Notice: Undefined variable: fterm_desc_sub in /mnt/www/biblio_conv.php on line 353
防錆塗料、塗膜形成方法、及び塗装物品
説明

防錆塗料、塗膜形成方法、及び塗装物品

【課題】良好な防錆性を有する防錆塗料、該防錆塗料を被塗物に塗装して塗膜を形成する塗膜形成方法、及び該防錆塗料を被塗物に塗装してなり、良好な耐食性を有する塗装物品を提供する。
【解決課題】本発明の防錆塗料は、亜鉛、及び亜鉛以外の金属を含む粉末状の合金と、鱗片状シリカと、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、及びソルビタン脂肪酸エステルからなる群から選択される少なくとも1種であり、HLBが6以上17以下である界面活性剤と、水とを含有する。鱗片状シリカの前記合金に対する質量比は0.013以上0.18以下であるのが好ましい。また、防錆塗料は導電性顔料を含有するのが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、亜鉛合金を含有する防錆塗料、該防錆塗料を被塗物に塗装して塗膜を形成する塗膜形成方法、及び該防錆塗料を被塗物に塗装してなる塗装物品に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄鋼材等の金属材は、大気中の酸素及び水分等によって酸化、腐食されるため、各種のメッキを施したり、塗料を塗布したりしてその表面を被覆し、保護する必要がある。
前記塗料としては、亜鉛及びアルミニウム等を金属顔料として含む防錆塗料が挙げられる。亜鉛及びアルミニウムは鉄よりもイオン化傾向が大きいため、鉄より先に溶出し、鉄の腐食を抑制する作用(犠牲防食作用)が得られる。
【0003】
特許文献1には、亜鉛末、アルキルシリケート、及び沸点156℃の酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル等の溶媒を含むアルキルシリケート系高濃度亜鉛末塗料を被塗物に塗装した後、その塗膜を塩基性物質含有水性液で処理する塗膜硬化方法の発明が開示されている。この発明によれば、塩基性物質含有水性液によりアルキルシリケートの加水分解及び脱水縮合反応が促進されて塗膜の硬化が促進される。
特許文献2には、アルキルシリケート、沸点108℃のイソブチルアルコールを含むアルコール、水、及び塩酸を有する溶液を反応させてアルキルシリケート加水分解初期縮合物を調製した後、亜鉛末を配合して防食塗料を得、該防食塗料を鋼材の表面にプライマーとして塗装する防食塗装方法の発明が開示されている。
特許文献3には、部分加水分解縮合されたアルキルシリケート、亜鉛末、及び増粘剤を含む防錆性付与下塗材の発明が開示されている。
特許文献4には、大気圧で略100℃を超える沸点を有する高沸点有機液体、粒状金属、増粘剤、シラン結合剤を含む水希釈型被覆組成物の発明が開示されている。すなわち、アルキルシリケート系亜鉛末塗料に、シラン結合剤を加水分解する水を配合することが開示されている。
【0004】
特許文献5には、亜鉛、又は亜鉛を主成分とする例えばZn−10%Al−0.1%Mg等の亜鉛基合金からなり、フレーク状をなす金属粉末と液体媒体とを含む塗料の発明が開示されている。この発明によれば、金属粉末をフレーク状にして比表面積を大きくしているので、金属粉末同士の接触が密になり、金属自体の能動的な防食性に加えて、フレーク形状に基づく保護バリア効果(受動的防食性)も得られ、金属粉末の含有量を減じることができ、塗膜に割れが発生するのを抑制することができる。
特許文献6には、亜鉛とアルミニウムとの合金からなり、メカニカルプレーティングに用いられる金属粉末の発明が開示されている。亜鉛にアルミニウムを合金化することにより防錆性が向上するが、塗膜の密着性は亜鉛単独の場合より悪くなる。この発明によれば、合金中の亜鉛の含有量を略50質量%以上に設定することで、良好な防錆性及び塗膜の密着性を併せ持つことを可能にしている。
特許文献7には、特許文献5及び6の発明と同様に、亜鉛を50質量%以上含む、亜鉛と非亜鉛金属との合金からなり、特許文献5の発明と同様にフレーク状をなす金属粉末を液体媒体と共に用いることで、良好な防錆性を有する塗料の発明が開示されている。
【0005】
特許文献8には、水、グリコール化合物及び/又は有機溶剤からなる液体媒体中に少なくとも一種の粒状金属と少なくとも一種の結合剤とを含有し、前記粒状金属と結合剤との合計に対する前記粒状金属の含有量が70質量%以上であり、前記粒状金属が、粒状金属に対して4質量%未満の含有量のアルミニウムと、50質量%以上の含有量の亜鉛とを、亜鉛とアルミニウムとの合計含有量が粒状金属に対して100質量%以下となる亜鉛合金を含むように構成されたネジ用耐食性被覆組成物の発明が開示されている。
特許文献9には、略20〜70質量%の水、低沸点有機液体、粒状金属、アルコキシ基を含有し、水溶性である、略3〜20質量%のシラン結合剤、及び湿潤剤を含み、耐蝕性に加えて、被塗物上で所望のコーティング粘着性を有するコーティング組成物の発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭55−108473号公報
【特許文献2】特開平6−31245号公報
【特許文献3】特開平7−228801号公報
【特許文献4】特許第3904669号公報
【特許文献5】特開昭61−123674号公報
【特許文献6】特開昭55−119101号公報
【特許文献7】特許第4198919号公報
【特許文献8】特開2006−52361号公報
【特許文献9】特開2002−121485号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述の特許文献5〜8の発明においては、顔料の金属粉末として、特許文献1〜4の亜鉛末に代えて亜鉛−アルミニウム合金を用いることで良好な防錆性を得、特許文献9の発明においては、シラン結合剤をコーティング組成物中に略3〜20質量%含有することで良好なコーティング粘着性を得ているが、さらなる防錆性の向上が要求されている。例えば塩水噴霧試験で1000時間経過した時点で、鋼材からなる基材に塗膜を形成した塗装物品に赤錆が発生しないことが求められている。
また、異種金属の部品と組み合わされて使用され、複雑な形状をなす、例えばボルト、ナット、ワッシャー等を含む製品の表面においても塗膜が均一に形成される必要があり、そのため、塗料中に均一に合金が分散されている必要がある。
【0008】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、良好な防錆性を有する防錆塗料、該防錆塗料を被塗物に塗装して塗膜を形成する塗膜形成方法、及び該防錆塗料を被塗物に塗装してなり、良好な耐食性を有する塗装物品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者等は鋭意研究の結果、亜鉛、及び亜鉛以外の金属を含む合金に加えて、鱗片状シリカを配合して防錆塗料を調製することにより、該防錆塗料を被塗物に塗装して塗膜を形成した場合に耐食性が著しく向上することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、第1発明に係る防錆塗料は、亜鉛、及び亜鉛以外の金属を含む粉末状の合金と、鱗片状シリカと、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、及びソルビタン脂肪酸エステルからなる群から選択される少なくとも1種であり、HLBが6以上17以下である界面活性剤と、水とを含有することを特徴とする。
【0010】
第2発明に係る防錆塗料は、第1発明において、導電性顔料を含有することを特徴とする。
【0011】
第3発明に係る防錆塗料は、第1又は第2発明において、分子中に、エポキシ基、メタクリロキシ基、アクリロキシ基、アミノ基、メルカプト基、及びビニル基からなる群より選ばれる少なくとも1個の官能基と、加水分解性ケイ素基とを有するシランカップリング剤と、分子中に、加水分解性ケイ素基を有し、前記シランカップリング剤の官能基を含まないシラン化合物とを含有することを特徴とする。
【0012】
第4発明に係る塗膜形成方法は、第1乃至第3発明のいずれかの防錆塗料を被塗物に塗装して塗膜を形成することを特徴とする。
【0013】
第5発明に係る塗装物品は、第1乃至第3発明のいずれかの防錆塗料を被塗物に塗装してなることを特徴とする。
【0014】
本発明の防錆塗料は、亜鉛合金に加えて、鱗片状シリカを含有するので、良好な防錆性を有する。これは、鱗片状シリカが塗膜中で、積層状態で配向するので、腐食性ガス及び腐食性物質の塗膜への浸透が遮断されるとともに、塗膜の造膜能が向上して機械的物性が向上するためと考えられる。
そして、上述の界面活性剤を含有するので、亜鉛合金が良好に水に分散し、被塗物上に均一に塗膜が形成され得る。
【0015】
本発明の防錆塗料は、導電性顔料を含有するので、塗膜の導電性が向上し、亜鉛の犠牲防食作用がスムーズに生じることになり、良好な防錆性を有する。
【0016】
本発明の防錆塗料は、上述のシランカップリング剤を含有するので、加水分解によりシラノール基が生じ、シラノール基は亜鉛合金と結合するので、亜鉛合金が防錆塗料中で安定化する。塗膜形成時に、シラノール基は被塗物及び亜鉛合金と結合し、また、前記官能基により架橋等が生じるので、塗膜の付着性も向上する。そして、上述のシラン化合物を含有するので、加水分解によりシラノール基が生じやすく、シラノール基は亜鉛合金と結合するため、亜鉛合金が防錆塗料中で安定化する。塗膜形成時に、シラノール基は被塗物及び亜鉛合金と結合するので、塗膜の付着性も向上する。
【0017】
本発明の塗膜形成方法は、本発明の防錆塗料を被塗物に塗装して塗膜を形成するので、得られた塗装物品は、良好な耐食性を有する。
【0018】
本発明の塗装物品は、本発明の防錆塗料を被塗物に塗装してなるので、良好な耐食性を有する。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、防錆塗料が亜鉛合金に加えて、鱗片状シリカを含有するので、防錆性が向上しており、該防錆塗料を塗装してなる塗装物品は良好な耐食性を有する。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明に係る防錆塗料は、亜鉛、及び亜鉛以外の金属を含む粉末状の合金(以下、亜鉛合金という)と、鱗片状シリカと、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、及びソルビタン脂肪酸エステルからなる群から選択される少なくとも1種であり、HLBが6以上17以下である界面活性剤と、水とを含有する。
【0021】
亜鉛合金粉末はフレーク状であるのが好ましい。フレーク状にすることにより、比表面積が大きくなり、粉末同士の接触が密になり、金属自体の能動的な防食性に加えて、フレーク形状に基づく保護バリア効果(受動的防食性)も得られ、亜鉛合金粉末の含有量を減じることができ、塗膜に割れが発生するのを抑制することができる。
亜鉛以外の金属としては例えばアルミニウム、マグネシウム、錫、コバルト、及びマンガン等が挙げられる。中でも、良好な犠牲防食作用が得られ、比較的安価であるという観点から合金中にアルミニウムを含むのが好ましい。上述の亜鉛以外の金属は1又は2以上を用いることができる。例えば3金属の合金として、亜鉛−アルミニウム−マグネシウム合金等を用いることができる。
【0022】
防錆性、被塗物に対する密着性、及びコストの観点から、亜鉛合金中に亜鉛を好ましくは50質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは85質量%以上含有する。
【0023】
亜鉛合金はペースト状にしてあるものを用いるのが好ましい。ペースト液体としては、例えばジプロピレングリコール、ミネラルスピリット等が挙げられる。
亜鉛合金は亜鉛合金ペースト中に略90〜95質量%含有されるのが好ましい。
そして、亜鉛合金が亜鉛−アルミニウム合金である場合、亜鉛合金ペースト中に、略85〜90質量%の亜鉛、及び略3〜8質量%のアルミニウムを含み、残部がペースト液体であるのが好ましい。
亜鉛合金ペーストの具体例としては、エカルト(Eckart)社製のZn−Al合金ペーストである「STAPA 4 ZnAl7」(Zn:85質量%、Al:7質量%、ミネラルスピリット:8質量%)、「STAPA 4 ZnAl3」(Zn:89質量%、Al:2.5質量%、ミネラルスピリット:8.5質量%)等が挙げられる。粒子寸法については、粒子の少なくとも略50質量%が最も長い寸法として略15ミクロン未満の寸法を有するのが好ましい。
【0024】
本発明の防錆塗料は、亜鉛合金に加えて、粉末状の単体の金属(フレーク状又は非フレーク状)を含んでもよい。例えばフレーク状のアルミニウムを含むアルミニウムペーストを含有することができる。
【0025】
鱗片状シリカは、一次粒子が鱗片板状をなし、低結晶性を有し、展着性、配向性、及び隠蔽性等の特性に優れる。この一次粒子として、例えば厚みが0.001〜1μmの鱗片状板からなり、該厚みに対する該鱗片状板の最長長さの比(アスペクト比)が少なくとも10、該厚みに対する該鱗片状板の最小長さの比が少なくとも3であるものが挙げられる。鱗片状の一次粒子は凝集して二次粒子を形成し、これにより自己造膜性が得られる。
鱗片状シリカを含む製品として、具体的には、AGCエスアイテック株式会社製の「サンラブリーLFS HN050」が挙げられる。これは、鱗片状シリカの15%水溶液として調製されている。
【0026】
鱗片状シリカは、アスペクト比の高い偏平な薄片状をなすため、塗布、造膜中に粒子が結合剤中で、基材の表面に略平行に配向し、塗膜の乾燥の進行に従い、粒子同士が近接して緻密に積層し、微細な複合構造をとる。
鱗片状シリカが塗膜中で積層状態で配向しているので、酸素等の腐食性ガス及び腐食性物質の浸透が、粒子レベルで効果的に遮断される。しかも、鱗片状シリカが自己造膜性を有するので、防錆塗料に配合されることにより、シランカップリング剤の造膜能が強化され、得られる塗膜の機械的物性が向上し、可撓性、クラック防止性及びピンホール防止性等の性能が向上する。従って、塗膜の耐食性が向上する。
【0027】
鱗片状シリカの亜鉛合金に対する質量比(有効成分比)は、防錆性の発現、及び良好な貯蔵安定性が得られるという観点から、0.013以上0.18以下であるのが好ましい。下限はより好ましくは0.05、上限はより好ましくは0.1、さらに好ましくは0.09である。
【0028】
上述の界面活性剤としてのポリオキシエチレンアルキルアミンは、下記式(1)の一般式で表される。
【0029】
【化1】

【0030】
但し、a=1,2,〜
b=1,2,〜
R=Cn 2n+1
n=1,2,〜
【0031】
ポリオキシエチレンアルキルエーテルは下記式(2)の一般式で表される。
RO−(CH2CH2 O)n −H ・・・(2)
n=1,2,〜
R=Cm 2m+1
m=1,2,〜
【0032】
ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテルは下記式(3)の一般式で表される。
【0033】
【化2】

【0034】
但し、n=1,2,〜
【0035】
ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルは下記式(4)の一般式で表される。
【0036】
【化3】

【0037】
但し、a=1,2,〜
b=1,2,〜
c=1,2,〜
R=Cn 2n+1
n=1,2,〜
【0038】
ソルビタン脂肪酸エステルは下記式(5)の一般式で表される。
【0039】
【化4】

【0040】
但し、R=Cn 2n+1
n=1,2,〜
【0041】
界面活性剤を含有することにより、亜鉛合金の水に対する分散性が向上する。
この効果が有効に奏されるという観点から、界面活性剤の亜鉛合金に対する質量比は0.01以上0.3以下であるのが好ましく、0.01以上0.2以下であるのがより好ましい。界面活性剤の種類及び組み合わせを決定する際にHLBが考慮されるが、後述するように界面活性剤の種類及び組み合わせにより好適なHLBの範囲は異なるので、界面活性剤の種類及び組み合わせに対応したHLBを有する界面活性剤を選択する。
【0042】
本発明の防錆塗料は、導電性顔料を含有するのが好ましい。
この導電性顔料としては、基材としてルチル型又はアナターゼ型の酸化チタン用い、この基材の表面にアンチモンを含む酸化スズを有する被覆層を形成してなり、白色を有するものが挙げられる。顔料中の被覆層の割合は8〜22%であるのが好ましい。被覆層のアンチモン含有量は1.0〜10.0%であるのが好ましい。
この導電性顔料の具体例として、三菱マテリアル電子化成株式会社の製品「W−1」が挙げられる。
【0043】
また、環境への影響が少ない、アンチモンフリーの導電性顔料として、酸化チタン又はチタン酸カリウムからなる基材の表面上に、酸化スズを含む導電層を形成し、該導電層上に、アルキル基含有シラン化合物及び/又はフッ素含有有機シラン化合物からなる有機シラン化合物を含む表面処理層を形成してなるものが挙げられる。
有機シラン化合物がアルキル基含有シラン化合物である場合、アルキル基と、アルコキシ基とを有するのが好ましい。導電性効果の発現の観点から、アルキル基の炭素数が1〜10であり、アルコキシ基がメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、又はイソプロポキシ基であるのがより好ましい。
有機シラン化合物がフッ素含有有機シラン化合物である場合、部分フッ素化アルキル基とアルコキシ基とを含むのが好ましい。導電性効果の発現の観点から、部分フッ素化アルキル基の炭素数が2〜16であるのがより好ましい。
【0044】
この導電性顔料の導電層は、基材と導電層の総量に対して、5〜40%であるのが好ましい。表面処理層は、基材と導電層の総質量100gに対して、6〜18mmolであるのが好ましい。
この導電性顔料の具体例として、三菱マテリアル電子化成株式会社の製品「W−4」が挙げられる。
【0045】
防錆塗料に導電性顔料を含有することにより、塗膜の導電性が向上し、亜鉛がアノードとなって、Zn→Zn2++2e- の反応が生じ、鉄に電子を供給して鉄の溶出を防ぐ犠牲防食作用がスムーズに生じることになり、防錆性が向上する。
この導電性顔料の亜鉛合金(有効成分)に対する質量比は、防錆性の発現、及び良好な貯蔵安定性が得られるという観点から、0.04以上0.47以下であるのが好ましい。下限は、より好ましくは0.15、さらに好ましくは0.22、上限は、より好ましくは0.3である。
【0046】
本発明の防錆塗料は、分子中にエポキシ基、メタクリロキシ基、アクリロキシ基、アミノ基、メルカプト基、及びビニル基からなる群より選ばれる少なくとも1個の官能基と加水分解性ケイ素基とを有するシランカップリング剤を含有するのが好ましい。
加水分解性ケイ素基としては特に限定されないが、取扱い性の観点から、アルコキシシリル基が好ましく、反応性の観点から、メトキシシリル基、エトキシシリル基が特に好ましい。
【0047】
シランカップリング剤としては、官能基としてエポキシ基を含む場合、例えば2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
官能基としてメタクリロキシ基を含む場合、例えば3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
官能基としてアクリロキシ基を含む場合、例えば3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0048】
官能基としてアミノ基を含む場合、例えばN−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
官能基としてメルカプト基を含む場合、例えば3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
官能基としてビニル基を含む場合、例えばビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等が挙げられる。
【0049】
被覆特性向上及び塗料組成物安定化の観点から、シランカップリング剤は、官能基としてのエポキシ基を含むアルキル基、中でもグリシドキシ基を含むアルキル基を有するのが好ましい。
【0050】
シランカップリング剤が加水分解することによりシラノール基が生じ、シラノール基は亜鉛合金と結合するので、亜鉛合金が防錆塗料中で安定化すると考えられる。シラノール基は金属である被塗物及び亜鉛合金と結合し、また、前記官能基により塗料成分が架橋又は化学結合するので、塗膜の付着性が向上する。
本発明の防錆塗料は鱗片状シリカを含有するので、塗膜強度が強くなり、シランカップリング剤の含有量を減じることができる。塗膜の良好な付着性の発現及び塗料の貯蔵安定性の観点から、シランカップリング剤の亜鉛合金に対する質量比は、好ましくは0.01以上0.9以下、より好ましくは0.2以上0.8以下、さらに好ましくは0.25以上0.8以下である。
【0051】
本発明の防錆塗料は、分子中に加水分解性ケイ素基を有し、前記シランカップリング剤の官能基を含まないシラン化合物をさらに含有するのが好ましい。
加水分解性ケイ素基としては特に限定されないが、取扱い性の観点から、アルコキシシリル基が好ましく、反応性の観点から、メトキシシリル基、エトキシシリル基が特に好ましい。
そして、シランカップリング剤の官能基を含まないアルキル基、フェニル基、又は水素原子の一部若しくは全部をハロゲン原子で置換したハロアルキル基等を有する。
このシラン化合物としては、例えばメチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
このシラン化合物は加水分解してシラノール基が生じやすく、シラノール基は亜鉛合金と結合するので、亜鉛合金が防錆塗料中で安定化すると考えられる。塗膜形成時に、シラノール基は被塗物及び亜鉛合金と結合するので、塗膜の付着性も向上する。
この効果の発現及び塗料の貯蔵安定性の観点から、シラン化合物の亜鉛合金に対する質量比は、好ましくは0.01以上0.9以下、より好ましくは0.05以上0.6以下である。
【0052】
本発明の防錆塗料は、塗装の方法、塗膜の膜厚、及び焼き付けの条件等に応じて適宜の量の水を含有することができるが、防錆塗料中に25質量%以上90質量%以下含有するのが好ましく、50質量%以上80質量%以下含有するのがより好ましい。そして、亜鉛合金ペーストにペースト液体として含まれる有機液体以外に、有機液体を防錆塗料に含有することができる。この有機液体として、例えば酢酸等の酸を用いることができる。
【0053】
本発明の防錆塗料は、通常の製造方法に従って、各成分を混合、撹拌することによって得られる。その際、上述の成分以外に、湿潤分散剤、湿潤剤、消泡剤、増粘剤、pH調整剤等の塗料用添加剤を配合し得る。例えば一般的な塗料用添加剤である、ポリカルボン酸系等の湿潤分散剤、有機ホスフェートエステル,ナトリウムビストリデシルスルホスクシネート等のジエステルスルホスクシネート等の湿潤剤、シリコーン系又はアクリル系の消泡剤等を配合することができる。
増粘剤としては、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、及びメチルエチルセルロースのエーテル類、これら物質の混合物が挙げられる。他の増粘剤としては、キサンタンガム、ウレタン系の会合増粘剤、ウレタンを含まない非イオン性会合増粘剤が挙げられる。
pH調製剤としては、リチウム、ナトリウム等のアルカリ金属(IA族)、ストロンチウム、カルシウム、バリウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属(IIA族、)、亜鉛、カドミウム等のIIB族等の金属の酸化物及び水酸化物が挙げられ、被覆結合性を強化できるという観点から、リチウム、ナトリウム等のアルカリ金属の酸化物及び水酸化物が好ましい。また、前述の金属の炭酸塩又は硝酸塩であってもよい。
【0054】
本発明の防錆塗料は、オルトホウ酸、メタホウ酸、テトラホウ酸、酸化ホウ素、及びホウ酸亜鉛等のホウ素化合物を含有してもよい。また、リン酸塩、硝酸カルシウム、二塩基性リン酸アンモニウム、トリポリリン酸アルミニウム、カルシウムスルホネート、1−ニトロプロパン、炭酸リチウム(pH調製剤と兼用)等を含有してもよい。
【0055】
本発明に係る防錆塗料は、上述のシランカップリング剤及びシラン化合物を含有するので、該防錆塗料により塗装した場合に亜鉛合金と被塗物との密着性が良好であり、無水クロム酸、クロム酸ナトリウム、クロム酸カリウム、重クロム酸ナトリウム、重クロム酸カリウム等の水溶性クロム化合物を含む必要がない。従って、環境上の問題が生じない。
【0056】
以下に、本発明の防錆塗料を用いて被塗物に塗膜を形成する方法について詳述する。
本発明の防錆塗料により塗装される被塗物は特に限定されるものではなく、セラミック製等の被塗物であってもよいが、鋼材等の鉄系材料からなる被塗物に好適に塗装され得る。鉄系材料の被塗物は、合金又は金属間混合物等の形態であってもよい。
鉄系材料の被塗物として、チェーン、歯車、減速機及び直動シリンダーの本体又はケース等、鉄系材料を用いる製品全般が挙げられる。チェーンとしては、2本のピンにより連結される一対の外プレートと、2つのブシュにより連結される一対の内プレートとを、前記ブシュに前記ピンを遊嵌した状態で交互に連結してなるものが挙げられる。また、本発明の防錆塗料は、水に曝されることがある、自動車用のボルト、ナット、ワッシャ、ピン、ねじ等にも好適に塗装され得る。
【0057】
被塗物は、塗装前に、洗浄及び/又は脱脂を行うことにより、基板表面から異物を除去しておくのが好ましい。脱脂は、例えばヘキサン等により行うことができる。また、メタシリケート、苛性ソーダ、四塩化炭素、トリクロロエチレン等を含む公知の薬剤を用いてもよい。
そして、被塗物の表面の処理として、ショット(小さい鋼球)を高圧の空気で該表面に向かって噴出させ、該表面に当ててその表面を仕上げるショットブラスト処理を行うことにしてもよい。さらに、被塗物の表面に、亜鉛又は亜鉛合金等によりめっきを施して下地皮膜を形成しおいてもよい。
【0058】
本発明の防錆塗料は、浸漬ドレン(ディップドレン)及び浸漬回転(ディップスピン)等の浸漬処理、はけ塗り、噴霧等によって被塗物に塗装することができる。
【0059】
本発明の防錆塗料を被塗物に塗布した後、防錆塗料を加熱硬化させるのが好ましい。防錆塗料の揮発性の成分は、硬化前の乾燥により、予め蒸発させるのが好ましい。乾燥の温度は、略100℃〜180℃であるのが好ましい。乾燥時間は、2〜25分間程度であるのがよい。
【0060】
防錆塗料の加熱硬化は、高温空気オーブン硬化により行われ得るが、赤外線ベーキング及び誘導硬化を採用することもできる。加熱硬化は、略280℃〜370℃の範囲で行われ得る。硬化時間は、略10分〜45分である。
【0061】
良好な耐食性の発現及びコストの観点から、被塗物の塗布量は、好ましくは5g/m2 〜100g/m2 、より好ましくは10g/m2〜50g/m2、さらに好ましくは12g/m2〜40g/m2である。
【0062】
本発明の防錆塗料は、被塗物に複数回塗装することにしてもよい。
また、他の上塗り塗料用いて上塗りすることにしてもよい。この上塗り塗料として、例えばシリケート、シリケートエステル等のシラン化合物、及びコロイド状シリカ等を含有するものが挙げられる。
【0063】
以上のように構成された本発明の防錆塗料において、亜鉛合金は良好に水に分散し、該防錆塗料は良好な防錆性を有し、該防錆塗料を被塗物に塗装してなる塗装物品は良好な耐食性を有する。
【実施例】
【0064】
以下、本発明の実施例及び比較例につき具体的に説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
【0065】
1.界面活性剤の検討
亜鉛合金を防錆塗料中に良好に分散させるために添加する界面活性剤の検討を行った。
検討した界面活性剤は以下の通りである。
前記式(1)のポリオキシエチレンアルキルアミン
商品名「ゾンテスAL」(松本油脂製薬株式会社製)
商品名「アミート105」(花王株式会社製)
商品名「アミート102」(花王株式会社製)
【0066】
前記式(2)のポリオキシエチレンアルキルエーテル
商品名「マーポンACF−12」(松本油脂製薬株式会社製)
商品名「マーポンACF−9」(松本油脂製薬株式会社製)
商品名「マーポンB−9W」(松本油脂製薬株式会社製)
商品名「マーポンACF−7」(松本油脂製薬株式会社製)
商品名「マーポンB−5」(松本油脂製薬株式会社製)
商品名「エマルゲン106」(花王株式会社製)
商品名「エマルゲン102KG」(花王株式会社製)
【0067】
前記式(3)のポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル
商品名「エマルゲンA−60」(花王株式会社製)
商品名「エマルゲンA−90」(花王株式会社製)
【0068】
前記式(4)のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル
商品名「レオドールTW−S106V」(花王株式会社製)
商品名「レオドールTW−L120」(花王株式会社製)
【0069】
前記式(5)のソルビタン脂肪酸エステル
商品名「レオドールSP−L10」(松本油脂製薬株式会社製)
【0070】
各界面活性剤のHLBを下記の表1〜3に示す。
【0071】
【表1】

【0072】
【表2】

【0073】
【表3】

【0074】
[配合例1]
前記表1の配合(質量部で示す)に従って、水、界面活性剤(前記「ゾンテスAL」)、Zn−Al合金ペースト(前記「STAPA 4 ZnAl7」、エカルト社製)を室温で1時間、撹拌混合して、配合例1の組成物を得た。
[配合例2〜10]
配合は前記表1の配合に従い、配合例1と同様にして配合例2〜10の組成物を得た。[配合例11]
界面活性剤を添加しなかったこと以外は、配合例1と同様にして、配合例11の組成物を得た。
【0075】
[配合例12〜16]
配合は前記表2の配合に従い、配合例1と同様にして配合例12〜16の組成物を得た。
【0076】
[配合例17〜24]
配合は前記表3の配合に従い、界面活性剤を2又は3種用い、配合例1と同様にして配合例17〜24の組成物を得た。なお、配合例17〜24においては、水、界面活性剤、亜鉛合金、水の順に配合しており、水を2回に亘って配合している。
【0077】
[分散性の評価]
組成物調製後のZn−Al合金の組成物中の分散性を以下のように評価した。
A・・・非常に良い
B・・・良い
C・・・悪い
D・・・亜鉛合金が水を弾く
この評価結果を前記表1〜3に示す。
【0078】
表1より、式(1)のポリオキシエチレンアルキルアミンの場合、いずれの界面活性剤も良好な分散性を示すことが分かる(HLB6.3〜9.5)。
式(2)のポリオキシエチレンアルキルエーテルの場合、同一のHLB13.3を示す「マーポンACF−9」は分散性の評価がC、「マーポンB−9W」は評価がBである。HLB12.1の「マーポンACF−7」も評価がBであり、HLB10.9,10.5の「マーポンB−5」,「エマルゲン106」はいずれも評価がAであり、HLB6.3の「エマルゲン102KG」は評価がCである。従って、ポリオキシエチレンアルキルエーテルの場合、HLB10〜13が好ましく、HLB10〜11がより好ましいことが推察される。
【0079】
表2より、式(3)〜(5)の界面活性剤(ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル)を単独で用いた場合、「エマルゲンA−60」(HLB12.8)のみが評価Bであり、他の界面活性剤は評価Cであることが分かる。
表3より、式(3)の2つの界面活性剤、及び式(4)の2つの界面活性剤を混合しても分散性は向上せず、式(4)及び(5)の界面活性剤を混合してHLB13〜15にした場合に評価がBになり、さらに式(2)の界面活性剤も混合してHLB13.6にした場合、評価がAになることが確認された。
分散性の評価がB以上である界面活性剤を用いて防錆塗料を調製した場合、いずれの防錆塗料においても、亜鉛合金は良好に分散すると考えられる。
【0080】
2.防錆塗料の調製
[実施例1]
下記の表4の配合(質量部で示す)に従って、Zn−Al合金ペースト(前記「STAPA 4 ZnAl7」)、n−ヘキシルトリメトキシシラン(JNC株式会社製「HTS−M」)、界面活性剤(松本油脂製薬株式会社製の前記「ゾンテスAL」)、湿潤分散剤、導電性顔料(1)(三菱マテリアル電子化成株式会社製の前記「W−1」)、鱗片状シリカ水溶液(前記「サンラブリーLFS HN050」)、酢酸、シランカップリング剤(JNC株式会社製「S510」、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)、水、増粘剤(ビックケミー・ジャパン株式会社製「BYK―425」、ウレタン系増粘剤(レオロジーコントロール剤)))、消泡剤(ビックケミー・ジャパン株式会社製「BYK−011」)、及び湿潤剤を4時間、混合撹拌することによって、実施例1の防錆塗料を得た。
【0081】
【表4】

【0082】
前記表4中、「鱗片状シリカ/合金」、「導電性顔料/合金」、「n−ヘキシルトリメトキシシラン/合金」、及び「シランカップリング剤/合金」はそれぞれ、鱗片状シリカ(鱗片状シリカ水溶液の有効成分)、導電性顔料、n−ヘキシルトリメトキシシラン、シランカップリング剤のZn−Al合金(Zn−Al合金ペーストの有効成分、Zn−Al合金ペーストの92%)に対する質量比(%)を示す。
【0083】
[実施例2〜9]
前記表4の配合に従い、実施例1と同様にして、実施例2〜9の防錆塗料を得た。表4中、導電性顔料(2)は三菱マテリアル電子化成株式会社製の前記「W−4」である。
【0084】
[比較例1〜3]
n−ヘキシルトリメトキシシラン、導電性顔料、及び鱗片状シリカを添加せず、他の成分は前記表4の配合に従い、実施例1と同様にして、比較例1〜3の防錆塗料を得た。
【0085】
3.耐食表面処理ボルトの作製
ボルト(M8:鋼製)の表面に脱脂処理及びショットブラスト処理を施した後、実施例1〜9、及び比較例1〜3の防錆塗料を用いてディップスピン法により被覆し、150℃で硬化前乾燥をした後、330℃で硬化させて、塗膜を形成した。再度、同一の防錆塗料を用いて塗装を行った。すなわち、2回塗りを行った。塗着量は200mg/dm2 であった。
【0086】
4.耐食表面処理プレートの作製
冷間圧延鋼板(SPCC−SD、日本テストパネル株式会社製、0.8mm×70mm×150mm)の表面に脱脂処理を施した後、実施例1〜9、及び比較例1〜3の防錆塗料を用いてディップスピン法により被覆し、150℃で硬化前乾燥をした後、330℃で硬化させて、塗膜を形成した。再度、同一の防錆塗料を用いて塗装を行った。すなわち、2回塗りを行った。塗着量は200mg/dm2 であった。
【0087】
5.性能評価
[塩水噴霧試験(耐食性評価試験)]
上述の耐食表面処理ボルト及び耐食表面処理プレートにつき、「JIS−K5600−7−1」に準拠して塩水噴霧試験を行った。1000時間経過時の赤錆の発生の有無を以下のように評価した。その結果を前記表4に示す。
A:赤錆の発生なし
B:赤錆が発生
【0088】
[まとめ]
前記表4より、鱗片状シリカ、及びシランカップリング剤以外のシラン化合物(n−ヘキシルトリメトキシシラン)を含有する実施例1〜3の防錆塗料、並びに鱗片状シリカ、導電性顔料、及び前記シラン化合物を含有する実施例4〜9の防錆塗料(以上、鱗片状シリカ水溶液のZn−Al合金に対する質量比が1.3%〜17%)を用いて塗膜を形成した場合、鱗片状シリカ、導電性顔料、及び前記シラン化合物を含有しない比較例1〜3の防錆塗料を用いて塗膜を形成した場合(いずれも500時間経過前に赤錆が発生)と比較して、耐食表面処理ボルト及び耐食表面処理プレートのいずれにおいても、耐食性が向上していることが分かる。
実施例3の防錆塗料の場合、他の実施例と比較して貯蔵安定性が悪いことが確認されている。これは、界面活性剤の「ゾンテスAL」はアルカリ性であり、鱗片状シリカはアルカリ性に弱いため、鱗片状シリカの含有量を増加させることで貯蔵安定性が悪くなったと考えられる。従って、鱗片状シリカのZn−Al合金に対する質量比は5%〜10%であるのがより好ましい。
同様に、導電性顔料のZn−Al合金に対する質量比は、好ましくは4%以上47%以下、より好ましくは15%以上30%以下であることが分かる。
【0089】
以上より、鱗片状シリカ及び導電性顔料を含有する本発明の防錆塗料は良好な防錆性を有し、該防錆塗料を被塗物に塗装してなる塗装物品は良好な耐食性を有することが確認された。
また、本発明の防錆塗料は上述の界面活性剤を含有するので、亜鉛合金は良好に水に分散し、被塗物の表面に塗膜が均一に形成され得ることも確認された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
亜鉛、及び亜鉛以外の金属を含む粉末状の合金と、
鱗片状シリカと、
ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、及びソルビタン脂肪酸エステルからなる群から選択される少なくとも1種であり、HLBが6以上17以下である界面活性剤と、
水と
を含有することを特徴とする防錆塗料。
【請求項2】
導電性顔料を含有することを特徴とする請求項1に記載の防錆塗料。
【請求項3】
分子中に、エポキシ基、メタクリロキシ基、アクリロキシ基、アミノ基、メルカプト基、及びビニル基からなる群より選ばれる少なくとも1個の官能基と、加水分解性ケイ素基とを有するシランカップリング剤と、
分子中に、加水分解性ケイ素基を有し、前記シランカップリング剤の官能基を含まないシラン化合物と
を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の防錆塗料。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の防錆塗料を被塗物に塗装して塗膜を形成することを特徴とする塗膜形成方法。
【請求項5】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の防錆塗料を被塗物に塗装してなることを特徴とする塗装物品。

【公開番号】特開2013−23542(P2013−23542A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−158384(P2011−158384)
【出願日】平成23年7月19日(2011.7.19)
【出願人】(000003355)株式会社椿本チエイン (861)
【Fターム(参考)】