説明

防風通聖散含有組成物

【課題】防風通聖散を含有する水性組成物であって、沈殿物の生成が抑制された水性組成物、ならびに、該水性組成物における防風通聖散の沈殿物の生成抑制方法、分散持続性向上方法、また、防風通聖散を含有する組成物の活性酸素消去酵素(SOD)活性の増強方法を提供すること。
【解決手段】(A)防風通聖散、並びに(B)パラオキシ安息香酸アルキルエステル、安息香酸、及びそれらの塩からなる群より選択される少なくとも一種を含有してなる水性組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防風通聖散を含有する組成物に関する。より詳しくは、防風通聖散に加えて、パラオキシ安息香酸アルキルエステル、安息香酸、及びそれらの塩からなる群より選択される少なくとも一種を含有する水性組成物、ならびに、該水性組成物中での防風通聖散の、沈殿物の生成抑制方法、分散持続性向上方法に関する。更に、防風通聖散と共にパラオキシ安息香酸アルキルエステル、安息香酸、及びそれらの塩からなる群より選択される少なくとも一種を含有させることにより、防風通聖散を含有する組成物の活性酸素消去酵素(SOD)活性を増強させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
防風通聖散は、高血圧の随伴症状(動悸、肩こり、のぼせ)、むくみ、便秘肥満症等の症状の改善に有効であることが知られており、体力充実して、腹部に皮下脂肪が多く、便秘がちな人に投与されている。また、防風通聖散は、経口製剤のうち、錠剤、顆粒もしくは細粒等の固形製剤として使用されている。
【0003】
一般的に、固形製剤は崩壊に時間を要し、服薬後薬効が発現するまでに時間がかかるという難点がある。また、固形製剤は水と共に服用する場合が多く、場所や時間を選ばずに服用できるとは言いがたい。また、防風通聖散を固形製剤として服用する場合、服用する錠剤のサイズが大きい、もしくは錠剤の数が多い、又は、粉末・顆粒等の服用量が多いため、特に小児や高齢者等の服用が困難となる場合がある。
【0004】
一方、液剤は前記のような問題がなく、また服用感も優れており容易に摂取することができる。さらに、液剤は味を甘味剤等により変化させることで薬効成分の苦味等の不快な味を容易にマスキングすることができ、服用しやすくすることができる。しかしながら、例えば、生薬エキスを配合した液剤では、その成分の一部が析出して濁りが生じたり、あるいは沈殿物が生じたりすることが知られている。また、長期間の保存により沈殿した粒子同士が凝集してケーキングを起こし、沈殿層の再分散が困難になることも知られている。
【0005】
これに対して、例えば、懸濁液中に懸濁化剤としてデンプン又はデンプン誘導体を配合したところに非イオン性界面活性剤を添加することにより、固形成分粒子の凝集や沈殿を抑制することが報告されている(特許文献1参照)。しかしながら、かかる方法では、デンプン又はデンプン誘導体を水性媒体に分散させて均一なゲルを形成させた後に、更に非イオン性界面活性剤を配合して混合後、別途調製した固形成分の分散液を加えて混合することにより水性懸濁液を得るものであり、簡便な方法とは言えない。また、デンプン又はデンプン誘導体、非イオン性界面活性剤を含むことにより、味等の官能に影響が出る恐れがある。さらに、非イオン性界面活性剤を含むことにより、製造時に泡立ちが生じ、製造が困難となる可能性がある。従って、更なる有用な手段の開発が求められている。
【0006】
一方、安息香酸ナトリウムは、難溶性物質であるカフェインと水溶液中で複合体を形成することにより、カフェインの溶解度を上昇させることが知られている(非特許文献1参照)。しかし、カフェイン以外の他の薬物の溶解度に与える影響や、生薬成分等の水溶液中における分散性及び凝集性に対する影響については知られていない。また、パラオキシ安息香酸アルキルエステル及びその塩については、水溶液中における他の物質の溶解度や分散性及び凝集性に与える影響は不明である。
【0007】
活性酸素消去酵素(以下「SOD」と言うこともある)は、生体内で生成した活性酸素種であるスーパーオキシド(O)をHとOに不均化する酵素であり、これにより生体内のOは低いレベルに保たれている。SOD活性は肥満度指数(BMI)の増加に従って低下すること及び活性酸素が生活習慣病のいろいろな病態に関わっていることが知られている(非特許文献2参照)。従って、SOD活性を増強させることは高血圧及び肥満症等の患者にとって有益であると考えられる。しかしながら、パラオキシ安息香酸アルキルエステル、安息香酸、及びそれらの塩がSOD活性に与える影響は知られていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】WO2002/051384号パンフレット
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】粉体工学便覧、p.396(1986)、粉体工学会編
【非特許文献2】人間ドック、Vol.22、No.4、p.694−708(2007)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の課題は、防風通聖散を含有する水性組成物であって、沈殿物の生成が抑制された水性組成物、ならびに、該水性組成物における防風通聖散の沈殿物の生成抑制方法、分散持続性向上方法を提供することにある。また、防風通聖散を含有する組成物の活性酸素消去酵素(SOD)活性の増強方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、防風通聖散を含有する水性組成物に、パラオキシ安息香酸アルキルエステル、安息香酸、及びそれらの塩からなる群より選択される少なくとも一種を配合することにより、沈殿物の生成が抑制され、含有成分の分散持続性に優れた水性組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。また、防風通聖散と共にパラオキシ安息香酸アルキルエステル、安息香酸、及びそれらの塩からなる群より選択される少なくとも一種とを併用することにより活性酸素消去酵素(SOD)活性を増強させることをも見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
即ち、本発明は、
〔1〕 (A)防風通聖散、並びに(B)パラオキシ安息香酸アルキルエステル、安息香酸、及びそれらの塩からなる群より選択される少なくとも一種を含有してなる水性組成物、
〔2〕 (B)成分が、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、安息香酸、及びそれらの塩からなる群より選択される少なくとも一種を含んでなる、前記〔1〕に記載の水性組成物、
〔3〕 更に、(C)難消化性糖質を含有してなる、前記〔1〕又は〔2〕に記載の水性組成物、
〔4〕 (C)成分が、ソルビトール、エリスリトール、マンニトール、キシリトール、及びスクラロースからなる群より選択される少なくとも一種を含んでなる、前記〔3〕に記載の水性組成物、
〔5〕 水性組成物中に、(A)防風通聖散と共に(B)パラオキシ安息香酸アルキルエステル、安息香酸、及びそれらの塩からなる群より選択される少なくとも一種を配合することにより、水性組成物中における前記(A)成分の沈殿物の生成を抑制する方法、
〔6〕 水性組成物中に、(A)防風通聖散と共に(B)パラオキシ安息香酸アルキルエステル、安息香酸、及びそれらの塩からなる群より選択される少なくとも一種を配合することにより、水性組成物中における前記(A)成分の分散持続性を改善する方法、ならびに
〔7〕 (A)防風通聖散と共に(B)パラオキシ安息香酸アルキルエステル、安息香酸、及びそれらの塩からなる群より選択される少なくとも一種を含有させることにより、前記(A)成分を含有する組成物の活性酸素消去酵素(SOD)活性を増強させる方法
に関する。
【発明の効果】
【0013】
本発明の水性組成物は、沈殿物の生成が抑制され、含有成分の分散持続性に優れたものであり、本発明により、前記優れた効果を奏する、防風通聖散を含有する水性組成物を提供することができる。よって、本発明の水性組成物は、水性組成物中の防風通聖散を充填容器に残すことなく、全量服用することも可能になるため、防風通聖散の作用効果を十分に得ることができる。また、防風通聖散が均一に分散した水性組成物が得られることにより、投与量もしくは服用量を任意に設定することができるため、小児から成人までの広範囲な年齢の患者への投与又は服用が可能になると共に、疾患症状が軽症から重症までの広範囲な症状の患者に対応することができる。また、本発明によれば、活性酸素消去酵素(SOD)活性も増強された、優れた防風通聖散含有組成物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、実施例10、比較例13の組成物の活性酸素消去酵素(SOD)活性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の水性組成物は、(A)防風通聖散と、(B)パラオキシ安息香酸アルキルエステル、安息香酸、及びそれらの塩からなる群より選択される少なくとも一種を含有することを特徴とする。なお、本明細書において、「水性組成物」とは、水を含有する組成物のことである。本発明の水性組成物における水の含有量は、10〜99.8W/V%が好ましく、15〜99.5W/V%がより好ましい。
【0016】
また、例えば、回転粘度計(RE550型粘度計、東機産業社製、ローター:1°34’×R24)で測定した25℃における粘度は、0.01〜1000mPa・sが好ましく、0.05〜100mPa・sがより好ましく、0.1〜10mPa・sが更に好ましい。
【0017】
(A)防風通聖散
本発明で用いられる防風通聖散とは、漢方処方の一つであり、内服投与によって使用され得るものであって、医薬上、薬理学的に又は生理学的に許容されるものであればよく、構成する生薬の組み合わせやその配合比率についても通常用いられるものであればよい。防風通聖散の原料生薬としては、例えば、改訂 一般用漢方処方の手引き(財団法人 日本公定書協会監修、日本漢方生薬製剤協会編集、株式会社じほう発行、2009年)に記載されている防風通聖散の成分及び分量などが例示され、具体的には、当帰1.2〜1.5重量部、芍薬1.2〜1.5重量部、川キュウ1.2〜1.5重量部、山梔子1.2〜1.5重量部、連翹1.2〜1.5重量部、薄荷葉1.2〜1.5重量部、生姜0.3〜0.5重量部、荊芥1.2〜1.5重量部、防風1.2〜1.5重量部、麻黄1.2〜1.5重量部、大黄1.5重量部、芒硝1.5重量部、白朮2重量部、桔梗2重量部、黄ゴン2重量部、甘草2重量部、石膏2重量部、及び滑石3重量部含有するものが例示される。
【0018】
防風通聖散には、防風通聖散の漢方処方(生薬混合物)や漢方処方の刻み品、防風通聖散の漢方処方から得られる防風通聖散エキス等が包含されるが、防風通聖散の有効成分等の含量及び性状等の品質が一定した水性組成物が効率に得られるという観点から、防風通聖散エキスが好ましい。なお、防風通聖散エキスは、防風通聖散料エキスとも呼称されることがある。また、エキスとしてはチンキ、流エキス、軟エキス、乾燥エキス等を使用することができる。
【0019】
防風通聖散エキスの調製方法は、公知の方法であれば特に限定はない。例えば、第十五改正日本薬局方の製剤総則中に示されたエキス剤の製法による調製方法があり、防風通聖散の原料生薬に浸出剤を加えて加熱して得られた浸出液を固液分離により得て調製する方法が挙げられる。また、防風通聖散の原料生薬を浸出剤に浸漬する方法又はパーコレーション法に準じた方法により得られた浸出液を用いて調製する方法も例示される。
【0020】
浸出剤としては、水、エタノール、水とエタノールの混合液等が挙げられる。また、エキスの浸出をより効果的に行うために、無機酸(塩酸、硫酸、リン酸等)、有機酸(酢酸、スルホン酸等)等の酸、又はアルカリ(アンモニア水、苛性ソーダ、重炭酸ソーダ、炭酸ソーダ等)を前記浸出剤に適宜添加することができる。
【0021】
浸出温度としては、加熱して浸出する方法の場合、浸出剤の沸点付近が好ましく、例えば、水を浸出剤とする場合は90〜100℃が好ましい。また、浸出剤に浸漬する方法又はパーコレーション法に準じた方法により浸出する方法の場合、常温又は加熱下(50〜100℃)が好ましい。
【0022】
得られた浸出液は、そのまま防風通聖散チンキ又は防風通聖散流エキスに、あるいは公知の方法に従って濃縮して防風通聖散軟エキスにすることができる。また、該浸出液又は濃縮物を、噴霧乾燥法、減圧乾燥法、又は凍結乾燥法等を用いて乾燥して防風通聖散乾燥エキス(粉末)にすることができる。なお、乾燥エキス粉末を調製する際に、適当な賦形剤、例えばトウモロコシでんぷん、結晶セルロースなどを配合することができる。本発明では、防風通聖散エキスとして、防風通聖散チンキ、防風通聖散流エキス、防風通聖散軟エキス、及び防風通聖散乾燥エキス(粉末)を好適に使用することができる。
【0023】
防風通聖散エキスとしては、前記方法に従って調製したものを用いてもよいし、市販品を用いてもよい。
【0024】
本発明の水性組成物における防風通聖散の含有量は、使用する防風通聖散の種類等に応じて適宜設定されるが、例えば、0.05〜90W/V%が好ましく、0.1〜80W/V%がより好ましく、0.2〜60W/V%がさらに好ましい。
【0025】
また、防風通聖散が防風通聖散エキスである場合、本発明の水性組成物における防風通聖散の含有量は、例えば原生薬換算で表すと、好ましくは0.0001〜50g/mL、より好ましくは0.0001〜10g/mL、さらに好ましくは0.0001〜5g/mLである。なお、本明細書において「原生薬換算」とは、防風通聖散エキスの量を、当該防風通聖散エキスを調製するのに必要な原生薬(生薬混合物)の量として表したものを意味する。
【0026】
さらに、本発明の水性組成物における防風通聖散の含有量は、例えば防風通聖散の指標成分であるバイカリン成分で表すと、水性組成物中に、好ましくは0.00005〜10W/V%、より好ましくは0.0001〜5W/V%、さらに好ましくは0.0001〜3W/V%である。防風通聖散の含有量は、前記濃度範囲内となるバイカリン成分を含有することができるのであればよい。なお、バイカリン成分の含有量は、第十五改正日本薬局方の医薬品各条(生薬等)においてオウゴン末の定量方法に示されているバイカリンの定量方法により測定することができる。
【0027】
(B)パラオキシ安息香酸アルキルエステル、安息香酸、及びそれらの塩からなる群より選択される少なくとも一種
本発明では、前記(A)成分に(B)成分を配合することで、(A)成分の沈殿物の生成が抑制されたり、分散持続性が向上したり、SOD活性が向上したりする等の優れた効果が奏される。
【0028】
パラオキシ安息香酸アルキルエステル、安息香酸、及びそれらの塩は、食品、医薬品、医薬部外品に使用することが可能なものであれば特に制限はない。パラオキシ安息香酸アルキルエステルとしては、アルキル基の炭素数が好ましくは1〜6、より好ましくは1〜4の化合物が挙げられる。
【0029】
具体的には、パラオキシ安息香酸イソブチル、パラオキシ安息香酸イソプロピル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸ブチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸プロピルナトリウム、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸メチルナトリウム、安息香酸、及び安息香酸ナトリウムが例示される。なかでも、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、安息香酸、及び安息香酸ナトリウムが好ましい。これらは、単独で又は2種以上任意に組み合わせて使用することができる。
【0030】
本発明の水性組成物における、パラオキシ安息香酸アルキルエステル、安息香酸、及びそれらの塩からなる群より選択される少なくとも一種の含有量は、0.001〜0.5W/V%が好ましく、0.005〜0.3W/V%がより好ましく、0.01〜0.12W/V%がさらに好ましい。なお、「パラオキシ安息香酸アルキルエステル、安息香酸、及びそれらの塩からなる群より選択される少なくとも一種の含有量」とは、本発明の水性組成物に含有される(B)成分の含有量のことであり、(B)成分が複数ある場合には合計含有量を意味する。
【0031】
また、パラオキシ安息香酸アルキルエステル、安息香酸、及びそれらの塩からなる群より選択される少なくとも一種の含有量は、防風通聖散100重量部に対して、0.001〜250重量部が好ましく、0.008〜250重量部がより好ましく、0.015〜250重量部がさらに好ましい。
【0032】
また、パラオキシ安息香酸アルキルエステル、安息香酸、及びそれらの塩からなる群より選択される少なくとも一種の含有量は、防風通聖散の原生薬換算100重量部に対して、0.0001〜50重量部が好ましく、0.001〜50重量部がより好ましく、0.003〜50重量部がさらに好ましい。
【0033】
またさらに、パラオキシ安息香酸アルキルエステル、安息香酸、及びそれらの塩からなる群より選択される少なくとも一種の含有量は、防風通聖散の指標成分であるバイカリン100重量部に対して、0.05〜15000重量部が好ましく、0.3〜15000重量部がより好ましく、0.5〜15000重量部がさらに好ましい。
【0034】
(C)難消化性糖質
本発明の水性組成物は、前記(A)成分、(B)成分に加えて、(C)難消化性糖質をさらに含有することができる。
【0035】
難消化性糖質とは、エネルギー換算係数が3kcal/g以下の糖質であり、医薬品や医薬部外品、食品に使用することが可能なものであれば特に制限はない。なお、エネルギー換算係数は、難消化性糖質の発酵分解の難易度に応じて設定される。
【0036】
具体的には、エリスリトール、スクラロース、ソルボース、マンニトール、ガラクトピラノシル(β1−3)グルコピラノース、ガラクトピラノシル(β1−6)グルコピラノース、ラクチュロース、イソマルチトール、パラチニット、マルチトール、ラクチトール、ガラクトピラノシル(β1−6)ガラクトピラノシル(β1−4)グルコピラノース、ガラクトピラノシル(β1−3)ガラクトピラノシル(β1−4)グルコピラノース、ガラクトシルスクロース、ガラクトシルラクトース、キシロトリオース、ケストース、ラフィノース、マルトトリイトール、キシロビオース、ゲンチオトリオース、ゲンチオビオース、スタキオース、ニストース、ゲンチオテトラオース、フラクトフラノシルニストース、α−サイクロデキストリン、β−サイクロデキストリン、マルトシルβ−サイクロデキストリン、ソルビトール、テアンデオリゴ、マルトテトライール、及びキシリトールが例示される。なかでも、糖アルコールもしくはスクラロースが好ましく、ソルビトール、エリスリトール、マンニトール、キシリトールもしくはスクラロースがより好ましい。本発明の水性組成物において、難消化性糖質は1種単独で用いてもよく、また2種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。
【0037】
本発明の水性組成物における難消化性糖質の含有量は、0.1〜50W/V%が好ましく、0.5〜30W/V%がより好ましく、1〜20W/V%がさらに好ましい。
【0038】
また、難消化性糖質の含有量は、防風通聖散100重量部に対して、0.1〜25000重量部が好ましく、0.8〜15000重量部がより好ましく、1.5〜10000重量部がさらに好ましい。
【0039】
また、難消化性糖質の含有量は、防風通聖散の原生薬換算100重量部に対して、0.02〜5000重量部が好ましく、0.1〜3000重量部がより好ましく、0.2〜2000重量部がさらに好ましい。
【0040】
またさらに、難消化性糖質の含有量は、防風通聖散の指標成分であるバイカリン100重量部に対して、3〜5000000重量部が好ましく、15〜3000000重量部がより好ましく、30〜2000000量部がさらに好ましい。
【0041】
本発明の水性組成物のpH(25℃)は、2〜8が好ましく、2.5〜7がより好ましく、3〜6がさらに好ましい。よって、本発明の水性組成物には、前記pHを維持するために、クエン酸、リンゴ酸、フマル酸、酒石酸、乳酸、コハク酸等の有機酸及びそれらの塩類、塩酸等の無機酸、水酸化ナトリウム等の無機塩基を含むpH調整剤を配合することができる。
【0042】
本発明の水性組成物は、前記(A)成分及び(B)成分に、さらに(C)成分を含有することができるが、本発明の効果を損なわない範囲で、これら以外に、前記pH調整剤やその他の成分、添加剤を製剤原料として含有してもよい。その他の成分としては、防風通聖散以外の他の漢方処方及び生薬、ビタミン類、ミネラル類、アミノ酸類等が例示される。添加剤としては、増粘剤、(C)成分以外の糖類、抗酸化剤、着色剤、香料、矯味剤、界面活性剤、溶解補助剤、保存剤、(B)成分以外の防腐剤、殺菌剤、抗菌剤、(C)成分以外の甘味料、清涼化剤、可溶剤、溶解剤等が例示される。また、前記(A)成分と同じ用途に使用可能な他の成分、例えば公知の高血圧症改善作用を有する成分や公知の肥満症改善作用を有する成分等を配合して調製することもできる。なお、これらの含有量は特に限定されない。
【0043】
本発明の水性組成物は、前記(A)成分及び(B)成分を含有する水性組成物であれば特に限定はなく、当業者に公知の方法に従って調製することができる。例えば、各成分を適量の精製水で溶解した後、pHを好ましくは2〜8に、より好ましくは2.5〜7に、さらに好ましくは3〜6に調整し、次いで、残りの精製水を加えて容量調整をすることにより製造することができる。また、必要に応じて、濾過及び殺菌処理をし、容器に充填することもできる。充填するための容器は、プラスチック素材、ガラス素材、及び金属素材など当該分野で一般的な容器に使用することができる素材を用いたものであればよく、これらは目的、用途に応じて適宜選択して用いることができる。
【0044】
本発明の水性組成物は、目的に応じて例えば内服の形態として用いることができる。製剤形態として、具体的には液剤、懸濁剤、乳剤、シロップ剤、又はリモナーデ剤が例示される。
【0045】
本発明の水性組成物は、分散持続性が改善されているため、1回のみきりタイプの包装形態だけでなく、複数回にわたり投与する形態で包装され、かつ使用者が継続的に使用するマルチドーズの水性組成物としても有用である。
【0046】
また、本発明の水性組成物は、食品、医薬品、医薬部外品等として各種形態に調製することができる。なお、ここでいう食品には、健康食品、栄養補助食品(バランス栄養食、サプリメント等)、保健機能食品(栄養機能食品、特定保健用食品)等を含み、例えば、(A)成分を含有する食品は、高血圧症及び肥満症の症状改善作用を有する保健機能食品や健康食品として、例えば、高血圧症及び肥満症の予防及び/又は改善のために用いられるものである旨の表示を付して提供することが可能になると考えられる。ここで、保健機能食品とは、厚生労働省の定める保健機能食品を意味し、栄養機能食品及び特定保健用食品を含む。
【0047】
本発明の水性組成物の摂取量は、その形態、摂取方法、摂取目的及び当該組成物の摂取対象者の年齢、体重、症状によって適宜設定され一定ではない。また、摂取は、所望の摂取量範囲内において、1日内において単回で又は数回に分けて行ってもよく、食前、食間、食後、又は食事と同時に摂取されてもよい。なお、「摂取」とは、「摂取」及び/又は「投与」のことを意味する。
【0048】
本発明の水性組成物の摂取対象者としては、好ましくは高血圧の随伴症状又は肥満症状を有するヒトであるが、ヒト以外の動物等であってもよい。
【0049】
本発明はまた、(A)防風通聖散と、(B)パラオキシ安息香酸アルキルエステル、安息香酸、及びそれらの塩からなる群より選択される少なくとも一種とを配合することにより、前記(A)成分の沈殿物の生成が抑制され、分散持続性が向上し、さらには、活性酸素消去酵素(SOD)活性が向上することから、
(1) 水性組成物中に、(A)防風通聖散と共に(B)パラオキシ安息香酸アルキルエステル、安息香酸、及びそれらの塩からなる群より選択される少なくとも一種を配合することにより、水性組成物中における前記(A)成分の沈殿物の生成を抑制する方法、
(2) 水性組成物中に、(A)防風通聖散と共に(B)パラオキシ安息香酸アルキルエステル、安息香酸、及びそれらの塩からなる群より選択される少なくとも一種を配合することにより、水性組成物中における前記(A)成分の分散持続性を改善する方法、ならびに
(3) (A)防風通聖散と共に(B)パラオキシ安息香酸アルキルエステル、安息香酸、及びそれらの塩からなる群より選択される少なくとも一種を含有させることにより、前記(A)成分を含有する組成物の活性酸素消去酵素(SOD)活性を増強させる方法
を提供する。
【0050】
前記(1)〜(3)の方法において、組成物(水性組成物など)中に前記(A)成分と(B)成分が共存するのであれば、それらの添加順序は特に限定されず、(A)成分、(B)成分としては、本発明の水性組成物に配合可能なものであればよく、その添加量も本発明の水性組成物に配合可能な量であればよい。また、本発明の水性組成物に配合可能な他の成分が含まれていても構わない。
【0051】
なお、本明細書において、沈殿物の生成が抑制されているか否かは、後述の実施例(試験例1又は2)に記載の方法によって判定することが可能である。分散持続性が向上しているか否かは、後述の実施例(試験例3)に記載の方法によって判定することが可能である。SOD活性が増強しているか否かは、後述の実施例(試験例4)に記載の方法によって判定することが可能である。
【実施例】
【0052】
以下、本発明を実施例及び比較例に基づいて説明するが、本発明はこれらの実施例等によりなんら限定されるものではない。
【0053】
実施例1〜9及び比較例1〜12
表1〜7に示す実施例1〜9及び比較例1〜12の水性組成物をそれぞれ調製した。具体的には、表1〜7に示す量の防風通聖散エキス(アルプス薬品工業株式会社製、乾燥エキス粉末)、葛根湯エキス、酸棗仁湯エキス、又は補中益気湯エキス(いずれも日本粉末薬品株式会社製、乾燥エキス粉末)に、それぞれ精製水30mL及び表1〜7に示す量のクエン酸一水和物を加え、殺菌のための酸熱処理として80℃20分加熱を行った。その後、酸熱処理を行った液を常温(約25℃)まで冷ました後に、安息香酸ナトリウム(和光純薬工業株式会社製)、パラオキシ安息香酸メチル(株式会社エーピーアイ コーポレーション製)、パラオキシ安息香酸プロピル(吉冨ファインケミカル株式会社製)、及び/又はグルコン酸クロルヘキシンジン液(和光純薬工業株式会社製)、さらに(C)成分を配合する場合は、D−ソルビトール(日研化成株式会社製)、エリスリトール(日研化成株式会社製)、キシリトール(中央化成株式会社製)、及び/又はスクラロース(三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製)をそれぞれ加えた後に、適量のクエン酸一水和物でpH調整を行い、さらに精製水を加えて全量を90mLとして水性組成物を得た。得られた組成物は攪拌しながら遠沈管に10mLずつ分注し、試験用サンプルとした。
【0054】
得られた組成物について、以下の試験例1〜3に従って特性を評価した。結果を表1〜7に示す。なお、得られた組成物について、調製直後の液状態を目視で確認し、溶液pH(25℃)を測定し、さらには、RE550型粘度計(東機産業社製、ローター:1°34’×R24)を用いて25℃3分の条件下で測定した粘度の結果を合わせて示す。また、バイカリン成分の含有量は第十五改正日本薬局方の医薬品各条(生薬等)においてオウゴン末の定量法として規定されているバイカリンの定量方法により測定した。
【0055】
試験例1(沈殿抑制I)
実施例1、2、8、9及び比較例1〜12の各水性組成物の試験用サンプルを4℃において7日間静置した後に、各遠沈管内の沈殿物の容積(以下「沈殿容積」と言うこともある)を目視により測定した。各水性組成物の沈殿容積を下記式(1)にあてはめて沈殿物生成抑制率(%)を算出した。ここで、沈殿物生成抑制率が高いほど沈殿物の生成を抑制する効果が高いことを示し、マイナスの値が算出された場合には沈殿物の生成が抑制されずに増加していることを意味する。なお、「静置」とは振とうを与えないで放置することを言い、また、「対応する比較例」とは、(B)成分を含有せず、かつ、(B)成分以外の組成は同じである水性組成物のことを意味する。即ち、実施例1及び比較例2に対しては比較例1、実施例2、8、9に対しては比較例3、比較例5及び6に対しては比較例4、比較例8及び9に対しては比較例7、比較例11及び12に対しては比較例10が、それぞれ対応する。
式(1) 沈殿物生成抑制率(%)=[1−{沈殿容積(mL)/対応する比較例の沈殿容積(mL)}]×100
【0056】
試験例2(沈殿抑制II)
実施例1、実施例3〜7及び比較例1の各水性組成物の試験用サンプルを4℃において7日間静置したサンプルについて、各遠沈管を5回転倒混和した後に、卓上小型遠心機model 2410(久保田製作所社製)を用いて、4000rpmで3分間遠心分離した後に、試験例1と同様にして、各遠沈管内の沈殿物の容積を目視により測定して沈殿物生成抑制率(%)を算出した。なお、「対応する比較例」としては、実施例1、3〜7に対しては比較例1が対応する。
【0057】
試験例3(分散持続性)
各水性組成物の試験用サンプルを4℃において7日間静置した後、各遠沈管を5回転倒混和し、すぐに655nmにおける吸光度をマイクロプレートリーダー モデル680(バイオ・ラッド社製)により測定した。また、転倒混和後30分及び60分経過後の上層部(全体液高を1とした場合に液面上部から9分の2に相当する部分)から100μLのサンプルを採取し、同様にして655nmにおける吸光度を測定した。それぞれの時間について、得られた吸光度から式(2)により透過率を算出し、さらに得られた透過率から式(3)により分散性向上率を算出した。ここで、分散性向上率が高いほど分散持続性が向上していることを示す。なお、「対応する比較例」は試験例1及び2の「対応する比較例」と同様である。
式(2) 透過率Ts(%)=1/10×100
A=655nmにおける吸光度(Abs)
式(3) 分散性向上率(%)={1−(透過率/対応する比較例の透過率)}×100
【0058】
【表1】

【0059】
【表2】

【0060】
【表3】

【0061】
【表4】

【0062】
【表5】

【0063】
【表6】

【0064】
【表7】

【0065】
結果、表1より、防風通聖散を配合した水性組成物に安息香酸ナトリウムを配合した実施例1、パラオキシ安息香酸メチルとパラオキシ安息香酸プロピルを配合した実施例2は、それぞれ、安息香酸ナトリウムを配合しない比較例1、パラオキシ安息香酸メチルとパラオキシ安息香酸プロピルを配合しない比較例3に比べて、水性組成物中の沈殿物の容積が著しく少なく、沈殿物の生成が抑制されることが確認された。これに対して、防風通聖散を配合した水性組成物に、防腐剤として汎用されているグルコン酸クロルヘキシンジンを配合した比較例2では、安息香酸ナトリウムを配合した実施例1に比べ、沈殿物の生成抑制効果は弱く、グルコン酸クロルヘキシンジンを配合しない比較例1と同程度であることが確認された。従って、防風通聖散を配合した水性組成物中での沈殿物の生成抑制作用は、他の防腐剤では認められず、パラオキシ安息香酸アルキルエステル、安息香酸、及び/又はそれらの塩に特異的であることが明らかとなった。
【0066】
また、表2〜4より、防風通聖散と同様に汎用されている漢方処方である葛根湯、酸棗仁湯、又は補中益気湯を配合した水性組成物と、これらの水性組成物にさらに安息香酸ナトリウム、又はパラオキシ安息香酸メチルとパラオキシ安息香酸プロピルを配合した水性組成物をそれぞれ対比したところ、水性組成物中の沈殿物の容積は葛根湯含有組成物と補中益気湯含有組成物においては、安息香酸ナトリウム、又はパラオキシ安息香酸メチルとパラオキシ安息香酸プロピルの配合有無に関わらず同程度であり、酸棗仁湯含有組成物は、むしろ安息香酸ナトリウム、又はパラオキシ安息香酸メチルとパラオキシ安息香酸プロピルを配合することにより沈殿物の生成が増加していた(葛根湯:比較例4〜6、酸棗仁湯:比較例7〜9、補中益気湯:比較例10〜12)。よって、防風通聖散を配合した水性組成物中でのパラオキシ安息香酸アルキルエステル、安息香酸、及び/又はそれらの塩による沈殿物の生成抑制作用は他の漢方では認められず、防風通聖散に特異的であることが明らかとなった。
【0067】
更に、表1〜4より、防風通聖散エキス、葛根湯エキス、酸棗仁湯エキス、又は補中益気湯エキスを配合した水性組成物と、これらの水性組成物に安息香酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸メチルとパラオキシ安息香酸プロピル、又はグルコン酸クロルヘキシジンをさらに配合した水性組成物について転倒混和直後の透過率を対比したところ、実施例とそれぞれ対応する比較例の透過率は同程度であることが確認された。また、葛根湯エキス、酸棗仁湯エキス、又は補中益気湯エキスを配合した水性組成物については、安息香酸ナトリウム、又はパラオキシ安息香酸メチルとパラオキシ安息香酸プロピルの配合有無に関わらず転倒混和後30分及び60分における透過率も同程度であることが確認された。これにより、転倒混和により懸濁された葛根湯、酸棗仁湯、又は補中益気湯を含有する水性組成物中の成分の沈降速度に安息香酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸メチル、及びパラオキシ安息香酸プロピルの配合は影響を与えないことが明らかとなった。一方、防風通聖散エキスを配合した水性組成物と、この水性組成物に安息香酸ナトリウム、又はパラオキシ安息香酸メチルとパラオキシ安息香酸プロピルを配合した水性組成物の転倒混和後30分及び60分の透過率を比較した場合、後者の水性組成物の透過率が著しく低くなることが確認された。この結果から、転倒混和により懸濁された防風通聖散を含有する水性組成物中の成分の沈降速度が安息香酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸メチル、及びパラオキシ安息香酸プロピルの配合により遅くなる、即ち、安息香酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸メチル、及びパラオキシ安息香酸プロピルの配合により、水性組成物中での防風通聖散の分散性が持続されることが明らかとなった。またこの効果は他の漢方には認められなかったことから、防風通聖散に特異的であることが明らかとなった。加えて、防風通聖散エキスとグルコン酸クロルヘキシジンを配合した水性組成物においては、グルコン酸クロルヘキシジンの配合有無に関わらず転倒混和後30分及び60分における透過率も同程度であることが確認された。従って、水性組成物中での防風通聖散の分散持続の効果は、他の防腐剤では認められず、パラオキシ安息香酸アルキルエステル、安息香酸、及び/又はそれらの塩に特異的であることが明らかとなった。
【0068】
またさらに、表5〜6より、防風通聖散と、安息香酸ナトリウムとを水性組成物に配合することにより、防風通聖散を配合した水性組成物中の成分の沈殿物生成抑制率が上昇したが、更に難消化性糖質であるソルビトール、エリスリトール、キシリトール、又はスクラロースをそれぞれ配合することにより沈殿物生成抑制率の更なる上昇が認められた。また、表5〜7より、防風通聖散と、安息香酸ナトリウム、又はパラオキシ安息香酸メチルとパラオキシ安息香酸プロピルとを水性組成物に配合することにより、防風通聖散を配合した水性組成物中の成分の分散持続性が向上したが、更に難消化性糖質であるソルビトール、エリスリトール、キシリトール、又はスクラロースをそれぞれ配合することにより更なる向上が認められた。
【0069】
試験例4(SOD活性:実施例10及び比較例13)
表8に示す防風通聖散エキス(アルプス薬品工業株式会社製、乾燥エキス粉末)及びパラオキシ安息香酸メチル(株式会社エーピーアイ コーポレーション製)に、精製水を加え全量を100mLとして、比較例13及び実施例10の水性組成物をそれぞれ調製し、SOD Assay Kit−WST(同人化学研究所社製)を用いて、各水性組成物の活性酸素消去酵素活性(以下「SOD活性」と言うこともある)を測定した。測定方法は、キットの取扱説明書に順じた。結果を図1に示す。
【0070】
【表8】

【0071】
図1より、パラオキシ安息香酸メチルを配合することによって、防風通聖散の有するSOD活性が増強することが確認された。
【0072】
以下に処方例を挙げるが、本発明はこれらの実施例に限られるものではない。
【0073】
製剤例1:ドリンク剤 30mL/本、1本/1日
防風通聖散軟エキス 3000mg
安息香酸ナトリウム 30mg
パラオキシ安息香酸エチル 2mg
パラオキシ安息香酸プロピル 2mg
パラオキシ安息香酸ブチル 10mg
パラオキシ安息香酸イソブチル 2mg
D−ソルビトール 3000mg
キシリトール 100mg
マンニトール 10mg
白糖 500mg
果糖 1000mg
塩酸ピリドキシン 10mg
リン酸リボフラビンナトリウム 5mg
硝酸チアミン 5mg
無水クエン酸 10mg
クエン酸ナトリウム 10mg
酒石酸 80mg
塩酸 10mg
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 400mg
ステアリン酸ポリオキシル40 100mg
DL−アラニン 25mg
エタノール 150μL
l−メントール 10mg
精製水 適量
計 30mL
【0074】
製剤例2:ドリンク剤 200mL/本、3本/1日
防風通聖散エキス(粉末) 5000mg
安息香酸ナトリウム 80mg
パラオキシ安息香酸メチル 10mg
パラオキシ安息香酸プロピル 10mg
パラオキシ安息香酸イソプロピル 10mg
エリスリトール 2000mg
スクラロース 3mg
マルチトール 20mg
アスパルテーム 5mg
黒糖 1500mg
カラメル 20mg
ヒプロメロース 100mg
オロチン酸コリン 5mg
リン酸リボフラビンナトリウム 10mg
タウリン 20mg
イノシトール 10mg
クエン酸ナトリウム 10mg
乳酸 100mg
リン酸 200mg
L−グルタミン酸 10mg
エタノール 1000μL
精製水 適量
計 600mL
【0075】
製剤例3:ドリンク剤 20mL/本、1本/1日
防風通聖散軟エキス 1000mg
安息香酸ナトリウム 60mg
パラオキシ安息香酸メチル 20mg
パラオキシ安息香酸メチルナトリウム 5mg
パラオキシ安息香酸プロピルナトリウム 5mg
パラオキシ安息香酸ブチル 2mg
D−ソルビトール 5000mg
スクラロース 10mg
アセスルファムカリウム 1mg
ラクチトール 10mg
ヒドロキシエチルセルロース 200mg
ニコチン酸アミド 30mg
塩化カルニチン 50mg
グリセリン 20mg
酒石酸 100mg
ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート 10mg
DL−アラニン 10mg
L−グルタミン酸 25mg
エタノール 100μL
ペパーミントエッセンス 微量
精製水 適量
計 20mL
【0076】
製剤例4:ドリンク剤 20mL/本、3本/1日
防風通聖散エキス(粉末) 4000mg
安息香酸 20mg
パラオキシ安息香酸エチル 10mg
パラオキシ安息香酸ブチル 20mg
パラオキシ安息香酸ベンジル 5mg
エリスリトール 10mg
キシリトール 50mg
マンニトール 100mg
ラクチトール 100mg
還元水飴 100mg
塩酸ピリドキシン 20mg
無水カフェイン 50mg
イノシトール 20mg
グリセリン 1000mg
無水クエン酸 200mg
クエン酸ナトリウム 220mg
塩酸 20mg
ステアリン酸ポリオキシル40 200mg
l−メントール 10mg
エタノール 100μL
バレンシアオレンジオイル 微量
精製水 適量
計 60mL
【0077】
製剤例5:ドリンク剤 50mL/本、2本/1日
防風通聖散軟エキス 2000mg
パラオキシ安息香酸プロピル 5mg
パラオキシ安息香酸メチルナトリウム 5mg
パラオキシ安息香酸イソプロピル 10mg
パラオキシ安息香酸イソブチル 5mg
D−ソルビトール 10mg
エリスリトール 100mg
スクラロース 100mg
アセスルファムカリウム 20mg
マルチトール 3000mg
アスパルテーム 16mg
白糖 1000mg
ヒプロメロース 20mg
ポピドン 50mg
タウリン 1000mg
クエン酸ナトリウム 50mg
DL−リンゴ酸 100mg
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60 50mg
l−メントール 5mg
エタノール 250μL
ペパーミントエッセンス 微量
精製水 適量
計 100mL
【0078】
製剤例6:シロップ剤 100mL/本、10mL/1日
防風通聖散エキス(粉末) 0.5g
パラオキシ安息香酸メチル 0.03g
パラオキシ安息香酸プロピル 0.02g
D−ソルビトール 30g
白糖 20g
グリセリン 12g
エタノール 3.5g
リン酸水素ナトリウム 0.3g
クエン酸 0.3g
レモン油 微量
ケイヒ油 微量
着色剤 微量
精製水 適量
計 100mL
【0079】
製剤例7:懸濁シロップ剤 50mL/本、10mL/1日
防風通聖散エキス(粉末) 1.5g
安息香酸ナトリウム 0.5g
エリスリトール 10g
黒糖 2g
白糖 3g
ビーガム 0.4g
カルボキシセルロースナトリウム 0.5g
シリコン樹脂 0.08g
セスキオレイン酸ソルビタン 0.05g
水酸化ナトリウム 0.03g
クエン酸 適量
黒糖フレーバー 微量
カラメル色素 微量
精製水 適量
計 50mL
【0080】
製剤例8:ドリンク剤 100mL/本、1本/日
当帰 1.2g
芍薬 1.2g
川キュウ 1.2g
山梔子 1.2g
連翹 1.2g
薄荷葉 1.2g
生姜 0.3g
荊芥 1.2g
防風 1.2g
麻黄 1.2g
大黄 1.5g
芒硝 1.5g
白朮 2g
桔梗 2g
黄ゴン 2g
甘草 2g
石膏 2g
滑石 3g
安息香酸ナトリウム 0.1g
ハチミツ 1g
白糖 4g
リン酸水素ナトリウム 0.5g
カラメル 微量
ハッカ油 微量
バニラフレーバー 微量
無水クエン酸 適量
精製水 適量
計 100mL
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明の水性組成物は、防風通聖散の沈殿物の生成を抑制し、また例えば振とうすることにより速やかに再分散して、その後分散性が持続されるため、特に飲用に優れている。更に本発明の組成物は、活性酸素消去酵素(SOD)活性を増強するため、高血圧及び肥満症の患者にとって有益である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)防風通聖散、並びに(B)パラオキシ安息香酸アルキルエステル、安息香酸、及びそれらの塩からなる群より選択される少なくとも一種を含有してなる水性組成物。
【請求項2】
(B)成分が、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、安息香酸、及びそれらの塩からなる群より選択される少なくとも一種を含んでなる、請求項1に記載の水性組成物。
【請求項3】
更に、(C)難消化性糖質を含有してなる、請求項1又は2に記載の水性組成物。
【請求項4】
(C)成分が、ソルビトール、エリスリトール、マンニトール、キシリトール、及びスクラロースからなる群より選択される少なくとも一種を含んでなる、請求項3に記載の水性組成物。
【請求項5】
水性組成物中に、(A)防風通聖散と共に(B)パラオキシ安息香酸アルキルエステル、安息香酸、及びそれらの塩からなる群より選択される少なくとも一種を配合することにより、水性組成物中における前記(A)成分の沈殿物の生成を抑制する方法。
【請求項6】
水性組成物中に、(A)防風通聖散と共に(B)パラオキシ安息香酸アルキルエステル、安息香酸、及びそれらの塩からなる群より選択される少なくとも一種を配合することにより、水性組成物中における前記(A)成分の分散持続性を改善する方法。
【請求項7】
(A)防風通聖散と共に(B)パラオキシ安息香酸アルキルエステル、安息香酸、及びそれらの塩からなる群より選択される少なくとも一種を含有させることにより、前記(A)成分を含有する組成物の活性酸素消去酵素(SOD)活性を増強させる方法。

【図1】
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【公開番号】特開2012−153623(P2012−153623A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−11976(P2011−11976)
【出願日】平成23年1月24日(2011.1.24)
【出願人】(000115991)ロート製薬株式会社 (366)
【Fターム(参考)】