説明

防食シート及びその製造方法

【課題】コンクリートへの定着力及び機械的強度を向上させることができ、さらに、生産性、経済性、審美性などに優れた防食シート及びその製造方法の提供を目的とする。
【解決手段】防食シート1は、耐酸性及び/又は耐アルカリ性を有する樹脂からなり、コンクリート10を覆うバックシート2、及び、このバックシート2に形成され、コンクリート10と係合する複数の筒状突起31などを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防食シート及びその製造方法に関し、特に、コンクリートへの定着力及び機械的強度を向上させることができ、さらに、生産性、経済性、審美性などに優れた防食シート及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コンクリートは、耐酸性や耐薬品性などに劣り、侵食されやすい材料であり、たとえば、酸性雨などに対して、浸食や剥がれ落ちなどを防止する必要がある。
このため、酸性雨などからコンクリートを保護するため、防食用のシート等を用いて、コンクリートを被覆し保護する様々な技術が開発されてきた。
【0003】
たとえば、特許文献1、2には、防食シートを利用した技術が開示されている。この防食シートは、シートの片面に多数の突起が千鳥状に分散して形成されており、これらの突起は、互いに離反する方向に傾斜した一対の突片を中間連結片で連結した形状をしている。
【0004】
また、特許文献3には、凸部付きシートを利用したコンクリート構造物の補強構造の技術が開示されている。この凸部付きシートは、シート部の表面に複数の突起が突設され、各突起は頭部と根元の断面が中間部分よりも拡大して形成され、これらシート部及び突起が合成樹脂材料から一体成形されたものである。
【0005】
また、特許文献4には、拡径受口の内周面を被覆する被覆部材、受口奥部の段部を被覆する被覆部材、及び、直管部の内周面を被覆する被覆部材を有するライニングヒューム管の製造方法の技術が開示されている。
【0006】
また、本発明に関連する技術として、たとえば、特許文献5には、プラスチック中空板の製造方法の技術が開示されている。この製造方法は、回転する金属の円筒に多数の凹みを設け、凹みの底を真空吸引源に接続した成形ロールを用いて、熱可塑化状態にあるプラスチックシートを真空成形して多数のキャップ状突起を有するキャップシートを形成する工程と、キャップシートにバックシートを貼り合わせて二層品を形成する工程とを有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平7−42248号公報
【特許文献2】特開平6−42149号公報
【特許文献3】特開2008−25220号公報
【特許文献4】特公平5−72241号公報
【特許文献5】特開2002−326297号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述した特許文献1〜4に記載された防食シートや凸部付きシートなどは、突起の配設密度を高めようとすると、離型が困難となる、あるいは、生産性が著しく低下するおそれがあった。また、突起の配設密度を低くすると、コンクリートへの定着力が低下し、防食シートがコンクリート表面から剥離しやすくなるおそれがあった。
すなわち、優れた定着力を実現しつつ、生産性などを向上させることができないといった問題があった。
【0009】
また、防食シートは、通常、風雨などにさらされるので、十分な機械的強度が要望されており、また、価格が廉価であるといった経済性や審美性などに優れていることも要望されている。
なお、特許文献5の技術は、本発明に関連する技術ではあるものの、上記の課題を解決することはできず、また、防食シートに適用することが困難である。
【0010】
本発明は、以上のような問題を解決するために提案されたものであり、コンクリートへの定着力及び機械的強度を向上させることができ、さらに、生産性、経済性、審美性などに優れた防食シート及びその製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明の防食シートは、耐酸性及び/又は耐アルカリ性を有する樹脂からなり、コンクリートなどの被防食部材を覆うシートと、このシートに形成され、被防食部材と係合する複数の筒状突起とを備えた構成としてある。
【0012】
また、本発明の防食シートの製造方法は、上記の防食シートの製造方法であり、多数の吸引孔が設けられた成形ロールの外周面に溶融状態にある樹脂シートを接触させて、中空状に膨出する多数のキャップ状突起を真空成形し、キャップシートを成形するキャップシート成形工程と、キャップ状突起内に空気を封入するバックシートを、溶融状態で供給しながら融着によってキャップシートに積層する融着積層工程と、キャップ状突起の上部を開口させ、筒状突起を形成する筒状突起形成工程とを有する方法としてある。
【0013】
さらに、本発明の防食シートの製造方法は、上記の防食シートの製造方法であり、多数の吸引孔が設けられた成形ロールの外周面に溶融状態にある樹脂シートを接触させて、中空状に膨出する多数のキャップ状突起を真空成形し、キャップシートを成形するキャップシート成形工程と、キャップ状突起の上部と融着されるライナーシートを、溶融状態で供給しながら融着によってキャップシートに積層する融着積層工程と、キャップ状突起の底部を切断し、筒状突起を形成する筒状突起形成工程とを有する方法としてある。
【発明の効果】
【0014】
本発明の防食シート及びその製造方法によれば、複数の筒状突起が、配設密度を高めた状態で形成されているので、コンクリートへの定着力及び機械的強度を向上させることができ、さらに、気泡ボードの生産技術を応用することにより、生産性、経済性、審美性などを大幅に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本発明の第一実施形態にかかる防食シートを説明するための概略図であり、(a)は斜視図を示しており、(b)は平面図を示しており、(c)は、A−A断面図を示している。
【図2】図2は、本発明の応用例にかかる防食シートを説明するための概略図であり、(a)は第一応用例の斜視図を示しており、(b)は第二応用例の斜視図を示している。
【図3】図3は、本発明の第一実施形態にかかる防食シートの使用状態を説明するための概略図であり、(a)は平面方向の全体的な断面図を示しており、(b)は要部の拡大断面図を示している。
【図4】図4は、本発明の第一実施形態にかかる防食シートの使用状態の応用例を説明するための概略図であり、(a)は断面図を示しており、(b)はB部の拡大図を示しており、(c)はC−C矢視拡大図を示している。
【図5】図5は、図4に示すコンクリート管の端部を説明するための概略拡大断面図を示している。
【図6】図6は、本発明の第二実施形態にかかる防食シートを説明するための概略図であり、(a)は平面図を示しており、(b)は、D−D断面図を示している。
【図7】図7は、本発明の第三実施形態にかかる防食シートを説明するための概略図であり、(a)は平面図を示しており、(b)は、E−E断面図を示している。
【図8】図8は、本発明の第四実施形態にかかる防食シートを説明するための概略図であり、(a)は平面図を示しており、(b)は、F−F断面図を示している。
【図9】図9は、本発明の実施形態にかかる防食シートの製造方法を説明するための概略フローチャート図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[防食シートの第一実施形態]
図1は、本発明の第一実施形態にかかる防食シートを説明するための概略図であり、(a)は斜視図を示しており、(b)は平面図を示しており、(c)は、A−A断面図を示している。
図1において、本実施形態の防食シート1は、樹脂製のシートとしてのバックシート2と、複数の筒状突起31とを備えた構成としてある。この防食シート1は、後述するように、被防食部材としてのコンクリート10を覆い、コンクリート10の表面を被覆し保護する。
【0017】
(バックシート)
バックシート2は、耐酸性及び/又は耐アルカリ性を有する樹脂からなり、本実施形態では、耐酸性及び耐アルカリ性を有する樹脂として、ポリプロピレンが使用されている。
なお、本実施形態では、ポリプロピレンを使用したが、これに限定されるものではなく、耐酸性及び/又は耐アルカリ性を有する樹脂であればよく、たとえば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリカーボネイトなどが挙げられ、また、これらの混合物を用いることもできる。また、耐酸性には、耐強酸性が含まれ、耐アルカリ性には、耐強アルカリ性が含まれるものとする。
【0018】
また、バックシート2は、通常、厚さtが0.数mm〜数mmであり、使用条件などに応じて、適宜、設定される。なお、本実施形態では、厚さtを約2mmとしてある。
さらに、バックシート2の色は、通常、白色、黒色、緑色、青色、黄色などであるが、特に限定されるものではない。これにより、コンクリート10が露出する場合と比べると、審美性を向上させることができる。
また、バックシート2の表面は、通常、滑らかであるが、これに限定されるものではなく、たとえば、必要に応じて、滑りにくいように粗面としてもよい。
【0019】
(筒状突起)
筒状突起31は、バックシート2に形成され、コンクリート10に埋設されることによりコンクリート10と係合してアンカーとして機能し、コンクリート10に対して剥がれないように、防食シート1を定着させる。
また、筒状突起31は、たとえば、棒状の突起(図示せず)と比べると、コンクリート10との接触面積が広くなり、定着力を増大させることができるとともに、その筒状の形状が、補強リブとして機能し、防食シート1の機械的強度(たとえば、曲げ強度など)を向上させることができる。
【0020】
本実施形態では、筒状突起31は、キャップシート3から突き出るように成形されており、キャップシート3がバックシート2と融着されることにより、バックシート2に形成されている。
このキャップシート3は、通常、厚さtが0.数mm〜数mmであり、使用条件などに応じて、適宜、設定される。なお、本実施形態では、厚さtを約1mmとしてある。
また、キャップシート3の樹脂として、通常、バックシート2と同じ樹脂が使用されるが、これに限定されるものではなく、バックシート2と異なる樹脂を使用してもよい。
さらに、キャップシート3の色は、通常、黒色などであるが、特に限定されるものではない。
【0021】
また、筒状突起31を千鳥状に、すなわち、複数の筒状突起31は、行方向にピッチPとなり、列方向にピッチPとなり、さらに、奇数行と偶数行の筒状突起31が、行方向にピッチ0.5Pだけずれるように、配設してある。
なお、本実施形態では、筒状突起31を千鳥状に配設してあるが、これに限定されるものではなく、たとえば、マトリックス状(碁盤目状)に配設してもよい。
【0022】
ここで、筒状突起31は、ほぼ円筒状であり、外径をDとしてあり、全ての方向に隣り合う筒状突起31のピッチPを、D<P<5D(すなわち、本実施形態では、D<P<5D、かつ、D<P<5D)とするとよく、好ましくは、D<P<4Dとするとよく、さらに好ましくは、D<P<3Dとするとよい。
このようにすると、筒状突起31が高密度に配設された状態となり、コンクリート10への定着力及び防食シート1の機械的強度を大幅に向上させることができる。
この理由は、ピッチPを外径D以下とすると、筒状突起31どうしが当接、あるいは、重なった状態となり、これにより、適度の湾曲性が失われる、あるいは、後述する製造方法において、気泡ボードの技術を応用することができず、生産性などを向上できなくなるからである。また、ピッチPを外径Dの五倍以上とすると、コンクリート10への定着力や防食シート1の機械的強度を十分向上させることができなくなるからである。
【0023】
筒状突起31は、通常、外径Dが数mm〜数十mmであり、高さhが数mm〜数十mmであり、厚さは、キャップシート3の厚さtとほぼ同じ、あるいは、厚さtより僅かに薄い厚さであり、使用条件などに応じて、適宜、設定される。本実施形態では、筒状突起31の外径Dは、約12mmであり、高さhは、約8mmであり、厚さは、約0.9mmである。
【0024】
ここで、本実施形態では、筒状突起31をほぼ円筒状としてあるが、これに限定されるものではない。
たとえば、図2(a)に示すように、ほぼ截頭円錐形状の筒状突起31aを有する構成としてもよい。このようにすると、縮径された筒状突起31aの先端側の部分が、この部分の下方(筒状突起31aの付け根側)に位置するコンクリートを覆う構造となる。すなわち、截頭円錐形状の筒状突起31aは、アンカーとしての機能が向上し、コンクリートへの定着力をさらに向上させることができる。
また、図2(b)に示すように、ほぼ截頭円錐形状を逆さにした形状の筒状突起31bを有する構成としてもよい。なお、筒状突起31bは、キャップシート3のキャップ状突起の頭頂部をライナーシート2bに融着することにより形成される。このようにすると、拡径された筒状突起31bの先端側の部分が、この部分の下方(筒状突起31bの付け根側)に位置するコンクリートを覆う構造となる。すなわち、截頭円錐形状を逆さにした形状の筒状突起31bは、アンカーとしての機能が向上し、コンクリートへの定着力をさらに向上させることができる。なお、ライナーシート2bの材料や厚さなどは、バックシート2とほぼ同様としてある。
【0025】
なお、筒状突起31の断面形状は、円形に限定されるものではなく、たとえば、図示してないが、多角形、長円、楕円、ハート型などであってもよい。
さらに、複数の筒状突起31の形状や大きさは、ほぼ同じとしてあるが、これに限定されるものではなく、たとえば、図示してないが、異なる二以上の形状の筒状突起や大きさの異なる筒状突起を交互に配設してもよい。
【0026】
次に、上記構成の防食シート1の使用状態などについて、図面を参照して説明する。
図3は、本発明の第一実施形態にかかる防食シートの使用状態を説明するための概略図であり、(a)は平面方向の全体的な断面図を示しており、(b)は要部の拡大断面図を示している。
図3に示すように、防食シート1、101、102は、筒状突起31の内部にコンクリート10が充填され、かつ、筒状突起31と筒状突起31との間にコンクリート10が充填され、気泡溜まりが発生しない状態で、コンクリート10の表面を被覆し保護する。
【0027】
ここで、防食シート101は、防食シート1と比べて、凹状に湾曲している点などが相違し、他の構成は、防食シート1とほぼ同様としてある。また、防食シート102は、防食シート1と比べて、凸状に湾曲している点などが相違し、他の構成は、防食シート1とほぼ同様としてある。すなわち、防食シート1は、適度の湾曲性により、強制的に湾曲させた状態で使用したり、あるいは、加熱して所定の形状にあらかじめ湾曲させた状態で使用することができ、コンクリート10が湾曲した形状であっても容易に対応することができる。
【0028】
なお、防食シート101、102は、円弧状に湾曲してあるが、これに限定されるものではなく、たとえば、波型など様々な形状に湾曲させてもよく、さらに、円形状とすることもでき、円筒状の構造物の内面や外面にも対応することができる。
また、たとえば、図3(a)の左側(図3(b))に示すような円弧状に湾曲した防食シート102は、筒状突起31の先端部が、円弧方向に短径を有するほぼ楕円形に変形するので、アンカーとしての機能が向上し、コンクリート10への定着力をさらに向上させることができる。なお、図3(a)の右側に示すような円弧状に湾曲した防食シート101は、筒状突起31の先端部が、円弧方向に長径を有する楕円形に変形するので、アンカーとしての機能が向上し、コンクリート10への定着力をさらに向上させることができる。すなわち、湾曲した防食シート101、102は、筒状突起31が変形し、コンクリート10への定着力をさらに向上させることができる。
【0029】
また、防食シート1、101、102の端部は、通常、連結シート4が融着されることにより、コンクリート10を密閉する状態で連結される。この連結シート4は、バックシート2と同じ樹脂からなる帯状であり、アイロンなどの加熱手段により、現場にて容易に融着される。
なお、連結シート4の厚さは、通常、バックシート2の厚さtと同じであり、幅は、数mm〜数十mmである。
また、連結シート4を用いる代わりに、防食シート1、101、102の端部どうしを直接的に融着してもよく、これにより、連結部(つなぎ目)が突出しない形状とすることができる。
【0030】
このように、防食シート1、101、102は、コンクリート10の形状に応じて並設され、この後、コンクリート10が打設される。そして、コンクリート10が固まり、型枠などが撤去されると、防食シート1が、コンクリート10を覆う状態で露出し、コンクリート10の表面を風雨(たとえば、酸性雨等)などから好適に保護する。
なお、平坦な構造物の表面を防食シート1で覆うときは、コンクリート1を打設した後、その表面に防食シート1を載置し押圧し、筒状突31をコンクリート10内へ圧入する。
【0031】
以上説明したように、本実施形態の防食シート1によれば、防食シート1は、複数の筒状突起31が、アンカーとして機能するとともに、補強リブとして機能し、コンクリート10への定着力及びシートとしての機械的強度を向上させることができる。
また、防食シート1は、耐酸性及び耐アルカリ性を有するポリプロピレンが使用されているので、コンクリート10の表面を風雨などから好適に保護し、防食効果を発揮することができる。
なお、防食シート1は、図3に示す使用状態に限定されるものではなく、たとえば、コンクリート管201などにも好適に使用することができる。
次に、防食シート1の使用状態の応用例について、図面を参照して説明する。
【0032】
図4は、本発明の第一実施形態にかかる防食シートの使用状態の応用例を説明するための概略図であり、(a)は断面図を示しており、(b)はB部の拡大図を示しており、(c)はC−C矢視拡大図を示している。
また、図5は、図4に示すコンクリート管の端部を説明するための概略拡大断面図を示している。
図4、5に示すように、防食シート1は、コンクリート管201にも使用することができ、コンクリート管201は、コンクリート製の管状体202と、この管状体202の内面を覆う防食シート1とを備え、コンクリートの部分に埋設する複数の筒状突起31を有し、かつ、耐酸性及び/又は耐アルカリ性を有する樹脂からなる防食シート1が、管状体202の内面を覆った構成としてある。
なお、本実施形態のコンクリート管201は、外圧管、推進管、内圧管などに適用される。
【0033】
(管状体)
管状体202は、コンクリートを有しており、通常、機械的強度を向上させる鉄筋(図示せず)をも有している。
また、管状体202に取り付けられる防食シート1は、内径dを有するほぼ円形に形成される。これにより、防食シート1を筒状に形成すると、筒状突起31の先端部は、図4(c)に示すように、管状体202の周方向に長径aを有し、かつ、管状体2の軸心方向に短径bを有するほぼ楕円形に変形する。
ここで、好ましくは、上記楕円形を、変形前の円形(外径Dを有する円形)に対して、a>1.1D、かつ、b<0.9Dとするとよい。このようにすると、管状体202の周方向においては、外径Dを有する円形の外側に突き出た部分が、この部分の下方(筒状突起31の付け根側)に位置するコンクリートを覆い、かつ、管状体202の軸心方向においては、外径Dを有する円形の内側に突き出た部分が、この部分の下方(筒状突起31の付け根側)に位置するコンクリートを覆う構造となる。すなわち、楕円形に変形した筒状突起31は、アンカーとしての機能が向上し、コンクリートへの定着力をさらに向上させることができる。
なお、管状体202は、振動を利用した流し込み製法などにより製造されるが、管状体202は、製法によっては特に限定されるものではない。
【0034】
(防食シートの取り付け方法)
次に、防食シート1の取り付け方法などについて説明する。
まず、防食シート1は、筒状突起31の内部や、筒状突起31どうしの間の空間にコンクリートが充填され、充填されたコンクリートが固まることにより、筒状突起31がコンクリートに埋設されコンクリートと係合する。これにより、防食シート1は、管状体202に対して、優れた定着力を発揮する。
すなわち、管状体202が、振動(あるいは、振動及び圧縮)を利用した流し込み製法により製造される場合、通常、内型に防食シート1が巻き付けられた状態で、コンクリートが流し込まれることにより、防食シート1が、管状体202の内面に取り付けられる。
【0035】
ここで、好ましくは、防食シート1が、コンクリートの打設前に(すなわち、流し込み製法においては、内型に防食シート1が巻き付けられる前に)、所定の曲率半径で湾曲しているとよい。なお、所定の曲率半径とは、コンクリート管201の内径(φd)に対応する曲率半径(d/2)、又は、この曲率半径(d/2)とほぼ同じとみなせる曲率半径をいう。
このようにすると、防食シート1がいびつに変形することなく、ほぼ円形に形成されるので、作業性や品質を向上させることができる。
なお、上記の湾曲は、防食シート1を加熱することにより、容易に行うことができる。
【0036】
また、好ましくは、図4(b)に示すように、防食シート1の端部どうしが、連結シート41を介して接合されるとよい。この連結シート41は、通常、バックシート2と同じ材質であり、耐酸性及び/又は耐アルカリ性を有している。また、連結シート41は、幅が数mmから数十mmの帯状であり、厚さが0.数mm〜数mmであり、使用条件などに応じて、適宜、設定される。
上記連結シート41は、融着などによりバックシート2の両端部と接合され、これにより、防食シート1の端部どうしが強固に接合される。
このようにすると、防食シート1つなぎ目においても、管状体202を覆うことができ、コンクリートの防食をより確実に行うことができる。
【0037】
なお、本実施形態では、連結シート41を介して、防食シート1の端部どうしを接合しているが、これに限定されるものではなく、たとえば、バックシート2の端部どうしを融着などにより接合してもよい。
また、連結シート41は、管状体202の軸心と平行に設けられているが、このようなケースに限定されるものではなく、たとえば、管状体202の直径が大きい場合、さらに、連結シート41は、管状体202の周方向にも設けられる。
【0038】
また、好ましくは、防食シート1が、管状体202の端面を覆うフランジ部203(図5参照)を有するとよい。このフランジ部203は、通常、バックシート2と同じ材質であり、耐酸性及び/又は耐アルカリ性を有している。また、フランジ部203は、管状体202の端面と当接する円環状部分、及び、バックシート2を覆う円筒部分を有しており、各部分の厚さが0.数mm〜数mmであり、使用条件などに応じて、適宜、設定される。
上記フランジ部203は、たとえば、円筒部分がバックシート2と融着されることなどにより管状体202の端部と接合され、これにより、管状体202の端部に強固に、かつ、シール性を維持できる状態で接合される。
このようにすると、管状体202の端部においても、管状体202を覆うことができ、コンクリート管201どうしの接合部や接合部の近傍においても、コンクリートの防食を行うことができる。
なお、フランジ部203は、通常、流し込み製法においては、内型に防食シート1が巻き付けられる際に、バックシート2と融着される。
また、コンクリート管201どうしは、たとえば、ゴム輪204を介して接合され、シール性を維持することができる。
【0039】
上記のコンクリート管201の防食シート1は、筒状突起31が高密度に配設された状態となり、管状体202への定着力及び防食シート1の機械的強度を大幅に向上させることができる。
また、コンクリート管201は、防食シート1のつなぎ目においても、連結シート1が管状体202を覆うことができ、コンクリートの防食をより確実に行うことができる。
さらに、コンクリート管201は、管状体202の端部においても、フランジ部203が管状体202を覆うことができ、コンクリート管201どうしの接合部や接合部の近傍においても、コンクリートの防食を行うことができる。
【0040】
[防食シートの第二実施形態]
図6は、本発明の第二実施形態にかかる防食シートを説明するための概略図であり、(a)は平面図を示しており、(b)は、D−D断面図を示している。
図6において、本実施形態の防食シート1aは、上述した第一実施形態の防食シート1と比べると、筒状突起31に、コンクリート10からの抜けを防止するための変形部32が形成された点などが相違する。なお、本実施形態の他の構成は、防食シート1とほぼ同様としてある。
したがって、図6において、図1と同様の構成部分については同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0041】
変形部32は、筒状突起31の上部の対向する二箇所(行方向の二箇所、又は、列方向の二箇所)に形成され、それぞれ外側に突き出る形状としてある。すなわち、先端がほぼ三角板状の加熱された変形用型11が、上方から筒状突起31を押圧することにより、変形用型11と当接した部分が外側方向に変形し、突き出た形状となる。本実施形態では、行方向に並ぶ筒状突起31は、変形部32の箇所(行方向の二箇所、又は、列方向の二箇所)が、交互になるように形成されている。
このようにすると、コンクリート10からの抜けをより確実に防止することができ、定着力を高めることができるとともに、定着の信頼性を向上させることができる。
【0042】
なお、変形部32の形状は、上記に限定されるものではなく、たとえば、図示してないが、それぞれ内側に突き出る形状としたり、あるいは、一方が外側に突き出て、他方が内側に突き出る形状としてもよい。さらに、筒状突起31の先端部を溶かし、先端部が付け根側より断面積が大きくなる形状としてもよい。また、形成する位置も、二箇所に限定されるものではなく、たとえば、四箇所や、ほぼ全周にわたって形成されてもよい。
また、複数の変形用型11は、平板状の基部(図示せず)に配設されているが、これに限定されるものではなく、たとえば、複数の変形用型11を回転するローラに配設し、防食シート1aを移動させながら変形部32を形成してもよい。これにより、生産性などを向上させることができる。
【0043】
以上説明したように、本実施形態の防食シート1aによれば、第一実施形態の防食シート1とほぼ同様の効果を奏するとともに、変形部32によって、コンクリート10からの抜けをより確実に防止することができ、定着力を高めることができるとともに、定着の信頼性を向上させることができる。
【0044】
[防食シートの第三実施形態]
図7は、本発明の第三実施形態にかかる防食シートを説明するための概略図であり、(a)は平面図を示しており、(b)は、E−E断面図を示している。
図7において、本実施形態の防食シート1bは、第一実施形態の防食シート1と比べると、筒状突起31に、スリット33が形成された点などが相違する。なお、本実施形態の他の構成は、防食シート1とほぼ同様としてある。
したがって、図7において、図1と同様の構成部分については同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0045】
スリット33は、通常、幅Δが数mm(本実施形態では、約2mm)であり、深さが、h−t(本実施形態では、約7mm)であり、筒状突起31の対向する二箇所(行方向の二箇所)に形成されている。すなわち、歯厚約2mmの鋸歯付き回転カッターなどのスリット用カッター12によって、行方向に移動する防食シート1bの筒状突起31が機械的に加工され、スリット33が形成される。
このようにすると、防食シート1bは、一対のスリット33が上下方向となるように並設され、コンクリート10を打設する際、筒状突起31内における気泡溜まりの発生を効果的に低減することができる。
【0046】
なお、スリット33の形成位置は、行方向の二箇所に限定されるものではなく、たとえば、行方向及び列方向の四箇所に形成されてもよい。
また、スリット33の形状は、上記に限定されるものではなく、たとえば、図示してないが、筒状突起31の先端部であって、スリット33の近傍の部分をも溶かし、先端部が付け根側より断面積が大きくなる形状としてもよい。これにより、スリット33とともに、変形部32をも形成でき、生産性をさらに向上させることができる。
また、本実施形態では、スリット用カッター12によってスリット33を形成しているが、これに限定されるものではなく、たとえば、反時計回り方向に回転する、板厚約2mmの円板状の加熱されたスリット用型によって、筒状突起31が溶かされることによりスリット33を形成してもよい。
【0047】
以上説明したように、本実施形態の防食シート1bによれば、第一実施形態の防食シート1とほぼ同様の効果を奏するとともに、スリット33によって、コンクリート10を打設する際、気泡溜まりの発生を効果的に低減することができ、気泡溜まりに起因する不具合、たとえば、コンクリート10の強度低下などを防止することができる。
【0048】
[防食シートの第四実施形態]
図8は、本発明の第四実施形態にかかる防食シートを説明するための概略図であり、(a)は平面図を示しており、(b)は、F−F断面図を示している。
図8において、本実施形態の防食シート1cは、第一実施形態の防食シート1と比べると、筒状突起31に、変形部32(第二実施形態における列方向の二箇所に形成された変形部32)、及び、スリット33(第三実施形態のスリット33)が形成された点などが相違する。なお、本実施形態の他の構成は、防食シート1とほぼ同様としてある。
したがって、図8において、図1、6、7と同様の構成部分については同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0049】
以上説明したように、本実施形態の防食シート1cによれば、第一実施形態の防食シート1とほぼ同様の効果を奏するとともに、変形部32によって、コンクリート10からの抜けをより確実に防止することができ、定着力を高めることができるとともに、定着の信頼性を向上させることができる。さらに、スリット33によって、コンクリート10を打設する際、気泡溜まりの発生を効果的に低減することができ、気泡溜まりに起因する不具合、たとえば、コンクリート10の強度低下などを防止することができる。
【0050】
[防食シートの製造方法の一実施形態]
また、本発明は、防食シートの製造方法の発明としても有効である。
本実施形態の防食シートの製造方法は、上述した防食シート1cを製造する防食シートの製造方法としてある。
図9は、本発明の実施形態にかかる防食シートの製造方法を説明するための概略フローチャート図を示している。
図9に示すように、防食シート1cの製造方法は、キャップシート成形工程(ステップS1)、融着積層工程(ステップS2)、筒状突起形成工程(ステップS3)、変形部形成工程(ステップS4)、及び、スリット形成工程(ステップS5)を有している。
【0051】
(キャップシート成形工程)
キャップシート成形工程(ステップS1)では、多数の吸引孔が設けられた成形ロールの外周面に溶融状態にある樹脂シートを接触させて、中空状に膨出する多数のキャップ状突起を真空成形し、キャップシートを成形する。
すなわち、押出機に取り付けられたフラットダイから、材料樹脂を押し出すことによって、溶融状態にある樹脂シートを成形ロールに連続して供給する。そして、多数の吸引孔が設けられた成形ロールの外周面に、溶融状態にある樹脂シートを接触させて中空状に膨出する多数のキャップ状突起を真空成形し、これによってキャップシートを成形する。
なお、吸引孔のそれぞれは、真空ポンプにつながれており、吸引孔内を真空吸引することによって、キャップ状突起が真空成形される。
【0052】
(融着積層工程)
融着積層工程(ステップS2)は、キャップシート成形工程(ステップS1)とともに行われ、この工程では、キャップ状突起内に空気を封入するバックシート2を、溶融状態で供給しながら融着によって上記のキャップシートに積層する。
すなわち、キャップシートに成形されたキャップ状突起に空気を封入するバックシートは、押出機に取り付けられたフラットダイから、材料樹脂を押し出すことによって連続して供給される。そして、溶融状態で供給されてきたバックシートは、熱融着によってキャップシートに積層される。
これにより、キャップ状突起内に空気が封入され、独立した多数の気泡を有する二層の気泡ボードが、連続的に、かつ、生産性に優れた状態で製造される。
【0053】
(筒状突起形成工程)
筒状突起形成工程(ステップS3)では、二層の気泡ボードのキャップ状突起の上部を、研磨ローラ又は、切削機などによる機械加工によって開口させ、筒状突起31を形成する。
また、図1、2(a)、4、5、6に示すキャップシート3は、キャップ状突起の上部(頭頂部とも呼ばれる。)を開口させ、筒状突起31が形成された状態を示している。
なお、本実施形態では、機械加工によって、キャップ状突起の上部を開口させ、筒状突起31を形成するが、これに限定されるものではない。たとえば、二層の気泡ボードのキャップ状突起の上部を、熱変形させることによって開口させ、筒状突起31を形成してもよい。この際、筒状突起31と対応する位置に凸部の配設された加熱ローラなどが用いられ、凸部が、キャップ状突起の上部に接近すると、上部を溶かすことにより、あたかも穴をあけるように、筒状突起31が形成される。
このようにすると、連続的に筒状突起31を形成することができるので、生産性などを向上させることができる。
【0054】
(変形部形成工程)
変形部形成工程(ステップS4)では、上述したように、先端がほぼ三角板状の加熱された変形用型11が、筒状突起31を押圧することにより、変形用型11と当接した部分が外側方向に変形し、突き出た形状となり、変形部32を形成する。
このようにすると、コンクリート10からの抜けをより確実に防止することができ、定着力を高めることができるとともに、定着の信頼性を向上させることができる。
また、回転するローラに複数の変形用型11を配設し、防食シート1cを移動させながら変形部32を形成するとよい。これにより、連続的に変形部32を形成することができるので、生産性を向上させることができる。
【0055】
(スリット形成工程)
スリット形成工程(ステップS5)では、上述したように、歯厚約2mmの鋸歯付き回転カッターなどのスリット用カッター12によって、行方向に移動する防食シート1bの筒状突起31を加工し、スリット33を形成する。
このようにすると、防食シート1cは、一対のスリット33が上下方向となるように並設され、コンクリート10を打設する際、気泡溜まりの発生を効果的に低減することができる。また、連続的にスリット33を形成でき、生産性などを向上させることができる。
なお、上記の工程を経て防食シート1cが製造されるが、防食シート1cの幅は、たとえば、約1600mmであるが、長手方向には、数十m〜数百m(あるいは、数百m以上)も可能である。
【0056】
以上説明したように、本実施形態の防食シートの製造方法によれば、コンクリート10への定着力及びシートとしての機械的強度などを向上させることができる防食シート1cを、生産性に優れた状態で製造でき、また、価格が廉価であるといった経済性を大幅に向上させることができる。
なお、本実施形態では、変形部形成工程(ステップS4)の後に、スリット形成工程(ステップS5)を行っているが、これに限定されるものではなく、たとえば、スリット形成工程の後に、変形部形成工程を行ってもよい。さらに、防食シート1を製造する場合、変形部形成工程及びスリット形成工程は行われず、また、防食シート1aを製造する場合、変形部形成工程は行われず、さらに、防食シート1bを製造する場合、スリット形成工程は行われない。
【0057】
また、上述したように、図2(a)に示すキャップシート3は、キャップ状突起の頭頂部を開口させ、筒状突起31aが形成された状態を示している。
これに対し、図2(b)に示すキャップシート3は、キャップ状突起の頭頂部が、ライナーシート2bと融着されており、キャップ状突起の底部側が機械加工によって切断されることにより、筒状突起31bが形成された状態を示している。すなわち、図2(b)に示す防食シート1の製造方法は、融着積層工程(ステップS2)の代わりに、キャップ状突起の上部と融着されるライナーシート2bを、溶融状態で供給しながら融着によってキャップシート3に積層する融着積層工程を有し、筒状突起形成工程(ステップS3)の代わりに、キャップ状突起の底部を切断し、筒状突起31bを形成する筒状突起形成工程を有している。
ここで、図2(a)に示す筒状突起31aを機械加工により形成する際、たとえば、多数の円板状の切片が発生するが、図2(b)に示す筒状突起31bを機械加工により形成する際は、たとえば、多数の孔を有するシート(通常、一枚のシート)が発生するだけなので、清掃などが容易となり、作業性などを向上させることができる。
【0058】
以上、本発明の防食シート及びその製造方法について、好ましい実施形態などを示して説明したが、本発明に係る防食シート及びその製造方法は、上述した実施形態などにのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
例えば、各実施形態の筒状突起31は、端部が開口された形状(すなわち、頭頂部を有しない形状)としてあるが、これに限定されるものではなく、たとえば、図示してないが、頭頂部を有し、密閉された中空部を有する構成としてもよい。これにより、断熱性に優れた防食シートを提供することができる。
さらに、この防食シートは、筒状突起31の中段部に対向する凹部を有する構成としてもよい。これにより、コンクリート10からの抜けをより確実に防止することができ、定着力を高めることができるとともに、定着の信頼性を向上させることができる。さらに、対向する凹部は、キャップシート成形工程(ステップS1)及び融着積層工程(ステップS2)を経た二層の気泡ボードに対して容易に形成でき、生産性や経済性を向上させることができる。
【0059】
なお、防食シート1、101、102などは、押出成形や射出成形などにより製造してもよい。
また、筒状突起31は、変形部32やスリット33が形成されると、本来の筒状からかけ離れた形状となる場合も想定されるが、かかる形状をも含むものとする。
【符号の説明】
【0060】
1、1a、1b、1c、101、102 防食シート
2 バックシート
2b ライナーシート
3 キャップシート
4、41 連結シート
10 コンクリート
11 変形用型
12 スリット用カッター
31、31a、31b 筒状突起
32 変形部
33 スリット
201 コンクリート管
202 管状体
203 フランジ部
204 ゴム輪

【特許請求の範囲】
【請求項1】
耐酸性及び/又は耐アルカリ性を有する樹脂からなり、コンクリートなどの被防食部材を覆うシートと、
このシートに形成され、前記被防食部材と係合する複数の筒状突起と
を備えたことを特徴とする防食シート。
【請求項2】
前記筒状突起が円筒状であり、該円筒状突起の外径をDとしたとき、隣り合う前記円筒状突起のピッチPが、D<P<5Dであることを特徴とする請求項1に記載の防食シート。
【請求項3】
前記筒状突起に、前記被防食部材からの抜けを防止するための変形部が形成されたことを特徴とする請求項1又は2に記載の防食シート。
【請求項4】
前記筒状突起に、スリットが形成されたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の防食シート。
【請求項5】
前記防食シートを湾曲させると、前記筒状突起が変形することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の防食シート。
【請求項6】
耐酸性及び/又は耐アルカリ性を有する樹脂からなり、コンクリートなどの被防食部材を覆うシートと、このシートに形成され、前記被防食部材と係合する複数の筒状突起とを備えた防食シートの製造方法であって、
多数の吸引孔が設けられた成形ロールの外周面に溶融状態にある樹脂シートを接触させて、中空状に膨出する多数のキャップ状突起を真空成形し、キャップシートを成形するキャップシート成形工程と、
前記キャップ状突起内に空気を封入するバックシートを、溶融状態で供給しながら融着によって前記キャップシートに積層する融着積層工程と、
前記キャップ状突起の上部を開口させ、前記筒状突起を形成する筒状突起形成工程と
を有することを特徴とする防食シートの製造方法。
【請求項7】
耐酸性及び/又は耐アルカリ性を有する樹脂からなり、コンクリートなどの被防食部材を覆うシートと、このシートに形成され、前記被防食部材と係合する複数の筒状突起とを備えた防食シートの製造方法であって、
多数の吸引孔が設けられた成形ロールの外周面に溶融状態にある樹脂シートを接触させて、中空状に膨出する多数のキャップ状突起を真空成形し、キャップシートを成形するキャップシート成形工程と、
前記キャップ状突起の上部と融着されるライナーシートを、溶融状態で供給しながら融着によって前記キャップシートに積層する融着積層工程と、
前記キャップ状突起の底部を切断し、前記筒状突起を形成する筒状突起形成工程と
を有することを特徴とする防食シートの製造方法。
【請求項8】
前記筒状突起に、前記被防食部材からの抜けを防止するための変形部を形成する変形部形成工程を有することを特徴とする請求項6又は7に記載の防食シートの製造方法。
【請求項9】
前記筒状突起に、スリットを形成するスリット形成工程を有することを特徴とする請求項6〜8のいずれか一項に記載の防食シートの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−179836(P2012−179836A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−45058(P2011−45058)
【出願日】平成23年3月2日(2011.3.2)
【出願人】(000199979)川上産業株式会社 (203)
【出願人】(000174943)三井住友建設株式会社 (346)
【出願人】(593012402)SMCコンクリート株式会社 (16)
【出願人】(504442067)有限会社中林工業 (7)
【Fターム(参考)】