説明

防護柵、防護柵用視線誘導標

【課題】反射部材の良好な視認性を確保するとともに、防護柵への強固な取り付けを実現することによる部材の反りを無くす。
【解決手段】支柱11に対してビームパイプを長手方向に連結するためのブラケット16をボルト接合することにより構成される防護柵1において、反射部材51が表面に設けられた本体部45と、本体部45の上端から突出させた突出片42と、本体部45の下端から突出され、更に側方へ開口されている開口スリット43が形成された固定片41とを有する視線誘導標4を備え、視線誘導標4の突出片42と固定片41は、ブラケット16と支柱11との間で保持され、上下に隣接する視線誘導標4における突出片42と固定片41は、互いに離間されてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路の歩車道境界に設置される防護柵が夜間においても視認できるようにするために設けられる防護柵用視線誘導標及びこれが設けられる防護柵に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般道路や高速道路等に設けられる道路用防護柵として、ガードレール、ガードパイプ等が従来から広く知られている。これらの道路用防護柵は、進行方向を誤った車両が路外、対向車線または歩道等に逸脱するのを防ぐとともに、車両乗員の傷害および車両の破損を最小限にとどめて、車両を正常な進行方向に復元させることを目的とし、また、歩行者および自転車の転落もしくは、みだりな横断を抑制する等の目的を兼ね備えている。
【0003】
特に、路肩に沿って配置されるガードパイプは、道路に臨んで帯状に走るように施工されるので、急カーブ等の道路の状況変化を誘導するための設備としても有用である。また、夜間における交通事故を軽減させる目的で、支柱の上部やビームパイプの表面に、ヘッドライトの光を効率よく反射させる反射材を設置したガードパイプも開発されている。
【0004】
例えば、特許文献1の図6〜8には、防護柵を構成する支柱と連結固定具との間にその上部を挟み込みできるように板状に形成され、その板状固定具の一端に立設された垂直壁に反射部材が固定された防護柵用反射具の構成が開示されている。ちなみに、この連結固定具とは、互いに端部を突き合わせたビームパイプを長手方向に連結するためのブラケットとしての役割を担うものである。しかしながら、当該防護柵用反射具は、その上部のみを介して連結固定具へ挟み込み固定する構成としている。このため、防護柵用反射具自体の回転ズレが生じたり、あるいは板状固定具の一端に反りが生じやすい。実際に防護柵用反射具の回転ズレや反りを抑えるためには、防護柵用反射具の板状固定具により近い位置に反射部材を設ける必要があるが、これを斜め上から視認する車両の運転者にとっては、連結固定具の存在により反射部材が隠れて視認性が悪化してしまうという問題点が生じる。また、この防護柵用反射具は板状固定具自体が大きな板で構成されているわけではなく、これに取り付けられる反射部材も小さくなり、その結果視認性を向上させることができないという問題点があった。
【0005】
また特許文献1における図6〜8において開示技術によれば、反射部材に形成された取付孔を利用して連結固定部と共にボルトにより共締めをする構成としていることから、当該反射部材を取り付ける度に、ボルトを当該連結固定部から取り外ししなければならない。
【0006】
また、この特許文献1の図4には、2つの固定具と、バー状の反射部材と、この反射部材の両端部を固定具に結合する結合部材とを組み合わせて構成された防護柵用反射具が開示されている。しかしながら、当該防護柵用反射具によれば、ビームパイプに取り付ける際において車道側に固定具が突出するため、当該ビームパイプに衝突してきた車両を当該ビームパイプに沿わせることで正しい方向へ誘導するとともに衝撃を和らげることが出来なくなる虞があった。当該防護柵用反射具は、歩行者や車両の運転者が普段からよく視認するビームパイプ上部に固定具が目立つように取り付けられることを前提とするものであり、景観上好ましくないという問題点があった。
【0007】
また、特許文献1の図2、3には、略L字状断面をなす取付板を有し、この取付板における一方の平面に反射部材を設けた防護柵用反射具が開示されている。しかしながら、当該防護柵用反射具も連結固定部の存在により反射部材が隠れてしまい、斜め上からこれを視認する車両の運転者にとって視認性を悪化させる要因にもなっていた。また、この防護柵用反射具は、略L字状断面をなす取付板の上部を1点のみ固定する構成であることから、回転ズレが生じる可能性もあり、視認性をさらに悪化させる要因にもなる。この技術と同様の技術は、特許文献4にも開示されている。
【0008】
また、特許文献1の図5には、固定具が防護柵のビームパイプに外嵌し得る略C字状断面の帯板からなり、この帯板の両端部が折り曲げられて互いに対向する面が形成され、この帯板の途中部分に反射部材が回動可能にねじで固定された防護柵用反射具が開示されている。しかしながら、当該防護柵用反射具によれば、ビームパイプに取り付ける際において車道側に固定具が突出するため、当該ビームパイプに衝突してきた車両を当該ビームパイプに沿わせることで正しい方向へ誘導するとともに衝撃を和らげることが出来なくなる虞があった。当該防護柵用反射具は、歩行者や車両の運転者が普段からよく視認するビームパイプ上部に固定具が目立つように取り付けられることを前提とするものであり、景観上好ましくないという問題点があった。
【0009】
また特許文献2の開示技術では、防護柵の横方向部材にバー状の反射部材をスライド挿入するための対向する溝形状の案内係合部が長手方向に沿って形成され、この案内係合部に反射部材をスライド挿入して、反射部材の反射面が露出するように構成した防護柵用反射具が提案されている。しかしながら、当該開示技術を実際に実施する上では、溝形状の案内係合部が形成された特殊な横方向部材が必要となるため、一般的なビームパイプと比較して製造労力が過大となり、部品コストの上昇を招くという問題点があった。
【0010】
また、特許文献3の開示技術では、ビーム支持具の上方からカバー材を被せ、当該カバー材の上面に反射部材を実装した技術が開示されている。しかしながら、当該技術では、反射部材が小さいためあまり目立たせることができず、車両を運転する運転者の視認性を向上させることができないという問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2002−069953号公報
【特許文献2】特開2002−069954号公報
【特許文献3】特開2009−121182号公報
【特許文献4】特開2007‐120162号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
そこで、本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、反射部材の良好な視認性を確保するとともに、ビームパイプを複数段有する防護柵への強固な取り付けを実現することによる部材の回転ズレや反りを無くすことが可能な防護柵用視線誘導標並びにこれが取り付けられた防護柵、更に当該視線誘導標の取付方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る防護柵は、上述した課題を解決するために、支柱にボルト接合されるブラケットを介してビームパイプが接合される防護柵であって、反射部材が表面に設けられた本体部と、上記本体部の上端から突出させた突出片と、上記本体部の下端から突出させた固定片とを有する視線誘導標を備え、上記視線誘導標の上記固定片は、上記支柱と上記ブラケットを接合するボルトへスライド挿入可能に開口されている開口スリットが形成されており、上記視線誘導標の上記突出片と上記固定片は、上記ブラケットと上記支柱との間で保持されていることを特徴とする。
【0014】
本発明に係る防護柵用視線誘導標は、上述した課題を解決するために、支柱にボルト接合されるブラケットを介してビームパイプが接合される防護柵に取り付けられる防護柵用視線誘導標であって、反射部材が表面に設けられた本体部と、上記本体部の上端から突出させた突出片と、上記本体部の下端から突出され、上記支柱と上記ブラケットを接合するボルトへスライド挿入可能に開口されている開口スリットが形成された固定片を備え、上記防護柵へ取り付ける際、上記突出片並びに上記固定片は、それぞれ上記支柱と上記ブラケットとの間に保持可能とされ、上記開口スリットは、上記ボルト接合するためのボルトに係止可能とされていることを特徴とする。
【0015】
本発明に係る視線誘導標の取付方法は、支柱にボルト接合されるブラケットを介してビームパイプが接合される防護柵への視線誘導標の取付方法であって、反射部材が表面に設けられた本体部と、上記本体部の上端から突出させた突出片と、上記本体部の下端から突出され、上記支柱と上記ブラケットを接合するボルトへスライド挿入可能に側方へ開口されている開口スリットが形成された固定片とを有する視線誘導標を用意し、上記ブラケットと上記支柱の間に上記突出片を保持させ、上記ボルト接合をするためのボルトを緩め、上記突出片側が中心となるようにして上記視線誘導標を回動させることにより、上記ボルトに上記開口スリットを係止させ、上記突出片並びに上記固定片を、それぞれ上記支柱と上記ブラケットとの間に保持した状態で上記ボルトを締め込むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
上述した構成からなる本発明によれば、上下に隣接する視線誘導標において、その突出片と固定片は互いに重ならない状態で、これらを互いにブラケットと支柱との間で保持することが可能となる。その結果、ブラケットと支柱との間で保持する突出片と固定片は、これらを構成する鋼板一枚分の厚さとなる。その結果、ブラケットと支柱との間で、これら突出片並びに固定片をより安定させて支柱11に密着させた状態で取り付けることが可能となる。
【0017】
また本発明では、ブラケットを利用して視線誘導標を取り付けるものであるものの、これによってブラケットが不安定な状態で取り付けられるのを防止することが可能となる。また、本発明では、視線誘導標の突出片を上段のブラケットに保持させ、固定片を下段のブラケットに保持させる構成であるため、視線誘導標の上下端を2箇所で固定することができる。その結果、反射部材が取り付けられる本体部が回転ズレを起こすことが無くなり、支柱に対してこれが反ることを防止することが可能となり、常時視認性を向上させることが可能となる。
【0018】
また本発明によれば、視線誘導標を取り付ける際には、ボルト接合するためのボルトを外すことなく単に緩め、突出片側が中心となるようにして視線誘導標を回動させることにより、ボルトに開口スリットをスライド挿入させて係止させるのみで取付を完了させることができる。その結果、従来技術のように視線誘導標を取り付ける都度、ボルトを取り外す必要も無くなり、組立て時における組立労力をより軽減させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明を適用した防護柵の全体構造の斜視図である。
【図2】本発明を適用した視線誘導標の斜視図である。
【図3】本発明を適用した視線誘導標の正面図である。
【図4】本発明を適用した視線誘導標の側面図である。
【図5】本発明を適用した視線誘導標の平面図である。
【図6】本発明を適用した視線誘導標を実際に取り付けた防護柵の側面図である。
【図7】本発明を適用した視線誘導標を実際に取り付けた防護柵の正面図である。
【図8】このブラケットと支柱との間に保持される突出片並びに固定片の拡大断面図である。
【図9】一のブラケットに着目した拡大断面図である。
【図10】(a)は、本体部の断面形態を先端に向けて縮径化させた視線誘導標の平面図であり、(b)はその正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0021】
本発明を適用した防護柵1は、例えば、ガードパイプ等に代表される。図1は、本発明を適用した防護柵1の全体構造の斜視図を示している。
【0022】
防護柵1は、所定の間隔をおいて道路に沿って立設される支柱11と、この立設された支柱11間において架設される金属製のビームパイプ12とを備えている。このビームパイプ12を道路に沿って連結していくことにより、適度な剛性と、靭性を有する柵を作り出すことができ、走行車両が衝突した場合においても、その衝撃に対して、ビームパイプ12と支柱11によりエネルギーを吸収することが可能となる。またこの防護柵1には、更に視線誘導標4が支柱11に対してビームパイプ12間に取り付けられている。
【0023】
図2は、この視線誘導標4の斜視図を、また図3はその正面図を、図4はその側面図を、図5はその平面図を示している。
【0024】
この視線誘導標4は、本体部45と、本体部45の上端から突出させた突出片42と、本体部45の下端から突出された固定片41に分類することができる。
【0025】
本体部45は、さらに反射部材51が設けられる反射部材取付部47と、反射部材取付部47を支持するための台座部46とを有している。図5に示すように、この台座部46は、凹曲面とされている底板57上に取り付けられている。そして、この底板57と、固定片41と、突出片42とは一枚の板で構成されていてもよい。
【0026】
反射部材51は、車両のヘッドライトを反射させる材料で構成されてなり、例えばビーズ状の反射材を樹脂ベース内に散在させたものや、反射材からなるシールを貼り付ける形式のもの、或いは反射部材51として構成する代わりに再帰反射塗装を施したものであってもよい。
【0027】
反射部材取付部47は、図5に示すように水平断面形態が略台形状に形成されていてもよい。そして、この反射部材取付部47の表面には上述した反射部材51が取り付けられている。ちなみに、反射部材取付部47を構成する傾斜面47aは、走行する車両のヘッドライド光が再帰反射しやすい角度となるように予め角度調整がなされていることが望ましい。また、図4に示すように、この反射部材取付部47は、側面形態が略台形状に形成されていてもよい。
【0028】
台座部46は、この反射部材取付部47がその上部に設けられてなるとともに、その下部には底板57が取り付けられている。この台座部46は、反射部材取付部47と一体的に形成されていてもよいし、互いに別々に作製したものを事後に組み立てたものであってもよい。この台座部46の断面形態は、図5に示すように略長方形状とされていてもよい。
【0029】
即ち、この本体部45は、台座部46と反射部材取付部47とを有するものであり、その本体部45の水平断面形態は、道路側に向けて縮径化された形状とされていてもよい。
【0030】
また、本体部45の上端から突出させた突出片42は、左右両端から2本に亘り突出されているが、これに限定されるものではなく、いかなる本数並びに如何なる位置において突出されていてもよい。また、この突出片42の板厚は2mm以下で構成されている。さらに、この突出片42の突出量については、後段において詳述するが、少なくとも本発明所期の作用効果を発生させるためには、1mm以上の突出量が必要となる。また、あまりに突出量が多い場合には、取り付け作業を行う上での障害となるため、17mm以下の突出量とされていることが望ましい。
【0031】
また固定片41は、側方へ開口されている開口スリット43が形成されている。この開口スリット43の形状としては、中央において丸みを帯びた形状とされていることが望ましい。この開口スリット43は、特に側方に向けて開口されていることは条件とはならない。この固定片41の板厚は2mm以下で構成されている。
【0032】
図6は、上述した構成からなる視線誘導標4を実際に取り付けた防護柵1の側断面図であり、図7は、その正面図を示している。
【0033】
防護柵1は、長手方向に延長されるビームパイプ12を連結するためのブラケット16が、上端にカバー21が設けられた支柱11に対してボルト接合されている。
【0034】
ブラケット16は、そのビームパイプ12の曲率とほぼ同等の曲率からなる曲面が形成され、その曲面16aにビームパイプ12を当接させる。
【0035】
またブラケット16は、ボルト17並びにナット18を介して支柱11に取り付けられる。このボルト17は、支柱11を貫通してブラケット16の取り付け面からその先端を突出させてなる。ブラケット16は、この突出させたボルト17を挿通させるための図示しない孔が予め穿設されてなる。そして、ブラケット16における図示しない孔から突出させたボルト17の先端をナット18により締め付け固定する。これにより、ブラケット16を支柱11へ強固に取り付けることが可能となる。
【0036】
視線誘導標4は、このブラケット16並びにボルト接合用のボルト17を利用して取り付けられる。図6に示すように、視線誘導標4は、その上端にある突出片42並びにその下端にある固定片41をブラケット16と支柱11との間で保持する。ここでいう保持は、ブラケット16と支柱との間で互いに接触させた状態で挟み込んで固定する場合に加え、これらとの間で隙間を持たせて嵌めこむ、いわゆる遊嵌状態も含まれる。また図7に示すように固定片41に関しては、ボルト17により係止させるようにしてもよい。また、開口スリット43は、ボルト17へスライド挿入可能に開口されていることが必要になる。
【0037】
このようにして、上段のブラケット16と下段のブラケット16との間に視線誘導標4を取り付けていくことになる。このとき、上下に隣接する視線誘導標4に関しては、図6に示すように、その突出片42と固定片41は互いに重ならない状態となるようにサイズ調整が予めなされている。
【0038】
なお、上述した例では、突出片42を上段のブラケット16に保持させ、固定片41を下段のブラケット16に保持させる場合について説明したが、これに限定されるものではなく、突出片42を下段のブラケット16に保持させ、固定片41を上段のブラケット16に保持させるようにしてもよい。即ち、この視線誘導標4は、図6に示す例と上下逆に取り付けるようにしてもよいが、いかなる場合においても、他の誘導指標標4との間で同一方向となるように取り付ける必要がある。
【0039】
図8は、このブラケット16と支柱11との間に保持される突出片42並びに固定片41の拡大断面図である。
【0040】
ブラケット16の支柱11に対する取付面16aの上下方向の長さをLとする。即ち、このLは、仮に視線誘導標4を取り付けない場合において、このブラケット16が実際に支柱11に接触する上下方向の長さである。支柱11は鉛直に立設され、支柱11の鉛直立設に合わせて取付面が設けられている。また固定片41におけるブラケット16と支柱11の間に保持される上下方向の長さをaとし、突出片42におけるブラケット16と支柱11の間に保持される上下方向の長さをbとする。つまり、aの上端はブラケット16の取付面16aの上端であり、aの下端は固定片41の下端となる。また、bの上端は突出片42の上端であり、bの下端はブラケット16の取付面16aの下端となる。このときa、b、Lは、以下の関係式(1)を満たすようにしてもよい。このbは、仮に突出片42がブラケット16と支柱11との間で遊嵌されている場合には、突出片42が仮に視線誘導標4の略中央に設けられていたと仮定した場合において、その略中央に設けられたと仮定した突出片42がブラケット16と接触する長さである。
【0041】
L≧a+b・・・・・・・・・・(1)
【0042】
即ち、このLは、ブラケット16が視線誘導標4における突出片42、固定片41に保持しえる上下方向の長さである。aとbとの和がそのLの中に収まるか等しいように構成することにより、上下に隣接する視線誘導標4において、その突出片42と固定片41は互いに重ならない状態を積極的に作り出すことが可能となる。
【0043】
このように、本発明を適用した防護柵1では、上下に隣接する視線誘導標4において、その突出片42と固定片41は互いに重ならない状態で、これらを互いにブラケット16と支柱11との間で保持することが可能となる。その結果、ブラケット16と支柱11との間で保持する突出片42と固定片41は、これらを構成する鋼板一枚分の厚さとなる。の結果、ブラケット16と支柱11との間で、これら突出片42並びに固定片41をより安定させて支柱11に密着させた状態で取り付けることが可能となる。
【0044】
仮にa+bがLを超えるものであれば、突出片42と固定片41が重なることとなり、重なった上側にある突出片42又は固定片41が支柱11から浮いた状態となってしまう。かかる場合において支柱11とブラケット16との間で保持させてボルト接合しても、その浮いた状態にある突出片42又は固定片41の存在により、ブラケット16自体が構造上不安定になってしまう虞がある。特にこの防護柵1は、車両衝突時において車両が歩道側に突き出ないようにビームパイプに沿わせて誘導する役割も担うことから、ブラケット16が支柱11に対して不安定な状態になっている場合には、かかる車両の誘導の役割に果たすことができなくなる。
【0045】
このため、本発明を適用した防護柵1では、ブラケット16を利用して視線誘導標4を取り付けるものであるものの、これによってブラケット16が不安定な状態で取り付けられるのを防止することが可能となる。
【0046】
また、本発明を適用した防護柵1では、視線誘導標4の突出片42を上段のブラケット16に保持させ、固定片41を下段のブラケット16に保持させる構成であるため、視線誘導標4の上下端を2箇所で固定することができる。その結果、反射部材51が取り付けられる本体部45が回転ズレを起こすことが無くなり、支柱11に対してこれが反ることを防止することが可能となる。
【0047】
また本発明を適用した視線誘導標4は、図5に示すように、支柱11に接する面が凹曲面とされていてもよい。ここでいう支柱11に接触する面とは、底板57(固定片41)を意味する。特に底板57(固定片41)を支柱11と同一の曲率からなる凹曲面で構成することにより、実際に支柱11に対して接触させた際にこれを互いに隙間無く密着させることが可能となり、本体部45が回転ズレを起こすことが無くなり、支柱11に対してこれが反ることを防止することが可能となる。
【0048】
更に本発明では、反射部材取付部47の側面形態は略台形状とされている。即ち、反射部材取付部47は、支柱11から離間するにつれて縮径化された形状となるように構成されている。その結果、ブラケット16が支柱11から離間するにつれて高さ方向に拡径された形状とされていても、そのブラケット16と反射部材取付部47とが当接するのを防止することが可能となる。特に防護柵1を傾斜面において配置する場合には、ブラケット16が支柱11に対して傾斜した状態で取り付けられる場合もあるが、かかる場合においても、ブラケット16が反射部材取付部47とが当接するのを防止することが可能となる。
【0049】
また本発明では、あくまで台座部46の上に反射部材取付部47を設ける構成としている。そして、この台座部46は、側断面形態が略長方形状とされ、反射部材取付部47は、側断面形態が台形状とされている。そして、この台形状の反射部材取付部47に反射部材51を取り付ける構成とすることで、反射部材51そのもののサイズを小さく構成することも可能となる。
【0050】
また本発明を適用した視線誘導標4は、図10(a)に示す平面図、図10(b)に示す正面図に示すように、本体部45の水平断面形態が道路側に向けて縮径化された形状とされていてもよい。この形態によれば、本体部45を構成する反射部材取付部61の側面が弧状に構成されていることから、これに反射部材51を貼り付けることにより、幅広い角度に対して反射部材51の視認性を向上させることが可能となる。
【0051】
また、本発明によれば、開口スリット43は実施例において側方の場合で記載したが、下方に開口された開口スリット43を用いるようにしてもよい。このような下方に開口された開口スリット43を防護柵1へ取り付ける際には、これから取り付けようとする視線誘導標4の取り付け位置より下段側に位置するブラケット16と支柱11とを固定するボルト17を緩める。そして、ボルト17へ固定片41の開口スリット43をスライド挿入させる。次に、視線誘導標4の上段に位置するブラケット16と支柱11に固定するボルト17を緩める。次に固定片41側が中心となるようにして視線誘導標4を回動させることにより、突出片42を上段に位置するブラケット16と支柱11の間に保持させる。
【符号の説明】
【0052】
1 防護柵
4 視線誘導標
11 支柱
12 ビームパイプ
16 ブラケット
17 ボルト
18 ナット
21 キャップ
41 固定片
42 突出片
43 開口スリット
45 本体部
46 台座部
47 反射部材取付部
51 反射部材
57 底板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支柱にボルト接合されるブラケットを介してビームパイプが接合される防護柵であって、
反射部材が表面に設けられた本体部と、上記本体部の上端から突出させた突出片と、
上記本体部の下端から突出させた固定片とを有する視線誘導標を備え、
上記視線誘導標の上記固定片は、上記支柱と上記ブラケットを接合するボルトへスライド挿入可能に開口されている開口スリットが形成されており、
上記視線誘導標の上記突出片と上記固定片は、上記ブラケットと上記支柱との間で保持されていること
を特徴とする防護柵。
【請求項2】
上記ブラケットは、上記ビームパイプを当接させる面と、上記支柱へ取り付けるための取付面を備え、
上記取付面の上下方向の長さをLとし、
上記固定片における上記ブラケットに保持される上下方向の長さをaとし、上記突出片における上記ブラケットに保持される上下方向の長さをbとしたとき、
上記a、b、Lは、以下の関係式(1)を満たすこと
を特徴とする請求項1記載の防護柵。
L≧a+b・・・・・・・・・(1)
【請求項3】
上記本体部並びに上記固定片における上記支柱に接する面は、凹曲面とされていること
を特徴とする請求項1又は2記載の防護柵。
【請求項4】
上記固定片における上記開口スリットは、側方へ開口されていること
を特徴とする請求項1〜3のうち何れか1項記載の防護柵。
【請求項5】
上記本体部は、その水平断面形態が道路側に向けて縮径化された形状とされていること
を特徴とする請求項1〜4のうち何れか1項記載の防護柵。
【請求項6】
上記本体部は、上記反射部材が設けられる反射部材取付部と、上記反射部材取付部を支持するための台座部とを有し、
上記反射部材取付部は、水平断面形態が略台形状とされていること
を特徴とする請求項1〜4のうち何れか1項記載の防護柵。
【請求項7】
上記本体部は、上記反射部材が設けられる反射部材取付部と、上記反射部材取付部を支持するための台座部とを有し、
上記反射部材取付部は、側面形態が略台形状とされていること
を特徴とする請求項1〜4のうち何れか1項記載の防護柵。
【請求項8】
支柱にボルト接合されるブラケットを介してビームパイプが接合される防護柵に取り付けられる防護柵用視線誘導標であって、
反射部材が表面に設けられた本体部と、
上記本体部の上端から突出させた突出片と、
上記本体部の下端から突出され、上記支柱と上記ブラケットを接合するボルトへスライド挿入可能に開口されている開口スリットが形成された固定片を備え、
上記防護柵へ取り付ける際、上記突出片並びに上記固定片は、それぞれ上記支柱と上記ブラケットとの間に保持可能とされ、上記開口スリットは、上記ボルト接合するためのボルトに係止可能とされていること
を特徴とする防護柵用視線誘導標。
【請求項9】
上記ブラケットは、上記ビームパイプを当接させる面と、上記支柱へ取り付けるための取付面を備え、
上記取付面の上下方向の長さをLとし、
上記固定片における上記ブラケットに保持される上下方向の長さをaとし、上記突出片における上記ブラケットに保持される上下方向の長さをbとしたとき、
上記a、b、Lは、以下の関係式(1)を満たすこと
を特徴とする請求項8記載の防護柵用視線誘導標。
L≧a+b・・・・・・・・・(1)
【請求項10】
支柱にボルト接合されるブラケットを介してビームパイプが接合される防護柵への視線誘導標の取付方法であって、
反射部材が表面に設けられた本体部と、上記本体部の上端から突出させた突出片と、上記本体部の下端から突出され、上記支柱と上記ブラケットを接合するボルトへスライド挿入可能に側方へ開口されている開口スリットが形成された固定片とを有する視線誘導標を用意し、
上記ブラケットと上記支柱の間に上記突出片を保持させ、
上記ボルト接合をするためのボルトを緩め、
上記突出片側が中心となるようにして上記視線誘導標を回動させることにより、上記ボルトに上記開口スリットを係止させ、
上記突出片並びに上記固定片を、それぞれ上記支柱と上記ブラケットとの間に保持した状態で上記ボルトを締め込むこと
を特徴とする視線誘導標の取付方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−99235(P2011−99235A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−253893(P2009−253893)
【出願日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【出願人】(000006839)日鐵住金建材株式会社 (371)
【Fターム(参考)】