説明

防護閉鎖容器

【課題】化学的又は生物的危険の脅威から密閉されているのと同時に、補助空気源を使用することなく、生命維持に十分な空気透過性を有しながら、液体に対して不透過性である化学防護閉鎖容器を提供する。
【解決手段】化学防護閉鎖容器であるテント30は、不透過性部分32及び空気拡散部分40を含む防水性外表面を含み、さらにその空気拡散部分40に実質的に隣接する化学吸着材料を含んでなる化学防護閉鎖容器であって、生命維持に十分な空気が化学防護閉鎖容器内に拡散する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生命維持に十分な空気透過性を有しながら、液体に対して不透過性である化学防護閉鎖容器に関する。
【背景技術】
【0002】
危険性化学物質及び生物物質のような汚染物質に対する防護を提供するための、様々なマスク、覆い、衣服及びシェルターが知られている。ガスマスクは濾過手段によって何らかの防護を提供するが、適切に装着するのが困難であり、皮膚が防護されないため、マスクによって得られる利益は他と比べて限られている。耐化学性材料は防護衣服などで使用されることが知られており、直接の皮膚接触からの防護を提供する。例えば、空気透過性布地支持体に取り付けられた吸着フィルタ材料から作られた、空気透過性防護衣服は、米国特許第4510193号及び第4153745号に開示されている。水蒸気及び空気の両方に透過性の材料は着用者の快適さを高めるのに有利であり、そのような衣服はガスマスクと組み合わせて使用されて、呼吸及び皮膚防護の両方を実現する場合がある。不都合なことに、衣服に使用される吸着フィルタ層は重く嵩張ることが多いが、完全な防護を提供せず、またガスマスクフィルタカートリッジの寿命は限られているためフィルタ容量を使い果たした時点で交換する必要がある。
【0003】
安全な環境と危険な環境との隔離を維持する試みにおいて、流体不透過性の負傷者袋(casualty bag)及びシェルターが数多く設計されてきた。ある種の不透過性シェルターは、1人以上の人間への液体及び気体の攻撃に対して完全な防護を提供しうる。しかしながら、そのようなシステムもまた重く嵩張り、電源を必要とする外部空気供給システムからの無毒化された空気に頼っている。例えば、米国特許公開番号第2004/0074529号では、密閉シールしたケーシングから作られた第1及び第2の一時的居住空間と、空気浄化システムとを含む、自己内蔵型・換気型の一時的シェルターが教示されている。空気浄化システムは、シェルターへの濾過空気の供給源を提供し、化学物質を濾過除去するフィルタ媒体、微生物用のHEPAフィルタ、及び病原体を濾過除去するUV殺菌フィルタユニットを含んでいる。空気濾過システムはAC/DC電源、又は代替電源によって動作する。
【0004】
国際公開第2004/037349号では、危険性化学物質に対して不透過性の多層化プラスチックで作られた、少なくとも1人の人体を囲うための防護袋が教示されている。袋の不透過性を改良するため、袋内部の空気を正圧に維持する空気圧縮ユニット又は他の手段が必要に応じて含まれ、圧力作動一方向バルブを適合させて、過剰な空気圧を袋から抜くことが可能である。外部空気源も使用でき、例えば、酸素タンク、又は汚染された環境から浄化した空気を抜き出し、その空気を袋に注入可能な、機械式空気フィルタが使用できる。ガスマスクは、致死性気体の吸入に対して防護し、フィルタにおける吸引力を増大することによって、非機械式フィルタを通した呼吸をより容易にする。上述したように、フィルタの寿命は限られており、フィルタ容量を使い果たした時点で交換しなければならない。
【0005】
防護を増大し、防護フィルタの可使寿命を延長するために、過剰な吸着材、例えば活性炭をシステムに追加することが多いが、余計な質量及び嵩を作り出してしまう。この問題を解決するために、交換に関する経費及び運搬の負担を回避してフィルタの寿命を延長する方法が求められている。米国特許第5082471号では、個人用シェルターの生命維持システムが教示されており、このシステムでは、フィルタユニットが曝される毒性物質の量を低減して、フィルタ寿命を延長している。このシステムは、シェルターと、シェルター内部で呼吸可能な雰囲気を維持するための装置とを備えている。新鮮な空気は、毒性物質から酸素を高い選択性で透過する膜分離ユニットに供給されて、酸素富化透過流を生成し、その透過流は、シェルター内に供給する前に残留する痕跡量の毒性物質を除去するための収着材を含有するユニットに通される。シェルターを出入りする空気流を多く維持することによるか、あるいはシェルターから空気を引き出し、分離した装置ユニットでその空気を処理し、及び処理済みの空気をシェルターに戻すことによって、二酸化炭素が除去される。空気を供給して二酸化炭素を除去するのに必要な追加の装置は、結果として、システムを特別に重く、大きくかつ嵩張らせる。
【0006】
不利なことに、空気流の供給源を維持する既知の閉鎖容器システムは、フィルタ材に吸着材を大量に充填する必要があるため、重くて嵩張ることが多い。その上、生命維持に必要な酸素量を実現するために、外部の空気流システムに依存する閉鎖容器システムは、不利なことに電源を必要とする。望まれているのは、質量を低減し柔軟性を向上するために最小限の収着材を使用し、重く嵩張るフィルタユニットを必要としないで、危険性の気体状、蒸気又はエアロゾルの化学物質及び生物物質に対して高水準の防護を提供する、空気透過性防護閉鎖容器システムである。さらに、この防護閉鎖容器システムが、補助空気供給源に頼ることなく、システム内部に生命維持量の酸素を同時に提供可能であることが望まれている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明では、化学的又は生物的危険の脅威から密閉されているのと同時に、補助空気源、例えば高水準の防護を実現するために現在使用されている、重く、電気で動作し、かつ嵩張るフィルタユニットを使用することなく、占有者の生命維持に十分な空気透過性及び二酸化炭素透過性を有する、防護閉鎖容器が提供される。驚くべきことに、生命を維持する内部雰囲気を保つために、外部空気供給ユニット及び内部空気浄化ユニットを必要としない。本発明の好ましい防護閉鎖容器は防水性外表面を有し、閉鎖容器の外表面の一部分は液体及び気体に対して不透過性のバリア区域であり、外表面の他の部分は空気拡散性である。空気拡散部分はバルク空気の通過を制限することにより、毒性化学物質の進入を実質的に妨げつつ、同時に生命維持に十分な空気を防護閉鎖容器内へ拡散させる。化学防護材料は空気拡散区域の隣に設けられ、その空気拡散区域を通過しうる化学的又は生物的脅威が残存すればそれを取り除く。
【0008】
本発明の防護閉鎖容器は、風で動く物質の攻撃に対する防護もさらに提供した。負傷した人間を負傷者袋に入れて移送ヘリコプターに運び込む場合、ホバー中のローターウォッシュは、軍用航空機では9〜15m/秒の範囲となる場合があり、これは約50Pa〜約135Paの空気圧と等しい(参照文献:Teske, M.E., et.al., Field Measurements of Helicopter Roter Wash in Hover and Forward Flight, 2nd International Aeromechanics Specialists’ Conference, American Helicopter Society, Bridgeport, CT, 1995)。従って、本発明の好ましい防護閉鎖容器は、より高い気圧の対流空気流をブロックし、拡散機構への化学物質又は生物物質の攻撃による進入を最適に低減する。防護バリアを通る対流空気流をブロックすると、化学的脅威を閉鎖容器の外側表面から蒸発又は透過させることによって、その脅威を低減する機会が増える。また、残存する化学物質又は生物物質の拡散による進入は、化学防護材料中での物質滞留時間を増加させる。浸透物質の滞留時間が増加するとその浸透物質が防護閉鎖容器内へ拡散し始めるため、閉鎖容器の内部環境への物質の通過を止めるには、非常に薄くて軽い化学防護材料層(16)が必要である。本発明の防護閉鎖容器における新規な拡散特性がなければ、滞留時間がより短い、対流的に流れる浸透物質を収容するために、非常に厚い化学防護材料層を必要とするであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】テント形状の化学防護閉鎖容器の斜視図を示す。
【図2】フード形状の化学防護閉鎖容器の横断面図を示す。
【図3】拡散防護パネルの横断面図である。
【図4】交換可能な拡散防護パネルを備えた化学防護テントの一部を横断面図で示す。
【図5】化学防護負傷者袋を示す。
【図6】化学防護負傷者袋の一部を横断面図で示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、化学的又は生物的危険の脅威から密閉可能であると同時に、占有者の生命維持に十分な空気透過性及び二酸化炭素透過性を有する、防護閉鎖容器を提供する。驚くべきことに、このシールした閉鎖容器は、生命を維持する内部雰囲気を保ちつつも、外部空気供給ユニット及び内部空気浄化ユニットを必要としない。詳細には、この防護閉鎖容器は、不透過性バリア区域及び拡散防護区域を含む外表面を含んでなる。好ましい実施態様では、本発明は、不透過性バリア区域及び空気拡散部分を含む、防水性外表面を含んでなる防護閉鎖容器を対象とし、本発明は化学吸着材料をさらに含む。微孔質膜を含む空気拡散部分及び化学防護材料が、微孔質膜と隣り合っていることが好ましい。
【0011】
不透過性バリア区域は気体及び液体に対して不透過性であるため、この区域を通る防護閉鎖容器内への化学物質及び生物物質の透過を制限する。この不透過性バリア区域としての使用に適した材料は、特定の最終用途に必要とされる、環境の攻撃に対する透過抵抗を提供可能な、任意の不透過性バリア材料から構成されてもよい。必要に応じて、この不透過性バリア材料に少なくとも1種の織布、編み布又は不織布材料を追加して、このバリア材料の防護性を高めてもよい。このバリア材料及び布地材料は複合体として提供してもよく、この複合体において、不透過性バリア材料を布地に積層し、布地にコーティングし、布地に吸収させ、あるいは布地の隣に固定してもよい。布地には、合成繊維、天然繊維、又は合成繊維と天然繊維との混紡が含まれてもよい。
【0012】
化学及び生物防護布帛構造体に有用な、適当な不透過性バリア区域材料の1つは、ポリテトラフルオロエチレンフィルムを含む複合体である。典型的なポリテトラフルオロエチレン含有防護布帛構造体は、W.L. Gore and Associates (Elkton, MD)から、品番ECAT 614001Bで入手できる。そのような防護布帛構造体は、高い熱安定性に加えて、優れた化学透過抵抗及び化学浸透抵抗を提供し、両方の特性は消火活動及び危険性物質の取り扱いのような用途に必要である。さらに、この種類の防護布帛構造体の持つ不透過性といった性質は優れた生物的防護を提供し、多くの種類の救急医療従事者にとって理想的なものとなる。また、化学及び生物防護布帛構造体に使用する不透過性バリア区域材料は、必要水準の防護を提供可能な任意の適当な防水性材料であってよい。例えば、商品名Tychem(登録商標)布帛(DuPont)で知られる布帛構造体は、多くの条件で許容可能である。
【0013】
特別に関心が持たれる実施態様の1つでは、不透過性バリア区域を、少なくとも1つの布地材料と少なくとも1つの不透過性バリア材料とから構成される積層体としてもよい。積層体は、本技術分野で知られている任意の方法によって製造してもよく、例えば、接着剤を第1層に不連続パターン、交差グリッドパターン、接着剤の連続線形状、あるいは薄い連続層として印刷し、次に、不透過性バリア材料及び布地材料の2つの隣接する表面を接着剤が効果的に接合し接着するような方法で第2層を導入して製造してもよい。不透過性バリア材料の保護を補助するために、布地材料が少なくともいくらかの耐摩耗性を提供するのが好ましい。また、布地材料及び不透過性バリア材料が、分離した別個の接続点、例えば物品の周囲及び/又は不規則で散在的な間隔の接続点を除いて、互いに分離していてもよい。
【0014】
例えば、第1の布地材料と反対側の不透過性バリア区域材料面に少なくともいくらかの耐摩耗性を付与するために、任意選択の第2の布地材料が不透過性バリア材料又は積層体の内側に存在していてもよい。さらに、衣料用防護閉鎖容器、例えば、カバーオール又はフード(hood)の場合、布地材料は着用者に対してより快適な表面を提供しうる。第2の布地材料は、織布、編み布、不織布を含んでもよく、あるいはフロック繊維が挙げられるがこれに限られない布地繊維を含んでなる他の任意の柔軟な基材を含んでもよい。第2の布地材料を包含させると、しばしば「3層」積層体と呼ばれるものが作られる。
【0015】
本発明の空気拡散部分は、占有者の生命維持に十分な酸素を防護閉鎖容器の中に維持するために十分な速度で、防護閉鎖容器内に酸素が拡散することを可能にしつつ、高濃度の二酸化炭素が防護閉鎖容器内部に蓄積しないように、二酸化炭素がその閉鎖容器の外へ拡散することを促進する。「占有者の生命維持に十分な酸素の拡散」とは、空気拡散部分によって、約16%以上の濃度に酸素を維持するのに十分な空気が閉鎖容器内に入り、経時で占有者が消費した酸素を補給できることを意味する。これらの気体を防護閉鎖容器の内部及び外部へ拡散しつつ、危険性の気体、蒸気及び液体の防護閉鎖容器内への進入を防ぐことも同様に重要である。最も驚くべきことは、本発明の好ましい閉鎖容器には、不透過性バリア区域と拡散防護パネルとの最適な組み合わせが含まれて、風で動く空気流の存在下で危険性化学物質の進入に対して呼吸水準の防護を提供しつつ、ガスマスク及び外部空気源を必要とせずに生命維持が可能な量の空気及び二酸化炭素の通過を可能にする。この防護閉鎖容器における気体のバランス及び化学透過抵抗という新規の特性が本発明の基本構成である。
【0016】
本発明の実施態様の1つは化学防護テントであり、例えば、気体及び液体が不透過性の化学及び生物バリア区域30と、空気拡散部分区域40とを含む、図1に図示するようなものである。図3に空気拡散部分の一例を図示し、ここでは、微孔質ポリマー層(12)が化学防護材料(16)に隣接してほぼ平行に配置されている。ある実施態様では、この微孔質ポリマー層(12)と化学防護材料とが一体化して、拡散防護パネル(10)を形成する。微孔質ポリマー層と化学防護材料とは、界面領域(14)によって分離していてもよく、あるいは互いに接触していてもよい。ある実施態様では、微孔質ポリマー層(12)は、風で動く対流空気流に対する防護を提供するために、十分に密な微細構造を有する延伸ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)膜である。この種類の延伸膜は、米国特許第3953566号に教示されている。対流空気流をブロックし、かつ化学物質又は生物物質の進入を低減するために、本発明の空気拡散部分の空気流は、空気流を以下記載する試験法に従って測定したときに、100パスカルで、約5リットル/平方メートル/秒(L/m2/秒)未満であり、さらに好ましくは3L/m2/秒未満であり、空気流が約2L/m2/秒未満であることが特に好ましい。
【0017】
対流空気流を制限することに加えて、好ましい空気拡散部分は、液体の攻撃に対する防護も提供しうる。例えば、延伸PTFEを含む微孔質ポリマー層(12)は、本質的に疎水性であって、そのため防水性を提供しうる。必要な防護水準に応じて、例えば、より汚れた環境が予想される場合、微孔質ポリマー層(12)を、膜の疎油性を高めるためにフルオロポリマー被膜で処理した延伸PTFE膜で構成してもよい。適した疎油性処理は、米国特許第6074738号及び第6261678号に記載されており、参照することにより本明細書の一部とする。代替の実施態様において、微孔質ポリマー層(12)は微孔質ポリウレタン膜を含み、その膜は、上述した好ましい空気流を実現するのに十分な微細構造を有することによって、風で動く対流空気流を防ぎ、かつ危険性の液体及びミスト型の攻撃が透過することを防ぐ。エアロゾルの攻撃は、化学的又は生物的に有害な物質から全体が構成されるか、あるいはそれらから部分的に構成される、固体又は液体の粒子でありうる。それらの粒径が数μm程度の場合、それらの粒子は長期間空気中に懸濁して、空気が数μmより大きい気孔を有する材料を通って対流的に流れるときに、その材料を容易に透過することがある。従って、これらの粒子の透過を防ぐために、空気拡散部分に使用する材料は気孔の大きさが約1μm未満であることが特に好ましい。
【0018】
拡散防護層に適した他の多孔質ポリマー材料として、他のフルオロポリマー、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド又は所望の空気流特性を備えた他の適当なポリマーのコポリマーから作られたフィルムが挙げられるが、これらに限られない。微孔質ポリマー層(12)は、所望水準の空気流を有する、複数の多孔質層及び微孔質層の複合体であってもよい。例えば、延伸PTFE層を少なくとも1つの他の多孔質ポリマーフィルムと組み合わせてもよい。
【0019】
化学防護材料(16)は、防護閉鎖容器内への十分な空気の透過を維持しつつ、化学的又は生物的攻撃がその閉鎖容器を通過することを実質的に防止可能である、任意の材料を含んでもよい。物質の攻撃が進入することを防止可能な材料には、吸着性、吸収性、反応性又は触媒特性のうち1つ以上が備わっている。好ましい化学防護材料(16)は活性炭を含む。本発明の使用に適した活性炭は、粉末、顆粒、乾燥スラリー、繊維、球状ビーズなどの形状であってよく、1種以上の他の化学防護材料と組み合わせてもよい。ヤシ殻、木材、ピッチ、石炭、レーヨン、ポリアクリロニトリル、セルロース及び有機樹脂のような前駆体を使用して、本発明の使用に適した活性炭を形成できる。ある実施態様では、化学防護材料は活性炭ビーズを含む布地複合体である。他の化学吸着材料も使用でき、例えば、モレキュラーシーブ及び無機金属酸化物粒子が挙げられるが、これらに限られない。代替の実施態様では、反応性種又は触媒種を化学防護材料として使用できる。反応性種又は触媒種として、化学的又は生物的攻撃が化学防護材料(16)と接触及び/又はその材料を通過するときに、効率的にその攻撃と反応するかその攻撃の反応を引き起こすことで知られているものが選択できる。化学反応に基づく軽減はいくらか選択的であるため、予想される特定の脅威に合わせてこの材料を設計しなければならない。例えば、塩酸蒸気の透過を防止するためには、固体塩基を化学防護材料(16)として使用できるであろう。
【0020】
化学防護材料を空気拡散部分に実質的に隣接させて配置してもよい。代わりに、化学防護材料を微孔質層のような空気拡散部分と一体化して、拡散防護パネルを形成してもよい。図3に図示するように、攻撃物質が微孔質ポリマー層(12)を通って化学防護材料(16)の端部の周りに拡散しないように、これら2つの材料の端部を互いにシールして、界面領域(14)に沿って防護閉鎖容器の内側に入る、攻撃物質の横方向の拡散を防ぐことができる。代わりに、化学防護材料(16)の周縁部を、図4に示すように、微孔質ポリマー層(12)の周縁部を超えて延在するように設計してもよい。好ましい化学防護部分は、吸着材料を約400g/m2未満含み、最も好ましくは吸着材料を約200g/m2未満含んで、軽量の閉鎖容器を形成する。
【0021】
布地材料のような追加材料を空気拡散部分及び/又は化学防護材料と組み合わせて、摩耗、引っかき及び穿刺のような物理的攻撃に対する防護を提供できる。適した布地材料として、編物、不織物、織物、スパンボンド材料、又は防護閉鎖容器に組み込むことが可能な他の任意の繊維系布地材料が挙げられる。ある実施態様では、布地材料を微孔質ポリマー層(12)の隣に位置させてもよい。他の実施態様では、布地材料を化学防護材料(16)の隣に位置させてもよい。さらに別の実施態様では、布地材料を、微孔質ポリマー層(12)と化学防護材料(16)との間の界面領域(14)の中に位置させてもよい。必要とする追加の防護に応じて、1つ以上の布地材料を、拡散防護パネル(10)の内部又はそれに隣接する、任意の位置に備えていてもよい。好ましい防護閉鎖容器では、閉鎖容器の化学防護を最大にしつつ、人間の生命維持に十分な空気を拡散するために、化学不透過性区域及び空気拡散部分の面積を最適化することによって閉鎖容器の外表面を最適化し、さらに認識している脅威に従って化学防護材料の量も最適化することが望ましい。本発明の閉鎖容器を最適化する場合、以下の因子が考慮されうる。人間の生命を維持するためには、空気拡散部分を通って防護閉鎖容器に入るO2及び防護閉鎖容器から出るCO2の必要流量(F)は、座っている人間の場合、占有者あたりおよそ0.3L/分である。本発明の防護閉鎖容器について考慮される他のパラメータは、生命維持環境を維持しながら閉鎖容器内部のO2圧力が低下してもよい最大量(Δp)である。本発明の好ましい閉鎖容器において、生命維持に十分な流量の空気及びCO2を提供するのに必要な空気拡散部分の表面積(A)と透過性(P)との関係は、式1によって表すことができる。
【0022】
式1 (P)(A)=F/Δp
式中、P=透過性(m3/(m2・分・bar))
A=空気拡散部分の表面積(m2
F=O2又はCO2の流量(m3/分)
Δp=O2分圧の最大変化量(bar)
【0023】
防護閉鎖容器によって提供される化学防護の水準は、空気拡散部分の面積にも一部依存する。式2は、化学的攻撃と空気拡散部分の面積との関係を表す。
【0024】
式2 Ct=0.5(f)(A/V)(t2
式中、Ct=物質×時間=濃度として表した、化学物質に対する許容暴露量(mg/m3
t=化学的攻撃の暴露時間(分)
f=空気拡散部分の単位面積を通る化学物質の流量(mg/(m2・分))
A=空気拡散部分の面積(m2
V=防護閉鎖容器内部の空気体積(m3
【0025】
この関係式は、以下に説明する拡散防護閉鎖容器の設計に有用な場合がある。
【0026】
図2に図示する化学防護フード(20)は、上述の拡散防護パネル(10)及び観察窓(viewing window)形状の不透過性バリア区域(25)から主に構成され、着用者は化学防護フード(20)の外側を見ることが可能である。不透過性バリア観察窓(25)は、化学的又は生物的攻撃に対する防護を提供する、任意の透明又は半透明の材料で作られていてもよい。例えば、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル/フッ素化エチレンプロピレン、及びパーフルオロアルコキシフルオロカーボン(PFA)ポリマーが、透明かつ不透過性という特徴を有するため、通常使用される。必要な水準の防護を維持するために、拡散防護区域と不透過性観察窓との間にシールが維持される。図2に図示する実施態様では、不透過性バリア窓(25)が、シールされた界面(26)を介して、拡散防護パネル(10)に対してシールされている。同様に、化学防護フード(20)を、例えば、防護ネックダム(28)を介して、着用者の化学的もしくは生物的防護スーツ又は着用者の首のいずれかに対してシールする手段も提供される。適したネックダム材料は以下の材料から選択できるが、これらに限られない:ブチル、EPDM、ネオプレン、天然ゴム又はポリウレタン。防護閉鎖容器のシールに使用するネックダム(28)材料の厚さは、必要な水準の防護を提供するよう様々であってよい。例えば、目的の攻撃物質に対して所望のポリマーの透過性が低い場合、より薄い層を使用できる。反対に、攻撃物質の透過性が若干高いポリマーの場合、同水準の防護を提供するために厚い層を必要とする場合がある。
【0027】
防護フード内に十分な酸素を拡散し、防護フードから外に十分なCO2を拡散するために必要な空気拡散部分の表面積は、これらの気体が所定の材料を通る拡散速度に依存する。例えば、式1に基づくと、空気拡散部分の透過性が約0.05m3/(m2・分・bar)であって、O2濃度の減少が約0.05barであることが許容される場合、必要な拡散部分の最少表面積はおよそ0.12m2となるであろう。必要な面積が小さいということは、生命維持に十分な空気透過性を得るためには、防護フードの一部のみに拡散防護パネルが含まれていればよいことを示唆する。しかしながら、製造の単純さ又は容易さといった理由から、予想される化学的攻撃に応じて、上述の拡散防護パネル材料からフードの大半を製造するのが望ましい場合がある。
【0028】
この発明で化学防護フードを具現化する場合、耐摩耗性が必要となることが多い。例えば、外部の脅威に対して強化された耐摩耗性は、第1の布地材料(22)を追加することによって、微孔質ポリマー材料(12)に付与できる。同様に、化学防護フード(20)の内側への耐摩耗性は、フードの内側で化学バリア材料(16)の隣に第2の布地材料(24)を付与して得ることができる。
【0029】
ある好ましい実施態様では、化学防護閉鎖容器内への酸素の拡散が生命維持に十分であり、好ましくは占有者あたり0.3L/分より大きい場合に、不透過性バリア区域及び空気拡散部分を含み、その酸素透過性部分の空気流が100Paで好ましくは約5L/m2/秒より大きく、HD物質に対する透過性が60Paにて20時間で約2μg/cm2未満である、化学防護閉鎖容器が提供される。この閉鎖容器は、約400g/m2未満の化学防護材料、好ましくは吸着材料をさらに含む。さらに好ましい閉鎖容器のHD物質に対する透過性は、60Paにて20時間で約1μg/cm2未満である。好ましい空気拡散部分はePTFEを含む微孔質ポリマーであって、化学防護材料は活性炭を含むのが好ましく、閉鎖容器に着脱可能に取り付けられている。
【0030】
非常に幅広い範囲の時間について生命を維持するために、十分な呼吸可能な空気、すなわち、占有者に重大な害を及ぼすか占有者を死に至らせる可能性のある水準より低い毒性物質濃度の空気を提供するように、本発明の防護閉鎖容器を設計できる。化学防護の時間は多くの因子に左右され、例えば、使用する化学防護材料の量、化学的攻撃の濃度及び動かす力に左右される。特定の化学防護材料又は化学防護材料の組み合わせと材料充填量とを選択して、閉鎖容器内に酸素を十分に透過可能にしつつ、所定時間、所定の化学的又は生物的攻撃を吸着できる。防護閉鎖容器内部で非常に長時間、人間が生存しなければならない場合は、大量の化学防護材料が必要となるであろう。しかしながら、必要な充填量の化学防護材料は重く嵩張るため、開始時点から組み込むのは実用的ではない。そのため、占有者が防護閉鎖容器内部から化学防護材料を交換可能であることが望ましい。
【0031】
本発明のある実施態様は、図1及び図4に図示した化学防護テント(30)であり、そこでは化学防護材料(16)は交換可能である。この実施態様では、化学防護テント(30)の大半は、不透過性バリア区域(32)で作られており、微孔質ポリマー層(12)をさらに含んでいる。図4では、化学防護材料(16)の交換可能なパネルは微孔質ポリマー層の隣に位置しており、化学防護材料(16)を通過するいかなる気体も、防護閉鎖容器内部の空間に入る前に、最初に微孔質ポリマー層(12)を通過するようになっている。化学防護材料(16)のパネルが交換可能なパネルの場合、その交換可能なパネルを防護閉鎖容器に取り付けるための手段が提供される。例えば、図4に図示するように、化学防護材料(16)のパネルは、第1の縫い付けアタッチメント(44)によって取り外し可能な保持ストラップ(42)に取り付けられている。
【0032】
防護閉鎖容器の外表面は、不透過性バリア区域と、例えば、空気拡散部分の微孔質ポリマー層とを含む。この2つの区域を接続する領域が、外表面を、水、空気流又は化学的/生物的攻撃に対して微孔質層自体と比べて実質的により透過性にしないことを条件として、この2つの区域を本技術分野で知られる任意の手段によって取り付けてもよい。化学防護材料が交換可能なパネルである実施態様では、図4に示すように、微孔質ポリマー層(12)を第2の縫い付けアタッチメント(45)によって不透過性バリア区域(32)に取り付けて、防護閉鎖容器の外表面を作ることができる。最良の防護を確実とするためには、第2の縫い付けアタッチメント(45)が、図3に示す空気拡散部分(10)又は微孔質層(12)の周囲を囲んで延在しなければならない。微孔質ポリマー層(12)を不透過性バリア区域(32)に取り付けた後、縫い付けシームを通して危険性物質を確実に透過させないために、シームシール材料(43)を用いて縫い付けアタッチメント(45)をシールできる。適したシームシール材料及び方法は当業者に知られている。当業者に知られている代替の取り付け手段も使用できる。一部の実施態様では、防護閉鎖容器内に及び防護閉鎖容器の外へと、物品又は電気的接続を通すことが望ましい場合もある。この場合、拡散防護パネルの区域は縫わずに残される。
【0033】
微孔質ポリマー層(12)を不透過性バリア区域(32)に固定したら、第1の縫い付けアタッチメント(44)によって取り外し可能な保持ストラップ(42)を化学防護材料(16)に最初に取り付けて、交換可能な化学防護材料(16)を防護閉鎖容器の内側に取り付けることができる。次にこの構造体を、任意の適当な取り外し可能な取り付け機構(41)によって、不透過性バリア区域(32)の内表面に一時的に固定してもよい。これらの各要素向けの特定取り付け手段は、防護閉鎖容器の要求に応じて様々であってよく、当業者に知られている。化学防護テント(30)内に拡散する全ての気体を確実に処理して危険性物質を除去するためには、化学防護材料(16)が微孔質ポリマー層(12)の最も外側の端部を十分に超えて延在するように、化学防護材料(16)を設計することが望ましい。
【0034】
本発明の別の実施態様は、図5及び6に図示する化学防護負傷者袋(50)である。この形状では、上述した不透過性バリア区域(32)及び空気拡散部分(60)を含む防護閉鎖容器内に、患者が完全に密封される。固定した空気拡散部分(60)は、微孔質ポリマー層(12)を含み、この層の上に必要に応じて第1の布地材料(22)が位置している。この第1の布地材料は、編物、織物又は不織物の材料であってよく、性能を高めるために化学処理を付与してもよい。必要に応じて有用な布地処理の一部として、疎水性、疎油性又は化学物質撥性を改良して付与するものが挙げられる。本発明の任意選択の布地層又は布地処理の詳細は、当業者に知られている。
【0035】
取り扱い又は防護閉鎖容器の構造を改良するために、微孔質ポリマー層(12)を必要に応じて第1の布地材料(22)に接着してもよい。任意の適当な接着手段として、例えば、積層、熱接着、融着、超音波溶接、又はRF溶接が使用できるが、これらに限られない。図6は図5の負傷者袋のA−A’横断面を示しており、積層体の形状で、微孔質ポリマー層(12)に接着された第1の布地材料(22)を図示している。この積層体は、第3の縫い付けシームアタッチメント(62)によって、不透過性バリア区域(32)に取り付けられている。次に、この第3の縫い付けシームアタッチメント(62)を第2のシール材料(64)によってシールする。適したシール材料として、ポリウレタンポリマー、ネオプレン、EPDM、熱可塑性フルオロポリマー、及び熱可塑性ポリオレフィンが挙げられるが、これらに限られない。この実施態様では、化学防護材料(16)は第2の布地層(24)を有する積層体とされている。その後、これらの積層した層を、図4に関して上述した取り外し可能な取り付け手段、又は固定した取り付け手段(66)のいずれかによって、不透過性バリア区域(32)に取り付ける。適した取り付け手段(66)として、保持ストラップ、接着ビーズ、テープ及び当業者の知るようなものが挙げられるが、これらに限られない。化学防護負傷者袋(50)には、この防護閉鎖容器の出入りを容易にするための、化学防護負傷者袋の閉鎖具(68)が含まれてもよい。
【0036】
本発明は、外部環境から密閉しつつも、占有者の生命維持に十分な酸素及び二酸化炭素の拡散を可能にする、任意の防護閉鎖容器における要求に対処可能であると考えられる。追加の実施態様の一部には、軍用犬のような動物の運搬具が含まれる。
【実施例】
【0037】
試験方法
空気透過性:試験サンプルの空気透過性は、以下の変更を加えて、ISO9237の、「Textile Determination of Permeability of Fabrics to Air」に記載されたISO標準試験法を用いて測定した。厚いサンプルについては、攻撃する空気が試験サンプルの切断面から横方向に逃げて、誤ったデータを生成する可能性があるため、空気不透過性テープを使用して試験片の端部をシールした。その後、試験装置のガスケットによってこのテープをシールでき、このようにして、全ての空気をこの試験サンプルを強制的に通過させて、空気流検出器に送ることができた。試験面積は20.27cm2であって、空気流速度を100Paにて単位L/m2/秒で記録した。
【0038】
酸素透過性:試験サンプルは、最初に、適当なダイを用いて、試験する材料層の円形サンプルを直径11.2cmで切り出して用意した。これらの試験では、サンプルを2つの室の間にシールした。第1室では一定濃度の酸素に攻撃され、第2室は窒素で満たされている。試験中、酸素センサーを用いて、時間の関数として第2室の濃度上昇を測定する。記録した値が酸素透過性(単位m3/(m2・時間・bar)で記録)である。
【0039】
試験装置は、酸素センサーを装備した試験セルから構成されていた。範囲が0〜100%の、型式FY9600−O2の酸素センサーは、Holzkirchen, Germanyにある、Ahlborn Mess und Regelungstechnik GmbHから入手した。試験セルは円筒形状であり、有意な酸素の進入を防ぐために全ての口がシールされていた。試験セルは、セル内部がよく混合されている環境を維持するための循環ファンを装備していた。窒素を試験セル内に供給した。試験手順には、セル内部から酸素センサーをデータ記録ユニットに接続し、次に窒素供給ラインを測定セルに接続し、測定セル内の換気装置を作動させ、酸素センサーを12.8〜13.0mV(≒酸素20.9%)に校正し、試験サンプルを測定セル上に配置することが含まれていた。サンプル測定は、サンプルが乾燥している間に行った。データ記録ユニットのサンプリング速度は3秒毎にデータ点が1つであった。10秒後、全ての酸素センサーが3.0mV(≒酸素5%)未満に低下するまで、窒素供給ラインを開いて測定セルを満たした。その後、窒素供給ラインを閉じた。全てのセンサーが約10mV(≒酸素15.0%)となるまでデータ収集を継続し、その後記録を停止した。酸素5%〜15%の範囲内の結果の評価には、個々の測定セルのそれぞれのデータをデータ記録ユニットから計算プログラムに読み込ませて、布帛幅に沿った3つの個々の結果の平均値を決定することが含まれた。計算は、測定セルの酸素含量を5%〜15%に調節するのに、1つの試験サンプルが必要とする時間に基づいた。この方法で決定した透過性Pの単位は、m3/(m2・時間・bar)であった。十分な透過を確保するためには、測定した透過率Pが6m3/(m2・時間・bar)以上でなければならない。
【0040】
対流透過試験:拡散試験サンプルの化学透過性は、TOP 8−2−501及び、「Laboratory Methods for Evaluating Protective Clothing Systems Against Chemical Agents」 CRDC−SP−84010(1984年6月)に従い、標準「デュアルフロー」構成を用いて測定した。
【0041】
拡散透過試験:空気透過性試験サンプルの化学透過性は、以下の点を変更して、標準試験法 TOP 8−2−501を用いて対流モードで測定した。化学分析は、TOP 8−2−501及びCRDC−SP−84010(1984年6月)に従い行った。サンプルの上方及び下方で使用した空気流は、それぞれ250cm3/分及び300cm3/分であった。空気流を32±1.1℃に維持し、相対湿度を80±8%に制御した。液体の攻撃については、水平に配置した試験サンプルのおもての布地表面に液滴を置いた。化学蒸気の攻撃については、サンプルのおもての布地面に攻撃を適用して、試験時間中維持した。
【0042】
防水性試験:防水性試験を以下のように行った。水の進入圧が低い攻撃である、改造したスーター(Suter)試験装置を用いて、防水性について布帛構造体を試験した。クランプ留めした配置で2つのラバーガスケットによりシールした、直径約4−1/4インチのサンプル領域に水を押し付ける。サンプルは大気状態に開放され、測定者が目視できる。サンプルの水圧を、適切なゲージで確認し、インラインバルブで調節しながら、貯水タンクに接続したポンプによって約1psiまで増加する。試験サンプルは斜めになっており、サンプルの下部表面に対して空気ではなく水を確実に接触させるために水を再循環する。サンプルを通って押し出される水が出現するか、サンプルの上部表面を3分間目視で観察する。表面に見られる液体の水は漏れと解釈される。(防水性の)合格等級は、3分間目で見える液体の水がない場合に与えられる。この試験に合格することが、本明細書で使用する「防水性」の定義である。
【0043】
本発明の特定の実施態様をここに記載するが、本発明はこのような記載に限定されるものではない。当然のことながら、特許請求の範囲内で本発明の一部として、変形及び変更を組み入れて具現化してもよい。
【0044】
例1:本発明の拡散防護パネルを含む好ましい実施物を作製し、その実施物には空気拡散部分及び化学防護材料が含まれていた。実験を行って、材料を通る化学物質の透過からの所望水準の防護を提供するために必要な、炭素層の数及び質量を決定した。この例の化学防護材料(16)のサンプルは、活性炭を基にして用意した。活性炭ビーズを含有する材料見本を、Saratoga(登録商標)スーツ(Texplorer(登録商標) GmbH, Nettetal, Germany)のライナーから切り取った。文献によると、ライナー中の炭素の概算面密度は180g/m2であった。この面密度を別途確認するため、ライナーを慎重に分解し、ビーズを機械的に除去した。測定した炭素の面密度は約180〜200g/m2であった。これ以降「炭素層A」と呼ぶ炭素サンプルは、Saratoga(登録商標)スーツのライナー材料から切り取った。次に、一片の衣服シェル(204g/m2、撥水処理、森林カモフラージュ印刷、ナイロン/綿混紡)を、この例のシェル材料として使用するために、Saratoga(登録商標)スーツから取った。このナイロン/綿シェルをこれ以降「面布地A」と呼ぶ。次に、面布地Aを炭素層Aの上に置き、上述の試験法に従って見本試験を行った。この構造体を本発明の空気拡散材料がない場合の結果を示すための参照サンプルとして使用した。
【0045】
本発明の化学防護閉鎖容器における、拡散防護パネルの重要な構成要素の1つは空気拡散部分であり、この部分は好ましくは微孔質ポリマー層を含む。布地は微孔質ポリマー層の両面に接着される。これ以降3層積層体と呼ぶ構造体は、次のように調製して得られた。所望の空気流特性を有し、質量約20g/m2の疎油性延伸PTFE膜を、米国特許第6074738号に実質的に従って調製した。質量約54g/m2の織物面布地を、仮撚加工した40/34ヤーンを基にして構成した。第2の布地材料は51g/m2のナイロントリコット編物であった。3層積層体は、分離したドットパターンの水分硬化型ポリウレタン接着剤を膜上にグラビア印刷し、引き続いて、米国特許第5981019号に記載されているように、膜の片面に織物、他面に編物をニップして作製した。積層後、当業者に知られているのと同様の方法で、3層パッケージの織物面をフルオロアクリレート系撥水処理剤でコーティングした。この3層微孔質延伸PTFE積層体から切り取ったサンプルを、これ以降「面布地B」と呼ぶ。
【0046】
次に、これらのサンプルを積み重ねた構造体を、「U.S. Army Test and Evaluation Command: Test Operations Procedure 8−2−501」(TOP 8−2−501)に従い、硫黄マスタード(HD)、ソマン(GD)及び濃縮ソマン(tGD)の液体の化学的攻撃を用いて、Geomet Technologies, LLCで化学透過性について試験した。この試験は、攻撃量10mg/m2(10cm2の領域全体に1μL×10滴)、示した圧力(攻撃面に与える圧力)で各面に流量0.3mL/分として行った。(微孔質ポリマー層を使用した)空気流の少ない構造体(面布地B)については、TOP 8−2−501の拡散透過試験の構成を用いて試験を行った。「面布地A」を含む、空気流の多い構造体サンプルは、TOP 8−2−501の対流透過試験手順を用いて試験を行った。破過(breakthrough)を測定するサンプリング間隔は、0〜2時間、2〜6時間、6〜12時間、12〜20時間であった。面布地「B」を含むサンプル番号1〜8及び12〜15、及び面布地「A」を含む比較サンプル9〜11について、結果を表1に示す。
【0047】
これらの各試験は互いに上に積み重ねた複数の層を用いて行ったことに注意することが重要である。さらに、「布地」層は化学兵器物質の攻撃と面する最も外側の層として常に使用される。例えば、3層の「炭素層A」及び1層の「面布地B」を備えた表1のサンプルでは、「面布地B」を3層の炭素層の上に配置して織物シェルを上に向けた。次に、この積み重ねたものを試験固定具に配置し、シールして、織物表面上を物質で攻撃した。この装置の検出限界は、GDについて0.000046μg/cm2、HDについて0.1μg/cm2であった。風で動かされる環境中で、サンプルが化学兵器物質に対して防護する能力を評価するために、表1に示すように、サンプルの物質攻撃面に過圧を与えた。
【0048】
【表1】

【0049】
化学防護材料(16)に隣接した微孔質ポリマー層(12)を含む「面布地B」を用いて全て試験した、サンプル1〜8についての表1のデータは、過圧(62Pa)はHD物質透過結果にほとんど影響しないことを示している。全てのサンプルが、微孔質ポリマー層(12)を含む面布地「B」を使用したサンプル12〜15の結果は、tGDについて透過性が低いことを示している。対照的に、微孔質ポリマー層のない面布地「A」を用いたサンプルを対流条件下で試験した場合、累積破過は非常に大きかった。サンプル9〜11は、高濃度のGDが2〜3時間の内に試験サンプルを通って透過したことを示す。
【0050】
経皮的な化学兵器物質の脅威については、米国軍は様々な物質についていくつかの目標性能値(「TPV」)を確立している。特に、Saratoga(登録商標)スーツに使用される現在の歩兵防護スーツ材料については、すり減っていない材料のTPVは、HDについて671μg・分/(L・10cm2・日)であり、GDについては357μg・分/(L・10cm2・日)である(例えば、米国軍「Alternate Footwear Solution」仕様書 M6700404R002404−R−0024−002.zip、「Table 1:Requirements Verification Matrix」 Section 3.3.1.1に記載されている)。TPV値は累積破過を空気流で割って得られる。Saratoga(登録商標)スーツに使用される材料の平均空気流は0.3L/分であるため、目標累積破過(TCB)は、HDについて約20.1μg/(cm2・日)、GDについて10.71μg/(cm2・日)となる。比較目的のため、tGDは蒸発しないでより長時間試験サンプルの上に留まることを意図したGDの濃縮タイプであることに注意することが重要である。表1のデータは、サンプル1〜8及び11〜15について、HD及びtGDの透過に対して所望水準の防護が達成されることを示している。微孔質ポリマー層を含み、活性炭化学防護材料(16)を1層又は3層用いた本発明の実施物について、透過速度は閾値より十分低い。
【0051】
本発明の防護閉鎖容器について必要な酸素透過性も計算した。毒性化学物質の透過からの防護を提供することに加えて、外部空気源なしで生命を維持するために、拡散防護パネルを通る十分なO2透過性が必要である。酸素透過性の試験は、試験サンプルについて上記試験法で説明したO2透過性試験を行った他は、上述の化学物質試験に使用したものと同様の構造体を用いて行った。酸素透過性の結果は、単位をm3/(m2・時間・bar)として記録した。酸素透過性の値が高ければ、防護閉鎖容器内部の個人を約6〜8時間維持するために必要な面積が小さくなる。表2に示すO2透過速度を用いて、材料又は一組の材料を通る酸素の定常状態拡散流量を、次式で表すことができる。
φ=P・A・Δp
式中、Pは材料の透過性、Aは面積、Δpは材料又は材料システムを横切る分圧勾配である(・は積を表す)。
【0052】
説明目的のため、周囲空気が酸素を約21%含有し、酸素は約16%で人間の生存に十分であるとした場合に、Δpは約0.05barと見積もられる。さらに、呼気容量が約0.5L/呼吸のときの妥当な座っている状態の呼吸速度を15呼吸/分と仮定する。これらの仮定に基づき、人間の生命維持に必要な酸素透過性材料のおおよその面積が以下のように計算される。
A=φ/(P・Δp)
A=(7.5L/分・酸素消費量4%)/P(酸素勾配5%)
これを測定された結果と比較可能な単位に変換すると、以下のようになる。
A=(0.018m3/時間)/(P・(0.05bar))
【0053】
(下記のように)サンプルの酸素透過性が3.4m3/(m2・時間・bar)の場合、人間の生命維持に必要な酸素透過性材料の面積は約0.11m2であると計算される。表2に、上述の例の拡散防護パネルについて測定した酸素透過性を示す。明らかに、表面積が0.11m2より大きい本発明の拡散防護パネルは、防護閉鎖容器が患者用袋、フード又はテント型閉鎖容器であろうとなかろうと、その防護閉鎖容器内部で生命を維持するのに十分な酸素透過性を提供する。
【0054】
【表2】

【0055】
拡散防護パネル(10)の最小面積を計算したが、酸素拡散を推し進める力が減少する場合であっても、本発明は生命を維持する酸素を提供する。安全域を提供するために、拡散防護パネル(10)の面積は0.2m2より大きいことが好ましい。しかしながら、化学的攻撃の透過に有効な面積は、拡散防護パネル(10)の面積増大に伴って増大するため、以下の例2で説明するように、仮想防護閉鎖容器において拡散防護パネル面積を1m2と仮定して分析を行った。
【0056】
例2:この例では、例1の構造体を、HD及びサリン(GB)化学兵器物質に対して試験した。上述したように、TOP 8−2−501に従いデュアルフロー構成にて見本試験を使用して、それぞれ、継続的に保持した蒸気の攻撃を40mg/m3及び1000mg/m3として試験した。「面布地B」と組み合わせた1層又は3層の「炭素層A」のいずれかからなる構造体を、HD又はGBの蒸気攻撃にさらした。次いで、これらの試験からのデータを用いて、表3に示すように、単位をμg/cm2として20時間測定した合計累積破過を決定した。
【0057】
人間が50%の確率で、死に至る(LCt50)か永久的な障害を受ける(ECt50)のに必要な時間を、表3の合計累積破過値から計算した。これらの計算については、「Review of Acute Human Toxicity Estimates for Selected Chemical Warfare Agents」に説明されている。
【0058】
毒性情報との比較のため、破過値を濃度×時間の値(Ct)に変換するには、最初に、仮想閉鎖容器の内部における、破過値(質量流束)を時間間隔あたりの濃度変化に変換する。この濃度は、特定の最大20時間の時間間隔までの合計破過に、拡散防護パネルの表面積を掛けて、閉鎖容器の自由体積で割ったものと等しい。
【0059】
本発明の防護閉鎖容器の実施物によって実現される吸入防護の水準を示すために、閉鎖容器体積を20L、及び拡散防護パネル面積を1m2として計算した。これらの防護閉鎖容器の設計パラメータを用いて、濃度を時間の関数としてプロットした。曲線の傾きを線形回帰によって決定した。特定の暴露時間における、特定の閉鎖容器設計の濃度×時間の値は、目的の暴露時間までの、この濃度対時間のグラフの下の面積と等しい。従ってこの値は、時間の2乗について傾きを積分して計算され、式:Ct=0.5・傾き・t2(単位mg・分/m3)が得られる。LCt50及びECt50となるのに必要な時間は、表4に示すように、LCt50又はECt50をこの式に代入し、可能な暴露時間について解くことによって計算した。
【0060】
液体(tGD)の攻撃を受けた場合の本発明の構造体の吸入防護を示すために、表5を作製した。この場合、仮想閉鎖容器の体積を20L、拡散防護パネル(10)の面積を1m2として、表1に示したデータを同様に分析した。濃度増加曲線を作製し、直線の傾きを得てから、ECt50及びLCt50に至る予想時間を導いた。表4で既に示したように、本発明の様々な実施物は全て、GD及びtGDの攻撃に対して数時間の防護を提供した。
【0061】
【表3】

【0062】
【表4】

【0063】
【表5】

【0064】
表3〜5より、本発明は、HD蒸気の攻撃に対する十分な防護以上のものを提供することが分かる。わずか1層の炭素層「A」をO2透過性積層体と組み合わせた場合であっても、40時間以上にわたって十分な蒸気防護(LCt50)を提供した。3層の炭素層「A」をO2透過性積層体と組み合わせて使用した実施物では、200時間のHD蒸気防護が予想される。同様に、非常に高濃度のGBで攻撃した場合であっても、予想防護時間は、1層の炭素をO2透過性積層体と組み合わせた場合でも54分、3層の炭素を同じO2透過性積層体と組み合わせて使用した場合は4時間を超える。
【0065】
例3:本発明の防液特性は上述のスーター試験法を用いて決定した。各実施物の化学防護材料は防水性ではないと見込まれたため、スーター試験は上述の面布地「A」及び「B」について行った。面布地Bを用いて作製した実施物は全て、1psiの水圧で3分後に漏れがなかった。対照的に、面布地Aを用いて作製した全ての実施物は、水圧が圧力ゲージに表れ始めるとすぐに漏れが生じた。
【0066】
例4:本発明の空気拡散部分に独特の空気流特性を、上述の空気透過性試験法を用いて測定した。試験サンプルを、面布地「A」及び「B」の両方から、1層及び3層の両方の炭素材料「B」と組み合わせて作製した。圧力の関数として空気流の結果を表6に示す。
【0067】
【表6】

【0068】
表6のデータは、圧力範囲全体で、微孔質ポリマー層を含む面布地Bが非常に低い空気流速度を与えたことを示す。本発明の目的のため、100Paで約5L/m2/秒以下のバルク空気流速度は拡散空気流と見なされる。従って、本発明の目的のため、拡散材料はそこを通る空気流が100Paで約5L/m2/秒以下の材料である。この速度を上回るバルク空気流は対流的であると見なされる。上述したように、空気拡散部分によって、好ましくは微孔質ポリマー層によって提供される拡散流は、拡散機構に対する攻撃を制限することによって、比較的薄い化学防護材料にかかる負担を軽減可能にする。
【0069】
本発明は、防液性で、生命維持に十分な酸素及びCO2を拡散しつつ、同時に化学防護を提供する、防護閉鎖容器を提供する点で独特である。その上、本発明の拡散防護パネルの特性は、気体及び液体の両方の化学的攻撃と、風で動かされる攻撃とが予想される環境においても、安全な吸入を提供するようなものである。
【0070】
本発明の特定の実施態様をここで説明したが、本発明をこのような説明に限定してはならない。当然のことながら、特許請求の範囲内で本発明の一部として変形及び変更を組み入れて具現化してもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)(i)不透過性バリア部分、及び
(ii)空気流が100Paで約5L/m2/秒未満の空気拡散部分
を含む、防水性外表面と、
b)該空気拡散部分に隣接する化学防護材料と
を含んでなる、化学防護閉鎖容器であって、人間の生命維持に十分な呼吸可能な空気が該化学防護閉鎖容器内に拡散する、化学防護閉鎖容器。
【請求項2】
前記空気拡散部分が微孔質ポリマー層を含む、請求項1に記載の化学防護閉鎖容器。
【請求項3】
前記空気拡散部分の空気流が、100Paで約3L/m2/秒未満である、請求項1に記載の化学防護閉鎖容器。
【請求項4】
前記空気拡散部分の空気流が、100Paで約2L/m2/秒未満である、請求項1に記載の化学防護閉鎖容器。
【請求項5】
20時間でのHDの累積破過が、暴露圧力が約60Paで約2μg/cm2以下である、請求項1に記載の化学防護閉鎖容器。
【請求項6】
20時間でのHDの累積破過が、暴露圧力が約60Paで約1μg/cm2以下である、請求項1に記載の化学防護閉鎖容器。
【請求項7】
前記空気拡散部分が多孔質フルオロポリマーを含む、請求項1に記載の化学防護閉鎖容器。
【請求項8】
前記空気拡散部分が多孔質PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)を含む、請求項1に記載の化学防護閉鎖容器。
【請求項9】
前記空気拡散部分が延伸PTFEを含む、請求項1に記載の化学防護閉鎖容器。
【請求項10】
前記化学防護材料が取り外し可能である、請求項1に記載の化学防護閉鎖容器。
【請求項11】
前記化学防護材料が吸着性である、請求項1に記載の化学防護閉鎖容器。
【請求項12】
前記化学防護材料が活性炭を含む、請求項1に記載の化学防護閉鎖容器。
【請求項13】
前記空気拡散部分と前記化学防護材料とが一体化されて、拡散防護パネルを形成する、請求項1に記載の化学防護閉鎖容器。
【請求項14】
前記拡散防護パネルの厚さが約15mm未満である、請求項13に記載の化学防護閉鎖容器。
【請求項15】
前記拡散防護パネルが微孔質ポリマー層と吸着材料とを含む、請求項13に記載の化学防護閉鎖容器。
【請求項16】
前記拡散防護パネルが多孔質延伸ポリテトラフルオロエチレン膜と活性炭とを含む、請求項13に記載の化学防護閉鎖容器。
【請求項17】
前記化学防護閉鎖容器が吸着材料を400g/m2未満含む、請求項1に記載の化学防護閉鎖容器。
【請求項18】
前記化学防護閉鎖容器が吸着材料を200g/m2未満含む、請求項13に記載の化学防護閉鎖容器。
【請求項19】
さらに前記化学防護閉鎖容器内への酸素拡散が、占有者あたり約0.3L/分より大きい、請求項1に記載の化学防護閉鎖容器。
【請求項20】
前記不透過性バリア部分が流体に対して不透過性である、請求項1に記載の化学防護閉鎖容器。
【請求項21】
前記不透過性バリア部分がフルオロポリマーを含む、請求項1に記載の化学防護閉鎖容器。
【請求項22】
前記不透過性バリア部分がさらに布地を含む、請求項1に記載の化学防護閉鎖容器。
【請求項23】
前記空気拡散部分が防液性である、請求項1に記載の化学防護閉鎖容器。
【請求項24】
前記空気拡散部分が少なくとも1つの布地層をさらに含む、請求項1に記載の化学防護閉鎖容器。
【請求項25】
前記空気拡散部分が少なくとも1つの布地層をさらに含む、請求項1に記載の化学防護閉鎖容器。
【請求項26】
前記拡散防護パネルが少なくとも1つの布地層をさらに含む、請求項13に記載の化学防護閉鎖容器。
【請求項27】
前記化学防護材料が、前記化学防護材料を取り外して交換するための着脱機構を含む、請求項10に記載の化学防護閉鎖容器。
【請求項28】
前記閉鎖容器にテントが含まれる、請求項1に記載の化学防護閉鎖容器。
【請求項29】
前記閉鎖容器に負傷者袋が含まれる、請求項1に記載の化学防護閉鎖容器。
【請求項30】
前記閉鎖容器にフードが含まれる、請求項1に記載の化学防護閉鎖容器。
【請求項31】
前記フードが防護バリア観察窓を含む、請求項30に記載の化学防護閉鎖容器。
【請求項32】
前記拡散防護パネルの酸素に対する透過性が約3m3/(m2・時間・bar)より大きく、空気流が100Paで約5L/m2/秒未満であって、20時間でのHDの累積破過が、暴露圧力が約60Paで約2μg/cm2以下である、請求項12に記載の化学防護閉鎖容器。
【請求項33】
前記拡散防護エレメントの厚さが約15mm未満である、請求項32に記載の化学防護負傷者袋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−71153(P2012−71153A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−246650(P2011−246650)
【出願日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【分割の表示】特願2007−541293(P2007−541293)の分割
【原出願日】平成17年11月9日(2005.11.9)
【出願人】(598123677)ゴア エンタープライズ ホールディングス,インコーポレイティド (279)
【Fターム(参考)】