説明

防眩フィルム、偏光板、画像表示装置、及び防眩フィルムの製造方法

【課題】硬度に優れ、高コントラストでかつギラツキを抑えた防眩フィルムを提供すること。
【解決手段】透明セルロースエステルフィルム基材上に、固形分濃度が3質量%以上60質量%以下であり、下記(A)、(B)及び(C)を含む硬化性組成物を硬化して得られる防眩層を有し、該防眩層の膜厚が3〜15μmであり、防眩フィルム全体の全ヘイズが0.5〜2.5%である防眩フィルム。
(A)硬化性化合物
(B)フォスフィンオキサイド系開始剤を前記硬化性化合物(A)に対して0.5〜2.0質量%
(C)平均粒径が2〜8μmの透光性樹脂粒子を全固形分に対して5〜15質量%

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防眩フィルム、偏光板、画像表示装置、及び防眩フィルムの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
透明セルロースエステルフィルムに防眩層を積層した防眩フィルムは、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)や陰極管表示装置(CRT)のような様々な画像表示装置において、表面散乱による防眩性により、外光の反射や像の映り込みによるコントラスト低下を防止するために、ディスプレイの表面に配置される(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
フィルムに防眩性を持たせるにはフィルムの表面に凹凸を形成することで達成できる。例えば、シリカ粒子や樹脂粒子などのフィラーを含む樹脂溶液を基材上に塗布し、表面凹凸を形成する方法が知られている(例えば、特許文献2参照)。しかし、この様に表面凹凸を有する防眩フィルムを画像表示装置に配置した場合、画像表示装置が高精細化した場合には、画像表示装置の画素と防眩フィルムの表面凹凸形状が干渉し、結果として輝度分布が発生して見にくくなる、いわゆるギラツキ現象が発生しやすいという問題があった。ギラツキを解消するために、バインダー樹脂と分散フィラーとの間に屈折率差を設けて光を散乱させる試みもあるが、そのような防眩フィルムを画像表示装置に適用した場合には、散乱光によって黒表示の輝度が上がり、結果としてコントラストが低下して視認性を著しく低下させるという問題があった。
【0004】
また、特許文献3には内部散乱を有する支持体を用いることで画素の輝度分布の発生を抑制し、ギラツキの解消することが記載されている(防眩フィルムの全ヘイズ値としては0.5〜5.0%)。しかしながら該特許文献3では支持体が内部散乱を有しているために、上記と同様な理由で、コントラストが低下してしまう。この様に従来の防眩設計では、ギラツキ抑制と高コントラストを十分に満足する防眩フィルムは得られていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−250276号公報
【特許文献2】特開2006−293334号公報
【特許文献3】特開2009−251378号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
高精細、高品位な画像表示装置が求められる昨今、防眩性を有し、かつ高コントラストでギラツキのない画像を実現し得る防眩フィルムが求められてきている。また、防眩フィルムはディスプレイの表面に配置されるため、高い硬度を有することも求められる。
以上のような現状を鑑みて、本発明は、硬度に優れ、高コントラストでかつギラツキを抑えた防眩フィルムを提供することを目的とする。更に、そのような防眩フィルムを用いた偏光板、及び画像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、以下の手段により前記課題を解決した。
[1]
透明セルロースエステルフィルム基材上に、固形分濃度が3質量%以上60質量%以下であり、下記(A)、(B)及び(C)を含む硬化性組成物を硬化して得られる防眩層を有し、該防眩層の膜厚が3〜15μmであり、防眩フィルム全体の全ヘイズが0.5〜2.5%である防眩フィルム。
(A)硬化性化合物
(B)フォスフィンオキサイド系開始剤を前記硬化性化合物(A)に対して0.5〜2.0質量%
(C)平均粒径が2〜8μmの透光性樹脂粒子を全固形分に対して5〜15質量%
[2]
防眩層の膜厚が3〜5μmである[1]に記載の防眩フィルム。
[3]
前記(A)硬化性化合物を硬化して得られた樹脂と、前記(C)透光性樹脂粒子の屈折率差が0.01以下である[1]又は[2]に記載の防眩フィルム。
[4]
前記(B)フォスフィンオキサイド系開始剤がビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイドである[1]〜[3]のいずれか1項に記載の防眩フィルム。
[5]
前記透明セルロースエステルフィルムが、フラノース構造又はピラノース構造の少なくとも1種を1個以上4個以下有する化合物のエステル化化合物を含む[1]〜[4]のいずれか1項に記載の防眩フィルム。
[6]
前記(A)硬化性化合物がウレタンアクリル化合物である[1]〜[5]のいずれか1項に記載の防眩フィルム。
[7]
前記硬化性組成物が、更に、無機微粒子を全固形分に対して3〜30質量%含む[1]〜[6]のいずれか1項に記載の防眩フィルム。
[8]
前記防眩層上に、更に、前記防眩層よりも屈折率が低い低屈折率層を有する[1]〜[7]のいずれか1項に記載の防眩フィルム
[9]
[1]〜[8]のいずれか1項に記載の防眩フィルムを、偏光膜の保護フィルムの少なくとも一方に用いた偏光板。
[10]
[1]〜[8]のいずれか1項に記載の防眩フィルムを、偏光膜の保護フィルムの一方に用い、光学異方性のある光学補償フィルムを偏光膜の保護フィルムのもう一方に用いた偏光板。
[11]
[1]〜[8]のいずれか1項に記載の防眩フィルム、又は[9]若しくは[10]に記載の偏光板が画像表示面に配置された画像表示装置。
[12]
透明セルロースエステルフィルム上に、膜厚が3〜15μmの防眩層を有し、フィルム全体の全ヘイズが0.5〜2.5%である防眩フィルムの製造方法であって、
固形分濃度が3質量%以上60質量%以下であり、下記(A)、(B)、(C)、(D)を含む硬化性組成物を、前記透明セルロースエステルフィルム上に、塗布し、硬化させて、防眩層を形成する工程を有する防眩フィルムの製造方法。
(A)硬化性化合物
(B)フォスフィンオキサイド系開始剤を前記硬化性化合物(A)に対して0.5〜2.0質量%
(C)平均粒径が2〜8μmの透光性樹脂粒子を全固形分に対して5〜15質量%
(D)溶剤
【発明の効果】
【0008】
本発明の防眩フィルムによれば、硬度に優れ、高コントラストでかつギラツキを抑えた防眩フィルムを提供することができる。更に、該防眩フィルムを用いた偏光板を提供することができる。更に又、該防眩フィルム又は偏光板を用いた、高コントラストでギラツキのない画像表示が可能な画像表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】防眩層硬化前の防眩フィルムを示す断面図である。
【図2】表面硬化性光重合開始剤を用いて硬化した防眩層を有する防眩フィルムを示す断面図である。
【図3】内部硬化性光重合開始剤を用いて硬化した防眩層を有する防眩フィルムを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明について以下に詳細に述べる。
本発明の防眩フィルムは、透明セルロースエステルフィルム基材上に、固形分濃度が3質量%以上60質量%以下であり、下記(A)、(B)及び(C)を含む硬化性組成物を硬化して得られる防眩層を有し、該防眩層の膜厚が3〜15μmであり、防眩フィルム全体の全ヘイズが0.5〜2.5%である防眩フィルム。
(A)硬化性化合物
(B)フォスフィンオキサイド系開始剤を前記硬化性化合物(A)に対して0.5〜2.0質量%
(C)平均粒径が2〜8μmの透光性樹脂粒子を全固形分に対して5〜15質量%
【0011】
本発明における防眩層は、光重合開始剤としてフォスフィンオキサイド系開始剤を特定量使用することで高コントラストと低ギラツキを維持したままで高硬度を達成できる。
図1は、硬化前の防眩層A1を有する防眩フィルム10を示す模式図である。硬化前の防眩フィルム10は、透光性樹脂粒子1と硬化性化合物と光重合開始剤を含有する硬化性組成物2が透明セルロースエステルフィルムB上に塗布されている。この後、塗布された硬化性組成物2が硬化されることで防眩層が形成されるが、本発明者らの検討によれば、光重合開始剤によりその硬化の進行具合が異なり、得られる防眩層の表面形状が異なることが分かった。
図2は、前記光重合開始剤としてフォスフィンオキサイド系以外の(表面硬化性)開始剤のみを使用し、硬化性組成物3を硬化させて防眩層A2を形成した防眩フィルム20を示す模式図である。フォスフィンオキサイド系以外の開始剤は表面硬化性を有するため、防眩層の表面から先に硬化が進み、図2のような層内部の透光性樹脂粒子に対して凹凸の追従が緩やかで凹凸の変化がなだらかな表面形状が形成される。図2のような表面凹凸形状を有する防眩フィルム20は防眩層A2が比較的長周期の凹凸を形成するため画像表示装置の画素と干渉を起こし、ギラツキを生じやすい。図3は、前記光重合開始剤としてフォスフィンオキサイド系開始剤(内部硬化性開始剤)を使用し、硬化性組成物4を硬化させて防眩層A3を形成した防眩フィルム30を示す模式図である。フォスフィンオキサイド系開始剤を使用した場合は、表面硬化性の開始剤に対して相対的に防眩層の内部から硬化が進み、図3のような層内部の透光性樹脂粒子に対して凹凸が追従して凹凸が透光性樹脂粒子の位置に局在した表面形状を形成する。図3のような表面凹凸形状を有する防眩フィルム30は、防眩層A3が比較的短周期の凹凸を形成するため画像表示装置の画素と干渉を起こしにくく、ギラツキが発生しにくい。
本発明における防眩層は、光重合開始剤としてフォスフィンオキサイド系開始剤を特定量用いることで、高コントラストと低ギラツキを両立したまま、高硬度を達成させることができた。なお、本発明の防眩フィルムは図3と同様の表面凹凸形状を有している。
【0012】
本発明において、防眩層の膜厚は3〜15μmであり、好ましくは3〜10μmであり、より好ましくは3〜5μmである。カール抑制の観点から防眩層の膜厚は薄い方が好ましく、防眩層としての性能発現させた上でカールを抑制する点から膜厚範囲を上記範囲とすることが好ましい。
防眩層の膜厚は、例えば、防眩層の断面を走査型電子顕微鏡で観察し基材からの法線方向の厚みの平均値で表すことができる。
【0013】
(1)硬化性化合物
本発明における防眩層を形成するための硬化性組成物は少なくとも1種の硬化性化合物を含有する。該硬化性化合物は硬化後に透光性樹脂となりバインダーのはたらきをすることが好ましい。
防眩層を構成するマトリックスを形成する樹脂バインダーとしては、硬化性化合物が電離放射線等による硬化して形成される、飽和炭化水素鎖を主鎖として有する透光性ポリマー(バインダーポリマーともいう)であることが好ましい。また、硬化後の主たるバインダーポリマーは架橋構造を有することが好ましい。
【0014】
前記飽和炭化水素鎖を主鎖として有するバインダーポリマーとしては、下記に述べる2個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーの重合体が好ましい。
【0015】
また、バインダーポリマーとしては、飽和炭化水素鎖を主鎖として有し、かつ架橋構造を有するバインダーポリマーとしては、2個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーの(共)重合体が好ましい。防眩層を高屈折率にするには、このモノマーの構造中に芳香族環や、フッ素以外のハロゲン原子、硫黄原子、リン原子、及び窒素原子から選ばれた少なくとも1種を含むことが好ましい。
【0016】
防眩層を形成するための硬化性化合物として用いられる、前記2個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーとしては、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル{例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,2,3−クロヘキサンテトラメタクリレート、ポリウレタンポリアクリレート、ポリエステルポリアクリレート}、ビニルベンゼン及びその誘導体(例えば、1,4−ジビニルベンゼン、4−ビニル安息香酸−2−アクリロイルエチルエステル、1,4−ジビニルシクロヘキサノン)、ビニルスルホン(例えば、ジビニルスルホン)、(メタ)アクリルアミド(例えば、メチレンビスアクリルアミド)等が挙げられる。(メタ)アクリロイル基を有する多官能アクリレート系化合物類は市販されているものを用いることもでき、日本化薬(株)製KAYARAD DPHA、同PET−30、新中村化学工業(株)NKエステル A−TMMT、同A−TMPT等を挙げることができる。硬化収縮を低減してカールを抑制する観点からはエチレンオキサイドやプロピレンオキサイド、カプロラクトン付加して架橋点間距離を広げることが好ましく、例えば、エチレンオキサイド付加したトリメチロールプロパントリアクリレート(例えば大阪有機化学社製ビスコートV#360)、グリセリンプロピレンオキサイド付加トリアクリレート(例えば大阪有機化学社製V#GPT)、カプロラクトン付加ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(例えば日本化薬製DPCA−20、120)などが好ましく用いられる。2個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーは2種以上併用することも好ましい。
【0017】
更に、硬化性化合物としては、2個以上のエチレン性不飽和基を有する樹脂、例えば比較的低分子量のポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂及び多価アルコール等の、多官能化合物などのオリゴマー又はプレポリマー等も挙げることができる。これらのオリゴマー又はプレポリマーは2種以上併用してもよい。
2個以上のエチレン性不飽和基を有する樹脂は、硬化性化合物全量に対して10〜100質量%含有することが好ましい。
【0018】
また、硬化性化合物としては、ウレタンアクリル化合物であることが好ましく、2個以上のエチレン性不飽和基を有するウレタン樹脂がより好ましい。ウレタンアクリル化合物を用いることで、硬化によるフィルムのカールをより抑制することができる。
これらの2個以上のエチレン性不飽和基を有するウレタン樹脂としては、市販品を用いることができる。具体的には共栄社化学(株)製 商品名AH−600、AT−600、UA−306H、UA−306T、UA−306I; 日本合成化学工業(株)製の紫光シリーズ、例えば、UV1700B、UV6300B、UV765B、UV7640B、UV7600B等; 新中村化学工業(株)製のUA100H、U4H、U6H、U15HA、UA32P、U6LPA、U324A、U9HAMI等; ダイセル・サイテック(株)製のEbecrylシリーズ、例えば、1290、5129、254、264、265、1259、1264、 4866、9260、8210、204、205、6602、220、4450等; 荒川化学工業(株)製のビームセットシリーズ、例えば、577、577BV、577AK等; DPHA40H(日本化薬(株)製)、CN9006、CN968(SARTOMER社製)等が挙げられる。この中でも、好ましくは、3個以上のエチレン性不飽和基を有するウレタン樹脂が好ましく、具体的には、UV1700B(日本合成化学工業(株)製)、DPHA40H(日本化薬(株)製)、ビームセット577(荒川化学工業(株)製)、U15HA(新中村化学工業(株)製)等が挙げられる。
【0019】
これらのエチレン性不飽和基を有するモノマーの重合は、光ラジカル重合開始剤又は熱ラジカル重合開始剤の存在下、電離放射線の照射又は加熱により行うことができる。従って、エチレン性不飽和基を有するモノマー、光ラジカル重合開始剤又は熱ラジカル重合開始剤、樹脂粒子、分散溶媒、必要に応じて無機フィラー、塗布助剤、その他の添加剤等を含有する塗布液を調製し、該塗布液を透明基材上に塗布後、電離放射線又は熱による重合反応により硬化して防眩層を形成する。電離放射線硬化と熱硬化を合わせて行うことも好ましい。光及び熱重合開始剤としては市販の化合物を利用することができる。なお、本発明においては前述のとおりフォスフィンオキサイド系開始剤が最も好ましい。
【0020】
本発明において用いられる硬化性化合物は1種でも2種以上でもよいが、1種又は2種が好ましい。硬化性化合物の含有量は、防眩層の膜強度の観点から、防眩層を形成するための硬化性組成物の全固形分に対して60〜99質量%が好ましく、70〜97質量%がより好ましく、80〜95質量%が更に好ましい。
【0021】
本発明において、硬化性化合物を硬化して得られた層(即ち、透光性樹脂粒子を除く防眩層)の屈折率は1.46〜1.65であることが好ましく、1.49〜1.60であることがより好ましく、1.49〜1.53であることが特に好ましい。屈折率をこの範囲にすることで、塗布ムラ、干渉ムラを目立ちにくくし、硬度の高い防眩層を得ることができる。
ここで、該透光性樹脂粒子を除く防眩層の膜の屈折率は、アッベ屈折計で直接測定するか、分光反射スペクトルや分光エリプソメトリーを測定するなどして定量評価できる。
【0022】
(2)透光性樹脂粒子
本発明における防眩層を形成するための硬化性組成物は少なくとも1種の透光性樹脂粒子を含有する。
本発明の防眩層における表面凹凸形状を作るためには、透光性樹脂粒子の平均粒径に対する防眩層の膜厚の比(防眩層の膜厚/透光性樹脂粒子の平均粒径)を1.0〜3.0に設計することが好ましく、より好ましくは1.3〜2.7、最も好ましくは1.5〜2.5である。この比率が1.0以上であると、膜表面の凹凸が大きくなりすぎず、黒締りや点欠陥の観点で優れる。一方、3.0以下であると、所望の防眩性を達成するために多量の粒子を添加する必要がなく、膜の硬度の観点で優れる。
【0023】
本発明の防眩層における表面凹凸形状は算術平均粗さRaを0.01〜0.25に設計することが好ましく、より好ましくは、0.01〜0.20、最も好ましくは0.01〜0.15である。Raの値が0.01以上であると、明確な防眩性が得られ易く、一方、Raの値が0.25以下であると、高い黒締まりを示し易く、好ましい。
【0024】
また、透光性樹脂粒子の平均粒径は2〜8μmであり、2〜6μmであることが好ましい。本発明においては、平均粒径は一次粒径を示す。平均粒径2μm以上であれば、表面凹凸形状を有する防眩層を形成する場合に防眩層の厚みを適度に厚くすることができ、膜硬度が向上する。また、平均粒径8μm以下の粒子であれば所望の表面形状を形成しようとする場合、防眩層の厚みを厚くしすぎる必要がなく、カールや脆性の低下を抑制できる。
表面凹凸形状を、本発明の特定の範囲に調整する手段として、平均粒径が互いに異なる2種以上の粒子を使用することや、屈折率が互いに異なる2種以上の粒子を使用することも好ましい。
【0025】
透光性樹脂粒子の粒子径の測定方法は、粒子の粒子径を測る測定方法であれば、任意の測定方法が適用できるが、粒子の粒度分布をコールターカウンター法により測定し、測定された分布を粒子数分布に換算して得られた粒子分布から算出する方法や、透過型電子顕微鏡(倍率50万〜200万倍)で粒子の観察を行い、粒子100個を観察し、その平均値をもって平均粒子径とする方法がある。
なお、本発明において平均粒子径はコールターカウンター法によって得られた値を用いる。
【0026】
透光性樹脂粒子の屈折率は、1.46〜1.65であることが好ましく、1.49〜1.60であることがより好ましく、1.49〜1.53であることが特に好ましい。屈折率をこの範囲にすることで、塗布ムラ、干渉ムラを目立ちにくくし、硬度の高い防眩層を得ることができる。
透光性樹脂粒子の屈折率は、ヨウ化メチレン、1,2−ジブロモプロパン、n−ヘキサンから選ばれる任意の屈折率の異なる2種類の溶媒の混合比を変化させて屈折率を変化させた溶媒中に透光性粒子を等量分散して濁度を測定し、濁度が極小になった時の溶媒の屈折率をアッベ屈折計で測定することで測定される。
【0027】
透光性樹脂粒子はまた、バインダーとの屈折率差を制御することで内部散乱性を付与することができる。但し、屈折率差を大きくしすぎるとコントラストの低下を伴ってしまうため、透光性樹脂粒子を除く防眩層の屈折率との差を0.05以下に設計することが好ましく、更に好ましくは0.02以下であり、最も好ましいのは0.01以下である。この領域内に設計することで、高いコントラストを得ることが出来る。なお、本発明において2種以上の透光性樹脂粒子を用いる場合、屈折率は同じであっても、異なっていても良い。
【0028】
透光性樹脂粒子の具体例としては、例えば架橋ポリメチルメタアクリレート粒子、架橋メチルメタアクリレート−スチレン共重合体粒子、架橋ポリスチレン粒子、架橋メチルメタアクリレート−メチルアクリレート共重合体粒子、架橋アクリル−スチレン共重合体粒子、メラミン・ホルムアルデヒド樹脂粒子、ベンゾグアナミン・ホルムアルデヒド樹脂粒子等の樹脂粒子が挙げられる。なかでも架橋スチレン粒子、架橋ポリメチルメタアクリレート粒子、架橋メチルメタアクリレート−スチレン共重合体粒子、架橋アクリル−スチレン共重合体粒子等が好ましい。更にはこれらの樹脂粒子の表面にフッ素原子、シリコン原子、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、スルホン酸基、燐酸基等を含む化合物を化学結合させた表面修飾粒子やシリカやジルコニアなどのナノサイズの無機微粒子を表面に結合した粒子も例に挙げられる。
【0029】
本発明において用いられる透光性樹脂粒子は1種でも2種以上でもよい。透光性樹脂粒子の含有量は、防眩性付与とギラツキ抑止観点から、防眩層の全固形分に対して5〜15質量%であり、7〜18質量%がより好ましく、7〜15質量%が更に好ましい。
【0030】
(3)光重合開始剤
本発明における防眩層を形成するための硬化性組成物はフォスフィンオキサイド系開始剤を含有する。また、フォスフィンオキサイド系開始剤以外の開始剤も併用することが可能である
【0031】
(フォスフィンオキサイド系光重合開始剤)
本発明におけるフォスフィンオキサイド系光重合開始剤としては、特に限定されないが、下記一般式(1)で表される化合物が好ましい。
【0032】
【化1】

【0033】
一般式(1)中、
nは1又は2であり;
mは1又は2であり;
は、n=1のとき、炭素数1〜18のアルキル基、炭素鎖が1個以上不連続のO原子によって中断された炭素数2〜18のアルキル基、フェニル基が置換した炭素数1〜4のアルキル基、炭素数2〜8のアルケニル基、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、炭素数5〜12のシクロアルキル基、又は5員若しくは6員のO−、S−若しくはN−含有複素環基であり(ここで、前記フェニル基、前記ナフチル基、前記ビフェニル基、前記シクロアルキル基、及び前記複素環基は、置換基を有していてもよく、該置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルキルチオ基、及び炭素数1〜8のアルコキシ基が挙げられる。該置換基を有する場合の該置換基の数としては1〜5個が好ましい。);
は、n=2のとき、炭素数1〜18のアルキレン基、炭素鎖が1個若しくは数個の不連続のO原子によって中断された炭素数2〜18のアルキレン基、炭素数1〜4のアルコキシ基、フェニル基、炭素数1〜4のアルキル基が置換したフェニル基、フェニル基が置換した炭素数1〜4のアルキレン基、又は炭素数1〜4のアルコキシ基が置換したフェニル基、が置換した炭素数1〜6のアルキレン基;フェニレン基又はキシリレン基(ここで、前記フェニレン基及び前記キシレン基は、置換基を有していてもよく、該置換基としては、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基が挙げられる。該置換基を有する場合の該置換基の数としては1〜3個が好ましい。);あるいは、−CHCH=CHCH−、−CH−C≡C−CH−、又は下記式(2)〜(4)のいずれかで表される基であり;
は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、又は5員若しくは6員のO−、S−若しくはN−含有複素環基であり(ここで、前記フェニル基、前記ナフチル基、前記ビフェニル基、及び前記複素環基は、置換基を有していてもよく、該置換基としては、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数1〜8のアルキルチオ基、ハロゲン原子が挙げられる。該置換基を有する場合の該置換基の数としては1〜4個が好ましい。);
【0034】
【化2】

【0035】
は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素鎖が1個若しくは数個の不連続のO原子によって中断された炭素数2〜18のアルキル基、フェニル基が置換した炭素数1〜4のアルキル基、炭素数2〜8のアルケニル基、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、炭素数5〜12のシクロアルキル基、又は5員若しくは6員のO−、S−若しくはN−含有複素環であり(ここで、前記フェニル基、前記ナフチル基、前記ビフェニル基、前記シクロアルキル基、及び前記複素環基は、置換基を有していてもよく、該置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルキルチオ基、及び炭素数1〜8のアルコキシ基が挙げられる。該置換基を有する場合の該置換基の数としては1〜5個が好ましい。);
Qは、単結合、−CR−、−O−又は−S−であり;
及びRは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、又は炭素数1〜4のアルコキシ基であり;
及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基である。
【0036】
一般式(1)において、nは1であることが好ましい。
mは2であることが特に好ましい。
は、n=1のとき、クミル基、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基が好ましく、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基がより好ましく、フェニル基が更に好ましい。n=2のとき、フェニル基が好ましい。
は、フェニル基が好ましく、置換基を有する、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基がより好ましく、置換基を有するフェニル基が更に好ましい。該置換基としては、炭素数1〜8のアルキル基が好ましく、炭素数1〜8のアルキル基がより好ましく、炭素数1〜4のアルキル基が更に好ましい。置換基の数は1〜4が好ましく、2〜3がより好ましく、3がより好ましい。
は、クミル基、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基が好ましく、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基がより好ましく、フェニル基が更に好ましい。
【0037】
一般式(1)で表される化合物としては、好ましくは、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、ジフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フォスフィンオキサイドが挙げられる。本発明の効果の観点からは、なかでも、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイドがより好ましく、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイドが更に好ましい。
【0038】
市販されているフォスフィンオキサイド系光重合開始剤としては、BASF製のイルガキュア819、LUCIRIN TPO、DAROCUR TPOなどが好ましく挙げられる。これらのなかでも、特にイルガキュア819が特に好ましい。
本発明において用いられるフォスフィンオキサイド系光重合開始剤は1種でも2種以上でもよい。
【0039】
本発明において用いられるフォスフィンオキサイド系開始剤の硬化性組成物中の含有量は、開始剤由来の色味発生を抑制し、高い膜硬度を達成し、かつ内部硬化性を高めて高コントラストとギラツキ低減を達成する観点から、硬化性化合物に対して、0.5〜2.0質量%であり、好ましくは0.5〜1.5質量%である。
【0040】
(フォスフィンオキサイド系以外の光重合開始剤)
本発明においては、フォスフィンオキサイド系以外の光重合開始剤を用いることもできる。
本発明におけるフォスフィンオキサイド系以外の光重合開始剤としては、表面硬化性の光重合開始剤であることが好ましい。フォスフィンオキサイド系以外の光重合開始剤としては、具体的にはアセトフェノン類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、ケタール類、アントラキノン類、チオキサントン類、アゾ化合物、過酸化物類(特開2001−139663号等)、2,3−ジアルキルジオン化合物類、ジスルフィド化合物類、フルオロアミン化合物類、芳香族スルホニウム類、ロフィンダイマー類、オニウム塩類、ボレート塩類、活性エステル類、活性ハロゲン類、無機錯体、クマリン類などが挙げられる。
【0041】
前記アセトフェノン類の例には、2,2−ジメトキシアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、1−ヒドロキシ−ジメチルフェニルケトン、1−ヒドロキシ−ジメチル−p−イソプロピルフェニルケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−4−メチルチオ−2−モルフォリノプロピオフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、が含まれる。
【0042】
前記ベンゾイン類の例には、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール、ベンゾインベンゼンスルホン酸エステル、ベンゾイントルエンスルホン酸エステル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル及びベンゾインイソプロピルエーテルが含まれる。
ベンゾフェノン類の例には、ベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、2,4−ジクロロベンゾフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノン及びp−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、3,3’、4、4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノンなどが含まれる。
【0043】
前記ボレート塩としては、例えば、特許第2764769号、特開2002−116539号等の各公報、及び、Kunz,Martin“Rad Tech’98.Proceeding April 19〜22頁,1998年,Chicago”等に記載される有機ホウ酸塩が挙げられる。例えば、前記特開2002−116539号明細書の段落番号[0022]〜[0027]記載の化合物が挙げられる。
また、その他の有機ホウ素化合物としては、特開平6−348011号公報、特開平7−128785号公報、特開平7−140589号公報、特開平7−306527号公報、及び特開平7−292014号公報等の有機ホウ素遷移金属配位錯体等が具体例として挙げられ、具体例にはカチオン性色素とのイオンコンプレックス類が挙げられる。
【0044】
前記活性エステル類の例には、1,2−オクタンジオン、1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]、スルホン酸エステル類、環状活性エステル化合物などが含まれる。
具体的には、特開2000−80068号公報記載の実施例記載化合物1〜21が特に好ましい。
また、オニウム塩類の例には、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩が挙げられる。
【0045】
前記活性ハロゲン類としては、具体的には、若林 等の“Bull Chem.Soc
Japan”42巻、2924頁(1969年)、米国特許第3,905,815号明細書、特開平5−27830号、M.P.Hutt“Jurnal of Heterocyclic Chemistry”1巻(3号),(1970年)等に記載の化合物が挙げられ、特に、トリハロメチル基が置換したオキサゾール化合物:s−トリアジン化合物が挙げられる。
より好適には、少なくとも一つのモノ、ジ又はトリハロゲン置換メチル基がs−トリアジン環に結合したs−トリアジン誘導体が挙げられる。
【0046】
市販の光ラジカル重合開始剤としては、日本化薬(株)製のKAYACURE(DETX−S,BP−100,BDMK,CTX,BMS,2−EAQ,ABQ,CPTX,EPD,ITX,QTX,BTC,MCAなど)、BASF製のイルガキュア(651,184,500,907,369,1173,1870,2959,4265,4263,127など)、DAROCUR(1173)、サートマー社製のEsacure(KIP100F,KB1,EB3,BP,X33,KT046,KT37,KIP150,TZT)等及びそれらの組み合わせが好ましい例として挙げられる。
本発明において用いられるフォスフィンオキサイド系以外の光重合開始剤は1種でも2種以上でもよい。
【0047】
本発明において用いられるフォスフィンオキサイド系開始剤及びその他の光重合開始剤を含めた合計の含有量は、高い膜硬度を達成するための観点から、防眩層を形成するための硬化性組成物における硬化性化合物100質量部に対して、総量として0.5〜2.5質量部の範囲で使用することが好ましく、0.5〜1.5質量部の範囲で使用することがより好ましい。
【0048】
(4)有機高分子増粘剤
本発明における防眩層を形成するための硬化性組成物は、有機高分子増粘剤を含むことができる。
ここでいう増粘剤とは、それを添加することにより組成物の粘度が増大するものを意味し、添加することにより組成物の粘度が上昇する大きさとして好ましくは0.05〜50cPであり、更に好ましくは0.10〜20cPであり、最も好ましくは0.10〜10cPである。
【0049】
本発明では有機高分子増粘剤としてセルロースエステルが好ましい。中でも、セルロースアセテートブチレートが特に好ましい。これらを含め、有機高分子増粘剤の例としては以下のものが挙げられる。
【0050】
ポリ−ε−カプロラクトン
ポリ−ε−カプロラクトン ジオール
ポリ−ε−カプロラクトン トリオール
ポリビニルアセテート
ポリ(エチレン アジペート)
ポリ(1,4−ブチレン アジペート)
ポリ(1,4−ブチレン グルタレート)
ポリ(1,4−ブチレン スクシネート)
ポリ(1,4−ブチレン テレフタレート)
ポリ(エチレンテレフタレート)
ポリ(2−メチル−1,3−プロピレンアジペート)
ポリ(2−メチル−1,3−プロピレン グルタレート)
ポリ(ネオペンチルグリコールアジペート)
ポリ(ネオペンチルグリコール セバケート)
ポリ(1,3−プロピレンアジペート)
ポリ(1,3−プロピレン グルタレート)
ポリビニルブチラール
ポリビニルホルマール
ポリビニルアセタール
ポリビニルプロパナール
ポリビニルヘキサナール
ポリビニルピロリドン
ポリアクリル酸エステル
ポリメタクリル酸エステル
セルロースアセテート
セルロースプロピオネート
セルロースアセテートブチレート
【0051】
有機高分子増粘剤の分子量は数平均分子量で0.3万〜40万が好ましく、0.4万〜30万がより好ましく、0.5万〜20万が特に好ましい。
有機高分子増粘剤の添加量は防眩層を形成するための硬化性組成物の全固形分に対して0.5〜10質量%が好ましく、1.0〜7.0質量%がより好ましく、2.0〜5.0質量%が特に好ましい。
【0052】
(5)界面活性剤
本発明における防眩層を形成するための硬化性組成物には、特に塗布ムラ、乾燥ムラ、点欠陥等の面状均一性を確保するために、フッ素系、シリコーン系の何れかの界面活性剤、あるいはその両者を含有することが好ましい。特にフッ素系の界面活性剤は、より少ない添加量において、塗布ムラ、乾燥ムラ、点欠陥等の面状故障を改良する効果が現れるため、好ましく用いることができる。面状均一性を高めつつ、高速塗布適性を持たせることにより生産性を高めることができる。
【0053】
フッ素系の界面活性剤の好ましい例としては、フルオロ脂肪族基含有共重合体(以下、「フッ素系ポリマー」と略記することもある)が挙げられる。
該フッ素系ポリマーとしては、
下記(i)のモノマーに由来する繰り返し単位を含む、アクリル樹脂若しくはメタアクリル樹脂、又は該繰り返し単位とこれに共重合可能なビニル系モノマーとの共重合体、あるいは、
下記(i)のモノマーに由来する繰り返し単位と、更に下記(ii)のモノマーに由来する繰り返し単位とを含む、アクリル樹脂若しくはメタアクリル樹脂、又はこれら繰り返し単位に共重合可能なビニル系モノマーとの共重合体
が挙げられる。
【0054】
(i)下記一般式イで表されるフルオロ脂肪族基含有モノマー
一般式イ
【0055】
【化3】

【0056】
一般式イにおいてR11は水素原子又はメチル基を表し、Xは酸素原子、イオウ原子又は−N(R12)−を表し、mは1以上6以下の整数、nは2〜4の整数を表す。R12は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基を表し、好ましくは水素原子又はメチル基である。Xは酸素原子が好ましい。
【0057】
(ii)前記(i)と共重合可能な下記一般式ロで示されるモノマー
一般式ロ
【0058】
【化4】

【0059】
一般式ロにおいて、R13は水素原子又はメチル基を表し、Yは酸素原子、イオウ原子又は−N(R15)−を表し、R15は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基を表し、好ましくは水素原子又はメチル基である。Yは酸素原子、−N(H)−、及び−N(CH)−が好ましい。R14は置換基を有しても良い炭素数4以上20以下の直鎖、分岐又は環状のアルキル基を表す。R14のアルキル基の置換基としては、水酸基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、カルボキシル基、アルキルエーテル基、アリールエーテル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アミノ基等があげられるがこの限りではない。炭素数4以上20以下の直鎖、分岐又は環状のアルキル基としては、直鎖及び分岐してもよいブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、オクタデシル基、エイコサニル基等、また、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等の単環シクロアルキル基及びビシクロヘプチル基、ビシクロデシル基、トリシクロウンデシル基、テトラシクロドデシル基、アダマンチル基、ノルボルニル基、テトラシクロデシル基、等の多環シクロアルキル基が好適に用いられる。
【0060】
本発明で用いられるフッ素系ポリマーに用いられるこれらの一般式イで示されるフルオロ脂肪族基含有モノマーの量は、該フッ素系ポリマーの各単量体に基づいて10モル%以上であり、好ましくは15〜70モル%であり、より好ましくは20〜60モル%の範囲である。
【0061】
本発明で用いられるフッ素系ポリマーの好ましい質量平均分子量は、3000〜100,000が好ましく、5,000〜80,000がより好ましい。
更に、本発明で用いられるフッ素系ポリマーの好ましい添加量は、硬化性組成物100質量部に対して0.001〜5質量部の範囲であり、更に好ましくは0.005〜3質量部の範囲であり、より好ましくは0.01〜1質量部の範囲である。フッ素系ポリマーの添加量が0.001質量部以上であればフッ素系ポリマーを添加した効果が充分得られ、また5質量部以下であれば、塗膜の乾燥が十分に行われなくなったり、塗膜としての性能(例えば反射率、耐擦傷性)に悪影響を及ぼしたり、といった問題が生じない。
【0062】
(6)溶剤
本発明のフィルムの各層を形成するための硬化性組成物に用いられる溶剤としては、各成分を溶解又は分散可能であること、塗布工程、乾燥工程において均一な面状となり易いこと、液保存性が確保できること、適度な飽和蒸気圧を有すること、等の観点で選ばれる各種の溶剤が使用できる。
溶媒は2種類以上のものを混合して用いることができる。特に、乾燥負荷の観点から、常圧室温における沸点が100℃以下の溶剤を主成分とし、乾燥速度の調整のために沸点が100℃以上の溶剤を少量含有することが好ましい。
【0063】
沸点が100℃以下の溶剤としては、例えば、ヘキサン(沸点68.7℃)、ヘプタン(98.4℃)、シクロヘキサン(80.7℃)、ベンゼン(80.1℃)などの炭化水素類、ジクロロメタン(39.8℃)、クロロホルム(61.2℃)、四塩化炭素(76.8℃)、1,2−ジクロロエタン(83.5℃)、トリクロロエチレン(87.2℃)などのハロゲン化炭化水素類、ジエチルエーテル(34.6℃)、ジイソプロピルエーテル(68.5℃)、ジプロピルエーテル(90.5℃)、テトラヒドロフラン(66℃)などのエーテル類、ギ酸エチル(54.2℃)、酢酸メチル(57.8℃)、酢酸エチル(77.1℃)、酢酸イソプロピル(89℃)などのエステル類、アセトン(56.1℃)、2−ブタノン(メチルエチルケトンと同じ、79.6℃)などのケトン類、メタノール(64.5℃)、エタノール(78.3℃)、2−プロパノール(82.4℃)、1−プロパノール(97.2℃)などのアルコール類、アセトニトリル(81.6℃)、プロピオニトリル(97.4℃)などのシアノ化合物類、二硫化炭素(46.2℃)などがある。このうちケトン類、エステル類が好ましく、特に好ましくはケトン類である。ケトン類の中では2−ブタノンが特に好ましい。
【0064】
沸点が100℃を以上の溶剤としては、例えば、オクタン(125.7℃)、トルエン(110.6℃)、キシレン(138℃)、テトラクロロエチレン(121.2℃)、クロロベンゼン(131.7℃)、ジオキサン(101.3℃)、ジブチルエーテル(142.4℃)、酢酸イソブチル(118℃)、シクロヘキサノン(155.7℃)、2−メチル−4−ペンタノン(MIBKと同じ、115.9℃)、1−ブタノール(117.7℃)、N,N−ジメチルホルムアミド(153℃)、N,N−ジメチルアセトアミド(166℃)、ジメチルスルホキシド(189℃)などがある。好ましくは、シクロヘキサノン、2−メチル−4−ペンタノンである。
塗布する際の硬化性組成物の固形分濃度は、3質量%以上60質量%以下であり、15質量%以上60質量%以下が更に好ましい。また、乾燥条件因子については適宜選択されるが、乾燥風の温度、給気/排気バランス、ベースの温度、塗布液の温度などを制御する。
【0065】
(7)無機フィラー
本発明の防眩層には、上記の透光性樹脂粒子に加えて、屈折率の調整、膜強度の調整、硬化収縮減少、更に低屈折率層を設けた場合の反射率低減の目的に応じて、無機微粒子(無機フィラー)使用することもできる。例えば、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、インジウム、亜鉛、錫、アンチモンのうちより選ばれる少なくとも1種の金属元素を含有する酸化物からなり、一次粒子の平均粒子径が、一般に0.2μm以下、好ましくは0.1μm以下、より好ましくは0.06μm以下1nm以上である微細な高屈折率無機フィラーを含有することも好ましい。
透光性樹脂粒子との屈折率差を調整するために、マトリックスの屈折率を低くする必要が生じた場合は、無機フィラーとして、シリカ微粒子、中空シリカ微粒子等の微細な低屈折率無機フィラーを用いることができる。好ましい粒径は、前記の微細な高屈折率無機フィラーと同じである。
無機フィラーは、表面をシランカップリング処理又はチタンカップリング処理されることも好ましく、フィラー表面にバインダー種と反応できる官能基を有する表面処理剤が好ましく用いられる。
無機フィラーの添加量は、防眩層を形成するための硬化性組成物の全固形分に対して、1〜15質量%であることが好ましく、1〜10質量%であることがより好ましく、1〜5質量%であることが更に好ましい。
なお、無機フィラーは、粒径が光の波長よりも十分短いために散乱が生じず、バインダーポリマーに該フィラーが分散した分散体は光学的に均一な物質の性質を有する。
【0066】
(8)低屈折率層
本発明では、防眩層の上に低屈折率層を形成することもできる。低屈折率層は防眩層よりも低い屈折率を有し、厚さは50〜200nmであることが好ましく、70〜150nmであることが更に好ましく、80〜120nmであることが最も好ましい。
【0067】
低屈折率層の屈折率は、直下の層の屈折率より低く、1.20〜1.55であることが好ましく、1.25〜1.46であることがより好ましく、1.30〜1.40であることが特に好ましい。低屈折率層の厚さは、50〜200nmであることが好ましく、70〜100nmであることが更に好ましい。低屈折率層は低屈折率層形成用の硬化性組成物を硬化して得ることが好ましい。
好ましい低屈折率層の硬化性物組成の態様としては、
(1)架橋性若しくは重合性の官能基を有する含フッ素化合物を含有する組成物、
(2)含フッ素のオルガノシラン材料の加水分解縮合物を主成分とする組成物、
(3)2個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーと無機微粒子(特に中空構造を有する無機微粒子が好ましい。)を含有する組成物、
などが挙げられる。
(1)及び(2)に関しても、無機微粒子を含有することが好ましく、更に屈折率の低い中空構造を有する無機微粒子用いると、低屈折率化や無機微粒子添加量と屈折率の調整などの観点で特に好ましい。
【0068】
(1)架橋性若しくは重合性の官能基を有する含フッ素化合物
架橋性又は重合性の官能基を有する含フッ素化合物としては、含フッ素モノマーと架橋性又は重合性の官能基を有するモノマーの共重合体を挙げることができる。これら含フッ素ポリマーの具体例は、特開2003−222702号公報、特開2003−183322号公報等に記載されている。
【0069】
上記のポリマーに対しては特開2000−17028号公報に記載のごとく適宜重合性不飽和基を有する硬化剤を併用してもよい。また、特開2002−145952号に記載のごとく含フッ素の多官能の重合性不飽和基を有する化合物との併用も好ましい。多官能の重合性不飽和基を有する化合物の例としては、上記の2個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーを挙げることができる。また、特開2004−170901号公報に記載のオルガノランの加水分解縮合物も好ましく、特に(メタ)アクリロイル基を含有するオルガノシランの加水分解縮合物が好ましい。これら化合物は、特にポリマー本体に重合性不飽和基を有する化合物を用いた場合に耐擦傷性改良に対する併用効果が大きく好ましい。
【0070】
ポリマー自身が単独で十分な硬化性を有しない場合には、架橋性化合物を配合することにより、必要な硬化性を付与することができる。例えばポリマー本体に水酸基含有する場合には、各種アミノ化合物を硬化剤として用いることが好ましい。架橋性化合物として用いられるアミノ化合物は、例えば、ヒドロキシアルキルアミノ基及びアルコキシアルキルアミノ基のいずれか一方又は両方を合計で2個以上含有する化合物であり、具体的には、例えば、メラミン系化合物、尿素系化合物、ベンゾグアナミン系化合物、グリコールウリル系化合物等を挙げることができる。これら化合物の硬化には、有機酸又はその塩を用いるのが好ましい。
【0071】
(2)含フッ素のオルガノシラン材料の加水分解縮合物を主成分とする組成物
含フッ素のオルガノシラン化合物の加水分解縮合物を主成分とする組成物も屈折率が低く、塗膜表面の硬度が高く好ましい。フッ素化アルキル基に対して片末端又は両末端に加水分解性のシラノールを含有する化合物とテトラアルコキシシランの縮合物が好ましい。具体的組成物は、特開2002−265866号公報、特許317152号公報に記載されている。
【0072】
(3)2個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーと中空構造を有する無機微粒子を含有する組成物
更に別の好ましい態様として、低屈折率の粒子とバインダーからなる低屈折率層が挙げられる。低屈折率粒子としては、有機でも無機でも良いが、内部に空孔を有する粒子が好ましい。中空粒子の具体例は、特開2002−79616号公報に記載のシリカ系粒子に記載されている。粒子屈折率は1.15〜1.40が好ましく、1.20〜1.30が更に好ましい。バインダーとしては、上記防眩層の頁で述べた二個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーを挙げることができる。
【0073】
本発明に用いられる低屈折率層用の組成物には、前述の光ラジカル重合開始剤又は熱ラジカル重合開始剤を添加することが好ましい。ラジカル重合性化合物を含有する場合には、該化合物に対して1〜10質量部、好ましくは1〜5質量部の重合開始剤を使用できる。
【0074】
本発明に用いられる低屈折率層には、無機粒子を併用することができる。耐擦傷性を付与するために、低屈折率層の厚みの15%〜150%、好ましくは30%〜100%、更に好ましくは45%〜60%の粒径を有する微粒子を使用することができる。
【0075】
本発明の低屈折率層には、防汚性、耐水性、耐薬品性、滑り性等の特性を付与する目的で、公知のポリシロキサン系あるいはフッ素系の防汚剤、滑り剤等を適宜添加することができる。
【0076】
ポリシロキサン構造を有する添加剤としては、反応性基含有ポリシロキサン{例えば“
KF−100T”,“X−22−169AS”,“KF−102”,“X−22−37
01IE”,“X−22−164B”,“X−22−5002”,“X−22−173B”,“X−22−174D”,“X−22−167B”,“X−22−161AS” (
商品名)、以上、信越化学工業(株)製;“AK−5”,“AK−30”,“AK−32”(商品名)、以上東亜合成(株)製;、「サイラプレーンFM0725」,「サイラプレーンFM0721」(商品名)、以上チッソ(株)製等}を添加するのも好ましい。また、特開2003−112383号公報の表2、表3に記載のシリコーン系化合物も好ましく使用できる。
【0077】
フッ素系化合物としては、フルオロアルキル基を有する化合物が好ましい。該フルオロアルキル基は炭素数1〜20であることが好ましく、より好ましくは1〜10であり、直鎖(例えば−CFCF,−CH(CFH,−CH(CFCF,−CHCH(CFH等)であっても、分岐構造(例えばCH(CF,CHCF(CF,CH(CH)CFCF,CH(CH)(CFCFH等)であっても、脂環式構造(好ましくは5員環又は6員環、例えばパーフルオロシクロへキシル基、パーフルオロシクロペンチル基又はこれらで置換されたアルキル基等)であっても良く、エーテル結合を有していても良い(例えばCHOCHCFCF,CHCHOCHH,CHCHOCHCH17,CHCHOCFCFOCFCFH等)。該フルオロアルキル基は同一分子中に複数含まれていてもよい。
【0078】
フッ素系化合物は、更に低屈折率層皮膜との結合形成あるいは相溶性に寄与する置換基を有していることが好ましい。該置換基は同一であっても異なっていても良く、複数個あることが好ましい。好ましい置換基の例としてはアクリロイル基、メタアクリロイル基、ビニル基、アリール基、シンナモイル基、エポキシ基、オキセタニル基、水酸基、ポリオキシアルキレン基、カルボキシル基、アミノ基などが挙げられる。フッ素系化合物はフッ素原子を含まない化合物とのポリマーであってもオリゴマーであってもよく、分子量に特に制限はない。フッ素系化合物のフッ素原子含有量には特に制限は無いが20質量%以上であることが好ましく、30〜70質量%であることが特に好ましく、40〜70質量%であることが最も好ましい。好ましいフッ素系化合物の例としてはダイキン化学工業(株)製、R−2020、M−2020、R−3833、M−3833、オプツールDAC(以上商品名)、DIC(株)製、メガファックF−171、F−172、F−179A、ディフェンサMCF−300、MCF−323(以上商品名)などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
これらのポリシロキサンフッ素系化合物やポリシロキサン構造を有する化合物は低屈折率層全固形分の0.1〜10質量%の範囲で添加されることが好ましく、特に好ましくは1〜5質量%の場合である。
【0079】
(9)ハードコート層
本発明の防眩フィルムには、フィルムの物理的強度を更に付与するために、防眩層に加えてハードコート層を設けることができる。ハードコート層は、二層以上の積層から構成されてもよい。
【0080】
防眩フィルムに充分な耐久性、耐衝撃性を付与する観点から、ハードコート層の厚さは通常0.5μm〜50μm程度とし、好ましくは1μm〜20μm、更に好ましくは2μm〜10μm、最も好ましくは3μm〜7μmである。また、ハードコート層の強度は、鉛筆硬度試験で、H以上であることが好ましく、2H以上であることが更に好ましく、3H以上であることが最も好ましい。更に、JIS K5400に従うテーバー試験で、試験前後の試験片の摩耗量が少ないほど好ましい。
【0081】
ハードコート層は、電離放射線硬化性樹脂化合物の架橋反応、又は、重合反応により形成されることが好ましい。例えば、電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーを含む塗布組成物を透明セルロースエステルフィルム上に塗布し、多官能モノマーや多官能オリゴマーを架橋反応、又は、重合反応させることにより形成することができる。電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーの官能基としては、光、電子線、放射線重合性のものが好ましく、中でも光重合性官能基が好ましい。光重合性官能基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基等の不飽和の重合性官能基等が挙げられ、中でも、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
【0082】
ハードコート層には、内部散乱性付与の目的で、平均粒径が1.0〜10.0μm、好ましくは1.5〜7.0μmのマット粒子、例えば無機化合物の粒子又は樹脂粒子を含有してもよい。
【0083】
ハードコート層のバインダーには、ハードコート層の屈折率を制御する目的で、高屈折率モノマー又は無機粒子、或いは両者を加えることができる。無機粒子には屈折率を制御する効果に加えて、架橋反応による硬化収縮を抑える効果もある。
【0084】
(10)透明セルロースエステルフィルム
本発明における透明セルロースエステルフィルム(支持体)としては、セルロースエステルフィルム(特に、セルロースアシレートフィルム(例えば、セルローストリアセテートフィルム(屈折率1.48)、セルロースジアセテートフィルム、セルロースアセテートブチレートフィルム、セルロースアセテートプロピオネートフィルム))等が使用できる。
なお、本発明において「透明」とは、可視光線透過率が80%以上を意味する。
【0085】
セルロースエステルフィルムは、透明性が高く、光学的に複屈折が少なく、製造が容易であり、偏光板の保護フィルムとして一般に用いられている。なかでも、セルロースアシレートフィルムがより好ましく、セルローストリアセテートフィルムが更に好ましい。又、セルロースエステルフィルムの厚さは通常25μm〜1000μm程度とする。好ましくは30μm〜90μmであり、より好ましくは30μm〜70μmである。
【0086】
本発明ではセルロースエステルフィルムに可塑剤を含有する事が好ましい。可塑剤としては、セルロースアシレートの可塑剤として知られる多くの化合物も有用に使用することができる。可塑剤としては、リン酸エステルまたは非リン酸エステル系の化合物が用いられる。本発明では、可塑剤として、非リン酸エステル系の化合物を用いることが、可塑剤のコア層から表層への拡散や、表層からの揮散性を抑える観点から好ましい。
【0087】
(リン酸エステル)
リン酸エステルの例には、トリフェニルホスフェート(TPP)、ビフェニルジフェニルホスフェート(BDP)およびトリクレジルホスフェート(TCP)が含まれる。
【0088】
「非リン酸エステル系の化合物」とは、「エステル結合を有する化合物であって、該エステル結合に寄与する酸がリン酸以外である化合物」のことを言う。すなわち、「非リン酸エステル系の化合物」は、リン酸を含まず、エステル系である、化合物を意味する。
また、前記非リン酸エステル系の化合物は、低分子化合物であっても、ポリマー(高分子化合物)であってもよい。以下、ポリマー(高分子化合物)である非リン酸エステル系の化合物のことを、非リン酸エステル系ポリマーとも言う。
【0089】
前記非リン酸エステル系の化合物としては、カルボン酸エステル、糖エステル化合物、多価アルコールエステル、重縮合エステル化合物などを挙げることができる。
【0090】
(カルボン酸エステル)
前記カルボン酸エステルとしては、フタル酸エステルおよびクエン酸エステルが代表的である。
フタル酸エステルの例には、ジメチルフタレート(DMP)、ジエチルフタレート(DEP)、ジブチルフタレート(DBP)、ジオクチルフタレート(DOP)、ジフェニルフタレート(DPP)およびジエチルヘキシルフタレート(DEHP)が含まれる。
クエン酸エステルの例には、O−アセチルクエン酸トリエチル(OACTE)およびO−アセチルクエン酸トリブチル(OACTB)が含まれる。
その他のカルボン酸エステルの例には、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバシン酸ジブチル、種々のトリメリット酸エステルが含まれる。フタル酸エステル系可塑剤(DMP、DEP、DBP、DOP、DPP、DEHP)が好ましく用いられる。DEPおよびDPPが特に好ましい。
【0091】
(糖エステル化合物)
−糖残基−
前記糖エステル化合物とは、該化合物を構成する多糖中の置換可能な基(例えば、水酸基、カルボキシル基)の少なくとも1つと、少なくとも1種の置換基とがエステル結合されている化合物のことを言う。すなわち、ここで言う糖エステル化合物には広義の糖誘導体類も含まれ、例えばグルコン酸のような糖残基を構造として含む化合物も含まれる。すなわち、前記糖エステル化合物には、グルコースとカルボン酸のエステル体も、グルコン酸とアルコールのエステル体も含まれる。前記糖エステル化合物を構成する多糖中の置換可能な基は、ヒドロキシル基であることが好ましい。
【0092】
前記糖エステル化合物中には、糖エステル化合物を構成する多糖由来の構造(以下、糖残基とも言う)が含まれる。前記糖残基の単糖当たりの構造を、糖エステル化合物の構造単位と言う。前記糖エステル化合物の構造単位は、ピラノース構造単位またはフラノース構造単位を含むことが好ましく、全ての糖残基がピラノース構造単位またはフラノース構造単位であることがより好ましい。また、前記糖エステルが多糖から構成される場合は、ピラノース構造単位またはフラノース構造単位をともに含むことが好ましい。
【0093】
前記糖エステル化合物の糖残基は、5単糖由来であっても6単糖由来であってもよいが、6単糖由来であることが好ましい。
【0094】
前記糖エステル化合物中に含まれる構造単位の数は、1〜4であることが好ましい。即ち、前記糖エステル化合物は、フラノース構造又はピラノース構造の少なくとも1種を1個以上4個以下有する化合物のエステル化化合物であることが好ましい。
前記糖エステル化合物中に含まれる構造単位の数は、2〜4であることが好ましく、2〜3であることがより好ましく、2であることが特に好ましい。すなわち、前記糖エステル化合物を構成する糖が2糖類〜4糖類であることが好ましく、2糖類〜3糖類であることがより好ましく、2糖類であることが特に好ましい。
【0095】
本発明では、前記糖エステル化合物はヒドロキシル基の少なくとも1つがエステル化されたピラノース構造単位またはフラノース構造単位を2〜4個含む糖エステル化合物であることがより好ましく、ヒドロキシル基の少なくとも1つがエステル化されたピラノース構造単位またはフラノース構造単位を2個含む糖エステル化合物であることがより好ましい。
【0096】
前記単糖または2〜4個の単糖単位を含む糖類の例としては、例えば、エリトロース、トレオース、リボース、アラビノース、キシロース、リキソース、アロース、アルトロース、グルコース、フルクトース、マンノース、グロース、イドース、ガラクトース、タロース、トレハロース、イソトレハロース、ネオトレハロース、トレハロサミン、コウジビオース、ニゲロース、マルトース、マルチトール、イソマルトース、ソホロース、ラミナリビオース、セロビオース、ゲンチオビオース、ラクトース、ラクトサミン、ラクチトール、ラクツロース、メリビオース、プリメベロース、ルチノース、シラビオース、スクロース、スクラロース、ツラノース、ビシアノース、セロトリオース、カコトリオース、ゲンチアノース、イソマルトトリオース、イソパノース、マルトトリオース、マンニノトリオース、メレジトース、パノース、プランテオース、ラフィノース、ソラトリオース、ウンベリフェロース、リコテトラオース、マルトテトラオース、スタキオース、バルトペンタオース、ベルバルコース、マルトヘキサオース、キシリトール、ソルビトールなどを挙げることができる。
【0097】
好ましくは、リボース、アラビノース、キシロース、リキソース、グルコース、フルクトース、マンノース、ガラクトース、トレハロース、マルトース、セロビオース、ラクトース、スクロース、スクラロース、キシリトール、ソルビトールであり、さらに好ましくは、アラビノース、キシロース、グルコース、フルクトース、マンノース、ガラクトース、マルトース、セロビオース、スクロースであり、特に好ましくは、キシロース、グルコース、フルクトース、マンノース、ガラクトース、マルトース、セロビオース、スクロース、キシリトール、ソルビトールである。
【0098】
前記糖エステル化合物の置換基の好ましい例としては、アルキル基(好ましくは炭素数1〜22、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8のアルキル基、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、2−シアノエチル基、ベンジル基など)、アリール基(好ましくは炭素数6〜24、より好ましくは6〜18、特に好ましくは6〜12のアリール基、例えば、フェニル基、ナフチル基)、アシル基(好ましくは炭素数1〜22、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8のアシル基、例えばアセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、ペンタノイル基、ヘキサノイル基、オクタノイル基、ベンゾイル基、トルイル基、フタリル基など)、アミド基(好ましくは炭素数1〜22、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8のアミド、例えばホルムアミド基、アセトアミド基など)、イミド基(好ましくは炭素数4〜22、より好ましくは炭素数4〜12、特に好ましくは炭素数4〜8のアミド基、例えば、スクシイミド基、フタルイミド基など)を挙げることができる。その中でも、アルキル基またはアシル基がより好ましく、メチル基、アセチル基、ベンゾイル基がより好ましく、ベンゾイル基およびアセチル基のうち少なくとも一方であることが特に好ましく、ベンゾイル基がより特に好ましい。
【0099】
前記糖エステルの中でも、本発明では、下記一般式(I)で表される芳香族糖エステル化合物と下記一般式(2)で表される脂肪族糖エステル化合物を含有することが好ましい。
一般式(I) (HO)m−G−(L−R1)n
一般式(II) (HO)t−G’−(L’−R2)r
(一般式(I)及び(II)中、GおよびG’はそれぞれ独立に単糖残基または二糖残基を表す。R1はそれぞれ独立に脂肪族基または芳香族基を表し、少なくとも1つは芳香族
基を表す。R2はそれぞれ独立に脂肪族基を表す。LおよびL’はそれぞれ独立に2価の
連結基を表す。m、n、rおよびtは0以上の整数を表す。但し、m+nおよびr+tはそれぞれ前記Gが残基ではなく同じ骨格の環状アセタール構造の無置換の糖類であると仮定した場合のヒドロキシル基の数と等しい。)
【0100】
本発明に用いることができる前記一般式(I)および(II)で表される前記糖エステル化合物は、フラノース構造もしくはピラノース構造を有する化合物であることが好ましい。 なお、前記m+nおよびr+tの上限値は、前記GまたはG’の種類によって定まる値を採用することができ、GまたはG’が単糖残基であれば5、二糖残基であれば8となる。
【0101】
前記一般式(I)および(II)で表される前記糖エステル化合物は、フラノース構造もしくはピラノース構造を1個有する前記GまたはG’が単糖残基である化合物(A)中の、又は、フラノース構造もしくはピラノース構造の少なくとも1種を2個結合した前記GまたはG’が二糖残基である化合物(B)中の、OH基の全て又は一部をエステル化したエステル化化合物であるのが好ましい。
【0102】
化合物(A)の例としては、グルコース、ガラクトース、マンノース、フルクトース、キシロース、あるいはアラビノースが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
化合物(B)の例としては、ラクトース、スクロース、ニストース、1F−フラクトシルニストース、スタキオース、マルチトール、ラクチトール、ラクチュロース、セロビオース、マルトース、セロトリオース、マルトトリオース、ラフィノースあるいはケストースが挙げられる。このほか、ゲンチオビオース、ゲンチオトリオース、ゲンチオテトラオース、キシロトリオース、ガラクトシルスクロースなども挙げられが、これらに限定されるものではない。 これらの化合物(A)及び化合物(B)の中で、特にフラノース構造とピラノース構造の双方を有する化合物が好ましい。例としては、スクロース、ケストース、ニストース、1F−フクラトシルニストース、スタキオースなどが好ましく、更に好ましくは、スクロースである。また、化合物(B)において、フラノース構造もしくはピラノース構造の少なくとも1種を2個結合した化合物であることも、好ましい態様の1つである。
【0103】
化合物(A)及び化合物(B)中のOH基の全てもしくは一部をエステル化するのに用いられる置換基としては、特に制限はない。その中でも、モノカルボン酸を用いることが好ましい。すなわち、前記一般式(I)中の前記R1、および前記一般式(II)中の前記R2が、それぞれ独立にアシル基を表すことが好ましい。前記モノカルボン酸としては、特に制限はなく、公知の脂肪族モノカルボン酸、脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸等を用いることができる。用いられるカルボン酸は1種類でもよいし、2種類以上の混合であってもよい。前記Rまたは前記Rが複数ある場合は、互いに同一であっても異なっていてもよい。
【0104】
一方、前記一般式(I)中の前記L、および前記一般式(II)中の前記L’が、それぞれ独立に単結合、−O−、−CO−、−NR11−(R11は1価の置換基を表す)のいずれか一つを表すことが好ましく、また、前記L1または前記L’が複数ある場合は、互いに同一であっても異なっていてもよい。その中でも、前記L1または前記L’が−O−を表すことが、前記R1およびR2としてアシル基で容易に置換できる観点から好ましい。
【0105】
本発明では、ポリエチレンテレフタレートフィルムも、透明性、機械的強度、平面性、耐薬品性及び耐湿性共に優れており、その上安価であり好ましく用いられる。透明プラスチックフィルムとその上に設けられるハードコート層との密着強度をより向上させるため、透明プラスチックフィルムは易接着処理が施されたされたものであることが更に好ましい。市販されている光学用易接着層付きPETフィルムとしては東洋紡績社製コスモシャインA4100、A4300等が挙げられる。
【0106】
(11)防眩フィルムの層構成
本発明の防眩フィルムは、一般に、最も単純な構成では、透明セルロースエステルフィルム(支持体)上に防眩層を塗設した構成である。
【0107】
本発明の防眩フィルムの好ましい層構成の例を下記に示すが、特にこれらの層構成のみに限定されるわけではない。
【0108】
・支持体/防眩層
・支持体/ハードコート層/防眩層
・支持体/防眩層/ハードコート層
・支持体/防眩層/低屈折率層
・支持体/ハードコート層/防眩層/低屈折率層
・支持体/防眩層/ハードコート層/低屈折率層
【0109】
<塗布方式>
本発明の防眩フィルムは以下の方法で形成することができるが、この方法に制限されない。まず、各層を形成するための成分を含有した塗布液が調製される。次に、諸機能層を形成するための塗布液をディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法やダイコート法により透明支持体上に塗布し、加熱・乾燥するが、マイクログラビアコート法、ワイヤーバーコート法、ダイコート法(米国特許2681294号明細書、特開2006−122889号明細書参照)がより好ましく、ダイコート法が特に好ましい。
【0110】
(12)防眩層の硬化条件
本発明における防眩層の硬化方法に関して、好ましい例を以下に述べる。
本発明では、電離放射線による照射と、照射の前、照射と同時又は照射後の熱処理とを組み合わせることにより、硬化することが有効である。
以下にいくつかの製造工程のパターンを示すが、これらに限定されるものではない。
【0111】
【表1】

【0112】
その他、電離放射線硬化時に同時に熱処理を行う工程も好ましい。
【0113】
本発明においては、上記のとおり、電離放射線による照射と組み合わせて熱処理を行うことが好ましい。熱処理は、防眩フィルムの支持体、防眩層を含めた構成層を損なうものでなければ特に制限はないが、好ましくは60〜200℃、更に好ましくは80〜130℃、最も好ましくは80〜110℃である。
【0114】
熱処理に要する時間は、使用成分の分子量、その他成分との相互作用、粘度などにより異なるが、15秒〜1時間、好ましくは30秒〜30分、最も好ましくは45秒〜5分である。
【0115】
電離放射線の種類については、特に制限はなく、X線、電子線、紫外線、可視光、赤外線などが挙げられるが、紫外線が広く用いられる。例えば塗膜が紫外線硬化性であれば、紫外線ランプにより10mJ/cm〜1000mJ/cmの照射量の紫外線を照射して各層を硬化するのが好ましい。照射の際には、前記エネルギーを一度に当ててもよいし、分割して照射することもできる。特に塗膜の面内での性能ばらつきを少なくする点や、面状、表面のざらつき感を良化させるという観点からは、2回以上に分割して照射することが好ましく、初期に150mJ/cm以下の低照射量の紫外光を照射し、その後、50mJ/cm以上の高照射量の紫外光を照射し、かつ初期よりも後期の方で高い照射量を当てることが好ましい。
【0116】
(13)防眩フィルムの製造方法
本発明は、前記防眩フィルムの製造方法にも関する。
本発明の防眩フィルムの製造方法は、透明セルロースエステルフィルム上に、膜厚が3〜15μmの防眩層を有し、フィルム全体の全ヘイズが0.5〜2.5%である防眩フィルムの製造方法であって、
下記(A)、(B)、(C)、(D)を含む硬化性組成物を、前記透明セルロースエステルフィルム基材上に、塗布し、硬化させて、防眩層を形成する工程を有する防眩フィルムの製造方法。
(A)硬化性化合物
(B)フォスフィンオキサイド系開始剤を前記硬化性化合物(A)に対して0.5〜2.0質量%
(C)平均粒径が2〜8μmの透光性樹脂粒子を全固形分に対して5〜15質量%
(D)溶剤
ここで、 (A)〜(D)の各成分は前述したものを好ましく用いることでき、防眩層の塗布及び硬化条件も前述した方法が好ましい。
【0117】
(14)偏光板
本発明の防眩フィルムは、偏光膜とその両側に配置された保護フィルムとを含む偏光板の、その保護フィルムの一方又は両方に使用して、防眩性を有する偏光板とすることができる。
【0118】
一方の保護フィルムとして本発明の防眩フィルムを用い、他方の保護フィルムには、通常のセルロースアセテートフィルムを用いてもよいが、その他方の保護フィルムには、溶液製膜法で製造され、かつ10〜100%の延伸倍率でロールフィルム形態における幅方向に延伸したセルロースアセテートフィルムを用いることが好ましい。
【0119】
また、偏光膜の2枚の保護フィルムのうち、本発明の防眩フィルム以外のフィルムが、光学異方性のある光学補償フィルム(光学異方性層を含む光学補償層を有する光学補償フィルム)であることも好ましい態様である。光学補償フィルム(位相差フィルム)は、液晶表示画面の視野角特性を改良することができる。光学補償フィルムとしては、公知のものを用いることができるが、視野角を広げるという点では、特開2001−100042号公報に記載されている光学補償フィルムが好ましい。
【0120】
偏光膜には、ヨウ素系偏光膜、二色性染料を用いる染料系偏光膜やポリエン系偏光膜がある。ヨウ素系偏光膜及び染料系偏光膜は、一般にポリビニルアルコール系フィルムを用いて製造する。
【0121】
また偏光膜としては、公知の偏光膜や、偏光膜の吸収軸が長手方向に平行でも垂直でもない長尺の偏光膜から切り出された偏光膜を用いてもよい。偏光膜の吸収軸が長手方向に平行でも垂直でもない長尺の偏光膜は以下の方法により作製される。
すなわち、連続的に供給されるポリビニルアルコール系フィルムなどのポリマーフィルムの両端を保持手段により保持しつつ張力を付与して延伸して、少なくともフィルム幅方向に1.1〜20.0倍に延伸し、フィルム両端の保持装置の長手方向進行速度差が3%以内で、フィルム両端を保持する工程の出口におけるフィルムの進行方向と、フィルムの実質延伸方向のなす角が、20〜70゜傾斜するように、フィルム進行方向を、フィルム両端を保持させた状態で屈曲させてなる延伸方法によって製造することができる。特に45°傾斜させたものが生産性の観点から好ましく用いられる。
【0122】
ポリマーフィルムの延伸方法については、特開2002−86554号公報の段落番号0020〜0030に詳しい記載がある。
【0123】
(15)画像表示装置
本発明の防眩フィルム及び偏光板は、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)や陰極管表示装置(CRT)のような画像表示装置に用いられる。
【実施例】
【0124】
本発明を詳細に説明するために、以下に実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0125】
(セルロースアシレートの調製)
特開平10−45804号公報、同08−231761号公報に記載の方法で、セルロースアシレートを合成し、その置換度を測定した。具体的には、触媒として硫酸(セルロース100質量部に対し7.8質量部)を添加し、アシル置換基の原料となるカルボン酸を添加し40℃でアシル化反応を行った。この時、カルボン酸の種類、量を調整することでアシル基の種類、置換度を調整した。またアシル化後に40℃で熟成を行った。さらにこのセルロースアシレートの低分子量成分をアセトンで洗浄し除去した。
【0126】
(コア層用ドープの調製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、撹拌して、各成分を溶解し、コア層用ドープとしてセルロースアシレート溶液を調製した。各セルロースアシレート溶液の固形分濃度が23.5質量%となるように溶剤(塩化メチレン/メタノール/ブタノール=84/15/1)の量は適宜調整した。
・セルロースアシレート(アセチル置換度2.85、数平均分子量150000)
100.0質量部
・糖エステル(下記糖エステル1) 11.0質量部
・紫外線吸収剤(下記UV−1) 2.0質量部
・溶剤 365.5質量部
【0127】
【化5】

【0128】
(表層用ドープの調製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、撹拌して、各成分を溶解し、表層用ドープとしてセルロースアシレート溶液を調製した。各セルロースアシレート溶液の固形分濃度が18.0質量%となるように溶剤(塩化メチレン/メタノール/ブタノール=84/15/1)の量は適宜調整した。
・セルロースアシレート(アシル置換度2.81、数平均分子量150000)
100.0質量部
・糖エステル(上記糖エステル1) 5.5質量部
・紫外線吸収剤(下記UV−1) 1.0質量部
・紫外線吸収剤(下記UV−2) 1.0質量部
・紫外線吸収剤(下記UV−3) 1.0質量部
・溶剤 365.5質量部
【0129】
【化6】

【0130】
(セルロースアシレート試料の作成)
−10℃に冷却された金属バンド支持体上に接するように前記コア層用ドープを膜厚35μmのコア層になるように、コア層用ドープの上に前記表層用ドープを膜厚5μmの表層になるように、支持体上にコア層用ドープが接するように、ダイから共流延した。得られたウェブ(フィルム)をバンドから剥離し、30〜40℃で搬送しながら乾燥させた後、枠張りして130℃で20分間後乾燥させて、膜厚60μmのトリアセチルセルロースフィルム基材Tを得た。
【0131】
(防眩層用塗布液の調製)
以下の組成で各成分を添加し、孔径30μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して、表2に示す固形分濃度の防眩層用塗布液1を調製した。
・硬化性化合物1 (表2に記載の添加量)
・硬化性化合物2 (表2に記載の添加量)
・CAB 0.8質量部
・光重合開始剤 (表2に記載の添加量)
・透光性樹脂粒子 22.0質量部
・SP−13 0.1質量部
溶剤(MIBK、MEK)は固形分濃度が表2の値となるような量添加した。MIBKとMEKの質量比はいずれの塗布液においても70:30となるようにした。
使用した化合物の詳細については後述する。
【0132】
なお、上記防眩層用塗布1において、透光性樹脂粒子を除いた硬化後のマトリックスの屈折率(硬化性化合物を硬化させた樹脂の屈折率)は1.52であった。
【0133】
透光性樹脂粒子の分散液は攪拌しているMIBK溶液中に透光性樹脂粒子を分散液の固形分濃度が30質量%になるまで徐々に加え、30分間攪拌して作製した。透光性樹脂粒子は積水化成品工業(株)製の「6μm架橋アクリル−スチレン粒子(屈折率1.520)」を用いた。
【0134】
硬化性化合物1及び2、光重合開始剤、透光性樹脂粒子、無機微粒子の種類や添加量を表2のように変更した以外は防眩層用塗布液1と同様にして防眩層用塗布液2〜31を作製した。各塗布液における溶剤(MIBK及びMEK)の量は固形分濃度が表2の値となる量とした。
表2中の開始剤の量は硬化性化合物に対する比率(質量%)であり、透光性樹脂粒子の量は全固形分に対する量である。また、表2における屈折率差は、透光性樹脂粒子を除いた硬化後のマトリックスの屈折率と透光性樹脂粒子の屈折率との差である。
【0135】
【表2】

【0136】
(無機粒子分散液(B−1)の調製)
特開2002−79616号公報の調製例4から調製時の条件を変更して、内部に空洞を有するシリカ微粒子を作製した。これを水分散液状態からメタノールに溶媒置換した。最終的に固形分濃度が20質量%になるように調節して、平均粒子径45nm、シェル厚み約7nm、シリカ粒子の屈折率1.30の粒子が得られた。これを分散液(B)とする。
前記分散液(B)の500質量部に対してアクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン15質量部、及びジイソプロポキシアルミニウムエチルアセテート1.5質量部加え混合した後に、イオン交換水を9質量部を加えた。60℃で8時間反応させた後に室温まで冷却し、アセチルアセトン1.8質量部を添加した。更に総液量がほぼ一定になるようにMEKを添加しながら減圧蒸留により溶媒を置換し、最終的に固形分濃度が20質量%になるように調節して分散液(B−1)を調製した。
【0137】
(低屈折率層用塗布液の調製)
含フッ素ポリマー(P−12:含フッ素共重合体、特開2007−293325号公報の例示化合物)を7.6g、DPHAを1.4g、分散液(B−1)を2.4g、光重合開始剤(イルガキュア907)0.46g、メチルエチルケトン190g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート48gを添加、攪拌の後、孔径5μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して、低屈折率層用塗布液を調製した。
【0138】
(防眩層の塗設)
80μmの厚さのトリアセチルセルロースフィルム(TD80UL、富士フイルム社製)をロール形態で巻き出して、防眩層用塗布液1を使用し防眩フィルム試料1を作製した。
特開2006−122889号公報実施例1記載のスロットダイを用いたダイコート法で、搬送速度30m/分の条件で塗布し、60℃で150秒乾燥の後、更に窒素パージ下酸素濃度約0.1%で160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm、照射量150mJ/cmの紫外線を照射して塗布層を硬化させ巻き取った。防眩層の膜厚(硬化後の平均膜厚)は12μmとなるように塗布量を調整した。得られた防眩層の屈折率は1.520であった。
【0139】
上記と同様の塗布方法を用い、塗布液2〜31を使用して、表3に示した支持体膜厚のトリアセチルセルロースフィルム基材に、表1に示したような膜厚(硬化後の平均膜厚)となるように防眩層塗布液を塗布し、防眩フィルム試料2〜33を作製した。防眩フィルム試料23では、基材として上記の糖エステルを用いて作製したトリアセチルセルロースフィルム基材T(厚さ40μm)を用いた。また、防眩フィルム試料25では下記に示す方法で防眩層上に更に低屈折率層を塗布した。
【0140】
(低屈折率層の塗設)
上記防眩層を塗設したトリアセチルセルロースフィルムを再び巻き出して、上記低屈折率層用塗布液を前記のスロットダイを用いたダイコート法で、搬送速度30m/分の条件で塗布し、90℃で75秒間乾燥の後、窒素パージ下酸素濃度0.01〜0.1%で240W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm、照射量240mJ/cmの紫外線を照射し、厚さ100nmの低屈折率層を形成し、巻き取り、防眩フィルム試料25を作製した。低屈折率層の屈折率は1.46であった。
【0141】
各試料において、それぞれ使用した化合物を以下に示す。
PET−30:ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物[日本化薬(株)製]
ビスコート360:トリメチロールプロパンEO付加トリアクリレート[大阪有機化学工業(株)製]
【0142】
【化7】

【0143】
UV1700B:ウレタンアクリル化合物[日本合成化学工業(株)製]
CAB:セルロースアセテートブチレート[イーストマン・コダック製]
イルガキュア819:フォスフィンオキサイド系光重合開始剤[BASF製]
イルガキュア907:アセトフェノン系光重合開始剤[BASF製]
イルガキュア184:アセトフェノン系光重合開始剤[BASF製]
LUCIRIN TPO:フォスフィンオキサイド系光重合開始剤[BASF製]
SP−13:フッ素系界面活性剤
【0144】
【化8】

【0145】
DPHA:ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物[日本化薬(株)製]
P−12:含フッ素共重合体、特開2007−293325号公報の例示化合物(P−12)、主鎖にシリコーンを含み、側鎖に水酸基と重合性官能基としてアクリロイル基を有する含フッ素共重合体、数平均分子量3万、Mw/Mn=1.6
【0146】
表2中記載の透光性樹脂粒子としては、積水化成品工業(株)製の下記粒子を用いた。
A:6μm架橋アクリル−スチレン粒子(屈折率1.520)
B:4μm架橋アクリル−スチレン粒子(屈折率1.520)
C:2.5μm架橋アクリル−スチレン粒子(屈折率1.520)
D:6μm架橋アクリル−スチレン粒子(屈折率1.500)
E:1μm架橋アクリル−スチレン粒子(屈折率1.520)
無機微粒子:日産化学製のオルガノシリカゾル「MEK−ST」
【0147】
(防眩フィルムの鹸化処理)
得られた防眩フィルムを次の条件で鹸化処理・乾燥した。
アルカリ浴:1.5mol/dm水酸化ナトリウム水溶液、55℃で120秒。
第1水洗浴:水道水、60秒。
中和浴:0.05mol/dm硫酸、30℃−20秒。
第2水洗浴:水道水、60秒。
乾燥:120℃、60秒。
【0148】
(フロント用偏光板の作製)
1.5mol/L、55℃のNaOH水溶液中に2分間浸漬したあと中和、水洗したトリアセチルセルロースフィルム(TD80UL、富士フイルム社製)と、防眩フィルム試料1〜33における鹸化処理済みの各々のフィルムとを、ポリビニルアルコールにヨウ素を吸着させ、延伸して作製した偏光子の両面に接着、保護してフロント用偏光板を作製した。このとき、トリアセチルセルロースフィルムの膜厚は対応する防眩フィルムと同じものを使用した。
【0149】
(リア用偏光板の作製)
防眩フィルムを下記に示す光学補償フィルムに変更したこと以外は、前記フロント用偏光板と同様にして、リア用偏光板を作製した。
【0150】
(光学補償フィルムの作製)
下記の組成の内層用及び外層用ドープをそれぞれ調製した。
内層用ドープの組成:
セルロースアセテートC−1 100質量部
(アセチル置換度2.81、数平均分子量88000)
下記レターデーション発現剤 7質量部
【0151】
【化9】

【0152】
下記の重合体P−2 9.0質量部
下記染料(1)(ブルーイング染料) 0.000078質量部
【0153】
【化10】

【0154】
ジクロロメタン 423.9質量部
メタノール 63.3質量部
【0155】
外層用ドープの組成:
セルロースアセテートC−1 100質量部
(アセチル置換度2.81、数平均分子量88000)
上記レターデーション発現剤 7質量部
下記の重合体P−2 9.0質量部
上記染料(1)(ブルーイング染料) 0.000078質量部
平均粒径16nmのシリカ粒子 0.14質量部
(「AEROSIL R972」日本アエロジル(株)製)
ジクロロメタン 424.5質部
メタノール 63.4質量部
【0156】
重合体P−2:TPA/PA/SA/AA(=45/5/30/20(モル%))のジカルボン酸残基と、エチレングリコール(100モル%)のジオール残基とからなる重縮合体であって、両末端がアセチルエステル残基で封止されている、数平均分子量が900の重縮合体(ここで、TPAはテレフタル酸、PAはフタル酸、SAはセバシン酸、AAはアジピン酸である。)
【0157】
上記組成の外層及び内層ドープ液をバンド流延装置を用い、支持体面側外層、内層、空気界面側外層の3層構造となるように、2000mm幅でステンレスバンド支持体上に均一に同時積層共流延した。ステンレスバンド支持体で、残留溶媒量が40質量%になるまで溶媒を蒸発させ、ステンレスバンド支持体上から剥離した。剥離の際に張力をかけて縦(MD)延伸倍率が1.02倍となるように延伸し、ついで、テンターで両端部を把持し、幅手(TD)方向の延伸倍率が1.22倍となるように、45%/分の速度で横方向に延伸(横延伸)した。延伸開始時の残留溶剤量は30質量%であった。延伸後に搬送しながら115℃の乾燥ゾーンで35分間乾燥させた。乾燥後に1340mm幅にスリットし、各層の膜厚比が支持体面側外層:内層:空気界面側外層=3:94:3で、総膜厚80μmと60μmセルロースアシレート光学補償フィルムを得た。
【0158】
(液晶表示装置の作製)
VA型液晶表示装置(LC−37GS10、シャープ(株)製)に設けられているフロント、及びリアの偏光板及び位相差膜を剥がし、代わりに上記で作製したそれぞれの偏光板を、フロント側はトリアセチルセルロースフィルムが、リア側は光学補償フィルムが液晶セル側になるように配置し、透過軸が製品に貼られていた偏光板と一致するように貼り付けて、防眩フィルムを有する液晶表示装置を作製した。なお、リア側の偏光板は、フロントの防眩フィルムで使用したトリアセチルセルロースフィルムの膜厚と同じ膜厚光学補償フィルムを用いたものを使用した。
【0159】
(防眩フィルム及び液晶表示装置の評価)
<1>鉛筆硬度
得られた防眩フィルム試料を、JIS―K5400に従う鉛筆硬度試験で評価した(ただし、重りの荷重は500gとした)。本発明では2H以上を合格とした。2H合格品の中でも、少しでも傷がついたものは2H−と表記し、2Hと区別した。
【0160】
<2>暗室コントラスト
作製した防眩フィルムを、液晶テレビ(SHARP LC46−SE1)に実装し、測定機(TOPCON SR−UL1R)を用いた。防眩層を設けていないトリアセチルセルロースフィルムを用いて測定した際の値を100とし、各防眩フィルムでのコントラスト値を算出し、以下の基準で評価した。
97以上 : A
95以上97未満 : B
93以上95未満 : C
93未満 : D
【0161】
<3>ギラツキ
ライトボックス上に千鳥格子パターン(80pixel/inch)が形成されたガラスセルを配置し、その上にサンプルを固定して目視にて評価を行った。
ギラツキが全く気にならない : A
ギラツキがほぼ気にならない : B
ギラツキが気になる : C
【0162】
<4>色味
作製した防眩フィルムの色味の測定は、分光光度計“V−550”[日本分光(株)製]にアダプター“ARV−474”を装着して、CIE標準光源D65の、波長380nmから780nmの領域における入射角5゜の入射光に対して、正反射光の色味、すなわちCIE1976L*a*b*色空間のL*、a*、b*値を求めることで色味を評価した。
b*0.19以下: A
b*0.19未満: B
【0163】
<5>防眩性(光沢度)
作製した防眩フィルムの60°光沢度は光沢度計(日本電飾工業株式会社製、VG7000)を用い、JIS−Z8741に準拠して測定した。光沢度が20以下である場合、防眩性が強すぎて、逆に視認性を悪化させてしまう。光沢度が35以上である場合、防眩性が弱すぎて、反射防止性能として十分ではない。そのため、以下の基準で評価した。
光沢度20以上35以下の範囲内: A
光沢度20未満又は35超の範囲: B
【0164】
<6>カール度
防眩フィルム試料を20cm×20cmのサイズに切り取り、4隅が浮き上がっている面を上向きにして、25℃、60%RHの環境下で水平な机上に置いた。24時間経過後に各4隅の机面からの浮き上がり距離を定規で測定し、4隅の平均をとった。平均値を以下の基準でクラス分けして評価した。
5mm未満: A
5mm以上: B
【0165】
<7>全ヘイズ
JIS−K7136に準じて、得られた防眩フィルムの全ヘイズ値(H)を測定した。装置には日本電色工業(株)製ヘーズメーターNDH2000を用いた。
以上の評価結果を表3に示す。
【0166】
【表3】

【0167】
表3より、フォスフィンオキサイド系以外の開始剤のみを用いて作製した防眩フィルムでは、十分な硬度は得られるものの、ギラツキが悪化してしまうことがわかる(防眩フィルム試料No.9、17)。
フォスフィンオキサイド系開始剤を特定量用いることで、高い鉛筆硬度が得られ、色味もなく、かつギラツキも目立たず、高いコントラストも達成できた。
糖エステルを支持体に用いることで、高い鉛筆硬度が得られた(防眩フィルム試料No.23)。また、防眩層の硬化性化合物としてウレタンアクリル化合物を用いることで、カール抑制に優れた効果が得られた(防眩フィルム試料No.24)。
【符号の説明】
【0168】
A1:硬化前の防眩層
A2、A3:硬化後の防眩層
10、20、30:防眩フィルム
B:透明セルロースエステルフィルム
1:透光性樹脂粒子
2、3、4:硬化性組成物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明セルロースエステルフィルム基材上に、固形分濃度が3質量%以上60質量%以下であり、下記(A)、(B)及び(C)を含む硬化性組成物を硬化して得られる防眩層を有し、該防眩層の膜厚が3〜15μmであり、防眩フィルム全体の全ヘイズが0.5〜2.5%である防眩フィルム。
(A)硬化性化合物
(B)フォスフィンオキサイド系開始剤を前記硬化性化合物(A)に対して0.5〜2.0質量%
(C)平均粒径が2〜8μmの透光性樹脂粒子を全固形分に対して5〜15質量%
【請求項2】
防眩層の膜厚が3〜5μmである請求項1に記載の防眩フィルム。
【請求項3】
前記(A)硬化性化合物を硬化して得られた樹脂と、前記(C)透光性樹脂粒子の屈折率差が0.01以下である請求項1又は2に記載の防眩フィルム。
【請求項4】
前記(B)フォスフィンオキサイド系開始剤がビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイドである請求項1〜3のいずれか1項に記載の防眩フィルム。
【請求項5】
前記透明セルロースエステルフィルムが、フラノース構造又はピラノース構造の少なくとも1種を1個以上4個以下有する化合物のエステル化化合物を含む請求項1〜4のいずれか1項に記載の防眩フィルム。
【請求項6】
前記(A)硬化性化合物がウレタンアクリル化合物である請求項1〜5のいずれか1項に記載の防眩フィルム。
【請求項7】
前記硬化性組成物が、更に、無機微粒子を全固形分に対して3〜30質量%含む請求項1〜6のいずれか1項に記載の防眩フィルム。
【請求項8】
前記防眩層上に、更に、前記防眩層よりも屈折率が低い低屈折率層を有する請求項1〜7のいずれか1項に記載の防眩フィルム
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の防眩フィルムを、偏光膜の保護フィルムの少なくとも一方に用いた偏光板。
【請求項10】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の防眩フィルムを、偏光膜の保護フィルムの一方に用い、光学異方性のある光学補償フィルムを偏光膜の保護フィルムのもう一方に用いた偏光板。
【請求項11】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の防眩フィルム、又は請求項9若しくは10に記載の偏光板が画像表示面に配置された画像表示装置。
【請求項12】
透明セルロースエステルフィルム上に、膜厚が3〜15μmの防眩層を有し、フィルム全体の全ヘイズが0.5〜2.5%である防眩フィルムの製造方法であって、
固形分濃度が3質量%以上60質量%以下であり、下記(A)、(B)、(C)、(D)を含む硬化性組成物を、前記透明セルロースエステルフィルム上に、塗布し、硬化させて、防眩層を形成する工程を有する防眩フィルムの製造方法。
(A)硬化性化合物
(B)フォスフィンオキサイド系開始剤を前記硬化性化合物(A)に対して0.5〜2.0質量%
(C)平均粒径が2〜8μmの透光性樹脂粒子を全固形分に対して5〜15質量%
(D)溶剤

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−76785(P2013−76785A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−215654(P2011−215654)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】