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防錆フィルム
説明

防錆フィルム

【課題】アミン系の気化性防錆剤を含有する防錆フィルムであって、フィルムの諸特性(強度等)を維持しつつ、十分な防錆効果長期にわたり安定的に発現する防錆フィルムを提供すること。
【解決手段】熱可塑性樹脂と、下記式(1)で表されるジカルボン酸アミン塩と、鎖状または環状の脂肪族ジカルボン酸金属塩および芳香族モノカルボン酸金属塩を含む、防錆フィルム。
【化1】



(式中、Aは炭化水素から誘導される2価の基を示し、R、R、R、R、R、およびRは同一又は異なって、水素原子又は炭化水素基を示す。さらにRおよびRが脂肪族炭化水素基を示す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属を包装するための防錆フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
鉄、アルミニウム等の金属製品を包装し、当該金属製品の酸化(錆の発生)を防ぐために用いられるフィルムとして、気化性防錆剤をフィルム中に含有させたフィルムが多数提案されている(例えば、特許文献1)。気化性防錆剤としては、分子中にアンモニウムカチオン又はその前駆体(以下、『アンモニウム部位』と称する場合がある。)を含むアミン系の防錆剤が知られている。アミン系防錆剤は、分子そのものの気化に加え、分子中のアンモニウム部位が、該分子から遊離して気化することにより防錆効果を発現すると考えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−308726号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、アミン系の防錆剤は、フィルムに多量に含有させるとフィルムの諸特性の低下を引き起こし、含有量が少ないと十分な防錆効果が得られない。フィルムの諸特性を維持しつつ、十分な防錆効果を発現する防錆フィルムが望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者等は鋭意検討した結果、特定のアミン系防錆剤と、2種以上のカルボン酸金属塩とを組み合わせてフィルムに含有させることにより、上記課題を解決しうることを見いだし本発明を完成した。
【0006】
すなわち本発明は、熱可塑性樹脂と、下記式(1)で表されるジカルボン酸アミン塩と、鎖状または環状の脂肪族ジカルボン酸金属塩および芳香族モノカルボン酸金属塩を含む、防錆フィルムを提供する。
【0007】
【化1】


(式中、Aは炭化水素から誘導される2価の基を示し、R、R、R、R、R、およびRは同一又は異なって、水素原子又は炭化水素基
を示す。さらにRおよびRは脂肪族炭化水素基を示す。)
【0008】
式(1)中、RおよびRは炭素数3〜12の鎖状または環状の脂肪族炭化水素基である。
【0009】
2種のカルボン酸金属塩の配合量の総和は、ジカルボン酸アミン塩に対して0.5〜5当量の範囲から選択される。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の防錆フィルムは、熱可塑性樹脂と、下記式(1)で表されるジカルボン酸アミン塩と、カルボン酸金属塩とを含む。ただし、本発明の防錆フィルムは、ジカルボン酸アミン塩および/又はそのアミン部位が経時的に遊離気化して防錆フィルムから失われる。本明細書においては、このような防錆フィルムの一部が消失した状態のフィルムも本発明の防錆フィルムに含まれるものとする。
【0011】
(熱可塑性樹脂)
本発明において用いられる熱可塑性樹脂としては、加熱により溶融し、フィルム状に形成可能な公知慣用の樹脂をいずれも用いることができ特に制限されない。例えば、ポリエチレン(低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン)、ポリプロピレン等のオレフィン系の樹脂を例示することができる。これらのなかで、成形性、ジカルボン酸アミン塩(下記詳述)との相溶性等の観点から低密度ポリエチレンを好適に使用することができる。
【0012】
(ジカルボン酸アミン塩)
本発明で用いられるジカルボン酸アミン塩は、下記式(1)で表される化合物である。該ジカルボン酸アミン塩は、常温で固体であり、かつ、フィルムを形成する際の加熱溶融温度(約140℃)において安定であることが好ましい。
【0013】
【化1】


(式中、Aは炭化水素から誘導される2価の基を示し、R、R、R、R、R、およびRは同一又は異なって、水素原子又は炭化水素基を示す。さらにRおよびRは脂肪族炭化水素基を示す。)
【0014】
Aを誘導する炭化水素は、脂肪族炭化水素であっても芳香族炭化水素であってもよいが、好ましくは脂肪族炭化水素である。該脂肪族炭化水素としては、直鎖状、環状のいずれもが用いられ、飽和であっても不飽和であってもよい。
【0015】
Aを含有するジカルボン酸、すなわち、ジカルボン酸アミン塩を構成するジカルボン酸種としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸などの飽和脂肪族ジカルボン酸、フマル酸、マレイン酸などの不飽和脂肪族ジカルボン酸を例示できる。
【0016】
、R、R、R、R、およびRは、同一又は異なって、水素原子または炭化水素基を示し、さらにR、Rは、脂肪族炭化水素基である必要がある。ジカルボン酸アミン塩を構成するアンモニウムカチオンが少なくとも1つの炭化水素基を置換基として有すると、置換基を有しない場合に比して、防錆フィルムに添加した際のアンモニウム部位の遊離気化速度が適度に抑制される。これにより、防錆効果が長期間に渡り安定して発現される。また、防錆フィルム成形時および成形直後における急激なアンモニウム部位の遊離気化が顕著に抑制され、製造時の環境汚染が防止される、防錆フィルムの防錆効果発現期間(防錆フィルムの寿命)を長くすることができる、等の有利な効果が得られる。
【0017】
該炭化水素基は、アリル基、アリール基、アルキル基のいずれであってもよいが、好ましくは炭素数3〜12の鎖状または環状の脂肪族炭化水素基である。
【0018】
該ジカルボン酸アミン塩を構成するアミン種としては、イソプロピルアミン、シクロへキシルアミン等の鎖状または環状の脂肪族第1級アミン、ベンジルアミン等の芳香族第1級アミン、ジイソプロピルアミン、ジシクロへキシルアミン等の鎖状または環状の脂肪族第2級アミン、ジベンジルアミン等の芳香族第2級アミンが例示される。
【0019】
(カルボン酸金属塩)
カルボン酸金属塩としては、鎖状または環状の脂肪族ジカルボン酸金属塩および芳香族モノカルボン酸金属塩の両方を用いる必要がある。
【0020】
脂肪族ジカルボン酸種としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸等が、芳香族モノカルボン酸種としては、安息香酸、桂皮酸等が例示される。
【0021】
カルボン酸金属塩を構成する金属種は、金属イオンを生成し、カルボン酸と塩を形成可能な限りとくに制限されないが、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属を好適に用いることができる。
【0022】
熱可塑性樹脂に、ジカルボン酸アンモニウム塩および鎖状または環状の脂肪族ジカルボン酸金属塩および芳香族モノカルボン酸金属塩を添加混合して樹脂組成物を調製し、該樹脂組成物を公知乃至慣用の方法によりフィルム状に成形することにより、本発明の防錆フィルムを製造することができる。
【0023】
ジカルボン酸アミン塩および2種のカルボン酸金属塩、つまり鎖状または環状の脂肪族ジカルボン酸金属塩と芳香族モノカルボン酸金属塩の添加量は、熱可塑性樹脂100重量部に対して、ジカルボン酸アミン塩および2種のカルボン酸金属塩の総量が1〜4重量部となる範囲から選択することができる。該添加量が1重量部より少ないと十分な防錆効果が得られず、4重量部より多いと成膜性や強度物性等、フィルムとしての諸特性を低下させることがあり、好ましくない。
【0024】
2種のカルボン酸金属塩は、ジカルボン酸アミン塩に対して通常0.5〜5当量、好ましくは0.8〜2当量となるように配合される。カルボン酸金属塩の配合量が上記範囲外であると、防錆フィルムの防錆効果が劣ることがあり、好ましくない。
【0025】
上述の本発明の防錆フィルムを製造するための樹脂組成物は、フィルムの改質等を目的とする適宜な添加剤を含んでいてもよい。
【0026】
本発明の防錆フィルムは単層でもよく、同一組成の層を複数層積層した積層体であってもよい。また、機能性を付与するために他の層を積層してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明の防錆フィルムは、鋼材、電気電子部品等の金属製品の酸化(錆の発生)を防止するための包装材として広範に使用することができる。
【実施例】
【0028】
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0029】
(実施例1)
熱可塑性樹脂(低密度ポリエチレン)100重量部に対し、上記式(1)で表されるジカルボン酸アミン塩としてフマル酸ビスオクチルアンモニウム1重量部と、カルボン酸金属塩としてセバシン酸ジナトリウム1.5重量部、および安息香酸ナトリウム1.5重量部を添加して、加熱混練して樹脂組成物を得た。該樹脂組成物をインフレーション成膜法(ダイス直後の温度:140℃)で厚み80μmのチューブ状フィルムに成形し、防錆フィルムを得た。
【0030】
(比較例1〜比較例4)
ジカルボン酸アミン塩およびカルボン酸金属塩の種類、およびその配合量を表1に示す様に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行い、防塵フィルムを得た。
【0031】
【表1】


(イ)フマル酸ビスオクチルアンモニウム
(ロ)セバシン酸ジアンモニウム
(ハ)セバシン酸ジナトリウム
(ニ)安息香酸ナトリウム
【0032】
[試験評価]
実施例および比較例で作製したチューブ状防錆フィルムを裁断し、一端を熱シールにより封止して、袋(200mm×100mm;シール幅10mm)を作製した。各袋内に、金属試験片密封し、保存試験に付した。金属試験片としては、大きさ50mm×50mm×100mmの鉄片(SS400)およびアルミニウム(#6063)を用いた。保存試験の諸条件を表2に示す。
【0033】
【表2】

【0034】
(防錆性)
保存試験終了後、金属試験片の錆の有無、およびその面積を目視で観察し、実施例および比較例で製造したフィルムの防錆効果を評価した。1試験片中に錆が10点以上発生しているものまたは錆面積が試験片の表面積の10%以上である試験片を、錆の発生があったものと評価した。評価結果を表3に示す。
【0035】
【表3】

【0036】
(薬剤消失率)
前述のサイクル試験および長期保存試験において、試験前および試験後における各実施例および比較例の防錆フィルムに含まれるジカルボン酸アミン塩および/又はカルボン酸金属塩(以下、『薬剤』と総称する。)の重量を測定し、薬剤消失率を算出した。薬剤の重量測定は、以下の手順により行った。試料約1gを10mLのキシレンに加熱・溶解(150℃・30min)させ、メタノール200mLを加える。濾紙で溶媒不溶分と可溶分に分離し、可溶分を加熱・乾固(80℃・1hr)させた後、得られた固体を電子天秤にて秤量する。薬剤消失率の算出は、下記式(1)により行った。
【0037】
【数1】

【0038】
各防錆フィルムの薬剤消失率を表4に示す。
【表4】

【0039】
表3、4の結果より、いずれの試験条件においても、実施例1は薬剤消失率が他の比較例よりも大きく、防錆効果においても優れることが示された。一方、比較例1、比較例2、比較例3および比較例4では、実施例1よりも薬剤消失率が小さく、防錆効果も実施例1より劣ることが確認された。
実施例1と比較例1、比較例2および比較例3の比較より、実施例1ではジカルボン酸アミン塩と脂肪族ジカルボン酸金属塩および芳香族モノカルボン酸金属塩間の相互作用により、ジカルボン酸アミン塩のアミン成分の遊離が強く促進され、優れた防錆効果を発揮していることが示唆される。さらに実施例1は、12ヶ月間の長期試験においても、十分な防錆性能を示すことが確認された。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性樹脂と、下記式(1)で表されるジカルボン酸アミン塩と、鎖状または環状の脂肪族ジカルボン酸金属塩および芳香族モノカルボン酸金属塩を含む、防錆フィルム。
【化1】


(式中、Aは炭化水素から誘導される2価の基を示し、R、R、R、R、R、およびRは同一又は異なって、水素原子又は炭化水素基を示す。さらにRおよびRは脂肪族炭化水素基を示す。)
【請求項2】
上記鎖状または環状の脂肪族ジカルボン酸金属塩および芳香族モノカルボン酸金属塩の配合量が、上記ジカルボン酸アンモニウム塩に対して0.5〜5当量である、請求項1に記載の防錆フィルム。
【請求項3】
上記RおよびRが、炭素数3〜12の鎖状または環状の脂肪族炭化水素基である請求項2に記載の防錆フィルム。


【公開番号】特開2013−7072(P2013−7072A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−138948(P2011−138948)
【出願日】平成23年6月22日(2011.6.22)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【出願人】(592211194)キレスト株式会社 (30)
【出願人】(596148629)中部キレスト株式会社 (31)
【Fターム(参考)】