説明

防草工法

【課題】材料費用が安価であり、施工性にも優れ、施工後の美観や環境も良好に維持できる防草工法を提供すること。
【解決手段】一般廃棄物及び産業廃棄物を廃棄物溶融炉にて1200℃以上の高温で溶融処理し発生する溶融物を水で急速粉砕し、磁選で金属鉄分を除くことにより得られる廃棄物溶融炉水砕スラグ1を所定厚みに敷設施工することで、下部からの雑草成長を抑制する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、雑草の成長を抑制する防草工法に関する。
【背景技術】
【0002】
公園の植栽部や舗装されていない通路、あるいは道路の中央分離帯などの植栽部などにおいては、雑草が生え、放置すると雑草が成長して蔓延してしまう。
【0003】
従来、このような雑草の成長を抑制する防草工法として、植栽の周りを防草シートで覆う方法が知られている。しかし、この方法では、植栽周りへの降雨などによる吸水に支障が出る懸念がある。
【0004】
また、地面上に天然砂や土を敷設施工して日光を遮断することで、雑草の成長を抑制する方法もある。しかし、天然砂や土には雑草の種が混入していることがあり、そのため敷設施工した天然砂や土から雑草が生え成長することがある。天然砂や土を高温で熱処理すれば雑草の種を除くことはできるが、そうすると材料費用が高価となる。
【0005】
一方、特許文献1には、銅の精錬の残滓として得られる銅精錬スラグを敷設施工する防草工法が開示されている。銅精錬スラグには雑草の種の混入の問題はない。しかし、銅精錬スラグは金属鉄を含むから、すぐに表面がさびて赤くなり、そのさびによる赤い汁が施工場所に流れ出したり、さびによる赤い粉が飛び散ったりして、施工場所の美観や環境を損ねることがある。また、敷設施工した銅精錬スラグに触れるとさびによって身体や衣服を汚す可能性もある。さらに、銅精錬スラグは金属鉄を含むこともあってとげとげしい形状を有するので、作業者の手に刺さったりして作業性が悪い。また、とげとげしい形状であることから、敷設施工時に転圧しにくく、また転圧すると粉塵が舞い上がり、作業環境が悪化する。銅精錬スラグを磨砕すれば作業性は改善されるが、銅精錬スラグに新しい表面ができてさびが進行し、上述の赤い汁や赤い粉が発生する可能性が増す。
【0006】
また、特許文献2には、高炉スラグに樹脂を被覆したものを雑草抑制材粒子として敷設施工する防草工法が開示されているが、高炉スラグに樹脂を被覆するため、その工程が複雑となり材料費用が高価となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−219783号公報
【特許文献2】特許第2933566号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、材料費用が安価であり、施工性にも優れ、施工後の美観や環境も良好に維持できる防草工法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の防草工法は、一般廃棄物及び産業廃棄物を廃棄物溶融炉にて1200℃以上の高温で溶融処理し発生する溶融物を水で急速粉砕し、磁選で金属鉄分を除くことにより得られる廃棄物溶融炉水砕スラグを所定厚みに敷設施工することで、下部からの雑草成長を抑制するものである。なお、廃棄物溶融炉水砕スラグの鉄の含有率は、金属鉄で1質量%以下であり、酸化鉄を含む全鉄で6質量%以下である。
【0010】
このように本発明では、廃棄物溶融炉水砕スラグを使用する。この廃棄物溶融炉水砕スラグは一般廃棄物及び産業廃棄物の溶融物から得られるので、材料費用は極めて安価である。また、廃棄物溶融炉水砕スラグは1200℃以上の高温処理を経て得られることから、雑草の種がないので、これを所定厚みに敷設施工することで下部からの雑草成長を抑制することができるとともに、その敷設層からの雑草の発生も抑制することができる。さらに、廃棄物溶融炉水砕スラグは、磁選で金属鉄分を除くことにより得られるので、上述の銅精錬スラグのようにさびて赤い汁や赤い粉が発生することはない。また、廃棄物溶融炉水砕スラグは、上述の銅精錬スラグのようなとげとげしい形状ではないので、銅精錬スラグに比べて転圧しやすく作業性も良好である。
【0011】
また、本発明の防草工法では、表層部に使用する廃棄物溶融炉水砕スラグの保水機能により、降雨後に表層部温度が低下する効果があり、ヒートアイランド対策にも期待できる。
【0012】
本発明の防草工法では、廃棄物溶融炉水砕スラグの機械的な粉砕処理と磨砕処理の少なくとも一方の処理を行うことにより、廃棄物溶融炉水砕スラグの粒度調整を行い、粒度調整された廃棄物溶融炉水砕スラグを所定厚みに敷設施工することが好ましい。機械的な粉砕処理は、回転軸を持った装置にて回転歯と固定歯の間で廃棄物溶融炉水砕スラグを粉砕することにより行うことができる。また、機械的な磨砕処理は、廃棄物溶融炉水砕スラグを回転ドラムに投入して廃棄物溶融炉水砕スラグを磨砕することにより行うことができる。
【0013】
廃棄物溶融炉水砕スラグは、破砕処理や磨砕処理により比較的容易に粒度調整を行うことができ、その結果、廃棄物溶融炉水砕スラグの粒度が微粒から粗粒まで万遍なく分布するようになり、転圧性が向上する。また、廃棄物溶融炉水砕スラグは角張った形状を有するが、磨砕処理を行うと角張った形状が丸まり、作業者の手にも優しくなって作業性が向上し、転圧性もさらに向上する。さらに、磨砕処理により角張った形状を丸めた廃棄物溶融炉水砕スラグを敷設施工することにより、とくに人が通行する施工現場では、その人にも優しくなり、転倒などによるケガが発生しにくくなる。なお、廃棄物溶融炉水砕スラグは、磁選で金属鉄分を除くことにより得られるので、破砕処理や磨砕処理によって新しい表面ができても上述の銅精錬スラグのようにさびが発生することはない。
【0014】
本発明の防草工法では、廃棄物溶融炉水砕スラグにセメント又は液状樹脂を混合したものを、少なくとも表層に敷設施工することが好ましい。セメントを混合する場合は、敷設施工後、表層に水を散布することで、表層を適度に一体化させることができる。液状樹脂を混合する場合は、その液状樹脂の粘性により、表層を適度に一体化させることができる。液状樹脂としては自然乾燥により固化するものが好ましい。このように、廃棄物溶融炉水砕スラグにセメント又は液状樹脂を混合したものを、少なくとも表層に敷設施工することで、表層からの廃棄物溶融炉水砕スラグの飛散を防止することができる。
【0015】
また、敷設施工した廃棄物溶融炉水砕スラグの表層に液状樹脂を散布して廃棄物溶融炉水砕スラグの表層に樹脂をコーティングすることによっても、表層を適度に一体化させることができ、表層からの廃棄物溶融炉水砕スラグの飛散を防止することができる。液状樹脂としては、上述のように自然乾燥により固化するものが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明の防草工法では廃棄物溶融炉水砕スラグを使用するので、材料費用が安価であり、施工性にも優れ、施工後の美観や環境も良好に維持できる。また、本発明によって廃棄物溶融炉水砕スラグの新規用途を開拓でき、廃棄物溶融炉水砕スラグの有効利用を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の防草工法の実施形態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を示す。
【0019】
図1は、本発明の防草工法の実施形態を示す説明図である。本発明では、公園の植栽部や舗装されていない通路、あるいは道路の中央分離帯などの植栽部などに、廃棄物溶融炉水砕スラグを所定厚みに敷設施工することで、下部からの雑草成長を抑制する。廃棄物溶融炉水砕スラグは、一般廃棄物及び産業廃棄物を廃棄物溶融炉にて1200℃以上の高温で溶融処理し発生する溶融物を水で急速粉砕し、磁選で金属鉄分を除くことにより得られる。好ましい実施形態では、この廃棄物溶融炉水砕スラグを回転ドラムに投入して廃棄物溶融炉水砕スラグを磨砕する磨砕処理を行ったものを廃棄物溶融炉水砕スラグ1として使用する。なお、本発明では、磨砕処理に代えて破砕処理を行ってもよく、破砕処理に続けて磨砕処理を行ってもよい。また、破砕処理及び磨砕処理を行うことなく、敷設施工してもよい。
【0020】
図1(a)は、廃棄物溶融炉水砕スラグ1を転圧して所定厚みに敷設施工する実施形態である。廃棄物溶融炉水砕スラグ1の施工厚みは3〜20cm程度が適当であるが、その施工厚みは日光を遮断して下部からの雑草成長を抑制できる程度であればよく、具体的には3cm以上あればよい。施工厚みの上限はとくに規定されないが、あまり厚くしても意味がないので、現実的には20cm程度が上限と考えてよい。
【0021】
図1(b)は、廃棄物溶融炉水砕スラグ1を所定厚みに敷設施工し、さらにその表層に廃棄物溶融炉水砕スラグにセメント又は液状樹脂を混合したもの(以下「廃棄物溶融炉水砕スラグ混合物1a」という。)を敷設施工する実施形態である。廃棄物溶融炉水砕スラグ1の施工厚みは3〜20cm程度、廃棄物溶融炉水砕スラグ混合物1aの施工厚みは1〜5cm程度が適当である。
【0022】
セメントを混合する場合は、敷設施工後、表層に水を散布することで、表層を適度に一体化させる。セメントの混合割合は適宜決定することができるが、廃棄物溶融炉水砕スラグ1の100質量部に対してセメントを3〜20質量部混合するのが適当である。一方、液状樹脂を混合する場合は、その液状樹脂の粘性により、表層を適度に一体化させる。液状樹脂としては自然乾燥により固化するものが好ましい。例えば日本製紙ケミカル(株)製の「サンローズ」(カルボキシメチルセルロースナトリウム)を使用することができる。液状樹脂の混合割合は廃棄物溶融炉水砕スラグ1の100質量部に対して液状樹脂を3〜10質量部混合するのが適当である。液状樹脂は、液状樹脂用粉末:水=100:10の割合で混合して製作した。
【0023】
このように廃棄物溶融炉水砕スラグ混合物1aを表層に敷設施工することで、表層からの廃棄物溶融炉水砕スラグの飛散を防止することができる。なお、図1(b)の実施形態では、表層にのみ廃棄物溶融炉水砕スラグ混合物1aを施工したが、全体を廃棄物溶融炉水砕スラグ混合物1aで施工してもよい。ただし、表層からの廃棄物溶融炉水砕スラグの飛散を防止するには、表層に廃棄物溶融炉水砕スラグ混合物1aを施工すれば十分であり、材料費用や透水性確保の点から、廃棄物溶融炉水砕スラグ1を所定厚みに敷設施工し、その表層に廃棄物溶融炉水砕スラグ混合物1aを敷設施工するのが好ましい。
【0024】
図1(c)は廃棄物溶融炉水砕スラグ1を所定厚みに敷設施工し、その表層に液状樹脂2を散布して廃棄物溶融炉水砕スラグの表層に樹脂をコーティングする実施形態である。この形態によっても、廃棄物溶融炉水砕スラグ1の表層を適度に一体化させることができ、表層からの廃棄物溶融炉水砕スラグの飛散を防止することができる。液状樹脂としては図1(b)の実施形態と同様に自然乾燥により固化するものが好ましく、例えば日本製紙ケミカル(株)製の「サンローズ」を使用することができる。液状樹脂の散布量は、5〜80g/m(液状樹脂用粉末のみの重量)程度が好ましい。
【実施例】
【0025】
図1(a)の実施形態に基づき、磨砕処理後の廃棄物溶融炉水砕スラグを公園の未舗装の通路に転圧して5cmの厚みに敷設施工した。敷設施工後の設計CBRは20%以上で、十分に締まっており、転圧性も良好であった。そして、敷設施工後、1年4ヶ月を経過しても、雑草の発生は見られなかった。施工面には、自動車の通過によるタイヤの跡は見られたが、強度は保たれていた。また、施工現場周辺に赤い汁の流れ出しや赤い粉の飛散は見られなかった。
【符号の説明】
【0026】
1 廃棄物溶融炉水砕スラグ
1a 廃棄物溶融炉水砕スラグ混合物
2 液状樹脂

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般廃棄物及び産業廃棄物を廃棄物溶融炉にて1200℃以上の高温で溶融処理し発生する溶融物を水で急速粉砕し、磁選で金属鉄分を除くことにより得られる廃棄物溶融炉水砕スラグを所定厚みに敷設施工することで、下部からの雑草成長を抑制する防草工法。
【請求項2】
廃棄物溶融炉水砕スラグの機械的な粉砕処理と磨砕処理の少なくとも一方の処理を行うことにより、廃棄物溶融炉水砕スラグの粒度調整を行い、粒度調整された廃棄物溶融炉水砕スラグを所定厚みに敷設施工する請求項1に記載の防草工法。
【請求項3】
廃棄物溶融炉水砕スラグにセメント又は液状樹脂を混合したものを、少なくとも表層に敷設施工する請求項1又は2に記載の防草工法。
【請求項4】
敷設施工した廃棄物溶融炉水砕スラグの表層に液状樹脂を散布して廃棄物溶融炉水砕スラグの表層に樹脂をコーティングする請求項1又は2に記載の防草工法。

【図1】
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【公開番号】特開2011−163088(P2011−163088A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−30334(P2010−30334)
【出願日】平成22年2月15日(2010.2.15)
【出願人】(306022513)新日鉄エンジニアリング株式会社 (897)
【出願人】(510042024)株式会社エヌジェイ・エコサービス (4)
【Fターム(参考)】