説明

防食剤、端子付き被覆電線およびワイヤーハーネス

【課題】塗布性がよく防食性能に優れた防食剤、これを用いた端子付き被覆電線およびワイヤーハーネスを提供する。
【解決手段】本発明は、湿気硬化型のウレタン系接着性樹脂を含むことを特徴とする防食剤に関する。また本発明は、導体を絶縁被覆で被覆してなる被覆電線と、被覆電線の端末において露出する露出導体に接続される端子金具と、を備え、露出導体と端子金具とを電気的に接続する電気接続部が、湿気硬化型のウレタン系接着性樹脂の硬化により形成される硬化物により覆われていることを特徴とする端子付き被覆電線、および、端子付き被覆電線を備えるワイヤーハーネスに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防食剤、端子付き被覆電線およびワイヤーハーネスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、自動車等に配索するワイヤーハーネスを構成する電線としては、加工性に優れたタフピッチ銅の軟質材からなる電線素線を複数本撚り合わせた撚線または単芯線からなる芯線を、絶縁性材料からなる絶縁被覆層で被覆した被覆電線が用いられている。これらの電線の端末においては、絶縁被覆層を皮剥ぎすることで芯線を露出させた露出芯線(露出導体)に銅合金等からなる端子金具が接続される。電線に接続された端子金具はコネクタに挿入され係止される。
【0003】
ワイヤーハーネスは、端子金具が接続された電線を複数本集束して、テープ巻きにより結束するか、丸チューブ、コルゲートチューブあるいはプロテクタで外装した状態にして自動車などに配索される。
【0004】
ワイヤーハーネスを、例えばエンジンルームのような被水領域や、高温となりやすい車室等に配索した場合、水や熱の影響を受けて、電線の芯線と端子金具とが接触状態で電気的に接続される電気接続部において錆が発生しやすくなる。
【0005】
電線の芯線と端子金具との電気接続部における腐食を防止するために、例えば、特許文献1においては、電線端末に接続した端子金具を挿入するコネクタに防錆用グリースを注入する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平5−159846号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近年、車両の軽量化という観点から、ワイヤーハーネスを構成する電線材料についても軽量化が求められている。このような要請から、電線導体の材料として、軽量で電気伝導性に優れたアルミニウムまたはアルミニウム合金製の電線を用いることが検討されている。
【0008】
しかしながら、端子金具としては、電気特性に優れた銅または銅合金材料からなるものを用いるのが一般的である。そのため、銅または銅合金製の端子金具と、アルミニウムまたはアルミニウム合金製の電線の芯線とが接触する電気接続部では、異種金属の接触による腐食が発生することがある。このような腐食は、電線と端子金具が相違する材料から構成されている場合には、同じ材料から構成されている場合よりも発生しやすい。そのため、電気接続部における腐食を確実に防ぐことのできる防食剤が必要となる。
【0009】
しかしながら、上記特許文献1において提案されているグリースは、コネクタ内に密に注入しないと水の侵入を十分に防止することができない。防食効果を高めようとして、グリースの充填量を上げようとすると、本来防食の不要なところまでグリースが塗布されてしまうことになり、過度に充填すると、コネクタや電線のべたつきを招き、取り扱い性を低下させることとなる。このような事情から、グリース等よりも塗布性がよく防食性能に優れた防食剤が求められている。
【0010】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、塗布性がよく防食性能に優れた防食剤、これを用いた端子付き被覆電線およびワイヤーハーネスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決るものとして本発明は、湿気硬化型のウレタン系接着性樹脂を含むことを特徴とする防食剤である。
【0012】
本発明の防食剤は湿気硬化型のウレタン系接着性樹脂を含むので、防食性能を付与したい部分に塗布すると、塗布した部分に接着して硬化し、防水性能に優れた硬化物が形成される。その結果、本発明によれば、防錆グリースなどの従来品を使用するよりも、塗布性がよく、防食性能に優れた防食剤を提供することができる。
【0013】
本発明の防食剤は、電線の導体と端子金具とを電気的に接続する電気接続部に適用することが好ましい。
このような構成とすると、電線の導体と端子金具とを電気的に接続する電気接続部における腐食の発生を防止することができ、接続信頼性を向上させることができる。
【0014】
また、本発明は、導体を絶縁被覆で被覆してなる被覆電線と、前記被覆電線の端末において露出する露出導体に接続される端子金具と、を備え、前記露出導体と前記端子金具とを電気的に接続する電気接続部が、湿気硬化型のウレタン系接着性樹脂の硬化により形成される硬化物により覆われていることを特徴とする端子付き被覆電線である。
【0015】
本発明によれば、塗布性がよく防食性能に優れた防食剤により優れた防食性能を付与された端子付き被覆電線を提供することができる。また、本発明によれば、露出導体と端子金具との電気接続部が、防食性能に優れた硬化物により覆われているので、電気接続部における腐食の発生を防止し、接続信頼性を向上させることができる。
【0016】
本発明の端子付き被覆電線において、導体はアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる素線を含み、端子金具は、銅または銅合金製材料からなる構成とするのが好ましい。
このような構成とすると、導体と端子金具の材料が相違する場合でも腐食の発生を防止できる。さらに、このような構成によれば、被覆電線を軽量化することができる。
【0017】
また、本発明は、本発明の端子付き被覆電線を備えることを特徴とするワイヤーハーネスである。
本発明によれば、塗布性がよく防食性能に優れた防食剤により優れた防食性能を付与された端子付き被覆電線を備えるワイヤーハーネスを提供することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、塗布性がよく防食性能に優れた防食剤、これを用いた端子付き被覆電線およびワイヤーハーネスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実施形態1で説明する端子付き電線を示した斜視図である。
【図2】図1のA−A線における断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
<実施形態1>
以下、本発明の防食剤、本発明の端子付き被覆電線、本発明のワイヤーハーネスについて詳細に説明する。
【0021】
(防食剤)
本発明の防食剤は、湿気硬化型ウレタン系接着性樹脂(以下、湿気硬化型ウレタン樹脂という)を含むことを特徴とする。
【0022】
本発明で用いる湿気硬化型ウレタン樹脂は一液硬化型でも二液硬化型のいずれでもよいが、混合工程が不要で生産性に優れるという観点から一液硬化型が好ましい。
【0023】
湿気硬化型ウレタン樹脂の具体例としては、例えば、ポリオールとポリイソシアネートとを反応して得られる遊離イソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを好適に用いることができる。ウレタンプレポリマーは反応性珪素基を有するもの(シリル化ポリウレタン樹脂)であってもよい。
【0024】
ウレタンプレポリマーを得るためのポリオールとしては、ポリエーテルポリオールや、ポリオレフィンポリオール等を用いることができ、ポリイソシアネートとしては、1分子中に2個以上、好ましくは、2〜3個のイソシアネート基を有する化合物を用いることができる。
【0025】
本発明の防食剤は、一種類のウレタン樹脂で構成されていてもよいし、2種以上のウレタン樹脂を混合した混合物で構成されていてもよい。また、本発明の防食剤には、必要に応じて、物性を損なわない範囲で、添加剤、他のポリマ等が混合されていてもよい。
【0026】
防食剤に混合される添加剤としては、一般的に樹脂成形材料に使用される添加剤であれば特に限定されるものではない。具体的には、例えば、無機充填剤、酸化防止剤、金属不活性化剤(銅害防止剤)、紫外線吸収剤、紫外線隠蔽剤、難燃助剤、加工助剤(滑剤、ワックスなど)、カーボンやその他の着色用顔料などを挙げることができる。
【0027】
本発明の防食剤に含まれる湿気硬化型ウレタン樹脂は、湿気硬化型の接着性樹脂なので、防食剤塗布後、空気中の水分と反応して硬化し所定の機械的強度を有する硬化皮膜16(硬化物)を形成する。
【0028】
(端子付き被覆電線)
次に、本発明の端子付き被覆電線10について説明する。
図1および図2に示すように、端子付き被覆電線10は、導電性材料からなる導体18の外周に絶縁被覆20が被覆されてなる被覆電線12と、被覆電線12の導体18の端末に接続された端子金具14とを備える。
【0029】
被覆電線12の端末では、絶縁被覆20が剥離除去されて導体18が露出しており、この露出した導体18(露出導体18A)の端末に端子金具14が接続されている。導体18は、複数本の素線18aが撚り合わされてなる撚線からなる。このような構成の場合、撚線は、1種の金属素線より構成されていても良いし、2種以上の金属素線より構成されていてもよい。また、撚線は、金属素線以外に、有機繊維よりなる素線などを含んでいても良い。ここで、1種の金属素線より構成されるとは、撚線を構成する全ての金属素線が同じ金属材料からなることをいい、2種以上の金属素線より構成されるとは、撚線中に互いに異なる金属材料よりなる金属素線を含んでいることをいう。撚線中には、被覆電線12を補強する補強線(テンションメンバ)等が含まれていてもよい。
【0030】
撚線を構成する金属素線の材料としては、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、もしくはこれらの材料に各種メッキが施された材料などを例示することができる。また、補強線として機能する金属素線の材料としては、銅合金、チタン、タングステン、ステンレスなどを例示することができる。また、補強線として機能する有機繊維としては、ケブラーなどを挙げることができる。
【0031】
撚線を構成する金属素線としては、軽量化の観点からアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる素線を含むものが好ましい。
【0032】
絶縁被覆20の材料としては、例えば、ゴム、ポリオレフィン、PVC、熱可塑性エラストマーなどを挙げることができる。これらは単独で用いても良いし、2種以上混合して用いても良い。絶縁被覆20の材料中には、適宜、各種添加剤が添加されていても良い。添加剤としては、難燃剤、充填剤、着色剤等を挙げることができる。
【0033】
端子金具14は、図1に示すように、図示しない相手側端子と接続されるタブ状の接続部14Cと、接続部14Cの基端より延設形成され、被覆電線12の電線導体18の端末を加締める一対のワイヤバレル14A,14Aと、ワイヤバレル14A,14Aよりさらに延設形成され、被覆電線12の端末の絶縁体20を加締める一対のインシュレーションバレル14B,14Bとを備えている。
【0034】
端子金具14の母材材料としては、一般的に用いられる黄銅の他、各種銅合金や銅などを挙げることができる。端子金具14の表面の一部(例えば接点)もしくは全体に、錫、ニッケル、金などの各種金属によりメッキが施されていてもよい。
【0035】
端子金具14と、被覆電線12の端末において露出している露出導体18Aとが接触状態に接続される電気接続部19は、防食剤の硬化皮膜16(硬化物16の一例)により覆われている。
【0036】
具体的には防食剤の硬化により形成される硬化皮膜16が、端子金具14の接続部14Cの基端と導体18の先端との境界より図1における手前側から、端子金具14のインシュレーションバレル14B,14Bと絶縁被覆20との境界より後方側の領域(ニ点鎖線で囲んだ領域)を覆っている。つまり、端子金具14の接続部14Cの基端と導体18の先端との境界、露出芯線18A、端子金具14のワイヤバレル14A,14Aとインシュレーションバレル14B,14B、およびインシュレーションバレル14B,14Bと絶縁被覆20との境界は硬化皮膜16により覆われている。
【0037】
硬化皮膜16を形成するために用いる防食剤は、導体18の材料と端子金具14の材料との組み合わせ等を考慮して適宜選択することができる。硬化皮膜16の厚さは、適宜調整すれば良いが、0.01mm〜0.1mmの範囲内であるのが好ましい。硬化皮膜16の厚さが厚すぎると、端子金具14をコネクタへ挿入し難くなり、硬化皮膜16の厚さが薄すぎると、防食効果が低下しやすくなる。
【0038】
防食剤の塗布は、被覆電線12の端末に端子金具14を加締めて導体18と端子金具14とを接続した後に実行する。本実施形態では、防食剤を、導体18と端子金具14とを接続する電気接続部19の表面(図1および図2における上側の面)に塗布する。詳しくは、防食剤は、絶縁被覆20の端末の表面と、インシュレーションバレル14B,14Bの表面と、ワイヤバレル14A,14Aの表面と、露出導体18Aの表面と、端子金具14の接続部14Cの基端の表面とに塗布される。これにより、図2に示すように、導体18と端子金具14との電気接続部19の表面に硬化皮膜16が形成される。
【0039】
なお、電気的な接続に影響を与えないのであれば、端子金具14のワイヤバレル14A,14Aから突出するタブ状の接続部14C,14Cの裏面側(電線載置面とは反対側の面)、ワイヤバレル14A,14Aおよびインシュレーションバレル14B,14Bの裏面側にも硬化皮膜16を形成しても良い。
【0040】
防食剤を塗布するにあたっては、滴下、塗布、押出などの方法を用いることができる。また、防食剤を塗布するにあたっては、必要に応じ、加熱冷却等を行ってもよい。
【0041】
本発明の防食剤は、硬化後は固化するので、取り扱いの際にべたつくおそれもなく、防食剤を塗布した部分に長期にわたって硬化皮膜を定着させることができる。その結果、本発明の防食剤を用いた端子付き被覆電線10においては、長期にわたり防食効果を維持することができる。
【0042】
防食剤として湿気硬化型樹脂のみからなる防食剤を用いる場合、防食剤が空気中の水分と反応して、硬化して硬化皮膜16が形成されるので、防食剤塗布後に硬化皮膜16を形成するための作業は特に必要ではないが、本発明の防食剤に熱硬化性樹脂やUV硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂等が含まれている場合には、用いた樹脂などに対応する熱や紫外線(UV)や電子線(電子線やガンマ線)を付与するなどの硬化処理を行ってもよい。
【0043】
(ワイヤーハーネス)
本発明のワイヤーハーネスは、本発明の端子付き被覆電線10を含み、複数本の被覆電線を束ねたものから構成される。ワイヤーハーネスにおいては、ハーネス中に含まれる被覆電線のうちの一部が本発明の端子付き被覆電線10であってもよいし、全てが本発明の端子付き被覆電線10であってもよい。
【0044】
ワイヤーハーネスにおいて、複数本の被覆電線は、テープ巻きにより結束されていても良いし、あるいは、丸チューブ、コルゲートチューブ、プロテクタ等の外装部品により外装されていてもよい。
【0045】
本発明のワイヤーハーネスは、自動車等の車両に配索されるものとして好適であり、特に、被水領域のエンジンルームや車内に配索されるものとして好適である。このような場所では、熱および水の影響を受けやすいため、導体18と端子金具14との電気接続部19に錆が発生しやすくなるが、本発明のワイヤーハーネスは、本発明の端子付き被覆電線10を備えるので、導体18と端子金具14との電気接続部19における錆の発生を効果的に抑えることができる。
【0046】
<実施例>
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。
【0047】
1.被覆電線の作製
ポリ塩化ビニル(重合度1300)100質量部に対して、可塑剤としてジイソノニルフタレート40質量部、充填剤として重炭酸カルシウム20質量部、安定剤としてカルシウム亜鉛系安定剤5質量部をオープンロールにより180℃で混合し、ペレタイザーにてペレット状に成形することにより、ポリ塩化ビニル組成物を調製した。
【0048】
次いで、50mm押出機を用いて、上記得られたポリ塩化ビニル組成物を、アルミ合金線を7本撚り合わせたアルミニウム合金撚線よりなる導体(断面積0.75mm)の周囲に0.28mm厚で押出被覆した。これにより被覆電線(PVC電線)を作製した。
【0049】
2.端子付き被覆電線の作製
1.で作製した被覆電線の端末を皮剥ぎして導体を露出させた後、自動車用として汎用されている黄銅製のオス形状の端子金具(タブ幅0.64mm)を被覆電線の端末に加締め圧着した。
【0050】
次いで、被覆電線の露出導体と端子金具との電気接続部に、下記の各種の防食剤を塗布して、露出導体および端子金具のバレルを各種の防食剤により被覆した。これにより、端子付き被覆電線を作製した。なお、各種の防食剤は、230℃に加熱して液状にし、厚さ0.05mmで塗布した。
【0051】
(実施例1)
シリル化ウレタン樹脂[コニシ(株)製、ウルトラ多用途(登録商標) S・U]
(実施例2)
ポリウレタン系樹脂[セメダイン(株)製、セメダイン(登録商標) UM700]
(比較例1)
シアノアクリレート系樹脂[東亜合成(株)製、アロンアルファ(登録商標)ゼリー状」]
(比較例2)
酢酸ビニルエマルジョン系樹脂[コニシ(株)製、ボンド(登録商標)木工用]
(比較例3)
クロロプレン樹脂[セメダイン(株)製、速乾G]
【0052】
3.評価方法
各種防食剤を塗布した端子付き被覆電線について、防食性能の評価を以下の方法により行った。
(1)防食性能
ASTM B117に規定される腐食試験(35℃雰囲気中で5重量%の塩水噴霧)を96時間実施し、試験終了後の端子と電線の導体間の定電圧定電流抵抗を測定した(測定条件:20±5mV、10±0.5mAを通電)。
抵抗値が10mΩ未満であった場合を「○」とし、10mΩ以上であった場合を「×」とし、結果を表1に示した。
【0053】
(2)防食剤の剥がれ
ASTM B117に規定される腐食試験(35℃雰囲気中で5重量%の塩水噴霧)を96時間実施し、試験終了後の資料を目視により観察し、防食剤の剥がれが認められなかったものを「○」とし、防食剤の剥がれが認められたものを「×」とし、結果を表1に示した。
【0054】
【表1】

【0055】
(3)結果と考察
表1の結果から、比較例1〜3においては用いた防食剤が、本発明の規定外であるため、防食剤の剥がれが認められ、防食性能も劣っていた。
【0056】
これらに対し、実施例1および2の端子付き被覆電線は、黄銅製の端子金具とアルミニウム合金製の撚線からなる導体を備える被覆電線とを備えており、電気接続部においては銅とアルミニウムという異種金属が接触しているにもかかわらず、防食剤の硬化物が十分に密着しており、優れた防食性を有していた。
【0057】
これらの結果から、本発明の防食剤によれば、優れた防食性能を付与することができるということがわかった。
【0058】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、端子付き被覆電線10の端子金具14として、タブ状の接続部14Cを有するオス端子の例を示したが、これに限定されるものではない。例えば、メス端子や音叉端子などであってもよい。また、端子金具14は、インシュレーションバレル14Bを有しないで、ワイヤバレル14Aのみで圧着されるものであってもよい。さらに、導体12と端子金具14との接続方法としては、バレルによる圧着に限られず、圧接抵抗溶接、超音波溶接、ハンダ付け等の方法であっても良い。
(2)また、上記実施形態においては、撚線よりなる導体18が示されているが、導体18は単芯線であっても良い。
(3)上記実施例では、市販品の湿気硬化型接着性樹脂から構成される防食剤を示したが、合成により作製したウレタン系の湿気硬化型接着性樹脂を含む防食剤であってもよい。
(4)上記実施例では端子付き被覆電線として、黄銅製の端子金具とアルミニウム合金製の撚線からなる導体を備えるものを示したが、黄銅製の端子金具と銅または銅合金製の導体とを備える端子付き被覆電線であってもよい。
【符号の説明】
【0059】
10…端子付き被覆電線
12…被覆電線
14…端子金具
16…防食剤の硬化皮膜(硬化物)
18…導体
18A…露出導体
19…電気接続部
20…絶縁被覆

【特許請求の範囲】
【請求項1】
湿気硬化型のウレタン系接着性樹脂を含むことを特徴とする防食剤。
【請求項2】
電線の導体と端子金具とを電気的に接続する電気接続部に適用することを特徴とする請求項1に記載の防食剤。
【請求項3】
導体を絶縁被覆で被覆してなる被覆電線と、前記被覆電線の端末において露出する露出導体に接続される端子金具と、を備え、
前記露出導体と前記端子金具とを電気的に接続する電気接続部が、湿気硬化型のウレタン系接着性樹脂の硬化により形成される硬化物により覆われていることを特徴とする端子付き被覆電線。
【請求項4】
前記導体はアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる素線を含み、前記端子金具は、銅または銅合金製材料からなることを特徴とする請求項3に記載の端子付き被覆電線。
【請求項5】
請求項3または請求項4に記載の端子付き被覆電線を備えることを特徴とするワイヤーハーネス。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2013−25932(P2013−25932A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−157751(P2011−157751)
【出願日】平成23年7月19日(2011.7.19)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】