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降下煤塵採取装置
説明

降下煤塵採取装置

【課題】コストの増大を抑制しつつ、降雨の影響を受けることなく十分な量の降下煤塵を方向別に採取する。
【解決手段】一端が横方向に開口し、他端が下方向に開口した導入管2と、内周面3aがこの導入管2における他端側の外周面2cに隙間8を空けて対向するように配置され、導入管2の一端から入り他端から落ちる降下煤塵を採取する採取容器3と、導入管2と採取容器3とを着脱可能な状態で連結する連結部材9と、採取容器3よりも上方の位置で、導入管2における他端側の外周面に突設され、平面視で採取容器3よりも大きな外形となる庇部材4と、を備える。ここで、導入管2における他端の断面積と隙間8の断面積とを同一にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、降下煤塵採取装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
降下煤塵を採取するものとしては、上面開放型のものが多いが、単に上面が開放された構造だと、採取した降下煤塵がどの方向から降下してきたのかを特定することが難しい。そこで、風向計(矢羽根)を設け、風向別に降下煤塵を採取する装置が各種提案されていた(特許文献1〜4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭56−10838号公報
【特許文献2】実開昭62−119647号公報
【特許文献3】実開平5−73556号公報
【特許文献4】実開平4−136551号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1、2に記載された従来技術では、風向別に降下煤塵を採取することはできても、上面が開放されている又は斜め上方に向かって開放されているので、雨水が浸入しやすいという問題がある。したがって、採取した降下煤塵のうち、水溶性の成分を分析することが難しい。
【0005】
一方、特許文献3に記載された従来技術では、水平方向に突出した採取導入管を採用しているので、雨水の浸入を抑制することはできるが、採取導入管に排気経路が設けられていないことで、降下煤塵が導入されにくく、十分な採取量が得られない可能性がある。
【0006】
これに対して、特許文献4に記載された従来技術では、やはり水平方向に突出した採取導入管を形成しているが、吸引ポンプを用いることで、降下煤塵の十分な採取を図っているが、これではコストが増大してしまう。また、別方向からの降下煤塵も吸引する可能性がある。
本発明の課題は、コストの増大を抑制しつつ、降雨の影響を受けることなく十分な量の降下煤塵を方向別に採取することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明に係る降下煤塵採取装置は、一端が横方向に開口し、他端が下方向に開口した導入筒と、内周面が前記導入筒における他端側の外周面に隙間を空けて対向するように配置され、当該導入筒の一端から入り他端から落ちる降下煤塵を採取する採取容器と、前記導入筒と前記採取容器とを連結する連結部材と、前記採取容器よりも上方の位置で、前記導入筒における他端側の外周面に突設され、平面視で前記採取容器よりも大きな外形となる庇部材と、を備えることを特徴とする。
【0008】
また、前記導入筒における他端の断面積と前記隙間の断面積とを同一にすることを特徴とする。
また、前記導入筒の一端部には、上面側を覆い且つ開口方向に張り出すフード部が形成されることを特徴とする。
また、前記連結部材は、前記導入筒と前記採取容器とを着脱可能な状態で連結することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る降下煤塵採取装置は、導入筒の一端が横方向に開口しているので、導入筒への雨水の浸入を抑制することができる。また、導入筒の外周面と採取容器の内周面との間に隙間が形成されていることで排気が可能となるので、降下煤塵が導入されやすくなり、十分な採取量を得ることができる。また、採取容器の上方に庇部材が設けられているので、採取容器への雨水の浸入を抑制することができる。上記の構成により、コストの増大を抑制しつつ、降雨の影響を受けることなく十分な量の降下煤塵を方向別に採取することができる。
【0010】
また、導入筒における他端の断面積と、隙間の断面積とを同一にすることで、排気の流速を一定に保つことができる。したがって、排気流路で生じるエネルギー損失を低減し、降下煤塵を安定して採取することができる。
また、導入筒の一端部にフード部を形成しているので、導入筒への雨水の侵入をより効果的に抑制することができる。
【0011】
また、導入筒と採取容器とを着脱可能に構成しているので、採取容器に溜まった降下煤塵を回収しやすい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の概略構成図である。
【図2】導入管2の断面積と隙間8の断面積とを示す図である。
【図3】降下煤塵採取装置1の配置図である。
【図4】実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
《構成》
図1は、本発明の概略構成図である。
降下煤塵採取装置1は、導入管2と、採取容器3と、庇(ひさし)部材4と、フード5と、を備える。
【0014】
導入管2は、一端が横方向(略水平方向)に開口し、他端が下方向に開口した略L形の配管で構成される。ここでは、90度の曲がり管2aに直管2bを接続して形成している。この曲がり管2aの下面を水平方向に延在する手摺6の上面に当接させた状態で、曲がり管2a及び手摺6に針金等の固定部材7を巻回することで、導入管2が固定される。
【0015】
採取容器3は、導入管2よりも大径となる断面が円形の容器で構成され、上部の内周面3aが、直管2bにおける下部の外周面2cに隙間8を空けて対向するように配置される。採取容器3の上部と直管2bの下部とは、針金等の連結部材9で着脱可能な状態で連結される。例えば、採取容器3の上部と直管2bの下部とに貫通孔を設け、各貫通孔に連結部材9を挿通し、簡易的に留めることで、直管2bに採取容器3を懸吊する。
【0016】
庇部材4は、直管2bにおける下部の外周面に、全周に亘って、斜め下方向に向けて突設されており、平面視で採取容器よりも大きくなるように、径方向の長さや角度を調整する。
フード5は、導入管2の一端部に固定され、上面を覆い且つ開口方向に張り出すように形成される。
【0017】
次に、導入管2及び採取容器3の寸法について説明する。
図2は、導入管2の断面積と隙間8の断面積とを示す図である。
導入管2の断面積と隙間8の断面積とを同一又は略同一にする。この場合、導入管2の半径をrとし、導入管2の厚みをtとし、採取容器3の半径をRとすると、下記の式が成り立つ。
【0018】
πr2=πR2−π(r+t)2
ここで、導入管2の厚みを0と見なすと、下記の式が成り立つ。
2πr2=πR2
√(2)×r=R
【0019】
すなわち、導入管2の厚みを0と見なすと、採取容器3の半径Rを、導入管2の半径rの√(2)=約1.4倍に設定すると、導入管2の断面積と隙間8の断面積とが同一になる。例えば、導入管2の半径rが100mmであれば、採取容器3の半径Rは141mmに設定する。
【0020】
また、導入管2で生じるエネルギー損失(圧力降下)は下記の式で表される。
h=λ×(L/d)×(v2/2g)
h:摩擦損失
d:導入管2の内径
L:管の長さ
v:平均流速
λ:管摩擦係数
g:重力加速度
【0021】
したがって、導入管2の内径dを大きくするほど、且つ導入管2の長さLを短くするほど、エネルギー損失が小さくなるので好ましい。また、曲がり管のエネルギー損失も考慮し、ベンド管などを使用する。
【0022】
次に、降下煤塵採取装置1の配置について説明する。
図3は、降下煤塵採取装置1の配置図である。
降下煤塵採取装置1は、一方向に向けて開口した構成なので、全方位をからの降下煤塵を採取するには、図に示すように、例えば四つの降下煤塵採取装置1を用意し、夫々、一端の開口を四方に向けて配置すればよい。
【0023】
以上より、導入管2が「導入筒」に対応し、採取容器3が「採取容器」に対応し、連結部材9が「連結部材」に対応し、庇部材4が「庇部材」に対応し、フード5が「フード部」に対応している。
【0024】
《作用》
降下煤塵採取装置1を、所定の位置に、所定の方向に向けた状態で、所定の期間だけ設置する。これにより、方向別に降下して来る煤塵が、導入管2の一端から入り、採取容器3へと溜まるようになる。
【0025】
まず、導入管2の一端が横方向に開口しており、且つその一端部にフード5を設けているので、導入管2への雨水の浸入を抑制することができる。これにより、採取した降下煤塵のうち、水溶性の成分をも分析することができる。
【0026】
また、導入管2の外周面と採取容器3の内周面との間に隙間8が形成されていることで排気が可能となるので、降下煤塵が導入されやすくなり、十分な採取量を得ることができる。また、導入管2における他端の断面積と、隙間8の断面積とを同一にすることで、排気の流速を一定に保つことができる。したがって、排気流路で生じるエネルギー損失を低減し、降下煤塵を安定して採取することができる。
また、採取容器3の上方に庇部材が設けられているので、採取容器3への雨水の浸入を抑制することができる。
【0027】
このように、コストの増大を抑制しつつ、降雨の影響を受けることなく十分な量の降下煤塵を方向別に採取することができる。
また、導入管2と採取容器3とを連結部材9によって着脱可能な状態で簡易的に連結しているので、導入管2は手摺6に固定したまま、連結部材9を外すだけで、採取容器3だけを回収することができる。
【0028】
《実施例》
図4は、実施例を示す図である。
ここでは、比較のため、本実施形態のタイプを含め三種類のタイプを実施した。
一つ目は、上面が開放された単なる受け皿状のタイプ1である。二つ目は、本実施形態のタイプ2である。三つ目は、フード5付き導入管2の他端を袋状のビニルで覆った、つまり排気口の無いタイプ3である。
【0029】
これらのタイプ1〜3を、同一箇所に、七日間だけ設置した。タイプ2とタイプ3は、夫々、南方向に向けて設置しており、採取期間の風向きは主に北〜東北東であり、降雨もあった。
採取量は下記のような結果となった。
タイプ1:78t/km2・月
タイプ2:12t/km2・月
タイプ3: 1t/km2・月
【0030】
このように、タイプ1は、採取量が多いが、採取した降下煤塵がどの方向から降下してきたのかを特定することはできない。また、雨水が含まれているため、採取した降下煤塵のうち、水溶性の成分を分析することができない。一方、タイプ2とタイプ3は、採取した降下煤塵がどの方向から降下してきたのかを特定することができ、また雨水の浸入もなかった。但し、タイプ3は、排気口が無いゆえに、採取量が極端に少なくなることが判明した。
【0031】
上記の実施例から明らかなように、タイプ2の降下煤塵採取装置1を用いれば、コストの増大を抑制しつつ、降雨の影響を受けることなく十分な量の降下煤塵を方向別に採取することができる。
【0032】
《変形例》
なお、本実施形態では、一方向に向いた導入管2によって、一方向からだけの降下煤塵を採取する構成について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、本実施形態の降下煤塵採取装置1を四つ組み合わせ、四方に向いた導入管2によって、四方からの降下煤塵を採取するようにしてもよい。
【0033】
また、本実施形態では、断面が円形の導入管2を用いているが、これに限定されるものではなく、断面が多角形の導入筒であってもよい。
また、本実施形態では、導入管2と採取容器3とを連結部材9によって連結しているが、これに限定されるものではない。要は、導入管2に対して所定の隙間8を空けて採取容器3を懸吊支持することができればよいので、例えば導入管2の外周面に鉤状の突起を設け、この突起と係合可能な溝や突起を採取容器3の内周面に設け、双方を係合させることで、導入管2に対して採取容器3を懸吊支持するようにしてもよい。
【0034】
また、本実施形態では、導入管2に別部材としてフード5を設けているが、これに限定されるものではなく、導入管2自体をフード5と同様な形状に形成してもよい。
すなわち、本発明の主旨を逸脱しない範囲で、各部材の構成や形状は、任意に変更することができる。
【符号の説明】
【0035】
1 降下煤塵採取装置
2 導入管
2a 管
2b 直管
2c 外周面
3 採取容器
3a 内周面
4 庇部材
5 フード
6 手摺などの構造物
7 固定部材
8 隙間
9 連結部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端が横方向に開口し、他端が下方向に開口した導入筒と、
内周面が前記導入筒における他端側の外周面に隙間を空けて対向するように配置され、当該導入筒の一端から入り他端から落ちる降下煤塵を採取する採取容器と、
前記導入筒と前記採取容器とを連結する連結部材と、
前記採取容器よりも上方の位置で、前記導入筒における他端側の外周面に突設され、平面視で前記採取容器よりも大きな外形となる庇部材と、を備えることを特徴とする降下煤塵採取装置。
【請求項2】
前記導入筒における他端の断面積と前記隙間の断面積とを同一にすることを特徴とする請求項1に記載の降下煤塵採取装置。
【請求項3】
前記導入筒の一端部には、上面側を覆い且つ開口方向に張り出すフード部が形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の降下煤塵採取装置。
【請求項4】
前記連結部材は、前記導入筒と前記採取容器とを着脱可能な状態で連結することを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の降下煤塵採取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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