説明

防眩ミラーの操作機構

【目的】 プリズム式防眩ミラーの操作機構を改良し、ガタやビビリを生じないようにする。
【構成】 ブラケット3のブラケット軸3aと、操作レバー8のレバー軸8aとの接近を阻止する手段を設ける。例えば軸受円孔9aと軸受長孔9bとを穿ったプレート9を構成し、ブラケット軸3aを軸受円孔9aに嵌合するとともに、レバー軸8aを軸受長孔9bに嵌合する。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、いわゆるプリズム形の防眩ミラーを傾動操作するための機構に係り、特にミラーのガタやビビリを防止するように改良した操作機構に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
プリズム形防眩ミラーは、表面と裏面とが平行ではなく若干のテーパ角を有しており、これを傾動させることによって反射率が変化する。このため、該防眩ミラーを固着されたミラーハウジングを一定角度だけ往復傾動させる操作機構が用いられる。図4はミラーハウジング1に固定された防眩ミラー2の中央部を破断して操作機構を露出させた状態を描いた正面図、図5は分解傾斜図である。
上記ミラーハウジング1は、図5に示したブラケット3を介してステー4により車体に取り付けられる。詳しくは、ブラケット3に設けられたブラケット軸3a,3a′が、ミラーハウジング1に設けられた軸受リブ1a,1a′に、矢印aのごとく嵌合されるとともに、前記ブラケット3に形成された球面座3bをステー4の球4aに当てがい、ワッシャ5を介してスプリング6とリインホースメント7とで挟みつけて回動に抵抗を与えてある。従って、以下に述べる本考案の構造機能に関しては上記ブラケット3を静止部材と考えて支障が無い。1cはステー4の先端の球4aをミラーハウジング1内に挿入するための孔である。
一方、8は操作用のレバーである。この部材はノブとも呼ばれるが、本考案においては該部材の機能に基づいて操作レバーと呼ぶことにする。この操作レバー8にはレバー軸8a,8′が設けられていて、軸受リブ1b,1b′に矢印bのごとく嵌合される。この部分の模式的な断面図を図6に示す。本図に現われているように、ブラケット3の下端の凹部と操作レバー上端の凸部とが係合している。このように、ブラケットと操作レバーとを別体に構成した従来例もあり、また、両者を合成樹脂材料で相互に傾動屈曲可能なように一体成形した従来例もある。
いま、ブラケット3を静止部材と考えると、ミラーハウジング1は静止部材であるブラケット軸3aによって往復円弧矢印e〜fのごとく傾動可能に支持され、そのミラーハウジング1に対して操作レバー8が、レバー軸8aにより往復円弧矢印c〜dのごとく傾動可能に支承されている。さらに上記操作レバー8の上端とブラケット3の下端とが係合しているので、該操作レバー8をc〜d方向に操作するとミラーハウジング1がe〜f方向に傾動せしめられ、これに伴って防眩ミラー2が傾動する。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】
図5,図6に示した従来例において、ブラケット軸3a,レバー軸8aに嵌合する軸受リブ1a,1bには、図6に符号を記入して示したように、軸径よりも狭いV字形のv,v′が設けられている。この部分に軸を嵌め合わせる場合は、軸受リブを加熱して軟化させた状態で力を加えて挿入する。この操作は加熱を必要とする上に形状,寸法の歪みを残すという問題が有る。こうした不具合を解消するため、図7に示した構成が考えられる。すなわち、軸受リブ1d,1eには、対向するU字形の切欠u,u′を設ける。このような構成によれば、軸を容易に組み込むことができ、ブラケット3と操作レバー8とのせり合いによってU字形切欠から軸の抜け出しが防止される。しかし乍ら、図7の構成においてはブラケット軸3aおよびレバー軸8aは、それぞれ、その半周を支承されているだけであるから位置決めが不完全であり、車体が振動したときにいわゆるビビリを生じるという問題が有る。
【0004】
本考案は上述の事情に鑑みて為されたものであって、組立操作が容易であって、しかもビビリを生じる虞れの無い、防眩ミラーの操作機構を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために創作した本考案の基本的な原理について、前掲の図7を参照して略述すると次のごとくである。すなわち、 図7の構成において、1対の軸3a,8aは、その間隔寸法を広げることを抑制されているが、間隔寸法を狭める方向の変位が確実に抑制されていない。この為に位置決めが不完全でビビリ発生の要因をなしている。そこで本考案は、双方の軸の間隔の減少を阻止する手段を設けた。上述の原理に基づき、本考案に係る防眩ミラーの機構は、ステーを介して車体に支持されるブラケットと、上記ブラケットに設けられたブラケット軸と、上記ブラケット軸によって傾動可能に支承されたミラーハウジングと、レバー軸を有する操作レバーとを具備し、上記レバーがレバー軸を介してミラーハウジングに対して傾動可能に支持されるとともに、該レバーが前記ブラケットに対して係合され、若しくは連設されて連動する構造の防眩ミラーの操作機構を適用の対象とし、 前記ブラケット軸とレバー軸との間隔寸法が減少することを阻止する手段が設けられていることを特徴とする。ただし、本考案において間隔の減少を阻止するとは、必ずしも減少を絶無ならしめなくても良く、減少を阻止する方向の力を与えることを含む意である。
【0006】
【作用】
上記の構成によれば、ブラケット軸とレバー軸との間隔寸法は、軸受リブによって増大を阻止されており、さらに間隔寸法の減少を阻止されるのでビビリを防止される。上記の双方の軸は必ずしもリジッドに支持されていなくても、充分な弾性力で支持されていれば共振周波数が高くなり、実用上、ビビリを生じなくなる。その理由は、ミラーがビビるとは、ミラーが車体の振動に共振することだからである。
【0007】
【実施例】
図1は本考案の一実施例を示す。本例は、図5の従来例に本考案を適用して改良したものである。次に、本図1が図5に比して異なる点について説明する。
ブラケット軸3aおよびレバー軸8aを支承する軸受リブは、図5,図6に示したV字状溝孔形ではなく、図7について説明したU字状切欠形の軸受リブ1d,1eとした。そして、ブラケット軸3aに嵌合する軸受円孔9aと、レバー軸8aに嵌合する軸受長孔9bとを穿ったプレート9を設けた。上記1対の軸受円孔9a,軸受長孔9bは、ブラケット軸3aとレバー軸8aとの軸間隔寸法の減少をシビアーに抑制し、軸間隔寸法の増加を僅かに許容する。このように軸間隔寸法の増加を許容したのは、ブラケット3と操作レバー8とがトッグル機構として作用し得るように弾性変形の余地を残したものである。
図2(A)は上記と異なる実施例を示し、前記実施例のプレート9に代えて、 フック10aとフック10bとを形成した線バネ10を設けた。その組立状態の断面図を図2(B)に示す。屈曲部10cを設けたのは、線バネ10のバネ定数を減少させて円滑な作用を図ったものである。
【0008】
図3(A)は、さらに異なる実施例を示し、コの字形の線材11を構成して、その両端をそれぞれ、ブラケット軸3aの先端の穴3c,およびレバー軸8aの先端の穴8bに挿入したものである。本例によっても同様の効果が得られる。
【0009】
図3(B)はさらに異なる実施例を示し、ブラケット軸3aと一体に、アーム12を設け、このアーム12の下端部に、レバー軸8aと係合する軸受二又部12aを形成した。この軸受二又部12aに、半円形でなくコの字状の切欠を設けた理由は次のごとくである。すなわち、ブラケット3を静止部材と考えたとき、ミラーハウジングはブラケット軸3aを中心として傾動する。従って、該ミラーハウジングに取り付けられているレバー軸8aは、ブラケット軸3aを中心とする円弧状の軌跡を描いて移動する。前記のコの字形は、この円弧状軌跡に沿った移動を許容するとともに、ブラケット軸3aとレバー軸8aとの接近を阻止するための構成である。そして、本例のアーム12にも屈曲部12bを形成して、軸間隔寸法の減少阻止を弾力的に行うようにしてある。
図1〜図3について以上に説明した各実施例は、左右不対称の構造であって、ブラケット軸3aとレバー軸8aとの接近を阻止するように構成したが、本考案を実施する際、左右対称に構成してブラケット軸3a′とレバー軸8a′との接近をも阻止するように構成しても良い。
【0010】
【考案の効果】
本考案の操作機構によれば、防眩ミラーの操作部材にビビリやガタが無くなり防眩ミラーの視認性が良好になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の一実施例を示す分解斜視図である。
【図2】上記と異なる実施例を示し、(A)は要部を抽出して描いた斜視図、(B)は断面図である。
【図3】(A)は上記とさらに異なる実施例の斜視図、(B)はさらに異なる実施例の斜視図である。
【図4】防眩ミラー操作機構の従来例を示し、防眩ミラーの一部を破断して描いた正面図である。
【図5】上記従来例の分解斜視図である。
【図6】上記従来例の断面側面図である。
【図7】上記従来例を改良した先行技術に係る操作機構を示し、模式的な断面側面図である。
【符号の説明】
1…ミラーハウジング、2…防眩ミラー、3…ブラケット、3a,3a′…ブラケット軸、3b…球面座、3c…穴、4…ステー、4a…球、5…ワッシャ、6…スプリング、7…リインホースメント、8…操作レバー、8a,8a′…レバー軸、8b…穴、9…プレート、9a…軸受円孔、9b…軸受長孔、10…線バネ、10a,10b…フック、10c…屈曲部、11…線材、12…アーム、12a…軸受二又部、12b…屈曲部。

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 ステーを介して車体に支持されるブラケットと、上記ブラケットに設けられたブラケット軸と、上記ブラケット軸によって傾動可能に支承されたミラーハウジングと、レバー軸を有する操作レバーとを具備し、上記レバーがレバー軸を介してミラーハウジングに対して傾動可能に支持されるとともに、該レバーが前記ブラケットに対して係合され、若しくは連設されて連動する構造の防眩ミラーの操作機構において、前記ブラケット軸とレバー軸との間隔寸法が減少することを阻止する手段が設けられていることを特徴とする、防眩ミラーの操作機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】実開平6−16149
【公開日】平成6年(1994)3月1日
【考案の名称】防眩ミラーの操作機構
【国際特許分類】
【出願番号】実願平4−54324
【出願日】平成4年(1992)8月3日
【出願人】(000000136)市光工業株式会社 (774)