防蟻方法
【課題】トータル的にみて完成度の高い建築物の防蟻システムを提供する。
【解決手段】建築物の基礎際、基礎の水抜孔、基礎の立壁の巾止め金具、配管、玄関、勝手口、ポーチ、土間外ステップ、及びコンクリートブロックの貫通孔に、これらを含む各箇所全てに、それぞれに対応する防蟻方法を適用した防蟻防蟻システムとする。
【解決手段】建築物の基礎際、基礎の水抜孔、基礎の立壁の巾止め金具、配管、玄関、勝手口、ポーチ、土間外ステップ、及びコンクリートブロックの貫通孔に、これらを含む各箇所全てに、それぞれに対応する防蟻方法を適用した防蟻防蟻システムとする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物における各箇所にシロアリ対策を施す防蟻方法と、これらを使用した建築物の総合的な防蟻システムに関する。
【背景技術】
【0002】
建築物を建築する際、床下の土間部分を中心として種々の防蟻処理が施されている。特に、近年では土台部分全体に亘ってコンクリートを敷き詰めたベタ基礎を使用した建築物が増加しており、当該ベタ基礎にはこれに合わせた特有の防蟻方法が必要となる。例えば基礎の底壁と立壁との角部、すなわち基礎際部分の防蟻方法としては、例えば特許文献1や特許文献2がある。特許文献1に記載の防蟻方法は、建築物の基礎で囲まれた土間に防蟻性能を有するシート状の防蟻材を敷設しており、基礎際に粒子状の防蟻材を所定厚みで敷き詰めている。特許文献2に記載の防蟻方法は、建築物の基礎際にシート状の防蟻材を接着している。
【0003】
配管が基礎を貫通して配されている場合の防蟻方法としては、例えば特許文献3がある。具体的には、基礎に穿設された配管孔とこれに貫通する配管との隙間に、粘弾性を有する防蟻材を充填している。また、ベタ基礎の底壁の裏面に、これの全体を覆うシート状の防蟻材を敷設する防蟻方法が特許文献4に開示されている。なお、ここでの防蟻材とは、その形状を問わず物理的又は化学的若しくはその双方によって、シロアリの侵入防止や駆除などを可能とするものの総称であり、防蟻剤も含む概念である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−155202号公報
【特許文献2】特開2003−201744号公報
【特許文献3】特開2004−232454号公報
【特許文献4】特開2001−40791号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の防蟻方法によれば、基礎際に粒子状の防蟻材を使用することによって、外的環境や経時変化によって防蟻効果が得られなくなることを阻止し、長期間防蟻効果を維持することを可能としている。しかし、粒子状の防蟻材を所定厚みで敷き詰めるには、これが型崩れしないように溝を掘ったり、型枠を配置する必要があり手間がかる。これに対して特許文献2の防蟻方法によれば、このような手間を必要としないので防蟻処理の負担を軽減できるが、単に基礎際にシート状の防蟻材を配しているだけなので、経時的劣化などに対するメンテナンスの頻繁が多くなる。特許文献3の防蟻方法によれば、配管の隙間からシロアリが侵入することを確実に防止できるが、強度的に他の部分よりも弱くなる隙間近傍にクラックが発生した場合にまでは対処できていないし、布基礎の土間には好適でない。
【0006】
また、従来においては特許文献1乃至4のように基礎の主要部分に対しては種々の防蟻方法が提案されているが、例えば基礎の水抜孔や立壁形成用の型枠巾止め金具など、細かな部分に対する防蟻方法はなかった。さらに、従来は建築物の床下部分に着目したものばかりであり、例えば勝手口、玄関、ポーチ、屋外ステップなど、床下以外の箇所に対する防蟻方法は提案されていなかった。
【0007】
そこで、本願発明の目的は、施工に手間がかからず且つ長期間メンテナンスが不要な防蟻方法を提供することにある。本願発明の目的は、いままであまり着目されることのなかった箇所に対する新規な防蟻方法を提供することにある。本願発明の目的は、トータル的にみて完成度の高い建築物の防蟻システムを提供することある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本願発明は以下の手段をとる。
(1)建築物の基礎際の防蟻方法であって、前記基礎における底壁と立壁との角部に、防蟻成分を含有する接着剤により防蟻部材を接着していることを特徴とする防蟻方法。防蟻部材とは、物理的にシロアリの侵入を防ぎ、ある程度の長さや大きさを有する形状に形成された板材や角材などの部材を意味する。
(2)建築物の基礎際の防蟻方法であって、前記基礎における底壁と立壁との角部に、防蟻効果を有する防蟻部材を接着していることを特徴とする防蟻方法。
(3)建築物の基礎際の防蟻方法であって、前記基礎における底壁と立壁との角部に、防蟻成分を含有する接着剤により防蟻効果を有する防蟻部材を接着していることを特徴とする防蟻方法。
(4)建築物の基礎の防蟻方法であって、前記基礎に穿設された水抜孔に、粒子状または発泡体状の防蟻材を充填していることを特徴とする防蟻方法。
(5)建築物の基礎の防蟻方法であって、前記基礎に穿設された水抜孔の開口面を、防蟻成分を含有する接着剤によりシロアリが通過できない目開きの網部材を被覆していることを特徴とする防蟻方法。
(6)建築物の基礎際の防蟻方法であって、建築物の基礎における立壁を打設する際に使用する型枠を固定する巾止め金具の側端立設片を切断し、前記基礎の立壁から外方に突出している巾止め金具の平板部の周縁に、防蟻成分を含有する接着剤を塗布することを特徴とする防蟻方法。
(7)前記巾止め金具の平板部の周縁を接着した上から、(1)乃至(3)の防蟻処理を施す(6)に記載の防蟻方法。
(8)地面又は基礎底壁から立設している配管の防蟻方法であって、前記配管の地表又は底面近傍に防蟻処理を施していることを特徴とする防蟻方法。
(9)前記配管が、配管の周囲が断熱材で被覆された内外二層構造の保温配管であり、地表又は底面近傍において前記保温配管の断熱材を上下所定寸法切除し、当該切除部分に粒子状または発泡体状の防蟻材を充填している(8)に記載の防蟻方法。
(10)地表又は底面近傍に、防蟻効果を有するテープを巻着している(8)に記載の防蟻方法。これは、非保温配管と保温配管とを問わず適用できる。
(11)前記テープは、防蟻成分を含有する接着剤により巻着されている(10)に記載の防蟻方法。
(12)建築物の基礎に穿設された配管孔を貫通する配管の防蟻方法であって、前記基礎の配管孔と前記配管との隙間に発泡体状の防蟻材を充填し、且つ、前記基礎の床面上に、少なくとも前記配管を囲むように粒子状の防蟻材を敷き詰めていることを特徴とする防蟻方法。
(13)建築物の玄関、勝手口、ポーチの防蟻方法であって、玄関土間、勝手口土間、ポーチ土間の床面裏コンクリートと前記基礎の立壁との角部に、それぞれ防蟻部材を接着していることを特徴とする防蟻方法。
(14)前記接着剤が、防蟻成分を含有している(13)に記載の防蟻方法。
(15)前記防蟻部材が、防蟻効果を有する(13)又は(14)に記載の防蟻方法。
(16)建築物の土間外ステップの防蟻方法であって、ステップを形成する基礎コンクリートの裏面と建築物の基礎の立壁の外面との角部に、防蟻部材を接着していることを特徴とする防蟻方法。
(17)前記接着剤が、防蟻成分を含有している(16)に記載の防蟻方法。
(18)前記防蟻部材が、防蟻効果を有する(16)又は(17)に記載の防蟻方法。
(19)玄関框の下部に配されたコンクリートブロックの孔に、粒子状または発泡体状の防蟻材を充填することを特徴とする防蟻方法。
(20)建築物の総合的な防蟻システムであって、
(ア)建築物の基礎の水抜孔に(4)又は(5)に記載の防蟻方法
(イ)建築物の基礎の立壁の巾止め金具に対して(6)又は(7)に記載の防蟻方法
(ウ)配管に対して(8)乃至(12)のいずれかに記載の防蟻方法
(エ)建築物の基礎際に(1)乃至(3)のいずれかに記載の防蟻方法、または粒子状の防蟻材を敷き詰める防蟻方法
(オ)玄関、勝手口及び/又はポーチの基礎に対して(13)乃至(15)のいずれかに記載の防蟻方法
(カ)建築物の土間外ステップに対して(16)乃至(18)のいずれかに記載の防蟻方法
(キ)玄関框の下部に配されたコンクリートブロックの孔に、(19)に記載の防蟻方法
上記(ア)〜(キ)の各箇所のうち、これらを含む各箇所全てに、それぞれに対応する防蟻方法を適用する防蟻システム。
(21)前記(ア)、(イ)、(ウ)、(エ)、(オ)、(カ)、(キ)に示す防蟻方法を、これらを含む箇所全てに、これの順に建築物に適用する(20)に記載の防蟻システム。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る基礎際の防蟻方法は、防蟻部材を接着するだけでよいので施工が容易である。これによって、基礎際にクラックが発生してそこからシロアリが這い上がってきたとしても、シロアリは防蟻部材に衝突することで引き返しその侵入を防ぐことができる。このとき、接着剤又は防蟻部材、若しくはその双方が防蟻効果を有していれば、基礎と防蟻部材との間に若干の隙間ができたとしても、シロアリが忌避してその侵入を防ぐことができ、メンテナンス間隔を長くすることができる。特に接着剤に防蟻成分を含有させておけば、防蟻成分の揮発が抑えられるので、メンテナンス面において有利である。
【0010】
基礎の水抜孔に粒子状または発泡体状の防蟻材を充填したり、水抜孔の開口面にシロアリが通過できない目開きの網部材を被覆することによって防蟻処理を施していれば、水抜孔からのシロアリの侵入も防ぐことができる。
【0011】
基礎の立壁を打設する際に使用する型枠を固定する巾止め金具周縁に、防蟻成分を含有する接着剤を塗布しておけば、巾止め金具と防蟻部材との間に生じ得る隙間を塞ぐことができ、シロアリの侵入路を遮断することができる。
【0012】
配管の土間底面近傍域に防蟻処理を施していることによって、配管を伝ってくるシロアリの侵入を防ぐことができる。このとき、内外二層構造の保温配管の断熱材を上下所定寸法切除して当該切除部分に粒子状または発泡体状の防蟻材を充填していれば、例えばシロアリの食害を受け得る素材の断熱材を使用してもそれ以上の食害を防ぎ、以ってシロアリの侵入を阻止できる。また、非保温配管にテープを巻着構成とすれば、その施工が容易である。
【0013】
基礎の配管孔と配管との隙間に発泡体状の防蟻材を充填し、且つ、前記基礎の床面上に、少なくとも前記配管を囲むように粒子状の防蟻材を敷き詰めていれば、配管孔と配管との隙間からのシロアリの侵入を防ぐことができることに加え、配管孔近傍にクラックが発生したとしても、防蟻剤を敷き詰めてあるので当該クラックからシロアリが侵入することをも防止できる。
【0014】
建築物の玄関、勝手口、ポーチ、土間外ステップ、及びコンクリートブロックに防蟻処理を施していれば、床下土間部分以外からのシロアリの侵入を防止し、総合的に完成度の高い建築物の防蟻システムを構築することができる。この場合でも、最もクラックが発生し易くシロアリの侵入確立の高い基礎際においての防蟻処理に留めているので、大掛かりな施工をする必要なく、コストを低廉にできる。また、防蟻効果を有する防蟻部材や防蟻成分を含有する接着剤を使用するだけなので、確実な防蟻効果を担保しながら施工も容易である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】基礎際の防蟻方法の第1実施形態を示す要部拡大図である。
【図2】基礎際の防蟻方法の第1実施形態の変形例を示す要部拡大図である。
【図3】基礎際の防蟻方法の第2実施形態を示す要部拡大図である。
【図4】基礎際の防蟻方法の第2実施形態の変形例を示す要部拡大図である。
【図5】布基礎における土間の防蟻方法を示す断面図である。
【図6】基礎に穿設された水抜孔の防蟻方法の一例を示す要部拡大図である。
【図7】基礎に穿設された水抜孔の防蟻方法のその他の例を示す要部拡大図である。
【図8】巾止め金具の防蟻方法を示す要部拡大図である。
【図9】配管の防蟻方法を示す要部拡大図である。
【図10】配管の立ち上がり部の防蟻方法の一例を示す断面図である。
【図11】配管の立ち上がり部の防蟻方法のその他の例を示す断面図である。
【図12】配管に防蟻方法を適用した断面図である。
【図13】配管の立ち上がり部の防蟻方法のさらにその他の例を示す断面図である。
【図14】玄関の防蟻方法を示す断面図である。
【図15】土間外ステップの防蟻方法を示す断面図である。
【図16】コンクリートブロックの防蟻方法を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明に係る防蟻方法の実施の形態を図面を参照しながら説明する。図1乃至図4は、ベタ基礎における基礎際の防蟻方法を示している。図5は、布基礎における土間の防蟻方法を示している。図6及び図7は、基礎に穿設された水抜孔の防蟻方法を示している。図8は、基礎の立壁を形成する際の型枠を支持する巾止め金具の防蟻方法を示している。図9乃至図13は、配管の防蟻方法を示している。図14は、玄関や勝手口、及びポーチの防蟻方法を示している。図15は、土間外ステップの防蟻方法を示している。図16は、コンクリートブロックの防蟻方法を示している。
【0017】
[基礎際の防蟻処理]
まず、図1乃至図5に示す基礎際の防蟻方法について説明する。ベタ基礎1は、建築物の床下全体にコンクリートを形成した基礎であって、床下の全体に亘って形成される床壁1aと該床壁1aから立設する立壁1bとからなり、立壁1bは床壁1aの少なくとも外周全体を囲むように形成されており、これが建築物基礎の外壁となる。これに加えて、床壁1aの内部側にも適宜立壁1bが形成されている。なお、図示しないが、ベタ基礎1には、これの強度を高めるための鉄筋がベタ基礎1の構造形状に即して複数本配設されている。図1などに示すように、ベタ基礎1は破石や目潰し砂利を用いて固められた基礎支持部2上に捨てコンクリート3を介して載置固定されており、基礎1の床壁1aがほぼ地面G中に埋没した状態となっている。
【0018】
そのうえで、ベタ基礎1の底壁1aと立壁1bとの角部、すなわち基礎際に防蟻処理が施されている。当該基礎際は、地震などの振動や地盤の歪みなどによって応力が集中し、基礎の中でもクラックの発生する確立の高い部分であり、このクラックを伝ってシロアリが床下に侵入することの多い部分でもある。図1及び図2は、ベタ基礎1の基礎際の防蟻方法の第1実施形態を示しており、基礎際に沿って粒子状の防蟻材10(以下、防蟻粒子と称す)が敷き詰められている。具体的には、基礎1の立壁1bと所定幅を隔てた位置に、防蟻粒子10の型崩れを防止する防蟻部材20を基礎際に沿って配設し、この立壁1bと防蟻部材20との隙間に防蟻粒子10を敷き詰めている。図1及び図2では、外周側立壁1bの一つの面に防蟻処理を施した例を示しているが、基礎1における全ての基礎際に防蟻粒子10を敷き詰めることはいうまでもない。隣接する防蟻部材20同士は、また釘によって固定しておく。
【0019】
防蟻粒子10としては、物理的又は化学的若しくはその双方での防蟻効果を有する粒子を使用することができる。物理的な防蟻効果を有する粒子としては、そのもの自体には殺虫効果はないが、シロアリが口器で運べず、且つ粒子間の隙間をシロアリが通り抜けられない大きさの粒子材を使用する。これに防蟻成分を添加などすれば、物理的防蟻効果と化学的防蟻効果との双方を有する防蟻粒子にできる。また、化学的な防蟻効果を有す粒子としては、防蟻成分を含有しシロアリの忌避又は殺虫効果を有する粒子材であれば特に限定されることはない。この意味において、化学的防蟻粒子は防蟻剤と称すこともできる。例えば有機リン剤、カーバメイト剤、ピレスロイド系剤、ホウ素化合物、フッ素化合物など周知の防蟻・防虫成分を、粒子状に形成したもの、セラミックスや合成樹脂製の担体に担持させたもの、及びマイクロカプセル化したものなどを使用できる。中でも、セラミックス担体にホウ酸カルシウムやホウ酸亜鉛などの水難溶性ホウ素化合物を付着させたり、セラミックス担体にメタアクリル酸系樹脂やウレタン系樹脂と複合化されたホウ酸ナトリウムなどの水溶性ホウ素化合物を担持させたりした、粒子状の防蟻剤が好適である。これによれば、防蟻成分であるホウ酸の溶出を抑制して長期間防蟻性を維持でき、定期メンテナンスの間隔を長くできる。
【0020】
防蟻部材20としては、防蟻粒子10を敷き詰めた際、これの型崩れを防止できる程度の強度を有するものであれば特に限定されることはなく、例えば木材、合成樹脂、金属、発泡材による断熱材などによって、図1に示すような角材や図2に示すようなL字状の部材を使用することができる。防蟻部材20は、底壁1aに接着したり、図2に示すように釘21などで固定してもよい。L字上の防蟻部材20を使用する場合は、コンクリート釘を使用することが好ましい。また、防蟻部材20も防蟻効果を有することが好ましく、その場合は、防蟻部材20に各種の防蟻液などを塗布または含浸させるなどしておけばよい。木材製の防蟻部材を使用する場合は、例えばジデシルジメチルアンモニウム塩やラウリルイソキノリニウム塩などの第4級アンモニウム塩などのような、防腐効果も兼ね備えた防蟻成分を使用することが好ましい。
【0021】
これにより、クラックの発生し易いベタ基礎1の底壁1aと立壁1bとの角部にクラックが発生したとしても、物理的防蟻粒子10であれば当該クラックを伝って昇ってきたシロアリは防蟻粒子10を通り抜けることができないのでシロアリの被害を防止でき、また、化学的防蟻粒子10であれば防蟻粒子10をかじることでシロアリを殺虫でき、シロアリの被害を回避できる。防蟻部材20も防蟻効果を備えていれば、防蟻粒子10の隙間を抜けて防蟻部材20に到達したとしても、この部分でシロアリを退治できるし、基礎際から少し離れた部分にクラックが発生しても、当該クラックの上端を防蟻部材20が塞いでいるので、シロアリの侵入は防止される。
【0022】
図3及び図4は基礎際の防蟻方法の第2実施形態を示しており、防蟻成分を含有する接着剤11(以下、防蟻接着剤11と称す)により防蟻部材20をベタ基礎1に接着している。すなわち、本第2実施形態は、先の第1実施形態における防蟻粒子10を廃した形態である。ベタ基礎1と防蟻部材20との接着面は、図3に示すように立壁1bとすることに限らず、底壁1aで接着してもよく、底壁1a及び立壁1bの双方で接着することが最も好ましい。または、図4に示すように、防蟻接着剤11で接着したうえで、釘21で固定することもできる。
【0023】
防蟻接着剤11としては、周知のものを使用することができ、例えば上記周知の防蟻成分を、アクリル系、ウレタン系、エポキシ系、クロロプレン系、シリコーン系、シアノアクリレート系、オレフィン系など各種の接着剤に添加することで得られる。
【0024】
これによれば、防蟻粒子10を敷き詰める手間が省けるので施工が楽にでき、その後のメンテナンスも容易になる。シロアリは盲目的に直進して、障害物に衝突すると進行方向を変更するという性質を持つ。したがって、基礎際にクラックが発生してシロアリが昇ってきても、クラックの上端に防蟻部材20を配していることでこれに衝突して引き返す。また、防蟻接着剤11を使用していることでシロアリの殺虫・忌避効果もあり、防蟻部材20に防蟻液を塗布などしておけば、さらにその効果は大である。以って、シロアリの侵入を確実に防止することができる。
【0025】
なお、図示していないが、ベタ基礎1の外表面に防蟻成分を含有させた断熱材を配したり、ベタ基礎1と捨てコンクリート3との間、若しくは基礎支持部2と捨てコンクリート3との間に防蟻シートを敷設したりしておけば、防蟻性をより高めることができる。
【0026】
図5は、建築物の基礎として布基礎9を適用した場合の防蟻方法を示している。布基礎9は、複数の逆T字状に形成したコンクリートによって建築物を支えるものである点でベタ基礎1と異なるが、捨てコンクリート3を介して基礎支持部2に載置固定されている点や基礎内に鉄筋が配されている点などの基本的構成はベタ基礎1と同様である。この場合は、図5に示すごとく布基礎9で囲まれた土間は地面Gが剥き出し状態になっているので、基礎際を含む土間全体に亘って防蟻粒子10を敷き詰めておく必要がある。
【0027】
[水抜孔の防蟻処理]
次に、図6及び図7に示すベタ基礎1に穿設した水抜孔4の防蟻方法について説明する。建築物の基礎としてベタ基礎1を適用した場合は、床下部分が全面的にコンクリートで覆われているので水分が地中Gへ染み込むことができないことから、床下に水分が溜まらないよう、ベタ基礎1にこれを内外に貫通する複数個の水抜孔4を所定間隔で穿設することが必須となる。しかし、そのままでは当該水抜孔4からシロアリが侵入してくるので、ここに防蟻処理を施すことによって、確実な防蟻を図っている。
【0028】
図6は、ベタ基礎1の底壁1aに垂直に穿設した水抜孔4に対する防蟻処理を示しており、各水抜孔4に対して防蟻粒子10を充填している。上述のように、防蟻粒子10の粒径は特に限定されることはないが、物理的防蟻粒子10であれば、シロアリの侵入路を塞ぐ観点から防蟻粒子10間の隙間をシロアリが通ることができない程度とするために、比較的小さな粒径の防蟻粒子10を使用することが好ましい。これによれば、シロアリの侵入路を塞ぐことができる一方、床下に溜まった水分は防蟻粒子10間の隙間を通して地中へ排水できる。また、シロアリの忌避効果を有する化学的防蟻粒子10であれば、比較的粒径の大きなものを使用することもできる。比較的粒径の大きな防蟻粒子10を使用することによって、その防蟻粒子10間の隙間がシロアリが侵入し得る間隔となっても、その忌避効果によってシロアリの侵入を防ぐことができる。この場合は、床下の水分の排水効果が向上する点で有意である。
【0029】
また、図示していないが、水抜孔4に充填する防蟻材としては、防蟻成分を含有する発泡体(以下、防蟻発泡体12と称す)を使用することもできる。防蟻発泡体12としては、防蟻若しくは防虫効果を有する発泡体であれば特に限定されることはなく、一般的にはウレタンフォームやメラミンフォームなど、各種の合成樹脂に発泡剤を混合した発泡体に、上記の公知の防蟻剤を表面に付着又は内部に分散させたものが挙げられる。防虫剤としては、2−(4−エトキシフェニル)−2−メチルプロピル−3−フェノキシベンジルエーテル、α−シペルメトリン、ビフェントリン、0,0−ジメチル−0−3,5,6,−トリクロ−2−ピリジルホスホロチオエートなどが挙げられる。
【0030】
水抜孔4に充填する防蟻材として防蟻発泡材を使用する場合は、予め水抜孔4の形状に合わせて成形固化させた状態で充填してもよいし、液状の状態で缶容器に封入し、該缶容器からスプレーして充填させた後、固化させてもよい。水抜孔4の形状への適応性と作業性が高いなどの点から、後者が好適である。後者の場合は、水抜孔4の開口面上方へ盛り上がる程度の充分な量の液状防蟻発泡材をスプレー充填し、十分に固化したところで、上方に盛り上がった部分をカッターなどで切り取ることで、防蟻発泡体12を水抜孔4へ密に充填できる。
【0031】
防蟻発泡体12を水抜孔4に充填した場合は、シロアリの侵入路を確実に塞ぐことができる一方、床下の水分は防蟻発泡体12に浸透して排水されるので、排水性も確保できる。なお、水抜孔4への防蟻処理と併用して、基礎際の防蟻処理も施すことが必要である。水抜孔4が基礎際から近い位置に穿設されている場合は、図6によく示されるように、図3に示す防蟻処理、すなわち基礎際に防蟻部材20を接着することが好適である。これは、図4に示す防蟻処理でも同様である。一方、水抜孔4が基礎際からある程度離れた位置に穿設されている場合は、図1又は図2に示す防蟻処理、すなわち、基礎際と防蟻部材20との間に防蟻材10を敷き詰める態様も適用できる。
【0032】
図7は、ベタ基礎1の立壁1bへ水平方向に穿設した水抜孔4に対する防蟻処理を示しており、水抜孔の開口面を、シロアリが通過できない目開き、例えば目開き2mm以下の網部材22で被覆している。網部材22の素材は特に限定されることはなく、金網や合成樹脂製の網などを使用できるが、例えばステンレスなどシロアリの食害を受けないような素材を選択することが好ましい。この網部材22は、水抜孔4の開口面周辺に塗布した防蟻接着剤11によって接着されている。このとき、網部材22にも防蟻剤を塗布しておくと、より防蟻性を高めることができる。以って、水抜孔4からのシロアリの侵入を防ぎながら、床下の水を排水できる。
【0033】
[巾止め金具の防蟻処理]
ベタ基礎1の立壁1bを打設する際に使用した巾止め金具5の防蟻処理を図8に示す。ベタ基礎1の立壁1bは、ベタ基礎1の底壁1aを打設したあと、所定位置に2枚の木枠板を対向状に配設し、この木枠板で囲まれた空間にコンクリートを流し込んで形成される。このとき、対向する各木枠板が倒れてコンクリートの崩壊を防ぐために、対向する木枠板同士の下面に巾止め金具5を配して固定している。コンクリートが完全に硬化して立壁1bが打設されると、各木枠板は取り外すことができるが、巾止め金具5は立壁1bの下面に埋没しているので、取り外すことは不可能である。具体的には、巾止め金具は横長平板状の平板部5aと、該平板部5aの左右側端から垂直に立設する立設片5bとからなる上向きコ字状を呈しており、立壁1bを打設した際は、図8(A)に示すように立壁1bの表面から平板部5aの左右側方一定量と立設片5bとが露出した状態となっている。
【0034】
この巾止め金具5の防蟻処理としては、図8(A)に示す状態から、立設片5bを切除し(図8(B))、図8(C)に示すように平板部5aの露出部周辺に防蟻接着剤11を塗布している。これによって、巾止め金具5周辺にクラックが発生することを防いで、シロアリの侵入を防止できる。このとき、図8(C)の二点鎖線で示すように、巾止め金具5の上方に防蟻部材20を載置することになるが、防蟻接着剤11を塗布していることによってベタ基礎1の底壁1aと防蟻部材20との間に形成される巾止め金具5の厚みぶんの隙間を埋めることができ、防蟻効果を高められる。巾止め金具5の上方からの防蟻処理は、図1,2,3に示す防蟻処理でも構わないことはいうまでもない。
【0035】
[配管の防蟻処理]
次に、各種ケーブルを束ねた配管や、水道管、ガス管などの各種の配管6に対する防蟻処理について説明する。このような配管6は、所定の外部供給源から建築物内部まで通されるが、ベタ基礎1の場合、必ずベタ基礎1のコンクリートを貫通して内部へ導入されることとなる。例えば、図9に示すように、建築物近傍まで地中を通された配管6を、そこから地上に立ち上げ、ベタ基礎1の立壁1bに貫通状に穿設された配管孔7を介して建築物内部に通されている。このような場合、配管6と配管孔7との間には若干の隙間が生じてシロアリの侵入を許す原因となるので、これを防ぐために該配管6と配管孔7との間に防蟻発泡体12を充填している。このときの防蟻発泡体12は、缶容器に封入された液体防蟻発泡体12を使用する。そして、缶容器の排出ノズルに専用ストローを連結したうえで該ストローを配管孔7の奥方に挿入し、配管6と配管孔7との隙間全体に亘って防蟻発泡材12を充填するようにする。
【0036】
また、シロアリが配管6を伝ってくることを防止するため、図9,12,及び13に示すように、配管6の立ち上がり部にも防蟻処理を施すことが好ましい。特に、布基礎9の土間から配管6が立ち上がっている場合は、この処理は必須である。配管6が地面Gから立ち上がっている場合は、シロアリの移動経路であること及び外観からの意匠性などを考慮して、図9に示すように地表近傍の地中側において防蟻処理することが好ましい。なお、図9における配管6の斜線で囲まれた部分が、その防蟻処理を施す部分として示されている。防蟻処理としては、図10に示すごとく配管6表面に防蟻効果を有するテープ(以下、防蟻テープ13と称す)を巻着したり、配管6の外周面に断熱材層6aが形成された内外二層構造の保温配管であれば、図11に示すごとく表層側の断熱材層6aの一部を切削してそこに防蟻粒子10や防蟻発泡体12を充填することができる。
【0037】
防蟻テープ13を巻着する場合は、先ず、配管6周りの地面Gを地表から所定寸法掘削し(図10(A))、地表近傍の地中域において配管6の表面に防蟻接着剤11を塗布する(図10(B))。次いで、防蟻接着剤11の塗布面に防蟻テープ13を巻着してから(図10(C))、地面Gの掘削穴を埋める(図10(D))ことで防蟻処理ができる。
【0038】
防蟻テープ13は、ポリエチレンやポリプロピレンなどの合成樹脂を、押出し成形など周知の方法でテープ状に成形し、これに上記公知の防蟻成分を添加または塗布して得られる。防蟻テープ13の巻着形態としては、少なくとも配管6の表面全周に亘って配されていればよく、1回巻きでもよいし、複数回巻きでもよい。巻着する上下幅は、確実な防蟻効果とコスト面とを考慮すると、5〜50mm程度であればよい。
【0039】
配管6が保温配管の場合に好適な防蟻処理を図11に示す。先ず、配管6周りの地面Gを地表から所定寸法掘削し(図11(A))、地表近傍の地中域において断熱材層6aを上下所定寸法周回状に切欠く(図11(B))。次いで、当該切欠部に防蟻粒子10を詰めて接着固定、若しくは防蟻発泡体12を充填(図11(C))した後、地面Gの掘削穴を埋める(図11(D))ことで防蟻処理ができる。防蟻粒子10または防蟻発泡体12を充填する上下幅も、確実な防蟻効果とコスト面とを考慮すると、5〜50mm程度であればよい。
【0040】
配管6がベタ基礎1の底壁1aから立ち上がっている場合は、図12に示すごとく底壁1aの表面近傍に防蟻処理を施せばよい。また、この場合は、図13に示すごとく、配管6自体への防蟻処理に代えて、図1または図2に示すような配管6周りに防蟻粒子10を敷き詰めておいてもよい。因みに、配管6の立ち上がり箇所とベタ基礎1の立壁1bとの距離が短いときは、基礎際と配管6周りとを含めて防蟻部材20で囲み、その中に防蟻粒子10を敷き詰めると効率的である。
【0041】
[玄関及びポーチの基礎、並びに框下の防蟻処理]
建築物の玄関30及びポーチ部分の基礎際にも防蟻処理を施すことで、シロアリの侵入を確実に防止できる。図14に、玄関30の基礎際及び框下の防蟻処理を示す。玄関30やポーチの基礎際の防蟻処理は、上記建築物の基礎際の防蟻処理と同様であって、図1ないし図4に示す防蟻処理を施せばよい。諸条件も上記基礎際の防蟻処理と同様である。框31下の防蟻処理は、ベタ基礎1の立壁1bと玄関30の床面裏コンクリート32との角部に、防蟻部材20を防蟻接着剤11で接着している。これは、ポーチ側も同様である。防蟻部材20としては、角材やL字板を使用できることは基礎際の防蟻処理と同様である。また、この防蟻処理は、布基礎9に対しても同様に適用できる。
【0042】
[その他の防蟻処理]
建築物の土間外ステップ33には、図15に示すような防蟻処理を施すことができる。具体的には、ステップ33を形成する基礎コンクリート34の裏面とベタ基礎1の立壁1bの外面との角部に、防蟻部材20を接着している。このとき、防蟻部材20は、基礎コンクリート34の下面に敷設される基礎支持部2に埋設された状態となっている。
【0043】
また、建築物を建築する際、土間にコンクリートブロック35を配すこともある。このコンクリートブロック35は、短手方向に貫通する貫通孔36が長手方向に並列して設けられた一般的なコンクリートブロック35であり、これの防蟻処理としては、図16に示すように、各貫通孔36に防蟻材を充填している。各貫通孔36に充填する防蟻材としては、防蟻粒子10や防蟻発泡体12を使用することができる。防蟻粒子10を使用する場合は、接着剤で固定しておくことが好ましい。
【0044】
[防蟻シシステム]
以上に、建築物の各部分での防蟻処理を個別に説明したが、これらを纏めて使用することで完成度の高い建築物の総合的な下記の防蟻システムを構築することができる。
(ア)建築物のベタ基礎1の水抜孔4に対しては、図6または図7に示して説明した上記防蟻方法を適用する。すなわち水抜孔4に対して防蟻粒子10または防蟻発泡体12を充填する、若しくは水抜孔4の開口にシロアリが通過できない目開きの網部材22を防蟻接着剤11で接着被覆する。
(イ)建築物のベタ基礎1の立壁1bの巾止め金具5に対しては、図8に示して説明した上記防蟻方法を適用する。すなわち、ベタ基礎1の立壁1bから外方に突出している巾止め金具5の平板部5aの周縁に防蟻接着剤11を塗布し、その上に防蟻部材10を載置する。
(ウ)配管6に対しては、図9〜図13に示して説明した上記防蟻方法を適用する。すなわち、配管6が地面G又はベタ基礎1の底壁1aから立設している場合は、配管6の地表又は底面近傍において、防蟻テープ13を防蟻接着剤11で巻着する。配管6が二層構造の保温配管であれば、断熱材層6aを上下所定寸法切除し、当該切除部分に防蟻粒子10や防蟻発泡体12を充填することもできる。配管6がベタ基礎1の底壁1aから立設している場合には、基礎1の底壁1a(床面)上に、少なくとも配管6を囲むように防蟻部材20を組んで、この防蟻部材20で囲まれた空間に防蟻粒子10を敷き詰めると効果的である。ベタ基礎1や布基礎9に穿設された配管孔7を貫通する配管6部分には、配管6と配管孔7との隙間に防蟻発泡体12を充填する。
(エ)基礎際に対しては、図1〜図4に示して説明した上記防蟻方法を適用する。すなわち、縦壁1bから所定寸法離間した位置に角材状又はL字板の防蟻部材20を配置し、当該防蟻部材20と縦壁1bとの間の基礎際に防蟻粒子10を敷き詰める。若しくは、基礎際に角材状又はL字板の防蟻部材20を防蟻接着剤11で接着する。
(オ)玄関30、勝手口、ポーチの基礎、および框下に対しては、図14に示して説明した上記防蟻方法を適用する。すなわち、玄関土間、勝手口土間、ポーチ土間の床面裏コンクリート32とベタ基礎1又は布基礎9の立壁1bとの角部に、それぞれ防蟻部材10を防蟻接着剤11で接着する。
(カ)建築物の土間外ステップ33に対しては、図15に示して説明した上記防蟻方法を適用する。すなわち、ステップ33を形成する基礎コンクリート34の裏面とベタ基礎1又は布基礎9の立壁1bの外面との角部に、防蟻部材10防蟻接着剤11で接着する。
(キ)土間に配されたコンクリートブロック35の貫通孔36に対しては、図16に示して説明した防蟻方法を適用する。すなわち、コンクリートブロック35の貫通孔36に、防蟻粒子10又は防蟻発泡体12を充填する。
そして、建築物によっては上記(ア)〜(キ)の各箇所全てを備えていないものもあろうが、少なくとも(ア)〜(キ)のうち、これらを含む各箇所全てにおいて、それぞれに対応する防蟻方法を適用することで、総合的な防蟻システムを構築できる。
【0045】
この防蟻システムにおける上記各要素(ア)〜(キ)は、建築物を建築する際に順次施工される順に従ってそれぞれに対応する防蟻処理を施せばよい。すなわち、上記(ア)、(イ)、(ウ)、(エ)、(オ)、(カ)、(キ)に示す防蟻方法を、これらを含む箇所全てに、この記載順に建築物に適用することで構築できる。
【符号の説明】
【0046】
1 ベタ基礎
2 基礎支持部
3 捨てコンクリート
4 水抜孔
5 巾止め金具
6 配管
7 配管孔
9 布基礎
10 防蟻粒子
11 防蟻接着剤
12 防蟻発泡体
13 防蟻テープ
20 防蟻部材
22 網部材
30 玄関
31 框
32 床面裏コンクリート
33 ステップ
35 コンクリートブロック
36 貫通孔
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物における各箇所にシロアリ対策を施す防蟻方法と、これらを使用した建築物の総合的な防蟻システムに関する。
【背景技術】
【0002】
建築物を建築する際、床下の土間部分を中心として種々の防蟻処理が施されている。特に、近年では土台部分全体に亘ってコンクリートを敷き詰めたベタ基礎を使用した建築物が増加しており、当該ベタ基礎にはこれに合わせた特有の防蟻方法が必要となる。例えば基礎の底壁と立壁との角部、すなわち基礎際部分の防蟻方法としては、例えば特許文献1や特許文献2がある。特許文献1に記載の防蟻方法は、建築物の基礎で囲まれた土間に防蟻性能を有するシート状の防蟻材を敷設しており、基礎際に粒子状の防蟻材を所定厚みで敷き詰めている。特許文献2に記載の防蟻方法は、建築物の基礎際にシート状の防蟻材を接着している。
【0003】
配管が基礎を貫通して配されている場合の防蟻方法としては、例えば特許文献3がある。具体的には、基礎に穿設された配管孔とこれに貫通する配管との隙間に、粘弾性を有する防蟻材を充填している。また、ベタ基礎の底壁の裏面に、これの全体を覆うシート状の防蟻材を敷設する防蟻方法が特許文献4に開示されている。なお、ここでの防蟻材とは、その形状を問わず物理的又は化学的若しくはその双方によって、シロアリの侵入防止や駆除などを可能とするものの総称であり、防蟻剤も含む概念である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−155202号公報
【特許文献2】特開2003−201744号公報
【特許文献3】特開2004−232454号公報
【特許文献4】特開2001−40791号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の防蟻方法によれば、基礎際に粒子状の防蟻材を使用することによって、外的環境や経時変化によって防蟻効果が得られなくなることを阻止し、長期間防蟻効果を維持することを可能としている。しかし、粒子状の防蟻材を所定厚みで敷き詰めるには、これが型崩れしないように溝を掘ったり、型枠を配置する必要があり手間がかる。これに対して特許文献2の防蟻方法によれば、このような手間を必要としないので防蟻処理の負担を軽減できるが、単に基礎際にシート状の防蟻材を配しているだけなので、経時的劣化などに対するメンテナンスの頻繁が多くなる。特許文献3の防蟻方法によれば、配管の隙間からシロアリが侵入することを確実に防止できるが、強度的に他の部分よりも弱くなる隙間近傍にクラックが発生した場合にまでは対処できていないし、布基礎の土間には好適でない。
【0006】
また、従来においては特許文献1乃至4のように基礎の主要部分に対しては種々の防蟻方法が提案されているが、例えば基礎の水抜孔や立壁形成用の型枠巾止め金具など、細かな部分に対する防蟻方法はなかった。さらに、従来は建築物の床下部分に着目したものばかりであり、例えば勝手口、玄関、ポーチ、屋外ステップなど、床下以外の箇所に対する防蟻方法は提案されていなかった。
【0007】
そこで、本願発明の目的は、施工に手間がかからず且つ長期間メンテナンスが不要な防蟻方法を提供することにある。本願発明の目的は、いままであまり着目されることのなかった箇所に対する新規な防蟻方法を提供することにある。本願発明の目的は、トータル的にみて完成度の高い建築物の防蟻システムを提供することある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本願発明は以下の手段をとる。
(1)建築物の基礎際の防蟻方法であって、前記基礎における底壁と立壁との角部に、防蟻成分を含有する接着剤により防蟻部材を接着していることを特徴とする防蟻方法。防蟻部材とは、物理的にシロアリの侵入を防ぎ、ある程度の長さや大きさを有する形状に形成された板材や角材などの部材を意味する。
(2)建築物の基礎際の防蟻方法であって、前記基礎における底壁と立壁との角部に、防蟻効果を有する防蟻部材を接着していることを特徴とする防蟻方法。
(3)建築物の基礎際の防蟻方法であって、前記基礎における底壁と立壁との角部に、防蟻成分を含有する接着剤により防蟻効果を有する防蟻部材を接着していることを特徴とする防蟻方法。
(4)建築物の基礎の防蟻方法であって、前記基礎に穿設された水抜孔に、粒子状または発泡体状の防蟻材を充填していることを特徴とする防蟻方法。
(5)建築物の基礎の防蟻方法であって、前記基礎に穿設された水抜孔の開口面を、防蟻成分を含有する接着剤によりシロアリが通過できない目開きの網部材を被覆していることを特徴とする防蟻方法。
(6)建築物の基礎際の防蟻方法であって、建築物の基礎における立壁を打設する際に使用する型枠を固定する巾止め金具の側端立設片を切断し、前記基礎の立壁から外方に突出している巾止め金具の平板部の周縁に、防蟻成分を含有する接着剤を塗布することを特徴とする防蟻方法。
(7)前記巾止め金具の平板部の周縁を接着した上から、(1)乃至(3)の防蟻処理を施す(6)に記載の防蟻方法。
(8)地面又は基礎底壁から立設している配管の防蟻方法であって、前記配管の地表又は底面近傍に防蟻処理を施していることを特徴とする防蟻方法。
(9)前記配管が、配管の周囲が断熱材で被覆された内外二層構造の保温配管であり、地表又は底面近傍において前記保温配管の断熱材を上下所定寸法切除し、当該切除部分に粒子状または発泡体状の防蟻材を充填している(8)に記載の防蟻方法。
(10)地表又は底面近傍に、防蟻効果を有するテープを巻着している(8)に記載の防蟻方法。これは、非保温配管と保温配管とを問わず適用できる。
(11)前記テープは、防蟻成分を含有する接着剤により巻着されている(10)に記載の防蟻方法。
(12)建築物の基礎に穿設された配管孔を貫通する配管の防蟻方法であって、前記基礎の配管孔と前記配管との隙間に発泡体状の防蟻材を充填し、且つ、前記基礎の床面上に、少なくとも前記配管を囲むように粒子状の防蟻材を敷き詰めていることを特徴とする防蟻方法。
(13)建築物の玄関、勝手口、ポーチの防蟻方法であって、玄関土間、勝手口土間、ポーチ土間の床面裏コンクリートと前記基礎の立壁との角部に、それぞれ防蟻部材を接着していることを特徴とする防蟻方法。
(14)前記接着剤が、防蟻成分を含有している(13)に記載の防蟻方法。
(15)前記防蟻部材が、防蟻効果を有する(13)又は(14)に記載の防蟻方法。
(16)建築物の土間外ステップの防蟻方法であって、ステップを形成する基礎コンクリートの裏面と建築物の基礎の立壁の外面との角部に、防蟻部材を接着していることを特徴とする防蟻方法。
(17)前記接着剤が、防蟻成分を含有している(16)に記載の防蟻方法。
(18)前記防蟻部材が、防蟻効果を有する(16)又は(17)に記載の防蟻方法。
(19)玄関框の下部に配されたコンクリートブロックの孔に、粒子状または発泡体状の防蟻材を充填することを特徴とする防蟻方法。
(20)建築物の総合的な防蟻システムであって、
(ア)建築物の基礎の水抜孔に(4)又は(5)に記載の防蟻方法
(イ)建築物の基礎の立壁の巾止め金具に対して(6)又は(7)に記載の防蟻方法
(ウ)配管に対して(8)乃至(12)のいずれかに記載の防蟻方法
(エ)建築物の基礎際に(1)乃至(3)のいずれかに記載の防蟻方法、または粒子状の防蟻材を敷き詰める防蟻方法
(オ)玄関、勝手口及び/又はポーチの基礎に対して(13)乃至(15)のいずれかに記載の防蟻方法
(カ)建築物の土間外ステップに対して(16)乃至(18)のいずれかに記載の防蟻方法
(キ)玄関框の下部に配されたコンクリートブロックの孔に、(19)に記載の防蟻方法
上記(ア)〜(キ)の各箇所のうち、これらを含む各箇所全てに、それぞれに対応する防蟻方法を適用する防蟻システム。
(21)前記(ア)、(イ)、(ウ)、(エ)、(オ)、(カ)、(キ)に示す防蟻方法を、これらを含む箇所全てに、これの順に建築物に適用する(20)に記載の防蟻システム。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る基礎際の防蟻方法は、防蟻部材を接着するだけでよいので施工が容易である。これによって、基礎際にクラックが発生してそこからシロアリが這い上がってきたとしても、シロアリは防蟻部材に衝突することで引き返しその侵入を防ぐことができる。このとき、接着剤又は防蟻部材、若しくはその双方が防蟻効果を有していれば、基礎と防蟻部材との間に若干の隙間ができたとしても、シロアリが忌避してその侵入を防ぐことができ、メンテナンス間隔を長くすることができる。特に接着剤に防蟻成分を含有させておけば、防蟻成分の揮発が抑えられるので、メンテナンス面において有利である。
【0010】
基礎の水抜孔に粒子状または発泡体状の防蟻材を充填したり、水抜孔の開口面にシロアリが通過できない目開きの網部材を被覆することによって防蟻処理を施していれば、水抜孔からのシロアリの侵入も防ぐことができる。
【0011】
基礎の立壁を打設する際に使用する型枠を固定する巾止め金具周縁に、防蟻成分を含有する接着剤を塗布しておけば、巾止め金具と防蟻部材との間に生じ得る隙間を塞ぐことができ、シロアリの侵入路を遮断することができる。
【0012】
配管の土間底面近傍域に防蟻処理を施していることによって、配管を伝ってくるシロアリの侵入を防ぐことができる。このとき、内外二層構造の保温配管の断熱材を上下所定寸法切除して当該切除部分に粒子状または発泡体状の防蟻材を充填していれば、例えばシロアリの食害を受け得る素材の断熱材を使用してもそれ以上の食害を防ぎ、以ってシロアリの侵入を阻止できる。また、非保温配管にテープを巻着構成とすれば、その施工が容易である。
【0013】
基礎の配管孔と配管との隙間に発泡体状の防蟻材を充填し、且つ、前記基礎の床面上に、少なくとも前記配管を囲むように粒子状の防蟻材を敷き詰めていれば、配管孔と配管との隙間からのシロアリの侵入を防ぐことができることに加え、配管孔近傍にクラックが発生したとしても、防蟻剤を敷き詰めてあるので当該クラックからシロアリが侵入することをも防止できる。
【0014】
建築物の玄関、勝手口、ポーチ、土間外ステップ、及びコンクリートブロックに防蟻処理を施していれば、床下土間部分以外からのシロアリの侵入を防止し、総合的に完成度の高い建築物の防蟻システムを構築することができる。この場合でも、最もクラックが発生し易くシロアリの侵入確立の高い基礎際においての防蟻処理に留めているので、大掛かりな施工をする必要なく、コストを低廉にできる。また、防蟻効果を有する防蟻部材や防蟻成分を含有する接着剤を使用するだけなので、確実な防蟻効果を担保しながら施工も容易である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】基礎際の防蟻方法の第1実施形態を示す要部拡大図である。
【図2】基礎際の防蟻方法の第1実施形態の変形例を示す要部拡大図である。
【図3】基礎際の防蟻方法の第2実施形態を示す要部拡大図である。
【図4】基礎際の防蟻方法の第2実施形態の変形例を示す要部拡大図である。
【図5】布基礎における土間の防蟻方法を示す断面図である。
【図6】基礎に穿設された水抜孔の防蟻方法の一例を示す要部拡大図である。
【図7】基礎に穿設された水抜孔の防蟻方法のその他の例を示す要部拡大図である。
【図8】巾止め金具の防蟻方法を示す要部拡大図である。
【図9】配管の防蟻方法を示す要部拡大図である。
【図10】配管の立ち上がり部の防蟻方法の一例を示す断面図である。
【図11】配管の立ち上がり部の防蟻方法のその他の例を示す断面図である。
【図12】配管に防蟻方法を適用した断面図である。
【図13】配管の立ち上がり部の防蟻方法のさらにその他の例を示す断面図である。
【図14】玄関の防蟻方法を示す断面図である。
【図15】土間外ステップの防蟻方法を示す断面図である。
【図16】コンクリートブロックの防蟻方法を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明に係る防蟻方法の実施の形態を図面を参照しながら説明する。図1乃至図4は、ベタ基礎における基礎際の防蟻方法を示している。図5は、布基礎における土間の防蟻方法を示している。図6及び図7は、基礎に穿設された水抜孔の防蟻方法を示している。図8は、基礎の立壁を形成する際の型枠を支持する巾止め金具の防蟻方法を示している。図9乃至図13は、配管の防蟻方法を示している。図14は、玄関や勝手口、及びポーチの防蟻方法を示している。図15は、土間外ステップの防蟻方法を示している。図16は、コンクリートブロックの防蟻方法を示している。
【0017】
[基礎際の防蟻処理]
まず、図1乃至図5に示す基礎際の防蟻方法について説明する。ベタ基礎1は、建築物の床下全体にコンクリートを形成した基礎であって、床下の全体に亘って形成される床壁1aと該床壁1aから立設する立壁1bとからなり、立壁1bは床壁1aの少なくとも外周全体を囲むように形成されており、これが建築物基礎の外壁となる。これに加えて、床壁1aの内部側にも適宜立壁1bが形成されている。なお、図示しないが、ベタ基礎1には、これの強度を高めるための鉄筋がベタ基礎1の構造形状に即して複数本配設されている。図1などに示すように、ベタ基礎1は破石や目潰し砂利を用いて固められた基礎支持部2上に捨てコンクリート3を介して載置固定されており、基礎1の床壁1aがほぼ地面G中に埋没した状態となっている。
【0018】
そのうえで、ベタ基礎1の底壁1aと立壁1bとの角部、すなわち基礎際に防蟻処理が施されている。当該基礎際は、地震などの振動や地盤の歪みなどによって応力が集中し、基礎の中でもクラックの発生する確立の高い部分であり、このクラックを伝ってシロアリが床下に侵入することの多い部分でもある。図1及び図2は、ベタ基礎1の基礎際の防蟻方法の第1実施形態を示しており、基礎際に沿って粒子状の防蟻材10(以下、防蟻粒子と称す)が敷き詰められている。具体的には、基礎1の立壁1bと所定幅を隔てた位置に、防蟻粒子10の型崩れを防止する防蟻部材20を基礎際に沿って配設し、この立壁1bと防蟻部材20との隙間に防蟻粒子10を敷き詰めている。図1及び図2では、外周側立壁1bの一つの面に防蟻処理を施した例を示しているが、基礎1における全ての基礎際に防蟻粒子10を敷き詰めることはいうまでもない。隣接する防蟻部材20同士は、また釘によって固定しておく。
【0019】
防蟻粒子10としては、物理的又は化学的若しくはその双方での防蟻効果を有する粒子を使用することができる。物理的な防蟻効果を有する粒子としては、そのもの自体には殺虫効果はないが、シロアリが口器で運べず、且つ粒子間の隙間をシロアリが通り抜けられない大きさの粒子材を使用する。これに防蟻成分を添加などすれば、物理的防蟻効果と化学的防蟻効果との双方を有する防蟻粒子にできる。また、化学的な防蟻効果を有す粒子としては、防蟻成分を含有しシロアリの忌避又は殺虫効果を有する粒子材であれば特に限定されることはない。この意味において、化学的防蟻粒子は防蟻剤と称すこともできる。例えば有機リン剤、カーバメイト剤、ピレスロイド系剤、ホウ素化合物、フッ素化合物など周知の防蟻・防虫成分を、粒子状に形成したもの、セラミックスや合成樹脂製の担体に担持させたもの、及びマイクロカプセル化したものなどを使用できる。中でも、セラミックス担体にホウ酸カルシウムやホウ酸亜鉛などの水難溶性ホウ素化合物を付着させたり、セラミックス担体にメタアクリル酸系樹脂やウレタン系樹脂と複合化されたホウ酸ナトリウムなどの水溶性ホウ素化合物を担持させたりした、粒子状の防蟻剤が好適である。これによれば、防蟻成分であるホウ酸の溶出を抑制して長期間防蟻性を維持でき、定期メンテナンスの間隔を長くできる。
【0020】
防蟻部材20としては、防蟻粒子10を敷き詰めた際、これの型崩れを防止できる程度の強度を有するものであれば特に限定されることはなく、例えば木材、合成樹脂、金属、発泡材による断熱材などによって、図1に示すような角材や図2に示すようなL字状の部材を使用することができる。防蟻部材20は、底壁1aに接着したり、図2に示すように釘21などで固定してもよい。L字上の防蟻部材20を使用する場合は、コンクリート釘を使用することが好ましい。また、防蟻部材20も防蟻効果を有することが好ましく、その場合は、防蟻部材20に各種の防蟻液などを塗布または含浸させるなどしておけばよい。木材製の防蟻部材を使用する場合は、例えばジデシルジメチルアンモニウム塩やラウリルイソキノリニウム塩などの第4級アンモニウム塩などのような、防腐効果も兼ね備えた防蟻成分を使用することが好ましい。
【0021】
これにより、クラックの発生し易いベタ基礎1の底壁1aと立壁1bとの角部にクラックが発生したとしても、物理的防蟻粒子10であれば当該クラックを伝って昇ってきたシロアリは防蟻粒子10を通り抜けることができないのでシロアリの被害を防止でき、また、化学的防蟻粒子10であれば防蟻粒子10をかじることでシロアリを殺虫でき、シロアリの被害を回避できる。防蟻部材20も防蟻効果を備えていれば、防蟻粒子10の隙間を抜けて防蟻部材20に到達したとしても、この部分でシロアリを退治できるし、基礎際から少し離れた部分にクラックが発生しても、当該クラックの上端を防蟻部材20が塞いでいるので、シロアリの侵入は防止される。
【0022】
図3及び図4は基礎際の防蟻方法の第2実施形態を示しており、防蟻成分を含有する接着剤11(以下、防蟻接着剤11と称す)により防蟻部材20をベタ基礎1に接着している。すなわち、本第2実施形態は、先の第1実施形態における防蟻粒子10を廃した形態である。ベタ基礎1と防蟻部材20との接着面は、図3に示すように立壁1bとすることに限らず、底壁1aで接着してもよく、底壁1a及び立壁1bの双方で接着することが最も好ましい。または、図4に示すように、防蟻接着剤11で接着したうえで、釘21で固定することもできる。
【0023】
防蟻接着剤11としては、周知のものを使用することができ、例えば上記周知の防蟻成分を、アクリル系、ウレタン系、エポキシ系、クロロプレン系、シリコーン系、シアノアクリレート系、オレフィン系など各種の接着剤に添加することで得られる。
【0024】
これによれば、防蟻粒子10を敷き詰める手間が省けるので施工が楽にでき、その後のメンテナンスも容易になる。シロアリは盲目的に直進して、障害物に衝突すると進行方向を変更するという性質を持つ。したがって、基礎際にクラックが発生してシロアリが昇ってきても、クラックの上端に防蟻部材20を配していることでこれに衝突して引き返す。また、防蟻接着剤11を使用していることでシロアリの殺虫・忌避効果もあり、防蟻部材20に防蟻液を塗布などしておけば、さらにその効果は大である。以って、シロアリの侵入を確実に防止することができる。
【0025】
なお、図示していないが、ベタ基礎1の外表面に防蟻成分を含有させた断熱材を配したり、ベタ基礎1と捨てコンクリート3との間、若しくは基礎支持部2と捨てコンクリート3との間に防蟻シートを敷設したりしておけば、防蟻性をより高めることができる。
【0026】
図5は、建築物の基礎として布基礎9を適用した場合の防蟻方法を示している。布基礎9は、複数の逆T字状に形成したコンクリートによって建築物を支えるものである点でベタ基礎1と異なるが、捨てコンクリート3を介して基礎支持部2に載置固定されている点や基礎内に鉄筋が配されている点などの基本的構成はベタ基礎1と同様である。この場合は、図5に示すごとく布基礎9で囲まれた土間は地面Gが剥き出し状態になっているので、基礎際を含む土間全体に亘って防蟻粒子10を敷き詰めておく必要がある。
【0027】
[水抜孔の防蟻処理]
次に、図6及び図7に示すベタ基礎1に穿設した水抜孔4の防蟻方法について説明する。建築物の基礎としてベタ基礎1を適用した場合は、床下部分が全面的にコンクリートで覆われているので水分が地中Gへ染み込むことができないことから、床下に水分が溜まらないよう、ベタ基礎1にこれを内外に貫通する複数個の水抜孔4を所定間隔で穿設することが必須となる。しかし、そのままでは当該水抜孔4からシロアリが侵入してくるので、ここに防蟻処理を施すことによって、確実な防蟻を図っている。
【0028】
図6は、ベタ基礎1の底壁1aに垂直に穿設した水抜孔4に対する防蟻処理を示しており、各水抜孔4に対して防蟻粒子10を充填している。上述のように、防蟻粒子10の粒径は特に限定されることはないが、物理的防蟻粒子10であれば、シロアリの侵入路を塞ぐ観点から防蟻粒子10間の隙間をシロアリが通ることができない程度とするために、比較的小さな粒径の防蟻粒子10を使用することが好ましい。これによれば、シロアリの侵入路を塞ぐことができる一方、床下に溜まった水分は防蟻粒子10間の隙間を通して地中へ排水できる。また、シロアリの忌避効果を有する化学的防蟻粒子10であれば、比較的粒径の大きなものを使用することもできる。比較的粒径の大きな防蟻粒子10を使用することによって、その防蟻粒子10間の隙間がシロアリが侵入し得る間隔となっても、その忌避効果によってシロアリの侵入を防ぐことができる。この場合は、床下の水分の排水効果が向上する点で有意である。
【0029】
また、図示していないが、水抜孔4に充填する防蟻材としては、防蟻成分を含有する発泡体(以下、防蟻発泡体12と称す)を使用することもできる。防蟻発泡体12としては、防蟻若しくは防虫効果を有する発泡体であれば特に限定されることはなく、一般的にはウレタンフォームやメラミンフォームなど、各種の合成樹脂に発泡剤を混合した発泡体に、上記の公知の防蟻剤を表面に付着又は内部に分散させたものが挙げられる。防虫剤としては、2−(4−エトキシフェニル)−2−メチルプロピル−3−フェノキシベンジルエーテル、α−シペルメトリン、ビフェントリン、0,0−ジメチル−0−3,5,6,−トリクロ−2−ピリジルホスホロチオエートなどが挙げられる。
【0030】
水抜孔4に充填する防蟻材として防蟻発泡材を使用する場合は、予め水抜孔4の形状に合わせて成形固化させた状態で充填してもよいし、液状の状態で缶容器に封入し、該缶容器からスプレーして充填させた後、固化させてもよい。水抜孔4の形状への適応性と作業性が高いなどの点から、後者が好適である。後者の場合は、水抜孔4の開口面上方へ盛り上がる程度の充分な量の液状防蟻発泡材をスプレー充填し、十分に固化したところで、上方に盛り上がった部分をカッターなどで切り取ることで、防蟻発泡体12を水抜孔4へ密に充填できる。
【0031】
防蟻発泡体12を水抜孔4に充填した場合は、シロアリの侵入路を確実に塞ぐことができる一方、床下の水分は防蟻発泡体12に浸透して排水されるので、排水性も確保できる。なお、水抜孔4への防蟻処理と併用して、基礎際の防蟻処理も施すことが必要である。水抜孔4が基礎際から近い位置に穿設されている場合は、図6によく示されるように、図3に示す防蟻処理、すなわち基礎際に防蟻部材20を接着することが好適である。これは、図4に示す防蟻処理でも同様である。一方、水抜孔4が基礎際からある程度離れた位置に穿設されている場合は、図1又は図2に示す防蟻処理、すなわち、基礎際と防蟻部材20との間に防蟻材10を敷き詰める態様も適用できる。
【0032】
図7は、ベタ基礎1の立壁1bへ水平方向に穿設した水抜孔4に対する防蟻処理を示しており、水抜孔の開口面を、シロアリが通過できない目開き、例えば目開き2mm以下の網部材22で被覆している。網部材22の素材は特に限定されることはなく、金網や合成樹脂製の網などを使用できるが、例えばステンレスなどシロアリの食害を受けないような素材を選択することが好ましい。この網部材22は、水抜孔4の開口面周辺に塗布した防蟻接着剤11によって接着されている。このとき、網部材22にも防蟻剤を塗布しておくと、より防蟻性を高めることができる。以って、水抜孔4からのシロアリの侵入を防ぎながら、床下の水を排水できる。
【0033】
[巾止め金具の防蟻処理]
ベタ基礎1の立壁1bを打設する際に使用した巾止め金具5の防蟻処理を図8に示す。ベタ基礎1の立壁1bは、ベタ基礎1の底壁1aを打設したあと、所定位置に2枚の木枠板を対向状に配設し、この木枠板で囲まれた空間にコンクリートを流し込んで形成される。このとき、対向する各木枠板が倒れてコンクリートの崩壊を防ぐために、対向する木枠板同士の下面に巾止め金具5を配して固定している。コンクリートが完全に硬化して立壁1bが打設されると、各木枠板は取り外すことができるが、巾止め金具5は立壁1bの下面に埋没しているので、取り外すことは不可能である。具体的には、巾止め金具は横長平板状の平板部5aと、該平板部5aの左右側端から垂直に立設する立設片5bとからなる上向きコ字状を呈しており、立壁1bを打設した際は、図8(A)に示すように立壁1bの表面から平板部5aの左右側方一定量と立設片5bとが露出した状態となっている。
【0034】
この巾止め金具5の防蟻処理としては、図8(A)に示す状態から、立設片5bを切除し(図8(B))、図8(C)に示すように平板部5aの露出部周辺に防蟻接着剤11を塗布している。これによって、巾止め金具5周辺にクラックが発生することを防いで、シロアリの侵入を防止できる。このとき、図8(C)の二点鎖線で示すように、巾止め金具5の上方に防蟻部材20を載置することになるが、防蟻接着剤11を塗布していることによってベタ基礎1の底壁1aと防蟻部材20との間に形成される巾止め金具5の厚みぶんの隙間を埋めることができ、防蟻効果を高められる。巾止め金具5の上方からの防蟻処理は、図1,2,3に示す防蟻処理でも構わないことはいうまでもない。
【0035】
[配管の防蟻処理]
次に、各種ケーブルを束ねた配管や、水道管、ガス管などの各種の配管6に対する防蟻処理について説明する。このような配管6は、所定の外部供給源から建築物内部まで通されるが、ベタ基礎1の場合、必ずベタ基礎1のコンクリートを貫通して内部へ導入されることとなる。例えば、図9に示すように、建築物近傍まで地中を通された配管6を、そこから地上に立ち上げ、ベタ基礎1の立壁1bに貫通状に穿設された配管孔7を介して建築物内部に通されている。このような場合、配管6と配管孔7との間には若干の隙間が生じてシロアリの侵入を許す原因となるので、これを防ぐために該配管6と配管孔7との間に防蟻発泡体12を充填している。このときの防蟻発泡体12は、缶容器に封入された液体防蟻発泡体12を使用する。そして、缶容器の排出ノズルに専用ストローを連結したうえで該ストローを配管孔7の奥方に挿入し、配管6と配管孔7との隙間全体に亘って防蟻発泡材12を充填するようにする。
【0036】
また、シロアリが配管6を伝ってくることを防止するため、図9,12,及び13に示すように、配管6の立ち上がり部にも防蟻処理を施すことが好ましい。特に、布基礎9の土間から配管6が立ち上がっている場合は、この処理は必須である。配管6が地面Gから立ち上がっている場合は、シロアリの移動経路であること及び外観からの意匠性などを考慮して、図9に示すように地表近傍の地中側において防蟻処理することが好ましい。なお、図9における配管6の斜線で囲まれた部分が、その防蟻処理を施す部分として示されている。防蟻処理としては、図10に示すごとく配管6表面に防蟻効果を有するテープ(以下、防蟻テープ13と称す)を巻着したり、配管6の外周面に断熱材層6aが形成された内外二層構造の保温配管であれば、図11に示すごとく表層側の断熱材層6aの一部を切削してそこに防蟻粒子10や防蟻発泡体12を充填することができる。
【0037】
防蟻テープ13を巻着する場合は、先ず、配管6周りの地面Gを地表から所定寸法掘削し(図10(A))、地表近傍の地中域において配管6の表面に防蟻接着剤11を塗布する(図10(B))。次いで、防蟻接着剤11の塗布面に防蟻テープ13を巻着してから(図10(C))、地面Gの掘削穴を埋める(図10(D))ことで防蟻処理ができる。
【0038】
防蟻テープ13は、ポリエチレンやポリプロピレンなどの合成樹脂を、押出し成形など周知の方法でテープ状に成形し、これに上記公知の防蟻成分を添加または塗布して得られる。防蟻テープ13の巻着形態としては、少なくとも配管6の表面全周に亘って配されていればよく、1回巻きでもよいし、複数回巻きでもよい。巻着する上下幅は、確実な防蟻効果とコスト面とを考慮すると、5〜50mm程度であればよい。
【0039】
配管6が保温配管の場合に好適な防蟻処理を図11に示す。先ず、配管6周りの地面Gを地表から所定寸法掘削し(図11(A))、地表近傍の地中域において断熱材層6aを上下所定寸法周回状に切欠く(図11(B))。次いで、当該切欠部に防蟻粒子10を詰めて接着固定、若しくは防蟻発泡体12を充填(図11(C))した後、地面Gの掘削穴を埋める(図11(D))ことで防蟻処理ができる。防蟻粒子10または防蟻発泡体12を充填する上下幅も、確実な防蟻効果とコスト面とを考慮すると、5〜50mm程度であればよい。
【0040】
配管6がベタ基礎1の底壁1aから立ち上がっている場合は、図12に示すごとく底壁1aの表面近傍に防蟻処理を施せばよい。また、この場合は、図13に示すごとく、配管6自体への防蟻処理に代えて、図1または図2に示すような配管6周りに防蟻粒子10を敷き詰めておいてもよい。因みに、配管6の立ち上がり箇所とベタ基礎1の立壁1bとの距離が短いときは、基礎際と配管6周りとを含めて防蟻部材20で囲み、その中に防蟻粒子10を敷き詰めると効率的である。
【0041】
[玄関及びポーチの基礎、並びに框下の防蟻処理]
建築物の玄関30及びポーチ部分の基礎際にも防蟻処理を施すことで、シロアリの侵入を確実に防止できる。図14に、玄関30の基礎際及び框下の防蟻処理を示す。玄関30やポーチの基礎際の防蟻処理は、上記建築物の基礎際の防蟻処理と同様であって、図1ないし図4に示す防蟻処理を施せばよい。諸条件も上記基礎際の防蟻処理と同様である。框31下の防蟻処理は、ベタ基礎1の立壁1bと玄関30の床面裏コンクリート32との角部に、防蟻部材20を防蟻接着剤11で接着している。これは、ポーチ側も同様である。防蟻部材20としては、角材やL字板を使用できることは基礎際の防蟻処理と同様である。また、この防蟻処理は、布基礎9に対しても同様に適用できる。
【0042】
[その他の防蟻処理]
建築物の土間外ステップ33には、図15に示すような防蟻処理を施すことができる。具体的には、ステップ33を形成する基礎コンクリート34の裏面とベタ基礎1の立壁1bの外面との角部に、防蟻部材20を接着している。このとき、防蟻部材20は、基礎コンクリート34の下面に敷設される基礎支持部2に埋設された状態となっている。
【0043】
また、建築物を建築する際、土間にコンクリートブロック35を配すこともある。このコンクリートブロック35は、短手方向に貫通する貫通孔36が長手方向に並列して設けられた一般的なコンクリートブロック35であり、これの防蟻処理としては、図16に示すように、各貫通孔36に防蟻材を充填している。各貫通孔36に充填する防蟻材としては、防蟻粒子10や防蟻発泡体12を使用することができる。防蟻粒子10を使用する場合は、接着剤で固定しておくことが好ましい。
【0044】
[防蟻シシステム]
以上に、建築物の各部分での防蟻処理を個別に説明したが、これらを纏めて使用することで完成度の高い建築物の総合的な下記の防蟻システムを構築することができる。
(ア)建築物のベタ基礎1の水抜孔4に対しては、図6または図7に示して説明した上記防蟻方法を適用する。すなわち水抜孔4に対して防蟻粒子10または防蟻発泡体12を充填する、若しくは水抜孔4の開口にシロアリが通過できない目開きの網部材22を防蟻接着剤11で接着被覆する。
(イ)建築物のベタ基礎1の立壁1bの巾止め金具5に対しては、図8に示して説明した上記防蟻方法を適用する。すなわち、ベタ基礎1の立壁1bから外方に突出している巾止め金具5の平板部5aの周縁に防蟻接着剤11を塗布し、その上に防蟻部材10を載置する。
(ウ)配管6に対しては、図9〜図13に示して説明した上記防蟻方法を適用する。すなわち、配管6が地面G又はベタ基礎1の底壁1aから立設している場合は、配管6の地表又は底面近傍において、防蟻テープ13を防蟻接着剤11で巻着する。配管6が二層構造の保温配管であれば、断熱材層6aを上下所定寸法切除し、当該切除部分に防蟻粒子10や防蟻発泡体12を充填することもできる。配管6がベタ基礎1の底壁1aから立設している場合には、基礎1の底壁1a(床面)上に、少なくとも配管6を囲むように防蟻部材20を組んで、この防蟻部材20で囲まれた空間に防蟻粒子10を敷き詰めると効果的である。ベタ基礎1や布基礎9に穿設された配管孔7を貫通する配管6部分には、配管6と配管孔7との隙間に防蟻発泡体12を充填する。
(エ)基礎際に対しては、図1〜図4に示して説明した上記防蟻方法を適用する。すなわち、縦壁1bから所定寸法離間した位置に角材状又はL字板の防蟻部材20を配置し、当該防蟻部材20と縦壁1bとの間の基礎際に防蟻粒子10を敷き詰める。若しくは、基礎際に角材状又はL字板の防蟻部材20を防蟻接着剤11で接着する。
(オ)玄関30、勝手口、ポーチの基礎、および框下に対しては、図14に示して説明した上記防蟻方法を適用する。すなわち、玄関土間、勝手口土間、ポーチ土間の床面裏コンクリート32とベタ基礎1又は布基礎9の立壁1bとの角部に、それぞれ防蟻部材10を防蟻接着剤11で接着する。
(カ)建築物の土間外ステップ33に対しては、図15に示して説明した上記防蟻方法を適用する。すなわち、ステップ33を形成する基礎コンクリート34の裏面とベタ基礎1又は布基礎9の立壁1bの外面との角部に、防蟻部材10防蟻接着剤11で接着する。
(キ)土間に配されたコンクリートブロック35の貫通孔36に対しては、図16に示して説明した防蟻方法を適用する。すなわち、コンクリートブロック35の貫通孔36に、防蟻粒子10又は防蟻発泡体12を充填する。
そして、建築物によっては上記(ア)〜(キ)の各箇所全てを備えていないものもあろうが、少なくとも(ア)〜(キ)のうち、これらを含む各箇所全てにおいて、それぞれに対応する防蟻方法を適用することで、総合的な防蟻システムを構築できる。
【0045】
この防蟻システムにおける上記各要素(ア)〜(キ)は、建築物を建築する際に順次施工される順に従ってそれぞれに対応する防蟻処理を施せばよい。すなわち、上記(ア)、(イ)、(ウ)、(エ)、(オ)、(カ)、(キ)に示す防蟻方法を、これらを含む箇所全てに、この記載順に建築物に適用することで構築できる。
【符号の説明】
【0046】
1 ベタ基礎
2 基礎支持部
3 捨てコンクリート
4 水抜孔
5 巾止め金具
6 配管
7 配管孔
9 布基礎
10 防蟻粒子
11 防蟻接着剤
12 防蟻発泡体
13 防蟻テープ
20 防蟻部材
22 網部材
30 玄関
31 框
32 床面裏コンクリート
33 ステップ
35 コンクリートブロック
36 貫通孔
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物の基礎際の防蟻方法であって、
前記基礎における底壁と立壁との角部に、防蟻成分を含有する接着剤により防蟻部材を接着していることを特徴とする防蟻方法。
【請求項2】
建築物の基礎際の防蟻方法であって、
前記基礎における底壁と立壁との角部に、防蟻効果を有する防蟻部材を接着していることを特徴とする防蟻方法。
【請求項3】
建築物の基礎際の防蟻方法であって、
前記基礎における底壁と立壁との角部に、防蟻成分を含有する接着剤により防蟻効果を有する防蟻部材を接着していることを特徴とする防蟻方法。
【請求項4】
建築物の基礎の防蟻方法であって、
前記基礎に穿設された水抜孔に、粒子状また発泡体状の防蟻材を充填していることを特徴とする防蟻方法。
【請求項5】
建築物の基礎の防蟻方法であって、
前記基礎に穿設された水抜孔の開口面を、防蟻成分を含有する接着剤によりシロアリが通過できない目開きの網部材を被覆していることを特徴とする防蟻方法。
【請求項6】
建築物の基礎際の防蟻方法であって、
建築物の基礎における立壁を打設する際に使用する型枠を固定する巾止め金具の側端立設片を切断し、前記基礎の立壁から外方に突出している巾止め金具の平板部の周縁に、防蟻成分を含有する接着剤を塗布することを特徴とする防蟻方法。
【請求項7】
前記巾止め金具の平板部の周縁を接着した上から、請求項1ないし3の防蟻処理を施す請求項6に記載の防蟻方法。
【請求項8】
地面又は基礎底壁から立設している配管の防蟻方法であって、
前記配管の地表又は底面近傍に防蟻処理を施していることを特徴とする防蟻方法。
【請求項9】
前記配管が、配管の周囲が断熱材で被覆された内外二層構造の保温配管であり、
地表又は底面近傍において前記保温配管の断熱材を上下所定寸法切除し、当該切除部分に粒子状または発泡体状の防蟻材を充填している請求項8に記載の防蟻方法。
【請求項10】
地表又は底面近傍に、防蟻効果を有するテープを巻着している請求項8に記載の防蟻方法。
【請求項11】
前記テープは、防蟻成分を含有する接着剤により巻着されている請求項10に記載の防蟻方法。
【請求項12】
建築物の基礎に穿設された配管孔を貫通する配管の防蟻方法であって、
前記基礎の配管孔と前記配管との隙間に発泡体状の防蟻材を充填し、
且つ、前記基礎の床面上に、少なくとも前記配管を囲むように粒子状の防蟻材を敷き詰めていることを特徴とする防蟻方法。
【請求項13】
建築物の玄関、勝手口、ポーチの防蟻方法であって、
玄関土間、勝手口土間、ポーチ土間の床面裏コンクリートと前記基礎の立壁との角部に、それぞれ防蟻部材を接着していることを特徴とする防蟻方法。
【請求項14】
前記接着剤が、防蟻成分を含有している請求項13に記載の防蟻方法。
【請求項15】
前記防蟻部材が、防蟻効果を有する請求項13又は14に記載の防蟻方法。
【請求項16】
建築物の土間外ステップの防蟻方法であって、
ステップを形成する基礎コンクリートの裏面と建築物の基礎の立壁の外面との角部に、防蟻部材を接着していることを特徴とする防蟻方法。
【請求項17】
前記接着剤が、防蟻成分を含有している請求項16記載の防蟻方法。
【請求項18】
前記防蟻部材が、防蟻効果を有する請求項16又は17に記載の防蟻方法。
【請求項19】
建築物の床下土間に配されたコンクリートブロックの貫通孔に、粒子状または発泡体状の防蟻材を充填していることを特徴とする防蟻方法。
【請求項20】
建築物の総合的な防蟻システムであって、
(ア)建築物の基礎の水抜孔に対して請求項4又は5に記載の防蟻方法
(イ)建築物の基礎の立壁の巾止め金具に対して請求項6又は7に記載の防蟻方法
(ウ)配管に対して請求項8乃至12のいずれかに記載の防蟻方法
(エ)建築物の基礎際に対して請求項1乃至3のいずれかに記載の防蟻方法、または粒子状の防蟻材を敷き詰める防蟻方法
(オ)玄関、勝手口、ポーチに対して請求項13乃至15のいずれかに記載の防蟻方法
(カ)建築物の土間外ステップに対して請求項16乃至18のいずれかに記載の防蟻方法
(キ)土間に配されたコンクリートブロックの貫通孔に対して請求項19に記載の防蟻方法
上記(ア)〜(キ)の各箇所のうち、これらを含む各箇所全てに、それぞれに対応する防蟻方法を適用する防蟻システム。
【請求項21】
前記(ア)、(イ)、(ウ)、(エ)、(オ)、(カ)、(キ)に示す防蟻方法を、これらを含む箇所全てに、これの順に建築物に適用する請求項20に記載の防蟻システム。
【請求項1】
建築物の基礎際の防蟻方法であって、
前記基礎における底壁と立壁との角部に、防蟻成分を含有する接着剤により防蟻部材を接着していることを特徴とする防蟻方法。
【請求項2】
建築物の基礎際の防蟻方法であって、
前記基礎における底壁と立壁との角部に、防蟻効果を有する防蟻部材を接着していることを特徴とする防蟻方法。
【請求項3】
建築物の基礎際の防蟻方法であって、
前記基礎における底壁と立壁との角部に、防蟻成分を含有する接着剤により防蟻効果を有する防蟻部材を接着していることを特徴とする防蟻方法。
【請求項4】
建築物の基礎の防蟻方法であって、
前記基礎に穿設された水抜孔に、粒子状また発泡体状の防蟻材を充填していることを特徴とする防蟻方法。
【請求項5】
建築物の基礎の防蟻方法であって、
前記基礎に穿設された水抜孔の開口面を、防蟻成分を含有する接着剤によりシロアリが通過できない目開きの網部材を被覆していることを特徴とする防蟻方法。
【請求項6】
建築物の基礎際の防蟻方法であって、
建築物の基礎における立壁を打設する際に使用する型枠を固定する巾止め金具の側端立設片を切断し、前記基礎の立壁から外方に突出している巾止め金具の平板部の周縁に、防蟻成分を含有する接着剤を塗布することを特徴とする防蟻方法。
【請求項7】
前記巾止め金具の平板部の周縁を接着した上から、請求項1ないし3の防蟻処理を施す請求項6に記載の防蟻方法。
【請求項8】
地面又は基礎底壁から立設している配管の防蟻方法であって、
前記配管の地表又は底面近傍に防蟻処理を施していることを特徴とする防蟻方法。
【請求項9】
前記配管が、配管の周囲が断熱材で被覆された内外二層構造の保温配管であり、
地表又は底面近傍において前記保温配管の断熱材を上下所定寸法切除し、当該切除部分に粒子状または発泡体状の防蟻材を充填している請求項8に記載の防蟻方法。
【請求項10】
地表又は底面近傍に、防蟻効果を有するテープを巻着している請求項8に記載の防蟻方法。
【請求項11】
前記テープは、防蟻成分を含有する接着剤により巻着されている請求項10に記載の防蟻方法。
【請求項12】
建築物の基礎に穿設された配管孔を貫通する配管の防蟻方法であって、
前記基礎の配管孔と前記配管との隙間に発泡体状の防蟻材を充填し、
且つ、前記基礎の床面上に、少なくとも前記配管を囲むように粒子状の防蟻材を敷き詰めていることを特徴とする防蟻方法。
【請求項13】
建築物の玄関、勝手口、ポーチの防蟻方法であって、
玄関土間、勝手口土間、ポーチ土間の床面裏コンクリートと前記基礎の立壁との角部に、それぞれ防蟻部材を接着していることを特徴とする防蟻方法。
【請求項14】
前記接着剤が、防蟻成分を含有している請求項13に記載の防蟻方法。
【請求項15】
前記防蟻部材が、防蟻効果を有する請求項13又は14に記載の防蟻方法。
【請求項16】
建築物の土間外ステップの防蟻方法であって、
ステップを形成する基礎コンクリートの裏面と建築物の基礎の立壁の外面との角部に、防蟻部材を接着していることを特徴とする防蟻方法。
【請求項17】
前記接着剤が、防蟻成分を含有している請求項16記載の防蟻方法。
【請求項18】
前記防蟻部材が、防蟻効果を有する請求項16又は17に記載の防蟻方法。
【請求項19】
建築物の床下土間に配されたコンクリートブロックの貫通孔に、粒子状または発泡体状の防蟻材を充填していることを特徴とする防蟻方法。
【請求項20】
建築物の総合的な防蟻システムであって、
(ア)建築物の基礎の水抜孔に対して請求項4又は5に記載の防蟻方法
(イ)建築物の基礎の立壁の巾止め金具に対して請求項6又は7に記載の防蟻方法
(ウ)配管に対して請求項8乃至12のいずれかに記載の防蟻方法
(エ)建築物の基礎際に対して請求項1乃至3のいずれかに記載の防蟻方法、または粒子状の防蟻材を敷き詰める防蟻方法
(オ)玄関、勝手口、ポーチに対して請求項13乃至15のいずれかに記載の防蟻方法
(カ)建築物の土間外ステップに対して請求項16乃至18のいずれかに記載の防蟻方法
(キ)土間に配されたコンクリートブロックの貫通孔に対して請求項19に記載の防蟻方法
上記(ア)〜(キ)の各箇所のうち、これらを含む各箇所全てに、それぞれに対応する防蟻方法を適用する防蟻システム。
【請求項21】
前記(ア)、(イ)、(ウ)、(エ)、(オ)、(カ)、(キ)に示す防蟻方法を、これらを含む箇所全てに、これの順に建築物に適用する請求項20に記載の防蟻システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2013−32700(P2013−32700A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−237757(P2012−237757)
【出願日】平成24年10月29日(2012.10.29)
【分割の表示】特願2010−291985(P2010−291985)の分割
【原出願日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【出願人】(390015358)大日本木材防腐株式会社 (10)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年10月29日(2012.10.29)
【分割の表示】特願2010−291985(P2010−291985)の分割
【原出願日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【出願人】(390015358)大日本木材防腐株式会社 (10)
【Fターム(参考)】
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