説明

防音採光シート

【課題】優れた防音性を有し、雨音を低減し、かつ、日中であれば照明無しに作業する事が可能な採光性を有する産業資材用シートの提供。
【解決手段】本発明の防音採光シートは、繊維基布を含む基材と、前記基材の少なくとも1面上に設けられた制振樹脂層を含む可撓性シートであって、前記制振樹脂層を、圧電材料を含んでなる振動減衰樹脂成分(a)と、無機充填剤を含んでなる高比重樹脂成分(b)との非相溶混合体からなる海島分散構造によって形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は防音性に優れ、降雨時の雨音を低減することのできる産業資材用シートに関するものである。更に詳しく述べるならば、本発明は、工事現場の周囲に張設する工事用シート、イベント向けや作業場向けのテント構造物用シートに好適に用いられる可撓性シートであって、優れた防音性を有し、特に従来のシート防音では充分に遮蔽することができなかった周波数1000Hz以下の騒音に関しても防音性が高く、テント構造物や膜屋根構造物に用いた場合に降雨時の雨音を低減する事ができ、かつ、日中であれば、そのシートで覆われた空間が、照明無しで作業する事が可能な程度の採光性を有する産業資材用シートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
建築工事現場にあっては、周囲の環境に及ぼす騒音公害や粉塵公害の影響を最小限にするために、建物等の全部又は一部を囲う防音シートが広く使用されている。この様な防音シートには、従来、ポリエステル、ビニロン、又はナイロンなどのフィラメントを用いた織編布に、可撓性塩化ビニル系樹脂フィルムを貼着した、面密度の高いシートが用いられている。シートの面密度が高ければ高いほど、質量則に従って遮音性能が向上するので、一般に、比重を高めるために、塩化ビニル系樹脂フィルム中に無機充填剤を多量に含有させている。このため得られる防音シートの光隠蔽性が高くなり、建築現場等でこれらの防音シートを使用した場合、そのシートで包囲された空間は日中でも照明が必要となるほどに暗く、内部の作業性が悪い問題があった。
【0003】
この問題に対して本出願人は、粗目編織物からなる基布と、この基布の露出表面の全面上に形成された高比重樹脂層とを含み、かつ10〜40%の空隙率を有するメッシュシート基材の、少なくとも1面上に透明性樹脂層を積層した採光性の防音シートを提案した(特許文献1参照)。この構成により得られるシートは、高い採光性を有しながら、従来の防音シートと同等の遮音性能を有する事ができた。ただし、建築工事現場やテント構造物に用いるシートの場合、その取扱い性の観点から、できるだけ薄く、かつ柔軟なシートであることが求められており、実用的な厚さの範囲(例えば2.0mm以下)で可能な限り面密度を高めたとしてもせいぜい3〜4kg/mが限界であり、その面密度では、周波数1000Hzを超える周波数の騒音には効果があるものの、1000Hz以下の成分を多く含む騒音(例えば、発電機や建築機械のエンジン音や、はつり音など)に対する遮蔽性は充分とは言えなかった。
【0004】
一方、テント構造物においては、降雨時に屋根部を構成するシートが雨に打たれ、激しい雨音を発することがあるが、質量則に従った遮音性を示す従来の防音シートを用いたとしても、雨粒の衝突によってシート自体から発生する騒音を低減することはできず、単層のシートを用いる限り、雨音への効果的な対策は無かった。特に雨音への対策が必要な場合は2重膜構造とする方法が考えられ、この方法によればテント構造物内部への雨音の侵入をある程度防ぐことができると思われるが、発生する雨音自体を抑えることはできず、周辺に騒音公害をもたらす恐れがあり、また、膜構造物の特徴である軽量性・施工容易性などが損なわれ、コスト面でも不利であった。
【0005】
モーターやエンジン、及びそれらが付随する装置に制振材を貼着して振動を減衰させることで、装置から発生する騒音を抑制する方法も知られており、例えば、非圧電性の有機高分子マトリックスに圧電性を有する化合物を分散させた制振材が提案されている(例えば、特許文献2および3参照)。これらは何れも、振動エネルギーを電気エネルギーに変え、その電気エネルギーを電気抵抗によって熱エネルギーに変換して消費することで振動を減衰させるものであり、1000Hz以下の振動を減衰させる効果にも優れている。しかし、これらの制振材は、制振層を拘束層(樹脂フィルム、樹脂ボード、金属箔、金属板など)と一体化させたり、振動源に密着させるなどして拘束して用いることで効果を発揮するものであり、拘束されない状態で空気中を伝わる騒音を吸収・減衰させて遮蔽する効果は不充分であるため、可撓性を求められる防音シートとして応用する事ができないものであった。
【0006】
繊維基材を拘束層として有する可撓性の制振材も提案されている(例えば、特許文献4参照)。しかし、これもまた振動源に密着させて効果を発揮するものであり、1層の繊維基材による拘束だけでは空気中を伝わる騒音を吸収・減衰させて遮蔽する効果は不充分で、振動源から離して可撓性の防音シートとして用いる事はできないものであった。一方、織布、編み布、不織布等の繊維構造体からなる層を少なくとも両最外層に有し、内側に圧電材料を含む制振層を有する繊維積層構造体も提案されている(例えば、特許文献5参照)。この構成によれば、制振層が両面から繊維構造体により拘束されることで、振動源に貼着しない状態でもある程度の防音性(吸音性)を示すことができるが、両最外層に繊維構造体からなる層を有することで積層体が剛直となり、可撓性を求められる用途には用いる事ができなかった。
【0007】
以上の様に、可聴範囲全域、特に1000Hz以下の騒音にも効果を有する防音性を有し、降雨時の雨音を低減し、しかも日中であれば、そのシートで覆われた空間が照明無しに作業する事が可能な採光性を有し、かつ可撓性を有する産業資材用シートは、現在まで存在していなかったのである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003−221888
【特許文献2】特開平06−85346
【特許文献3】特開2011−99497
【特許文献4】特開2008−302882
【特許文献5】特開2003−241765
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、以上の様な従来技術の課題を解決し、優れた防音性を有し、特に従来の防音シートでは充分に遮蔽することができなった周波数1000Hz以下の騒音に関しても防音性が高く、雨音を抑制する事ができ、かつ、日中であれば照明無しに作業する事が可能な採光性を有する産業資材用シートを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、鋭意検討の結果、制振性の樹脂層と拘束層としての基材との組み合わせにおいて、制振性の樹脂層を、圧電材料を含んでなる振動減衰樹脂成分(a)と、無機充填剤を含んでなる高比重樹脂成分(b)との、非相溶混合体からなる海島分散構造によって形成することで、上記課題を解決することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、本発明の防音採光シートは、繊維基布を含む基材と、前記基材の少なくとも1面上に設けられた透光性の制振樹脂層を含む可撓性シートであって、前記制振樹脂層が、圧電材料を含んでなる振動減衰樹脂成分(a)と、無機充填剤を含んでなる高比重樹脂成分(b)との、非相溶混合体からなる海島分散構造によって形成されたものである。
【0012】
本発明の防音採光シートは、前記海島分散構造において、前記振動減衰樹脂成分(a)が海相を形成し、前記高比重樹脂成分(b)が島相を形成していることが好ましい。
【0013】
本発明の防音採光シートにおいて、前記振動減衰樹脂成分(a)が、ベースとなる樹脂(a−1)と平均粒子径5〜2000nmの圧電材料粒子(a−2)とを含んでなり、前記樹脂(a−1)100質量部に対して含まれる前記圧電材料粒子(a−2)が1〜30質量部であり、前記圧電材料粒子(a−2)が、ペロブスカイト型構造の無機化合物、ランガサイト(LaGaSiO14)、リン酸ガリウム(GaPO)、窒化アルミニウム(AlN)、水晶、トルマリンから選ばれた1種または2種以上からなる無機材料粒子であることが好ましい。
【0014】
本発明の防音採光シートにおいて、前記振動減衰樹脂成分(a)が、ベースとなる樹脂(a−1)と圧電材料粒子(a−2)に加えて、導電材料粒子(a−3)を更に含み、前記導電材料粒子(a−3)が、アンチモン(またはフッ素)ドープ酸化錫、錫(またはフッ素)ドープ酸化インジウム、アルミニウム(またはガリウム、インジウム、フッ素)ドープ酸化亜鉛からなる粒子、および、これらの導電材料を表面に被覆した無機材料粒子から選ばれた1種または2種以上であることが好ましい。
【0015】
本発明の防音採光シートにおいて、前記高比重樹脂成分(b)が、前記樹脂(a−1)とは非相溶の樹脂(b−1)と、比重2.0g/cm以上の無機充填剤(b−2)とを含み、前記樹脂(b−1)100質量部に対して含まれる前記無機充填剤(b−2)が50〜300質量部であることが好ましい。
【0016】
本発明の防音採光シートにおいて、前記基材が、繊維基布と、この基布に含浸被覆された樹脂層(c)とを含み、前記樹脂層(c)が可撓性樹脂(c−1)を含んでなることが好ましい。
【0017】
本発明の防音採光シートにおいて、前記樹脂層(c)が、可撓性樹脂(c−1)と、比重2g/cm以上の無機充填剤(c−2)とを含み、前記可撓性樹脂(c−1)100質量部に対して含まれる前記無機充填剤(c−2)が30〜400質量部であることが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明の防音採光シートは、繊維基布を含む基材と、透光性の制振樹脂層とを含み、その制振樹脂層が、圧電材料を含んでなる振動減衰樹脂成分(a)と、無機充填剤を含んでなる高比重樹脂成分(b)との非相溶混合体からなる海島分散構造によって形成されたことで、採光性を有し、かつ、質量則に従った遮音性と、制振による騒音低減性を併せた防音性を得る事ができるシートである。このシートを用いることで、従来の防音シートでは充分な防音性を示すことができなかった、発電機や建築機械のエンジン音や、コンクリートを砕いたり削ったりするときのはつり音、などに含まれる1000Hz以下の騒音に対しても高い防音性を得ることができ、また、雨音を低減させることができ、しかも、日中であれば照明無しに作業する事が可能な明るい環境を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の防音採光シートの一例を示す断面図
【図2】本発明の防音採光シートの一例を示す断面図
【図3】本発明の制振樹脂層における海島分散構造の一例を示す断面図
【図4】実施例・比較例において、雨音による騒音レベルを評価した構成を示す図
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の防音採光シートは、繊維基布を含む基材と、透光性の制振樹脂層とを含む可撓性シートである。その製造方法に特に限定は無いが、例えば、繊維基布を含む基材の片面又は両面に、フィルム状またはシート状の制振樹脂層を積層したターポリン状のシートであってもよく、繊維基布を含む基材上に、液状の加工液を用いてコーティング加工(片面加工、または両面加工)や、ディッピング加工(両面加工)、により制振樹脂層を形成する帆布状のシートであってもよい。フィルム状またはシート状の制振樹脂層は、例えばカレンダー成型法、Tダイス押出法またはキャスティング法により得る事ができる。また、ディッピング加工またはコーティング加工に用いる加工液としては、有機溶剤に可溶化した可撓性樹脂、水中で乳化重合された可撓性樹脂エマルジョン(ラテックス)、あるいは可撓性樹脂を水中に強制分散させ安定化したディスパージョン樹脂などの水分散樹脂、および軟質ポリ塩化ビニル樹脂ペーストゾルなどを用いることができる。
【0021】
本発明の制振樹脂層は、圧電材料を含んでなる振動減衰樹脂成分(a)と、無機充填剤を含んでなる高比重樹脂成分(b)との非相溶混合体からなる相分離構造を示す白濁概観の海島分散構造によって形成されたものであり、海島分散構造において、振動減衰樹脂成分(a)が透光性を有することで、採光性に優れたシートが得られる。相分離の形態が海島分散構造でなく共連続構造であると、得られるシートの採光性が不充分となる事がある。振動減衰樹脂成分(a)と高比重樹脂成分(b)からなる非相溶混合物において、振動減衰樹脂成分(a)と高比重樹脂成分(b)との比率設定により、海相を振動減衰樹脂成分(a)で構成し、島相を高比重樹脂成分(b)で構成することができ、また海相を高比重樹脂成分(b)で構成し、島相を振動減衰樹脂成分(a)で構成することもできる。制振樹脂層がこの様な海島分散構造によって形成されることにより、従来の防音シートの質量則に従った遮音性に加え、制振による騒音低減性を併せた防音性を得ることができる。そのため、本発明の防音採光シートは、1000Hz以下の低周波数域の騒音に対しても高い防音性を示し、また、雨粒の衝突によって発生した振動を減衰して、雨音を低減することができる。本発明においてこの様な効果を得られる原因は定かではないが、繊維基布を含む基材による拘束に加えて、海相または島相を構成する高比重樹脂成分(b)が、その重さによりもう一方の相を構成する振動減衰樹脂成分(a)を拘束することで、空気中を伝わった振動(音波)エネルギーを振動減衰樹脂成分(a)が吸収することができ、振動減衰樹脂成分(a)に含まれる圧電材料の圧電効果により振動エネルギーが電気エネルギーに変換され、その電気エネルギーが電気抵抗により熱として消費されることで制振性が得られるものと考えられる。本発明において振動減衰樹脂成分(a)と高比重樹脂成分(b)は、それぞれどちらが海相を構成し、どちらが島相を構成しても良いが、振動減衰樹脂成分(a)を海相とし、高比重樹脂成分(b)を島相とすることが、採光性を得やすく好ましい。
【0022】
島相の比率は、海相の体積に対して3〜50体積%が好ましく、5〜40体積%がより好ましい。海島分散構造を有する制振樹脂層全体に対する島相含有率は2.9〜33.3体積%が好ましく、4.7〜28.6体積%がより好ましい。島相含有率が2.9体積%未満では、海島分散構造を有さない場合との差が無くなり、防音性を十分に得る事が出来ないことがある。即ち、海相が振動減衰樹脂成分(a)で島相が高比重樹脂成分(b)である場合、制振による騒音低減性が不足する事があり、海相が高比重樹脂成分(b)で島相が振動減衰樹脂成分(a)である場合もまた、制振による騒音低減性が不足し、なおかつ採光性が不足する事がある。制振樹脂層全体に対する島相含有率が33.3体積%を超えると、制振樹脂層の樹脂強度が低下し、得られるシートの強度や耐久性が低くなることがある。島相は、不定形な形状で分散していてもよく、球状、歪んだ球状、碁石状、ラグビーボール状であっても良い。また、本発明において、海島分散構造における島相の平均粒子径は0.4〜40μmであることが好ましく、1〜20μmであることがより好ましい。
【0023】
本発明において海島分散構造を有する制振樹脂層の厚さは、0.03〜1.0mmが好ましく、0.05〜0.8mmがさらに好ましい。制振樹脂層の厚さが0.03mm未満では、防音性が十分に得られないことがあり、1.0mmを超えると、得られるシートの採光性が低下することがあり、また、シートが剛直となり、加工・縫製・施工などの作業性が損なわれることがある。
【0024】
本発明の振動減衰樹脂成分(a)は、ベースとなる樹脂(a−1)と圧電材料粒子(a−2)とを含んでなることが好ましく、樹脂(a−1)100質量部に対する圧電材料粒子(a−2)の添加量は、1〜30質量部であることが好ましく、3〜20質量部がより好ましい。圧電材料粒子(a−2)の添加量が1質量部未満では添加の効果が得られないことがあり、30質量部を超えて添加すると、成型加工性や樹脂の物性が低下することがあり、また、得られるシートの採光性が劣ることがある。
【0025】
本発明において樹脂(a−1)としては、透光性が高く可撓性のある樹脂であれば特に限定無く用いる事ができるが、例えば、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル系共重合体樹脂、オレフィン樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレンなど)、オレフィン系共重合体樹脂、ウレタン樹脂、ウレタン系共重合体樹脂、アクリル樹脂、アクリル系共重合体樹脂、酢酸ビニル樹脂、酢酸ビニル系共重合体樹脂、スチレン樹脂、スチレン系共重合体樹脂、ポリエステル樹脂(PET,PEN,PBTなど)、ポリエステル系共重合体樹脂、フッ素含有共重合体樹脂、シリコーン樹脂、シリコーンゴム、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリエーテル、ポリエステルアミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルエステル、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂などの熱可塑性樹脂および硬化性樹脂などから選択して、1種または2種以上ブレンドして用いる事ができる。
【0026】
本発明において圧電材料粒子(a−2)としては、圧電性を有する物質からなる粒子であれば特に限定は無いが、一般式XYO(式中XはBa,Li,Na,K,Pb,LaおよびBiから選択される1種または2種以上の元素、YはTi,Nb,Ta,Zr,Zn,Mg,Sc,W,CrおよびFeから選択される1または2種以上の元素、Oは酸素)で表されるペロブスカイト型構造の無機化合物(例えばBaTiO、PbTiO、PbZrO、LiNbOなど)単体、または2種以上のペロブスカイト型構造の無機化合物の固溶体からなる無機粒子、およびランガサイト(LaGaSiO14)、リン酸ガリウム(GaPO)、窒化アルミニウム(AlN)、水晶、トルマリンなどからなる無機粒子、ポリ‐γ‐メチルグルタメート、ジアセチルセルロース、ポリフッ化ビニリデンなどの高分子系圧電材料からなる樹脂粒子、から、1種または2種以上を選択して用いることができる。これらの圧電材料は、圧電性を高めるために、微量の不純物を更に含んでいても良い。圧電材料粒子(a−2)の平均粒子径は5〜2000nmであることが好ましく、平均粒子径10〜300nmの粒子、および平均粒子径800〜1600nmの粒子が更に好ましく用いられる。圧電材料粒子(a−2)の平均粒子径が5〜2000nmの範囲にあることで、振動減衰樹脂成分(a)が可視光を透過しやすくなり、可視光透過性の高いシートが得られる。特に、平均粒子径10〜300nmの粒子を用いると、可視光の波長(380〜780nm)よりも充分に小さいことで、樹脂に分散した際に可視光領域の光の透過を疎外せず、透光性の高い振動減衰樹脂成分(a)を得ることができる。また、平均粒子径800〜1600nmの粒子を用いると、粒子径が可視光領域の光の波長よりも大きいことで、可視光領域の光の光源側(例えば屋外で使用する場合は太陽側)への散乱が少なくなり、透過方向への散乱が多くなるので結果的に可視光の透過率が高くなる。圧電材料粒子の平均粒子径が2000nmを超えると、可視光領域の光の透過を疎外し制振性樹脂層の可視光透過率が低くなり、得られるシートの採光性が損なわれる事がある。また、平均粒子径5nm未満の粒子は入手が困難であり、かつ樹脂中への均一な分散が困難である。
【0027】
本発明において振動減衰樹脂成分(a)は、ベースとなる樹脂(a−1)と圧電材料粒子(a−2)に加えて、導電材料粒子(a−3)を更に含む事が好ましい。樹脂(a−1)100質量部に対する導電材料粒子(a−3)の添加量は、1〜50質量部であることが好ましく、3〜30質量部がより好ましい。導電材料粒子(a−3)をこの範囲で含むことで、振動減衰樹脂成分(a)に導電性が付与され、圧電材料粒子(a−2)の圧電効果により発生した電気を、熱に変換して消費しやすくする事ができる。導電材料粒子(a−3)としては、アンチモン(またはフッ素)ドープ酸化錫、錫(またはフッ素)ドープ酸化インジウム、アルミニウム(またはガリウム、インジウム、フッ素)ドープ酸化亜鉛などからなる粒子、および、これらの導電材料を表面に被覆した無機粒子、などから、1種または2種以上を選択して用いることができる。用いる導電材料粒子(a−3)の平均粒子径は、1〜300nmであることが好ましい。粒子径が可視光領域(380〜780nm)の波長よりも充分に小さいことで、多量に添加しても可視光領域の光の透過を疎外せず、透光性の高い振動減衰樹脂成分(a)を得ることができる。導電材料粒子(a−3)としてはまた、長軸と短軸を有し、その短軸が1〜300nmであり、アスペクト比が5以上の針状の粒子も、好ましく用いる事ができる。針状の粒子であることで、より少ない添加量で導電性を得ることができ、粒子の短軸が300nm以下であることで可視光領域の光の透過を疎外せず、透光性の高い振動減衰樹脂成分(a)を得ることができる。
【0028】
本発明において高比重樹脂成分(b)は樹脂(b−1)と比重2.0g/cm以上の無機充填剤(b−2)を含む事が好ましく、樹脂(b−1)100質量部に対して、無機充填剤(b−2)を50〜300質量部含む事が好ましい。無機充填剤(b−2)が50質量部未満では、得られるシートの防音性が不充分となることがあり、300質量部を超えて添加すると加工性が低下したり、高比重樹脂成分(b)の物性が悪くなることがある。
【0029】
高比重樹脂成分(b)に用いる樹脂(b−1)としては、樹脂(a−1)と非相溶の樹脂が好ましい。樹脂(a−1)と樹脂(b−1)との組み合わせは、非相溶であれば特に限定は無いが、例えば塩化ビニル樹脂とオレフィン樹脂、塩化ビニル樹脂とオレフィン系共重合体樹脂、塩化ビニル樹脂とスチレン樹脂、塩化ビニル樹脂とスチレン系共重合体樹脂、塩化ビニル樹脂とシリコーン樹脂、塩化ビニル樹脂とフッ素含有共重合体樹脂、塩化ビニル樹脂とビニルエステル樹脂、スチレン樹脂とポリエチレン、スチレン樹脂とポリプロピレン、スチレン樹脂とポリエーテルエステルアミドブロック共重合体、ウレタン樹脂とポリエチレン、ウレタン樹脂とポリプロピレン、ポリエステル樹脂とポリエチレン、ポリエステル樹脂とポリプロピレン、ポリアミドとポリカーボネート、アクリル樹脂とスチレン樹脂、アクリル樹脂とポリカーボネート、ポリアミドとスチレン樹脂、ポリアミドとポリプロピレン、などが例示される。
【0030】
高比重樹脂成分(b)に用いる無機充填剤(b−2)は、比重2.0g/cm以上であれば特に限定は無いが、例えば酸化鉛(PbO比重9.35)、三酸化アンチモン(Sb比重5.7)、酸化ジルコン(ZrO比重5.5)、酸化亜鉛(ZrO比重5.4)、酸化鉄(Fe比重5.2)、炭酸バリウム(BaCO比重4.4)、硫酸バリウム(BaSO比重4.4)、酸化チタン(TiO比重4.0)、アルミナ(Al比重3.8)、チタン酸カリウム(KO・TiO比重3.3)、酸化マグネシウム(MgO比重3.3)、マイカ(比重3.0)、タルク(比重2.8)、炭酸カルシウム(CaCO比重2.6)、ガラス(比重2.5)、水酸化アルミニウム(Al・3HO比重2.4)、及び水酸化マグネシウム(Mg(OH)比重2.4)などから適宜選択した1種または2種以上を用いることができる。無機充填剤(b−2)の形状にも特に限定は無く、粒子状、繊維状(針状)、フレーク状(鱗片状)、及びビーズ状の充填剤から選択して用いることができる。なお、無機充填剤(b−2)の樹脂への分散性を向上させるために、高級脂肪酸等で被覆したものを用いても良く、また、無機充填剤(b−2)が光触媒活性を有する粒子の場合、その光触媒活性を抑制するために、Si、Zr、Alから選ばれる一種または2種以上の金属を含有する酸化物で被覆したものを用いても良い。
【0031】
本発明の防音採光シートは、繊維基布を含む基材とその少なくとも1面上に形成された制振樹脂層とを含む。これにより基材が制振樹脂層を拘束し、空気中を伝わった振動(音波)が制振樹脂層で吸収され、減衰されやすくなる。
【0032】
基材に使用される繊維基布は、織布、編布、不織布のいずれでもよい。織布を用いる場合、平織、綾織、繻子織、模紗織などいずれの構造をとるものでもよいが、平織織物は、得られる防音採光シートの経緯物性バランスに優れているため好ましく用いられる。編布を用いるときはラッセル編の緯糸挿入トリコットが好ましく用いられる。これら編織物は、少なくともそれぞれ、糸間間隙をおいて平行に配置された経糸及び緯糸を含む糸条により構成された粗目状の編織物(空隙率は最大90%、好ましくは10〜50%)、及び非粗目状編織物(糸条間に実質上間隙が形成されていない編織物)を包含する。不織布としてはスパンボンド不織布などが使用できる。繊維基布に用いられる繊維としては、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、ビニロン繊維などの合成繊維、木綿、麻などの天然繊維、アセテートなどの半合成繊維、ガラス繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維、炭素繊維などの無機繊維が挙げられ、これらは単独または2種以上からなる混用繊維によって構成されていてもよい。繊維基布を構成する糸条の形状はマルチフィラメント糸条、短繊維紡績糸条、モノフィラメント糸条、スプリットヤーン糸条、テープヤーン糸条などいずれであってもよい。繊維基布は、本発明の目的を阻害しない限りにおいて、撥水処理、吸水防止処理、接着処理、難燃処理などを施したものを用いても良い。
【0033】
本発明において、繊維基布をそのまま基材として用いることもできるが、更に、繊維基布に含浸被覆された樹脂層(c)を有する樹脂被覆繊維基材として用いる事が好ましく、その樹脂層(c)は可撓性樹脂(c−1)を含む事が好ましい。ここで、用いる可撓性樹脂(c−1)には特に限定は無いが、例えば、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル系共重合体樹脂、オレフィン樹脂、オレフィン系共重合体樹脂、ウレタン樹脂、ウレタン系共重合体樹脂、アクリル樹脂、アクリル系共重合体樹脂、酢酸ビニル樹脂、酢酸ビニル系共重合体樹脂、スチレン樹脂、スチレン系共重合体樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエステル系共重合体樹脂、フッ素含有共重合体樹脂、シリコーン系熱可塑性エラストマー、シリコーン樹脂、シリコーンゴム、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂などから適宜選択して用いることができる。可撓性樹脂(c−1)を繊維基布に含浸被覆する方法としては、例えば、有機溶剤に可溶化した樹脂、水中で乳化重合された樹脂エマルジョン(ラテックス)、あるいは樹脂を水中に強制分散させ安定化したディスパージョン樹脂などの水分散樹脂、軟質ポリ塩化ビニル樹脂ペーストゾル、未硬化の熱硬化性樹脂あるいは活性エネルギー線硬化性樹脂など、液状の樹脂組成物を用いるディッピング加工、及びコーティング加工が例示される。基材が樹脂層(c)を有することで、より強固に制振樹脂層を拘束することができ、制振による騒音低減性が増して、防音性が更に向上する。
【0034】
含浸被覆される樹脂層(c)は、可撓性樹脂(c−1)に更に無機充填剤(c−2)を含む事が好ましい。樹脂層(c)における無機充填剤(c−2)の含有量は、可撓性樹脂(c−1)100質量部に対して30〜400質量部であることが好ましい。樹脂層(c)が無機充填剤(c−2)を含有することにより、得られるシートの面密度が更に高くなるため、質量則に従った遮音性がより向上すると共に、より強固に制振樹脂層を拘束することで、制振による騒音低減性も増し、更に高い防音性を有するシートが得られる。無機充填剤(c−2)としては、比重2.0g/cm以上の物質からなる充填剤が好ましく用いられ、例えば酸化鉛(PbO比重9.35)、三酸化アンチモン、(Sb比重5.7)、酸化ジルコン(ZrO比重5.5)、酸化亜鉛(ZrO比重5.4)、酸化鉄(Fe比重5.2)、炭酸バリウム(BaCO比重4.4)、硫酸バリウム(BaSO比重4.4)、酸化チタン(TiO比重4.0)、アルミナ(Al比重3.8)、チタン酸カリ(KO・TiO比重3.3)、酸化マグネシウム(MgO比重3.3)、マイカ(比重3.0)、タルク(比重2.8)、炭酸カルシウム(CaCO比重2.6)、ガラス(比重2.5)、水酸化アルミニウム(Al・3HO比重2.4)、及び水酸化マグネシウム(Mg(OH)比重2.4)からなる粉末状、繊維状(針状)、フレーク(鱗片状)、及びビーズから選ばれた1種または2種以上を選択して用いることができる。なお、無機充填剤(c−2)の樹脂への分散性を向上させるために、高級脂肪酸等で被覆したものを用いても良く、また、無機充填剤(c−2)が光触媒活性を有する粒子の場合、その光触媒活性を抑制するために、Si、Zr、Alから選ばれる一種または2種以上の金属を含有する酸化物で被覆したものを用いても良い。
【0035】
本発明の防音採光シートにおいて、経時的な汚れの付着による採光性の低下を防止し、且つ美観を維持するために、可撓性シートの最外層に少なくとも1層の防汚層を設けてもよい。防汚層を設けることで、制振樹脂層のタックによりシートを巻き取った状態から開反する事が困難になったり、工事用シートやテント構造物を縫製する際の作業性が悪くなるなどの不具合を防ぐことができる。防汚層は防音採光シートの採光性を損なわず、極度の隠蔽性を伴わないものである限り、その形成方法及び素材に特に限定はない。このような防汚層は例えば、溶剤に可溶化されたアクリル系樹脂もしくはフッ素系樹脂の少なくとも1種以上からなる樹脂溶液あるいは樹脂分散液を塗布して形成した塗膜、これらにシリカ微粒子、またはコロイダルシリカを含む塗膜、オルガノシリケート及び/又はその縮合体を含む塗布剤で塗布し親水性被膜層を形成したもの、光触媒性無機材料(例えば光触媒性酸化チタン)と結着剤とを含む塗布剤を塗布し光触媒層を形成したもの、少なくとも最外表面がフッ素系樹脂により形成されたフィルムを接着剤もしくは熱溶融加工により積層したもの、等から適宜選択することができ、可撓性シートの一方の面のみに設けても良く、必要に応じて表裏両面に設けても良い。防汚層を表裏両面に設ける場合、防音採光シートを縫製する際の熱融着縫製性の観点から、表裏とも同種の樹脂を用いる事が好ましい。
【0036】
本発明の防音採光シートの可視光透過率(JISZ8722.5.4(条件g))は5%以上であることが好ましい。可視光透過率が5%以上であることによって、日中であれば、そのシートで覆われた空間において、照明無しで作業する事が可能な明るさを得る事ができる。
【0037】
本発明の防音採光シートにおいて、振動減衰樹脂成分(a)、高比重樹脂成分(b)、および樹脂層(c)には、本発明の目的を阻害しない限りにおいて、それぞれ独立して、上述した以外の添加剤を含んでも良い。含まれる添加剤としては例えば、可塑剤、可撓性付与剤、帯電防止剤、湿潤剤、分散剤、充填剤、難燃剤、滑剤、接着剤、架橋剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、安定剤、抗菌剤、防黴剤、着色剤、蛍光増白剤、蛍光顔料、蓄光顔料などが挙げられる。
【0038】
ここで、本発明の防音採光シートの例を図を用いて説明する。図1は、繊維基布からなる基材(6−1)の両面に制振樹脂層(2)が設けられた防音採光シート(1)である。図1の例では、制振樹脂層(2)は、非相溶混合体からなる海島分散構造によって形成されており、海島分散構造において圧電材料粒子(a−2:図示しない)を含む振動減衰樹脂成分(a)が海相(4−a)を形成し、無機充填剤(b−2:図示しない)を含む高比重樹脂成分(b)が島相(3−b)を形成している。また、図には示されていないが、振動減衰樹脂成分(a)には導電材料粒子(a−3)を含んでいることが好ましく、更に、図1に示した様に、必要に応じて最外層両面に防汚層(5)を設けても良い。図2は基材として、繊維基布と、この基布に含浸被覆された樹脂層(c:7)とを含む、樹脂被覆繊維基材(6−2)を用いた例である。樹脂層(c:7)を有することで、基材がより強く制振樹脂層(2)を拘束して制振性が向上し、得られる防音採光シートの防音性が向上する。ここで、樹脂層(c)が可撓性樹脂(c−1)100質量部に対して無機充填剤(c−2:図示しない)を30〜400質量部含有することで、防音採光シートの面密度が高くなり、質量則に従った遮音性が更に向上するとともに、基材がより強く制振樹脂層(2)を拘束して制振による騒音低減性も向上する。図3は、本発明の制振樹脂層(2)の海島分散構造の一例を示すものであり、図1および図2に記されたものとは逆に、高比重樹脂成分(b)が海相(4−b)を形成し、振動減衰樹脂成分(a)が島相(3−a)を形成している。
【実施例】
【0039】
本発明を下記実施例、および比較例を挙げて具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0040】
下記実施例及び比較例で作成した膜材について、以下の評価を行った。
(1)面密度(質量)
単位面積(m)当たりの質量(g)を測定し、その値を面密度(g/m)とした。
(2)採光性(可視光透過率)
JISZ8722.5.4(条件g)に従いミノルタ分光測色計CM−3600dを
用いて380〜780nmの透過率を測定した。
(3)防音性(音響透過損失)
シートの防音性は、日本工業規格JIS−A
1416「実験室における音響透過損失測定法」による、中心周波数125,500,1000,4000Hzの音響透過損失により評価した。
(4)雨音低減性(図4参照)
試験環境:幅50cm、長さ50cmのアルミフレーム(図示しない)を用意し、実施例
・比較例で作成したシート(8)の4辺を固定して展張し、周辺を覆う板や天板の無い
高さ50cmの架台(9)に、アルミフレームごと15°の傾斜をつけて固定した。
評価方法:シート中心部上方3mからシャワーノズル(図視しない)を用いて水を連続的
に1分間散水した。このとき、シートの裏面中心から垂直に10cm離れたところに設
置した騒音計(10:(株)小野測器製「LA5560」)により騒音レベルを測定し
た。
*シャワーノズルからの散水量は、後述する比較例1のシートの測定において85dB
の値を示す様に調整し、各実施例・比較例のシートについて同じ条件で散水して騒音
レベルを測定し、以下の評価基準に従って評価した。
A:80dB未満
B:80dB以上85dB未満
C:85dB以上
【0041】
[実施例1]
下記配合1の振動減衰樹脂成分(a)用軟質塩化ビニル樹脂組成物からなる熱溶融混練物に、下記配合2の高比重樹脂成分(b)用エチレン−α−オレフィン共重合体樹脂組成物からなる熱溶融混練物を、塩化ビニル樹脂単体の質量に対して25質量%加えてバンバリーミキサーで熱溶融混練し、軟質塩化ビニル樹脂組成物中にエチレン−α−オレフィン共重合体樹脂組成物を均一分散させた非相溶樹脂混合物1を得た。配合1には樹脂(a−1)として塩化ビニル樹脂を、圧電材料粒子(a−2)としてペロブスカイト型構造を有し平均粒子径1500nmのチタン酸バリウム(BaTiO)粒子を、それぞれ用いた。また、配合2には樹脂(b)として塩化ビニル樹脂とは非相溶性のエチレン−α−オレフィン共重合体樹脂を用い、無機充填剤(b−2)として硫酸バリウム(比重4.4)と、難燃剤を兼ねる水酸化マグネシウム(比重2.4)とを用いた。この非相溶樹脂混合物1を180℃設定のカレンダーロール4本を通過させて、厚さ0.3mmの制振樹脂層用フィルム1を成型した。次いで、下記組織のポリエステルフィラメント粗目状織物(繊維基布1)を基材とし、その両面に、制振樹脂層用フィルム1を熱圧着により積層してターポリン状のシートを得た。次に、得られたシートの両面に下記配合3の樹脂組成物を、グラビアコーターを用いて30g/mとなるよう塗布し、120℃で1分間乾燥して6g/mの防汚層を作成し、さらに、もう一方の面にも同様にして防汚層を形成し、実施例1のシートを得た。このシートの制振樹脂層を顕微鏡観察すると、軟質塩化ビニル樹脂組成物が海相(振動減衰樹脂成分(a))を構成しており、エチレン−α−オレフィン共重合体樹脂組成物が不定形の島相(高比重樹脂成分(b))を構成していた。制振樹脂層における島相含有率は11.8体積%であった。得られたシートについて、各種評価を行った。結果を表1に示す。

<配合1> 振動減衰樹脂成分(a)用軟質塩化ビニル樹脂組成物
ストレート塩化ビニル樹脂(重合度1300):(a−1) 100質量部
フタル酸系導電性可塑剤 35質量部
(新日本理化(株)製、商品名:サンソサイザーC−1100)
トリクレジルフォスフェート(リン系防炎可塑剤) 25質量部
チタン酸バリウム粒子:(a−2) 10質量部
(富士チタン工業(株)製、商品名:BT−100PR、平均粒子径1500nm)
バリウム−亜鉛系複合PVC安定剤 4質量部
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤 0.5質量部

<配合2>高比重樹脂成分(b)用エチレン−α−オレフィン共重合体樹脂組成物
エチレン−α−オレフィン共重合体:(b−1) 100質量部
(住友化学工業(株)製、商品名:エクセレンVL−100)
硫酸バリウム(比重4.4):(b−2) 60質量部
水酸化マグネシウム(難燃剤:比重2.4):(b−2) 60質量部
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤 1質量部
ヒンダードフェノール系酸化防止剤 0.5重量部

<配合3>防汚層用アクリル樹脂組成物
アクリル樹脂 20質量部
(三菱レイヨン(株)製、商品名:アクリプレン ペレット HBS001)
トルエン−MEK(50/50重量比) (溶剤) 80質量部

(繊維基布1):空隙率30%
1111dtex/3×1111dtex/3
7×7(本/25.4mm)

【0042】
[実施例2]
配合1の代わりに下記配合4の振動減衰樹脂成分(a)用軟質塩化ビニル樹脂組成物を用いた以外は実施例1と同様にして、実施例2のシートを得た。配合4には樹脂(a−1)としての塩化ビニル樹脂と、圧電材料粒子(a−2)としてのチタン酸バリウム粒子に加え、更に導電材料粒子(a−3)として、短軸10〜20nm、長軸200〜2000nm、アスペクト比20〜30の、アンチモンドープ酸化錫の針状粒子を用いた。このシートの制振樹脂層を顕微鏡観察すると、軟質塩化ビニル樹脂組成物が海相(振動減衰樹脂成分(a))を構成しており、エチレン−α−オレフィン共重合体樹脂組成物が不定形の島相(高比重樹脂成分(b))を構成していた。制振樹脂層における島相含有率は11.6体積%であった。得られたシートについて、各種評価を行った。結果を表1に示す。

<配合4>振動減衰樹脂成分(a)用軟質塩化ビニル樹脂組成物
ストレート塩化ビニル樹脂(重合度1300):(a−1) 100質量部
フタル酸系導電性可塑剤 35質量部
(新日本理化(株)製、商品名:サンソサイザーC−1100)
トリクレジルフォスフェート(リン系防炎可塑剤) 25質量部
チタン酸バリウム粒子:(a−2) 10質量部
(富士チタン工業(株)製、商品名:BT−100PR)
アンチモンドープ酸化錫の針状粒子:(a−3) 10質量部
(石原産業(株)製、商品名:FS−10P)
バリウム−亜鉛系複合PVC安定剤 4質量部
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤 0.5質量部

【0043】
[実施例3]
配合4の代わりに下記配合5の振動減衰樹脂成分(a)用軟質塩化ビニル樹脂組成物を用いた以外は実施例2と同様にして、実施例3のシートを得た。配合5において圧電材料粒子(a−2)として平均粒子径500nmのチタン酸バリウム粒子を用いた。このシートの制振樹脂層を顕微鏡観察すると、軟質塩化ビニル樹脂組成物が海相(振動減衰樹脂成分(a))を構成しており、エチレン−α−オレフィン共重合体樹脂組成物が不定形の島相(高比重樹脂成分(b))を構成していた。制振樹脂層における島相含有率は11.4体積%であった。得られたシートについて、各種評価を行った。結果を表1に示す。

<配合5>振動減衰樹脂成分(a)用軟質塩化ビニル樹脂組成物
ストレート塩化ビニル樹脂(重合度1300):(a−1) 100質量部
フタル酸系導電性可塑剤 35質量部
(新日本理化(株)製、商品名:サンソサイザーC−1100)
トリクレジルフォスフェート(リン系防炎可塑剤) 25質量部
チタン酸バリウム粒子:(a−2) 10質量部
(堺化学工業(株)製、商品名:BT−05、平均粒子径500nm)
アンチモンドープ酸化錫の針状粒子:(a−3) 10質量部
(石原産業(株)製、商品名:FS−10P)
バリウム−亜鉛系複合PVC安定剤 4質量部
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤 0.5質量部

【0044】
[実施例4]
配合4の代わりに下記配合6の振動減衰樹脂成分(a)用軟質塩化ビニル樹脂組成物を用いた以外は実施例2と同様にして、実施例4のシートを得た。配合5において圧電材料粒子(a−2)として平均粒子径100nmのチタン酸バリウム粒子を用いた。このシートの制振樹脂層を顕微鏡観察すると、軟質塩化ビニル樹脂組成物が海相(振動減衰樹脂成分(a))を構成しており、エチレン−α−オレフィン共重合体樹脂組成物が不定形の島相(高比重樹脂成分(b))を構成していた。制振樹脂層における島相含有率は11.5体積%であった。得られたシートについて、各種評価を行った。結果を表1に示す。

<配合6>振動減衰樹脂成分(a)用軟質塩化ビニル樹脂組成物
ストレート塩化ビニル樹脂(重合度1300):(a−1) 100質量部
フタル酸系導電性可塑剤 35質量部
(新日本理化(株)製、商品名:サンソサイザーC−1100)
トリクレジルフォスフェート(リン系防炎可塑剤) 25質量部
チタン酸バリウム粒子:(a−2) 10質量部
(堺化学工業(株)製、商品名:BT−01、平均粒子径100nm)
アンチモンドープ酸化錫の針状粒子:(a−3) 10質量部
(石原産業(株)製、商品名:FS−10P)
バリウム−亜鉛系複合PVC安定剤 4質量部
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤 0.5質量部

【0045】
[実施例5]
下記配合7のポリ塩化ビニル系樹脂組成物からなるペーストゾルに繊維基布1を浸漬し、マングルで絞った後140℃で乾燥し、更に180℃で熱処理して、400g/mの樹脂層(c)を形成した樹脂含浸被覆繊維基布を得た。配合7には可撓性樹脂(c−1)として塩化ビニル樹脂を用い、無機充填剤(a−2)として硫酸バリウム(比重4.4)と難燃剤を兼ねる三酸化アンチモン(比重5.7)とをそれぞれ用いた。得られた樹脂含浸被覆繊維基布を基材として、実施例1と同様にして、両面に制振樹脂層用フィルム1を熱圧着により積層し、さらに、配合3からなる防汚層を両面に形成して実施例5のシートを得た。得られたシートについて、各種評価を行った。結果を表1に示す。

<配合7>樹脂層(c)用軟質塩化ビニル樹脂組成物
ペースト塩化ビニル樹脂(重合度1600):(c−1) 100質量部
フタル酸ジ−2−エチルヘキシル(可塑剤) 60質量部
硫酸バリウム(比重4.4):(c−2) 150質量部
三酸化アンチモン(比重5.7):(c−2) 10質量部
Ba−Zn系安定剤 2質量部
トルエン(溶剤) 50質量部

【0046】
[実施例6]
実施例5と同様にして作成した樹脂含浸被覆繊維基布を基材として用いた以外は、実施例2と同様にして、実施例6のシートを得た。得られたシートについて、各種評価を行った。結果を表1に示す。
【0047】
【表1】

【0048】
実施例1〜6のシートは、それぞれ圧電材料を含んでなる振動減衰樹脂成分(a)と、無機充填剤を含んでなる高比重樹脂成分(b)との非相溶混合体からなる海島分散構造によって形成された制振樹脂層と、繊維基布を含む基材とを有し、本発明の要件を満たすものである。それぞれの可視光透過率は5%以上であり、そのシートで覆われた空間において、日中であれば照明無しで作業する事が可能な採光性を有していた。防音性についても、質量則に従った防音性に加えて、従来の防音シートでは充分に遮蔽することができなった周波数1000Hz以下の騒音に関して高い防音性を示すものであり、雨音による騒音レベルも、評価の基準とした比較例1(後述)の85dBに対し、全てが80dB未満を示し、雨音低減性を有していた。防音性(音響透過損失)について各実施例を比較すると、実施例2〜4は振動減衰樹脂成分(a)中に導電材料粒子(a−3)を含むことで実施例1よりも優れ、実施例5および6は、実施例1および2の基材を繊維基布単体から、繊維基布に可撓性樹脂(c−1)と無機充填剤(c−2)を含む樹脂を含浸被覆した基材に置き換えたことにより、それぞれ実施例1および2より更に高い防音性が得られていた。また、実施例2〜4は、用いた圧電材料粒子(b−2)の粒子径が異なり、防音性(音響透過損失)と雨音低減性については同等であったが、可視光透過率は実施例3がやや劣っていた。これは、実施例3では500nmのチタン酸バリウム粒子を用いたため、可視光領域の光の光源側(例えば屋外で使用する場合は太陽側)への散乱が多くなり、可視光透過率が低くなったためである。一方、実施例2は可視光領域の波長(380〜780nm)よりも大きな、平均粒子径1500nmのチタン酸バリウム粒子を用いたことで、可視光領域の光の光源側への散乱が少なくなり、透過方向への散乱が多くなるので結果的に可視光の透過率が高くなり、また、実施例4は可視光領域の波長(380〜780nm)よりも充分に小さな平均粒子径100nmのチタン酸バリウム粒子を用いたことで、可視光領域の光の透過が妨げられなかったため可視光透過率が高くなった。
【0049】
[比較例1]
制振樹脂層用フィルム1の代わりに、下記配合8の透明軟質塩化ビニル樹脂組成物から成型した厚さ0.32mmのフィルム比−1を用いた以外は実施例1と同様にして、比較例1のシートを得た。得られたシートについて、各種評価を行った。結果を表2に示す。

<配合8>透明軟質塩化ビニル樹脂組成物
ストレート塩化ビニル樹脂(重合度1300) 100質量部
フタル酸ジ−2−エチルヘキシル(可塑剤) 35質量部
トリクレジルフォスフェート(リン系防炎可塑剤) 25質量部
バリウム−亜鉛系複合PVC安定剤 4質量部
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤 0.2質量部

【0050】
比較例1のシートは、基材として実施例1と同じ繊維基布を含むものの、フィルム比−1は圧電材料を含んでなる振動減衰樹脂成分(a)と、無機充填剤を含んでなる高比重樹脂成分(b)との、非相溶混合体からなる海島分散構造を有さないシートである。面密度は実施例1〜4と同等であるが、防音性(音響透過損失)の評価において、実施例1〜4よりも劣っていた。この比較から、本発明の要件を満たしている実施例1〜4のシートが、圧電材料を含んでなる振動減衰樹脂成分(a)と、無機充填剤を含んでなる高比重樹脂成分(b)との、非相溶混合体からなる海島分散構造を有することで、質量則に従った遮音性に加え、振動を吸収して減衰させることによる騒音低減性も示し、特に1000Hz以下の周波数域の防音性に優れていることが解る。
【0051】
[比較例2]
下記配合9の無機充填剤含有軟質塩化ビニル樹脂組成物の熱溶融混練物を、180℃設定のカレンダーロール4本を通過させて厚さ0.3mmのフィルム比−2を成型した。配合9には、無機充填剤として硫酸バリウム(比重4.4)と、難燃剤を兼ねる三酸化アンチモン(比重5.7)とを用いた。次いで、繊維基布1を基材とし、その両面に、フィルム比−2を熱圧着により積層してターポリン状のシートを得た。次に、実施例1と同様にして、シートの両面に防汚層を形成し、比較例2のシートを得た。得られたシートについて、各種評価を行った。結果を表2に示す。

<配合9>無機充填剤含有軟質塩化ビニル樹脂組成物
ストレート塩化ビニル樹脂(重合度1300) 100質量部
フタル酸ジ−2−エチルヘキシル(可塑剤) 35質量部
トリクレジルフォスフェート(リン系防炎可塑剤) 25質量部
三酸化アンチモン(難燃剤:比重5.7) 15質量部
硫酸バリウム(比重4.4) 85質量部
バリウム−亜鉛系複合安定剤 4質量部
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤 0.2質量部

【0052】
比較例2のシートは、フィルム比−2が無機充填剤を多量に含む塩化ビニル樹脂組成物のみから成型されており、海島分散構造を有さず、全体に分散した無機充填剤の隠蔽性によりフィルム比−2の可視光透過率が低いことから、シートとしての採光性は各実施例に比べて大きく劣っていた。面密度は実施例1〜4より高いが、防音性(音響透過損失)の評価において、実施例1〜4より劣るものであった。比較例1との比較では、面密度が高い分防音性は比較例1より多少優れていたが、雨音による騒音レベルは比較例1よりむしろ高く、面密度を上げても雨音低減姓は向上しないことがわかる。
【0053】
[比較例3]
実施例1と同様にして得た非相溶樹脂混合物1を180℃設定のカレンダーロール4本を通過させて厚さ0.38mmの制振樹脂層用フィルム比−3を成型した。次いで、フィルム比−3を2枚、熱圧着により積層して0.76mmのシートを得た。得られたシートについて、各種評価を行った。結果を表2に示す。
【0054】
比較例3のシートは繊維基布を含む基材を含まず、振動減衰樹脂成分(a)と、無機充填剤を含んでなる高比重樹脂成分(b)との非相溶混合体からなる海島分散構造によって形成された制振樹脂層のみからなるものである。面密度は実施例1〜4および比較例1と同等であり、防音性(音響透過損失)の評価において比較例1よりもやや優れていたが、実施例1〜4には及ばなかった。この結果より、繊維基布を含む基材による制振樹脂層の拘束がないと、振動を吸収して減衰させることによる騒音低減性を充分に示すことができないことがわかる。雨音による騒音レベルも、基準である比較例1よりやや低く、多少の雨音低減性は認められるが、実施例1〜4に比べると劣っており、雨音低減性についても、基材による拘束がないと充分な効果を示すことができないことがわかる。
【0055】
[比較例4]
制振樹脂層用フィルム1の代わりに、配合1の軟質塩化ビニル樹脂組成物から成型した厚さ0.3mmのフィルム比−4を用いた以外は、実施例5と同様にして、比較例4のシートを得た。得られたシートについて、各種評価を行った。結果を表2に示す。
【0056】
比較例4のシートは、海島分散構造を有する制振樹脂層の代わりに、圧電材料粒子(a−2)を含む振動減衰樹脂成分(a)のみからなる層を用いたものである。面密度は実施例5および6と同等であるが、防音性は実施例5および6より劣っていた。この結果より、圧電材料粒子(a−2)を含む振動減衰樹脂成分(a)を基材で拘束しただけでは、振動を吸収して減衰させることによる騒音低減性を充分に得ることができず、振動減衰樹脂成分(a)と、高比重樹脂成分(b)との非相溶混合体からなる海島分散構造によって形成された制振樹脂層を、繊維基布を含む基材で拘束することによってはじめて、大きな効果が得られていることがわかる。雨音による騒音レベルについても同様であり、比較例1よりは優れていたものの、比較例4のシートは実施例5および6のシートには及ばなかった。
【0057】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明の防音採光シートは、高い防音性と採光性を有しているため、工事現場の周囲に張設する工事用シート、イベント向けや作業場向けのテント構造物用シートに好適に用いることができる。本発明の防音採光シートはまた、従来の質量則に従った遮音性に加え、振動を吸収して減衰させることによる騒音低減性も有しており、さらに雨音の低減も期待できるため、カーポート、連絡通路、バス停留所などの屋根材や、軒出しテント、装飾テントなどの用途にも適している。
【符号の説明】
【0059】
1:防音採光シート
2:制振樹脂層
3:島相
3−a:振動減衰樹脂成分(a)からなる島相
3−b:高比重樹脂成分(b)からなる島相
4:海相
4−a:振動減衰樹脂成分(a)からなる海相
4−b:高比重樹脂成分(b)からなる海相
5:防汚層
6:基材
6−1:繊維基布からなる基材
6−2:樹脂被覆繊維基材
7:基布に含浸被覆された樹脂層(c)
8:施例・比較例で作成したシート
9:架台
10:騒音計

【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維基布を含む基材と、前記基材の少なくとも1面上に設けられた透光性の制振樹脂層を含む可撓性シートであって、前記制振樹脂層が、圧電材料を含んでなる振動減衰樹脂成分(a)と、無機充填剤を含んでなる高比重樹脂成分(b)との、非相溶混合体からなる海島分散構造によって形成されたことを特徴とする、防音採光シート。
【請求項2】
前記海島分散構造において、前記振動減衰樹脂成分(a)が海相を形成し、前記高比重樹脂成分(b)が島相を形成している、請求項1に記載の防音採光シート。
【請求項3】
前記振動減衰樹脂成分(a)が、ベースとなる樹脂(a−1)と平均粒子径5〜2000nmの圧電材料粒子(a−2)とを含んでなり、前記樹脂(a−1)100質量部に対して含まれる前記圧電材料粒子(a−2)が1〜30質量部であり、前記圧電材料粒子(a−2)が、ペロブスカイト型構造の無機化合物、ランガサイト(LaGaSiO14)、リン酸ガリウム(GaPO)、窒化アルミニウム(AlN)、水晶、トルマリンから選ばれた1種または2種以上からなる粒子である、請求項1または2に記載の防音採光シート。
【請求項4】
前記振動減衰樹脂成分(a)が、ベースとなる樹脂(a−1)と圧電材料粒子(a−2)に加えて、導電材料粒子(a−3)を更に含み、前記導電材料粒子(a−3)が、アンチモン(またはフッ素)ドープ酸化錫、錫(またはフッ素)ドープ酸化インジウム、アルミニウム(またはガリウム、インジウム、フッ素)ドープ酸化亜鉛からなる粒子、および、これらの導電材料を表面に被覆した無機材料粒子から選ばれた1種または2種以上である、請求項1から3いずれか1項に記載の防音採光シート。
【請求項5】
前記高比重樹脂成分(b)が、前記樹脂(a−1)とは非相溶の樹脂(b−1)と、比重2.0g/cm以上の無機充填剤(b−2)とを含み、前記樹脂(b−1)100質量部に対して含まれる前記無機充填剤(b−2)が50〜300質量部である、請求項1から4いずれか1項に記載の防音採光シート。
【請求項6】
前記基材が、繊維基布と、この基布に含浸被覆された樹脂層(c)とを含み、前記樹脂層(c)が可撓性樹脂(c−1)を含んでなる、請求項1から5いずれか1項に記載の防音採光シート。
【請求項7】
前記樹脂層(c)が、可撓性樹脂(c−1)と、比重2g/cm以上の無機充填剤(c−2)とを含み、前記可撓性樹脂(c−1)100質量部に対して含まれる前記無機充填剤(c−2)が30〜400質量部である、請求項6に記載の防音採光シート。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2013−22795(P2013−22795A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−158504(P2011−158504)
【出願日】平成23年7月20日(2011.7.20)
【出願人】(000239862)平岡織染株式会社 (81)
【Fターム(参考)】