説明

防護服用布帛

【課題】高熱火炎暴露時に効果的に空気層を形成して遮熱性を向上させ、さらに、透湿防水性を付与して着用感を向上させた、軽量で柔軟な耐熱性防護服を提供する。
【解決手段】表地層、中間層、及び遮熱層からなる3層構造布帛の、中間層を形成する布帛が、熱収縮率を異にする少なくとも2種の繊維糸からなる織物であり、該2種の繊維糸のうち、熱収縮率がより大きい繊維糸を5mm〜30mmの間隔を置いて格子状に織り込むことにより、高熱火炎暴露時に高熱収縮糸が収縮し、中間層布帛に凹凸を形成せしめて空気層を形成し、遮熱性を向上させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
アラミド繊維からなる耐熱性防護服、更に詳しくは効果的に熱遮断空気層を形成する耐熱性防護服に関する。
【背景技術】
【0002】
消防士が消火作業中に着用する耐熱防護服を構成する繊維として、従来は不燃性のアスベスト繊維、ガラス繊維等が使われていたが、環境問題や、動き易さなどの観点から近年では、アラミド繊維、ポリフェニレンスルフィド、ポリイミド、ポリベンズイミダゾールなどの耐熱難燃性の有機繊維が主として用いられている。更には布帛に輻射熱を防止する目的から金属アルミニウム等をコーティングあるいは蒸着等により、表面加工したものが多く表地層として使用されている。これらの方法によりかなり輻射熱に対して遮熱性は向上した。
【0003】
しかしながら、近年、輻射熱かつ伝導熱にも注目した評価方法が確立され、消防服開発において重要な指標となっている。(試験法番号:ISO17492)。この評価方法による基準をクリアするには、主要因である熱伝導を遅延させるために、防護服内に大量の空気層を作ることが有用となる。
【0004】
その対策として、これまでは、表地層及び遮熱層に空気層を形成させ、遮熱性能を向上させようということが多く検討されてきた(特許第3888861号)。しかし、そのために織り構造が複雑となったり、また、厚みが大幅に増したり、重量が増加するという問題点があった。更に、国際公開番号WO2005/099426(特表2007−530819号)に示されるように火炎暴露時に表地層に凹凸を形成する布帛が提案されているが、確かに空気遮断効果はある程度向上するものの、効果は未だ十分ではないのが現状である。
【0005】
【特許文献1】特許第3888861号公報
【特許文献2】国際公開第2005/099426号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
高熱火炎暴露時に効果的に空気層を形成して遮熱性を向上させ、さらに、透湿防水性を付与して着用感を向上させた、軽量で柔軟な耐熱性防護服を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決すべく検討を重ねた結果、表地層、中間層、及び遮熱層からなる3層構造布帛の、中間層を形成する布帛が、熱収縮率を異にする少なくとも2種の繊維糸からなる織物であり、該2種の繊維糸のうち、熱収縮率がより大きい繊維糸を5mm〜30mmの間隔を置いて格子状に織り込むことにより、高熱火炎暴露時に高熱収縮糸が収縮し、中間層布帛に凹凸を形成せしめて空気層を形成し、遮熱性を向上させることができることを見出したことに基づくものであり、
【0008】
即ち本発明によれば、
メタ系アラミド繊維及び/又はパラ系アラミド繊維を含む繊維糸からなる表地層、中間層、遮熱層がその順序で3層積層されている布帛からなる耐熱性防護服であって、中間層が下記(a)〜(b)の要件を満足することを特徴とする耐熱性防護服。
(a)熱収縮率の異なる2種の繊維糸からなり、高熱収縮率糸が経糸と緯糸として5mm〜30mmの間隔で格子状に織り込まれている織物であること。
(b)高熱収縮率糸がメタ系アラミド繊維98〜50重量%とパラ系アラミド繊維2〜50重量%からなり、低熱収縮率糸がパラ系アラミド繊維601重量%〜100重量%とメタ系アラミド繊維0〜40重量%からなること。
が提供される。その際熱収縮率の異なる2種の繊維糸は紡績糸であることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明は中間層という比較的低目付け層での遮熱性の向上を達成したものであり、本発明の耐熱性防護服は、表地層、中間層、遮熱層からなる3層構造の複合布帛で構成され、該3層が、メタ系アラミド繊維とパラ系アラミド繊維とから構成されることにより、充分な強度と、耐炎性及び熱防護性に優れた性能を得ることができるとともに、該中間層が、熱収縮率の異なる少なくとも2種の繊維糸から構成され、熱収縮率がより大きい繊維糸が5mm〜30mmの間隔を置いて格子状に織り込まれることにより、高温火炎等の暴露時に高熱収縮率糸が適当な間隔において収縮することにより凹凸が形成され効率よく空気層を確保して、熱伝導を遅延することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下本発明を詳細に説明する。本発明の耐熱防護服用布帛は、表地層、中間層、遮熱層の3層をこの順序に重ね合わせた構造からなり、これらの層はいずれもアラミド繊維を主成分とする耐熱性繊維の布帛から構成されている。ここでいうアラミド繊維としては、優れたLOI値を有するポリメタフェニレンイソフタルアミドを用いることが有用であるが、織物強度を向上させる目的でパラ系のアラミド繊維、すなわち、ポリパラフェニレンテレフタルアミド、あるいは、これに第3成分を共重合した繊維を混合させることがより好ましい。ポリパラフェニレンテレフタルアミド共重合体の一例としては、コポリパラフェニレン・3,4’オキシジフェニレンテレフタルアミドを挙げることができる。
【0011】
パラ系のアラミド繊維、メタ系アラミド繊維に混合使用できる耐熱性繊維として、ポリベンゾイミダゾール繊維、ポリイミド繊維、ポリアミドイミド繊維、ポリエーテルイミド繊維、ポリアリレート繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維、ノボロイド繊維、難燃アクリル繊維、ポリクラール繊維、難燃ポリエステル繊維、難燃綿繊維、難燃レーヨン繊維、難燃ビニロン繊維、難燃ウール繊維が挙げられる。
【0012】
まず表地層について説明する。表地層はメタ系アラミド繊維とパラ系アラミド繊維からなる布帛により構成され、布帛の種類としては、織編物、及び、不織布が使用されるが、実用的には強度の点で織物とすることが好ましい。
【0013】
また、該メタ系アラミド繊維とパラ系アラミド繊維は、フィラメント、混繊糸、紡績糸等の形で使用できるが、混紡して紡績糸の形態で使用するものが好ましい。該パラ系アラミド繊維の混合比率としては、表地層を構成する全繊維重量に対して、1〜70重量%であることが好ましい。該パラ系アラミド繊維の混合比率が、1重量%未満では、火炎に暴露された際に布帛が破壊、つまり穴があくおそれがあり、また、70重量%を超えると、該パラ系アラミド繊維がフィブリル化して耐摩耗性が低下するので好ましくない。
【0014】
該表地層に対しては、コーティング法、スプレー法、又は、浸漬法などの加工法により、フッ素系の撥水樹脂を付与して加工することが、より高い耐水性能や耐薬品性能を有する防護服を得るためには好ましい。
【0015】
また、該表地層には、耐熱性、遮熱性を向上させるために無機化合物が担持されているものが好ましく例示される。該無機化合物としては、ケイ素、アルミニウム、亜鉛、ジルニウム、鉄、アンチモン、マグネシュウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物、若しくは、複合酸化物が好ましく例示される。なかでも、酸化アルミニウムのように表面に水酸基を多く有し、化合物当りの結晶水の割合が大きいものが特に好ましく例示される。
【0016】
該無機化合物の担持量は、表地層の重量当たり、3〜20重量%の範囲で使用したものがよい。該担持量が3重量%未満では、遮熱の効果が少なく、また、20重量を超えると風合いを損ねるおそれがあるので衣服に使用するには好ましくない。
【0017】
該表地層への無機化合物の担持方法については、コーティング法、浸漬法などの公知の種々の加工方法が使用可能である。また、該担持の処理の際に使用するバインダーとしては、難燃性を確保するために、メタ系アラミドポリマーの有機系薬剤への溶解物を用いることが最も好ましい。該有機溶剤としては、N−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミドなどが好ましく使用される。また、臭素、フッ素等のハロゲン系原子が共重合されたアクリル樹脂、ウレタン樹脂などに代表される難燃性樹脂を用いることも可能である。さらに、非難燃タイプの樹脂を使用する場合には、ヘキサブロモシクロヘキサン、テトラブロモシクロオクタン、ヘキサブロモシクロドテカンなどに代表されるハロゲン化シクロアルカン化合物や、トリクロロエチルフォスフェート、トリスジクロロプロピルフォスフェートに代表される含ハロゲンリン酸エステル、あるいは、トリメチルフォスフェート、トリクレジルフォスフェートに代表される非ハロゲン化燐酸エステルなどの難燃剤を添加したものを使用することにより難燃性を確保することができる。
【0018】
本発明の中間層について説明する。中間層は熱収縮率の異なる2種の繊維糸からなり、パラ系アラミド繊維を主成分として含んでなる低熱収縮糸と本質的にメタ系アラミドを主成分として含んでなる高熱収縮糸から構成される。高熱収縮糸が経糸と緯糸として特定間隔で格子状に配置している織構造とすることが必要である。
【0019】
ここで高熱収縮率糸の間隔は、主として低熱収縮率糸よりなる一層構造布帛中に高熱収縮率糸が経方向に5mm〜30mm、緯方向に5mm〜30mmの格子状に配置されていることが重要である。好ましくは7mm〜20mmである。5mmよりも小さい場合は凹凸の発現が小さく熱遮断効果が少ない。また30mmよりも大きい場合凹凸は大きく発現するが、その凹凸を維持できず空気層がつぶれてしまい好ましくない。5mm〜30mmの格子間隔で織り込まれるとき、高温火炎暴露時に凹凸が発現し、かつその凹凸が熱風圧等でつぶれにくいため、熱伝導の低い空気層を中間層内で形成し維持することができる。
【0020】
ここで高熱収縮率糸はメタ系アラミド98重量%〜50重量%とパラ系アラミド2重量%〜50重量%の紡績糸であることが必要である。好ましくは95重量%〜60重量%である。98重量%よりも多い場合は、高熱火炎暴露時に、低熱収縮率糸の糸を引っ張る際に強度が低く切断し凹凸が形成されない。また、50重量%よりも少ない場合は、収縮率が低く凹凸を発現できない。
【0021】
高熱収縮糸の熱収縮率としては5〜25%であることが好ましい。10%未満では低熱収縮糸との凹凸発現が小さいため好ましくない。25%を超える場合は収縮箇所が破壊されるため好ましくない。より好ましくは10〜23%である。
【0022】
本発明の中間層の低熱収縮率糸は、パラ系アラミド糸が60重量%〜100重量%とメタ系アラミド糸が0〜40重量%からなる紡績糸であることが必要である。好ましくはパラ系アラミド糸が90〜100重量%である。パラ系アラミド糸が60重量%未満の場合は、格子状に配置されている高熱収縮率糸の挙動に近くなるため、凹凸が発現が少なくなる。
【0023】
低熱収縮糸の熱収縮率としては0〜5%であることが好ましい。5%を超える場合は高熱収縮糸との凹凸発現が小さいための好ましくない。より好ましくは0〜2%である。
本発明の中間層は低熱収縮率糸の糸で主として織物を構成し、その組織は平織り、1/2ツイル、経二重織などの織物とすることが好ましい。
【0024】
本発明の中間層中の低熱収縮率糸は、中間層繊維全重量中に50重量%以上含有することが好ましく、さらに好ましくは60重量%以上である。50重量%未満の場合は、凹凸の発現が低下し好ましくない。
【0025】
また本発明の中間層の目付けは50〜200g/mであることが好ましい。更には70〜180が好ましい。50g/mよりも小さい場合は、凹凸が発現できない、もしくは発現したとしても維持できない。200g/mよりも大きい場合は、防火服として表地、中間層、遮熱層と積層された際、重く、また通気性も悪くなるため好ましくない。
【0026】
また中間層に使用する高熱収縮率糸の形態については限定しないが、紡績糸、フィラメント糸、捲縮加工された糸でもよい。中でも紡績糸が混合比率を調整するうえで好ましい。また、単糸、双糸としてもよい。さらに用いる糸の総繊度は布帛の設計に基づいて決まるが、200〜600dtexである。
【0027】
又本発明の中間層は、透湿防水性を有するものであることが好ましく、アラミド繊維からなる布帛に透湿防水性の薄膜フィルムを積層したものが好ましく用いられる。該薄膜フィルム層と積層する布帛は織物や編物、または、不織布が使用可能であるが、強度の点で織物が使用され、特に、難燃性素材であるポリメタフェニレンイソフタルアミド繊維からなる織布を用い、該織布に透湿防水性のある薄膜フィルムをラミネート加工したものが最適に例示される。該薄膜フィルムとしては、透湿防水性を有するものであれば公知のもを使用することができるが、耐薬品性を兼ね備えたポリテトラフルオロエチレンからなる薄膜フィルムを使用するものが特に好ましく例示される。このような中間層の挿入により、透湿防水性や耐薬品性が向上し、着用者の汗の蒸散を促進するので、着用者のヒートストレスを減少することができる。
【0028】
遮熱層は、メタ系アラミド繊維99〜50%とパラ系アラミド繊維1〜50重%の紡績糸またはメタ系アラミド繊維、パラ系アラミド繊維のみからなる紡績糸又はフィラメントから構成される布帛であることが好ましい。布帛は織物や編物、または、不織布が使用可能である。また布帛組織としては、着用した際にべとつき感を防ぐため、布帛が肌へ直接触れる面積を減らすため、製織時もしくは加工時に凹凸を有する組織が好ましい。
【実施例】
【0029】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明する。なお、実施例に用いた評価項目の測定は下記の方法で行った。
【0030】
(1) 遮熱性
ISO17492に基づき、下記式に示すように、対流熱と放射熱の複合熱源からの暴露開始からの銅製のセンサーの温度上昇曲線と、第二度火傷曲線であるStoll曲線に至る時間(s)に、複合熱源の熱流束80kW/mをかけた値、TTIで示した。
TTI=二度火傷に達する時間(s)×80kW/m
【0031】
(2)厚み測定
JIS L 1018の織物の厚さ測定に基づき、行った。厚みは表地層、中間層、遮熱層の3層積層体でISO17492の試験前後での厚み測定を行い、下記式より厚み増加分を測定した。
厚み増加分(mm)=試験後厚み(mm)−試験前厚み(mm)
【0032】
(3)熱収縮率
8cmの短冊状の織物(番手40/2、目付け200g/m、ツイル組織)を450℃の電気炉に5分間設置後、試験後の長さを測定、以下計算式により熱収縮率を求めた。
熱収縮率(%)=(試験前長さー試験後長さ)/試験前長さ×100
【0033】
[実施例1]
表地層には、ポリメタフェニレンイソフタルアミド繊維(帝人テクノプロダクツ社製、商標名:コーネックス)とコパラフェニレン・3、4’オキシジフェニレンテレフタルアミド繊維( 帝人テクノプロダクツ会社製、商標名:テクノーラ)とを混合比率が90:10 となる割合で混合した耐熱繊維からなる紡績糸(番手:40/2)を用いて2/1の綾織に織成した織物( 目付:240g/m)を用いる。
【0034】
中間層には、低熱収縮糸としてパラフェニレン・3、4’オキシジフェニレンテレフタルアミド繊維( 帝人テクノプロダクツ会社製、商標名:テクノーラ)100重量%(熱収縮率2.0%)からなる紡績糸( 番手:40/−)、高熱収縮糸としてポリメタフェニレンイソフタルアミド繊維(帝人テクノプロダクツ社製、商標名:コーネックス)とコパラフェニレン・3、4’オキシジフェニレンテレフタルアミド繊維(帝人テクノプロダクツ会社製、商標名:テクノーラ)との混合比率が90:10なる割合で混合した紡績糸(40/−)単糸(熱収縮率14.0%)を用いて、高熱収縮糸2本が経緯それぞれ10mmピッチとなるよう平織り織布( 目付:80g/ m2 )を製織した。得られた織布にポリテトラフルオロエチレン製の透湿防水性フィルム( ジャパンゴアテックス社製)をラミネートした。
【0035】
遮熱層には、ポリメタフェニレンイソフタルアミド繊維(帝人テクノプロダクツ社製、商標名:コーネックス)とコパラフェニレン・3、4’オキシジフェニレンテレフタルアミド繊維(帝人テクノプロダクツ会社製、商標名:テクノーラ)とを混合比率が95:5となる割合で混合した耐熱繊維からなる紡績糸(番手:40/2)をワッフルの組織として製織し、その目付を150g/mのものを使用した。
これらの表地層、中間層、遮熱層の3層を積層した布帛を作成し布帛の遮熱性評価を実施した。結果を表1に示す。
【0036】
[実施例2]
実施例1において、中間層布帛として、高熱収縮糸のピッチを5mm間隔で配置し、評価を実施した。
【0037】
[比較例1]
実施例1において、中間層布帛として低熱収縮糸にパラフェニレン・3、4’オキシジフェニレンテレフタルアミド繊維( 帝人テクノプロダクツ会社製、商標名:トワロン)(熱収縮率1.5%)を用い、高熱収縮糸を使用せず評価を実施した。
【0038】
[比較例2]
実施例1において、中間層布帛として高熱収縮率糸と低熱収縮率糸ともに、ポリメタフェニレンイソフタルアミド繊維(帝人テクノプロダクツ社製、商標名:コーネックス)とコパラフェニレン・3、4’オキシジフェニレンテレフタルアミド繊維(帝人テクノプロダクツ会社製、商標名:テクノーラ)との混合比率が90:10となる割合で混合した紡績糸(熱収縮率14.0%)を用いた以外は同様に実施した。
【0039】
[比較例3]
実施例1において、高熱収縮糸のピッチを2mmとした評価を実施した。
【0040】
[比較例4]
実施例1において、高熱収縮糸のピッチを40mmとした評価を実施した。
【0041】
[比較例5]
実施例1において、中間層布帛として高熱収縮糸としてポリメタフェニレンイソフタルアミド繊維(帝人テクノプロダクツ社製、商標名:コーネックス)とコパラフェニレン・3、4’オキシジフェニレンテレフタルアミド繊維(帝人テクノプロダクツ会社製、商標名:テクノーラ)を90:10となる割合で混合した紡績糸(熱収縮率14.0%)、低熱収縮糸としてポリメタフェニレンイソフタルアミド繊維(帝人テクノプロダクツ社製、商標名:コーネックス)とコパラフェニレン・3、4’オキシジフェニレンテレフタルアミド繊維(帝人テクノプロダクツ会社製、商標名:テクノーラ)を41/59(熱収縮率10.0%)となる割合で用い、評価を実施した。
【0042】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明によれば、重量を増加することなく、遮熱性を向上させることのできる耐熱防護服を提供できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メタ系アラミド繊維及び/又はパラ系アラミド繊維を含む繊維糸からなる表地層、中間層、遮熱層がその順序で3層積層されている布帛からなる耐熱性防護服であって、中間層が下記(a)〜(b)の要件を満足することを特徴とする耐熱性防護服。
(a)熱収縮率の異なる2種の繊維糸からなり、高熱収縮率糸が経糸と緯糸として5mm〜30mmの間隔で格子状に織り込まれている織物であること。
(b)高熱収縮率糸がメタ系アラミド繊維98〜50重量%とパラ系アラミド繊維2〜50重量%からなり、低熱収縮率糸がパラ系アラミド繊維60重量%〜100重量%とメタ系アラミド繊維0〜40重量%からなること。
【請求項2】
熱収縮率の異なる少なくとも2種の繊維糸が紡績糸である請求項1記載の耐熱性防護服。
【請求項3】
中間層の少なくとも片面に透湿防水層を有する請求項1〜2いずれかに記載の耐熱性防護服。
【請求項4】
中間層が低熱収縮率糸を50重量%以上含有する請求項1〜3いずれかに記載の耐熱性防護服。
【請求項5】
中間層の目付けが50〜200g/mである請求項1〜4いずれかに記載の耐熱性防護服。
【請求項6】
表地層が、メタ系アラミド繊維30〜99%とパラ系アラミド繊維1〜70%とから構成される請求項1〜5に記載の耐熱性防護服。
【請求項7】
遮熱層がメタ系アラミト゛繊維99〜50%とパラ系アラミド繊維1〜50%の紡績糸から構成される請求項1〜6に記載の耐熱性防護服。

【公開番号】特開2009−280942(P2009−280942A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−136557(P2008−136557)
【出願日】平成20年5月26日(2008.5.26)
【出願人】(303013268)帝人テクノプロダクツ株式会社 (504)
【Fターム(参考)】