方法は以下の工程の1またはそれ以上を含む:糸(ヤーン)形成、糸(ヤーン)染色、布地製造、皺なし処理を含む布地仕上げ。例示的方法に含まれる工程の順序は以下の通りである:
【0113】
経路1(糸染色):糸形成(紡糸、蒸気処理、巻き上げ)−糸染色(染色、抽出、乾燥)−布地製造(レコニング(reconing)、状態調節、織り上げ)−布地仕上げ(毛焼き、スカーリング、シルケット加工、皺なし処理(硬化を含む)、柔軟加工、サンフォライズ加工(sanforizing))。
【0114】
経路2(部品染色):糸形成(紡糸、蒸気処理(標準弾性繊維では任意)、巻き上げ)−布地製造(レコニング、状態調節、織り上げ)−布地仕上げ(毛焼き、スカーリング、シルケット加工、布地染色、皺なし処理、柔軟加工、サンフォライズ加工)。
【0115】
経路3(皺なし衣服):糸形成(紡糸、蒸気処理、巻き上げ)−糸染色(染色、抽出、乾燥)−布地製造(レコニング、状態調節、織り上げ)−布地仕上げ(毛焼き、スカーリング、シルケット加工、柔軟加工、サンフォライズ加工)−衣服製造−皺なし処理のための衣服浸漬プロセス。
【0116】
経路4(皺なし衣服):糸形成(紡糸、蒸気処理(標準弾性繊維では任意)、巻き上げ)−布地製造(レコニング、状態調節、織り上げ)−布地仕上げ(毛焼き、スカーリング、シルケット加工、布地染色、柔軟加工、サンフォライズ加工)−衣服製造−皺なし処理のための衣服浸漬プロセス。
【0117】
防皺性を付与することが公知のあらゆる方法をここで提供されるテキスタイル物品で用いることができる。ほとんどの商用皺なし処理は、ホルムアルデヒド系耐久性プレス仕上げ剤(Durable Press Finishing Agents)、DMDHEU(ジメチロールジヒドロキシエチレン尿素)、修飾DMDHEU、1990年代以降の非ホルムアルデヒド耐久性プレス仕上げ剤としてのポリカルボン酸、BTCA、修飾クエン酸もしくはマレイン酸のポリマーを用いる。
【0118】
典型的には、布地を調製した後、架橋剤を触媒と共に含有する仕上げ溶液を適用する。仕上げ溶液の適用は、当分野において公知のように、布地もしくは仕上げられた物品に適用することができる。一般には、仕上げ溶液を収容する浴にセルロース材料を浸漬することによって架橋剤および硬化触媒を適用するが、他の方法、例えば、噴霧が公知であり、本発明のテキスタイル物品の製造に用いることができる。防皺性衣服を製造するための別の方法は、二酸化イオウ、ホルムアルデヒドおよび蒸気を収容する反応チャンバー内でプレスされた衣服に施すことを含み、そこでセルロースの架橋がその場で生じる。典型的な架橋剤にはホルムアルデヒド、ホルムアルデヒド誘導体(尿素との付加生成物を含む)およびカルバメートエステルが含まれる。他の架橋剤はWO89/12714(有機ポリカルボン酸)、米国特許第5,300,240号(ホスフィニココハク酸および/もしくはホスフィニコ二コハク酸);米国特許第6,585,780号(ホスフィナト置換ポリカルボン酸)およびUS2003/0111633A1に記載される。これらの参考文献は参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0119】
一実施形態においては、ここで提供される物品の調製方法において用いるため、エチレン/α−オレフィンインターポリマー繊維を製造した後、約10%〜75%ゲルまで架橋する。一実施形態においては、次に、エチレン/α−オレフィンインターポリマーをコアとして、および他の「ハード」繊維(ステープル繊維)を被覆として含むコアスパン糸を調製する。他のハード繊維には、純粋木綿、純粋絹、純粋リネン、竹繊維、テンセル、ビスコースおよびそれらの配合物もしくはポリエステル/木綿配合物が含まれる。一実施形態においては、他の繊維は純粋木綿もしくは純粋絹である。
【0120】
コア紡糸(ステープル)に加えて、他の紡糸プロセスを用いることができ、これには、これらに限定されるものではないが、サイロ紡糸(ステープル)、単一被覆(ステープルもしくは連続)、二重被覆(ステープルもしくは連続)もしくは空気被覆(連続フィラメント)が含まれる。一実施形態において、糸はコアスパンもしくはサイロスパンである。二方向伸縮性(bistretch)および一方向伸縮性(横糸伸縮性)の両者がここでは考慮される。
【0121】
一実施形態において、番手はシャツ地からボトムウェイト生地まで、それぞれ、Ne100〜Ne7である。別の実施形態において、番手はNe90〜Ne7、Ne80〜Ne7もしくはNe70〜Ne7である。一実施形態において、番手の範囲はNe50〜Ne7である。
【0122】
染色は60〜200℃の温度範囲で約1〜2時間以上行う。特定の実施形態においては、染色を約60、80、100、120、140、160、180もしくは200℃の温度で行う。布地はプレーン、ツイル、バスケット、サテン、ピンポイントオックスフォード、キャンバス、ブロークンツイル、ドビー、コーデュロイ織りであり得る。特定の実施形態において、布地はプレーン、ツイル、バスケット、サテンもしくはピンポイントオックスフォード織りである。一実施形態において、布地はニット織りである。
【0123】
例示的な仕上げ済み布地は以下の特性を有する:靱性:50lb(シャツ地)、75lb(ボトム);布地引裂き強度:4.5lb(シャツ地)、5.1lb(ボトム)(ASTM D3107による測定);耐摩耗性>1,800rpm(シャツ地)、35,000(ボトム);吸水時間 シャツ地およびボトムの両者で<10秒;洗浄縮み<3%および伸長レベル:9〜20%。
【0124】
試験方法
以下の例においては、以下の分析技術を用いる:
【0125】
サンプル1〜4およびA〜C用のGPC法
160℃に設定された加熱ニードルを備える自動液体取り扱いロボットを用いて、300ppm Ionolで安定化した十分な1,2,4−トリクロロベンゼンを各乾燥ポリマーサンプルに添加し、30mg/mLの最終濃度を得る。小さいガラス攪拌棒を各管に入れ、250rpmで回転する加熱されたオービタル・シェーカー上でサンプルを160℃まで2時間加熱する。次に、濃縮されたポリマー溶液を、自動液体取り扱いロボットおよび160℃に設定された加熱ニードルを用いて1mg/mlに希釈する。
【0126】
Symyx Rapid GPCシステムを用いて各サンプルの分子量データを決定する。流速2.0ml/分に設定されたGilson 350ポンプを用いて、ヘリウムパージされた、300ppm Ionolで安定化された1,2−ジクロロベンゼンを移動相として、直列に配置され、かつ160℃に加熱された、3本のPlgel 10ミクロン(μm)Mixed B 300mm×7.5mmカラムを通して汲み上げる。Polymer Labs ELS 1000 Detectorを、250℃に設定されたエバポレーター、165℃に設定された噴霧器および60〜80psi(400〜600kPa)Nの圧力で1.8SLMに設定された窒素流速と共に用いる。ポリマーサンプルを160℃に加熱し、液体取り扱いロボットおよび加熱ニードルを用いて、各サンプルを250μlループに注入する。2つの切り替えられたループおよび重複する注入を用いる、ポリマーサンプルの連続分析を用いる。サンプルデータを収集し、Symyx Epoch(商標)ソフトウェアを用いて分析する。ピークを非機械的に積分し、分子量情報をポリスチレン標準較正曲線に対して無修正のまま報告する。
【0127】
標準CRYSTAF法
分岐分布は、スペイン国バレンシアのPolymerCharから商業的に入手可能なCRYSTAF200ユニットを用いる結晶化分析分別(crystallization analysis fractionation)(CRYSTAF)によって決定する。サンプルを160℃の1,2,4トリクロロベンゼン(0.66mg/mL)に1時間溶解し、95℃で45分間安定化する。サンプリング温度は0.2℃/分の冷却速度で95〜30℃の範囲である。赤外線検出器を用いてポリマー溶液濃度を測定する。温度を低下させながら、ポリマーの結晶化に伴う累積可溶性物質濃度を測定する。その累積プロフィールの分析微分係数はポリマーの短鎖分岐分布を反映する。
【0128】
CRYSTAFピーク温度および面積はCRYSTAFソフトウェア(バージョン2001.b、スペイン国バレンシアのPolymerChar)に含まれるピーク解析モジュールによって同定する。そのCRYSTAFピーク検出ルーチンは、ピーク温度をdW/dT曲線および微分係数曲線において同定されるピークのいずれかの側の最大の正の変曲間の面積における最大値として同定する。CRYSTAF曲線を算出するのに、好ましい処理パラメータは70℃の温度限界を有し、かつその温度限界の0.1上および温度限界の0.3下の平滑パラメータを有する。
【0129】
DSC標準法(サンプル1〜4およびA〜Cを除く)
示差走査熱量測定の結果は、RCS冷却アクセサリおよびオートサンプラーを備えるTAIモデルQ1000DSCを用いて決定する。50ml/分の窒素パージ気流を用いる。サンプルは圧縮して薄膜とし、プレス内、約175℃で溶融した後、室温(25℃)まで空冷する。次いで、3〜10mgの物質を切断して6mm径ディスクとし、正確に秤量して軽量アルミニウムパン(約50mg)に入れ、次にそれを型押し閉鎖する。サンプルの熱的挙動を以下の温度プロフィールで調べる。以前のあらゆる熱履歴を除去するため、サンプルを180℃に急速加熱し、等温で3分間保持する。次に、サンプルを10℃/分の冷却速度で−40℃に冷却し、−40℃で3分間保持する。その後、サンプルを10℃/分の加熱速度で150℃に加熱する。冷却および第2加熱曲線を記録する。
【0130】
DSC溶融ピークは、−30℃と溶融の最後との間に引かれた直線基線に対する熱流速(W/g)の最大として測定される。融解熱は、直線基線を用いて、−30℃と溶融の最後との間の溶融曲線下の面積として測定される。
【0131】
GPC法(サンプル1〜4およびA〜Cを除く)
ゲル浸透クロマトグラフィーシステムは、Polymer Laboratories Model PL−210もしくはPolymer Laboratories Model PL−220機器のいずれかからなる。カラムおよびカルーセル区画は140℃で稼働させる。3本のPolymer Laboratories 10−micron Mixed−Bカラムを用いる。溶媒は1,2,4トリクロロベンゼンである。サンプルを、200ppmのブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)を含有する50ミリリットルの溶媒中に0.1グラムのポリマーの濃度で調製する。サンプルを160℃で2時間、軽く攪拌することによって調製する。用いられる注入容積は100マイクロリットルであり、流速は1.0ml/分である。
【0132】
GPCカラムセットの較正は、個々の分子量間に少なくとも10の隔たりがある6つの「カクテル」混合物として用意される、580〜8,400,000の範囲の分子量を有する21のナロー分子量分布ポリスチレン標準で行う。これらの標準はPolymer Laboratories(Shropshire、UK)から購入する。これらのポリスチレン標準は、1,000,000以上の分子量では50ミリリットルの溶媒中に0.025グラムで、1,000,000未満の分子量では50ミリリットルの溶媒中に0.05グラムで調製する。これらのポリスチレン標準を、80℃で、30分間穏やかに攪拌しながら溶解する。これらのナロー標準混合物を最初に、かつ最高分子量成分を減少させる順に流し、分解を最小限に止める。ポリスチレン標準ピーク分子量を、Williams and Ward, J. Polym. Sci., Polym. Let., 6, 621 (1968)に記載される以下の式を用いてポリエチレン分子量に変換する:Mポリエチレン=0.431(Mポリスチレン)。
【0133】
ポリエチレン等価分子量の計算はViscotek TriSECソフトウェア・バージョン3.0を用いて行う。
【0134】
圧縮永久歪み
圧縮永久歪みはASTM D395に従って測定する。サンプルを、3.2mm、2.0mmおよび0.25mm厚の25.4mm径円形ディスクを12.7mmの合計厚みに到達するまで積み重ねることによって調製する。これらのディスクを、ホットプレスを用いて以下の条件下で成型された12.7cm×12.7cm圧縮成型プラークから切断する:190℃で3分間のゼロ圧力、次いで190℃で2分間の86MPa、続いて86MPaで冷流水を用いてプレス内で冷却。
【0135】
密度
密度測定用のサンプルはASTM D 1928に従って調製する。測定は、ASTM D792、方法Bを用い、サンプル圧縮の1時間以内で行う。
屈曲/割線弾性率/貯蔵弾性率
【0136】
ASTM D 1928を用いてサンプルを圧縮成型する。屈曲および2パーセント割線弾性率はASTM D−790に従って測定する。貯蔵弾性率はASTM D 5026−01もしくは同等の技術に従って測定する。
【0137】
光学特性
0.4mm厚のフィルムをホットプレス(Carver Model #4095−4PR1001R)を用いて圧縮成型する。それらのペレットをポリテトラフルオロエチレンシートの間に挟み、190℃、55psi(380kPa)で3分間、次いで1.3MPaで3分間、次いで2.6MPaで3分間加熱する。次に、そのフィルムをプレス内で冷流水を用いて1.3MPaで1分間冷却する。それらの圧縮成型されたフィルムを光学測定、引張り挙動、回復および応力緩和に用いる。
【0138】
透明度は、ASTM D 1746に指定されるように、BYK Gardner Haze−gardを用いて測定する。
【0139】
45°光沢は、ASTM D−2457に指定されるように、BYK Gardner Glossmeter Microgloss 45°を用いて測定する。
【0140】
内部曇りは、ASTM D 1003 手順Aに基づき、BYK Gardner Haze−gardを用いて測定する。鉱油をフィルム表面に塗布して表面スクラッチを除去する。
【0141】
機械的特性−引張り、ヒステリシスおよび引き裂き
一軸張力における応力−歪み挙動はASTM D 1708微小張力検体を用いて測定する。サンプルをInstronを用いて500%分−1、21℃で伸長させる。引張り強さおよび破断伸度を5検体の平均から報告する。
【0142】
100%および300%ヒステリシスは、100%および300%歪みへの負荷サイクルから、ASTM D 1708微小張力検体をInstron(商標)機器と共に用いて決定する。サンプルに21℃で267%分−1で3サイクルの負荷を加えて解除する。300%および80℃での実験サイクルは環境チャンバーを用いて行う。80℃実験においては、試験に先立ち、サンプルを試験温度で45分間平衡化する。21℃、300%歪み循環実験においては、最初の解除サイクルからの150%歪みでの引き込み応力を記録する。すべての実験の回復パーセントを、最初の解除サイクルから、負荷が基線に戻る歪みを用いて算出する。回復パーセントは以下のように定義され:
【数3】


式中、εは循環負荷で受ける歪みであり、εは第1解除サイクルの間に負荷が基線に戻る歪みである。
【0143】
応力緩和は、環境チャンバーを備えるInstron(商標)機器を用い、50パーセント歪みおよび37℃で12時間測定する。ゲージ外形は76mm×25mm×0.4mmであった。37℃で45分間、環境チャンバー内で平衡化した後、サンプルを333%分−1で50%歪みまで伸長した。応力を時間の関数として12時間記録した。12時間後の応力緩和パーセントを式:
【数4】


(式中、Lは50%歪み、0時間での負荷であり、L12は50パーセント歪みで12時間後の負荷である)
を用いて算出した。
【0144】
引張りノッチ付き引き裂き(tensile notched tear)実験は0.88g/cc以下の密度を有するサンプルに対してInstron(商標)機器を用いて行う。その外形は、検体長さの半分でサンプルに入れられた2mmのノッチ切り込みを有する、76mm×13mm×0.4mmのゲージ断面からなる。サンプルは508mm分−1、21℃で、そのサンプルが破断するまで伸長する。引き裂きエネルギーは最大負荷での歪みまでの応力−伸長曲線下の面積として算出する。少なくとも3検体の平均を報告する。
【0145】
TMA
熱的機械分析(貫入温度)は、180℃および10MPaの成型圧で5分間で形成した後に空冷した、30mm径×3.3mm厚の圧縮成型ディスクに対して行う。使用する機器はPerkin−Elmerから入手可能なブランドであるTMA7である。この試験においては、半径1.5mmの先端を有するプローブ(P/N N519−0416)をサンプルディスクの表面に1Nの力で適用する。温度は25℃から5℃/分で上昇させる。プローブ貫入距離を温度の関数として測定する。プローブがサンプル内に1mm貫入したとき、実験を終了する。
【0146】
DMA
動的機械分析(DMA)は、ホットプレス内、180℃、10MPa圧で5分間で形成した後、プレス内において90℃/分で水冷した圧縮成型ディスクに対して測定する。試験は、ねじれ試験用の二重カンチレバー取り付け具を備える、ARES制御歪みレオメーター(TA Instruments)を用いて行う。
【0147】
1.5mmプラークを圧縮し、32×12mmの寸法の棒に切断する。そのサンプルを10mm隔てられた取り付け具間に両端で留め(グリップ分離ΔL)、−100℃から200℃の連続温度ステップ(ステップあたり5℃)を施す。各々の温度でねじれ弾性率G’を10rad/sの角振動数で測定し、歪み振幅を0.1パーセント〜4パーセントに維持して、トルクが十分であり、かつ測定が線形方式のままであることを確実なものとする。
【0148】
10gの初期静的荷重を維持し(自動張力モード)、熱的膨張が生じたときのサンプルの緩みを防止する。結果として、グリップ分離ΔLは温度と共に、特にはポリマーサンプルの融点もしくは軟化点より上で、増加する。この試験は最大温度で、もしくは取り付け具間の間隙が65mmに到達するときに停止する。
【0149】
メルトインデックス
メルトインデックス、すなわちIはASTM D 1238、条件190℃/2.16kgに従って測定する。メルトインデックス、すなわちI10もASTM D 1238、条件190℃/10kgに従って測定する。
【0150】
ATREF
解析的温度上昇溶出分別(analytical temperature rising elution fractionation)(ATREF)分析は米国特許第4,798,081号およびWilde, L.; Ryle, T.R.; Knobeloch, D.C.; Peat, I.R.; Determination of Branching Distributions in Polyethylene and Ethylene Copolymers, J. Polym. Sci., 20, 441-455 (1982)(これらは参照によりそれら全体が本明細書に組み込まれる)に記載される方法に従って行う。分析しようとする組成物をトリクロロベンゼンに溶解し、不活性支持体(ステンレス鋼ショット)を収容するカラム内で、温度を0.1℃/分の冷却速度で20℃まで徐々に低下させることによって結晶化させる。カラムは赤外線検出器を備える。次に、溶出溶媒(トリクロロベンゼン)の温度を1.5℃/分の速度で20から120℃に徐々に上昇させることにより、結晶化ポリマーサンプルをカラムから溶出することによってATREFクロマトグラム曲線を生成する。
【0151】
13C NMR分析
サンプルを、10mm NMR管内で、約3gの、テトラクロロエタン−d/オルトジクロロベンゼンの50/50混合物を0.4gのサンプルに添加することによって調製する。それらのサンプルを溶解し、管およびその内容物を150℃に加熱することによって均一化する。データを、100.5MHzの13C共鳴周波数に対応する、JEOL Eclipse(商標)400MHz分光計もしくはVarian Unity Plus(商標)400MHz分光計を用いて収集する。データを、6秒のパルス反復遅延で、データファイルあたり4000の過渡応答を用いて取得する。定量分析にとって最小の信号対雑音を達成するため、複数のデータファイルを一緒に加える。スペクトル幅は25,000Hzであり、最小ファイルサイズは32Kデータ点である。サンプルを、130℃で、10mmブロードバンドプローブにおいて分析する。コモノマー取り込みはRandallのトライアッド法(Randall, J.C.; JMS-Rev. Macromol. Chem. Phys., C29, 201-317 (1989)、これは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)を用いて決定する。
【0152】
TREFによるポリマー分別
大規模TREF分別を、15〜20gのポリマーを2リットルの1,2,4−トリクロロベンゼン(TCB)に、160℃で4時間攪拌することによって溶解することにより行う。そのポリマー溶液を、15psig(100kPa)窒素により、30〜40メッシュ(600〜425μm)球形工業級ガラスビーズ(Potters Industries、HC 30 Box 20、Brownwood、TX、76801から入手可能)およびステンレス鋼0.028”(0.7mm)径切断ワイヤショット(Pellets. Inc.、63 Industrial Drive、North Tonawanda、NY、14120から入手可能)の60:40(v:v)混合物を充填した3インチ×4フィート(7.6cm×12cm)スチールカラムに押し込む。そのカラムを、最初は160℃に設定される、熱的に制御されるオイルジャケットに浸漬する。カラムを、まず弾道曲線状に125℃に冷却し、次いで毎分0.04℃で20℃まで徐冷して1時間保持する。温度を毎分0.167℃で上昇させながら、新鮮なTCBを約65ml/分で導入する。
【0153】
分取用TREFカラムから約2000mlの溶出液を16ステーション加熱分別収集器に集める。各々の画分において、ロータリーエバポレーターを用いて、約50〜100mlのポリマー溶液が残るまでポリマーを濃縮する。濃縮された溶液を一晩静置した後、過剰のメタノールを添加し、濾過してすすぐ(最終すすぎを含めて約300〜500mlのメタノール)。この濾過工程は、3点減圧機支援型濾過ステーションで、5.0μmポリテトラフルオロエチレンコート濾紙(Osmonics Inc.から入手可能、Cat# Z50WP04750)を用いて行う。濾過した画分を減圧オーブン内、60℃で一晩乾燥させ、さらなる試験に先立って分析用天秤で秤量する。
【0154】
溶融強度
溶融強度(MS)を、2.1mm径20:1ダイが約45°の進入角で取り付けられたキャピラリレオメーターを用いることによって測定する。サンプルを190℃で10分間平衡化した後、ピストンを1インチ/分(2.54cm/分)の速度で稼働させる。標準試験温度は190℃である。サンプルを、ダイの100mm下に位置する一組の加速ニップまで、2.4mm/秒の加速度で一軸性に引く。必要な張力をニップロールの巻き取り速度の関数として記録する。試験の最中に得られた最大張力を溶融強度と定義する。引取共振(draw resonance)を示すポリマー溶融物の場合、引取共振の発生前の張力を溶融強度として採用した。溶融強度はセンチニュートン(「cN」)で記録する。
【0155】
触媒
「一晩」という用語は、用いられる場合、約16〜18時間を指し、「室温」という用語は20〜25℃の温度を指し、「混合アルカン」という用語は、ExxonMobil Chemical CompanyからIsopar E(登録商標)の商品名で入手可能な、商業的に入手されたC6−9脂肪族炭化水素の混合物を指す。本明細書中の化合物の名称がそれらの構造的な表示に従うものではない場合、構造的な表示が支配するものとする。すべての金属錯体の合成およびすべてのスクリーニング実験の準備は、ドライボックス技術を用いて、乾燥窒素雰囲気内で行った。用いられるすべての溶媒はHPLC級であり、それらの使用に先立って乾燥させた。
【0156】
MMAOは、修飾メチルアルモキサン、Akzo−Noble Corporationから商業的に入手可能なトリイソブチルアルミニウム修飾メチルアルモキサンを指す。
【0157】
触媒(B1)の調製は以下のように行う。
a)(1−メチルエチル)(2−ヒドロキシ−3,5−ジ(t−ブチル)フェニル)メチルイミンの調製
3,5−ジ−t−ブチルサリチルアルデヒド(3.00g)を10mLのイソプロピルアミンに添加する。その溶液は急速に明黄色になる。周囲温度で3時間攪拌した後、揮発性物質を減圧下で除去して明黄色結晶性固体を得る(収率97パーセント)。
b)1,2−ビス−(3,5−ジ−t−ブチルフェニレン)(1−(N−(1−メチルエチル)イミノ)メチル)(2−オキソイル)ジルコニウムジベンジルの調製
5mLトルエン中の(1−メチルエチル)(2−ヒドロキシ−3,5−ジ(t−ブチル)フェニル)イミン(605mg、2.2mmol)の溶液を、50mLトルエン中のZr(CHPh)(500mg、1.1mmol)の溶液に徐々に添加する。生じる暗黄色溶液を30分間攪拌する。溶媒を減圧下で除去し、所望の生成物を赤みがかった褐色固体として得る。
【0158】
触媒(B2)の調製は以下のように行う。
a)(1−(2−メチルシクロヘキシル)エチル)(2−オキソイル−3,5−ジ(t−ブチル)フェニル)イミンの調製
2−メチルシクロヘキシルアミン(8.44mL、64.0mmol)をメタノール(90mL)に溶解し、ジ−t−ブチルサリチルアルデヒド(10.00g、42.67mmol)を添加する。その反応混合物を3時間攪拌した後、−25℃に12時間冷却する。生じる黄色固体沈殿を濾過によって集めて冷メタノール(2×15mL)で洗浄した後、減圧下で乾燥させる。収量は11.17gの黄色固体である。H NMRは、異性体の混合物としての、所望の生成物と一致する。
b)ビス−(1−(2−メチルシクロヘキシル)エチル)(2−オキソイル−3,5−ジ(t−ブチル)フェニル)イミノ)ジルコニウムジベンジルの調製
200mLトルエン中の(1−(2−メチルシクロヘキシル)エチル)(2−オキソイル−3,5−ジ(t−ブチル)フェニル)イミン(7.63g、23.2mmol)の溶液を、600mLトルエン中のZr(CHPh)(5.28g、11.6mmol)の溶液に徐々に添加する。生じる暗黄色溶液を25℃で1時間攪拌する。その溶液を680mLトルエンでさらに希釈し、0.00783Mの濃度を有する溶液を得る。
【0159】
共触媒1 実質的にUSP5,919,983、Ex.2に開示されるように、長鎖トリアルキルアミン(Armeen(商標)M2HT、Akzo−Nobel,Inc.から入手可能)、HClおよびLi[B(C]の反応によって調製される、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(以下、アルミーニアム(armeenium)ボレート)のメチルジ(C14−18アルキル)アンモニウム塩の混合物。
【0160】
共触媒2 USP6,395,671、Ex.16に従って調製される、ビス(トリス(ペンタフルオロフェニル)−アルマン)−2−ウンデシルイミダゾリドの混合C14−18アルキルジメチルアンモニウム塩。
【0161】
可逆的移動剤 用いられる可逆的移動剤には、ジエチル亜鉛(DEZ、SA1)、ジ(i−ブチル)亜鉛(SA2)、ジ(n−ヘキシル)亜鉛(SA3)、トリエチルアルミニウム(TEA、SA4)、トリオクチルアルミニウム(SA5)、トリエチルガリウム(SA6)、i−ブチルアルミニウムビス(ジメチル(t−ブチル)シロキサン)(SA7)、i−ブチルアルミニウムビス(ジ(トリメチルシリル)アミド)(SA8)、n−オクチルアルミニウムジ(ピリジン−2−メトキシド)(SA9)、ビス(n−オクタデシル)i−ブチルアルミニウム(SA10)、i−ブチルアルミニウムビス(ジ(n−ペンチル)アミド)(SA11)、n−オクチルアルミニウムビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノキシド)(SA12)、n−オクチルアルミニウムジ(エチル(1−ナフチル)アミド)(SA13)、エチルアルミニウムビス(t−ブチルジメチルシロキシド)(SA14)、エチルアルミニウムジ(ビス(トリメチルシリル)アミド)(SA15)、エチルアルミニウムビス(2,3,6,7−ジベンゾ−1−アザシクロヘプタンアミド)(SA16)、n−オクチルアルミニウムビス(2,3,6,7−ジベンゾ−1−アザシクロヘプタンアミド)(SA17)、n−オクチルアルミニウムビス(ジメチル(t−ブチル)シロキシド)(SA18)、エチル亜鉛(2,6−ジフェニルフェノキシド)(SA19)およびエチル亜鉛(t−ブトキシド)(SA20)が含まれる。
【0162】
実施例1〜4、比較A〜C
一般的な高スループット並行重合条件
重合を、Symyx Technologies,Inc.から入手可能な高スループット並行重合反応器(PPR)を用いて行い、実質的に米国特許第6,248,540号、第6,030,917号、第6,362,309号、第6,306,658号および第6,316,663号に従って操作する。エチレン共重合は、130℃および200psi(1.4MPa)で、エチレンは要求に応じて用い、共触媒1を用いられる全触媒を基準にして1.2当量(MMAOが存在するときには1.1当量)用いて行う。一連の重合は、予め秤量したガラス管が取り付けられた、48の個別の反応器セルを6×8アレーで含んでなる並行圧力反応器(PPR)において行う。各々の反応器セルの作業容積は6000μLである。各々のセルは個別の攪拌パドルによってもたらされる攪拌で温度および圧力制御される。モノマーガスおよびクエンチガスはPPRユニットに直接落下し、自動弁によって制御される。液体試薬はシリンジにより各反応器セルにロボット制御で添加され、リザーバ溶媒は混合アルカンである。添加の順序は、混合アルカン溶媒(4ml)、エチレン、1−オクテンコモノマー(1ml)、共触媒1もしくは共触媒1/MMAO混合物、可逆的移動剤および触媒もしくは触媒混合物である。共触媒1およびMMAOの混合物もしくは2種類の触媒の混合物が用いられるとき、それらの試薬は、反応器への添加の直前に、小バイアル内で予備混合する。実験において試薬を省略するとき、上述の添加の順番は他の方法で維持する。重合は、予め決定されたエチレン消費に到達するまで、約1〜2分間行う。COで反応停止させた後、反応器を冷却し、ガラス管を取り外す。それらの管を遠心/真空乾燥ユニットに移し、60℃で12時間乾燥させる。乾燥したポリマーを収容する管を秤量し、その重量と風袋重量との差がポリマーの正味の収量をもたらす。結果を表1に納める。表1および本願の他所において、比較化合物はアスタリスク()によって示される。
【0163】
実施例1〜4は、DEZが存在するときの非常に狭いMWDの本質的に単峰性のコポリマーおよびDEZが存在しない状態での二峰性の広範な分子量分布の生成物(別々に生成したポリマーの混合物)の形成によって立証されるように、本発明による直鎖ブロックコポリマーの合成を示す。触媒(A1)は触媒(B1)よりもより多くのオクテンを取り込むことが公知であるという事実のため、生じる本発明のコポリマーの異なるブロックもしくはセグメントは分岐もしくは密度に基づいて区別可能である。
表1
【表1】

【0164】
本発明によりる製造されたポリマーは、可逆的移動剤が存在しない状態で調製されるポリマーよりも、比較的狭い多分散性(Mw/Mn)および高いブロック−コポリマー含有率(トリマー、テトラマーもしくはそれを上回るもの)を有することがわかる。
【0165】
表1のポリマーのさらなる特徴付けデータは図を参照することによって決定される。より具体的には、DSCおよびATREFの結果は以下を示す:
【0166】
実施例1のポリマーのDSC曲線は、158.1J/gの融解熱を伴う115.7℃の融点(Tm)を示す。対応するCRYSTAF曲線は、52.9パーセントのピーク面積を伴う34.5℃の最大ピークを示す。DSC TmとTcrystafとの差は81.2℃である。
【0167】
実施例2のポリマーのDSC曲線は、214.0J/gの融解熱を伴う109.7℃の融点(Tm)を有するピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、57.0パーセントのピーク面積を伴う46.2℃の最大ピークを示す。DSC TmとTcrystafとの差は63.5℃である。
【0168】
実施例3のポリマーのDSC曲線は、160.1J/gの融解熱を伴う120.7℃の融点(Tm)を有するピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、71.8パーセントのピーク面積を伴う66.1℃の最大ピークを示す。DSC TmとTcrystafとの差は54.6℃である。
【0169】
実施例4のポリマーのDSC曲線は、170.7J/gの融解熱を伴う104.5℃の融点(Tm)を有するピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、18.2パーセントのピーク面積を伴う30℃の最大ピークを示す。DSC TmとTcrystafとの差は74.5℃である。
【0170】
比較AのDSC曲線は、86.7J/gの融解熱を伴う90.0℃の融点(Tm)を示す。対応するCRYSTAF曲線は、29.4パーセントのピーク面積を伴う48.5℃の最大ピークを示す。これらの値の両者とも密度が低い樹脂と一致する。DSC TmとTcrystafとの差は41.8℃である。
【0171】
比較BのDSC曲線は、237.0J/gの融解熱を伴う129.8℃の融点(Tm)を示す。対応するCRYSTAF曲線は、83.7パーセントのピーク面積を伴う82.4℃の最大ピークを示す。これらの値の両者とも密度が高い樹脂と一致する。DSC TmとTcrystafとの差は47.4℃である。
【0172】
比較CのDSC曲線は、143.0J/gの融解熱を伴う125.3℃の融点(Tm)を示す。対応するCRYSTAF曲線は、34.7パーセントのピーク面積を伴う81.8℃の最大ピークに加えて52.4℃のより低い結晶性ピークを示す。2つのピークの間の隔たりは高結晶性および低結晶性ポリマーの存在と一致する。DSC TmとTcrystafとの差は43.5℃である。
【0173】
実施例5〜19、比較D〜F、連続溶液重合、触媒A1/B2+DEZ
連続溶液重合は、内部攪拌機を備えるコンピュータ制御オートクレーブ反応器において行う。精製混合アルカン溶媒(ExxonMobil Chemical Companyから入手可能なIsopar(商標)E)、2.70lb/時(1.22kg/時)でのエチレン、1−オクテンおよび水素(用いられる場合)を、温度制御用のジャケットおよび内部熱電対を備える3.8L反応器に供給する。反応器への溶媒供給はマスフロー制御器によって測定する。可変速ダイヤフラムポンプが溶媒流速および反応器に対する圧力を制御する。ポンプの排出口で側流を取り込み、触媒および共触媒1注入ライン並びに反応器攪拌機にフラッシュ流を提供する。これらの流れをMicro−Motionマスフローメーターによって測定し、制御弁により、もしくはニードル弁の手動調整により制御する。残りの溶媒は1−オクテン、エチレンおよび水素(用いられる場合)と合わせて反応器に供給する。マスフロー制御器を用いて、必要に応じて水素を反応器に送達する。溶媒/モノマー溶液の温度を、反応器に入る前に、熱交換器を用いることによって制御する。この流れは反応器の底部に入る。触媒成分溶液をポンプおよびマスフローメーターを用いて秤量し、触媒フラッシュ溶媒と合わせて反応器の底部に導入する。反応器を、激しく攪拌しながら、液体充満、500psig(3.45MPa)で稼働させる。生成物を反応器の頂部の排出ラインを通して取り出す。反応器からのすべての排出ラインを蒸気追跡し(steam traced)、かつ遮蔽する。少量の水をあらゆる安定化剤もしくは他の添加物と共に排出ラインに添加し、混合物をスタティックミキサーに通すことによって重合を停止させる。次に、揮発性物質除去(devolatilization)に先立ち、熱交換器を通過させることによって生成物流を加熱する。揮発性物質除去押出機(devolatilizing extruder)および水冷ペレッタイザーを用いる押出しによってポリマー生成物を回収する。プロセスの詳細および結果は表2に収容される。選択されたポリマー特性が表3に示される。
【表2】

【表3】

【0174】
生じるポリマーは、前の例と同様に、DSCおよびATREFによって試験する。結果は以下の通りである:
【0175】
実施例5のポリマーのDSC曲線は、60.0J/gの融解熱を伴う119.6℃の融点(Tm)を有するピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、59.5パーセントのピーク面積を有する47.6℃の最大ピークを示す。DSC TmとTcrystafとのデルタは72.0℃である。
【0176】
実施例6のポリマーのDSC曲線は、60.4J/gの融解熱を伴う115.2℃の融点(Tm)を有するピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、62.7パーセントのピーク面積を有する44.2℃の最大ピークを示す。DSC TmとTcrystafとのデルタは71.0℃である。
【0177】
実施例7のポリマーのDSC曲線は、69.1J/gの融解熱を伴う121.3℃の融点を有するピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、29.4パーセントのピーク面積を有する49.2℃の最大ピークを示す。DSC TmとTcrystafとのデルタは72.1℃である。
【0178】
実施例8のポリマーのDSC曲線は、67.9J/gの融解熱を伴う123.5℃の融点(Tm)を有するピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、12.7パーセントのピーク面積を有する80.1℃の最大ピークを示す。DSC TmとTcrystafとのデルタは43.4℃である。
【0179】
実施例9のポリマーのDSC曲線は、73.5J/gの融解熱を伴う124.6℃の融点(Tm)を有するピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、16.0パーセントのピーク面積を有する80.8℃の最大ピークを示す。DSC TmとTcrystafとのデルタは43.8℃である。
【0180】
実施例10のポリマーのDSC曲線は、60.7J/gの融解熱を伴う115.6℃の融点(Tm)を有するピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、52.4パーセントのピーク面積を有する40.9℃の最大ピークを示す。DSC TmとTcrystafとのデルタは74.7℃である。
【0181】
実施例11のポリマーのDSC曲線は、70.4J/gの融解熱を伴う113.6℃の融点(Tm)を有するピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、25.2パーセントのピーク面積を有する39.6℃の最大ピークを示す。DSC TmとTcrystafとのデルタは74.1℃である。
【0182】
実施例12のポリマーのDSC曲線は、48.9J/gの融解熱を伴う113.2℃の融点(Tm)を有するピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、30℃以上にピークを示さない。(したがって、さらなる計算のためのTcrystafは30℃に設定する)。DSC TmとTcrystafとのデルタは83.2℃である。
【0183】
実施例13のポリマーのDSC曲線は、49.4J/gの融解熱を伴う114.4℃の融点(Tm)を有するピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、7.7パーセントのピーク面積を有する33.8℃の最大ピークを示す。DSC TmとTcrystafとのデルタは84.4℃である。
【0184】
実施例14のポリマーのDSC曲線は、127.9J/gの融解熱を伴う120.8℃の融点(Tm)を有するピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、92.2パーセントのピーク面積を有する72.9℃の最大ピークを示す。DSC TmとTcrystafとのデルタは47.9℃である。
【0185】
実施例15のポリマーのDSC曲線は、36.2J/gの融解熱を伴う114.3℃の融点(Tm)を有するピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、9.8パーセントのピーク面積を有する32.3℃の最大ピークを示す。DSC TmとTcrystafとのデルタは82.0℃である。
【0186】
実施例16のポリマーのDSC曲線は、44.9J/gの融解熱を伴う116.6℃の融点(Tm)を有するピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、65.0パーセントのピーク面積を有する48.0℃の最大ピークを示す。DSC TmとTcrystafとのデルタは68.6℃である。
【0187】
実施例17のポリマーのDSC曲線は、47.0J/gの融解熱を伴う116.0℃の融点(Tm)を有するピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、56.8パーセントのピーク面積を有する43.1℃の最大ピークを示す。DSC TmとTcrystafとのデルタは72.9℃である。
【0188】
実施例18のポリマーのDSC曲線は、141.8J/gの融解熱を伴う120.5℃の融点(Tm)を有するピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、94.0パーセントのピーク面積を有する70.0℃の最大ピークを示す。DSC TmとTcrystafとのデルタは50.5℃である。
【0189】
実施例19のポリマーのDSC曲線は、174.8J/gの融解熱を伴う124.8℃の融点(Tm)を有するピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、87.9パーセントのピーク面積を有する79.9℃の最大ピークを示す。DSC TmとTcrystafとのデルタは45.0℃である。
【0190】
比較DのポリマーのDSC曲線は、31.6J/gの融解熱を伴う37.3℃の融点(Tm)を有するピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、30℃以上のピークを示さない。これらの値の両者は密度が低い樹脂と一致する。DSC TmとTcrystafとのデルタは7.3℃である。
【0191】
比較EのポリマーのDSC曲線は、179.3J/gの融解熱を伴う124.0℃の融点(Tm)を有するピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、94.6パーセントのピーク面積を有する79.3℃の最大ピークを示す。これらの値の両者は密度が高い樹脂と一致する。DSC TmとTcrystafとのデルタは44.6℃である。
【0192】
比較FのポリマーのDSC曲線は、90.4J/gの融解熱を伴う124.8℃の融点(Tm)を有するピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、19.5パーセントのピーク面積を有する77.6℃の最大ピークを示す。これら2つのピークの隔たりは高結晶性および低結晶性ポリマーの両者の存在と一致する。DSC TmとTcrystafとのデルタは47.2℃である。
【0193】
物理特性試験
ポリマーサンプルを物理特性、例えば、TMA温度試験によって立証される耐高温特性、ペレットブロッキング強度、高温回復、高温圧縮永久歪みおよび貯蔵弾性率比G’(25℃)/G’(100℃)について評価する。幾つかの商業的に入手可能なポリマーをこれらの試験に含める:比較Gは実質的に直鎖のエチレン/1−オクテンコポリマー(The Dow Chemical Companyから入手可能なAFFINITY(登録商標))であり、比較Hはエラストマー性の実質的に直鎖のエチレン/1−オクテンコポリマー(The Dow Chemical Companyから入手可能なAFF1NITY(登録商標)EG8100)であり、比較Iは実質的に直鎖のエチレン/1−オクテンコポリマー(The Dow Chemical Companyから入手可能なAFFINITY(登録商標)PL1840)であり、比較Jは水素化スチレン/ブタジエン/スチレントリブロックコポリマー(KRATON Polymersから入手可能なKRATON(商標)G1652)であり、比較Kは熱可塑性加硫物(TPV、架橋エラストマーが内部に分散されているポリオレフィン配合物)である。結果は表4に示される。
【表4】

【0194】
表4において、(触媒A1およびB1を用いる同時重合から生じる2種類のポリマーの物理的配合物である)比較Fは約70℃の1mm貫入温度を有し、それに対して実施例5〜9は100℃以上の1mm貫入温度を有する。さらに、実施例10〜19は、すべて85℃を上回る1mm貫入温度を有し、大部分が90℃を上回り、100℃さえも上回る1mm TMA温度を有する。これは、新規ポリマーが、物理的配合物と比較して、高温でのより良好な寸法安定性を有することを示す。比較J(市販SEBS)は約107℃の良好な1mm TMA温度を有するが、約100パーセントの非常に劣った(高温70℃)圧縮永久歪みを有し、かつ高温(80℃)300パーセント歪み回復の最中に回復することもできない(サンプルが破壊した)。したがって、例示ポリマーは、幾つかの商業的に入手可能な高性能熱可塑性エラストマーにおいてさえ利用できない、特性の独自組み合わせを有する。
【0195】
同様に、表4は、本発明のポリマーについて、6以下の低い(良好な)貯蔵弾性率比G’(25℃)/G’(100℃)を示し、それに対して物理的配合物(比較F)は9の貯蔵弾性率比を有し、同様の密度のランダムエチレン/オクテンコポリマー(比較G)は一桁大きい(89)貯蔵弾性率比を有する。ポリマーの貯蔵弾性率比は可能な限り1に近いことが望ましい。そのようなポリマーは温度の影響を比較的受けず、そのようなポリマーから製造される加工物品は広範な温度範囲にわたって有用に用いることができる。この低貯蔵弾性率比および温度非依存性の特徴は、エラストマー用途、例えば、感圧接着剤配合物において特に有用である。
【0196】
表4におけるデータは、本発明のポリマーが改善されたペレットブロッキング強度を有することをも示す。特には、実施例5は0MPaのペレットブロッキング強度を有し、これは、かなりのブロッキングを示す比較FおよびGと比較して、それが試験した条件下で自由流動することを意味する。高いブロッキング強度を有するポリマーのバルク輸送が貯蔵もしくは輸送の際に生成物の凝集もしくは固着を生じ、それが取り扱い特性の乏しさを生じる可能性があるため、ブロッキング強度は重要である。
【0197】
本発明のポリマーの高温(70℃)圧縮永久歪みは一般に良好であり、これは一般には約80パーセント未満、好ましくは約70パーセント未満、特には約60パーセント未満を意味する。対照的に、比較F、G、HおよびJは、すべて、100パーセント(最大の可能値、回復なしを示す)の70℃圧縮永久歪みを有する。良好な高温圧縮永久歪み(小数値)は、ガスケット、窓輪郭、o−リング等のような用途に特に必要である。
【表5】

【0198】
表5は、新規ポリマーに加えて様々な比較ポリマーの、周囲温度での機械特性の結果を示す。本発明のポリマーが、ISO4649に従って試験したとき、一般には約90mm未満、好ましくは約80mm未満、特には約50mm未満の体積損失を示す、非常に良好な耐摩耗性を有することがわかる。この試験において、より大きい数字はより大きい体積損失を、したがって、より低い耐摩耗性を示す。
【0199】
本発明のポリマーの、引張りノッチ付き引き裂き強さによって測定される引き裂き強さは、表5に示されるように、一般には1000mJ以上である。本発明のポリマーの引き裂き強さは3000mJという大きさ、もしくは5000mJという大きさでさえあり得る。比較ポリマーは、一般には、750mJを上回る引き裂き強さは有していない。
【0200】
表5は、本発明のポリマーが幾つかの比較サンプルよりも良好な150パーセント歪みでの引き込み応力(より高い引き込み応力値で示される)を有することをも示す。比較例F、GおよびHは400kPa以下の150パーセント歪みでの引き込み応力値を有し、それに対して本発明のポリマーは500kPa(Ex.11)から約1100kPaという高さ(Ex.17)までの150パーセント歪みでの引き込み応力を有する。より高い150パーセント引き込み応力値を有するポリマーは、弾性用途、例えば、弾性繊維および布地、特には、不織布に極めて有用である。他の用途には、おむつ、衛生用品および医療用衣服ベルト用途、例えば、タブおよび弾性バンドが含まれる。
【0201】
表5は、例えば比較Gと比較して、(50パーセント歪みでの)応力緩和も本発明のポリマーで改善されている(少ない)ことをも示す。より少ない応力緩和は、体温での長期間にわたる弾性特性の保持が望ましい用途、たとえばおむつおよび他の衣服において、ポリマーがその力を良好に保持することを意味する。
光学試験
【表6】

【0202】
表6に報告される光学特性は、実質的に配向を欠く圧縮成型フィルムに基づくものである。ポリマーの光学特性は、重合において用いられる可逆的連鎖移動剤の量の変動から生じるクリスタライトサイズの変動のため、広範囲にわたって変化し得る。
【0203】
マルチブロックコポリマーの抽出
実施例5、7および比較Eのポリマーの抽出研究を行う。これらの実験においては、ポリマーサンプルを秤量してガラスフリット化抽出シンブルに入れ、Kumagawa型抽出機に取り付ける。サンプルを収容する抽出機を窒素でパージし、500mL丸底フラスコを350mLのジエチルエーテルで満たす。次に、そのフラスコを抽出機に取り付ける。エーテルを攪拌しながら加熱する。エーテルが濃縮されてシンブル内に入り始める時間を書き留め、抽出を窒素の下で24時間進行させる。この時点で加熱を停止し、溶液を冷却する。抽出機内に残留するあらゆるエーテルをフラスコに戻す。フラスコ内のエーテルを真空下、周囲温度で蒸発させ、生じる固体を窒素でパージして乾燥させる。あらゆる残滓を、ヘキサンの連続洗浄を用いて、秤量されたボトルに移す。その後、合わせたヘキサン洗浄液を別の窒素パージで蒸発させ、残滓を真空下で一晩、40℃で乾燥させる。抽出機内のあらゆる残留エーテルを窒素でパージして乾燥させる。
【0204】
次に、350mLのヘキサンで満たした第2の清浄丸底フラスコを抽出機に接続する。ヘキサンを攪拌しながら加熱して還流させ、ヘキサンが濃縮されてシンブル内に入ることに最初に気づいた後、還流温度で24時間維持する。その後、加熱を停止し、フラスコを冷却する。抽出機内に残留するあらゆるヘキサンをフラスコに戻す。ヘキサンを真空下、周囲温度での蒸発によって除去し、フラスコ内に残留するあらゆる残滓を、連続ヘキサン洗浄を用いて、秤量されたボトルに移す。フラスコ内のヘキサンを窒素バージによって蒸発させ、残滓を40℃で一晩真空乾燥させる。
【0205】
抽出後にシンブル内に残留するポリマーサンプルをシンブルから秤量されたボトルに移し、40℃で一晩真空乾燥させる。結果が表7に収容される。
【表7】

【0206】
追加ポリマー実施例19A〜J、連続溶液重合、触媒A1/B2+DEZ
実施例19A〜Iについて
連続溶液重合をコンピュータ制御の十分混合される反応器内で行う。精製混合アルカン溶媒(Exxon Mobil,Inc.から入手可能なIsopar(商標)E)、エチレン、1−オクテンおよび水素(用いられる場合)を合わせ、27ガロン反応器に供給する。反応器への供給はマスフロー制御器によって測定する。供給流の温度は、反応器に入る前に、グリコール冷却熱交換器を用いることによって制御する。触媒成分溶液はポンプおよびマスフローメーターを用いて秤量する。反応器は、液体充満、約550psig圧で稼働させる。反応器から排出される際、水および添加物をポリマー溶液に注入する。水は触媒を加水分解し、重合反応を停止させる。その後、反応器後溶液を2段階揮発性物質除去のための準備において加熱する。溶媒および未反応モノマーはこの揮発性物質除去プロセスの最中に除去する。水中ペレット切断のため、ポリマー溶融物をダイにポンプ輸送する。
【0207】
実施例19Jについて
連続溶液重合を、内部攪拌機を備えるコンピュータ制御オートクレーブ反応器において行う。精製混合アルカン溶媒(ExxonMobil Chemical Companyから入手可能なIsopar(商標)E)、2.70lb/時(1.22kg/時)でのエチレン、1−オクテンおよび水素(用いられる場合)を、温度制御用のジャケットおよび内部熱電対を備える3.8L反応器に供給する。反応器への溶媒供給はマスフロー制御器によって測定する。可変速ダイヤフラムポンプが溶媒流速および反応器に対する圧力を制御する。ポンプの排出口で側流を取り込み、触媒および共触媒注入ライン並びに反応器攪拌機にフラッシュ流を供給する。これらの流れはMicro−Motionマスフローメーターによって測定し、制御弁により、もしくはニードル弁の手動調整により制御する。残りの溶媒は1−オクテン、エチレンおよび水素(用いられる場合)と合わせ、反応器に供給する。マスフロー制御器を用いて、必要に応じて水素を反応器に送達する。溶媒/モノマー溶液の温度は、反応器に入る前に、熱交換器を用いることによって制御する。この流れは反応器の底部に入る。触媒成分溶液はポンプおよびマスフローメーターを用いて秤量し、触媒フラッシュ溶媒と合わせて反応器の底部に導入する。反応器は、激しく攪拌しながら、液体充満、500psig(3.45MPa)で稼働させる。生成物は反応器の頂部の排出ラインを通して取り出す。反応器からのすべての排出ラインは蒸気追跡し、かつ遮蔽する。少量の水をあらゆる安定化剤もしくは他の添加物と共に排出ラインに添加し、かつ混合物をスタティックミキサーに通すことによって重合を停止させる。次に、揮発性物質除去に先立ち、熱交換器を通過させることによって生成物流を加熱する。揮発性物質除去押出機および水冷ペレッタイザーを用いる押出しによってポリマー生成物を回収する。
【0208】
プロセスの詳細および結果は表8に収容される。選択されたポリマー特性が表9A〜Cに示される。
【0209】
表9Bにおいて、本発明の実施例19Fおよび19Gは、500%伸長の後に約65〜70%歪みの低い即時永久歪み(immediate set)を示す。
【表8】

【表9−1】

【表9−2】

【0210】
実施例20および21
実施例20および21のエチレン/α−オレフィンインターポリマーは、下記表11に示される重合条件を用いて、上記実施例19A〜Iと実質的に同様の方法で製造した。これらのポリマーは表10に示される特性を示した。表10はこのポリマーに対するあらゆる添加物をも示す。
【表10】

【0211】
Irganox 1010はテトラキスメチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート)メタンである。Irganox 1076はオクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネートである。Irgafos 168はトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイトである。Chimasorb 2020は1,6−ヘキサンジアミン、2,3,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジンを含むN,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)−ポリマー、N−ブチル−1−ブタンアミンおよびN−ブチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジンアミンとの反応生成物である。
【表11】

【0212】
実施例22−弾性エチレン/α−オレフィンインターポリマーおよびランダムエチレンコポリマーの繊維
実施例20の弾性エチレン/α−オレフィンインターポリマーを用いて、ほぼ円形の断面を有する、40デニールのモノフィラメント繊維を製造した。繊維の製造に先立ち、以下の添加物をポリマーに添加した:7000ppm PDMSO(ポリジメチルシロキサン)、3000ppm CYANOX 1790(1,3,5−トリス−(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン)および3000ppm CHIMASORB 944 ポリ−[[6−(1,1,3,3−テトラメチル)ブチル)アミノ]−s−トリアジン−2,4−ジイル][2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]]および0.5重量% TiO
【0213】
溶融紡糸の最中、二重連続溶融フィルタ(Kreyenborg GmbH、Model K−SWE−080)を用いて樹脂を濾過した。フィルタースクリーンパックは公称25μm細孔濾過であった。そのスクリーンパックは細孔径に関して以下の順序の5層からなり、流れ方向は左から右に指定されていた:590ミクロン/90ミクロン/25ミクロン/多孔性不織布/90ミクロン/590ミクロン。この5層スクリーンパックは、最適スクリーンパック配置が保証されるように一緒に点溶接されていた。次に、円形0.8mm径のダイ外形、299℃の回転温度、1000m/分の巻き取り速度、2%の回転仕上げ、6%の低温延伸および150gのスプール重量を用いて繊維を製造した。その後、176.4kGy照射を架橋剤として用い、スプールの温度を約30℃未満に維持しながら、繊維を架橋させた。これらの繊維を以下では「OBC1繊維」と呼ぶ。
【0214】
一般名称AFFINITY(商標)KC8852Gを有するランダムコポリマー(The Dow Chemical Companyから入手可能)を用いて、ほぼ円形の断名を有する、40デニールのモノフィラメント繊維を製造した。AFFINITY(商標)KC8852Gは、3g/10分のメルト指数、0.875g/cmの密度および実施例20と同様の添加物を有することによって特徴づけられる。繊維の製造に先立ち、以下の添加物をポリマーに添加した:7000ppm PDMSO(ポリジメチルシロキサン)、3000ppm CYANOX 1790(1,3,5−トリス−(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオンおよび3000ppm CHIMASORB 944 ポリ−[[6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ]−s−トリアジン−2,4−ジイル][2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]]、0.5重量% TiO。繊維は、円形0.8mm径のダイ外形、299℃の回転温度、1000m/分の巻き取り速度、2%の回転仕上げ、6%の低温延伸および150gのスプール重量を用いて製造した。その後、176.4kGy照射を架橋剤として用い、スプールの温度を30℃未満に維持しながら、繊維を架橋させた。これらの繊維は以下ではランダムもしくは「RAN繊維」と呼ぶ。
【0215】
実施例23−皺なし例
2種類の異なる弾性繊維を本実施例において用いた。650m/分のライン速度で製造されたOBC1および450m/分の巻き取り速度で製造されたRAN繊維。これらの繊維は上記実施例22において説明される。
【0216】
(下記糸A〜E)と名付けられた5種類の異なる糸を、上記繊維から通常の技術を用いて製造した。
【0217】
縦糸:Ne40木綿スパン糸 横糸:
A:DCY Ne80/2+40D OBC1、OBC1繊維については2.5×ドラフト
B:DCY Ne80/2+40D OBC1、OBC1繊維については3.0×ドラフト
C:DCY Ne80/2+40D OBC1、OBC1繊維については3.5×ドラフト
D、E:SCY Ne40+40D RAN、RAN繊維については4.0×ドラフト。
DCYは「二重被覆糸」を指す。SCYもしくはCSYは、「サイロスパン糸」(異なる技術)を指す。
【0218】
これらの5種類の糸を、通常の技術を用いて、以下のように加工した:製織→糊抜き(de-sizing)→シルケット加工→乾燥硬化→ヒートセット→サンフォライズ加工。各工程のさらなる処理条件は以下で説明される。
【0219】
製織:織機上の生機構成はすべての種目についてインチ当たり縦糸120本×インチ当たり横糸70本である。
【0220】
糊抜き:85℃、40m/分の速度での糊抜き。
【0221】
シルケット加工:23BeのNaOH濃度、40m/分の速度でのシルケット加工。
【0222】
乾燥硬化およびヒートセット:160℃で50m/分による。スパンデックス含有布地にはこの処理を施すことができない。これは下記のため:1.pH<3の酸環境。2.スパンデックス含有布地は180℃を上回るヒートセット温度を必要とする。
【0223】
サンフォライズ加工:120℃で行った。
【0224】
皺処理:化学処理を160℃で50m/分によって行った。
【0225】
布地の説明:布地A、B、C:OBC1繊維ドラフトが異なる3色で、インチ当たり縦糸120本、インチ当たり横糸70本。布地D、E:RAN繊維に関して4.0×ドラフトの2つのパターンで、インチ当たり縦糸120本、インチ当たり横糸70本。
【表12】

【0226】
洗浄後の寸法変化
典型的な消費者の要求は−3%〜+3%収縮である。RANおよびOBC1を含む布地は、AATCC 135−2004 IVA、120Fで12分機械洗い、ノーマルサイクルの後、タンブルドライ(tumble dry)−コットン・スターディ(cotton sturdy)により、傑出した寸法安定性を果たした。
【表13】

【0227】
したがって、洗浄の後、増加に対して大きな負の影響なく伸長量が増加した。
洗浄後の布地の外見
【表14】

典型的な消費者の最小要求は両方向に1.5LBである。
【表15】

【0228】
布地の伸長特性
典型的な消費者の要求は、最低伸長率が15%であり、増加率は8%未満でなければならない。
【表16】

【0229】
上記表に示されるデータからわかるように、OBC1 エチレンα−オレフィンインターポリマーを含む布地は、優れた寸法安定性および伸縮特性を含む、皺なし処理を施すことができる伸縮性布地を提供する。
【0230】
実施例24−様々な量の繊維架橋
実施例20の弾性エチレン/α−オレフィンインターポリマーを用いて、ほぼ円形の断面を有する40デニールのモノフィラメント繊維を製造した。繊維の製造に先立ち、以下の添加物をポリマーに添加した:7000ppm PDMSO(ポリジメチルシロキサン)、3000ppm CYANOX 1790(1,3,5−トリス−(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオンおよび3000ppm CHIMASORB 944 ポリ−[[6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ]−s−トリアジン−2,4−ジイル][2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]]および0.5重量% TiO。繊維を、円形0.8mm径のダイ外形、299℃の回転温度、650m/分の巻き取り速度、2%の回転仕上げ、6%の低温延伸および150gのスプール重量を用いて製造した。続いて、e−ビームからの様々な量の照射を架橋剤として用いて繊維を硬化させた。
【0231】
ゲル含有率対照射の量を図8に示す。ゲル含有率は約25mgの繊維サンプルを秤量することによって4桁の有効数字の精度まで決定した。次に、サンプルを、キャップ付き2−ドラムバイアル内で7mlのキシレンと合わせる。そのバイアルを15分ごとに反転混合(すなわち、バイアルを逆さまに回転)させながら125℃〜135℃で90分加熱し、本質的にすべての非架橋ポリマーを抽出する。一度バイアルが約25℃に冷却されたら、キシレンをゲルからデカントする。バイアル内でゲルを少量の新鮮なキシレンですすぐ。すすいだゲルを風袋計量したアルミニウム秤量パンに移す。ゲルを有する風袋計量した皿を125℃で30分間真空乾燥し、キシレンを蒸発によって除去する。乾燥したゲルを有するパンを化学天秤で秤量する。抽出されたゲルの重量および元の繊維重量に基づいてゲル含有率を算出する。図8は、e−ビーム線量が増加するに従って架橋の量(ゲル含有率)が増加することを示す。当業者は、架橋の量とe−ビーム線量との正確な関係が所定のポリマーの特性、例えば、分子量もしくはメルトインデックスによって影響され得ることを理解する。
【0232】
実施例25−シャツ生地(shirting weight fabrics)
以下を用いてシャツ生地を製造した:
縦糸:2×1撚ったリングスパン100%木綿糸、カウントNe60/2。
横糸:横糸は製織に先立ってコーン(cone)内で染色した。木綿およびOBC樹脂系繊維で製造され、それらの繊維が295℃の回転温度を用い、かつ約30℃未満のスプール温度を維持しながら117.6kGy照射を架橋剤として用いて繊維を架橋したことを除いてOBC1と同様の方法で製造された、複合コアスパン糸。それらの繊維はカウントが約40デニールであり、全糸カウントはNe30/1であった。OBC弾性コアに適用されたドラフトは3.3×であった。
プレーン織り布地構造:縦糸28.7本/cmおよび横糸31本/cmからなる織機上密度、全リード幅175cm、縦方向の総数もしくは縦糸5022本。
【0233】
上記布地を以下のような仕上げルーチンによって処理した:
【表17】

【0234】
仕上げおよび枠張り(tenter)工程には以下の特定の防皺処理が含まれる:パディング(padding)、約110℃および30〜35%蒸気および5〜6%残留湿度で約3分の乾燥、洗浄並びに表面仕上げ最終処理(カレンダー処理および収縮)を含む、例えばwww.Monforts.deに記載される、Monforts製のMXL(登録商標)連続湿式架橋プロセス。上記布地は、指示された仕上げプロセスの後、以下の特性を示した:
【表18】

【0235】
表において上述されるMarks and SpencerおよびDupont試験は参照により本明細書に組み込まれる。後述されるこれらの方法の要約は実際の方法に代えて用いようとするものではない。
【0236】
Marks&Spencer、試験法P29、引き裂き強さ:1631gの最大力を発揮するElmendorf振り子引き裂き強さテスター(Elmendorf pendulum tear strength tester)を用いて布地の引き裂き強さを評価する方法。予め状態調節された、80mm×58mmの5つの布地検体を調製し、標準雰囲気において試験する。引き裂きは長さ15mmの布地の初期切り込みから広がる;その重量および高さによる振り子の揺動作用が布地を引き裂き、引き裂き強さは揺動作用のための振り子によるエネルギー損失の関数として評価される。検体の58mmという寸法は:布地縦糸方向においては横糸引裂き強さに対するものであり;引き裂きは横糸を横断し;布地横糸方向においては縦糸引裂き強さに対するものであり;引き裂きは縦糸を横断する。5つの結果の平均をグラム表示で報告する。
【0237】
Marks&Spencer、試験方法P11、引張り強さ:横断速度が100mm/分に設定され、ゲージ高さが200mmの、定速横断引張り試験装置を用いて布地の引張り強さを評価する方法。50mm幅に擦り切れた、試験方向(縦糸もしくは横糸)に300mmの長さの3つの細片を試験して検体の破壊に必要な荷重を測定し、3つの結果の平均を報告する。
【0238】
DuPont、試験法TTM075、布地の伸び(バネ秤試験)。この試験は織物の全伸長(伸び)を決定する。公知の長さの布地検体を試験し、cmあたり6N(インチあたり3.37lb)の荷重をかける。これらの荷重での伸びを記録し、布地の伸びを算出する。33cm×6cmの布地検体を試験しようとする布地から切断する;長さの寸法は伸長方向に対応しなければならない。検体を幅5cmにほどいた後、状態を整える。正確に25cm離れた2つの基準線を引く。検体をバネ秤装置に乗せ、30N荷重を3秒間の適用で3回作動させた後、伸ばしたまま30Nの荷重の下に保持する。伸ばされた検体の長さを元の長さと比較し、伸び[%]を算出する。個々の測定値および平均を報告する。
【0239】
DuPont、試験法TTM077、布地の増加。この試験は伸長性織物における布地増加のパーセンテージを決定する。まず、布地に伸び試験を施して布地の伸びを決定する。次に、これらの布地からの検体を布地の伸びの80%まで伸ばし、この状態で30分間保持する。次いで、それらを60分間緩和させ、その時点で布地の増加を測定して算出する。各々の布地サンプルについて3つの検体を切断する。各々の検体は55×6cmと測定され、幅5cmに解かれていなければならない。長さの寸法は伸長方向に対応していなければならない。各々の検体に対して正確に50cm離して基準線を引く。検体を最大伸びの80%まで伸ばし、伸ばしたまま30分保持し、60分の緩和の後に測定する。増加を算出するため:X%増加=(L/50cm×100(式中、Lは緩和後の検体間の長さの増加である))。3つの検体の平均増加を報告する。
【0240】
Marks&Spencer、試験法P134、ノンアイロン製品の評価:「ノンアイロン」品質として販促される布地の性能を評価する。500mm×500mmのサイズの布地検体を布地から切断し、60℃で洗浄してタンブラー乾燥(tumble dried)させる。その後、布地の外見を標準レプリカに対して評価する(AATCC 143)。
【0241】
実施例26−シャツ生地
以下を用いてシャツ生地を製造した:
縦糸:リングスパン100%木綿糸、カウントNe50/1。
横糸:上記実施例25の木綿およびOBC樹脂系繊維で製造された複合コアスパン糸はカウントが40デニールであり、全糸カウントはNe50/1であった。
プレーン織り布地構造:縦糸48本/cmおよび横糸30本/cmからなる織機上密度、全リード幅175cm、縦方向における総数もしくは縦糸8435本。
このような布地を以下のような仕上げルーチンによって処理した:
【表19】

【0242】
仕上げおよび枠張り工程は以下の特定の防皺処理を含む:パディング、約110℃および30〜35%蒸気および5〜6%残留湿度で約3分の乾燥、洗浄並びに表面仕上げ最終処理(カレンダー処理および収縮)を含む、例えばwww.Monforts.deに記載される、Monforts製のMXL(登録商標)連続湿式架橋プロセス。上記布地は、指示された仕上げプロセスの後、以下の特性を示した:
【表20】

【0243】
実施例27−シャツ生地
以下を用いてシャツ生地を製造した:
縦糸:リングスパン100%木綿糸、カウントNe50/1。
横糸:横糸は、製織に先立ち、コーンにおいて染色した。カウントが40デニールであり、全糸カウントがNe50/1である、実施例25の木綿およびOBC樹脂系繊維で製造された複合コアスパン糸。
プレーン織り布地構造:縦糸48本/cmおよび横糸30本/cmからなる織機上密度、全リード幅175cm、縦方向における総数もしくは縦糸8435本(実施例26によるものと同じ)。
この布地を以下のような仕上げルーチンによって処理した:
【表21】

【0244】
仕上げおよび枠張り工程は以下の特定の防皺処理を含む:パディング、約110℃および30〜35%蒸気および5〜6%残留湿度で約3分の乾燥、洗浄並びに表面仕上げ最終処理(カレンダー処理および収縮)を含む、例えばwww.Monforts.deに記載される、Monforts製のMXL(登録商標)連続湿式架橋プロセス。上記布地は、指示された仕上げプロセスの後、以下の特性を示した:
【表22】

【0245】
実施例28−シャツ生地
以下を用いてシャツ生地を製造した:
縦糸:リングスパン100%木綿糸、カウントNe50/1。
横糸:(交互ピックに挿入)(1)カウントが40デニールであり、全糸カウントがNe50/1である、実施例25の木綿およびOBC樹脂系繊維で製造された複合コアスパン糸並びに(2)リングスパン100%木綿糸、カウントNe50/1。
プレーン織り布地構造:縦糸48本/cmおよび横糸30本/cmからなる織機上密度、全リード幅175cm、縦方向における総数もしくは縦糸8435本。
このような布地を以下のような仕上げルーチンによって処理した:
【表23】

【0246】
仕上げおよび枠張り工程は以下の特定の防皺処理を含む:パディング、約110℃および30〜35%蒸気および5〜6%残留湿度で約3分の乾燥、洗浄並びに表面仕上げ最終処理(カレンダー処理および収縮)を含む、例えばwww.Monforts.deに記載される、Monforts製のMXL(登録商標)連続湿式架橋プロセス。上記布地は、指示された仕上げプロセスの後、以下の特性を示した:
【表24】

【0247】
実施例29−シャツ生地
以下を用いてシャツ生地を製造した:
縦糸:リングスパン100%木綿糸、カウントNe50/1。
横糸:横糸は、製織に先立ち、コーンにおいて染色した。(交互ピックに挿入した)(1)カウントが40デニールであり、全糸カウントがNe50/1である、実施例25の木綿およびOBC樹脂系繊維で製造された複合コアスパン糸並びに(2)リングスパン100%木綿糸、カウントNe50/1。
プレーン織り布地構造:縦糸48本/cmおよび横糸30本/cmからなる織機上密度、全リード幅175cm、縦糸における総数もしくは端部8435(実施例28によるものと同じ)。
このような布地を以下のような仕上げルーチンによって処理した:
【表25】

【0248】
仕上げおよび枠張り工程は以下の特定の防皺処理を含む:パディング、約110℃および30〜35%蒸気および5〜6%残留湿度で約3分の乾燥、洗浄並びに表面仕上げ最終処理(カレンダー処理および収縮)を含む、例えばwww.Monforts.deに記載される、Monforts製のMXL(登録商標)連続湿式架橋プロセス。上記布地は、指示された仕上げプロセスの後、以下の特性を示した:
【表26】

【0249】
実施例30−シャツ生地
以下を用いてシャツ生地を製造した:
縦糸:リングスパン100%木綿糸、カウントNe40/1。
横糸:カウントが40デニールであり、かつ全糸カウントがNe40/1の、実施例25の木綿およびOBC樹脂系繊維で製造された複合コアスパン糸。
プレーン織り布地構造:縦糸50本/cmおよび横糸24本/cmからなる織機上密度、全リード幅170cm、縦方向における縦糸の総数8501本。
このような布地を以下のような仕上げルーチンによって処理した:
【表27】

【0250】
仕上げおよび枠張り工程は以下の特定の防皺処理を含む:パディング、約110℃および30〜35%蒸気および5〜6%残留湿度で約3分の乾燥、洗浄並びに表面仕上げ最終処理(カレンダー処理および収縮)を含む、例えばwww.Monforts.deに記載される、Monforts製のMXL(登録商標)連続湿式架橋プロセス。上記布地は、指示された仕上げプロセスの後、以下の特性を示した:
【表28】

【0251】
実施例31−シャツ生地
以下を用いてシャツ生地を製造した:
縦糸:リングスパン100%木綿糸、カウントNe40/1。
横糸:横糸は、製織に先立ち、コーンにおいて染色した。カウントが40デニールであり、かつ全糸カウントがNe40/1の、実施例25の木綿およびOBC樹脂系繊維で製造された複合コアスパン糸。
プレーン織り布地構造:縦糸50本/cmおよび横糸24本/cmからなる織機上密度、全リード幅170cm、縦方向における縦糸の総数8501本。
このような布地を以下のような仕上げルーチンによって処理した:
【表29】

【0252】
仕上げおよび枠張り工程は以下の特定の防皺処理を含む:パディング、約110℃および30〜35%蒸気および5〜6%残留湿度で約3分の乾燥、洗浄並びに表面仕上げ最終処理(カレンダー処理および収縮)を含む、例えばwww.Monforts.deに記載される、Monforts製のMXL(登録商標)連続湿式架橋プロセス。上記布地は、指示された仕上げプロセスの後、以下の特性を示した:
【表30】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
皺なし処理を施すことができる伸縮性布地であって:
(A)架橋前に、以下の特徴の1つまたはそれ以上によって特徴づけられるエチレン/α−オレフィンインターポリマー:
(1)ゼロを上回り約1.0までの平均ブロック指数および約1.3を上回る分子量分布Mw/Mn;または
(2)TREFを用いて分画するときに40℃〜130℃で溶出する、少なくとも0.5で約1までのブロックインデックスを有することを特徴とする少なくとも1つの分子画分;または
(3)約1.7〜約3.5のMw/Mn、少なくとも1つの摂氏度表示の融点Tmおよびグラム/立方センチメートル表示の密度d(ここで、Tmおよびdの数値は以下の関係に対応する:
Tm>−2002.9+4538.5(d)−2422.2(d)):または
(4)約1.7〜約3.5のMw/Mn、並びにJ/g表示の融解熱ΔHおよび最高DSCピークと最高CRYSTAFピークとの温度差として定義される摂氏度表示のデルタ量ΔT(ここで、ΔTおよびΔHの数値は以下の関係:
ゼロを上回り130J/gまでのΔHについては、ΔT>−0.1299(ΔH)+62.81
130J/gを上回るΔHについては、ΔT≧48℃)
を有し、ここで、CRYSTAFピークは累積ポリマーの少なくとも5パーセントを用いて決定され、並びにポリマーの5パーセント未満が識別可能なCRYSTAFピークを有する場合にはCRYSTAF温度は30℃である);または
(5)エチレン/α−オレフィンインターポリマーの圧縮成型フィルムで測定される300パーセント歪みおよび1サイクルでのパーセント表示の弾性回復率Re並びにグラム/立方センチメートル表示の密度dを有する(ここで、Reおよびdの数値は、エチレン/α−オレフィンインターポリマーが架橋相を実質的に含まないとき、以下の関係:
Re>1481−1629(d)
を満たす);または
(6)TREFを用いて分画するときに40℃〜130℃で溶出する分子画分であって、同じ温度間で溶出する比較ランダムエチレンインターポリマーのものよりも少なくとも5パーセント高いコモノマーモル含有率を有することを特徴とし、該比較ランダムエチレンインターポリマーは同じコモノマーを有し、かつエチレン/α−オレフィンインターポリマーのものから10パーセント以内のメルトインデックス、密度および(全ポリマーを基準にした)コモノマーモル含有率を有する分子画分;または
(7)25℃での貯蔵弾性率G’(25℃)および100℃での貯蔵弾性率G’(100℃)(ここで、G’(25℃)のG’(100℃)に対する比は約1:1〜約9:1の範囲である);並びに
(B)少なくとも1種類の他の物質;
を含み、ASTM D3107による測定で少なくとも8パーセントの伸長を有し、並びに皺なし処理を施した後、AATCC−124もしくはMarks and Spencer P134を用いる5回の洗浄後に少なくとも3.0の耐久性プレス評点を有する、布地。
【請求項2】
前記他の物質がセルロース、木綿、亜麻、ラミー、レーヨン、ビスコース、麻、羊毛、絹、リネン、竹、テンセル、ビスコース、モヘア、ポリエステル、ポリアミド、ポリプロピレンおよびそれらの混合物からなる群より選択される、請求項1に記載の布地。
【請求項3】
セルロースが前記布地の60〜97重量パーセントを構成する、請求項1に記載の布地。
【請求項4】
セルロースが前記布地の少なくとも90重量パーセントを構成する、請求項3に記載の布地。
【請求項5】
セルロースが木綿を含む、請求項3に記載の布地。
【請求項6】
前記エチレン/α−オレフィンインターポリマーが前記布地の2重量パーセント〜10重量パーセントを構成する、請求項1に記載の布地。
【請求項7】
布地引裂き強さが、ASTM D1424による測定で少なくとも1.5ポンドであり、もしくはMarks and Spencer P11による測定で少なくとも1.1ポンドである、請求項1に記載の布地。
【請求項8】
前記エチレン/α−オレフィンインターポリマーが、架橋前に、約0.865〜約0.92g/cm(ASTM D 792)の密度および約0.1〜約10g/10分のメルトインデックスによって特徴づけられる、請求項1に記載の布地。
【請求項9】
前記エチレン/α−オレフィンインターポリマーが、エチレン/α−オレフィンインターポリマーおよび少なくとも1種類の架橋剤の反応生成物を含む1またはそれ以上の繊維形態にあり、該繊維が約1デニール〜約180デニールを有する、請求項1に記載の布地。
【請求項10】
前記エチレン/α−オレフィンインターポリマーが、エチレン/α−オレフィンインターポリマーおよび少なくとも1種類の架橋剤の反応生成物を含む1またはそれ以上の繊維の形態にあり、該繊維が布地の約1〜約30重量%を構成する、請求項1に記載の布地。
【請求項11】
前記布地がニット生地である、請求項10に記載の布地。
【請求項12】
前記エチレン/α−オレフィンインターポリマーが、エチレン/α−オレフィンインターポリマーおよび少なくとも1種類の架橋剤の反応生成物を含む1またはそれ以上の繊維の形態にあり、該繊維が布地の約1〜約10重量%を構成する、請求項1に記載の布地。
【請求項13】
前記布地が織物生地である、請求項12に記載の布地。
【請求項14】
前記エチレン/α−オレフィンインターポリマーが、エチレン/α−オレフィンインターポリマーおよび少なくとも1種類の架橋剤の反応生成物を含む1またはそれ以上の繊維の形態にあり、該繊維が少なくとも約10重量%のゲル含有率を含む、請求項1に記載の布地。
【請求項15】
2つの次元に伸長できる、請求項1に記載の布地。
【請求項16】
比較的皺なしにさせる型崩れしない結合を含む、請求項1に記載の布地。
【請求項17】
AATCC−124もしくはMarks and Spencer P134を用いて、5回の洗浄後、少なくとも3.0の耐久性プレス評点を有する、請求項15に記載の布地。
【請求項18】
前記皺なし処理の後にその寸法安定性を保持する、請求項1に記載の布地。
【請求項19】
前記他の物質がケラチンを含み、かつ洗浄可能でアイロンかけなしに皺なしにされている、請求項1に記載の布地。
【請求項20】
前記エチレン/α−オレフィンインターポリマーがエチレン/α−オレフィンインターポリマーおよび少なくとも1種類の架橋剤の反応生成物を含む1またはそれ以上の繊維の形態にあり、前記他の物質がケラチンを含み、かつ洗浄可能でアイロンかけなしに皺なしにされている、請求項1に記載の布地。
【請求項21】
前記布地に形成されるあらゆる折り目が洗浄後に実質的に保持される、請求項1に記載の布地。
【請求項22】
請求項1に記載の布地を含む衣服。
【請求項23】
AATCC−143−1996を用いた5回の洗浄後に、少なくとも3.0の折り目保持評点を有する、請求項22に記載の衣服。
【請求項24】
伸長パーセントに対する増加パーセントの比が約0.05〜約0.5である、請求項1に記載の布地。
【請求項25】
ポリブチレンテレフタレート、スパンデックス、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(トリメチレンテレフタレート)およびそれらの混合物からなる群より選択されるポリマーを含んでなる弾性繊維を含む、請求項1に記載の布地。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2010−511800(P2010−511800A)
【公表日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−539514(P2009−539514)
【出願日】平成19年11月30日(2007.11.30)
【国際出願番号】PCT/US2007/086097
【国際公開番号】WO2008/067538
【国際公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ インコーポレイティド (1,383)
【Fターム(参考)】