説明

防舷材用ゴム組成物及びそれを用いた防舷材

【課題】 ガラス転移温度が低く、かつ寒冷地においても低い弾性率をもち、かつ低燃費性に優れ、オゾンによる劣化を防止し、ブルーム現象やへたりクリープの生じにくい防舷材用ゴム組成物及びそれを用いた防舷材を提供する。
【解決手段】加硫可能なゴム(A)および(A)以外の高シス構造を持った分岐状ゴム(B)および(C)オゾン劣化防止剤であることを特徴とする防舷材用ゴム組成物に関する。特に該高シス構造を持った分岐状ゴム(B)が、1,4−シス構造が80%以上、5%トルエン溶液粘度(Tcp)と100℃におけるムーニー粘度(ML1+4)との比(Tcp/ML1+4)が2.0〜5.0であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加硫可能なゴムとそれ以外の高シス構造を持った分岐状ゴムおよびオゾン劣化防止剤によるゴムを適用することで、ガラス転移温度が低く、かつ寒冷地においても低い弾性率を保ち、低燃費性に優れかつオゾンによる劣化を防止し、ブルーム現象やへたりクリープの生じにくい防舷材用ゴム組成物の製造およびそれを用いた防舷材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
防舷材は、使用される環境は常に海面に晒されているため、塩害によるゴムの性能劣化が著しい。また、湿度の高い場所では、オゾン吸収量や表面の劣化は高くなり、オゾンクラックが生じ易くなる問題がある。
【0003】
さらに対象とする船舶が大型であるだけに、防舷材の要求特性として耐荷重性のみならず、防舷材そのものの数と容積の大きいものが必要となる。このため材料費は非常に高価になり、初期設置費用が大きい。また、その寿命は10年と持たない事が多く、維持費用の増大につながる。
【0004】
防舷材のタイプとしては、緩衝機能する種々のものが知られているが、その中でもとくに、ゴム等の弾性材料によって形成された肉厚のソリッドタイプの防舷材が、構造が簡単かつ、緩衝機能があるため壊れにくく、広く一般に使用されている。
【0005】
ソリッドタイプの防舷材としては、その形態と構造を工夫した様々な取り組みがなされている(特許文献1および2)。その結果、緩衝機能をより高めた効果を創出することが出来るようになった。
【0006】
また、更に寒冷地での仕様に関しての改善や取り組みもなされ、ゴムの組成に着目し、天然ゴムと他のゴムとの混合物により、温度依存性の少ないゴム弾性材料の開発もされている(特許文献3)。その結果、さらに過酷な寒冷仕様であっても、より優れた機械特性をもつ防舷材を提供できるようになった。
【0007】
本発明の目的は、特に過酷な環境とされる寒冷地仕様での防舷材用ゴム組成物を提供することを目的とし、さらに従来技術では達し得なかったより優れた低温での弾性特性と低燃費効果を示す防舷材用ゴム組成物およびそれを用いた防舷材を提供することにある。
【0008】
【特許文献1】特開2000-303431
【特許文献2】特開平10-176321
【特許文献3】特開2002-13121
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
加硫可能なゴムとそれ以外の高シス構造を持った分岐状ゴムの2元系のゴムにオゾン劣化防止剤を適用することで、ガラス転移温度が低く、かつ寒冷地においても低い弾性率を保ち、かつ低燃費性に優れ、オゾンによる劣化を防止し、ブルーム現象やへたりクリープの生じにくい防舷材用ゴム組成物を提供する。さらに、前述した防舷材用ゴム組成物を用いる事で、ソリッドタイプに優れた防舷材を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、加硫可能なゴム(A)および(A)以外の高シス構造を持った分岐状ゴム(B)および(C)オゾン劣化防止剤であることを特徴とするゴム組成物に関する。
【0011】
また、本発明は、加硫可能なゴム(A)が、天然ゴムであることを特徴とする前記の防舷材用ゴム組成物に関する。
【0012】
また、本発明は、該高シス構造を持った分岐状ゴム(B)が、1,4−シス構造が80%以上、5%トルエン溶液粘度(Tcp)と100℃におけるムーニー粘度(ML1+4)との比(Tcp/ML1+4)が0.5〜2.0であることを特徴とする前記の防舷材用ゴム組成物に関する。
【0013】
また、本発明は、該オゾン劣化防止剤が、ジチオカルバミン酸塩系化合物およびチオウレア系化合物であることを特徴とする前記の防舷材用ゴム組成物に関する。
【0014】
また、本発明は、前記の防舷材用ゴム組成物を用いる事を特徴とする防舷材に関する。
【発明の効果】
【0015】
ガラス転移温度が低く、かつ寒冷地においても低い弾性率を保ち、かつ低燃費性に優れた防舷材用ゴム組成物及びそれを用いた防舷材を提供することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
(A)加硫可能なゴム
加硫可能なゴムとしては、天然ゴム(NR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、イソプレンゴム(IR)、ニトリルゴム(NBR)、エチレンプロピレンゴム(EPM)、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム、ウレタンゴム、アクリルゴム、シリコンゴム等があげられる。
【0017】
この中でも特に天然ゴム(NR)が望ましい。
【0018】
(A)の配合する量としては、全ゴム分100重量部において、加硫可能なゴムを20〜90重量部、より好ましくは、30〜80重量部、特に好ましくは、40〜70重量部を配合するものが好ましい。この配合にするとき、防舷材の圧縮特性に必要な諸物性(引張強さ、伸び、引裂強さ、圧縮永久歪み性など)を有し、本発明で特徴的な低温で十分なゴム弾性材料を得ることができる。
【0019】
(B)高シス構造を持った分岐状ゴム
高シス構造を持った分岐状ゴムとしては、前述した(A)加硫可能なゴムで選択したゴム以外から選択される。その種類としては、天然ゴム(NR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、イソプレンゴム(IR)、ニトリルゴム(NBR)、エチレンプロピレンゴム(EPM)、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム、ウレタンゴム、アクリルゴム、シリコンゴム等があげられる。
【0020】
この中でも特にブタジエンゴム(BR)が望ましい。
【0021】
さらに、高シス構造を持った分岐状ゴムとしての必要条件として、以下の2つの構造を定量的に規定する必要がある。
(1)高シス構造
則ちゴムのミクロ構造にシス構造を含み、その割合が一般に80%以上が好ましく、88.0%〜99.8%がより好ましく、96.0〜99.0%がさらに好ましく、95.0〜98.9%が特に好ましい。
(2)分岐状構造
分子の分岐度を示す指標である5%トルエン溶液粘度(Tcp)とムーニー粘度(ML1+4)との比(Tcp/ML1+4)が0.5〜2.0が好ましく、より好ましくは、0.7〜1.8、特に好ましくは、0.8〜1.5である。
Tcpは濃厚溶液中での分子の絡み合いの程度を示すのであって、同程度の分子量分布の高シスゴムにあっては、分子量が同一であれば(すなわち、ML1+4が同一であれば)分岐度の指標(Tcpが大きい程、分岐度は小さい)となるものである。また、Tcp/ML1+4はML1+4の異なる高シスゴムの分岐度を比較する場合に指標(Tcp/ML1+4が大きい程、分岐度は小さい)として用いられる。
則ち、Tcp/ML1+4の値が小さくなるほど、分岐状になっていることを示す。
【0022】
該Tcp/ML1+4が、上記範囲より大きいと低温結晶化の問題が生じ易くなり、逆に上記範囲よりも小さいと破壊特性の低下の問題が生じ易くなるため好ましくない。
【0023】
更に、分子量分布(Mw/Mn)は、1.5〜9.0が好ましく、より好ましくは2.0〜5.0、特に好ましくは2.5〜4.0である。
【0024】
分子量分布の値が、1.5より小さいと、加工性が悪くなり好ましくない。また、逆に9.0より大きすぎると、破壊特性が低下するなどの影響を及ぼすため好ましくない。
【0025】
更に100℃でのML1+4は30〜60が好ましく、35〜55がより好ましく、37〜50が特に好ましい。この値より小さいと、破壊特性を始めとするゴム物性が低下する傾向にあり、大きくなると加工性が困難になる。さらに、実質的にゲル分を含有しないことを要件とする。
【0026】
(B)の配合する量としては、全ゴム分100重量部において、3〜90重量部、より好ましくは、5〜80重量部、特に好ましくは、7〜70重量部を配合するものが好ましい。この配合にするとき、圧縮特性に必要な諸物性(引張強さ、伸び、引裂強さ、圧縮永久歪み性など)を有し、本発明で特徴的な低温で十分なゴム弾性材料を得ることができる。
【0027】
(C)オゾン劣化防止剤
本願発明で用いられるオゾン劣化防止剤は、ブルーム対策として重要でありその効果を実現するためには必須の要素となっている。
特に、本願発明で使用される(A)加硫可能なゴムや(B)高シス構造を持った分岐状ゴムは、一般に耐オゾン性が劣るため、(C)オゾン劣化防止剤を必要とする。
【0028】
本願発明で用いられるオゾン劣化防止剤としては、アミンケトン系、芳香族第二級アミン系、モノフェノール系、ビスフェノール系、ポリフェノール系、ベンズイミダゾール系、ジチオカルバミン酸塩系、チオウレア系、亜リン酸系、有機チオ酸系および混合系などがある。
【0029】
アミンケトン系オゾン劣化防止剤の具体名としては、2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン重合体、6-エトキシ-1,2-ジヒドロ-2,2,4-トリメチルキノリン、フェニル-1-ナフチルアミンおよびジフェニルアミンとアセトンの反応物などである。
【0030】
芳香族第二級アミン系オゾン劣化防止剤の具体名としては、アルキル化ジフェニルアミン、オクチル化ジフェニルアミン、4,4-ビス(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、p-(p-トルエンスルホニルアミド)ジフェニルアミン、N,N'-ジ-2-ナフチル-p−フェニレンジアミン、N,N'-ジフェニル-p-フェニレンジアミン、N-フェニル-N'-イソブロピル-P- フェニレンジアミン、N-フェニル-N'-(1,3-ジメチルブチル)-p-フェニレンジアミンおよびN-フェニル-N'-(3-メタクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロピル〕−p-フェニレンジアミンである。
【0031】
モノフェノール系オゾン劣化防止剤の具体名としては、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール、2,6-tert-ブチル-4-エチルフェノール、モノ-(α-メチルベンジル)フェノール、ジ-(α-メチルベンジル)フェノール、トリ-(α-メチルベンジル)フェノールである。
【0032】
ビスフェノール系オゾン劣化防止剤の具体名としては、2,2-メチレンビス(4-エチル-6-tert-ブチルフェノール)、2,2-メチレンビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、4,4-ブチリデンビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、4,4'-チオビス(3-メチル-6-tert-ブチルフエノール)およびp-クレゾールとジシクロベンタジエンのブチル化反応生成物などである。
【0033】
ポリフェノール系オゾン劣化防止剤の具体名としては、2,5-ジ-tert-ブチルハイドロキノン、2,5-ジ-tert-アミルハイドロキノンである。
【0034】
ベンズイミダゾール系オゾン劣化防止剤の具体名としては、2-メルカプトベンツイミダゾール、2-メルカプトメチルベンツイミダゾールおよび2-メルカプトベンツイミダゾールの亜鉛塩などである。
【0035】
ジチオカルバミン酸塩系オゾン劣化防止剤の具体名としては、ジエチルジチオカルバミン酸ニッケル、ジブチルジチオカルバミン酸ニッケルである。
【0036】
チオウレア系オゾン劣化防止剤の具体名としては、1,3-ビス(ジメチルアミノプロピル)-2-チオ尿素、トリブチルチオ尿素である。
【0037】
亜リン酸系オゾン劣化防止剤の具体名としては、トリス(ノニルフェニル)ホスフェイトなどである。
【0038】
有機チオ酸系オゾン劣化防止剤の具体名としては、チオジプロピオン酸ジラウリルなどである。
【0039】
混合系オゾン劣化防止剤の具体名としては、フェニル-1-ナフチルアミン(PA)とN,N'−ジフェニル-p-フェニレンジアミン(DP)の混合物などがある。
【0040】
上記オゾン劣化防止剤の中でも、ジチオカルバミン酸塩系、チオウレア系の使用が望ましい。具体的には、ジエチルジチオカルバミン酸ニッケル、ジブチルジチオカルバミン酸ニッケル、1,3-ビス(ジメチルアミノプロピル)-2-チオ尿素、トリブチルチオ尿素である。
【0041】
オゾン劣化防止剤は、上述したものを単独で用いることが出来るが、2種類以上を組み合わせて用いても良い。
【0042】
オゾン劣化防止剤の配合量としては、0.1〜20重量部がよく、好ましくは0.5〜10重量部、特に好ましくは1〜5重量部である。
【0043】
本願発明で用いられる二重結合を持つゴムには、耐オゾン性を向上させるため、ワックスも併用できる。ワックスは、ゴム表面に徐々に出てきて(ブルーム)薄い膜を作り、ゴム表面を保護できる一方で、ブルームによる外観不良や接着性を損なう原因となる。故に使用されるべきワックスは、特殊ワックスが好ましく、大内新興化学工業社製のサンノックおよびサンノックNなどの適用が最適である。
【0044】
特殊ワックスの配合量としては、0.1〜30重量部がよく、好ましくは0.5〜20重量部、特に好ましくは1〜15重量部である。
【0045】
(A)加硫可能なゴムおよび(A)以外の高シス構造を持った分岐状ゴム(B)および(C)オゾン劣化防止剤は、ロールなどの開放式混練機、バンバリーミキサーなどの密閉式混練機などの混練り機を用いて混練りすることによって得られ、成形加工後に加硫を行ない、各種ゴム製品に適用することが出来る。
【0046】
本発明の目的が損なわれない範囲で、所望により、通常、ゴム工業界で用いられる各種薬品、例えば加硫剤、加硫促進剤、プロセス油、スコーチ防止剤、亜鉛華、ステアリン酸などを含有させることができる。
【0047】
表1より、本願発明の全ての実施例は、(A)加硫可能なゴムと(A)以外の高シス構造を持った直鎖状ゴムの2元系のゴム構成である比較例1と比べて、−30℃における弾性率が低下していることが分かる。さらに、結晶化温度も全て比較例に比べて低くなっている事が分かる。
故に、本願発明の2元系のゴムにオゾン劣化防止剤を適用したものでは、低温でのゴム弾性への改善が見られ、低燃費性に優れかつオゾンによる劣化を防止し、ブルーム現象やへたりクリープの生じにくい効果を示している。
【0048】
(引張弾性率)
JIS K6251に従い、引張弾性率M100を測定した。また比較例を100とし、指数を算出した。数値が大きい程引張応力が高いことを示す。
【0049】
(分子量測定)
分子量と分子量分布は、東ソー社製HLC-8220 GPCを用い、カラムを2本直列にて使用し、標準ポリスチレンの検量線により算出した。使用したカラムはShodex GPC KF−805L columnであり、THF中でのカラム温度40℃を測定することで行った。
【0050】
(示差熱量分析計(DSC)
示差熱量分析計(DSC)にて窒素雰囲気下で測定した。30℃から100℃にまで10℃/分の昇温し、100℃で10分保持し、その後直ちに100℃から−70℃まで5℃/分の降温速度で結晶化させた時の熱量を測定した。
【0051】
(ムーニー粘度測定)
ムーニー粘度(ML1+4,100℃)測定は、JIS K−6300標準に準拠して行った。
【0052】
(加硫速度)
加硫速度は、JIS K−6300標準に準拠し、JSRキュラストメーター2F型を用いて90%加硫度に達する時間を測定した。
【0053】
[加硫物物性]
(硬度)
硬度は、JIS−K6253に規定されている測定法に従って測定した。
【0054】
(引張応力)
引張応力は、JIS−K6251に準拠して100%引張応力を測定した。数値が大きいほど引張応力が高いことを示す。
【0055】
(引張強度)
引張強度は、JIS−K6251に準拠して、破断時の引張強さを測定した。数値が大きいほど良好であることを示す。
【0056】
(破断伸び)
破断伸びは、JIS−K6251に準拠して、破断時の伸張率を測定した。数値が大きいほど良好であることを示す。
【0057】
(反撥弾性)
反撥弾性は、JIS−K6255に準拠して、23℃にて反撥弾性を測定した。数値が大きいほど反撥弾性に優れることを示す。
【0058】
(低燃費性(発熱性))
JIS K6265に規定されている測定方法に準じて測定した。動的変化時の圧縮永久歪みとしてPS(%)で示すと共にスタート温度100℃で25分後の上昇温度をΔTとして示した。比較例を100とし、指数を算出した。指数が大きい程良好な物性であることを示す。
【0059】
(加硫物の低燃費性(tanδ))
GABO社製EPLEXOR 100Nを用いて、温度70℃、周波数10Hz、動的歪み0.3%の条件で測定し、比較例を100として指数表示した。指数が大きい程良好である。
【0060】
(結晶化温度)
結晶化温度の測定は、GABO社製EPLEXOR 100Nを用いて、温度−30℃、周波数10Hz、動的歪み0.3%の条件で測定し、弾性率の立ち上がりを2点間の接線から求めた温度を使用し、比較例に対し温度が低いほど良好である。
【0061】
(低温貯蔵弾性率)
低温貯蔵弾性率(E'@−30℃)の測定は、GABO社製EPLEXOR 100Nを用いて、温度−30℃、周波数10Hz、動的歪み0.3%の条件で測定し、比較例を指数100とし、数値が大きいほど−30℃における弾性率が低く良好である。
【0062】
(ランボーン摩耗評価)
耐摩耗性:ランボーン摩耗試験機を用いて負荷荷重4.5kg,落砂量約15g/min.にて下記スリップ率で試験した。スリップ率:20%,サンプル回転速度60m/min.,ドラム回転速度48m/min.;スリップ率:60%,サンプル回転速度60m/min,ドラム回転速度24m/min.で測定した摩耗量(cc/分)を求め比較例を100として指数で評価した。指数が大きいほど耐摩耗性は良好である。
【0063】
実施例を以下に示す。
(実施例)
表1のポリブタジエンを用い、表2に示す配合処方に従って、250ccの密閉式混練装置を使用し天然ゴムと分岐状ポリブタジエンとカーボンブラック等を混練してから加硫促進剤と硫黄をオープンロールで混合した。次いで、プレス加硫し、得られた加硫試験片により物性を評価した。その結果を表1に示した。
【0064】
(比較例)
表2に示す配合処方に従って、250ccの密閉式混練装置を使用し天然ゴムと直鎖状ポリブタジエンとカーボンブラック等を混練してから加硫促進剤と硫黄をオープンロールで混合した。次いで、プレス加硫し、得られた加硫試験片により物性を評価した。
【0065】
本実験に適用した材料は以下のとおりである。
天然ゴム : RSS#1(ML1+4,100℃=70に調整された天然ゴム)
直鎖状高シスポリブタジエン: 宇部興産(株)製のUBEPOL BR150L
分岐状高シスポリブタジエン: 宇部興産(株)製のUBEPOL BR150B
カーボンブラック:東海カーボン製 シースト9
アロマオイル:エッソ石油 #110
ステアリン酸:旭電化 アデカ脂肪酸SA-300
酸化亜鉛:堺化学工業 Sazex 1号
老化防止剤:大内新興 ノクラック6C
加硫促進剤:大内新興化学工業(株)製のノクセラーNS(N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)
硫黄: 細井化学工業(株)製の硫黄

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加硫可能なゴム(A)および(A)以外の高シス構造を持った分岐状ゴム(B)および(C)オゾン劣化防止剤であることを特徴とする防舷材用ゴム組成物。
【請求項2】
該加硫可能なゴム(A)が、天然ゴムであることを特徴とする請求項1に記載の防舷材用ゴム組成物。
【請求項3】
該高シス構造を持った分岐状ゴム(B)が、1,4−シス構造が80%以上、5%トルエン溶液粘度(Tcp)と100℃におけるムーニー粘度(ML1+4)との比(Tcp/ML1+4)が0.5〜2.0であることを特徴とする請求項1および2のいずれかに記載の防舷材用ゴム組成物。
【請求項4】
該オゾン劣化防止剤が、ジチオカルバミン酸塩系化合物およびチオウレア系化合物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の防舷材用ゴム組成物。
【請求項5】
請求項1に記載の防舷材用ゴム組成物を用いる事を特徴とする防舷材。

【公開番号】特開2010−189498(P2010−189498A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−33560(P2009−33560)
【出願日】平成21年2月17日(2009.2.17)
【出願人】(000000206)宇部興産株式会社 (2,022)
【Fターム(参考)】