説明

降下型の搬送装置

【課題】振動によって搬送台の係止が解かれることを防止できる搬送装置を提供する。
【解決手段】被搬送物の供給位置において搬送台4に向けて進退自在に設けられ、搬送台の降下と同期して、供給位置に位置した際に搬送台の降下を係止する位置保持機構本体71と、被搬送物を載置する載置部41およびこの載置部と交差する方向に被載置面の反対側に向けて一体的に配設された支持部を有する搬送台上に搬送物が載置された際に、これによって載置部と支持部との交差部廻りに回動する支持部により作動して、位置保持機構本体を搬送台から退く方向に駆動する解除機構72と、搬送台が供給位置の上方に位置した際に、支持部によって駆動されて、解除機構の作動を阻止するとともに、搬送台が供給位置に至った際に、解除機構の作動を許容する誤作動防止機構80とを備えた位置保持保持機構を設けた搬送装置とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被搬送物が載置された搬送台を降下させて、被搬送物を上方から下方へと搬送する降下型の搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記被搬送物を無動力で上方から下方へと搬送するための降下型の搬送装置として、本出願人は、先に特願2005−0212101を出願している。この搬送装置は、被搬送物を搬送する装置本体と、この装置本体の上部及び下部に設けられたスプロケットと、これらのスプロケット間に巻回されたチェーンと、このチェーンに回動自在に支持された搬送台と、この搬送台を被搬送物の供給位置に係止するとともに、被搬送物が供給された際に搬送台を降下可能にする位置保持機構およびその解除部材を備えたものである。
【0003】
上記搬送装置によれば、まず位置保持機構によって、搬送台が上記被搬送物の供給位置に係止される。次いで、被搬送物が供給されると、被搬送物の重さによって搬送台が回動することにより、解除部材が押圧されて、搬送台の係止が解かれ、被搬送物を載置した搬送台が、重力により降下することにより、被搬送物が下方に搬送されるとともに、チェーン全体がスプロケット間を走行して、他の搬送台が搬送方向に移動する。
【0004】
すると、後段の搬送台は、チェーンの走行に伴って、スプロケットの頂上部から上記供給位置に至ると、再び上記位置保持機構によって係止される。次いで、被搬送物が供給されて、上述のように解除部材が押圧されることにより降下可能となる。このようにして、降下する搬送台により被搬送物が繰り返し搬送される。
【0005】
ところが、この搬送台は、上記被搬送物の供給位置に位置する前に、何らかの振動によって回動すると、被搬送物が供給された際と同様に解除部材が駆動されて、搬送台の係止が解かれることにより、降下可能になってしまうという問題がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は、搬送台が被搬送物の供給位置に位置する前、すなわち搬送台が供給位置の上方に位置した際に、何らかの振動によって解除部材が作動することを防止して、被搬送物が供給される前に、搬送台が降下可能になることを阻止できる搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、請求項1に記載の発明は、床上に立設される装置本体と、この装置本体の上部及び下部に回転自在に設けられた円板部材と、これらの円板部材間に走行自在に巻回された無端部材と、この無端部材に支持されて被搬送物を搬送する搬送台と、上記被搬送物の供給位置において、この搬送台を係止する位置保持機構とが設けられ、上記搬送台は、上記被搬送物を載置する載置部と、この載置部と交差する方向に被載置面の反対側に向けて一体的に配設された支持部とを有し、上記載置部と支持部との交差部が上記無端部材に回動自在に支持されてなり、かつ上記位置保持機構は、上記供給位置において上記搬送台に向けて進退自在に設けられ、上記搬送台の降下と同期して、上記供給位置に位置した際に上記搬送台の降下を係止する位置保持機構本体と、上記搬送台上に上記搬送物が載置された際に、これによって上記交差部廻りに回動する上記支持部によって作動して、上記位置保持機構本体を上記搬送台から退く方向に駆動する解除機構と、上記搬送台が上記供給位置の上方に位置した際に、上記支持部によって駆動されて、上記解除機構の作動を阻止するとともに、上記搬送台が上記供給位置に至った際に、上記解除機構の作動を許容する誤作動防止機構とを備えてなることを特徴とする降下型の搬送装置である。
【0008】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の降下型の搬送装置において、前記位置保持機構本体は、被搬送物の供給位置に対応する位置に回動自在に設けられるとともに、相互に連結された2以上の歯車であり、上記解除機構は、上記歯車における下部の歯を支持するとともに、被搬送物が搬送台に供給された際に、被搬送物の自重により前記交差部廻りに回動する前記搬送台に押圧されて、上記下部の歯から脱離する連動部材であり、かつ上記誤作動防止機構は、上記連動部材の回動方向に交差する方向に向けて回動自在に配設され、上記連動部材の通過可能な凹部が形成されるとともに、上記支持部に対応する位置に係合部が設けられてなる板状体であって、搬送台が上記供給位置の上方に位置した際に、上記支持部と上記係合部とが接触して回動することにより、上記凹部の外周部が上記連動部材に当接して、上記連動部材が上記下部の歯から脱離するのを阻止することにより、他の前記歯車における上部の歯に、前記搬送台を支持するとともに、上記供給位置に位置した際に、上記接触が解かれて、上記連動部材に臨むように上記凹部が位置することにより、上記連動部材が上記下部の歯から脱離して、上記上部の歯による搬送台の支持が解かれることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1又は2に記載の発明によれば、搬送台が被搬送物の供給位置の上方に位置した際に、支持部によって誤作動防止機構が作動して、解除機構の作動を阻止するため、位置保持機構本体が搬送台から退く方向に駆動することを阻止できる。
このため、何らかの振動が発生しても、位置保持機構本体が搬送台から退く方向に駆動することを阻止して、搬送台を被搬送物の供給位置に係止することができる。
【0010】
次いで、この供給位置においては、解除機構の作動が許容されるため、被搬送物が載置された際に、支持部が交差部廻りに回動して、解除機構が作動することにより、位置保持機構本体が搬送台から退く方向に駆動して、搬送台が降下可能になる。
その結果、被搬送物が供給される前に、何らかの振動によって位置保持機構本体による係止が解かれて、搬送台が降下可能になることを防止できる。
【0011】
特に、請求項2に記載の発明によれば、上記供給位置の上方に位置した際に、上記支持部の先端部と係合部とが接することによって板状体が回動して、上記凹部の外周部が連動部材に当接するため、上記連動部材が下部の歯から脱離するのを阻止して、歯車の回転が抑止されることにより、上部の歯に搬送台が係止される。このため、何らかの振動が発生しても、連動部材が下部の歯から脱離することを阻止して、搬送台を被搬送物の供給位置に係止することができる。
【0012】
次いで、被搬送物が載置された際に、上記支持部の先端部と係合部との接触が解かれて、連動部材に臨む位置に解除作動防止機構の凹部が位置することにより、被搬送物の重量によって支持部が交差部廻りに回動して、連動部材が上記下部の歯から脱離するため、歯車が回転して、上部の歯に係止された搬送台が降下可能になる。
その結果、センサー等の他の動力を必要とする装置を用いずに、被搬送物の供給と搬送台の降下とを同期させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明に係る降下型の搬送装置を、図1ないし図7を用いて説明する。
【0014】
本実施形態における降下型の搬送装置には、図1及び図2に示すように、装置全体を支持する4本の支柱1bと、支柱1bの上部及び下部に設置されたスプロケット2b(円板部材)と、このスプロケット2b間に巻き回されたチェーン(無端部材)3と、このチェーン3に沿って等間隔に支持された搬送台4と、上段のベルトコンベア91から被搬送物wが搬送台4に供給された際、被搬送物wの自重により搬送台4を降下可能にする位置保持機構7が設けられている。
【0015】
床上には、ベルトコンベア91の搬送方向前方の外側に位置するように、2本の基台1aが対向配置されており、これら基台1aの前後端部には、それぞれ前記支柱1bが立設されている。ここで、各基台1aの両端部に立設された支柱1b同士は、図示されない連結部材によって連結一体化されるとともに、対向する基台1aに立設された支柱1b同士は、各々上下方向の4箇所に配設された連結部材1cによって一体化されている。この結果、2本の基台1aと、基台1aに立設された支柱1bと、各支柱1b同士を一体化する連結部材1c等とから角柱骨組状の装置本体が構成されている。
【0016】
この支柱1bの上部及び下部には、ベアリング2aを介して回転軸2が回転可能に接続されている。この回転軸2には、その両端側に各々スプロケット2bが一体的に固定されており、スプロケット2bと一体となって回転するようになっている。そして、前後上下に対向する4つのスプロケット2b間には、それぞれ内部に搬送台4を支持するための所望の穴を備えているチェーン3が各々巻き回されている。
【0017】
この搬送台4は、被搬送物wを載置可能な面積を有する平板状の載置部41と、この載置部41の一端側に直角に形成された平板状の支持部42とを有するL字状の部材からなり、これら載置部41及び支持部42の接合部には、両者を略直角に維持するための補強用ブラケット43が接合されている。この載置部41及び支持部42の左右外側交差部には、側方に突出するピン44aが各々設けられ、このピン44aが2本のチェーン3に等間隔に挿通されている。これにより、複数の搬送台4がチェーン3に回動自在に装着されている。
【0018】
そして、この搬送台4を所望の角度に維持して、安定した状態で降下させるために、上記ピン44aの外周にローラー44が設けられるとともに、支持部42の先端部に左右1対のローラー45が各々設けられている。これらの1対のローラー45間の上方には、ベルトコンベア91の搬送方向前方に突出する係合部材46が設けられている。
【0019】
他方、対向配置された基台1a間に直角に架け渡されたガイド基台5a上に垂設したガイド支柱5bが設けられている。このガイド支柱5bは、チェーン3に沿って上段のベルトコンベア91の搬送方向後方側に設けられている。
また、支持部42より上段のベルトコンベア91の搬送方向前方側に上下方向に当接部材6a、6bが設けられており、上部ガイド板6a及び中部ガイド板6bに分けて設けられている。
【0020】
これにより、搬送台4は、ローラー44を当接部材6a、6bに当接させることにより、所望の角度を維持しながら、ローラー45をガイド支柱5bに当接させることにより、チェーン3の振動による影響を受けることなく、安定した状態で降下する。
【0021】
上記当接部材としての上部ガイド板6aは、後方上に設けられた回転軸2の近傍位置において、支柱1bから下方へと接続されており、下部が上段のベルトコンベア91の搬送方向後方側に傾斜している。
この上部ガイド板6aの下部位置近傍において、1組の支柱1bに接続された位置保持機構(搬送台4に設けられた構成部品を除く)7が、上段のベルトコンベア91に対応する位置に設けられている。
【0022】
この位置保持機構7は、大型の歯車71b及びその左右外側に一体として設けられた小型の歯車71aからなる回転自在な連動歯車(位置保持機構本体)71と、この大型の歯車71bにおける上部の歯に支持される上記ローラー44と、上記小型の歯車71aにおける下部の歯を支持する連動部材(解除機構)72と、被搬送物wが搬送台4に供給された際に、ピン44a廻りに回動して、上記連動部材72を押圧する上記係合部材46と、上記連動部材72よりも搬送方向前方側に設けられた誤作動防止機構8とから概略構成されている。
【0023】
この連動部材72は、上下方向に向けて配設され、中央部が連動軸棒72aにより支持されて、この支持部を中心として回動自在に設けられている。また、上部には、搬送方向前方側に引っ張るばね721が接合されているとともに、上記下部の歯との接触面にローラー72bが設けられており、下部には、支持部42に向けてローラー72cが設けられている。そして、被搬送物wが搬送台4に供給された際に、ローラー72cが被搬送物wの自重により上段のベルトコンベア91側に傾斜する搬送台4の係合部材46に押圧されて、小型の歯車71aにおける下部の歯から脱離するようになっている。
【0024】
また、上記誤作動防止機構8は、円板状の当接板80を有しており、その板面が上記連動部材72の回動方向に直交する方向に向けて配設されている。この当接板80には、上記連動部材72の下部が通過可能な凹部80aが形成されており、この凹部80aの外周部Xには、上記係合部材46に対応する位置であって、かつ上記ローラー72cよりも上方にインパクトレバー(係合部)80bが設けられている。そして、当接板80は、その中心部80cが前方側に設けられている保持部81に支持されているとともに、上記係合部材46がインパクトレバー80bに当接することによって、上記中心部80cを軸として回動するようになっている。この保持部81の上部には、上記ばね721の他端部が接合されている。
【0025】
また、上記外周部Xには、インパクトレバー80bと反対側に、上記連動部材72に向けて厚みを有する肉厚部82が設けられており、この肉厚部82には、上記凹部80a方向に向けて貫通する可変スペーサー83が挿設されている。この可変スペーサー83は、ボルトからなり、その先端部が上記連動部材72に臨む位置に配設されている。そして、先端部の肉厚部82からの突出長さによって、当接板80の回動量を調節するようになっている。
【0026】
さらに、当接板80は、左右両端部から中心部80cに向けてそれぞれネジ穴84が形成されており、このネジ穴84には、補助ウェート用のネジが挿設可能になっている。また、インパクトレバー80b側のネジ穴84は、回動により下方に位置するため、他方のネジ穴84よりも上方位置に形成されている。
【0027】
これにより、搬送台4が上段のベルトコンベア91の上方に位置した際に、上記係合部材46が上記インパクトレバー80bに当接することによって、上記当接板80が回動して、上記凹部80aの外周部Xが連動部材72に当接することにより、連動部材72の作動を阻止するようになっている。他方、搬送台4がベルトコンベア91に対応する位置に至った際に、上記係合部材46と上記インパクトレバー80bとの当接が解除されて、上記連動部材72に臨む位置に上記凹部80aが位置することにより、連動部材72の作動を許容するようになっている。
【0028】
これに加えて、上記位置保持機構7は、上記連動歯車71を回転可能に支持する歯車軸棒711及び連動部材72を回転可能に支持する連動軸棒72aの両端部を固定し、かつ、上記保持部81の左右端部を固定するギヤケース73が、上段のベルトコンベア91の対向面(図3中右側)に開口部を形成して配設されている。
【0029】
そして、このギヤケース73の左右外側から下方に向けて、上記中部ガイド板6bが上記連結部材1cに支持されている。この中部ガイド板6bの下端部は、搬送台4が下段のベルトコンベア(搬送路)92に臨む位置に降下した際のローラー45の位置より上方に設けられている。
【0030】
上述の降下型の搬送装置における作用について、図1ないし図7を用いて、以下に説明する。
【0031】
まず、上段のベルトコンベア91から被搬送物wが供給される直前から、搬送台4が降下可能となる過程について、図3ないし図7を用いて説明する。
【0032】
搬送台4は、スプロケット2bにおいて、ピン44a廻りに回転して、上段のベルトコンベア91による被搬送物の供給位置の上方に降下する際、図3に示すように、支持部42に設けられた係合部材46が連動部材72に対する位置より上方ないしは連動部材72の中央部に対応する位置に位置している。そのため、連動部材72は、係合部材46によって押圧されることにより、小型の歯車71aにおける下部の歯から脱離する方向に回動する恐れがなく、大型の歯車71bにおける上部の歯は、搬送台4のローラー44を係止可能な状態で待機している。
【0033】
次いで、搬送台4は、被搬送物の供給位置の上方に位置した際、図4に示すように、ローラー44が上部の歯に接して、振動する。その際、上記係合部材46が連動部材72の下部に対応する位置に位置して、係合部材46の外周部がインパクトレバー80bに係合している。このため、当接板80は、係合部材46によってインパクトレバー80bが押し出されるようにして、回動する。すると、凹部80aの外周部Xが連動部材72の下部に当接して、連動部材72の上部が小型の歯車71aにおける下部の歯から脱離する方向に回動することを阻止している。これにより、連動歯車71は、小型の歯車71aの回動が阻止されるとともに、小型の歯車71aと一体的に設けられた大型の歯車71bの回動が抑制される。そのため、搬送台4は、上記接触による振動によって、降下しないようになっている。
【0034】
すると、搬送台4は、図5に示すように、大型の歯車71bが小型の歯車71aとの間に生じる遊びの分だけ回動して、被搬送物の供給位置に位置する。その際、上記係合部材46がインパクトレバー80bから開放されて、ローラー72cに臨む位置に降下する。このため、当接板80は、上記凹部80aが連動部材72に臨む位置に回動して、連動部材72は、その上部が小型の歯車71aにおける下部の歯から脱離する方向に回動可能になる。
【0035】
次いで、搬送台4は、ベルトコンベア91から被搬送物wが供給されると、図6に示すように、ピン44a廻りに回動する。このため、連動部材72は、係合部材46によってローラー72cが押圧されて、連動部材72の下部が凹部80a内に移動するとともに、ローラー72cが小型の歯車71aにおける下部の歯の平面を滑りながら後方へ移動して、この歯から脱離する。その際、ローラー72bによって、小型の歯車71aとの接触摩擦が最小限に抑えられるとともに、ローラー72cによって、係合部材46との接触摩擦が最小限に抑えられる。
これにより、小型の歯車71aとともに大型の歯車71bが回動自在になるため、搬送台4が降下可能となる。
【0036】
次いで、搬送台4は、図7に示すように、連動歯車71を、歯車軸棒711を軸として回転させながら降下して、被搬送物wを下方へと搬送する。
すると、連動歯車71は、小型の歯車71a及び大型の歯車71bがともに1つの歯分回転してところで、ばね721によって引っ張られることにより連動部材72の上部が前方側に移動して、小型の歯車71aにおける1つ後段の歯を係止して、停止状態になる。
そして、後段の搬送台4は、同上の方法により、大型の歯車61bにおける1つ後段の歯に係止されて停止状態となり、後段の被搬送物wが供給された際に、降下可能となる。
【0037】
次に、降下可能となった搬送台4について、図1及び図2を用いて、以下に説明する。
上述のようにして降下可能になった搬送台4は、被搬送物wの自重によりピン44aを介してチェーン3を下方へと移動させながら、回転可能なローラー44を中部ガイド板6bに、回転可能なローラー45をガイド支柱5bに各々当接させつつ、降下する。このため、載置部41を所望の角度に維持しながら安定した状態で降下する。
【0038】
これを降下型の搬送装置全体でみると、被搬送物wの自重によるこの搬送台4の降下作用が動力となって、チェーン3を周回させることにより、スプロケット2bとともに回転軸2が回転して、全ての搬送台4が周回する。このように降下可能となった被搬送物wにより、動力が得られるため、搬送台4を搬送するための動力装置を設ける必要がなく、簡易な装置となる。
【0039】
次いで、搬送台4は、下段のベルトコンベア92に対応する位置近傍まで降下すると、ローラー45を当接させていた中部ガイド板6bの下端部が設けられており、ローラー45が中部ガイド板6bから解放される。そして、ローラー44をガイド支柱5bに当接させるとともに、被搬送物wの自重によって、チェーン3に挿通されているピン44aを軸として下段のベルトコンベア92側に傾斜する。これにより、載置部41上に載置されている被搬送物wを下段のベルトコンベア92へと供給する。
【0040】
その後、搬送台4は、チェーン3に挿通されたピン44aを軸として、載置部41と支持部42とを補強用ブラケット43により略直角に保持して、後方下の回転軸2に設けられたスプロケット2bに当接した後に、載置部41又は支持部42のうちより重い方がより垂直下向き保持されて、水平に搬送される。次いで、上記回転軸2の前方に位置する回転軸2に設けられたスプロケット2bに当接した後に、搬送台4の自重により載置部41が下方向きの状態となり、チェーン3に挿通されたピン44aを軸として支持部42がチェーン3の突出方向に水平に保持されながら、上方へと搬送される。
【0041】
このように上方への搬送に際しては、被搬送物wの大きさに関係なくサイズ設計できる支持部42がチェーン3の突出方向に水平に保持されるため、支持部42のサイズを小さくすることにより装置が小型化される。
【0042】
上述の搬送装置によれば、上段のベルトコンベア91から供給された被搬送物wを、チェーン3に支持された複数の搬送台4を周回させることにより、下段のベルトコンベア92に連続して搬送することができるため、搬送効率を飛躍的に向上させることができる。
【0043】
また、上述の位置保持機構7を設けることにより、被搬送物wが供給された搬送台4を、被搬送物wの自重により降下可能にすることができる。さらには、当接板80を組み込むことによって、前段または後段の搬送台4がスプロケット2bにおいて回動することにより、あるいはその搬送台4が歯車71bに接触することにより、搬送台4が振動して、降下可能になることを防止することができ、位置保持機構7の誤作動を防止することができる。
その結果、被搬送物の供給の有無を判別するための監視装置を設ける必要がなく、上述の搬送および位置保持機構ともに他の動力を不要とすることから構造を簡易化することができる。また、上段のベルトコンベア91から供給された被搬送物wの搬送速度に合致して搬送台4が作動するため、同期を図ることができる。
【0044】
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、例えば、位置保持機構7は、連動歯車71、連動部材72および当接板80に限定されず、被搬送物が供給された際に搬送台4を降下可能にするものであればよい。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の一実施形態として示した降下型搬送装置、上段のベルトコンベア及び下段のベルトコンベアの全体側面図である。
【図2】本発明の一実施形態として示した降下型搬送装置の全体正面図である。
【図3】搬送台4が上段のベルトコンベア91による被搬送物の供給位置の上方に降下する際の要部状態説明図であり、(a)は側面図、(b)は正面図である。
【図4】搬送台4がベルトコンベア91による被搬送物の供給位置の上方に位置した際の要部状態説明図であり、(a)は側面図、(b)は正面図である。
【図5】搬送台4がベルトコンベア91による被搬送物の供給位置に位置した際の要部状態説明図であり、(a)は側面図、(b)は正面図である。
【図6】ベルトコンベア91から被搬送物wが供給された際の腰部状態説明図であり、(a)は側面図、(b)は正面図である。
【図7】位置保持機構による係止が解かれて搬送台4が降下した際の要部状態説明図であり、(a)は側面図、(b)は正面図である。
【符号の説明】
【0046】
w・・・被搬送物
2b・・スプロケット(円板部材)
3・・・チェーン(無端部材)
4・・・搬送台
7・・・位置保持機構
41・・・載置部
42・・・支持部
71・・・連動歯車(位置保持機構本体)
72・・・連動部材(解除機構)
80・・・当接板(誤作動防止機構)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
床上に立設される装置本体と、この装置本体の上部及び下部に回転自在に設けられた円板部材と、これらの円板部材間に走行自在に巻回された無端部材と、この無端部材に支持されて被搬送物を搬送する搬送台と、上記被搬送物の供給位置において、この搬送台を係止する位置保持機構とが設けられ、
上記搬送台は、上記被搬送物を載置する載置部と、この載置部と交差する方向に被載置面の反対側に向けて一体的に配設された支持部とを有し、上記載置部と支持部との交差部が上記無端部材に回動自在に支持されてなり、かつ
上記位置保持機構は、上記供給位置において上記搬送台に向けて進退自在に設けられ、上記搬送台の降下と同期して、上記供給位置に位置した際に上記搬送台の降下を係止する位置保持機構本体と、
上記搬送台上に上記搬送物が載置された際に、これによって上記交差部廻りに回動する上記支持部によって作動して、上記位置保持機構本体を上記搬送台から退く方向に駆動する解除機構と、
上記搬送台が上記供給位置の上方に位置した際に、上記支持部によって駆動されて、上記解除機構の作動を阻止するとともに、上記搬送台が上記供給位置に至った際に、上記解除機構の作動を許容する誤作動防止機構とを備えてなることを特徴とする降下型の搬送装置。
【請求項2】
前記位置保持機構本体は、被搬送物の供給位置に対応する位置に回動自在に設けられるとともに、相互に連結された2以上の歯車であり、
上記解除機構は、上記歯車における下部の歯を支持するとともに、被搬送物が搬送台に供給された際に、被搬送物の自重により前記交差部廻りに回動する前記搬送台に押圧されて、上記下部の歯から脱離する連動部材であり、かつ
上記誤作動防止機構は、上記連動部材の回動方向に交差する方向に向けて回動自在に配設され、上記連動部材の通過可能な凹部が形成されるとともに、上記支持部に対応する位置に係合部が設けられてなる板状体であって、搬送台が上記供給位置の上方に位置した際に、上記支持部と上記係合部とが接触して回動することにより、上記凹部の外周部が上記連動部材に当接して、上記連動部材が上記下部の歯から脱離するのを阻止することにより、他の前記歯車における上部の歯に、前記搬送台を支持するとともに、上記供給位置に位置した際に、上記接触が解かれて、上記連動部材に臨むように上記凹部が位置することにより、上記連動部材が上記下部の歯から脱離して、上記上部の歯による搬送台の支持が解かれることを特徴とする請求項1に記載の降下型の搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−145446(P2007−145446A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−338631(P2005−338631)
【出願日】平成17年11月24日(2005.11.24)
【出願人】(390004879)三菱マテリアルテクノ株式会社 (201)
【Fターム(参考)】