説明

防護材、品目および防護方法

皮膚に治療放射線を照射し、かつ前記太陽スペクトルの皮膚損傷の原因となる部分をフィルターする材料および方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防護材、衣料品および防護方法および治療方法に関し、特に、限定されるわけではないが、太陽光の状態の入射放射線を、実質的に皮膚科学的な治療効果を有する波長を含み、かつ太陽光と比較して有害作用を有する波長が減少されている光に有効に変換できる衣服を製造するための特殊材料の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
異なる皮膚科学的な問題を治療するための様々な光源が提案されている。例えば、400〜420nmまたは400〜450nmの範囲の青色光が座瘡の治療に有用であることが判明している。405〜440nmのスペクトルを有する座瘡の治療用装置が開示されている(例えば(特許文献1)参照)。590nmおよび632nmの赤色光が皮膚の若返りのために使用されており、組織吸収ピークに対応する波長を有する多色性の狭帯域スペクトル(narrowband multichromatic spectrum)の光を放射する装置を使用する皮膚の処置または治療方法が開示されている(例えば(特許文献2)参照)。また、特定の範囲の光スペクトルを使用する光線力学療法用の装置が開示されている(例えば(特許文献3)参照)。
【0003】
【特許文献1】米国特許第6,835,202号明細書
【特許文献2】米国特許第6,676,655号明細書
【特許文献3】米国特許第6,645,230号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電磁スペクトルの波長の一部は強力な治療効果を有するが、(紫外領域、可視領域および赤外領域を含む)太陽光の全帯域のスペクトルは、皮膚への有害作用を有することが知られている。例えば、直射日光へ曝すことは、皮膚の損傷および早期老化の主要な原因であり、(特に紫外光成分は)皮膚癌の原因となり得る。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の態様によれば、以下の光学的特性を有する材料を提供する。これらの光学的特性は、
太陽光中の、少なくとも皮膚損傷の原因となる電磁放射線の相当な部分(a substantial proportion)を吸収し;および
太陽光中の、ヒト皮膚に対して治療効果のある電磁放射線の相当な量(a substantial amount)を透過させる
特性である。
【0006】
本発明の第2の態様によれば、以下の光学的特性を有する材料を提供する。これらの光学的特性は、
太陽光中の、少なくとも皮膚損傷の原因となる電磁放射線の相当な部分(a substantial proportion)を吸収し;および
吸収された放射線の少なくとも一部を、ヒト皮膚に対して治療効果のある放射線へと変換する
特性である。
【0007】
本発明の第3の態様によれば、以下の光学的特性を有する材料を提供する。これらの光学的特性は、
太陽光中の、少なくとも皮膚損傷の原因となる電磁放射線の相当な部分(a substantial proportion)を吸収し;
太陽光中の、ヒト皮膚に対して治療効果のある電磁放射線の少なくとも一部を透過させること;および
吸収された放射線の少なくとも一部を、ヒト皮膚に対して治療効果のある放射線へと変換する
特性である。
【0008】
好ましくは、材料の上述の光学的特性は、少なくとも部分的に、材料が1種または2種以上の顔料を用いて染色された結果得られている。そのような材料は、連続的な非多孔性シートの材料の形態とすることができる。
【0009】
好ましくは、上述の材料はファブリック(生地)である。材料をファブリックとして提供することによって、この材料から衣服を製造することを容易にし、それにより、治療放射線を着用者へデリバー(deliver)すなわち照射(または送出)すると同時に太陽光から好都合に防護できる。この材料を組み込む傘、日傘またはサンシェードは同様の利点を提供できるが、使用中不便であることが多い。
【0010】
好ましくは,上述のファブリックはポリマー繊維から作られるが、他の繊維または繊維の組み合わせを使用することもできる。
【0011】
ファブリックは、スパンデックス(エラステイン(elastane))成分を含んでもよい。
【0012】
繊維を1種または2種以上の顔料を用いて染色してもよい。1種または2種以上の顔料は蛍光剤であってもよい。
【0013】
顔料を用いて繊維を染色することに関して、個別であろうと、繊維が材料またはファブリックの一部である場合とに関わらず、着色剤または蛍光剤を繊維に付与するためのいかなる技術も含むと解釈されるべきである。繊維を、蛍光剤を使用して染色してもよく、このような蛍光剤の多くは、励起色素レーザー(pumped dye laser)用に販売されているおよび/またはそこにおいてこれまでに使用されている多くのものを含めて市販されている。色素をポリマー繊維に埋め込んでもよいし、または1つの(しかし1つには限らないが)代替例として、より従来的な浸漬式の染色法を使用することができる。
【0014】
ヒト皮膚に対して治療効果のある上述の放射線は、ポルフィリン(porphyrin)によって吸収される波長を含み得る。
【0015】
ヒト皮膚に対して治療効果のある上述の放射線は、好ましくは約400nm超の波長を有する。
【0016】
ヒト皮膚に対して治療効果のある上述の放射線は、400〜490nmの範囲の波長を含み得る。
【0017】
ヒト皮膚に対して治療効果のある上述の放射線は、コラーゲン増殖を刺激する波長を含み得る。
【0018】
ヒト皮膚に対して治療効果のある上述の放射線は、590nm〜670nmの波長を含み得る。
【0019】
ヒト皮膚に対して治療効果のある上述の放射線は、組織の治癒を刺激する波長を含み得る。
【0020】
ヒト皮膚に対して治療効果のある上述の放射線は、700nm〜900nmの波長を含み得る。
【0021】
一部の実施形態によれば、2つの異なる蛍光色素を含み、第1の蛍光色素は第1の治療波長の蛍光を発し、かつ第2の蛍光色素は第2の別の波長の蛍光を発する。ある実施形態によれば、第1の色素が、400〜490nmの範囲にある波長を含む放射線の蛍光を発し、かつ第2の色素が、700〜900nmの範囲にある波長を含む放射線の蛍光を発する。
【0022】
上述の波長範囲はいずれも材料が、必ず、上述の範囲の全ての波長においてまたは上述の範囲の全帯域幅にわたって光を透過させ、或いは発光しまたは蛍光を発すると、解釈されるべきではないことを理解されたい。
【0023】
好ましくは、皮膚損傷の原因となる上述の放射線の少なくとも一部は、約400mm未満の波長を有する。
【0024】
好ましくは、太陽光中の、材料によって吸収される、皮膚損傷の原因となる電磁放射線少なくとも一部は、紫外放射線である。
【0025】
好ましくは、材料は、ヒト皮膚の損傷の原因となる上述の放射線の少なくとも50%がそれを透過しないようにする。
【0026】
好ましくは、材料は、ヒト皮膚の損傷の原因となる上述の放射線の少なくとも75%がそれを透過しないようにする。
【0027】
好ましくは、材料は、ヒト皮膚の損傷の原因となる上述の放射線の少なくとも90%がそれを透過しないようにする。
【0028】
好ましくは、材料は、ヒト皮膚の損傷の原因となる上述の放射線の少なくとも98%がそれを透過しないようにする。
【0029】
一部の実施形態では、材料が、ヒト皮膚に対して治療効果のある、太陽光における放射線の特定の波長または選択波長の少なくとも50%をそれに透過させることが好ましい。
【0030】
一部の実施形態では、材料が、上述の1つ以上の選択された治療波長の少なくとも70%を透過させることが好ましい。
【0031】
一部の実施形態では、材料が、上述の1つ以上の選択された治療波長の少なくとも90%を透過させることが好ましい。
【0032】
上記の百分率は、通常の条件下において、放射線の材料への入射角度を約90度とした(特定された種類の)入射放射線の百分率に関してであることを理解されたい。
【0033】
吸収された放射線を、ヒト皮膚に対して治療効果のある放射線に変換する特性を含む実施形態では、所定の治療波長の放射線の量(amount)は、材料に入射する太陽光によってもたらされるその波長の放射線の量を超えていてもよい。
【0034】
材料は、光学的特性が異なる第1の層および第2の層を含んでいてもよい。
【0035】
第1の層は、治療放射線を放出または発光するための蛍光剤を含んでいてもよい。
【0036】
第2の層は、皮膚損傷の原因となる放射線の相当な量(a substantial amount)を除去するフィルター機能を有していてもよい。
【0037】
好ましい実施形態によれば、材料は、この材料を使用者の皮膚と太陽との間に置いて太陽光に曝した場合に、処置されるべき症状に対して実質的な効果を生じるのに十分な量の治療放射線を、材料から皮膚へデリバー(deliver)すなわち照射できるような光学的特性を有する。
【0038】
傘、日傘またはサンシェードにこの材料を使用する場合、この材料と皮膚との間の距離を、通常数センチメートル〜数メートルとするであろう。
【0039】
衣料品の場合には、材料は通常皮膚の近くにあるであろう。
【0040】
一般に材料の光学的特性は、以下のようなものである。すなわち、所望のスペクトル帯域にある治療放射線であって、処置されるべき症状に対して実質的な効果を生ずるに十分な量(amount)の当該治療放射線を、皮膚に照射できるようにすることにより、上述の所望のスペクトル帯域付近のいずれの側のスペクトル帯域であってもその帯域中のある(好ましくはほとんどの)波長で照射される放射線の強度が、上述の所望のスペクトル帯域中の波長のうちの少なくとも一部の波長で照射される放射線の強度よりも著しく少なくなる特性である。
【0041】
一部の好ましい実施形態では、材料の光学的特性は、以下のようなものである。すなわち、この光学特性は、使用中、材料が、所望のスペクトル帯域(一実施形態では、400nm〜500nm)中の治療放射線波長の放射線を有効量、当該波長よりも短い波長(前記一実施形態では400nm〜380nm以下)で照射される放射線の強度よりも数倍高い強度で、かつ多くの、当該波長よりも長い波長(前記一実施形態では約500nm〜700nm)で照射される放射線の強度の少なくとも2倍の強度で、照射するような特性である。
【0042】
本発明の第4の態様によれば、使用中、すなわち太陽光下において着用者によって運ばれるまたは着用される場合、材料が、少なくとも着用者の皮膚の領域を、太陽光中の、皮膚損傷の原因となる電磁放射線から防護できる一方で、ヒト皮膚に対して治療効果のある放射線を上述の材料から着用者の皮膚の上述の領域へ透過させるような光学的特性を有する材料から製造されている部分を少なくとも含む、持ち運びできる品目すなわち物品を提供する。
【0043】
品目を衣料品とし得る。
【0044】
衣料品は、シャツや帽子、または何か他の衣料品であってもよい。
【0045】
材料は、好ましくは第1、第2および第3の態様のうちの少なくとも1つによるものである。
【0046】
持ち運びできる品目は、好ましくは、ファブリックを含む衣料品を含んでいて、この衣料品は、治療効果を有する選択スペクトル帯域における1つ以上の波長で放射線を発する蛍光成分を含有するので、放出された治療放射線を、この品目の着用者の皮膚に照射すなわち送出することができ、しかも太陽光の下でこの品目を着用する場合、選択スペクトル帯域中の十分な量の放射線を、皮膚に照射して治療効果を達成するようにする(皮膚に照射される治療放射線は、蛍光剤による放射線とファブリックによって透過された太陽光の成分との組み合わせであってもよい)。
【0047】
本発明の第5の態様によれば、太陽光中の、皮膚損傷の原因となる電磁放射線から皮膚を防護する方法であって、
太陽光中の、少なくとも皮膚損傷の原因となる電磁放射線の相当な部分を吸収し;および
太陽光中の、ヒト皮膚に対して治療効果のある電磁放射線の相当な量を透過させる、
という光学的特性を有する材料を通して、太陽光からの電磁放射線の一部を皮膚へ照射し、および
それにより、太陽光からのヒト皮膚に対して治療効果のある電磁放射線に皮膚を曝すことを可能にする方法が提供される。
【0048】
本発明の第6の態様によれば、太陽光中の、皮膚損傷の原因となる電磁放射線から皮膚を防護する方法であって、
太陽光中の、少なくとも皮膚損傷の原因となる電磁放射線の相当な部分を吸収し;
吸収された放射線の少なくとも一部を、ヒト皮膚に対して治療効果のある放射線へと変換する;
という光学的特性を有する材料によって少なくとも部分的に形成された障壁を太陽光に対して設け、および太陽光中の電磁放射線の少なくとも一部を皮膚へ照射しないようにすること、および
それにより、ヒト皮膚に対して治療効果のある電磁放射線に皮膚を曝すことを可能にする方法が提供される。
【0049】
本発明の第7の態様によれば、太陽光中の、皮膚損傷の原因となる電磁放射線から皮膚を防護する方法であって、
太陽光中の、少なくとも皮膚損傷の原因となる電磁放射線の相当な部分を吸収し;および
太陽光中の、ヒト皮膚に対して治療効果のある電磁放射線の相当な量を透過させる;
という光学的特性を有する材料を通して、太陽光からの電磁放射線の一部を皮膚へ照射し、
吸収された放射線の少なくとも一部を、ヒト皮膚に対して治療効果のある放射線へと変換し;および
それにより、ヒト皮膚に対して治療効果のある電磁放射線に皮膚を曝すことを可能にする方法が提供される。
【0050】
この方法は、皮膚治療のために使用されてもよい。
【0051】
光の照射前に皮膚表面に局所薬を塗ることができる。
【0052】
局所薬は、光増感剤の前駆体であってもよい。
【0053】
本発明の他の実施形態によれば、ファブリックは、綿などの天然繊維、または天然繊維と人造繊維との混合物を含んでもよい。
【0054】
本発明の第8の態様によれば、電磁放射線の治療波長を選択的に反射する色素によって被覆された繊維を含むファブリックであって、この色素からの1回または2回以上の反射によって、上述の電磁放射線の治療波長がファブリックを経て透過するようにした、当該ファブリックが提供される。
【0055】
好ましくは、色素は、繊維による上述の治療波長の吸収を実質的に妨げる。
【0056】
好ましくは、上述の電磁放射線の治療波長の上述のファブリックを経る透過は、同様の繊維であるが染色されていない当該繊維を含む類似構造のファブリックを経る、上述の波長の透過の少なくとも2倍の量である。
【0057】
本発明の第9の態様によれば、太陽光中の、皮膚損傷の原因となる電磁放射線から皮膚を防護する方法であって、
太陽光中の、少なくとも皮膚損傷の原因となる電磁放射線の相当な部分を吸収し;および
太陽光中の、ヒト皮膚に対して治療効果のある電磁放射線の相当な量を透過させる;
という光学的特性を有する材料を経て、太陽光からの電磁放射線の一部を皮膚へ照射し、および
それにより、ヒト皮膚に対して治療効果のある電磁放射線に皮膚を曝すことを可能にし;
上述の材料として、第8の態様によるファブリックを用いる、方法が提供される。
【0058】
上述した随意的なまたは好ましい特徴は、本発明の様々な態様に適用可能であることを理解されたい。
【0059】
「ヒト皮膚に対する治療効果」との用語は広義に解釈されることを理解されたい。例えば、細菌を破壊するが、ヒト皮膚に対して有意義でない他の治療効果または有害な効果を有する放射線は、この用語の意義内にあるものとして考慮すべきである。
【0060】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を一例としてのみ、説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0061】
図1を参照して、一実施形態では、100で概略的に示す材料を概略的につき説明する。図中、大きい矢印105は材料100に入射する太陽光の全スペクトルの放射線を示し、かつ小さい矢印110は、材料を透過したより少量の放射線を示し、残りの放射線は材料によって効率的にフィルタリングされる。
【0062】
重要なことであるが、太陽光中に存在するある波長は、皮膚にとって有害であることが知られている。一般的に、約100〜400nmの紫外域のスペクトルの波長は有害であると考えられ、太陽光線による紅斑反応が最大となる約290nm〜330nmの帯域の波長は、特に危険である。材料100の光学的特性は、相当な量の有害な放射線をフィルタリングして除去するような特性である。太陽光中に存在するある波長は、治療効果を有することが知られている。すなわち、400〜500nmおよび特に400〜420nmの波長は、座瘡に対して治療効果があり、しかも細菌の破壊を促進することが分かっている。550〜700nm、好ましくは590〜670nm(特に590nmおよび632nm)の波長は、皮膚の若返りおよび皺の減少を助け、血行を改善しかつ毛髪の成長範囲を刺激することが分かっている。700〜900nmの範囲の赤外光は、組織の治癒を刺激することが分かっている。約380nmのUVB光は、乾癬および他の症状の処置に有用であることが分かっている。他の波長は、脱毛、過度の色素沈着の除去または減少に対して治療効果があることが分かっている。材料100の光学的特性は、少なくとも1種類の治療放射線の相当な量を透過させるような特性である。
【0063】
一実施形態では、材料100は、比較的少量(a relatively small proportion)の入射太陽光105のみを透過させ、かつスペクトルのうち治療効果を有する1つまたは2つ以上の帯域部分のみを実質的に透過させるファブリック(生地)である。そのようなファブリックは、シャツ、帽子および他の衣服に使用できる。材料は、1つまたは2つ以上のスペクトル帯域の放射線を透過し得る。
【0064】
一実施形態では、ファブリックは、ポリエステルまたはナイロンなどのポリマーから、または綿などの天然のファブリックから、またはポリマー/天然のファブリックの組み合わせから作製されたファブリックを含む。ファブリックは、任意にスパンデックス(またはエラステイン(elastane))成分を有してもよい。ファブリックの繊維を、透過させるのが望ましいスペクトル帯の光を散乱させる(または反射する)ダイで被覆する。所望のスペクトル帯域の光を、繊維自体(繊維材料および波長に依存して、所望のスペクトル帯域の波長に対して幾分透明または半透明であってもよい)を透過させることによって、かつ繊維の染色表面からの多重散乱によって、そのようなファブリックを通過して透過させることができる。特に、繊維が所望のスペクトル帯域の波長に対してあまり透明または半透明ではない環境では後者のメカニズムが主流であるようだ。かなりの密度の織りであるファブリックの構成と、繊維および色素(または染料ともいう)のUV吸収特性とによって、有害な紫外放射線をファブリックを経てほとんどまたは全く着用者まで透過させないことを保証する。座瘡の処置(例えば400nm〜450nmのスペクトル帯域の光を透過させる)のために、例えばシャツや帽子などの衣服に使用されるファブリックへの使用に好適な色素の一例としては、Dharma Trading Co.からのPigments 105 SLO Period Blueがあり、これは、スペクトルの青色領域において良好な反射特性を有する。当然ながら、要望通りに、スペクトルの他の領域において良好な反射特性を有する多くの他の色素を使用して、スペクトルの対応する領域部分においてファブリックの透過特性を高めることができる。
【0065】
図2を参照して、第2の実施形態における、200で概略的に示す材料につき説明する。この実施形態では、入射太陽光線の一部が透過され、一部が材料200によって吸収され、かつ吸収放射線の一部が、治療効果のある1つまたは2つ以上の波長において再放出すなわち再発光される。図2に示すように、大きい矢印205は材料200に入射する全てのスペクトル帯域の太陽光を示し、第1の小さい矢印210は、材料200を透過したより少量の放射線を示し、第2の小さい矢印220は、材料200によって再放出されたある量の放射線を示す。
【0066】
第1の実施形態100のように、材料200は、シャツ、帽子および他の衣服に使用できるファブリックでとすることができる。材料200は、1つ以上のスペクトル帯域において放射線を透過および放出(すなわち発光)の双方またはいずれか一方を行ってもよい。
【0067】
さらなる(第3の)実施形態に含まれる材料は、当該材料を通って実質的に太陽光を単純には透過させないが、当該材料の、太陽光が入射する側とは反対側から、ある治療放射線を放出させる材料であると理解されたい。そのような実施形態を示す概略図は、事実上図2の図と同じであるが、その場合には、第1の小さい矢印210が除外される。それゆえ、そのような実施形態を別の図に明白に示していない。
【0068】
上述の3つの実施形態の一般的な説明に関連して説明されるように、太陽光中の有害な放射線(または有害成分を有する他の電磁放射線)の少なくとも一部から対象を遮蔽して治療放射線をこの対象に到達できるように透過および放出の双方またはいずれか一方を行うようにするために、材料を使用するということは、有害な放射線から対象を防護する方法、および治療する方法に対応しているとすることができる。このような方法の特に好適な形態は、そのような材料から製造された衣服を使用し、かつ光源として太陽光を使用することである。これにより、例えば戸外を歩いている間、ガーデニングの間などといった時間を好都合にも処置時間として取ることが可能となる。これとは対照的に、光を使用する他の多くの治療方法では、患者は、時折長時間、光源の近くに静止したままでいる必要がある。本発明の実施形態により提供され得る衣料品は、主にシャツおよび帽子を含み、および(何らこれらに限定されないが)スカートおよびズボンなどの他の衣料品も含む。当然、衣服に代替するものも可能である:例えば、この材料から製造された日傘や傘も同様の効果をもたらし得る。
【0069】
一実施形態では、材料の光学的特性によって、400〜420nmの範囲の波長の透過および放出の双方またはいずれか一方を可能にすることができる。対象者の皮膚をこれらの波長に曝すことより、有用な座瘡の治療(または処置)をもたらすかもしれない。この波長範囲における放射線は、細菌によって生成されたポルフィリンと相互作用し、かつこの光力学反応が細菌を破壊し、座瘡を減少させる。このような実施形態では、400〜440nmまたは400〜490nmなどのより広い波長範囲の波長の放射線の透過および放出の双方またはいずれか一方を排除しておらず、一部の実施形態は、これらの波長をターゲット(target)すなわち使用の対象としてもよい。一部の実施形態では、座瘡(および/または処置すべき他の状態)の治療(または処置)に好適とし得る他の波長を、追加してまたはその代替として使用の対象にできる。
【0070】
光は、ヒト細胞によって生成されたポルフィリンと相互作用する。その効果を、光増感特性を有する局所クリームを塗布することによって増幅できる。そのようなクリームには、ポルフィリンの前駆体の一部または他の光増感剤が含まれていてもよい。適切な物質、例えば、一実施形態では局所クリームとし得る当該物質を塗布することによって、上述のように皮膚の治療方法の有効性の改善を図ることができるかもしれない。この方法では、1種または2種以上の光増感剤を使用する場合を含む。変形例では、光増感剤を、皮膚に塗布する以外の方法において使用してもよい。例えば経口的にまたは静脈内に投与される光増感剤を使用してもよい。使用して好適な局所クリームおよび光増感剤はそれ自体が公知であり、本明細書ではその説明を省略する。
【0071】
当然、座瘡以外の症状に対して治療効果を有する波長を使用することもできる。可視スペクトルのオレンジおよび赤色領域の波長は、コラーゲン増殖を刺激し皮膚の若返り効果を有することが知られている。このスペクトル領域の光と線維芽細胞との相互作用は、この細胞の増殖を刺激する。他のいくつかの光線療法の使用例は、上述した通りである。
【0072】
好ましい実施形態では、材料をファブリックとし、そのような材料からの(またはそのような材料を組み込む)快適な衣料品の製造を容易にする。所望の光学的特性を有するファブリックの製造においては、以下の合成繊維が、使用して好都合なポリマー材料の例である:アセテート;アクリル;ナイロン;ラテックス;ポリエステル;レーヨン。当然なことであるが、綿などの天然繊維、または天然繊維と人造繊維との混合物を含め、他の材料を使用することもできる。スパンデックスを構成成分として有するファブリック、たとえばナイロン/スパンデックスまたはポリコットン(polycotton)/スパンデックスのファブリックなどを使用することが特に有利であることが判明している。
【0073】
繊維またはファブリックに蛍光色素またはフィルター色素(filtering dye)を含浸させることができる。可視および近赤外スペクトルにおいて光を放出する市販のレーザー色素および蛍光色素が数多くあり、かつそれらから、所望の治療波長を放出するのに好適な色素を選択して、材料に使用することができる。例えばクマリン系色素(COUMARIN group of dyes)からの青色蛍光色素を使用して青色帯域(400〜440nm)蛍光を放出できる。同様に、他の帯域の蛍光を放出する市販の蛍光色素を、必要に応じて使用することができる。一般に、ファブリックを、標準的な方法を使用して染色できる。色素をその光学特性に従って選択でき、UVA、UVBおよびUVCなどの望ましくない波長の透過を最小限にする(これらの波長が、乾癬などの症状を処置するために特に必要とされていない限り)1種または2種以上の色素を選択することが望ましい。本来蛍光性である色素の使用によって、特定の波長において光を効果的に増幅できるので、所望の治療効果を高めることができる。
【0074】
特定の波長の光を反射および放出(すなわち発光)するように作れる、あつらえの色素、特にあつらえの蛍光色素が市販されている。約400nmから上側の、任意の所望の10〜20nm帯域(または所望ならば、より広帯域幅)の光を発光する蛍光色素が入手可能である。供給業者により、ある色素は、特定の症状の処置に有用である、赤外線スペクトルにおいて透過または増幅できるように作られている。それゆえ、所望のスペクトル帯域において透過および蛍光の放出の双方またはいずれか一方を行うファブリックを作製するために好適な色素は、市場で入手できる。一般的に色素の色は、特定の症状を処置するために衣類、衣服、サンシェード、ポリマーまたは合成材料、フィルム、傘などを透過することが望ましい光の波長に直接相関している。
【0075】
一実施形態では、治療放射線を対象者の皮膚に照射(または送出)する一方で、有害な放射線から対象者の皮膚を防護するために、ポリマーベースのファブリックは、所望の治療放射線に対して実質的に、または少なくとも部分的に、透明(および/または半透明)であり、太陽光中の有害な放射線部分の相当の部分を吸収し;および太陽光中の少なくとも一部の望ましくない部分を所望の治療放射線に変換する必要がある。
【0076】
有効な実施形態の一例は、好適な蛍光色素を用いて染色したナイロン/スパンデックスファブリックである。
【0077】
一部の実施形態では、ファブリックにおける色素の濃度を、有害な放射線のほとんどを吸収するのに十分なくらい高くする必要がある(しかし、図4の実施形態についての以下の説明を参照のこと)。
【0078】
一例として、以下の色素を使用して紫外(UV)線を青色光に変えることができる。色素例として、DAPIとHoechst33342とがある。これらの色素はそれ自体が公知であり、蛍光分光法において使用されることもある。双方とも約300nm〜400nm間の光を強力に吸収し、かつ約400nm〜500nm間の光を放出する(すなわち蛍光を発する)。
【0079】
それゆえ、例えば、DAPI色素で含浸されたポリエステルまたはナイロンスパンデックスファブリックを使用して、紫外放射線から皮膚を防護しかつ400nm〜450nmの範囲の青色光の照射を増大できるので、座瘡に対する治療効果が生じる。
【0080】
Cy3色素として知られる蛍光色素は、470〜570nmの範囲の励起スペクトルと、550〜650nmの赤色スペクトル中の蛍光(放出)スペクトルとを有する。大まかに言って、この色素は入射放射線の波長を短い波長から長い波長へ「シフト」させると考えられる。この色素を、ファブリックを製造するためのポリマーに埋め込んでおけば、そのファブリックを使用して、線維芽細胞を刺激する波長に(ファブリックに覆われた領域が)曝されている間、太陽光の有害な波長から使用者を防護できる。
【0081】
例えば、商標CoolDryとして販売されていような合成ファブリックを、赤色放射線を皮膚に照射するための、Cy3色素を使用して染色された形態で製造できる。この例において、470〜570nmの範囲の放射線の少なくとも一部が吸収されて、所望の治療効果を有する550〜650nmの範囲の放射線に変換される。それゆえ、この実施形態では、治療放射線に「変換」するのに用いられた、吸収された放射線の少なくとも一部は、特に有害であるとは考えられない。
【0082】
一部の実施形態では、数種類の色素の組み合わせを使用して、有害な放射線からのより良好な防護とより多くのまたはより広い範囲の治療放射線への対象者の皮膚の曝露との双方またはいずれか一方を行うことができる。例えば、ファブリックの作製にDAPI色素およびCy3色素の双方を使用することは、座瘡の治療に有用な、(DAPIによって入射UVから効果的に変換された)400〜440nmの範囲の青色光、および皮膚の再生に有用な、(Cy3によって470〜570nmの範囲の光から効果的に変換された)550〜650nmの範囲の赤色光を皮膚に提供できる。
【0083】
図3(A)を参照して、野球帽300として示す帽子の形態の衣料品の実施形態につき説明する。この野球帽は、図2の実施形態による(すなわち、第2の実施形態による、ただし上述の3つの実施形態のうちの最初または三番目を使用することによって変形例を提供できる)材料から形成されたつば301を有する。矢印305で示されている、つば301に入射する太陽光中の相当な量の有害な放射線はフィルターで除外され、かつ透過した放射線と再放出された放射線とがを組み合わさって放射線310となり、この組み合わされた放射線は、実質的な治療的成分を含み(および太陽光と比較して有害成分は低減されている)、これが野球帽300の着用者320の顔に入射する。野球帽300につき説明しているが、当然、本発明は、他の形態の頭に着用するもの、おそらく最も適切には連続的な広いつばを有する帽子にも適用できる。変形例では、つばの有無にかかわらず帽子全体を、太陽光中の有害成分から着用者の頭部を防護するが、550〜700nmの黄色−赤色領域中の発毛を刺激すると考えられるより増量された(increased levels)波長の光に着用者の頭部を曝らせるように適合された材料から、形成してもよい。これにより、望ましくない脱毛または薄毛化に対する好適な処置を容易に行い得る。
【0084】
図3(B)に概略的に示している、現在好ましいとされている一実施形態は、座瘡を処置する一方で太陽光中の有害成分から着用者を防護するために使用して好適なシャツ350である。この実施形態では、シャツ350を、84%ナイロンおよび16%スパンデックスの、平方メートル当たり約170グラム(58/60”×240g/y)の重量のナイロン/スパンデックスファブリックから形成する。ファブリックの織り密度は、約95%、および好ましくは97%以上である(および70D/48Fのナイロンおよび40Dのスパンデックスとして特定される)。そのようなファブリックは効果的なUV防護を提供できる。シャツファブリックを蛍光色素を用いて染色し、一実施形態では、American Dye Source Incから入手可能な色素ADS129BE、(ジメチルフェニルでエンドキャップされた(end capped with dimethylphenyl)ポリ(9,9−ジオクチルフルオレニル−2,7−ジイル)(poly(9,9-dioctylfluorenyl-2,7-diyl)))が、使用される。この色素はUVを吸収し、かつ約410nmから上側で放出する、438nmにおいて最大のフォトルミネッセンスを有する。一般にわずかに低い波長において最大のフォトルミネッセンスを有する他の関連する色素(ADS229BE、ADS329BE、ADS429BE、ADS131BE、ADS231BE、ADS331BE、ADS431BEなど)も、使用に適し得る。太陽光の下でそのようなシャツを着用することは、太陽光における有害なUVから防護を提供する一方で、座瘡に治療的であると判明している青色スペクトル帯域の波長に曝して有益であることを理解されたい。好ましい実施形態では、ターゲット波長での蛍光発光であるために、所望の治療スペクトル帯域における提供された放射線の強度が、自然太陽光中の放射線の強度を超えてもよい。半袖のシャツ30を示すが、当然、本発明は、他のスタイルのシャツにも適用でき、おそらく最も適切には、長袖のシャツが、太陽光の有害な影響からのより良い防護を提供する。この実施形態の説明は、当然例証としてのみ与えられ、異なる繊維および色素の双方またはいずれか一方を組み込む、および異なる波長を用いて異なる症状を処置するための様々な関連する実施形態を提供できることを理解されたい。
【0085】
本発明の実施形態を実現するために、ファブリックに色素を適用し得る何通りかの考えられる方法がある。おそらく、最も容易な方法は、ファブリック繊維を例えば液体色素に浸漬させてファブリック繊維の全表面を色素(好ましくは蛍光色素)で被覆することによって、ファブリック全体を染色することである。代替的な一方法は、色素の埋め込まれたポリマー繊維を使用することである。この方法は、専門的な製造方法を必要とするため、より高価なものとなる。別のオプションは、例えば噴霧によって、ファブリックの一面に蛍光色素を適用する方法である。この方法の利点は、衣料品を形成するファブリックの内側の面にのみ蛍光色素を適用し得るので、衣料品の外側からは、ファブリックが目立って蛍光を発しているようには見えないことにある。この場合、色素の励起スペクトル帯域における放射線が十分な強度でファブリックを通って色素に到達するように、ファブリックを設計または選択する必要がある。
【0086】
さらに、またはその代わりに、本発明による材料は2層以上を備えていてもよいが、その場合、異なる層は異なる光学的特性を有するが、材料全体としては所望の光学的特性を有するようにする。例えば、図4に概略的に分解した状態で示すように、400で全体的に示している材料は、第1の蛍光層402および第2のフィルター層404を有する。第1の蛍光層402は、有害な放射線を吸収しかつ治療放射線を放出する色素を含む。第2のフィルター層404は、実質的に治療放射線に対しては透明であるが、実質的に有害な放射線に対しては不透明である。図4は、かなりの量の有害な入射放射線406と比較的少量の入射治療放射線408とが、第1の層402に入射する状況を概略的に示す。第1の蛍光層402は、ある量の有害な放射線を吸収し、かつ治療放射線を透過させるとともに放出もするので、第2のフィルター層404に到達する有害な放射線416の量が低減され、かつ増大された量の治療放射線418が第2のフィルター層404に到達する。この第2のフィルター層404は、残りの有害な放射線を取り除くので、有害な放射線は材料400を実質的に通過しないが、増大した量の治療放射線418の実質的に全てがこの材料から出射する。図4は分解図であり、実際的な実施形態では、両層402、404は通常互いに接触していると理解されたい。放射線の図示は概略的なものであり、入射する有害および治療の両放射線は、おそらく太陽光のスペクトルの成分であることも理解されたい。一実施形態では、第2のフィルター層404は、ファブリックの形態の第1の蛍光層402に塗布されたコーティングすなわち被覆とし得る。コーティングは、効果的に紫外放射線をフィルターする一方で可視光を透過させると判明している、酸化亜鉛などの好適な金属酸化物など、無機物質のナノ粒子を含むことができる。
【0087】
図5(A)および5(B)は、図3(B)を参照して上述したシャツの製造に使用するのに好適な、染色されていない材料(生機(griege:グレイジ))および染色された材料を示す。
【0088】
図6(A)および6(B)は、帽子の製造に好適な、染色されていない材料および染色された材料を示す。
【0089】
図5(B)は、図3(B)を参照して説明した、蛍光色素ADS129BEを用いて染色した、84%ナイロンおよび16%スパンデックスの材料を示す。図5(C)は、染色された材料の、および比較のために、同じファブリックであるが染色されていない材料の太陽光への曝露時の放射線の送出量すなわち照射量を示す。図5(C)に示すように、染色された材料は、(座瘡の処置に治療効果のある)400nm〜500nmのスペクトル帯域における放射線の量を増大(約30%)して送出し、近接のスペクトル帯域における放射線の量を低減して送出する。
【0090】
生機を通した太陽光または送出光すなわち照射光のどちらと比較しても、紫外(400nm未満)線の量は実質的に低減される。材料は、約580nm〜700nmの波長を送出するのと同様に効果的に400nm〜500nmの波長を2倍超(ほぼ3倍)送出する。約760nm超の波長の送出も増大されることに留意されたい。これは、色素がこれらの波長の有効な反射体であり、染色された繊維表面での多重散乱によってこれらの波長のファブリックへの透過性を高め、かつ繊維による吸収を低減させることに起因する。これにより、さらに利点を提供し得る。なぜなら、このような波長における赤外線は治療特性を有し得るからである。
【0091】
多くの市販の蛍光色素から好適な1つを選択することによって、放射線の送出量を増大させて治療効果をもたらすことができるスペクトル帯域の選択が可能となる。
【0092】
本明細書において、従来技術の公報を参照しているが、そのような文献はいずれも、該公報が、オーストラリアまたは他のいかなる国においても当該技術分野における一般的に周知の知識の一部を形成していることを認めるものではないことを理解されたい。
【0093】
特許請求の範囲においておよび上記の本発明の説明において、言語または必要な包含の表現のために文脈が必要とする場合を除いては、用語「含む、備える(comprise)」または「含む、備える(comprises)」または「含む、備える(comprising)」などの変形例は、包括的な意味で使用され、すなわち上述の特徴の存在を特定するが、本発明のさまざまな実施形態における別の特徴の存在または追加を排除しない。
【0094】
上述の本発明に関しては、変形例および修正例を施すことができ、特許請求の範囲に規定され得る。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】入射電磁放射線と透過電磁放射線とを概略的に示す、本発明の実施形態による材料片を示す概略的な断面図である。
【図2】入射電磁放射線と発光電磁放射線と透過電磁放射線とを概略的に示す、本発明の代替的な実施形態による材料片を示す概略的な断面図である。
【図3】(A)は、本発明の一実施形態による、使用中の野球帽の形態の衣料品を示す概略図、(B)は、本発明の他の実施形態による、シャツの形態の衣料品を示す概略図である。
【図4】入射放射線と発光放射線と透過放射線とを概略的に示す、本発明の代替的な実施形態による材料片を示す概略的な断面分解図である。
【図5】(A)及び(B)は、シャツの形態の本発明の実施形態を製造するのに好適な染色されていない材料および染色された材料のそれぞれを示すイメージ図、(C)は(B)の材料の放射線照射量を示す図である。
【図6】(A)及び(B)は、帽子の形態の本発明の実施形態を製造するのに好適な、染色されていない材料および染色された材料のそれぞれを示すイメージ図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の光学的特性を有する材料を含む防護材。
太陽光中の、少なくとも皮膚損傷の原因となる電磁放射線の相当な部分を吸収すること;および
太陽光中の、ヒト皮膚に対して治療効果のある電磁放射線の相当な量を透過させること。
【請求項2】
前記材料の前記光学的特性は、少なくとも部分的に、前記材料が1種または2種以上の顔料を用いて染色された結果として生じている、請求項1に記載の材料。
【請求項3】
前記材料はファブリックである請求項1または2に記載の材料。
【請求項4】
前記ファブリックは、1種または2種以上の顔料を用いて染色されたポリマー繊維から作られている、請求項3に記載の防護材料。
【請求項5】
ヒト皮膚に対して治療効果のある前記放射線は、ポルフィリンによって吸収される波長を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の材料。
【請求項6】
ヒト皮膚に対して治療効果のある前記放射線は、400〜490nmの範囲の波長を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の材料。
【請求項7】
ヒト皮膚に対して治療効果のある前記放射線は、コラーゲン増殖を刺激する波長を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の材料。
【請求項8】
ヒト皮膚に対して治療効果のある前記放射線は、590〜670nmの波長を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の材料。
【請求項9】
ヒト皮膚に対して治療効果のある前記放射線は、組織の治癒を刺激しかつ700nm〜900nmの範囲である波長を含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の材料。
【請求項10】
太陽光中の、前記材料によって吸収される、皮膚損傷の原因となる前記電磁放射線の少なくとも一部は紫外放射線である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の材料。
【請求項11】
以下の光学的特性を有する材料を含む防護材。
太陽光中の、少なくとも皮膚損傷の原因となる電磁放射線の相当な部分を吸収すること;および
吸収された前記放射線の少なくとも一部を、ヒト皮膚に対して治療効果のある放射線へと変換すること。
【請求項12】
前記材料の前記光学的特性は、少なくとも部分的に、前記材料が1種または2種以上の蛍光顔料を用いて染色された結果として得られている、請求項11に記載の材料。
【請求項13】
前記材料はファブリックである請求項11または12に記載の材料。
【請求項14】
前記ファブリックは、1種または2種以上の顔料を用いて染色されたポリマー繊維から作られている、請求項13に記載の材料。
【請求項15】
ヒト皮膚に対して治療効果のある前記放射線は、ポルフィリンによって吸収される波長を含む、請求項11〜14のいずれか一項に記載の材料。
【請求項16】
ヒト皮膚に対して治療効果のある前記放射線は、400〜490nmの範囲の波長を含む、請求項11〜15のいずれか一項に記載の材料。
【請求項17】
ヒト皮膚に対して治療効果のある前記放射線は、コラーゲン増殖を刺激する波長を含む、請求項11〜16のいずれか一項に記載の材料。
【請求項18】
ヒト皮膚に対して治療効果のある前記放射線は、590nm〜670nmの波長を含む、請求項11〜17のいずれか一項に記載の材料。
【請求項19】
太陽光中の、前記材料によって吸収される、皮膚損傷の原因となる前記電磁放射線の少なくとも一部は紫外放射線である、請求項11〜18のいずれか一項に記載の材料。
【請求項20】
ヒト皮膚に対して治療効果のある前記放射線は、組織の治癒を刺激しかつ700nm〜900nmの範囲である波長を含む、請求項11〜19のいずれか一項に記載の材料。
【請求項21】
以下の光学的特性を有する材料を含む防護材。
太陽光中の、少なくとも皮膚損傷の原因となる電磁放射線の相当な部分を吸収すること;
太陽光中の、ヒト皮膚に対して治療効果のある電磁放射線の少なくとも一部を透過させること;および
吸収された前記放射線の少なくとも一部を、ヒト皮膚に対して治療効果のある放射線へ変換すること。
【請求項22】
前記材料の前記光学的特性は、少なくとも部分的に、前記材料が1種または2種以上の顔料を用いて染色された結果として得られている、請求項21に記載の材料。
【請求項23】
前記材料はファブリックである請求項21または22に記載の材料。
【請求項24】
前記ファブリックは、1種または2種以上の顔料を用いて染色されたポリマー繊維から作られている、請求項23に記載の材料。
【請求項25】
ヒト皮膚に対して治療効果のある前記放射線は、ポルフィリンによって吸収される波長を含む、請求項21〜24のいずれか一項に記載の材料。
【請求項26】
ヒト皮膚に対して治療効果のある前記放射線は、400〜490nmの範囲の波長を含む、請求項21〜25のいずれか一項に記載の材料。
【請求項27】
ヒト皮膚に対して治療効果のある前記放射線は、コラーゲン増殖を刺激する波長を含む、請求項21〜26のいずれか一項に記載の材料。
【請求項28】
ヒト皮膚に対して治療効果のある前記放射線は、590nm〜670nmの波長を含む、請求項21〜27のいずれか一項に記載の材料。
【請求項29】
太陽光中の、前記材料によって吸収される、皮膚損傷の原因となる前記電磁放射線の少なくとも一部は紫外放射線である、請求項21〜28のいずれか一項に記載の材料。
【請求項30】
ヒト皮膚に対して治療効果のある前記放射線は、組織の治癒を刺激しかつ700nm〜900nmの範囲である波長を含む、請求項21〜29のいずれか一項に記載の材料。
【請求項31】
前記材料は織布である請求項1〜30のいずれか一項に記載の材料。
【請求項32】
前記材料は、スパンデックス(エラステイン)成分を含むファブリックである請求項1〜31のいずれか一項に記載の材料。
【請求項33】
光学的特性を有する材料から製造された部分を少なくとも含み、
該光学特性は、
使用時に、太陽光下において着用者によって運ばれるまたは着用される場合、前記材料が、少なくとも前記着用者の皮膚の領域を、太陽光中の、皮膚損傷の原因となる電磁放射線から防護できる一方で、ヒト皮膚に対して治療効果のある放射線を前記材料から前記着用者の皮膚の前記領域へ透過させるような特性である持ち運びできる品目。
【請求項34】
請求項1〜32のいずれか一項に記載の材料を含む、請求項33に記載の持ち運びできる品目。
【請求項35】
請求項33または34に記載の持ち運びできる品目である衣料品。
【請求項36】
太陽光中の、皮膚損傷の原因となる電磁放射線から皮膚を防護する方法において、
以下の光学的特性:
太陽光中の、少なくとも皮膚損傷の原因となる前記電磁放射線の相当な部分を吸収すること;および
太陽光中の、ヒト皮膚に対して治療効果のある電磁放射線の相当な量を透過させること;
を有する材料を経て、前記太陽光からの電磁放射線の一部を前記皮膚へ照射し、および
それにより、前記皮膚を太陽光からのヒト皮膚に対して治療効果のある電磁放射線に曝らすことを可能にしたこと
を含む、方法。
【請求項37】
前記方法は皮膚治療のための方法である、請求項36に記載の皮膚の防護方法。
【請求項38】
前記材料はファブリックである、請求項36または37に記載の皮膚の防護方法。
【請求項39】
前記材料は、請求項1〜10のいずれか一項に記載の材料であるか、または請求項1〜10のいずれか一項に従属する場合の請求項31または32に記載の材料である、請求項36〜38のいずれか一項に記載の皮膚の防護方法。
【請求項40】
太陽光中の、皮膚損傷の原因となる電磁放射線から皮膚を防護する方法において、
太陽光に対する障壁、すなわち以下の光学的特性:
太陽光中の、少なくとも皮膚損傷の原因となる前記電磁放射線の相当な部分を吸収すること;
吸収された前記放射線の少なくとも一部を、ヒト皮膚に対して治療効果のある放射線へと変換すること;
を有する材料によって少なくとも部分的に形成された当該障壁を設けることによって、前記皮膚に対する太陽光中の前記電磁放射線の少なくとも一部の照射を防止し、および
それにより、前記皮膚をヒト皮膚に対して治療効果のある電磁放射線に曝らすことを可能にしたこと
を含む方法。
【請求項41】
前記方法は皮膚治療のための方法である、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記材料は、ファブリックである、請求項40または41に記載の方法。
【請求項43】
前記材料は、請求項11〜20のいずれか一項に記載の材料であるか、または請求項11〜20のいずれか一項に従属する場合の請求項31または32に記載の材料である、請求項40〜42のいずれか一項に記載の皮膚の防護方法。
【請求項44】
太陽光中の、皮膚損傷の原因となる電磁放射線から皮膚を防護する方法において、
以下の光学的特性:
太陽光中の、少なくとも皮膚損傷の原因となる前記電磁放射線の相当な部分を吸収すること;および
太陽光中の、前記ヒト皮膚に対して治療効果のある電磁放射線の相当な量を透過させること;
を有する材料を経て、前記太陽光からの電磁放射線の一部を前記皮膚へ照射し、
吸収された前記放射線の少なくとも一部を、ヒト皮膚に対して治療効果のある放射線へと変換し;および
それにより、前記皮膚をヒト皮膚に対して治療効果のある電磁放射線に曝らすことを可能にしたこと
を含む方法。
【請求項45】
前記方法は皮膚治療のための方法である、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記材料はファブリックである、請求項44または45に記載の方法。
【請求項47】
前記材料は、請求項21〜30のいずれか一項に記載の材料であるか、または請求項21〜30のいずれか一項に従属する場合の請求項31または32に記載の材料である、請求項44〜46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
光の照射前に前記皮膚の表面に局所薬を適用する、請求項36〜47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
前記局所薬は、光増感剤の前駆体である、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
請求項33または34に記載の持ち運びできる品目の使用、または請求項35に記載の衣料品の着用を含む、請求項33〜49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
電磁放射線の治療波長を選択的に反射する色素によって被覆された繊維を含み、前記色素からの1回または2回以上の反射によって、前記電磁放射線の治療波長が前記ファブリックを透過するようにした、ファブリック。
【請求項52】
前記色素は、前記繊維による前記治療波長の吸収を実質的に妨げる、請求項51に記載のファブリック。
【請求項53】
前記電磁放射線の治療波長の前記ファブリックを通る透過は、同様な繊維であって染色されていない当該繊維を含む類似構造のファブリックを通る前記波長の透過より少なくとも3分の1より多く、好ましくは少なくとも2倍である、請求項51または52に記載のファブリック。
【請求項54】
太陽光中の、皮膚損傷の原因となる電磁放射線から皮膚を防護する方法において、
以下の光学的特性:
太陽光中の、少なくとも皮膚損傷の原因となる前記電磁放射線の相当な部分を吸収すること;および
太陽光中の、ヒト皮膚に対して治療効果のある電磁放射線の相当な量を透過させること;
を有する材料を経て、前記太陽光からの電磁放射線の一部を前記皮膚へ照射すること、および
それにより、前記皮膚をヒト皮膚に対して治療効果のある電磁放射線に曝らすことを可能にすること;
を含み、前記材料を、請求項51に記載のファブリックとした、方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公表番号】特表2009−500135(P2009−500135A)
【公表日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−520678(P2008−520678)
【出願日】平成18年7月14日(2006.7.14)
【国際出願番号】PCT/AU2006/000991
【国際公開番号】WO2007/006102
【国際公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【出願人】(508011762)サンソウル インコーポレーテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】SUNSOUL INC.
【Fターム(参考)】