説明

防護下着

普段着の衣服の内側で使用するための防護下着が開示される。その下着は第一の不浸透性バリア材料及び第二の選択的浸透性バリア材料に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改良された熱損失を提供する薄くて化学的生物学的な防護衣類に関し、衣服の内側で実質的に検知できない防護衣類に関する。
【背景技術】
【0002】
多数のバリアが化学的防護バリアとして示されるが、例えば、低レベルである液体浸透耐性を提供する材料、及び有毒な蒸気及び液体に不浸透性材料である材料のような様々な防護レベルを提供する材料が多種に存在する。有毒な蒸気及び液体に不浸透性である材料から作製される上着用衣類は、効果的な高レベルの化学的生物学的な防護を提供する。特に高レベルの化学的生物学的な防護を提供することが可能である構成物は、厚くて、不浸透性プラスチックバリアを含む。不都合なこととしては、最も高レベルである化学的生物学的防護を提供するバリアは堅く、かつ、厚い。そして、そのバリアから作製された衣類は、重く、かつ、嵩張ることがよくある。それゆえ、これらの衣類は、目立たない使用又は衣服内部で使用に対しては不適切である。化学的生物学的な防護を提供する通常用いられる不浸透性バリアは、水蒸気を運搬しにくい場合があり、延長して長く使用した後、及び/又は高温環境で使用した後に、着用者に対して熱によるストレスを作り出し、それゆえ、衣服内部で使用することに対して同様に不適切である。
【0003】
不浸透性バリア材料から形成されたスーツを着用している人の快適性を追及するために、異なるアプローチを利用している。例えば、流動性不浸透性バリア材料から構成されたゆったりした、不浸透性スーツは、換気を提供するために外気浸透性パネルを組み込むことができる。例えば、換気のために、わきの下及び股に対する外気浸透性ガセットをつなぎ服に提供してもよい。着用者の動きがゆったりとした上着用衣類のうなり効果を作り出すので外気が吸い込まれて、結果的に着用者を涼しくする。代替的には、供給された外気を循環する外気冷却システムによって供給されてよい。冷却性を提供するが、外気浸透性部分は有害な流動体の侵入を受けやすい。
【0004】
選択的浸透性材料から形成された防護衣類は不浸透性材料と比較して低レベルな防護性を提供する可能性があり、選択的浸透性材料は、厚く、かつ、堅いということが度々ある。厚みの中を通って浸透する化学的蒸気をろ過して取り除くために、吸着剤をベースとした材料は液体忌避材料の外側のシェル層と内側の吸着性層(典型的には、活性カーボン)とを有する。
【0005】
前述の特性は、高レベルである化学的生物学的な防護を提供する防護衣類を供給するが、その防護衣類は嵩張って堅いために普段着及び非作業的な衣服の内側で検出されないで使用することに対しては不適切であり、そして熱によるストレスのために長時間の着用に対しては不適切である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
普段着又は非作業服を着用している場合に、高レベルである化学的生物学的な防護から利益を得る個人にとって、非防護服又は普段着の内側で検出されないで着用するために充分に薄くて柔軟であり、一方で長時間の着用及び好ましくない環境的な状況での着用に対して充分な熱的快適性を提供する衣類に対して長年の切実な要求がある。したがって、防護を最大限にし、長期着用に対して充分な冷却性を提供し、普段着又は非作業服の内側で充分に不検出的である化学的生物学的防護下着を有することが望まれている。

【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一つの実施形態は普段着の内側で使用するための防護下着を含む物品である。その衣類は上部と底部とを含み、その衣類表面は、着用者の腕、脚及び胴体を覆う。
【0008】
衣類表面積の約55%〜約95%が、外気不浸透性、水蒸気不浸透性フルオロポリマーを含有する第一不浸透性バリア材料から形成される。補足的には、衣類表面積の約5%〜約45%が、外気不浸透性、水蒸気浸透性延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)コンポジット材料を含む第二選択的浸透性バリア材料から形成される。第二選択的浸透性バリア材料は、着用者の胴体及び/又は脚に対応する衣類の背面の別個独立領域に配置される。第二バリア材料は衣類構成物の一部として一体化して含まれるパネルの形態であり、シーム(縫目)によって第一バリア材料に結び付けられる。
【0009】
第一及び第二バリア材料の各々は、NFPA 1971 ASTM F903 (Standard Test Method for Resistance of Protective Clothing Materials to Penetration by Liquids)の化学浸透試験に合格するが、その試験は、少なくとも1時間は目に見える液体浸透がないことを要件とする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明の実施は、添付の図面と併せて検討される場合には次の記述から明白になる。
【図1】図1は、本発明の一つの実施形態の正面図の図表示である。
【図2】図2は、本発明の一つの実施形態の背面図の図表示である。
【図3】図3は、本発明の一つの実施形態の第一不浸透性バリア材料の断面の表示である。
【図4】図4は、本発明の一つの実施形態の第二選択的浸透性バリア材料の断面の表示である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の一つの実施形態にしたがうと、図1及び2に例示されるように、下着10は、着用者の腕、脚及び胴体を実質的に覆って普段着の衣服の内側で化学的生物学的な高水準の防御をすることを提供する上部11及び底部12を有して提供される。下着は、外気不浸透性及び水蒸気不浸透性(通気性がない)材料を含む第一の不浸透性バリア材料30を含み、外気不浸透性及び水蒸気浸透性である材料を含む第二の選択的浸透性バリア材料(図2の40)を含む。
【0012】
一つの実施形態において、下着は、約55%〜約95%の衣類表面の面積が第一の不浸透性バリア材料を含む衣類表面を有して構成される。補足的には、約5%〜約45%の衣類表面が第二の選択的浸透性バリア材料を含む。補足的に、約5%〜約30%の衣類表面の面積が第二の選択的浸透性バリア材料を含み、約70%〜約95%の衣類表面の面積が第一の不浸透性バリア材料を含んだ構成もまた本発明で使用することに適する。その上、補足的に、約5%〜約20%の衣類表面の面積が第二の選択的浸透性バリア材料を含み、約80%〜約95%の衣類表面の面積が第一の不浸透性バリア材料を含んだ構成もまた使用することに適する。さらに、液体浸透からより強力に防護する必要がある場合に、補足的に、約5%〜約15%の衣類表面の面積が第二の選択的浸透性バリア材料を含み、約85%〜約95%の衣類表面の面積が第一の不浸透性バリア材料を含んだ構成もまた本発明で使用することに適する。補足的に、約10%未満の衣類表面の面積が第二の選択的浸透性バリア材料を含み、90%超の衣類表面の面積が第一の不浸透性バリア材料を含んだ構成もまたこの発明で使用することに適する。
【0013】
更に強力な化学的防護を提供する第一の不浸透性バリア材料30が、着用者の腕、脚及び胴体の前面に対応する衣類の前面22を含むように下着は設計される。
【0014】
第二の選択的浸透性バリアパネル40が衣類の背面21の一部に配置されるように衣類は設計され、好ましくは 着用者の背中の面積に対応させて第二の選択的浸透性バリアパネル40が配置されるように設計される。第二の選択的浸透性材料が追加的又は選択的に着用者の脚の後部に対応する衣類の一部に組み込まれるパネルであるように衣類はまた設計される。第二の選択的浸透性バリア材料が着用者の脚の後部に対応する衣類の一部に配置される場合に、その材料は太腿の後部40'に配置され、追加的又は選択的に着用者の膝の後部に対応する衣類の一部に配置される。
【0015】
衣類の第一不浸透性バリア材料部分及び第二選択的浸透性バリア材料部分は、接合材料技術において公知である任意の方法によって共に接合され得る。ところが、第二の選択的浸透性材料部と少なくとも化学的生物学的脅威に対して同じ不浸透性である第一及び第二バリア材料間のシーム(縫目)を提供する方法で第一及び第二バリア材料が共に接合されることが好ましい。パネルは、例えば、縫合、テーピング、溶接等によって、シーム(縫目)(13)で接合され得る。縫合されたシーム(縫目)は、不浸透性シーム(縫目)テープを用いてテーピングされてよい。
【0016】
下記に述べられる外気浸透性に関するGurley Test Methodにしたがって試験される場合に、第一及び第二材料の両方は外気不浸透性である。
【0017】
第一不浸透性バリア材料として利用するのに適する材料は、NFPA 1971 ASTM F903(Standard Test Method for Resistance of Protective Clothing Materials to Penetration by Liquids)の化学的浸透性試験に合格する。特に限定されることはないが、例えば、化学的生物学的耐性を有する薄くて柔軟性のあるポリテトラフルオロエチレン(PTFE)に基づいた材料が挙げられる。非多孔性である高密度PTFEはそのような一つの例示である。他の適切な不浸透性バリア材料としては、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリオレフィン、ブチルラバー、クロロポリマー、エチレンビニルアルコール、ポリ塩化ビニリデン及びそれらのコポリマーが挙げられる。
【0018】
一つの実施例として、高密度PTFEフィルムがポリエステルニットテキスタイルに積層された高密度PTFE積層体が本発明の利用に対して適切である。そのような積層体の例示物は、パーツナンバーKPDX607000Aに基づいてW. L. Gore and Associates, Inc.によって生産され、本明細書に参照することによって援用される。第一不浸透性バリア材料は、例えば追加的なテキスタイル層のような追加的層を更に含んでよい。図3は、本発明において用いられる複数層の第一浸透性バリア材料30を例示し、その材料は、外気不浸透性、水蒸気不浸透性バリア材料35と、例えばニット又は布帛のようなテキスタイル材料とを含み、そのテキスタイル材料は同じでも異なっていてもよく、更にバリア材料35の片側又は両側に取り付けられてよい。一つの実施形態として、例えば、ニットテキスタイル層37は着用者の体から離れた方に向いた第一バリア材料35の片側に取り付けられてよい。適宜、第二のニットテキスタイル層38は、着用者の体の方に向いた第一バリア材料35の片側に取り付けられてよい。テキスタイル層は、例えば接着性ドット34及び34'のような公知の方法によって取り付けられてよい。唯一つのニットテキスタイル層が不浸透性膜に提供される場合は、ニット側が着用者の体の方か、又は体から離れた方に向くように衣類は構成されてよい。
【0019】
本発明で利用するのに適する第二選択的浸透性バリア材料は、水蒸気浸透性(すなわち、「通気性」)であり、外気不浸透性であり、(Resistance of Protective Clothing Materials to Penetration by Liquid) NFPA 1971 ASTM F903の化学的浸透性試験にも合格する。水蒸気浸透性又は通気性は、本明細書で提供される試験によって測定されるように、材料が少なくとも1,000g/(m2 day)、好ましくは約2,000超g/(m2 day)、より好ましくは約3,000超g/(m2 day)の水蒸気浸透性を有することを意味する。「非通気性」は、約900g/(m2 day)未満の水蒸気の浸透性を有する材料を意味する。一つの例示として、モノリシックポリマー層が利用される。例えば、参照することによって本明細書に含まれるが、Maplesと共同所有されている米国特許第6,395,383号の教示に実質的にしたがって作製された膜のようなポリアミンポリマーを含有する選択的浸透性膜を含む選択的浸透性材料が本発明で利用するのに適する。別の適切な材料はポリウレタンを含む。第二選択的浸透性バリア材料は、例えば、選択的浸透性材料を支持するために支持層のような追加的な層を更に含んでよい。延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)膜は、第二選択的浸透性ポリマー材料に加えて、第二選択的浸透性バリア材料に組み込まれてよい。選択的浸透性膜とePTFE膜とを含む第二選択的浸透性バリア材料は、例えば、約1,000 g/(m2 day)超、約2,000g/(m2 day)超、約3,000g/(m2 day)超又は約4,000g/(m2 day)超の水蒸気浸透速度を有する。
【0020】
第二バリア材料は、選択的浸透性材料と、例えば、布帛、不織布、ニット又はスクリムの層のような追加的な層との積層体を更に含んでよい。図4にしたがった一つの例示として、第二選択的浸透性バリア材料40は選択的浸透性膜層45を含み、選択的浸透性材料の各々の側にePTFE膜層46と46'とを更に含む。ePTFE層は、第二選択的浸透性バリア材料の水蒸気浸透性を弱めることなく支持をする。図4において、一つの追加的な層46及び46'は膜の層45の各側に取り付けられる。図4は、着用者の体から離れた方に向いた片側に、選択的浸透性膜45に取り付けられたニットテキスタイル47と、着用者の体の方に向いた片側か体に最も近接な片側に選択的浸透性膜45に取り付けられた第二ニットテキスタイル48とを有する第二選択的浸透性バリア材料を例示する。材料は、例えば、接着性ドット44及び44'を積層することによって取り付けられてよい。唯一つのニットテキスタイル層が選択的浸透性バリア材料に提供される場合は、ニット側が着用者の体の方か、又は体から離れた方に向くように衣類は構成されてよい。
【0021】
第一及び第二バリア材料を含んで作製された衣類であって、下着として使用することに適し、普段着の内側で検知できない衣類は柔軟性で、かつ、薄い。例えば、約0.0034m3未満のパック体積を有する衣類の上部及び底部を含む下着は衣服の内側で使用するのに適切である。衣服の内側で検出不能的に使用するために本発明にしたがった衣類の上部及び底部を含む他の下着は、約0.0042m3未満又は約0.0037m3未満(本明細書で述べられる方法にしたがって試験される場合)のパック体積を有する。
【0022】
本発明の下着は追加的な外側の層又フェーシア(区分)を更に有してよく、それらは、衣類の可視的な部分に融和されたカジュアル的又は非作業的な下着類の外観を有する。例えば、伝統的な上着と共に着用する場合に、本発明の防護下着を更に検知不能とするために、フェーシア(区分)は襟部、手首部等から構成されてよい。本発明で利用するのに適するフェーシア(区分)は、カジュアル又は非作業的な衣類に適する材料(綿、綿混紡等)から作製されてよく、例えば、Tシャツ、又はワークシャツの襟、カフ等の形態でよい。
【0023】
本発明の構成物の全体質量は、物品の必要とされる性能特性次第で幅広く変化することができる。この発明の物品の単位面積当たりの材料の質量は、他の要因、用いられる材料成分の選択次第である。この発明の物品は約20oz/yd2未満の材料の質量を有することが好ましい。本発明の物品は約15oz/yd2未満の単位面積当たりの質量を有して生産されてもよく、約10oz/yd2未満の単位面積当たりの質量を有して生産されてもよい。質量が使用において重要な因子であって好ましい構成物が低質量を有する場合には、物品の全体質量は約8oz/yd2以下でよく、約6oz/yd2以下でよく、又は約5oz/yd2以下でよい。
【0024】
一つの実施形態として、下着は普段着の衣服の内側で使用するために形成されるが、その下着は着用者の腕、脚及び胴体を覆って、本明細書において述べられる熱損失及び蒸発耐性に関する方法にしたがって試験される場合に、約35℃及び約50%RHで少なくとも20w/M2の熱損失を有する。別の実施形態として、下着は普段着の衣服の内側で使用するために形成されるが、その下着は、本明細書において述べられる熱損失及び蒸発耐性に関する方法にしたがって試験される場合に、約35℃及び約50%RHで少なくとも30w/M2の熱損失を有し、約35℃及び約50%RHで少なくとも40w/M2の熱損失を有し、約35℃及び約50%RHで少なくとも50w/M2の熱損失を有し、衣類に携帯用の冷却ユニットを提供する必要がない。更に別の実施形態として、衣類の背面に第二選択的浸透性バリア材料のパネルを有する第一の不浸透性バリア材料から形成された着用者の胴体部を覆う下着は、本明細書において述べられる熱損失及び蒸発耐性に関する方法にしたがって試験される場合に、約35℃及び約50%RHで少なくとも20w/M2の熱損失を有し、少なくとも30w/M2の熱損失を有し、少なくとも40w/M2の熱損失を有し、又は少なくとも50w/M2の熱損失を有する。
【0025】
試験方法
外気浸透性/不浸透性 −Gurleyナンバー試験
Gurleyナンバーは次のとおりに得られた。外気流に対するサンプルの耐性は、W. & L.E.Gurley & Sonsによって作製されたGurleyデンソメーター (ASTM) D726-58)によって測定された。その結果をGurleyナンバーの観点から報告するが、そのGurleyナンバーは、1.215kNm2の水圧降下で100立方センチメートルの外気が6.54cm2の試験サンプルを通過する時間(秒)である。120秒区間で外気の通過が観察されないならその材料は外気不浸透性である。
【0026】
水蒸気透過速度試験
水蒸気透過速度(MVTRs)は、米国特許4,862,730号で述べられている手順を利用し、塩として酢酸カリウムを用い、防水性水蒸気浸透性膜のために開孔の延伸PTFEを用いて決定した。これらの膜は、通常、75%〜80%の多孔度を有し、およそ0.04 mmの厚みを有した。環境を、50%相対湿度及び23℃に維持した。水浴を23℃に維持した。
【0027】
熱損失及び蒸発耐性
衣類の集合体の熱損失及び蒸発耐性を決定するためにASTMスタンダードF1291及びF2370にしたがって熱発汗性トルソを用いた。この標準試験方法の唯一の偏差形状はトルソの形状であり、測定から除外された面積であった。ASTMスタンダードF1291及びF2370は全身マネキンを利用する。腕及び脚がないマネキントルソを用いて本発明を試験した。この違いを蒸発耐性及び熱損失の計算で説明し、その計算において、その値は、(単位面積に規格された)測定された実際の表面の面積によって除され、その値を平方メートル当たりのワットとして報告した。
【0028】
化学浸透耐性
化学浸透耐性は、NFPA 1971 ASTM F903で記述された標準的な試験方法を用いて決定された。全ての材料を標準的な手順にしたがって試験をした。
【0029】
パック体積試験
本発明の構成物のパック体積を、次のように特定の装置/手順から出発してASTM F1853-03(Standard Test Method for Measuring Sleeping Bag Packing Volume)を用いて決定した。出発内容は、1)試験サンプルが、寝袋の代わりに下着であったこと、2)更に小さなシリンダー、すなわち13.97cm径(5.5")を用いたこと、3)更に小さなシリンダーとともに、圧縮重、すなわち10.433kgf(23lbs)を用い、このことは標準的なシリンダー及び荷重で生み出される同一の圧縮圧力を模倣した。
【0030】
1/2"厚みで5.5"径のLexanシリンダーであって、開口上部と、正面から見てシリンダー内で直立な状態であってシリンダーの壁と気密ではないプランジャーとを有するシリンダーを含んだ試験装置を用いた。プランジャーをシリンダーから取り除き、試験サンプルをシリンダー内に挿入し、プランジャーをシリンダー内でサンプルの上部に配置する。23lb荷重に到達するまで加重を徐々に加える。シリンダーの側面に接触しないような方向に加重を向ける。任意の加重を迅速に解放するならば試験は無効である。一旦、必要とされる加重が適用されるならば、平均的な圧縮高を得るためにシリンダーの基部からプランジャーの底部まで測定をする。その後、サンプルをシリンダーから取り除いて試験を再度する前に膨らませる。試験を5回繰り返し、データを平均化する。圧縮した材料の体積はプランジャー0.0153m3(23.76平方インチ)の面積と平均圧縮高を掛け合わせることによって計算される。パック体積を平方インチ(m3)で報告する。
【0031】
水侵入圧に対するSuter試験
防護バリア布帛又は防護バリア布帛から作製された衣類のシーム(縫目)が防水性であるかどうかを決定するために、Suter試験方法を利用し、その試験方法は、一般的にはISO811-1981の記載に基づくものである。この方法はサンプルに低圧負荷を提供し、試験サンプルの一方の側面に水を通して水がサンプルの中を通って浸透する兆候があるかどうかをもう一方の側面から観察することによって試験をする。
【0032】
水が、封印されたシーム(縫目)試験サンプルの3インチ径(7.62cm)の面積に適用されるように、そのサンプルを固定する固定具のラバーガスケット間にそのサンプルを固定して封印する。サンプルの一方の側面に対して3psig(0.21bar)の外気圧をかけた状態で水は適用される。布帛積層体を試験する際には、水は正面又は外側の面に適用される。封印されたシーム(縫目)を試験する際には、水はサンプルの正面、及び反対面又はシーム裏層に適用されて、水が漏れるかどうかについて観察される。
【0033】
(滲み又は液滴の発生によって)3分間シームエッジに水の発生の兆候があるかどうかについて視覚的にサンプルの反対面を観察する。水を観察しないなら、サンプルは試験に合格し、サンプルは、試験が実施された3psig荷重より大きい水侵入圧を有すると考えられる。本発明の範囲を限定することを意図することなく、次の実施例は、本発明が如何に作られて使用されるどうかを例証する。
【実施例】
【0034】
比較例1
衣類は外気不浸透性、水蒸気不浸透性材料から構成されて、熱損失及び蒸発耐性に関してその衣類を試験した。
【0035】
衣類上部は、900g/(m2/day)未満の水蒸気浸透性を有する2層積層体から構成された衣類の表面積の95%超を有して構成された。2層積層体は、ポリエステルニットテキスタイル層(1.4oz/yd2)に積層された完全密度フルオロポリマーフィルムから構成され、上述したNFPA 1971の化学浸透耐性試験に合格する。衣類は、着用者の体から見て外側に向くポリエステルニットテキスタイル層と、着用者の体に向いたフィルムとを有して構成された。布帛質量は約3.5oz/yd2であった。その衣類は綿ニットから作製された襟フェーシア(区分)を含んだ。衣類サイズはXLにおよそ対応した。衣類を、35℃及び50%RH条件下で熱発汗性マネキンに着用させて試験した。熱損失及び蒸発耐性の結果を上述した方法にしたがって計算をした。結果は表1に要約される。
【0036】
実施例2
衣類は、外気不浸透性、水蒸気浸透性材料を含む第一バリア材料から構成されて、更に外気不浸透性、水蒸気浸透性材料を含有する第二バリア材料の一部を含んで構成されて、そして熱損失及び蒸発耐性に関してその衣類を試験した。
【0037】
衣類上部は、高密度PTFE層に接着したニットテキスタイル層を含む2層積層体であって、1.4oz/yd2であり、外気不浸透性及び水蒸気浸透性材料である2層積層体の衣類表面積のおよそ90%を有して構成された。2層積層体のニット面は、着用者の体から見て外側の方向に配向され、フィルムは着用者の体の方向に向いて配向された。
【0038】
衣類は、ポリアミンポリマーを含む、選択的浸透性であり、外気不浸透性であり、更に水蒸気浸透性である材料を含有した第二バリア材料のパネルを更に含んだ。第二バリア材料は、パーツナンバーKSGZ103100Aで、W.L.Gore&Associates,Inc.(Elkton MD)によって生産された。第二選択的浸透性バリア材料は5.75oz/yd2であり、3層積層体であり、その3層積層体は選択的浸透性膜層の各々の面に接着剤44及び44'で積層されたナイロンニット層を有して構成された(図4)。本明細書において述べられた試験にしたがって測定された場合に、3層積層体は約4,000g/(m2day)の水蒸気透過速度を有した。
【0039】
第二バリア材料は衣類表面積の約10%を含んだ。第二バリア材料のパネルは測定値で約0.17m2であり、図2の40で示されるように、試験マネキンの背中上部域に対応した衣類の背面に配置された。第二バリア材料パネルはこの衣類サンプルの構成物の第一バリア材料の領域に置き換わった。第二バリア材料は衣類構成物の一部分として一体化して含まれ、シーム(縫目)によって第一バリア材料に結び付けられた(図2)。
【0040】
第一及び第二バリア材料の両方は、上述したNFPA 1971化学浸透耐性試験に合格するために充分に不浸透性であった。第一及び第二バリア材料の両方を有する衣類の材料の全体質量は約1.84oz/yd2であった。衣類サイズはXLにおよそ対応した。衣類を熱発汗性マネキンに着用させて試験し、熱損失及び蒸発耐性の結果を上述した方法にしたがって計算をした。結果は表1に要約される。
【0041】
表1
任意の水蒸気浸透性パネルを有さない比較例1及び水蒸気浸透性パネルを利用した実施例2に関して、水侵入圧及び熱損失を衣類の上部に対して決定し、パック体積を衣類の上部及び底部に対して測定した。
【0042】
【表1】

【0043】
本発明の特定の実施形態が本明細書において例証されて述べられたが、本発明はそのような例証及び記述に制限されるべきではない。変更例及び変形例は次の特許請求の範囲内であれば本発明の一部として導入されて具体化されてよいことは明白である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
普段着の内側で使用するための下着を含む物品であって、該下着が着用者の腕、脚及び胴体を覆う衣類表面を含み、該衣類表面が、
i)外気不浸透性、水蒸気不浸透性フルオロポリマーを含有する第一不浸透性バリア材料から形成される該衣類表面の約55%〜約95%の面積と、
ii)外気不浸透性、水蒸気浸透性延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)コンポジット材料を含有する第二選択的浸透性バリア材料から形成される該衣類表面の約5%〜約45%の面積とを有し、
該第二バリア材料が、着用者の脚又は胴体の背面の少なくとも一つに対応する衣類の背面に配置され、
該第一バリア材料及び該第二バリア材料の各々が、NFPA 1971 ASTM F903の化学浸透試験に合格し、該各々の材料が、WEP>20.6kPa(3psi)を有する、
物品。
【請求項2】
前記下着が0.0042m3未満のパック体積を有する、請求項1に記載の物品。
【請求項3】
前記下着が0.0037m3未満のパック体積を有する、請求項1に記載の物品。
【請求項4】
前記下着が0.0034m3未満のパック体積を有する、請求項1に記載の物品。
【請求項5】
衣類の前面が前記第一バリア材料から実質的に成る、請求項1に記載の物品。
【請求項6】
前記第二バリア材料のパネルが衣類胴体の背面に在る、請求項1に記載の物品。
【請求項7】
前記第二バリア材料が、多孔性ePTFE層とモノリシックポリマー層とを含有する水蒸気浸透性、外気不浸透性ePTFEコンポジット材料を含む、請求項1に記載の物品。
【請求項8】
前記モノリシックポリマー層がポリウレタンである、請求項7に記載の物品。
【請求項9】
前記モノリシックポリマー層がポリアミンポリマーである、請求項7に記載の物品。
【請求項10】
前記ePTFEコンポジット材料が2つの多孔性ePTFE層を含み、そして2つの多孔性ePTFE層の間にポリウレタンを含む、請求項7に記載の物品。
【請求項11】
前記第一不浸透性バリア材料が高密度化ePTFEを含む、請求項1に記載の物品。
【請求項12】
前記第一不浸透性バリア材料がテキスタイル層を更に含む積層体である、請求項1に記載の物品。
【請求項13】
前記テキスタイルがニットを含む、請求項12に記載の物品。
【請求項14】
前記第二選択的浸透性バリア材料がテキスタイル層を更に含む積層体である、請求項1に記載の物品。
【請求項15】
普段着の内側で使用するための下着を含む物品であって、該下着が着用者の腕、脚及び胴体を覆う衣類表面を含み、該衣類表面が、約35℃及び約50%RHで少なくとも20w/m2(w/M2)の熱損失を有し、
i)外気不浸透性、水蒸気不浸透性ポリテトラフルオロエチレンを含有する第一不浸透性バリア材料から形成される該衣類表面の約85%から約95%の面積と、
ii)外気不浸透性、水蒸気浸透性延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)コンポジット材料を含有する第二選択的浸透性バリア材料から形成される該衣類表面の約5%から約15%の面積とから実質的に成り、
該第二バリア材料が、着用者の脚又は胴体の背面の少なくとも一つに対応する衣類の背面に配置され、
該第一バリア材料及び該第二バリア材料の各々が、NFPA 1971 ASTM F903の化学浸透試験に合格し、該各々の材料が、水侵入圧>20.6kPa(3psi)を有する、
物品。
【請求項16】
前記下着が約35℃及び約50%RHで少なくとも約30w/m2(w/M2)の熱損失を有する、請求項15に記載の物品。
【請求項17】
前記下着が約35℃及び約50%RHで少なくとも約40w/m2(w/M2)の熱損失を有する、請求項15に記載の物品。
【請求項18】
前記下着が約35℃及び約50%RHで少なくとも約50w/m2(w/M2)の熱損失を有する、請求項15に記載の物品。
【請求項19】
普段着の内側で使用するための下着を含む物品であって、該下着が着用者の腕、脚及び胴体を覆う衣類表面を含み、該衣類表面が、約35℃及び約50%RHで少なくとも20w/m2(w/M2 )の熱損失を有し、
i)外気不浸透性、水蒸気不浸透性ポリテトラフルオロエチレンを含有する第一不浸透性バリア材料から形成される該衣類表面の約85%から約95%の面積と、
ii)外気不浸透性、水蒸気浸透性延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)コンポジット材料を含有する第二選択的浸透性バリア材料から形成される該衣類表面の約5%から約15%の面積とから実質的に成り、
該第二バリア材料が、着用者の胴体に対応する衣類の背面に配置され、
該第一バリア材料及び該第二バリア材料の各々が、NFPA 1971 ASTM F903の化学浸透試験に合格し、該各々の材料が、水侵入圧>20.6kPa(3psi)を有する、
物品。
【請求項20】
前記下着が35℃及び50%RHで少なくとも約30w/m2(w/M2)の熱損失を有する、請求項19に記載の物品。
【請求項21】
前記下着が35℃及び50%RHで少なくとも約40w/m2(w/M2)の熱損失を有する、請求項19に記載の物品。
【請求項22】
前記下着が35℃及び50%RHで少なくとも約50w/m2(w/M2)の熱損失を有する、請求項19に記載の物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−540788(P2010−540788A)
【公表日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−526892(P2010−526892)
【出願日】平成20年9月15日(2008.9.15)
【国際出願番号】PCT/US2008/010748
【国際公開番号】WO2009/042043
【国際公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【出願人】(598123677)ゴア エンタープライズ ホールディングス,インコーポレイティド (279)
【Fターム(参考)】