説明

防虫ネット張り出し装置

【課題】構造が極めて簡単で低コストでありながら、防虫ネットが温室開口部の内側に侵入することを確実に防止するとともに、天窓の開口巾によって規格の異なる防虫ネットに取り付けが可能な防虫ネット張り出し装置を提供する。
【解決手段】張り出し装置1は天窓先付近の窓先レール9に装着するための固定部1bと、適度な張り出し効果を得るためのコイルスプリング部1a、及びフレーム部1cにより構成し、コイルスプリング部1aの作用によりフレーム部1cは方向自在となり、防虫ネット2を、天窓開口部の外方向に常に弛みなく適度なテンションで張り出しすことにより、天窓開閉装置への巻き込み事故や挟まれること防止すると共に、降雨時の半開状態においても雨水の進入を防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は温室の天窓に設けられる防虫ネット張り出し装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来温室の換気天窓には、外部からの害虫進入を防止するため、あるいは益虫が外に逃げ出さないように天窓開口部に防虫ネットが展張されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】 特開2007−111041
【特許文献2】 特開2006−101772
【特許文献3】 特開2006−271245
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1及び上記特許文献2にあっては、いずれも防虫ネットを天窓の開口部より内側に収納するため、通気性を阻害するばかりでなく、降雨時には風で吹き込んだ雨水が防虫ネットに付着し温室内に浸入する問題がある。
さらに、ビニールなどの被覆材を固定するレールとは別に新たな防虫ネットを固定するレールや特殊形状の器具等を必要とするため、構造が複雑になり設置コストが高くなる欠点がある。
また、上記特許文献3にあっては、コの字型フレームにより防虫ネットを内側から突き出すことで弛みや重なりを無くして、通気性の向上と雨水の浸入を防止するものである。しかしながら、防虫ネットの巾は、温室の構造や大きさにより規格が異なるため、同一規格のコの字型フレームの場合、防虫ネットの巾が狭くなるほど過大なテンションが防虫ネットに加わり、ネットの損傷を引き起こす欠点がある。
同一規格のフレームで、あらゆる防虫ネットの巾に対して適度な張力を与えるには、フレームの弾性力や長さを調整しなければならず多種類の規格を必要とし、製造コスト及び在庫コストが高くなる欠点がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで、本発明にあっては、上記課題を解決するため、防虫ネットを内側から適度なテンションで張り出すことで、弛みや重なりを無くし、天窓開閉装置への巻き込みを防止すると共に、通気性の向上と雨水の浸入を防止するものである。また、天窓の開口巾によって規格の異なる防虫ネットでも、絶えず弛みなく最適な張り出し効果が得られる低コストの防虫ネット張り出し装置を提供する。
【発明の効果】
【0006】
本発明の防虫ネット張り出し装置は、防虫ネットに絶えず弛みなく最適なテンションで張り出す効果があり、防虫ネットの損傷を軽減すると同時に、換気効率を向上する効果がある。また、強風時でも防虫ネットが温室内に進入せず、天窓開閉装置への巻き込み事故を防止すると共に、降雨時の開状態においても温室内への雨水の進入を防止する効果もある。さらに、天窓の構造や開巾によって巾の違う防虫ネットであっても、同一規格の張り出し装置により対応することが可能で、設置コストや製造コストを低減できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】 (a)本発明の張り出し装置を取り付けた、斜視図である。 (b)本発明の張り出し装置を取り付けた、全閉状態の側面図である。
【図2】 本発明の張り出し装置を取り付けた、全開状態の側面図である。
【図3】 (a)(b)張り出し装置の装着形態を比較した平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しつつ詳細に説明すれば、図1(a)は本発明の実施の形態に係る防虫ネット張り出し装置1を示す斜視図である。温室の骨組材5に長手方向に固定された棟材6に沿って設けられる天窓枠材3はヒンジ機構3aにより支持され、先端部には被覆材8及び防虫ネット2を波状針金等10で固定するための窓先レール9が長手方向に枢着されている。天窓開閉装置4を連結部3bに連結することで天窓先端部の窓先レール9が上下に開閉して温室内部の空気を換気するようになっている。
【0009】
防虫ネット2の一端は長手方向に骨組材5に枢着された窓下レール7に波状針金等10で固定されて、他端は天窓枠材3の先端部分に枢着された窓先レール9に波状針金等10でそれぞれ固定されて、天窓開口部を覆うよう展張されている。これにより外部からの害虫の侵入を防止し、温室内の益虫が外に出るのを防止している。また、温室の被覆材8は窓下レール7及び窓先レール9に波状針金等10によりそれぞれ固定されて開口部を形成している。
【0010】
本発明の防虫ネット張り出し装置1の実施形態を図1(a)を参照して説明すれば、窓先レール9にワンタッチで装着するために波状に成型された固定部1bと、防虫ネット2に対して絶えず弛みなく張り出し効果を得るためのコイルスプリング部1a及び、張り出し効果を防虫ネット2に有効に伝えるために先端部を曲線に成型された任意の長さのフレーム部1cにより1個または2個以上で構成される。また、張り出し装置1の材質については強度、耐久性に優れ、加工が容易なステンレス針金が、2個以上の設置ヶ所については、天窓開閉装置4への巻き込みを防止するうえで、天窓開閉装置4の前面に設置することが望ましい。
【0011】
上記構成からなる防虫ネット張り出し装置1を天窓開度状態により図を参照して説明すると、図1(a)は天窓の開度が中間位置の斜視図である。天窓先端部の窓先に配置された防虫ネット張り出し装置1は固定部1bにより窓先レール9に装着されている。防虫ネット2は、防虫ネット張り出し装置1を覆うように窓先レール9と窓下レール7に固定し展張されており、窓先レール9の上下運動により変化する防虫ネット2の弛みに対して、コイルスプリング部1aの方向自在な弾性変化により、フレーム部1cが防虫ネット2の内側から外方向に適度なテンションをかけていて、コイルスプリング部1aを中心として防虫ネット2の弛みに柔軟に作用して、絶えず外側に張り出している。
【0012】
図1bは天窓が全閉状態の側面図である。本発明の張り出し装置1により防虫ネット2は天窓開口部より外側に折り畳まれように張り出し、開口部の窓先レール9と窓下レール7との間への挟み込みや、天窓開閉装置5への巻き込み事故を防止している。さらに、強風時にはコイルスプリング部1aのトルク吸収作用によりバタツキを抑えることで防虫ネット2の損傷を軽減する。
【0013】
図2は天窓が全開状態の側面図である。全開状態での張り出し装置1はコイルスプリング1aの弾性変化より方向自在となり、フレーム1cの曲線部により防虫ネット2は適度なテンションで張り出されていて、風の影響などで変化する防虫ネット2の弛みの変化に柔軟に追従することができ、理想の張り出し効果を得ることができる。また、全開状態での防虫ネット2の展張方法は、窓先レール9と窓下レール7の間に直線に張らずに、外方向に膨らみをもたせることで、網目面積が広くなり、通気性が向上する。
【0014】
図3(a)及び図3(b)は天窓が全閉状態の正面図であり、張り出し巾Lの異なる防虫ネット2において、同一規格の張り出し装置1を装着した形態を比較したものである。張り出し装置1に防虫ネット2を覆うように展張したとき、張り出し装置1はコイルスプリング1aの弾性変化と、フレーム1cの曲線部の作用により方向自在となり、Lが広い場合は図3(a)のように張り出し装置1は長手方向に少し傾いた状態になり、逆にLが狭い場合は、図3(b)のように長手方向に大きく傾いた状態になる。このように張り出し装置1は、どのような防虫ネット2の巾Lに対しても、フレーム1cの角度が自在に変化して、常に最適な状態で張り出している。
【符号の説明】
【0015】
1…張り出し装置
1a…張り出し装置のスプリング部
1b…張り出し装置の固定部
1c…張り出し装置のフレーム部
2…防虫ネット
3…天窓枠材
3a…天窓枠材のヒンジ機構
3b…天窓枠材と天窓開閉装置の連結部
4…天窓開閉装置
5…温室の骨組材
6…温室の棟材
7…窓下レール
8…温室の被覆材
9…窓先レール
10…波状針金

【特許請求の範囲】
【請求項1】
温室の開閉自在な天窓の開口部に展張される防虫ネットの弛みを防止する防虫ネット張り出し装置であって、
前記防虫ネット張り出し装置は、天窓先付近のレールに取付けられ、前記防虫ネットの一端は前記天窓の先付近のレールに、他端は天窓下付近のレールに前記防虫ネット張り出し装置を覆うようにそれぞれ固定されていて、前記防虫ネット張り出し装置は、装置固定部とコイルスプリング部及びフレーム部で構成され、方向自在なコイルスプリングの張力により、前記防虫ネットを開口部内側から外方向に弛みなく張り出すことを特徴とする防虫ネット張り出し装置。
【請求項2】
前記装置固定部は波状に形成されており、前記レールに取付けられることを特徴とする請求項1記載の防虫ネット張り出し装置。
【請求項3】
前記防虫ネット張り出し装置は、前記天窓下付近のレールに取付けられることを特徴とする請求項1記載又は請求項2の防虫ネット張り出し装置。
【請求項4】
前記フレーム部は、曲線に形成され、前記防虫ネットを弛みなく張り出すことを特徴とする請求項1記載又は請求項2記載又は請求項3記載の防虫ネット張り出し装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−223974(P2011−223974A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−122051(P2010−122051)
【出願日】平成22年4月20日(2010.4.20)
【出願人】(303018713)
【出願人】(510148614)
【Fターム(参考)】