限界費用曲線生成装置、方法及びプログラム
【課題】限界費用曲線を効率よく生成する技術を提供する。
【解決手段】限界費用曲線生成装置は、各施策について、施策識別子、削減量を算出するための第1関数、及び、限界削減費用を算出するための第2関数をそれぞれ格納する関数格納手段と、限界費用曲線に含めるべき施策を特定するための施策識別子を取得する施策情報取得手段と、この施策情報取得手段により取得された施策識別子に対応する第1関数及び第2関数に含まれる各変数の値をそれぞれ取得する変数値取得手段と、この変数値取得手段により取得された各変数値を第1関数及び第2関数に適用することにより、限界費用曲線に含めるべき施策に関する削減量及び限界削減費用を算出し、算出された削減量及び限界削減費用で表される領域を含む限界費用曲線を示すデータを生成するグラフデータ生成手段と、を備える。
【解決手段】限界費用曲線生成装置は、各施策について、施策識別子、削減量を算出するための第1関数、及び、限界削減費用を算出するための第2関数をそれぞれ格納する関数格納手段と、限界費用曲線に含めるべき施策を特定するための施策識別子を取得する施策情報取得手段と、この施策情報取得手段により取得された施策識別子に対応する第1関数及び第2関数に含まれる各変数の値をそれぞれ取得する変数値取得手段と、この変数値取得手段により取得された各変数値を第1関数及び第2関数に適用することにより、限界費用曲線に含めるべき施策に関する削減量及び限界削減費用を算出し、算出された削減量及び限界削減費用で表される領域を含む限界費用曲線を示すデータを生成するグラフデータ生成手段と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、削減量を横軸に示し、限界削減費用を縦軸に示し、各施策に関する削減量及び限界削減費用を示す各領域を横軸方向に並べることにより形成される限界費用曲線の生成技術に関する。
【背景技術】
【0002】
地球温暖化対策の一環として、温室効果ガス(GHG)の排出量の削減が強く求められている。このようなGHG排出量の削減を実現するために、例えば、図28に示されるような、GHG削減サイクルとも呼ばれる手法が実行される。
【0003】
図28は、GHG削減サイクルの例を示した概念図である。図28に示されるように、GHG削減サイクルでは、センシング機器等により、ビル、工場等のような対象設備のGHG排出データを収集する工程、収集されたデータを集計及び分析する工程、分析されたデータに基づいて最適な削減対策を立案する工程、立案された対策を現場において実行する工程が繰り返される。これにより、或る対策を実際に実行した結果から次の対策案が立案されるため、最適なGHG排出量の削減対策を実行することができる。
【0004】
一方、上述のような施策の効果や目標を視覚的に把握するために、各施策(各技術)について限界削減費用と呼ばれる指標及びGHG排出削減量をそれぞれ示した限界費用曲線(限界削減費用曲線とも呼ばれる)が利用される。図29は、GHG排出量削減に関する限界費用曲線の例を示す図である。図29に示されるように、GHG排出量削減に関する限界費用曲線のグラフは、追加的削減費用を縦軸に示し、GHG削減量を横軸に示す。なお、追加的削減費用とは、限界削減費用とも呼ばれる。
【0005】
限界削減費用とは、一定量(図29では1トン)のGHGを削減するのに必要な費用を意味し、その施策の初期投資額からその施策導入後に削減される費用を減算することにより得られる。当該限界費用曲線は、施策毎に区分けされており、限界削減費用の小さい施策から順に横軸の左から右の方向へ並べられることにより形成される。例えば、図29によれば、施策1は、限界削減費用が負の値を示すため、削減される費用が初期投資額を上回る効果的な施策であることを示している。
【0006】
このような限界費用曲線を用いる技術として、下記特許文献1及び2には、限界費用曲線を用いて、取引者に対する電力取引所における最適な取引を支援する手法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−280204号公報
【特許文献2】特開2007−041969号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述のような限界費用曲線では、それを形成する要素である施策毎に、横軸及び縦軸の各値の算出手法がそれぞれ異なる。また、複数の施策の中には、同時に選択することができない施策セット、その効果に相互に影響を及ぼしあう施策セット等のように、相互関連する施策セットが含まれる場合がある。このような性質が、限界費用曲線の作成を一層困難にしており、現状、限界費用曲線の作成には多大な労力が必要となっている。
【0009】
本発明の目的は、削減量を横軸に示し、限界削減費用を縦軸に示し、各施策に関する削減量及び限界削減費用を示す各領域を横軸方向に並べることにより形成される限界費用曲線を効率よく生成する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の各態様では、上述した課題を解決するために、それぞれ以下の構成を採用する。
【0011】
本発明の第1態様は、削減量を横軸に示し、限界削減費用を縦軸に示し、各施策に関する削減量及び限界削減費用を示す各領域を横軸方向に並べることにより形成される限界費用曲線を生成する限界費用曲線生成装置に関する。第1態様に係る限界費用曲線生成装置は、各施策について、施策識別子、削減量を算出するための第1関数、及び、限界削減費用を算出するための第2関数をそれぞれ格納する関数格納手段と、限界費用曲線に含めるべき施策を特定するための施策識別子を取得する施策情報取得手段と、この施策情報取得手段により取得された施策識別子に対応する第1関数及び第2関数に含まれる各変数の値をそれぞれ取得する変数値取得手段と、この変数値取得手段により取得された各変数値を第1関数及び第2関数に適用することにより、限界費用曲線に含めるべき施策に関する削減量及び限界削減費用を算出し、算出された削減量及び限界削減費用で表される領域を含む限界費用曲線を示すデータを生成するグラフデータ生成手段と、を備える。
【0012】
本発明の第2態様は、上述のような限界費用曲線を生成する限界費用曲線生成方法に関する。第2態様に係る限界費用曲線生成方法では、各施策について、施策識別子、削減量を算出するための第1関数、及び、限界削減費用を算出するための第2関数をそれぞれ格納する関数格納部を備えるコンピュータが、限界費用曲線に含めるべき施策を特定するための施策識別子を取得し、この取得された施策識別子に対応する第1関数及び第2関数に含まれる各変数の値をそれぞれ取得し、この取得された各変数値を第1関数及び第2関数に適用することにより、限界費用曲線に含めるべき施策に関する削減量及び限界削減費用を算出し、この算出された削減量及び限界削減費用で表される領域を含む限界費用曲線を示すデータを生成することを含む。
【0013】
本発明の第3態様は、上述のような限界費用曲線をコンピュータに生成させるプログラムに関する。第3態様に係るプログラムは、上記コンピュータに、上述の第1態様における各手段をそれぞれ実現させる。本発明の他の態様としては、第3態様に係るプログラムを記録したコンピュータが読み取り可能な記憶媒体であってもよい。
【発明の効果】
【0014】
上記各態様によれば、削減量を横軸に示し、限界削減費用を縦軸に示し、各施策に関する削減量及び限界削減費用を示す各領域を横軸方向に並べることにより形成される限界費用曲線を効率よく生成する技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第1実施形態における限界費用曲線生成装置(グラフ生成装置)の構成例を概念的に示すブロック図。
【図2】施策関数テーブルの例を示す図。
【図3】変数テーブルの例を示す図。
【図4】係数テーブルの例を示す図。
【図5】Fe関数及びFc関数と限界費用曲線との関係を示す図。
【図6】第1実施形態におけるグラフ生成装置の動作例を示すフローチャート。
【図7】第2実施形態におけるグラフ生成装置の構成例を概念的に示すブロック図。
【図8】パターン定義テーブルの例を示す図。
【図9】変数値パターンテーブルの例を示す図。
【図10】条件入力画面の例を示す図。
【図11】変数値パターンと条件情報との関連情報を格納するテーブルの例を示す図。
【図12】変動変数定義テーブルの例を示す図。
【図13】第4実施形態におけるグラフ生成装置の構成例を概念的に示すブロック図。
【図14】第4実施形態における施策関数テーブルの例を示す図。
【図15】変数値更新管理テーブルの例を示す図。
【図16】第5実施形態におけるグラフ生成装置の構成例を概念的に示すブロック図。
【図17】第5実施形態における変数テーブルの例を示す図。
【図18】排他施策グループテーブルの例を示す図。
【図19】第6実施形態におけるグラフ生成装置の動作例を示すフローチャート。
【図20】第7実施形態におけるグラフ生成装置の構成例を概念的に示すブロック図。
【図21】排他施策パターンテーブルの例を示す図。
【図22】第8実施形態におけるグラフ生成装置の構成例を概念的に示すブロック図。
【図23】関連施策グループテーブルの例を示す図。
【図24】第9実施形態における変数値適正化部の動作例を示すフローチャート。
【図25】第1変形例により出力される限界費用曲線の例を示す図。
【図26】第1変形例により出力される限界費用曲線の他の例を示す図。
【図27】第2変形例における施策関数テーブルの例を示す図。
【図28】GHG削減サイクルの例を示した概念図。
【図29】GHG排出量削減に関する限界費用曲線の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下に挙げる各実施形態はそれぞれ例示であり、本発明は以下の各実施形態の構成に限定されない。
【0017】
[第1実施形態]
〔装置構成〕
図1は、第1実施形態における限界費用曲線生成装置の構成例を概念的に示すブロック図である。第1実施形態における限界費用曲線生成装置(以降、単にグラフ生成装置とも表記する)10は、施策情報取得部100、変数値取得部110、グラフデータ生成部120、出力制御部130、施策関数データベース(DB)150等を有する。
【0018】
グラフ生成装置10は、例えば、バス5で相互に接続される、CPU(Central Processing Unit)1、メモリ2、入出力インタフェース(I/F)3等を有する。メモリ2は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、ハードディスク、可搬型記憶媒体等である。入出力I/F3は、表示装置7、入力装置8等に接続される。グラフ生成装置10は、CPU1によりメモリ2に記憶されるプログラムが実行されることで上記各処理部を実現する。施策関数DB150は、メモリ2上で実現される。なお、本実施形態は、グラフ生成装置10のハードウェア構成を限定しない。
【0019】
施策関数DB150は、施策関数に関するデータを格納する。施策関数DB150は、関数格納手段と呼ぶこともできる。施策関数とは、施策の実施に伴う削減量を算出するための第1関数(以降、Fe関数と表記する)と、施策の実施に伴う限界削減費用を算出するための第2関数(以降、Fc関数と表記する)とを意味する。施策関数は、施策毎にそれぞれ提供される。施策とは、例えば、高効率照明への切り替え、部屋の設定温度の変更等のようなGHG排出量を削減するための施策である。この場合、削減量とは、GHG排出量の削減量であり、限界削減費用とは、一定量のGHGを削減するのに必要な費用である。限界削減費用は、エネルギー削減時のコスト削減のように、マイナスの値を示す場合もある。なお、本実施形態は、施策、削減量、限界削減費用をこのようなGHG排出量削減に関する例に限定しない。
【0020】
施策関数DB150は、施策関数テーブル、変数テーブル、係数テーブル等を含む。図2は、施策関数テーブルの例を示す図である。施策関数テーブルには、各施策について、施策識別子、Fe関数、及び、Fc関数がそれぞれ格納される。Fe関数及びFc関数は、少なくとも1つの変数及び少なくとも1つの係数を含む。図2では、係数がkで示され、変数がxで示されている。施策関数に含まれる係数は、施策毎に決められる値である。施策関数に含まれる変数は、その施策を実施する上での条件に応じて設定される値である。なお、図2の例では、各変数は、施策毎にそれぞれ異なることを前提として定義されるが、各変数が示す内容に応じて、グラフ生成装置10全体として同じ内容を示す変数及び異なる内容を示す変数を区別可能に定義するようにしてもよい。例えば、外気温度を示す変数が施策1及び施策2で利用される場合には、その変数が、同じ内容を示すことを特定し得るような形態で、施策関数テーブル内の施策1及び施策2の各レコードにそれぞれ定義される。
【0021】
この条件とは、施策を実施する対象(建物、組織等)や、その施策の実施に伴い快適性が損なわれることを望まない等といった施策に対する意識などに応じて設定される。よって、言い換えれば、施策関数に含まれる変数は、施策を実施する対象や施策に対する意識等に応じて変更される値である。なお、図2の例では、各関数を識別するための施策関数IDが各関数についてそれぞれ格納される。
【0022】
図3は、変数テーブルの例を示す図である。変数テーブルには、上述の施策関数テーブルに格納される各施策関数について、各施策関数に含まれる各変数に代入される値がそれぞれ格納される。図2及び図3の例によれば、Fe1関数に関し、第1変数x1に代入される値(40)、第2変数x2に代入される値(60)、第3変数x3に代入される値(2000)が格納され、Fc1関数に関し、第1変数x1に代入される値(100)、第2変数x2に代入される値(10)が格納される。図3の例では、各施策関数に存在しない変数のカラムには、値が格納されていない。
【0023】
図4は、係数テーブルの例を示す図である。係数テーブルには、上述の施策関数テーブルに格納される各施策関数について、各施策関数に含まれる各係数の値がそれぞれ格納される。図2及び図4の例によれば、Fe1関数に関し、第1係数k1の値(4.5)、第2係数k2の値(3)、第3係数k3の値(10)が格納され、Fc1関数に関し、第1係数k1の値(10)、第2係数k2の値(2)が格納される。図4の例では、各施策関数に存在しない係数のカラムには、値が格納されていない。
【0024】
なお、本実施形態では、係数値を係数テーブルに施策関数テーブルとは別に保持する例を示したが、係数値は、施策関数として施策関数テーブルに格納されるようにしてもよい。また、本実施形態において、当該施策関数は、施策関数DB150の施策関数テーブルに格納される例を示したが、プログラムの1要素として定義されるようにしてもよい。
【0025】
施策情報取得部100は、限界費用曲線に含めるべき施策を特定するための施策識別子(施策ID)を取得する。例えば、施策情報取得部100は、上記施策関数テーブルから、当該施策IDを取得する。また、施策情報取得部100は、表示装置7に入出力I/F3を介して施策のリストを表示させるための画面データを送り、その表示画面が入力装置8を用いてユーザにより操作されることにより、当該施策IDを取得してもよい。この場合、上記施策関数テーブルには、各施策の名称が更に格納され、全施策の名称リストを表示させるための表示データが生成されればよい。また、施策情報取得部100は、ユーザの特性に応じて選択され得る施策を管理し、このユーザの特性を入力させる画面を表示装置7に表示させることで、ユーザにより入力されたユーザ特性に応じた施策セットから当該施策IDを取得するようにしてもよい。
【0026】
変数値取得部110は、施策関数DB150の施策関数テーブルに基づいて、施策情報取得部100により取得された施策IDに対応するFe関数及びFc関数を特定し、Fe関数及びFc関数に含まれる各変数の値を上記変数テーブルからそれぞれ取得する。施策関数DB150の変数テーブルには、予め、各施策についてFe関数及びFc関数の各変数の初期値が設定されていてもよい。また、当該変数テーブルには、ユーザにより入力された各変数値が設定されるようにしてもよい。この場合、例えば、変数値取得部110は、表示装置7に入出力I/F3を介して施策関数の変数の値を入力させるための画面データを送り、その表示画面に対して入力装置8を用いてユーザにより入力された変数の値を入出力I/F3を介して取得する。変数値取得部110は、この取得された各変数の値を上記変数テーブルに格納する。
【0027】
グラフデータ生成部120は、変数値取得部110により取得された各変数値を、各施策に対応するFe関数及びFc関数にそれぞれ適用することにより、各施策に関する削減量及び限界削減費用をそれぞれ算出する。グラフデータ生成部120は、算出された削減量及び限界削減費用で表される領域を含む限界費用曲線を示すデータを生成する。
【0028】
図5は、Fe関数及びFc関数と限界費用曲線との関係を示す図である。グラフデータ生成部120により生成されるデータが示す限界費用曲線では、施策nのデータが、横軸長がFe関数(Fenと表記)で算出された値(削減量)、縦軸長がFc関数(Fcnと表記)で算出された値(限界削減費用)で示される領域で表される。なお、グラフデータ生成部120により生成されたデータは、図5における線グラフのみを示してもよいし、図5における棒グラフのみを示してもよいし、両方を示してもよい。
【0029】
出力制御部130は、グラフデータ生成部120により生成されたデータに基づいて、各施策に関する削減量及び限界削減費用で表される領域を含む限界費用曲線を表示装置7に表示させるための画面データを生成し、入出力I/F3を介してその画面データを表示装置7に送る。なお、本実施形態は、当該限界費用曲線の出力形態を限定しないため、当該限界費用曲線は、プリンタ等の印刷装置(図示せず)により出力されてもよい。この場合、出力制御部130は、当該限界費用曲線を印刷装置(図示せず)から出力させるための出力データを生成し、入出力I/F3を介してその出力データを印刷装置に送る。
【0030】
〔動作例〕
図6は、第1実施形態におけるグラフ生成装置10の動作例を示すフローチャートである。
【0031】
グラフ生成装置10は、施策関数DB150の施策関数テーブルに格納される全施策、又は、ユーザにより選択された施策に関し、各施策の変数値をユーザに入力させる(S51)。具体的には、変数値取得部110が、表示装置7に施策関数の変数の値を入力させるための画面を表示させ、その表示画面に対して入力装置8を用いてユーザにより入力された変数の値を取得する。変数値取得部110は、この取得された各変数の値を変数テーブルに格納する。なお、この処理(S51)を省き、各変数には、予め保持されている初期値がそれぞれ設定されるようにしてもよい。
【0032】
施策情報取得部100は、施策関数DB150の施策関数テーブルに格納される全施策、又は、ユーザにより選択された施策に対応する施策IDを取得する(S52)。例えば、施策情報取得部100は、施策関数テーブルの中から当該施策IDを抽出する。
【0033】
続いて、変数値取得部110は、施策関数DB150の施策関数テーブルに基づいて、施策情報取得部100により取得された施策IDに対応するFe関数及びFc関数を特定する(S53)。その後、変数値取得部110は、特定されたFe関数及びFc関数に含まれる各変数の値を施策関数DB150の変数テーブルからそれぞれ取得する(S54)。当該変数テーブルには、各変数の初期値が設定されていてもよいし、ユーザにより入力された各変数値が設定されていてもよい。
【0034】
続いて、グラフデータ生成部120は、変数値取得部110により取得された各変数値を、選択された施策に対応するFe関数及びFc関数にそれぞれ適用することにより、選択された施策に関する削減量及び限界削減費用を算出する(S55)。
【0035】
グラフデータ生成部120は、上述のような算出処理(S52からS55)をしていない施策が残っているか否かを判定する(S56)。グラフデータ生成部120は、未だ算出処理をしていない施策が存在する場合には(S56;YES)、その施策を対象にして、上述の処理(S52)以降を各処理部に実行させる。
【0036】
グラフデータ生成部120は、未だ算出処理をしていない施策が存在しない場合には(S56;NO)、各施策に関し算出された削減量及び限界削減費用を用いて、当該削減量及び当該限界削減費用により表わされる各施策の領域を含む限界費用曲線を示すデータを生成する(S57)。
【0037】
出力制御部130は、グラフデータ生成部120により生成されたデータに基づいて、各施策に関する削減量及び限界削減費用で表される領域を含む限界費用曲線を所望の形式で出力する(S58)。所望の形式とは、表示装置7や印刷装置(図示せず)への出力形式である。
【0038】
〔第1実施形態の作用及び効果〕
このように、第1実施形態では、各施策について予めそれぞれ格納されているFe関数及びFc関数が利用されることにより、そのユーザにより選択され得る施策及びユーザ選択した場合には選択された施策に関する削減量及び限界削減費用が算出され、その算出された施策のデータを含む限界費用曲線を示すデータが生成される。
【0039】
従って、第1実施形態によれば、上述したように従来作成が困難であって、施策毎に、横軸幅(削減量)及び縦軸長(限界削減費用)の計算手法が異なる限界費用曲線を自動で効率的に生成することができる。第1実施形態によれば、グラフ生成装置10により生成された限界費用曲線を示すデータを表示装置7等に出力させることができるため、ユーザは、所望の施策のデータを含む限界費用曲線を参照することにより適切な施策選択が容易となる。従来、専門知識がないと描画できなかったところを可能とするとともに、限界費用曲線の作成労力を大幅に削減することができる。
【0040】
[第2実施形態]
第2実施形態におけるグラフ生成装置10は、Fe関数及びFc関数に含まれる変数の値をより適切にかつより簡単に設定し得る構成を有する。
【0041】
〔装置構成〕
図7は、第2実施形態におけるグラフ生成装置10の構成例を概念的に示すブロック図である。第2実施形態におけるグラフ生成装置10は、第1実施形態の構成に加えて、変数値パターン特定部140及びパターンデータベース(DB)160を更に有する。以下、第2実施形態におけるグラフ生成装置10を構成する各処理部について第1実施形態と異なる内容を中心に説明する。
【0042】
パターンDB160は、Fe関数又はFc関数に含まれるいずれか複数の変数の値セットを複数格納する。パターンDB160は、パターン格納手段と呼ぶこともできる。第2実施形態におけるパターンDB160は、パターン定義テーブル及び変数値パターンテーブルを含む。以降、変数値パターンとは、施策を実施する上での条件に応じて最終的に選択される、少なくとも1つの変数値を含む変数値セットを意味し、パターンとは、複数の変数値パターンを区分けした各グループを意味する。これにより、ユーザは、施策を実施する上での条件に応じて、同一パターンに属する複数の変数値パターンの中から1つの変数値パターンを選択することになる。
【0043】
図8は、パターン定義テーブルの例を示す図である。パターン定義テーブルには、各施策関数について選択し得るパターンのパターンIDがそれぞれ格納される。図8の例によれば、Fe1関数については、パターンID(1)に属する変数値パターンの中から1つの変数値パターンが選択され、パターンID(2)に属する変数値パターンの中から1つの変数値パターンが選択され得ることが定義されている。また、Fc1関数については、パターンID(3)に属する変数値パターンの中から1つの変数値パターンが選択され、パターンID(4)に属する変数値パターンの中から1つの変数値パターンが選択され、パターンID(5)に属する変数値パターンの中から1つの変数値パターンが選択され得ることが定義されている。
【0044】
図9は、変数値パターンテーブルの例を示す図である。変数値パターンテーブルには、複数の変数値パターンがパターンIDで区分けされた状態で格納される。各変数値パターンは、各変数の値が施策を実施する上での条件に応じて適切な値となるように、予め、それぞれ設定される。図9の例によれば、パターンID(1)に属する変数値パターンとして、3つの変数値パターン(変数値パターンID=1、2及び3)が設定されている。変数値パターンID(1)の変数値パターンは、第1変数x1の値(20)及び第2変数x2の値(30)のセットである。変数値パターンID(2)の変数値パターンは、第1変数x1の値(30)及び第2変数x2の値(45)のセットである。変数値パターンID(3)の変数値パターンは、第1変数x1の値(40)及び第2変数x2の値(50)のセットである。
【0045】
変数値パターン特定部140は、ユーザにより入力された、施策の実施する上での条件を示す条件情報を取得し、当該取得された条件情報に基づいて、パターンDB160の変数値パターンテーブルに格納される複数の変数値パターンのうちの少なくとも1つを特定する。変数値パターン特定部140は、施策を実施する上での条件を入力させるための画面(以降、条件入力画面と表記する)のデータを生成し、この画面データを入出力I/F3を介して表示装置7に送る。
【0046】
図10は、条件入力画面の例を示す図である。図10の例は、施策を実施する上での条件としてビルの規模に関する条件を入力させるための画面を示す。ユーザは、画面200を操作することにより、所望の条件を入力する。
【0047】
変数値パターン特定部140は、選択されている施策のIDから施策関数を特定し、この特定された施策関数のための選択し得るパターンIDをパターンDB160のパターン定義テーブルから抽出する。変数値パターン特定部140は、抽出された各パターンIDに関し1つの変数値パターンを特定するための条件リストをそれぞれ取得し、図10の例のような画面のデータを生成する。
【0048】
この場合、変数値パターン特定部140は、各パターンIDについて、選択肢となる条件リストをそれぞれ保持し、かつ、各条件を各変数値パターンと関連付ける情報を保持していればよい。図11は、変数値パターンと条件情報との関連情報を格納するテーブルの例を示す図である。図11の例では、当該条件として、ビルの規模、立地エリアが設定されている。なお、本実施形態は、変数値パターンを特定するための、施策を実施する上での条件自体を制限するものでない。
【0049】
変数値パターン特定部140は、画面200により入力された条件の情報を取得し、図11の例のような関連情報に基づいて、この条件に合致する変数値パターンを特定する。変数値パターン特定部140は、特定された変数値パターンをパターンDB160の上記変数値パターンテーブルから抽出し、施策関数DB150の変数テーブルに格納する。
【0050】
〔第2実施形態における作用及び効果〕
このように第2実施形態では、Fe関数又はFc関数のための複数の変数値パターンが予め保持され、施策を実施する上での条件に応じた少なくとも1つの変数値パターンが選択され、当該Fe関数及びFc関数に適用される。これにより、Fe関数及びFc関数の各変数の値の入力の労力を削減することができると共に、当該変数の値を初期値とした場合に比べて、より適切な値を当該変数の値とすることができる。即ち、第2実施形態によれば、Fe関数及びFc関数の各変数の値を適切にかつ効率的に設定することができる。
【0051】
[第3実施形態]
上述したように、Fe関数及びFc関数に含まれる変数には、ビルの規模や入居人数等のように固定的な値に設定される変数(以降、固定変数と表記する)と、予算や快適性等のような条件や施策の運用の仕方に応じて取り得る範囲に幅がありその幅で変更され得る変数(以降、変動変数と表記する)とが存在する。そこで、第3実施形態におけるグラフ生成装置10は、このような変動変数の存在をユーザに認識させ得る構成を更に有する。
【0052】
第3実施形態では、施策関数DB150が変動変数定義テーブルを更に含む。図12は、変動変数定義テーブルの例を示す図である。変動変数定義テーブルは、各施策関数に関し、変動変数の取り得る値の範囲(例えば、上限値及び下限値)がそれぞれ設定される。固定変数については、例えば、値なし(NULL)が設定される。これにより、変動変数定義テーブルは、変動変数情報格納手段と呼ぶこともできる。
【0053】
変数値取得部110は、施策関数DB150の変動変数定義テーブルに基づいて、例えば、このような変動変数のリスト及び各変動変数の値範囲を表示するための画面データを生成し、表示装置7に表示させる。また、例えば、この画面データには、「コスト」、「快適性」等のような各変動変数の名称が含まれる。変数値取得部110は、上記表示画面が入力装置8を用いてユーザにより操作されることにより、選択された変動変数の値を取得し、その値を施策関数DB150の変数テーブルに設定する。
【0054】
また、上述の第2実施形態で利用されるパターンとして、変動変数のみを対象としたパターンを設けるようにしてもよい。このパターンには、複数の変動変数の値セットをそれぞれ含む複数の変数値パターンが設定されるようにする。このようにすれば、上述のように変動変数リストを表示させることなく、条件に応じて、変動変数のみを対象とした変数値セットを選択することができるようになる。
【0055】
〔第3実施形態における作用及び効果〕
このように第3実施形態では、条件に応じて取り得る範囲に幅がありその幅で変更され得る変数(変動変数)のリスト、又は、そのような変動変数のみを変えるための条件リストが表示され、そのような表示の選択操作に応じて、変動変数の値が設定される。
【0056】
従って、第3実施形態によれば、変動的といった変数の属性に応じて、所望の変数をユーザに提示することができるため、変数値の設定を容易にすることができる。
【0057】
[第4実施形態]
上述の各実施形態では、各施策関数の変数値が、ユーザの入力、初期値設定、変数値パターン展開等により設定される例が示されたが、このように設定された変数値の中には誤差を含むものが存在する可能性がある。誤差を含む変数値が設定された場合、その誤差が反映されることにより、各施策関数で算出される削減量及び限界削減費用と、実際の削減量及び実際の限界削減費用との間に差が生じてしまうことになる。そこで、第4実施形態におけるグラフ生成装置10は、実績値(実測値)に基づいて、変数値を学習することにより、変数値の最適化を行う。
【0058】
図13は、第4実施形態におけるグラフ生成装置10の構成例を概念的に示すブロック図である。第4実施形態におけるグラフ生成装置10は、第2実施形態の構成に加えて、変数値推定部201及び変数値データベース(DB)202を更に有する。以下、第4実施形態におけるグラフ生成装置10を構成する各処理部について第2実施形態と異なる内容を中心に説明する。なお、ここでは、第4実施形態に関連する構成を第2実施形態に適用した例を示すが、当該新たな構成は、他の実施形態に適用されてもよい。
【0059】
図14は、第4実施形態における施策関数テーブルの例を示す図である。図14に示されるように、第4実施形態では、各変数が示す内容に応じて、グラフ生成装置10全体として同じ内容を示す変数及び異なる内容を示す変数がそれぞれ区別可能に定義される。図14の例には含まれないが、例えば、施策1のFe1関数及び施策2のFe2関数に同じ内容を示す変数(例えば、外気温度を示す変数)が含まれる場合には、Fe1関数及びFe2関数には、同じ変数x18が利用される。他の態様として、図2の例に示すように、施策毎にそれぞれ変数を定義し、別のテーブルで、同じ内容を示す変数の関連を定義するようにしてもよい。
【0060】
変数値DB202は、変数値更新管理テーブルを含む。図15は、変数値更新管理テーブルの例を示す図である。図15に示すように、変数値更新管理テーブルには、各施策に関し、削減量及び限界削減費用の実績値、各施策関数に含まれる各変数の値が、取得された時又は設定された時を示す時間情報と共に、時系列にそれぞれ格納される。各変数の値は、ユーザによる入力、センサ等のような計測機器からの自動収集等により設定される。但し、ユーザによる入力やセンサ等のような計測機器からの自動収集等により変数値が取得されなかった変数については、値無しを示すデータ(例えば、NULL)が設定された状態となる。実績値が格納されていない変数の値は、後述する変数値推定部201により推定される。なお、他のテーブルにおいて、変数値推定部201により変数値を推定させる変数が定義されるようにしてもよい。
【0061】
なお、図15の例では、月単位の時系列を示したが、各実績値は、施策毎や変数毎に取得され得る間隔が異なるため、時系列の単位は任意である。よって、実績値が既に取得されている変数については、次に実績値が取得されるまで、既に取得された値が設定されるようにしてもよい。また、時系列単位が異なる場合には、より大きな単位に合わせてもよい。
【0062】
変数値取得部110は、各施策について、削減量と、限界削減費用と、Fe関数及びFc関数に含まれる少なくとも1つの変数の値とをそれぞれ取得し、取得された情報を時間情報と共に上記変数値更新管理テーブルに格納する。このとき、施策関数DB150内の変数テーブル(図3参照)には、初期値又は第2実施形態における変数値パターン特定部140により格納された変数値パターンが設定されている。つまり、ここで変数値取得部110により取得される削減量及び限界削減費用は実績値等ビル固有の可視化された値である。以降、説明の便宜のため、初期値及び変数値パターン以外で、第4実施形態における変数値取得部110により取得される削減量、限界削減費用及び変数値を実績値と総称する。
【0063】
例えば、変数値取得部110は、表示装置7に入出力I/F3を介して施策関数の変数の値を入力させるための画面データを送り、その表示画面に対して入力装置8を用いてユーザにより入力された実績値を入出力I/F3を介して取得するようにしてもよい。また、変数値取得部110は、センサ等のような計測機器から当該実績値を自動収集するようにしてもよい。
【0064】
変数値推定部201は、変数値DB202の変数値更新管理テーブルに格納される各実績値を時系列毎に各施策関数にそれぞれ適用し、これにより得られる式に対して回帰分析等の統計的解析処理を実行することで、当該変数値更新管理テーブルに実績値が格納されていない変数の値を推定する。例えば、以下のようなFe関数が定義されており、図15の例に示す削減量の実績値、変数x11及び変数x12の各実績値が分析に優位な数だけ取得されている場合には、変数値推定部201は、以下のような式の関係から、実績値が取得されなかった変数x13及び変数x14の値を推定する。
【0065】
Fe=k11x11+k12x12+k13x13+k14x14
2011年3月:50=k11・15+k12・5000+k13x13+k14x14
2011年4月:53=k11・21+k12・5000+k13x13+k14x14
2011年5月:53=k11・24+k12・5000+k13x13+k14x14
・・・・・・
なお、各係数は、施策関数DB150内の係数テーブルで決定されている。
【0066】
変数値推定部201は、推定された変数の値、及び、当該変数値更新管理テーブルに格納されている変数の値を、施策関数DB150内の変数テーブル(図3参照)に反映させる。これにより、グラフデータ生成部120は、実績値、及び、実績値から変数値推定部201により推定された値を用いて、次回以降の関数計算を行い各施策に関する削減量及び限界削減費用をそれぞれ算出し、算出された削減量及び限界削減費用で表される領域を含む限界費用曲線を示すデータを生成するよう改良される。
【0067】
〔第4実施形態における作用及び効果〕
このように、第4実施形態では、削減量及び限界削減費用、並びに、少なくとも1つの変数に対応する実績値がそれぞれ取得され、取得された実績値に基づいて、実績値が取得されなかった変数の値が推定される。従って、第4実施形態によれば、各施策関数に含まれる各変数に実際の値又は実際の値に近い値が設定されるため、各施策関数で算出される削減量及び限界削減費用の精度を一層向上させることができる。
【0068】
[第5実施形態]
第5実施形態におけるグラフ生成装置10は、係数値を学習することにより、係数値を最適化する。
【0069】
図16は、第5実施形態におけるグラフ生成装置10の構成例を概念的に示すブロック図である。第5実施形態におけるグラフ生成装置10は、第4実施形態の構成に加えて、係数値更新部211を更に有する。以下、第5実施形態におけるグラフ生成装置10を構成する各処理部について第4実施形態と異なる内容を中心に説明する。なお、ここでは、第5実施形態に関連する構成を第4実施形態に適用した例を示すが、当該新たな構成は、他の実施形態に適用されてもよい。
【0070】
上述したように、施策関数に含まれる係数の値は、施策毎に決められる値であり、施策関数に含まれる変数の値は、その施策を実施する上での条件に応じて設定される値である。即ち、変数の値は、一般的には、同じ施策であってもその施策の実施者毎に異なり、係数の値は、当該施策実施者が異なる場合でも施策に関して一意に決まる。ここで、施策実施者とは、施策を実施する上での条件を決め得る単位を意味し、単に人を意味するものではない。第5実施形態におけるグラフ生成装置10は、複数の施策実施者に関するデータを管理する。
【0071】
図17は、第5実施形態における変数テーブルの例を示す図である。図17に示すように、第5実施形態における変数テーブルは、上述の各実施形態における変数テーブル(図3参照)に格納される内容に加えて、更に、施策実施者を特定するための実施者IDが格納される。つまり、第5実施形態における変数テーブルは、実施者ID毎に、各施策関数に含まれる変数の値がそれぞれ格納される。図17の例では、実施者IDがUSER1である施策実施者で利用されるFe1関数では、第1変数に1が設定されており、実施者IDがUSER2である施策実施者で利用されるFe1関数では、第1変数に3が設定されている。この変数テーブルは、変数値格納手段と呼ぶこともできる。
【0072】
変数値更新管理テーブルに関しても同様に、上述の第4実施形態における内容に加えて、更に、実施者IDが格納される。つまり、第5実施形態における変数値更新管理テーブルは、実施者ID毎に、各施策関数についての、削減量、限界削減費用及び変数の実績値がそれぞれ格納される。
【0073】
係数値更新部211は、上記変数テーブルに格納される各変数値、及び、変数値更新管理テーブルに格納される削減量及び限界削減費用の実績値を施策実施者毎に各施策関数にそれぞれ適用し、これにより得られる式に対して回帰分析等の統計的解析処理を実行することで、各施策関数に含まれる係数の値を推定する。例えば、以下のようなFe1関数が定義されており、以下のような削減量の実績値が取得されており、図17の例に示すFe1関数の各変数値が設定されている場合には、係数値更新部211は、以下のような式の関係から、係数k11の値及び係数k12の値を推定する。このとき、分析に有意なユーザ数だけデータが取得されているものとする。
【0074】
Fe1=k11・x11+k12・x12
USER1の施策1に関する削減量実績値=50
USER2の施策1に関する削減量実績値=43
・・・・・
USERnの施策1に関する削減量実績値=47
USER1:50=k11・1+k12・2
USER2:43=k11・3+k12・2
・・・・・
USERn:47=k11・3+k12・2
【0075】
係数値更新部211は、推定された係数を施策関数DB150内の係数テーブルに反映させる。上述のような係数値更新部211の係数値推定処理は、施策関数DB150内の変数テーブルに格納される変数値が最適化された状態で実行されることが望ましい。よって、係数値更新部211は、第4実施形態における変数値推定部201によって推定された変数値及び実績値が当該変数テーブルに反映された状態で、当該係数値推定処理を実行することが望ましい。グラフデータ生成部120は、最適な変数値及び最適な変数値により推定された係数値を用いて、次回以降の関数計算を行い各施策に関する削減量及び限界削減費用をそれぞれ算出し、算出された削減量及び限界削減費用で表される領域を含む限界費用曲線を示すデータを生成するように改良される。
【0076】
〔第5実施形態における作用及び効果〕
このように、第5実施形態では、施策実施者毎の各施策関数に含まれる変数の値に基づいて、施策毎に固定される各係数の値がそれぞれ推定される。従って、第5実施形態によれば、各施策関数に含まれる各係数の値が、各施策実施者についての変数値等のデータに基づいて最適化されるため、各施策関数で算出される削減量及び限界削減費用の精度を一層向上させることができる。
【0077】
[第6実施形態]
複数の施策の中には、同時に選択することができない施策の組み合わせが含まれる場合がある。第6実施形態におけるグラフ生成装置10は、このような排他的な関係となる施策の組み合わせを管理する。
【0078】
第6実施形態におけるグラフ生成装置10は、第3実施形態と同様の処理部を有する。以下、第6実施形態におけるグラフ生成装置10を構成する各処理部について第3実施形態と異なる内容を中心に説明する。なお、ここでは、第6実施形態に関連する構成を第3実施形態に適用した例を示すが、当該新たな構成は、他のいずれの実施形態に適用されてもよい。
【0079】
第6実施形態における施策関数DB150は、第3実施形態の構成に加えて、更に、排他施策グループテーブルを含む。図18は、排他施策グループテーブルの例を示す図である。排他施策グループテーブルには、同時に選択することができない排他的な関係を有する施策の組み合わせが排他施策グループとして格納される。図18の例では、排他施策グループ1として設定されている施策1、施策3及び施策5は、相互に同時に選択することができない。排他施策グループテーブルは、排他施策グループ格納手段と呼ぶことができる。
【0080】
出力制御部130は、上記排他施策グループテーブルを参照することにより、排他的な関係にある施策がグラフデータ生成部120により生成されたデータに基づいて表示される限界費用曲線の画面においてユーザによって選択されないように制御する。具体的には、グラフデータ生成部120は、第1実施形態等で説明した処理により生成されたデータに基づいて表示される限界費用曲線の画面においてユーザにより選択された施策の施策識別子を取得する。グラフデータ生成部120は、排他施策グループテーブルを参照することにより、この取得された施策識別子と同じ排他施策グループに属し、当該画面において既に選択された他の施策が存在するか否かを判定し、当該判定結果に基づいて、当該ユーザ選択の許否を決定する。
【0081】
〔動作例〕
図19は、第6実施形態におけるグラフ生成装置10の動作例を示すフローチャートである。このとき、出力制御部130の処理により、施策関数DB150の施策関数テーブルに格納される全施策に関する削減量及び限界削減費用で表される領域を含む限界費用曲線が表示装置7に表示されている。
【0082】
ユーザは、入力装置8を操作することにより、表示装置7に表示されている限界費用曲線の中からいずれか1つの施策を選択する(S191)。以降、この処理(S191)で選択操作された施策を選択操作中の施策と表記する。この選択操作が認識されることにより、出力制御部130は、選択操作中の施策を示す施策IDを取得する(S192)。
【0083】
出力制御部130は、排他施策グループテーブルを参照することにより、取得された施策IDを含む排他施策グループが存在するか否かを判定する(S193)。この判定は、選択操作中の施策と排他的な関係にある他の施策が存在するか否かを判定することと同意である。出力制御部130は、他の排他施策が存在しない場合(S193;NO)、その選択操作中の施策を選択状態に設定する(S199)。この設定により、例えば、選択操作中であった施策が未選択の施策と区別可能に表示される。
【0084】
一方、他の排他施策が存在する場合(S193;YES)、出力制御部130は、他の排他施策の少なくとも1つが既に選択状態となっているか否かを判定する(S194)。他の排他施策の少なくとも1つが既に選択状態となっている場合(S194;YES)、出力制御部130は、選択操作中の施策を選択することができない旨を表示装置7に表示させ(S197)、その施策の選択操作をキャンセルする(S198)。
【0085】
出力制御部130は、他の排他施策で既に選択状態となっている施策がない場合(S194;NO)、又は、施策の選択操作がキャンセルされた場合(S198)、次のような処理を実行する。出力制御部130は、選択操作中の施策と同じ排他施策グループに属する各施策について算出されている削減量及び限界削減費用のリストを表示させるための画面データを生成し、表示装置7に表示させる(S195)。このとき、出力制御部130は、対象となる各施策についての削減量及び限界削減費用の算出をグラフデータ生成部120に依頼してもよい。また、出力制御部130は、当該リストにおいて、選択操作中の施策、又は、既に選択状態となっている施策を未選択の施策と区別可能に表示させ、かつ、所望の施策を選択可能に当該リストを表示させる(S195)。
【0086】
ユーザは、このリスト画面を参照することで、選択操作中の施策と排他関係にある各施策についての削減量及び限界削減費用を確認することができ、所望の施策を選択することができる。具体的には、ユーザは、当該リスト画面を操作することにより、既に選択状態となっている排他施策から他の施策に選び直すことや、処理(S191)で選択された施策から他の排他施策に選び直すことができる。
【0087】
続いて、出力制御部130は、第3実施形態に示したような変動変数のリスト、又は、そのような変動変数のみを変えるための条件リストを表示させるよう変数値取得部110に指示し、グラフデータ生成部120にこの変動変数の値を用いて削減量及び限界削減費用を再計算させ、当該削減量及び当該限界削減費用のリストを再表示させる(S196)。出力制御部130は、このリスト画面も処理(S195)で表示させたリスト画面と同様に、選択操作中の施策、又は、既に選択状態となっている施策を未選択の他の施策と区別可能に表示させ、かつ、所望の施策を選択可能に表示させる。なお、第6実施形態を第3実施形態の構成を含まない実施形態に適用した場合には、この処理(S196)は省かれてもよい。
【0088】
最終的に、出力制御部130は、処理(S195)又は処理(S196)で表示された画面上で選択された施策を選択状態に設定する(S199)。
【0089】
〔第6実施形態における作用及び効果〕
このように第6実施形態では、同時に選択不可能な施策の組み合わせが管理され、そのような排他的関係にある施策どうしが同時に選択されないように制御される。これにより、第6実施形態によれば、生成される限界費用曲線から矛盾する施策を排除することができ、ひいては、正確な限界費用曲線を生成することができる。
【0090】
[第7実施形態]
上述の第6実施形態では、ユーザの操作により施策が選択される際の制御例を示した。第7実施形態におけるグラフ生成装置10は、第6実施形態と同様に、排他施策グループを考慮しつつ、最適な施策セットを自動選択する。
【0091】
図20は、第7実施形態におけるグラフ生成装置10の構成例を概念的に示すブロック図である。第7実施形態におけるグラフ生成装置10は、第1実施形態の構成に加えて、排他施策パターン取得部221を更に有する。以下、第7実施形態におけるグラフ生成装置10を構成する各処理部について第1実施形態と異なる内容を中心に説明する。なお、ここでは、第7実施形態に関連する構成を第1実施形態に適用した例を示すが、当該新たな構成は、他の実施形態に適用されてもよい。
【0092】
第7実施形態においても、施策関数DB150は、第6実施形態と同様の排他施策グループテーブルを含む(図18参照)。排他施策グループテーブルには、同時に選択することができない排他的な関係を有する施策の組み合わせが排他施策グループとして格納される。
【0093】
排他施策パターン取得部221は、上記排他施策グループテーブルに格納される複数の排他施策グループの中の、同じ施策識別子を少なくとも1つ含む複数の排他施策グループから、選択され得る施策の組み合わせを複数含む排他施策パターンを取得する。排他施策パターン取得部221は、取得された排他施策パターンを図21に示すような排他施策パターンテーブルに格納する。排他施策パターンテーブルは、例えば、施策関数DB150内に設けられる。
【0094】
図21は、排他施策パターンテーブルの例を示す図である。排他施策パターンテーブルは、排他施策パターン毎に、複数の施策組み合わせ、各施策組み合わせについての削減量の合計(Fe関数の算出結果の合計)がそれぞれ格納される。図21の例は、図18に示した排他施策グループテーブルの例から取得される排他施策パターンが示されている。
【0095】
図18の例によれば、排他施策グループ1、2及び3は、少なくとも1つの同じ施策IDを含む。具体的には、施策1は、排他施策グループ1、2及び3にそれぞれ含まれ、施策5は、排他施策グループ1及び3にそれぞれ含まれ、施策9は、排他施策グループ2及び3にそれぞれ含まれる。この例によれば、施策1が選択された場合には、排他施策グループ1、2及び3に含まれる他の全ての施策(施策3、施策5、施策7及び施策9)は選択対象から除外すべきである。施策5が選択された場合には、施策1、施策3及び施策9は選択対象から除外すべきであるが、施策7は選択対象となり得る。
【0096】
このような関係に基づいて、排他施策パターン取得部221は、排他施策グループ1、2及び3から、図21に示す排他施策パターン1を取得する。図21の例における排他施策パターン1は、排他施策グループ1、2及び3に含まれる全施策で選択され得る施策の組み合わせを含む。つまり、排他施策パターン1は、施策1、3、5、7及び9を選択対象とする場合、施策1が選択されるパターン、施策3及び7が選択されるパターン、施策3及び9が選択されるパターン、施策5及び7が選択されるパターンのいずれか1つしか選択できないことを意味する。
【0097】
排他施策パターン取得部221は、上述のような排他施策パターンが取得された場合、各施策組み合わせについて削減量の合計を算出するように、グラフデータ生成部120に依頼する。
【0098】
これに応じて、グラフデータ生成部120は、第1実施形態と同様の手法により、各施策に関する削減量をそれぞれ算出し、各施策組み合わせについてそれぞれ削減量の合計を算出する。グラフデータ生成部120は、算出された削減量の合計を排他施策パターンテーブルに格納する。グラフデータ生成部120は、各排他施策パターンに関し、削減量の合計が最大となる施策の組み合わせをそれぞれ抽出し、各排他施策パターンから抽出されなかった組み合わせに含まれる施策を生成対象から除外する。更に、グラフデータ生成部120は、排他施策グループ間で共通する施策を含まない排他施策グループに属する施策については、最も大きい削減量となる施策以外を生成対象から除外する。グラフデータ生成部120は、このように除外されなかった施策を対象にして、限界費用曲線を示すデータを生成する。
【0099】
なお、本実施形態においても、図14に示すように、各変数が示す内容に応じて、グラフ生成装置10全体として同じ内容を示す変数及び異なる内容を示す変数がそれぞれ区別可能に定義されることが望ましい。これにより、より正確な削減量の合計が算出されるからである。
【0100】
〔第7実施形態の作用及び効果〕
このように、第7実施形態では、同時に選択不可能な施策の組み合わせ(排他施策グループ)が管理されると共に、同じ施策を含む複数の排他施策グループが存在する場合には、そのような複数の排他施策グループから、同時に選択され得る施策の組み合わせを複数含む排他施策パターンが取得される。そして、各排他施策パターンについて、削減量の合計が最大となる施策組み合わせのみがそれぞれ自動選択され、かつ、各排他施策グループの中から最大の削減量となる施策のみがそれぞれ自動選択され、このように自動選択された施策を対象として限界費用曲線を示すデータが生成される。
【0101】
従って、第7実施形態によれば、最大の削減量となる施策セットについての限界費用曲線が生成されるため、ユーザは、最も効果の高い施策セットを知ることができると共に、そのような施策セットの限界費用曲線を容易に参照することができる。また、同時に選択することができない施策を含む限界費用曲線が生成された場合、削減効果が過大評価されることになるが、上述のような排他施策制御を行うことにより、過大評価要素を適切に排除することができる。
【0102】
上述の例では、最も効果の高い施策セットを選択する上で削減量の指標を用いたが、限界削減費用(Fc関数で算出される値)を用いるようにしてもよい。この場合には、図21に示される排他施策パターンテーブルには、算出された限界削減費用が格納され、最も限界削減費用が小さい施策組み合わせのみが自動選択される。同様に、各排他施策グループの中から最小の限界削減費用となる施策のみがそれぞれ自動選択される。
【0103】
[第8実施形態]
複数の施策の中には、第6実施形態及び第7実施形態で説明したような排他的な関係にある施策セットの他、効果(削減量又は限界削減費用)に影響を及ぼし合う施策セットが含まれる場合がある。第8実施形態におけるグラフ生成装置10は、このような効果に影響を及ぼし合う関係にある施策の組み合わせを管理し、このような施策の組み合わせの効果が最大となるように変数を適正化する。
【0104】
図22は、第8実施形態におけるグラフ生成装置10の構成例を概念的に示すブロック図である。第8実施形態におけるグラフ生成装置10は、第1実施形態の構成に加えて、変数値適正化部231を更に有する。以下、第8実施形態におけるグラフ生成装置10を構成する各処理部について第1実施形態と異なる内容を中心に説明する。なお、ここでは、第8実施形態に関連する構成を第1実施形態に適用した例を示すが、当該新たな構成は、他の実施形態に適用されてもよい。
【0105】
第8実施形態における施策関数DB150は、第1実施形態の構成に加えて、関連施策グループテーブルを更に含む。図23は、関連施策グループテーブルの例を示す図である。関連施策グループテーブルには、効果に影響を及ぼし合う関係にある施策の組み合わせが関連施策グループとして格納される。図23の例では、関連施策グループ1として設定されている施策4、施策5及び施策6は、相互に効果に影響を及ぼし合う。ここで、効果に影響を及ぼし合うとは、各施策の施策関数に共通の内容を示す変数(例えば、同室の設定温度情報等)が含まれる関係を意味する。関連施策グループテーブルは、関連施策グループ格納手段と呼ぶことができる。
【0106】
第8実施形態における施策関数テーブルには、第4実施形態と同様に、各変数が示す内容に応じて、グラフ生成装置10全体として同じ内容を示す変数及び異なる内容を示す変数がそれぞれ区別可能に定義される(図14参照)。よって、例えば、施策1のFe1関数及び施策2のFe2関数に同じ内容を示す変数(例えば、外気温度を示す変数)が含まれる場合には、Fe1関数及びFe2関数には、同じ変数x18が利用される。
【0107】
変数値適正化部231は、上記関連施策グループテーブルに格納される各関連施策グループに含まれる施策の合計削減量又は合計限界削減費用が最大となるように、各関連施策グループに含まれる施策の第1関数又は第2関数に含まれる各変数の値をそれぞれ決定する。図23の例を用い、施策4、5及び6の各Fe関数をFe4、Fe5及びFe6とした場合、変数値適正化部231は、関連施策グループ1に関し、以下のような式のGe1が最大値となるように、Fe4、Fe5及びFe6に含まれる各変数の値をそれぞれ決定する。なお、このとき、Fe4、Fe5及びFe6には、少なくとも1つの共通の変数xが含まれる。
Ge1=Fe4+Fe5+Fe6
【0108】
変数値適正化部231は、決定された変数値を施策関数DB150内の変数テーブルに反映させる。これにより、グラフデータ生成部120は、変数値適正化部231により決定された変数値を用いて、各施策に関する削減量及び限界削減費用をそれぞれ算出し、算出された削減量及び限界削減費用で表される領域を含む限界費用曲線を示すデータを生成する。なお、各施策関数に含まれる変数には、第3実施形態において説明したように、固定変数と変動変数とが存在する。変数値適正化部231は、変動変数のみを対象にして上記のような変数値の適正化をすることが望ましい。この場合には、変数値適正化部231は、関連施策グループに含まれる施策の各施策関数について、変動変数を特定し得る情報をそれぞれ保持する。
【0109】
〔第8実施形態の作用及び効果〕
このように、第8実施形態では、算出される削減量又は限界削減費用に影響を及ぼし合う施策セットが関連施策グループとして管理され、各関連施策グループに関し、合計削減量又は合計限界削減費用が最大となるように、影響を及ぼし合う施策の施策関数に含まれる各変数の値がそれぞれ決定される。従って、第8実施形態によれば、効果に影響を及ぼし合う施策の組み合わせを加味しながら、最も効果が高くなるような変数値を自動で設定することができる。
【0110】
ところで、同じ関連施策グループに含まれる複数の施策の中に、ユーザに選択されなかった施策が含まれる場合があり得る。この場合、関連施策グループに含まれる施策の中からその選択されていない施策を単純に除外して、上述のような変数の最適化をすることはできない。そこで、関連施策グループに含まれる施策の各施策関数に、施策の実施程度を示す変数を設け、ユーザに選択されなかった施策についてはこの実施程度を示す変数の値をゼロに設定した上で、上述のような変数の最適化の計算をすればよい。
【0111】
[第9実施形態]
第9実施形態におけるグラフ生成装置10は、上述の第8実施形態と同様に、効果に影響を及ぼし合う関係にある施策セットを加味しながら、上述の第8実施形態とは異なる手法により変数を適正化する。第9実施形態におけるグラフ生成装置10は、第8実施形態と同様の構成を持ち、変数値適正化部231の処理のみが第8実施形態と異なる。
【0112】
変数値適正化部231は、関連施策グループテーブルに格納される関連施策グループに含まれる複数の施策の中から、削減量又は限界削減費用が最大となり得る施策を順次選択し、選択された施策に含まれる各変数の値を当該削減量又は当該限界削減費用が最大となるようにそれぞれ決定する。
【0113】
〔動作例〕
図24は、第9実施形態における変数値適正化部231の動作例を示すフローチャートである。変数値適正化部231は、関連施策グループテーブルに格納される全ての関連施策グループに関し、図24に示す処理を実行する。なお、以下の説明では、削減量を指標として変数値を適正化する例を示すが、限界削減費用を指標として変数値が適正化されてもよい。
【0114】
変数値適正化部231は、関連施策グループテーブルからいずれか1つの関連選択グループを抽出する(S241)。変数値適正化部231は、抽出された関連施策グループに含まれる各施策に関し、算出され得る最大の削減量をそれぞれ算出する(S242)。ここでは、変数値適正化部231は、共通内容を示す変数の値を施策毎に変えながら最大の削減量をそれぞれ算出する。
【0115】
次に、変数値適正化部231は、算出され得る削減量が最も大きい施策を特定し(S243)、その特定された施策に関し、未だ決定されていない変数の値を当該削減量が最大となるように決定する(S244)。ここでは、いずれの変数の値も未だ決定されていないため、特定された施策に含まれる各変数の値が決定される。変数の値を決定すると、変数値適正化部231は、その特定されていた施策を対象から除外する(S245)。
【0116】
変数値適正化部231は、関連施策グループに含まれる他の施策がなくなると(S246;NO)、処理を終了する。変数値適正化部231は、関連施策グループに含まれる他の施策が有る場合(S246;YES)、他の施策の中から、算出され得る削減量が次に大きい施策を特定する(S247)。
【0117】
変数値適正化部231は、特定された施策の施策関数に値が未だ決定されていない変数が有るか否かを判定する(S248)。変数値適正化部231は、値が未だ決定されていない変数が有る場合(S248;YES)、上記処理(S244)以降を実行する。一方、変数値適正化部231は、特定された施策の施策関数に値が未だ決定されていない変数がない場合(S248;NO)、上記処理(S245)以降を実行する。
【0118】
〔第9実施形態の作用及び効果〕
このように、第9実施形態では、算出される削減量又は限界削減費用に影響を及ぼし合う施策セットが関連施策グループとして管理され、各関連施策グループに関し、算出され得る削減量が最大となる施策から優先的にその削減量が最大となるように変数の値が決定される。従って、第9実施形態によれば、第8実施形態と同様に、効果に影響を及ぼし合う施策の組み合わせを加味しながら、最も効果が高くなるような変数値を自動で設定することができる。
【0119】
ここで、関連施策グループに含まれる施策の各施策関数に施策の実施程度を示す変数を設け、この変数に、当該関連施策グループから抽出された順に(優先度の高い順に)、高い実施程度を示す値を自動で設定するようにしてもよい。例えば、一番先に抽出された施策における実施程度を示す変数には最大値(例えば、1)が設定され、次に抽出された施策における実施程度を示す変数には次に大きい値(例えば、0.5)が設定され、最後に抽出された施策における実施程度を示す変数には最小値(例えば、0)が設定される。このようにすれば、変数の値を適正化できると共に、各施策のお勧めの実施程度をユーザに提示することができる。
【0120】
[第1変形例]
上述の各実施形態において、施策の属性に応じて、施策毎に限界費用曲線のグラフ表示を切り替えるようにしてもよい。例えば、施策は、施策の性質に応じて、1回のみ実施され完了する施策(以降、固定施策と表記する)、定期的に複数回実施される施策(以降、変動施策と表記する)、実施程度により削減量の余地が減っていく施策等に分類することができる。更に、施策は、施策の実施状況に応じて、実施済みの施策と未実施の施策とに分類することもできる。そこで、第1変形例におけるグラフ生成装置10は、限界費用曲線に含まれる各施策領域の表示を、実施済みの固定施策と、実施中の変動施策と、未実施の施策との間で切り替える。
【0121】
図25は、第1変形例により出力される限界費用曲線の例を示す図である。図25の例によれば、施策1、施策4及び施策7が未実施の施策であり、施策2及び施策5が実施済みの固定施策であり、施策3及び施策6が実施中の変動施策であり、各施策の表示領域(棒グラフ)は、それぞれ異なる形態で表示される。
【0122】
第1変形例では、施策関数DB150に施策属性テーブルを更に含む。この施策属性テーブルでは、各施策について、施策の分類及び施策の実施状況がそれぞれ格納される。これにより、施策属性テーブルは、施策属性格納手段と呼ぶこともできる。施策の分類として、固定施策か変動施策かが設定され、施策の実施状況として、未実施か実施済みかが設定される。これら各施策の情報は、ユーザにより入力されてもよいし、他の装置(図示せず)から送られてきてもよい。
【0123】
グラフデータ生成部120は、削減量及び限界削減費用を示す領域(棒グラフ)の表示形態が上記施策属性テーブルに格納される各施策の分類及び実施状況に対応する状態に設定されたデータを、限界費用曲線を示すデータの一部として生成する。なお、表示形態は、色であってもよいし、模様であってもよいし、それらの組み合わせであってもよい。
【0124】
また、第1変形例におけるグラフ生成装置10は、限界費用曲線内の各施策の表示及び非表示を切り替えるようにしてもよい。図26は、第1変形例により出力される限界費用曲線の他の例を示す図である。図26の例によれば、限界費用曲線が、未実施の施策のみから形成される。図26の例に限られず、実施済みの固定施策、又は、実施済みの変動施策、若しくは、それら両方のみから形成される限界費用曲線が生成されてもよい。この場合には、グラフデータ生成部120は、施策関数DB150に格納される各施策の情報を参照することにより、各施策の表示及び非表示を判定し、表示されるべき施策の領域のみを含む限界費用曲線を示すデータを生成する。
【0125】
例えば、上述のような施策毎の表示切り替えは、表示装置7上での限界費用曲線の表示画面に設けられたメニューの操作を契機とする。グラフデータ生成部120は、当該メニュー操作に対応する入力情報を入力装置8から入出力I/F3を介して取得し、その入力情報で示される表示形態で、限界費用曲線を示すデータを生成する。
【0126】
このような第1変形例によれば、限界費用曲線をユーザにとって把握し易いものとすることができる。例えば、第1変形例によれば、削減計画立案における追加的施策選択を容易にする。
【0127】
上述の各実施形態及び各変形例で利用される施策関数は、様々な手法により定義され、予め、施策関数DB150の施策関数テーブルに格納される。施策関数は、理論値に基づいて定義されてもよいし、既存の算出理論に基づいて定義されてもよいし、計測データやその他の方法で収集した事例データの統計解析結果を用いて新たに類推されてもよい。以下、施策関数の具体例を説明する。なお、上述の各実施形態及び各変形例で利用される施策関数は、以下の例に限定されない。
【0128】
[第2変形例]
上述の各実施形態では、施策関数として、削減量を算出するためのFe関数、及び、限界削減費用を算出するためのFc関数が設けられたが、更に、快適性を示す値(以降、快適性値と表記する)を算出するための第3関数(以降、Ft関数と表記する)が設けられてもよい。図27は、第2変形例における施策関数テーブルの例を示す図である。即ち、各施策に関し、Fe関数、Fc関数及びFc関数がそれぞれ定義される。この場合には、変数テーブル及び係数テーブルに、Ft関数に含まれる変数及び係数が定義されればよい。Ft関数に対する処理は、Fe関数及びFc関数に対する処理と同様となる。また、グラフデータ生成部120は、Ft関数に基づいて快適性値も更に算出し、算出された削減量、限界削減費用及び快適性値で表される領域を含む限界費用曲線を示すデータを生成する。出力制御部130は、削減量、限界削減費用及び快適性値の3軸から形成される3次元のグラフを表示させるための画面データを生成してもよいし、いずれか2つを軸とする2次元のグラフを切替え可能に表示させるための画面データを生成してもよい。
【実施例1】
【0129】
既存照明を高効率照明へ切り替える施策についての施策関数は、例えば、以下の(式1)及び(式2)のように定義される。(式1)はFe関数の例であり、(式2)はFc関数の例である。以下の施策関数は、理論値に基づいて定義された例であるといえる。
Fe1={Σ(x11×x12×x13)}×k11 (式1)
Fc1=Σ(x14×x12)−Σ(Fe/k11/k12×x15) (式2)
【0130】
上記(式1)及び上記(式2)において、変数x11は照明当たりの消費電力削減量を示し、変数x12は照明本数を示し、変数x13は使用時間(h)を示し、係数k11は、電力(W)を電力量(J)に変換するときの定義が秒(W=J/s)であることに合わせるための単位換算係数であり、変数x13の単位が(h)であるため、3600(1h=3600s)に設定される。また、変数x14は照明単価を示し、変数x15は電力量単価を示す。電力会社による電力量単価は通常(円/kWh)で示されるため、係数k12は、WをkWに変換するために設けられ、1000に設定される。
【0131】
本実施形態では、上記施策が選択された場合には、その施策に対応する上記(式1)及び(式2)で示される施策関数が特定され、その後、当該施策関数に含まれる各変数の値が、その施策を実施する上での条件に応じて設定される。以下、各変数値の具体的設定例について説明する。
【0132】
ここで、上記施策を実施するビルにおいて、3つの切り替えタイプが存在していると仮定する。或るタイプはビルの特定の場所には適用するが他の場所には適用しない等といった適用範囲にも制限が存在する。タイプ1は、消費電力が100(W)で単価がc01(円)の既存照明から、消費電力が60(W)で単価がc11(円)の高効率照明へ切り替える形態を示す。タイプ2は、消費電力が40(W)で単価がc02(円)の既存照明から、消費電力が20(W)で単価がc12(円)の高効率照明へ切り替える形態を示す。タイプ3は、消費電力が100(W)で単価がc03(円)の既存照明から、消費電力が50(W)で単価がc13(円)の高効率照明へ切り替える形態を示す。この場合、上記Fe関数の変数x11については、タイプ1の値が40(W)に設定され、タイプ2の値が20(W)に設定され、タイプ3の値が50(W)に設定される。
【0133】
更に、上記施策を実施するビルで適用条件毎に存在する上記各タイプの照明の本数に応じて、上記x12は、次のように設定される。タイプ1に対応する変数x12の値(照明の本数)がX1に設定され、タイプ2に対応する変数x12の値がX2に設定され、タイプ3に対応する変数x12の値がX3に設定される。
【0134】
また、上記施策を実施するビルにおける各タイプに対応する照明の使用時間に応じて、上記x13は、次のように設定される。使用時間を一日の稼働時間と年間の稼働日数との積で示した場合、タイプ1に対応する変数x13の値(使用時間)はa1(時間/日)とb1(日/年)との積(a1×b1)に設定され、タイプ2に対応する変数x13の値はa2(時間/日)とb2(日/年)との積(a2×b2)に設定され、タイプ3に対応する変数x13の値はa3(時間/日)とb3(日/年)との積(a3×b3)に設定される。
【0135】
また、上述した各タイプの照明の単価の変化に応じて、上記x14は、次のように設定される。タイプ1に対応する変数x14の値はc11とc01の差(c11−c01)に設定され、タイプ2に対応する変数x14の値はc12とc02の差(c12−c02)に設定され、タイプ3に対応する変数x14の値はc13とc03の差(c13−c03)に設定される。
【0136】
また、上記施策を実施するビルにおける電気量単価に応じて、変数x15の値がda(円)に設定される。この電力量単価には、例えば、全国平均の電力単価や契約電力会社の電力単価等が利用される。
【0137】
このように各変数の値が設定されると、上述のようなFe関数及びFc関数に基づいて、以下のように、エネルギー削減量(J)と限界削減費用(円)とが算出される。
エネルギー削減量={40×(X1)×(a1×b1)+20×(X2)×(a2×b2)+50×(X3)×(a3×b3)}×3600
限界削減費用={(c11−c01)×(X1)+(c12−c02)×(X2)+(c13−c03)×(X3)}−{40×(X1)×(a1×b1)+20×(X2)×(a2×b2)+50×(X3)×(a3×b3)}×da/1000
【実施例2】
【0138】
空調の設定温度を変える施策についての施策関数は、例えば、以下の(式3)及び(式4)のように定義される。(式3)はFe関数の例であり、(式4)はFc関数の例である。以下の施策関数は、理論値からの関数と類推される関数の組合せからなる関数であり、計測データ及び事例データの統計解析結果を用いて新たに係数を類推することにより、関数を特定した例であるといえる。
Fe2={k21×x20×x21×x22+x23+x24}−{k21×x25×x21×x22+x27+x28} (式3)
Fc2=−(Fe2/k22×x29)/1000 (式4)
【0139】
上記(式3)及び(式4)において、係数k21は熱損失係数を示し、変数x20は変更前の設定温度の外気温度との差を示し、変数x25は変更後の設定温度の外気温度との差を示し、変数x21は部屋の稼働時間を示し、変数x22は床面積を示し、変数x23は変更前の設定温度における空調機器の稼働ロスを示し、変数x27は変更後の設定温度における空調機器の稼働ロスを示し、変数x24は変更前の設定温度における送風ロスを示し、変数x28は変更前の設定温度における送風ロスを示す。係数k22は3600に設定され、変数x29は電気量単価を示す。ここで、例えば、係数k21により示される熱損失係数は、例えば、ビルの規模、業種、入居部門、建築年、立地条件、地域等の変数を用いて重回帰分析を行うことにより類推される値に設定される。
【0140】
なお、上述の説明で用いた複数のフローチャートでは、複数のステップ(処理)が順番に記載されているが、本実施形態で実行される処理ステップの実行順序は、その記載の順番に制限されない。本実施形態では、図示される処理ステップの順番を内容的に支障のない範囲で変更することができる。また、上述の各実施形態及び各変形例は、内容が相反しない範囲で組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0141】
1 CPU
2 メモリ
3 入出力インタフェース(I/F)
7 表示装置
8 入力装置
10 限界費用曲線生成装置(グラフ生成装置)
100 施策情報取得部
110 変数値取得部
120 グラフデータ生成部
130 出力制御部
140 変数値パターン特定部
150 施策関数データベース(DB)
160 パターンデータベース(DB)
201 変数値推定部
202 変数値データベース(DB)
211 係数値更新部
221 排他施策パターン取得部221
231 変数値適正化部
【技術分野】
【0001】
本発明は、削減量を横軸に示し、限界削減費用を縦軸に示し、各施策に関する削減量及び限界削減費用を示す各領域を横軸方向に並べることにより形成される限界費用曲線の生成技術に関する。
【背景技術】
【0002】
地球温暖化対策の一環として、温室効果ガス(GHG)の排出量の削減が強く求められている。このようなGHG排出量の削減を実現するために、例えば、図28に示されるような、GHG削減サイクルとも呼ばれる手法が実行される。
【0003】
図28は、GHG削減サイクルの例を示した概念図である。図28に示されるように、GHG削減サイクルでは、センシング機器等により、ビル、工場等のような対象設備のGHG排出データを収集する工程、収集されたデータを集計及び分析する工程、分析されたデータに基づいて最適な削減対策を立案する工程、立案された対策を現場において実行する工程が繰り返される。これにより、或る対策を実際に実行した結果から次の対策案が立案されるため、最適なGHG排出量の削減対策を実行することができる。
【0004】
一方、上述のような施策の効果や目標を視覚的に把握するために、各施策(各技術)について限界削減費用と呼ばれる指標及びGHG排出削減量をそれぞれ示した限界費用曲線(限界削減費用曲線とも呼ばれる)が利用される。図29は、GHG排出量削減に関する限界費用曲線の例を示す図である。図29に示されるように、GHG排出量削減に関する限界費用曲線のグラフは、追加的削減費用を縦軸に示し、GHG削減量を横軸に示す。なお、追加的削減費用とは、限界削減費用とも呼ばれる。
【0005】
限界削減費用とは、一定量(図29では1トン)のGHGを削減するのに必要な費用を意味し、その施策の初期投資額からその施策導入後に削減される費用を減算することにより得られる。当該限界費用曲線は、施策毎に区分けされており、限界削減費用の小さい施策から順に横軸の左から右の方向へ並べられることにより形成される。例えば、図29によれば、施策1は、限界削減費用が負の値を示すため、削減される費用が初期投資額を上回る効果的な施策であることを示している。
【0006】
このような限界費用曲線を用いる技術として、下記特許文献1及び2には、限界費用曲線を用いて、取引者に対する電力取引所における最適な取引を支援する手法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−280204号公報
【特許文献2】特開2007−041969号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述のような限界費用曲線では、それを形成する要素である施策毎に、横軸及び縦軸の各値の算出手法がそれぞれ異なる。また、複数の施策の中には、同時に選択することができない施策セット、その効果に相互に影響を及ぼしあう施策セット等のように、相互関連する施策セットが含まれる場合がある。このような性質が、限界費用曲線の作成を一層困難にしており、現状、限界費用曲線の作成には多大な労力が必要となっている。
【0009】
本発明の目的は、削減量を横軸に示し、限界削減費用を縦軸に示し、各施策に関する削減量及び限界削減費用を示す各領域を横軸方向に並べることにより形成される限界費用曲線を効率よく生成する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の各態様では、上述した課題を解決するために、それぞれ以下の構成を採用する。
【0011】
本発明の第1態様は、削減量を横軸に示し、限界削減費用を縦軸に示し、各施策に関する削減量及び限界削減費用を示す各領域を横軸方向に並べることにより形成される限界費用曲線を生成する限界費用曲線生成装置に関する。第1態様に係る限界費用曲線生成装置は、各施策について、施策識別子、削減量を算出するための第1関数、及び、限界削減費用を算出するための第2関数をそれぞれ格納する関数格納手段と、限界費用曲線に含めるべき施策を特定するための施策識別子を取得する施策情報取得手段と、この施策情報取得手段により取得された施策識別子に対応する第1関数及び第2関数に含まれる各変数の値をそれぞれ取得する変数値取得手段と、この変数値取得手段により取得された各変数値を第1関数及び第2関数に適用することにより、限界費用曲線に含めるべき施策に関する削減量及び限界削減費用を算出し、算出された削減量及び限界削減費用で表される領域を含む限界費用曲線を示すデータを生成するグラフデータ生成手段と、を備える。
【0012】
本発明の第2態様は、上述のような限界費用曲線を生成する限界費用曲線生成方法に関する。第2態様に係る限界費用曲線生成方法では、各施策について、施策識別子、削減量を算出するための第1関数、及び、限界削減費用を算出するための第2関数をそれぞれ格納する関数格納部を備えるコンピュータが、限界費用曲線に含めるべき施策を特定するための施策識別子を取得し、この取得された施策識別子に対応する第1関数及び第2関数に含まれる各変数の値をそれぞれ取得し、この取得された各変数値を第1関数及び第2関数に適用することにより、限界費用曲線に含めるべき施策に関する削減量及び限界削減費用を算出し、この算出された削減量及び限界削減費用で表される領域を含む限界費用曲線を示すデータを生成することを含む。
【0013】
本発明の第3態様は、上述のような限界費用曲線をコンピュータに生成させるプログラムに関する。第3態様に係るプログラムは、上記コンピュータに、上述の第1態様における各手段をそれぞれ実現させる。本発明の他の態様としては、第3態様に係るプログラムを記録したコンピュータが読み取り可能な記憶媒体であってもよい。
【発明の効果】
【0014】
上記各態様によれば、削減量を横軸に示し、限界削減費用を縦軸に示し、各施策に関する削減量及び限界削減費用を示す各領域を横軸方向に並べることにより形成される限界費用曲線を効率よく生成する技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第1実施形態における限界費用曲線生成装置(グラフ生成装置)の構成例を概念的に示すブロック図。
【図2】施策関数テーブルの例を示す図。
【図3】変数テーブルの例を示す図。
【図4】係数テーブルの例を示す図。
【図5】Fe関数及びFc関数と限界費用曲線との関係を示す図。
【図6】第1実施形態におけるグラフ生成装置の動作例を示すフローチャート。
【図7】第2実施形態におけるグラフ生成装置の構成例を概念的に示すブロック図。
【図8】パターン定義テーブルの例を示す図。
【図9】変数値パターンテーブルの例を示す図。
【図10】条件入力画面の例を示す図。
【図11】変数値パターンと条件情報との関連情報を格納するテーブルの例を示す図。
【図12】変動変数定義テーブルの例を示す図。
【図13】第4実施形態におけるグラフ生成装置の構成例を概念的に示すブロック図。
【図14】第4実施形態における施策関数テーブルの例を示す図。
【図15】変数値更新管理テーブルの例を示す図。
【図16】第5実施形態におけるグラフ生成装置の構成例を概念的に示すブロック図。
【図17】第5実施形態における変数テーブルの例を示す図。
【図18】排他施策グループテーブルの例を示す図。
【図19】第6実施形態におけるグラフ生成装置の動作例を示すフローチャート。
【図20】第7実施形態におけるグラフ生成装置の構成例を概念的に示すブロック図。
【図21】排他施策パターンテーブルの例を示す図。
【図22】第8実施形態におけるグラフ生成装置の構成例を概念的に示すブロック図。
【図23】関連施策グループテーブルの例を示す図。
【図24】第9実施形態における変数値適正化部の動作例を示すフローチャート。
【図25】第1変形例により出力される限界費用曲線の例を示す図。
【図26】第1変形例により出力される限界費用曲線の他の例を示す図。
【図27】第2変形例における施策関数テーブルの例を示す図。
【図28】GHG削減サイクルの例を示した概念図。
【図29】GHG排出量削減に関する限界費用曲線の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下に挙げる各実施形態はそれぞれ例示であり、本発明は以下の各実施形態の構成に限定されない。
【0017】
[第1実施形態]
〔装置構成〕
図1は、第1実施形態における限界費用曲線生成装置の構成例を概念的に示すブロック図である。第1実施形態における限界費用曲線生成装置(以降、単にグラフ生成装置とも表記する)10は、施策情報取得部100、変数値取得部110、グラフデータ生成部120、出力制御部130、施策関数データベース(DB)150等を有する。
【0018】
グラフ生成装置10は、例えば、バス5で相互に接続される、CPU(Central Processing Unit)1、メモリ2、入出力インタフェース(I/F)3等を有する。メモリ2は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、ハードディスク、可搬型記憶媒体等である。入出力I/F3は、表示装置7、入力装置8等に接続される。グラフ生成装置10は、CPU1によりメモリ2に記憶されるプログラムが実行されることで上記各処理部を実現する。施策関数DB150は、メモリ2上で実現される。なお、本実施形態は、グラフ生成装置10のハードウェア構成を限定しない。
【0019】
施策関数DB150は、施策関数に関するデータを格納する。施策関数DB150は、関数格納手段と呼ぶこともできる。施策関数とは、施策の実施に伴う削減量を算出するための第1関数(以降、Fe関数と表記する)と、施策の実施に伴う限界削減費用を算出するための第2関数(以降、Fc関数と表記する)とを意味する。施策関数は、施策毎にそれぞれ提供される。施策とは、例えば、高効率照明への切り替え、部屋の設定温度の変更等のようなGHG排出量を削減するための施策である。この場合、削減量とは、GHG排出量の削減量であり、限界削減費用とは、一定量のGHGを削減するのに必要な費用である。限界削減費用は、エネルギー削減時のコスト削減のように、マイナスの値を示す場合もある。なお、本実施形態は、施策、削減量、限界削減費用をこのようなGHG排出量削減に関する例に限定しない。
【0020】
施策関数DB150は、施策関数テーブル、変数テーブル、係数テーブル等を含む。図2は、施策関数テーブルの例を示す図である。施策関数テーブルには、各施策について、施策識別子、Fe関数、及び、Fc関数がそれぞれ格納される。Fe関数及びFc関数は、少なくとも1つの変数及び少なくとも1つの係数を含む。図2では、係数がkで示され、変数がxで示されている。施策関数に含まれる係数は、施策毎に決められる値である。施策関数に含まれる変数は、その施策を実施する上での条件に応じて設定される値である。なお、図2の例では、各変数は、施策毎にそれぞれ異なることを前提として定義されるが、各変数が示す内容に応じて、グラフ生成装置10全体として同じ内容を示す変数及び異なる内容を示す変数を区別可能に定義するようにしてもよい。例えば、外気温度を示す変数が施策1及び施策2で利用される場合には、その変数が、同じ内容を示すことを特定し得るような形態で、施策関数テーブル内の施策1及び施策2の各レコードにそれぞれ定義される。
【0021】
この条件とは、施策を実施する対象(建物、組織等)や、その施策の実施に伴い快適性が損なわれることを望まない等といった施策に対する意識などに応じて設定される。よって、言い換えれば、施策関数に含まれる変数は、施策を実施する対象や施策に対する意識等に応じて変更される値である。なお、図2の例では、各関数を識別するための施策関数IDが各関数についてそれぞれ格納される。
【0022】
図3は、変数テーブルの例を示す図である。変数テーブルには、上述の施策関数テーブルに格納される各施策関数について、各施策関数に含まれる各変数に代入される値がそれぞれ格納される。図2及び図3の例によれば、Fe1関数に関し、第1変数x1に代入される値(40)、第2変数x2に代入される値(60)、第3変数x3に代入される値(2000)が格納され、Fc1関数に関し、第1変数x1に代入される値(100)、第2変数x2に代入される値(10)が格納される。図3の例では、各施策関数に存在しない変数のカラムには、値が格納されていない。
【0023】
図4は、係数テーブルの例を示す図である。係数テーブルには、上述の施策関数テーブルに格納される各施策関数について、各施策関数に含まれる各係数の値がそれぞれ格納される。図2及び図4の例によれば、Fe1関数に関し、第1係数k1の値(4.5)、第2係数k2の値(3)、第3係数k3の値(10)が格納され、Fc1関数に関し、第1係数k1の値(10)、第2係数k2の値(2)が格納される。図4の例では、各施策関数に存在しない係数のカラムには、値が格納されていない。
【0024】
なお、本実施形態では、係数値を係数テーブルに施策関数テーブルとは別に保持する例を示したが、係数値は、施策関数として施策関数テーブルに格納されるようにしてもよい。また、本実施形態において、当該施策関数は、施策関数DB150の施策関数テーブルに格納される例を示したが、プログラムの1要素として定義されるようにしてもよい。
【0025】
施策情報取得部100は、限界費用曲線に含めるべき施策を特定するための施策識別子(施策ID)を取得する。例えば、施策情報取得部100は、上記施策関数テーブルから、当該施策IDを取得する。また、施策情報取得部100は、表示装置7に入出力I/F3を介して施策のリストを表示させるための画面データを送り、その表示画面が入力装置8を用いてユーザにより操作されることにより、当該施策IDを取得してもよい。この場合、上記施策関数テーブルには、各施策の名称が更に格納され、全施策の名称リストを表示させるための表示データが生成されればよい。また、施策情報取得部100は、ユーザの特性に応じて選択され得る施策を管理し、このユーザの特性を入力させる画面を表示装置7に表示させることで、ユーザにより入力されたユーザ特性に応じた施策セットから当該施策IDを取得するようにしてもよい。
【0026】
変数値取得部110は、施策関数DB150の施策関数テーブルに基づいて、施策情報取得部100により取得された施策IDに対応するFe関数及びFc関数を特定し、Fe関数及びFc関数に含まれる各変数の値を上記変数テーブルからそれぞれ取得する。施策関数DB150の変数テーブルには、予め、各施策についてFe関数及びFc関数の各変数の初期値が設定されていてもよい。また、当該変数テーブルには、ユーザにより入力された各変数値が設定されるようにしてもよい。この場合、例えば、変数値取得部110は、表示装置7に入出力I/F3を介して施策関数の変数の値を入力させるための画面データを送り、その表示画面に対して入力装置8を用いてユーザにより入力された変数の値を入出力I/F3を介して取得する。変数値取得部110は、この取得された各変数の値を上記変数テーブルに格納する。
【0027】
グラフデータ生成部120は、変数値取得部110により取得された各変数値を、各施策に対応するFe関数及びFc関数にそれぞれ適用することにより、各施策に関する削減量及び限界削減費用をそれぞれ算出する。グラフデータ生成部120は、算出された削減量及び限界削減費用で表される領域を含む限界費用曲線を示すデータを生成する。
【0028】
図5は、Fe関数及びFc関数と限界費用曲線との関係を示す図である。グラフデータ生成部120により生成されるデータが示す限界費用曲線では、施策nのデータが、横軸長がFe関数(Fenと表記)で算出された値(削減量)、縦軸長がFc関数(Fcnと表記)で算出された値(限界削減費用)で示される領域で表される。なお、グラフデータ生成部120により生成されたデータは、図5における線グラフのみを示してもよいし、図5における棒グラフのみを示してもよいし、両方を示してもよい。
【0029】
出力制御部130は、グラフデータ生成部120により生成されたデータに基づいて、各施策に関する削減量及び限界削減費用で表される領域を含む限界費用曲線を表示装置7に表示させるための画面データを生成し、入出力I/F3を介してその画面データを表示装置7に送る。なお、本実施形態は、当該限界費用曲線の出力形態を限定しないため、当該限界費用曲線は、プリンタ等の印刷装置(図示せず)により出力されてもよい。この場合、出力制御部130は、当該限界費用曲線を印刷装置(図示せず)から出力させるための出力データを生成し、入出力I/F3を介してその出力データを印刷装置に送る。
【0030】
〔動作例〕
図6は、第1実施形態におけるグラフ生成装置10の動作例を示すフローチャートである。
【0031】
グラフ生成装置10は、施策関数DB150の施策関数テーブルに格納される全施策、又は、ユーザにより選択された施策に関し、各施策の変数値をユーザに入力させる(S51)。具体的には、変数値取得部110が、表示装置7に施策関数の変数の値を入力させるための画面を表示させ、その表示画面に対して入力装置8を用いてユーザにより入力された変数の値を取得する。変数値取得部110は、この取得された各変数の値を変数テーブルに格納する。なお、この処理(S51)を省き、各変数には、予め保持されている初期値がそれぞれ設定されるようにしてもよい。
【0032】
施策情報取得部100は、施策関数DB150の施策関数テーブルに格納される全施策、又は、ユーザにより選択された施策に対応する施策IDを取得する(S52)。例えば、施策情報取得部100は、施策関数テーブルの中から当該施策IDを抽出する。
【0033】
続いて、変数値取得部110は、施策関数DB150の施策関数テーブルに基づいて、施策情報取得部100により取得された施策IDに対応するFe関数及びFc関数を特定する(S53)。その後、変数値取得部110は、特定されたFe関数及びFc関数に含まれる各変数の値を施策関数DB150の変数テーブルからそれぞれ取得する(S54)。当該変数テーブルには、各変数の初期値が設定されていてもよいし、ユーザにより入力された各変数値が設定されていてもよい。
【0034】
続いて、グラフデータ生成部120は、変数値取得部110により取得された各変数値を、選択された施策に対応するFe関数及びFc関数にそれぞれ適用することにより、選択された施策に関する削減量及び限界削減費用を算出する(S55)。
【0035】
グラフデータ生成部120は、上述のような算出処理(S52からS55)をしていない施策が残っているか否かを判定する(S56)。グラフデータ生成部120は、未だ算出処理をしていない施策が存在する場合には(S56;YES)、その施策を対象にして、上述の処理(S52)以降を各処理部に実行させる。
【0036】
グラフデータ生成部120は、未だ算出処理をしていない施策が存在しない場合には(S56;NO)、各施策に関し算出された削減量及び限界削減費用を用いて、当該削減量及び当該限界削減費用により表わされる各施策の領域を含む限界費用曲線を示すデータを生成する(S57)。
【0037】
出力制御部130は、グラフデータ生成部120により生成されたデータに基づいて、各施策に関する削減量及び限界削減費用で表される領域を含む限界費用曲線を所望の形式で出力する(S58)。所望の形式とは、表示装置7や印刷装置(図示せず)への出力形式である。
【0038】
〔第1実施形態の作用及び効果〕
このように、第1実施形態では、各施策について予めそれぞれ格納されているFe関数及びFc関数が利用されることにより、そのユーザにより選択され得る施策及びユーザ選択した場合には選択された施策に関する削減量及び限界削減費用が算出され、その算出された施策のデータを含む限界費用曲線を示すデータが生成される。
【0039】
従って、第1実施形態によれば、上述したように従来作成が困難であって、施策毎に、横軸幅(削減量)及び縦軸長(限界削減費用)の計算手法が異なる限界費用曲線を自動で効率的に生成することができる。第1実施形態によれば、グラフ生成装置10により生成された限界費用曲線を示すデータを表示装置7等に出力させることができるため、ユーザは、所望の施策のデータを含む限界費用曲線を参照することにより適切な施策選択が容易となる。従来、専門知識がないと描画できなかったところを可能とするとともに、限界費用曲線の作成労力を大幅に削減することができる。
【0040】
[第2実施形態]
第2実施形態におけるグラフ生成装置10は、Fe関数及びFc関数に含まれる変数の値をより適切にかつより簡単に設定し得る構成を有する。
【0041】
〔装置構成〕
図7は、第2実施形態におけるグラフ生成装置10の構成例を概念的に示すブロック図である。第2実施形態におけるグラフ生成装置10は、第1実施形態の構成に加えて、変数値パターン特定部140及びパターンデータベース(DB)160を更に有する。以下、第2実施形態におけるグラフ生成装置10を構成する各処理部について第1実施形態と異なる内容を中心に説明する。
【0042】
パターンDB160は、Fe関数又はFc関数に含まれるいずれか複数の変数の値セットを複数格納する。パターンDB160は、パターン格納手段と呼ぶこともできる。第2実施形態におけるパターンDB160は、パターン定義テーブル及び変数値パターンテーブルを含む。以降、変数値パターンとは、施策を実施する上での条件に応じて最終的に選択される、少なくとも1つの変数値を含む変数値セットを意味し、パターンとは、複数の変数値パターンを区分けした各グループを意味する。これにより、ユーザは、施策を実施する上での条件に応じて、同一パターンに属する複数の変数値パターンの中から1つの変数値パターンを選択することになる。
【0043】
図8は、パターン定義テーブルの例を示す図である。パターン定義テーブルには、各施策関数について選択し得るパターンのパターンIDがそれぞれ格納される。図8の例によれば、Fe1関数については、パターンID(1)に属する変数値パターンの中から1つの変数値パターンが選択され、パターンID(2)に属する変数値パターンの中から1つの変数値パターンが選択され得ることが定義されている。また、Fc1関数については、パターンID(3)に属する変数値パターンの中から1つの変数値パターンが選択され、パターンID(4)に属する変数値パターンの中から1つの変数値パターンが選択され、パターンID(5)に属する変数値パターンの中から1つの変数値パターンが選択され得ることが定義されている。
【0044】
図9は、変数値パターンテーブルの例を示す図である。変数値パターンテーブルには、複数の変数値パターンがパターンIDで区分けされた状態で格納される。各変数値パターンは、各変数の値が施策を実施する上での条件に応じて適切な値となるように、予め、それぞれ設定される。図9の例によれば、パターンID(1)に属する変数値パターンとして、3つの変数値パターン(変数値パターンID=1、2及び3)が設定されている。変数値パターンID(1)の変数値パターンは、第1変数x1の値(20)及び第2変数x2の値(30)のセットである。変数値パターンID(2)の変数値パターンは、第1変数x1の値(30)及び第2変数x2の値(45)のセットである。変数値パターンID(3)の変数値パターンは、第1変数x1の値(40)及び第2変数x2の値(50)のセットである。
【0045】
変数値パターン特定部140は、ユーザにより入力された、施策の実施する上での条件を示す条件情報を取得し、当該取得された条件情報に基づいて、パターンDB160の変数値パターンテーブルに格納される複数の変数値パターンのうちの少なくとも1つを特定する。変数値パターン特定部140は、施策を実施する上での条件を入力させるための画面(以降、条件入力画面と表記する)のデータを生成し、この画面データを入出力I/F3を介して表示装置7に送る。
【0046】
図10は、条件入力画面の例を示す図である。図10の例は、施策を実施する上での条件としてビルの規模に関する条件を入力させるための画面を示す。ユーザは、画面200を操作することにより、所望の条件を入力する。
【0047】
変数値パターン特定部140は、選択されている施策のIDから施策関数を特定し、この特定された施策関数のための選択し得るパターンIDをパターンDB160のパターン定義テーブルから抽出する。変数値パターン特定部140は、抽出された各パターンIDに関し1つの変数値パターンを特定するための条件リストをそれぞれ取得し、図10の例のような画面のデータを生成する。
【0048】
この場合、変数値パターン特定部140は、各パターンIDについて、選択肢となる条件リストをそれぞれ保持し、かつ、各条件を各変数値パターンと関連付ける情報を保持していればよい。図11は、変数値パターンと条件情報との関連情報を格納するテーブルの例を示す図である。図11の例では、当該条件として、ビルの規模、立地エリアが設定されている。なお、本実施形態は、変数値パターンを特定するための、施策を実施する上での条件自体を制限するものでない。
【0049】
変数値パターン特定部140は、画面200により入力された条件の情報を取得し、図11の例のような関連情報に基づいて、この条件に合致する変数値パターンを特定する。変数値パターン特定部140は、特定された変数値パターンをパターンDB160の上記変数値パターンテーブルから抽出し、施策関数DB150の変数テーブルに格納する。
【0050】
〔第2実施形態における作用及び効果〕
このように第2実施形態では、Fe関数又はFc関数のための複数の変数値パターンが予め保持され、施策を実施する上での条件に応じた少なくとも1つの変数値パターンが選択され、当該Fe関数及びFc関数に適用される。これにより、Fe関数及びFc関数の各変数の値の入力の労力を削減することができると共に、当該変数の値を初期値とした場合に比べて、より適切な値を当該変数の値とすることができる。即ち、第2実施形態によれば、Fe関数及びFc関数の各変数の値を適切にかつ効率的に設定することができる。
【0051】
[第3実施形態]
上述したように、Fe関数及びFc関数に含まれる変数には、ビルの規模や入居人数等のように固定的な値に設定される変数(以降、固定変数と表記する)と、予算や快適性等のような条件や施策の運用の仕方に応じて取り得る範囲に幅がありその幅で変更され得る変数(以降、変動変数と表記する)とが存在する。そこで、第3実施形態におけるグラフ生成装置10は、このような変動変数の存在をユーザに認識させ得る構成を更に有する。
【0052】
第3実施形態では、施策関数DB150が変動変数定義テーブルを更に含む。図12は、変動変数定義テーブルの例を示す図である。変動変数定義テーブルは、各施策関数に関し、変動変数の取り得る値の範囲(例えば、上限値及び下限値)がそれぞれ設定される。固定変数については、例えば、値なし(NULL)が設定される。これにより、変動変数定義テーブルは、変動変数情報格納手段と呼ぶこともできる。
【0053】
変数値取得部110は、施策関数DB150の変動変数定義テーブルに基づいて、例えば、このような変動変数のリスト及び各変動変数の値範囲を表示するための画面データを生成し、表示装置7に表示させる。また、例えば、この画面データには、「コスト」、「快適性」等のような各変動変数の名称が含まれる。変数値取得部110は、上記表示画面が入力装置8を用いてユーザにより操作されることにより、選択された変動変数の値を取得し、その値を施策関数DB150の変数テーブルに設定する。
【0054】
また、上述の第2実施形態で利用されるパターンとして、変動変数のみを対象としたパターンを設けるようにしてもよい。このパターンには、複数の変動変数の値セットをそれぞれ含む複数の変数値パターンが設定されるようにする。このようにすれば、上述のように変動変数リストを表示させることなく、条件に応じて、変動変数のみを対象とした変数値セットを選択することができるようになる。
【0055】
〔第3実施形態における作用及び効果〕
このように第3実施形態では、条件に応じて取り得る範囲に幅がありその幅で変更され得る変数(変動変数)のリスト、又は、そのような変動変数のみを変えるための条件リストが表示され、そのような表示の選択操作に応じて、変動変数の値が設定される。
【0056】
従って、第3実施形態によれば、変動的といった変数の属性に応じて、所望の変数をユーザに提示することができるため、変数値の設定を容易にすることができる。
【0057】
[第4実施形態]
上述の各実施形態では、各施策関数の変数値が、ユーザの入力、初期値設定、変数値パターン展開等により設定される例が示されたが、このように設定された変数値の中には誤差を含むものが存在する可能性がある。誤差を含む変数値が設定された場合、その誤差が反映されることにより、各施策関数で算出される削減量及び限界削減費用と、実際の削減量及び実際の限界削減費用との間に差が生じてしまうことになる。そこで、第4実施形態におけるグラフ生成装置10は、実績値(実測値)に基づいて、変数値を学習することにより、変数値の最適化を行う。
【0058】
図13は、第4実施形態におけるグラフ生成装置10の構成例を概念的に示すブロック図である。第4実施形態におけるグラフ生成装置10は、第2実施形態の構成に加えて、変数値推定部201及び変数値データベース(DB)202を更に有する。以下、第4実施形態におけるグラフ生成装置10を構成する各処理部について第2実施形態と異なる内容を中心に説明する。なお、ここでは、第4実施形態に関連する構成を第2実施形態に適用した例を示すが、当該新たな構成は、他の実施形態に適用されてもよい。
【0059】
図14は、第4実施形態における施策関数テーブルの例を示す図である。図14に示されるように、第4実施形態では、各変数が示す内容に応じて、グラフ生成装置10全体として同じ内容を示す変数及び異なる内容を示す変数がそれぞれ区別可能に定義される。図14の例には含まれないが、例えば、施策1のFe1関数及び施策2のFe2関数に同じ内容を示す変数(例えば、外気温度を示す変数)が含まれる場合には、Fe1関数及びFe2関数には、同じ変数x18が利用される。他の態様として、図2の例に示すように、施策毎にそれぞれ変数を定義し、別のテーブルで、同じ内容を示す変数の関連を定義するようにしてもよい。
【0060】
変数値DB202は、変数値更新管理テーブルを含む。図15は、変数値更新管理テーブルの例を示す図である。図15に示すように、変数値更新管理テーブルには、各施策に関し、削減量及び限界削減費用の実績値、各施策関数に含まれる各変数の値が、取得された時又は設定された時を示す時間情報と共に、時系列にそれぞれ格納される。各変数の値は、ユーザによる入力、センサ等のような計測機器からの自動収集等により設定される。但し、ユーザによる入力やセンサ等のような計測機器からの自動収集等により変数値が取得されなかった変数については、値無しを示すデータ(例えば、NULL)が設定された状態となる。実績値が格納されていない変数の値は、後述する変数値推定部201により推定される。なお、他のテーブルにおいて、変数値推定部201により変数値を推定させる変数が定義されるようにしてもよい。
【0061】
なお、図15の例では、月単位の時系列を示したが、各実績値は、施策毎や変数毎に取得され得る間隔が異なるため、時系列の単位は任意である。よって、実績値が既に取得されている変数については、次に実績値が取得されるまで、既に取得された値が設定されるようにしてもよい。また、時系列単位が異なる場合には、より大きな単位に合わせてもよい。
【0062】
変数値取得部110は、各施策について、削減量と、限界削減費用と、Fe関数及びFc関数に含まれる少なくとも1つの変数の値とをそれぞれ取得し、取得された情報を時間情報と共に上記変数値更新管理テーブルに格納する。このとき、施策関数DB150内の変数テーブル(図3参照)には、初期値又は第2実施形態における変数値パターン特定部140により格納された変数値パターンが設定されている。つまり、ここで変数値取得部110により取得される削減量及び限界削減費用は実績値等ビル固有の可視化された値である。以降、説明の便宜のため、初期値及び変数値パターン以外で、第4実施形態における変数値取得部110により取得される削減量、限界削減費用及び変数値を実績値と総称する。
【0063】
例えば、変数値取得部110は、表示装置7に入出力I/F3を介して施策関数の変数の値を入力させるための画面データを送り、その表示画面に対して入力装置8を用いてユーザにより入力された実績値を入出力I/F3を介して取得するようにしてもよい。また、変数値取得部110は、センサ等のような計測機器から当該実績値を自動収集するようにしてもよい。
【0064】
変数値推定部201は、変数値DB202の変数値更新管理テーブルに格納される各実績値を時系列毎に各施策関数にそれぞれ適用し、これにより得られる式に対して回帰分析等の統計的解析処理を実行することで、当該変数値更新管理テーブルに実績値が格納されていない変数の値を推定する。例えば、以下のようなFe関数が定義されており、図15の例に示す削減量の実績値、変数x11及び変数x12の各実績値が分析に優位な数だけ取得されている場合には、変数値推定部201は、以下のような式の関係から、実績値が取得されなかった変数x13及び変数x14の値を推定する。
【0065】
Fe=k11x11+k12x12+k13x13+k14x14
2011年3月:50=k11・15+k12・5000+k13x13+k14x14
2011年4月:53=k11・21+k12・5000+k13x13+k14x14
2011年5月:53=k11・24+k12・5000+k13x13+k14x14
・・・・・・
なお、各係数は、施策関数DB150内の係数テーブルで決定されている。
【0066】
変数値推定部201は、推定された変数の値、及び、当該変数値更新管理テーブルに格納されている変数の値を、施策関数DB150内の変数テーブル(図3参照)に反映させる。これにより、グラフデータ生成部120は、実績値、及び、実績値から変数値推定部201により推定された値を用いて、次回以降の関数計算を行い各施策に関する削減量及び限界削減費用をそれぞれ算出し、算出された削減量及び限界削減費用で表される領域を含む限界費用曲線を示すデータを生成するよう改良される。
【0067】
〔第4実施形態における作用及び効果〕
このように、第4実施形態では、削減量及び限界削減費用、並びに、少なくとも1つの変数に対応する実績値がそれぞれ取得され、取得された実績値に基づいて、実績値が取得されなかった変数の値が推定される。従って、第4実施形態によれば、各施策関数に含まれる各変数に実際の値又は実際の値に近い値が設定されるため、各施策関数で算出される削減量及び限界削減費用の精度を一層向上させることができる。
【0068】
[第5実施形態]
第5実施形態におけるグラフ生成装置10は、係数値を学習することにより、係数値を最適化する。
【0069】
図16は、第5実施形態におけるグラフ生成装置10の構成例を概念的に示すブロック図である。第5実施形態におけるグラフ生成装置10は、第4実施形態の構成に加えて、係数値更新部211を更に有する。以下、第5実施形態におけるグラフ生成装置10を構成する各処理部について第4実施形態と異なる内容を中心に説明する。なお、ここでは、第5実施形態に関連する構成を第4実施形態に適用した例を示すが、当該新たな構成は、他の実施形態に適用されてもよい。
【0070】
上述したように、施策関数に含まれる係数の値は、施策毎に決められる値であり、施策関数に含まれる変数の値は、その施策を実施する上での条件に応じて設定される値である。即ち、変数の値は、一般的には、同じ施策であってもその施策の実施者毎に異なり、係数の値は、当該施策実施者が異なる場合でも施策に関して一意に決まる。ここで、施策実施者とは、施策を実施する上での条件を決め得る単位を意味し、単に人を意味するものではない。第5実施形態におけるグラフ生成装置10は、複数の施策実施者に関するデータを管理する。
【0071】
図17は、第5実施形態における変数テーブルの例を示す図である。図17に示すように、第5実施形態における変数テーブルは、上述の各実施形態における変数テーブル(図3参照)に格納される内容に加えて、更に、施策実施者を特定するための実施者IDが格納される。つまり、第5実施形態における変数テーブルは、実施者ID毎に、各施策関数に含まれる変数の値がそれぞれ格納される。図17の例では、実施者IDがUSER1である施策実施者で利用されるFe1関数では、第1変数に1が設定されており、実施者IDがUSER2である施策実施者で利用されるFe1関数では、第1変数に3が設定されている。この変数テーブルは、変数値格納手段と呼ぶこともできる。
【0072】
変数値更新管理テーブルに関しても同様に、上述の第4実施形態における内容に加えて、更に、実施者IDが格納される。つまり、第5実施形態における変数値更新管理テーブルは、実施者ID毎に、各施策関数についての、削減量、限界削減費用及び変数の実績値がそれぞれ格納される。
【0073】
係数値更新部211は、上記変数テーブルに格納される各変数値、及び、変数値更新管理テーブルに格納される削減量及び限界削減費用の実績値を施策実施者毎に各施策関数にそれぞれ適用し、これにより得られる式に対して回帰分析等の統計的解析処理を実行することで、各施策関数に含まれる係数の値を推定する。例えば、以下のようなFe1関数が定義されており、以下のような削減量の実績値が取得されており、図17の例に示すFe1関数の各変数値が設定されている場合には、係数値更新部211は、以下のような式の関係から、係数k11の値及び係数k12の値を推定する。このとき、分析に有意なユーザ数だけデータが取得されているものとする。
【0074】
Fe1=k11・x11+k12・x12
USER1の施策1に関する削減量実績値=50
USER2の施策1に関する削減量実績値=43
・・・・・
USERnの施策1に関する削減量実績値=47
USER1:50=k11・1+k12・2
USER2:43=k11・3+k12・2
・・・・・
USERn:47=k11・3+k12・2
【0075】
係数値更新部211は、推定された係数を施策関数DB150内の係数テーブルに反映させる。上述のような係数値更新部211の係数値推定処理は、施策関数DB150内の変数テーブルに格納される変数値が最適化された状態で実行されることが望ましい。よって、係数値更新部211は、第4実施形態における変数値推定部201によって推定された変数値及び実績値が当該変数テーブルに反映された状態で、当該係数値推定処理を実行することが望ましい。グラフデータ生成部120は、最適な変数値及び最適な変数値により推定された係数値を用いて、次回以降の関数計算を行い各施策に関する削減量及び限界削減費用をそれぞれ算出し、算出された削減量及び限界削減費用で表される領域を含む限界費用曲線を示すデータを生成するように改良される。
【0076】
〔第5実施形態における作用及び効果〕
このように、第5実施形態では、施策実施者毎の各施策関数に含まれる変数の値に基づいて、施策毎に固定される各係数の値がそれぞれ推定される。従って、第5実施形態によれば、各施策関数に含まれる各係数の値が、各施策実施者についての変数値等のデータに基づいて最適化されるため、各施策関数で算出される削減量及び限界削減費用の精度を一層向上させることができる。
【0077】
[第6実施形態]
複数の施策の中には、同時に選択することができない施策の組み合わせが含まれる場合がある。第6実施形態におけるグラフ生成装置10は、このような排他的な関係となる施策の組み合わせを管理する。
【0078】
第6実施形態におけるグラフ生成装置10は、第3実施形態と同様の処理部を有する。以下、第6実施形態におけるグラフ生成装置10を構成する各処理部について第3実施形態と異なる内容を中心に説明する。なお、ここでは、第6実施形態に関連する構成を第3実施形態に適用した例を示すが、当該新たな構成は、他のいずれの実施形態に適用されてもよい。
【0079】
第6実施形態における施策関数DB150は、第3実施形態の構成に加えて、更に、排他施策グループテーブルを含む。図18は、排他施策グループテーブルの例を示す図である。排他施策グループテーブルには、同時に選択することができない排他的な関係を有する施策の組み合わせが排他施策グループとして格納される。図18の例では、排他施策グループ1として設定されている施策1、施策3及び施策5は、相互に同時に選択することができない。排他施策グループテーブルは、排他施策グループ格納手段と呼ぶことができる。
【0080】
出力制御部130は、上記排他施策グループテーブルを参照することにより、排他的な関係にある施策がグラフデータ生成部120により生成されたデータに基づいて表示される限界費用曲線の画面においてユーザによって選択されないように制御する。具体的には、グラフデータ生成部120は、第1実施形態等で説明した処理により生成されたデータに基づいて表示される限界費用曲線の画面においてユーザにより選択された施策の施策識別子を取得する。グラフデータ生成部120は、排他施策グループテーブルを参照することにより、この取得された施策識別子と同じ排他施策グループに属し、当該画面において既に選択された他の施策が存在するか否かを判定し、当該判定結果に基づいて、当該ユーザ選択の許否を決定する。
【0081】
〔動作例〕
図19は、第6実施形態におけるグラフ生成装置10の動作例を示すフローチャートである。このとき、出力制御部130の処理により、施策関数DB150の施策関数テーブルに格納される全施策に関する削減量及び限界削減費用で表される領域を含む限界費用曲線が表示装置7に表示されている。
【0082】
ユーザは、入力装置8を操作することにより、表示装置7に表示されている限界費用曲線の中からいずれか1つの施策を選択する(S191)。以降、この処理(S191)で選択操作された施策を選択操作中の施策と表記する。この選択操作が認識されることにより、出力制御部130は、選択操作中の施策を示す施策IDを取得する(S192)。
【0083】
出力制御部130は、排他施策グループテーブルを参照することにより、取得された施策IDを含む排他施策グループが存在するか否かを判定する(S193)。この判定は、選択操作中の施策と排他的な関係にある他の施策が存在するか否かを判定することと同意である。出力制御部130は、他の排他施策が存在しない場合(S193;NO)、その選択操作中の施策を選択状態に設定する(S199)。この設定により、例えば、選択操作中であった施策が未選択の施策と区別可能に表示される。
【0084】
一方、他の排他施策が存在する場合(S193;YES)、出力制御部130は、他の排他施策の少なくとも1つが既に選択状態となっているか否かを判定する(S194)。他の排他施策の少なくとも1つが既に選択状態となっている場合(S194;YES)、出力制御部130は、選択操作中の施策を選択することができない旨を表示装置7に表示させ(S197)、その施策の選択操作をキャンセルする(S198)。
【0085】
出力制御部130は、他の排他施策で既に選択状態となっている施策がない場合(S194;NO)、又は、施策の選択操作がキャンセルされた場合(S198)、次のような処理を実行する。出力制御部130は、選択操作中の施策と同じ排他施策グループに属する各施策について算出されている削減量及び限界削減費用のリストを表示させるための画面データを生成し、表示装置7に表示させる(S195)。このとき、出力制御部130は、対象となる各施策についての削減量及び限界削減費用の算出をグラフデータ生成部120に依頼してもよい。また、出力制御部130は、当該リストにおいて、選択操作中の施策、又は、既に選択状態となっている施策を未選択の施策と区別可能に表示させ、かつ、所望の施策を選択可能に当該リストを表示させる(S195)。
【0086】
ユーザは、このリスト画面を参照することで、選択操作中の施策と排他関係にある各施策についての削減量及び限界削減費用を確認することができ、所望の施策を選択することができる。具体的には、ユーザは、当該リスト画面を操作することにより、既に選択状態となっている排他施策から他の施策に選び直すことや、処理(S191)で選択された施策から他の排他施策に選び直すことができる。
【0087】
続いて、出力制御部130は、第3実施形態に示したような変動変数のリスト、又は、そのような変動変数のみを変えるための条件リストを表示させるよう変数値取得部110に指示し、グラフデータ生成部120にこの変動変数の値を用いて削減量及び限界削減費用を再計算させ、当該削減量及び当該限界削減費用のリストを再表示させる(S196)。出力制御部130は、このリスト画面も処理(S195)で表示させたリスト画面と同様に、選択操作中の施策、又は、既に選択状態となっている施策を未選択の他の施策と区別可能に表示させ、かつ、所望の施策を選択可能に表示させる。なお、第6実施形態を第3実施形態の構成を含まない実施形態に適用した場合には、この処理(S196)は省かれてもよい。
【0088】
最終的に、出力制御部130は、処理(S195)又は処理(S196)で表示された画面上で選択された施策を選択状態に設定する(S199)。
【0089】
〔第6実施形態における作用及び効果〕
このように第6実施形態では、同時に選択不可能な施策の組み合わせが管理され、そのような排他的関係にある施策どうしが同時に選択されないように制御される。これにより、第6実施形態によれば、生成される限界費用曲線から矛盾する施策を排除することができ、ひいては、正確な限界費用曲線を生成することができる。
【0090】
[第7実施形態]
上述の第6実施形態では、ユーザの操作により施策が選択される際の制御例を示した。第7実施形態におけるグラフ生成装置10は、第6実施形態と同様に、排他施策グループを考慮しつつ、最適な施策セットを自動選択する。
【0091】
図20は、第7実施形態におけるグラフ生成装置10の構成例を概念的に示すブロック図である。第7実施形態におけるグラフ生成装置10は、第1実施形態の構成に加えて、排他施策パターン取得部221を更に有する。以下、第7実施形態におけるグラフ生成装置10を構成する各処理部について第1実施形態と異なる内容を中心に説明する。なお、ここでは、第7実施形態に関連する構成を第1実施形態に適用した例を示すが、当該新たな構成は、他の実施形態に適用されてもよい。
【0092】
第7実施形態においても、施策関数DB150は、第6実施形態と同様の排他施策グループテーブルを含む(図18参照)。排他施策グループテーブルには、同時に選択することができない排他的な関係を有する施策の組み合わせが排他施策グループとして格納される。
【0093】
排他施策パターン取得部221は、上記排他施策グループテーブルに格納される複数の排他施策グループの中の、同じ施策識別子を少なくとも1つ含む複数の排他施策グループから、選択され得る施策の組み合わせを複数含む排他施策パターンを取得する。排他施策パターン取得部221は、取得された排他施策パターンを図21に示すような排他施策パターンテーブルに格納する。排他施策パターンテーブルは、例えば、施策関数DB150内に設けられる。
【0094】
図21は、排他施策パターンテーブルの例を示す図である。排他施策パターンテーブルは、排他施策パターン毎に、複数の施策組み合わせ、各施策組み合わせについての削減量の合計(Fe関数の算出結果の合計)がそれぞれ格納される。図21の例は、図18に示した排他施策グループテーブルの例から取得される排他施策パターンが示されている。
【0095】
図18の例によれば、排他施策グループ1、2及び3は、少なくとも1つの同じ施策IDを含む。具体的には、施策1は、排他施策グループ1、2及び3にそれぞれ含まれ、施策5は、排他施策グループ1及び3にそれぞれ含まれ、施策9は、排他施策グループ2及び3にそれぞれ含まれる。この例によれば、施策1が選択された場合には、排他施策グループ1、2及び3に含まれる他の全ての施策(施策3、施策5、施策7及び施策9)は選択対象から除外すべきである。施策5が選択された場合には、施策1、施策3及び施策9は選択対象から除外すべきであるが、施策7は選択対象となり得る。
【0096】
このような関係に基づいて、排他施策パターン取得部221は、排他施策グループ1、2及び3から、図21に示す排他施策パターン1を取得する。図21の例における排他施策パターン1は、排他施策グループ1、2及び3に含まれる全施策で選択され得る施策の組み合わせを含む。つまり、排他施策パターン1は、施策1、3、5、7及び9を選択対象とする場合、施策1が選択されるパターン、施策3及び7が選択されるパターン、施策3及び9が選択されるパターン、施策5及び7が選択されるパターンのいずれか1つしか選択できないことを意味する。
【0097】
排他施策パターン取得部221は、上述のような排他施策パターンが取得された場合、各施策組み合わせについて削減量の合計を算出するように、グラフデータ生成部120に依頼する。
【0098】
これに応じて、グラフデータ生成部120は、第1実施形態と同様の手法により、各施策に関する削減量をそれぞれ算出し、各施策組み合わせについてそれぞれ削減量の合計を算出する。グラフデータ生成部120は、算出された削減量の合計を排他施策パターンテーブルに格納する。グラフデータ生成部120は、各排他施策パターンに関し、削減量の合計が最大となる施策の組み合わせをそれぞれ抽出し、各排他施策パターンから抽出されなかった組み合わせに含まれる施策を生成対象から除外する。更に、グラフデータ生成部120は、排他施策グループ間で共通する施策を含まない排他施策グループに属する施策については、最も大きい削減量となる施策以外を生成対象から除外する。グラフデータ生成部120は、このように除外されなかった施策を対象にして、限界費用曲線を示すデータを生成する。
【0099】
なお、本実施形態においても、図14に示すように、各変数が示す内容に応じて、グラフ生成装置10全体として同じ内容を示す変数及び異なる内容を示す変数がそれぞれ区別可能に定義されることが望ましい。これにより、より正確な削減量の合計が算出されるからである。
【0100】
〔第7実施形態の作用及び効果〕
このように、第7実施形態では、同時に選択不可能な施策の組み合わせ(排他施策グループ)が管理されると共に、同じ施策を含む複数の排他施策グループが存在する場合には、そのような複数の排他施策グループから、同時に選択され得る施策の組み合わせを複数含む排他施策パターンが取得される。そして、各排他施策パターンについて、削減量の合計が最大となる施策組み合わせのみがそれぞれ自動選択され、かつ、各排他施策グループの中から最大の削減量となる施策のみがそれぞれ自動選択され、このように自動選択された施策を対象として限界費用曲線を示すデータが生成される。
【0101】
従って、第7実施形態によれば、最大の削減量となる施策セットについての限界費用曲線が生成されるため、ユーザは、最も効果の高い施策セットを知ることができると共に、そのような施策セットの限界費用曲線を容易に参照することができる。また、同時に選択することができない施策を含む限界費用曲線が生成された場合、削減効果が過大評価されることになるが、上述のような排他施策制御を行うことにより、過大評価要素を適切に排除することができる。
【0102】
上述の例では、最も効果の高い施策セットを選択する上で削減量の指標を用いたが、限界削減費用(Fc関数で算出される値)を用いるようにしてもよい。この場合には、図21に示される排他施策パターンテーブルには、算出された限界削減費用が格納され、最も限界削減費用が小さい施策組み合わせのみが自動選択される。同様に、各排他施策グループの中から最小の限界削減費用となる施策のみがそれぞれ自動選択される。
【0103】
[第8実施形態]
複数の施策の中には、第6実施形態及び第7実施形態で説明したような排他的な関係にある施策セットの他、効果(削減量又は限界削減費用)に影響を及ぼし合う施策セットが含まれる場合がある。第8実施形態におけるグラフ生成装置10は、このような効果に影響を及ぼし合う関係にある施策の組み合わせを管理し、このような施策の組み合わせの効果が最大となるように変数を適正化する。
【0104】
図22は、第8実施形態におけるグラフ生成装置10の構成例を概念的に示すブロック図である。第8実施形態におけるグラフ生成装置10は、第1実施形態の構成に加えて、変数値適正化部231を更に有する。以下、第8実施形態におけるグラフ生成装置10を構成する各処理部について第1実施形態と異なる内容を中心に説明する。なお、ここでは、第8実施形態に関連する構成を第1実施形態に適用した例を示すが、当該新たな構成は、他の実施形態に適用されてもよい。
【0105】
第8実施形態における施策関数DB150は、第1実施形態の構成に加えて、関連施策グループテーブルを更に含む。図23は、関連施策グループテーブルの例を示す図である。関連施策グループテーブルには、効果に影響を及ぼし合う関係にある施策の組み合わせが関連施策グループとして格納される。図23の例では、関連施策グループ1として設定されている施策4、施策5及び施策6は、相互に効果に影響を及ぼし合う。ここで、効果に影響を及ぼし合うとは、各施策の施策関数に共通の内容を示す変数(例えば、同室の設定温度情報等)が含まれる関係を意味する。関連施策グループテーブルは、関連施策グループ格納手段と呼ぶことができる。
【0106】
第8実施形態における施策関数テーブルには、第4実施形態と同様に、各変数が示す内容に応じて、グラフ生成装置10全体として同じ内容を示す変数及び異なる内容を示す変数がそれぞれ区別可能に定義される(図14参照)。よって、例えば、施策1のFe1関数及び施策2のFe2関数に同じ内容を示す変数(例えば、外気温度を示す変数)が含まれる場合には、Fe1関数及びFe2関数には、同じ変数x18が利用される。
【0107】
変数値適正化部231は、上記関連施策グループテーブルに格納される各関連施策グループに含まれる施策の合計削減量又は合計限界削減費用が最大となるように、各関連施策グループに含まれる施策の第1関数又は第2関数に含まれる各変数の値をそれぞれ決定する。図23の例を用い、施策4、5及び6の各Fe関数をFe4、Fe5及びFe6とした場合、変数値適正化部231は、関連施策グループ1に関し、以下のような式のGe1が最大値となるように、Fe4、Fe5及びFe6に含まれる各変数の値をそれぞれ決定する。なお、このとき、Fe4、Fe5及びFe6には、少なくとも1つの共通の変数xが含まれる。
Ge1=Fe4+Fe5+Fe6
【0108】
変数値適正化部231は、決定された変数値を施策関数DB150内の変数テーブルに反映させる。これにより、グラフデータ生成部120は、変数値適正化部231により決定された変数値を用いて、各施策に関する削減量及び限界削減費用をそれぞれ算出し、算出された削減量及び限界削減費用で表される領域を含む限界費用曲線を示すデータを生成する。なお、各施策関数に含まれる変数には、第3実施形態において説明したように、固定変数と変動変数とが存在する。変数値適正化部231は、変動変数のみを対象にして上記のような変数値の適正化をすることが望ましい。この場合には、変数値適正化部231は、関連施策グループに含まれる施策の各施策関数について、変動変数を特定し得る情報をそれぞれ保持する。
【0109】
〔第8実施形態の作用及び効果〕
このように、第8実施形態では、算出される削減量又は限界削減費用に影響を及ぼし合う施策セットが関連施策グループとして管理され、各関連施策グループに関し、合計削減量又は合計限界削減費用が最大となるように、影響を及ぼし合う施策の施策関数に含まれる各変数の値がそれぞれ決定される。従って、第8実施形態によれば、効果に影響を及ぼし合う施策の組み合わせを加味しながら、最も効果が高くなるような変数値を自動で設定することができる。
【0110】
ところで、同じ関連施策グループに含まれる複数の施策の中に、ユーザに選択されなかった施策が含まれる場合があり得る。この場合、関連施策グループに含まれる施策の中からその選択されていない施策を単純に除外して、上述のような変数の最適化をすることはできない。そこで、関連施策グループに含まれる施策の各施策関数に、施策の実施程度を示す変数を設け、ユーザに選択されなかった施策についてはこの実施程度を示す変数の値をゼロに設定した上で、上述のような変数の最適化の計算をすればよい。
【0111】
[第9実施形態]
第9実施形態におけるグラフ生成装置10は、上述の第8実施形態と同様に、効果に影響を及ぼし合う関係にある施策セットを加味しながら、上述の第8実施形態とは異なる手法により変数を適正化する。第9実施形態におけるグラフ生成装置10は、第8実施形態と同様の構成を持ち、変数値適正化部231の処理のみが第8実施形態と異なる。
【0112】
変数値適正化部231は、関連施策グループテーブルに格納される関連施策グループに含まれる複数の施策の中から、削減量又は限界削減費用が最大となり得る施策を順次選択し、選択された施策に含まれる各変数の値を当該削減量又は当該限界削減費用が最大となるようにそれぞれ決定する。
【0113】
〔動作例〕
図24は、第9実施形態における変数値適正化部231の動作例を示すフローチャートである。変数値適正化部231は、関連施策グループテーブルに格納される全ての関連施策グループに関し、図24に示す処理を実行する。なお、以下の説明では、削減量を指標として変数値を適正化する例を示すが、限界削減費用を指標として変数値が適正化されてもよい。
【0114】
変数値適正化部231は、関連施策グループテーブルからいずれか1つの関連選択グループを抽出する(S241)。変数値適正化部231は、抽出された関連施策グループに含まれる各施策に関し、算出され得る最大の削減量をそれぞれ算出する(S242)。ここでは、変数値適正化部231は、共通内容を示す変数の値を施策毎に変えながら最大の削減量をそれぞれ算出する。
【0115】
次に、変数値適正化部231は、算出され得る削減量が最も大きい施策を特定し(S243)、その特定された施策に関し、未だ決定されていない変数の値を当該削減量が最大となるように決定する(S244)。ここでは、いずれの変数の値も未だ決定されていないため、特定された施策に含まれる各変数の値が決定される。変数の値を決定すると、変数値適正化部231は、その特定されていた施策を対象から除外する(S245)。
【0116】
変数値適正化部231は、関連施策グループに含まれる他の施策がなくなると(S246;NO)、処理を終了する。変数値適正化部231は、関連施策グループに含まれる他の施策が有る場合(S246;YES)、他の施策の中から、算出され得る削減量が次に大きい施策を特定する(S247)。
【0117】
変数値適正化部231は、特定された施策の施策関数に値が未だ決定されていない変数が有るか否かを判定する(S248)。変数値適正化部231は、値が未だ決定されていない変数が有る場合(S248;YES)、上記処理(S244)以降を実行する。一方、変数値適正化部231は、特定された施策の施策関数に値が未だ決定されていない変数がない場合(S248;NO)、上記処理(S245)以降を実行する。
【0118】
〔第9実施形態の作用及び効果〕
このように、第9実施形態では、算出される削減量又は限界削減費用に影響を及ぼし合う施策セットが関連施策グループとして管理され、各関連施策グループに関し、算出され得る削減量が最大となる施策から優先的にその削減量が最大となるように変数の値が決定される。従って、第9実施形態によれば、第8実施形態と同様に、効果に影響を及ぼし合う施策の組み合わせを加味しながら、最も効果が高くなるような変数値を自動で設定することができる。
【0119】
ここで、関連施策グループに含まれる施策の各施策関数に施策の実施程度を示す変数を設け、この変数に、当該関連施策グループから抽出された順に(優先度の高い順に)、高い実施程度を示す値を自動で設定するようにしてもよい。例えば、一番先に抽出された施策における実施程度を示す変数には最大値(例えば、1)が設定され、次に抽出された施策における実施程度を示す変数には次に大きい値(例えば、0.5)が設定され、最後に抽出された施策における実施程度を示す変数には最小値(例えば、0)が設定される。このようにすれば、変数の値を適正化できると共に、各施策のお勧めの実施程度をユーザに提示することができる。
【0120】
[第1変形例]
上述の各実施形態において、施策の属性に応じて、施策毎に限界費用曲線のグラフ表示を切り替えるようにしてもよい。例えば、施策は、施策の性質に応じて、1回のみ実施され完了する施策(以降、固定施策と表記する)、定期的に複数回実施される施策(以降、変動施策と表記する)、実施程度により削減量の余地が減っていく施策等に分類することができる。更に、施策は、施策の実施状況に応じて、実施済みの施策と未実施の施策とに分類することもできる。そこで、第1変形例におけるグラフ生成装置10は、限界費用曲線に含まれる各施策領域の表示を、実施済みの固定施策と、実施中の変動施策と、未実施の施策との間で切り替える。
【0121】
図25は、第1変形例により出力される限界費用曲線の例を示す図である。図25の例によれば、施策1、施策4及び施策7が未実施の施策であり、施策2及び施策5が実施済みの固定施策であり、施策3及び施策6が実施中の変動施策であり、各施策の表示領域(棒グラフ)は、それぞれ異なる形態で表示される。
【0122】
第1変形例では、施策関数DB150に施策属性テーブルを更に含む。この施策属性テーブルでは、各施策について、施策の分類及び施策の実施状況がそれぞれ格納される。これにより、施策属性テーブルは、施策属性格納手段と呼ぶこともできる。施策の分類として、固定施策か変動施策かが設定され、施策の実施状況として、未実施か実施済みかが設定される。これら各施策の情報は、ユーザにより入力されてもよいし、他の装置(図示せず)から送られてきてもよい。
【0123】
グラフデータ生成部120は、削減量及び限界削減費用を示す領域(棒グラフ)の表示形態が上記施策属性テーブルに格納される各施策の分類及び実施状況に対応する状態に設定されたデータを、限界費用曲線を示すデータの一部として生成する。なお、表示形態は、色であってもよいし、模様であってもよいし、それらの組み合わせであってもよい。
【0124】
また、第1変形例におけるグラフ生成装置10は、限界費用曲線内の各施策の表示及び非表示を切り替えるようにしてもよい。図26は、第1変形例により出力される限界費用曲線の他の例を示す図である。図26の例によれば、限界費用曲線が、未実施の施策のみから形成される。図26の例に限られず、実施済みの固定施策、又は、実施済みの変動施策、若しくは、それら両方のみから形成される限界費用曲線が生成されてもよい。この場合には、グラフデータ生成部120は、施策関数DB150に格納される各施策の情報を参照することにより、各施策の表示及び非表示を判定し、表示されるべき施策の領域のみを含む限界費用曲線を示すデータを生成する。
【0125】
例えば、上述のような施策毎の表示切り替えは、表示装置7上での限界費用曲線の表示画面に設けられたメニューの操作を契機とする。グラフデータ生成部120は、当該メニュー操作に対応する入力情報を入力装置8から入出力I/F3を介して取得し、その入力情報で示される表示形態で、限界費用曲線を示すデータを生成する。
【0126】
このような第1変形例によれば、限界費用曲線をユーザにとって把握し易いものとすることができる。例えば、第1変形例によれば、削減計画立案における追加的施策選択を容易にする。
【0127】
上述の各実施形態及び各変形例で利用される施策関数は、様々な手法により定義され、予め、施策関数DB150の施策関数テーブルに格納される。施策関数は、理論値に基づいて定義されてもよいし、既存の算出理論に基づいて定義されてもよいし、計測データやその他の方法で収集した事例データの統計解析結果を用いて新たに類推されてもよい。以下、施策関数の具体例を説明する。なお、上述の各実施形態及び各変形例で利用される施策関数は、以下の例に限定されない。
【0128】
[第2変形例]
上述の各実施形態では、施策関数として、削減量を算出するためのFe関数、及び、限界削減費用を算出するためのFc関数が設けられたが、更に、快適性を示す値(以降、快適性値と表記する)を算出するための第3関数(以降、Ft関数と表記する)が設けられてもよい。図27は、第2変形例における施策関数テーブルの例を示す図である。即ち、各施策に関し、Fe関数、Fc関数及びFc関数がそれぞれ定義される。この場合には、変数テーブル及び係数テーブルに、Ft関数に含まれる変数及び係数が定義されればよい。Ft関数に対する処理は、Fe関数及びFc関数に対する処理と同様となる。また、グラフデータ生成部120は、Ft関数に基づいて快適性値も更に算出し、算出された削減量、限界削減費用及び快適性値で表される領域を含む限界費用曲線を示すデータを生成する。出力制御部130は、削減量、限界削減費用及び快適性値の3軸から形成される3次元のグラフを表示させるための画面データを生成してもよいし、いずれか2つを軸とする2次元のグラフを切替え可能に表示させるための画面データを生成してもよい。
【実施例1】
【0129】
既存照明を高効率照明へ切り替える施策についての施策関数は、例えば、以下の(式1)及び(式2)のように定義される。(式1)はFe関数の例であり、(式2)はFc関数の例である。以下の施策関数は、理論値に基づいて定義された例であるといえる。
Fe1={Σ(x11×x12×x13)}×k11 (式1)
Fc1=Σ(x14×x12)−Σ(Fe/k11/k12×x15) (式2)
【0130】
上記(式1)及び上記(式2)において、変数x11は照明当たりの消費電力削減量を示し、変数x12は照明本数を示し、変数x13は使用時間(h)を示し、係数k11は、電力(W)を電力量(J)に変換するときの定義が秒(W=J/s)であることに合わせるための単位換算係数であり、変数x13の単位が(h)であるため、3600(1h=3600s)に設定される。また、変数x14は照明単価を示し、変数x15は電力量単価を示す。電力会社による電力量単価は通常(円/kWh)で示されるため、係数k12は、WをkWに変換するために設けられ、1000に設定される。
【0131】
本実施形態では、上記施策が選択された場合には、その施策に対応する上記(式1)及び(式2)で示される施策関数が特定され、その後、当該施策関数に含まれる各変数の値が、その施策を実施する上での条件に応じて設定される。以下、各変数値の具体的設定例について説明する。
【0132】
ここで、上記施策を実施するビルにおいて、3つの切り替えタイプが存在していると仮定する。或るタイプはビルの特定の場所には適用するが他の場所には適用しない等といった適用範囲にも制限が存在する。タイプ1は、消費電力が100(W)で単価がc01(円)の既存照明から、消費電力が60(W)で単価がc11(円)の高効率照明へ切り替える形態を示す。タイプ2は、消費電力が40(W)で単価がc02(円)の既存照明から、消費電力が20(W)で単価がc12(円)の高効率照明へ切り替える形態を示す。タイプ3は、消費電力が100(W)で単価がc03(円)の既存照明から、消費電力が50(W)で単価がc13(円)の高効率照明へ切り替える形態を示す。この場合、上記Fe関数の変数x11については、タイプ1の値が40(W)に設定され、タイプ2の値が20(W)に設定され、タイプ3の値が50(W)に設定される。
【0133】
更に、上記施策を実施するビルで適用条件毎に存在する上記各タイプの照明の本数に応じて、上記x12は、次のように設定される。タイプ1に対応する変数x12の値(照明の本数)がX1に設定され、タイプ2に対応する変数x12の値がX2に設定され、タイプ3に対応する変数x12の値がX3に設定される。
【0134】
また、上記施策を実施するビルにおける各タイプに対応する照明の使用時間に応じて、上記x13は、次のように設定される。使用時間を一日の稼働時間と年間の稼働日数との積で示した場合、タイプ1に対応する変数x13の値(使用時間)はa1(時間/日)とb1(日/年)との積(a1×b1)に設定され、タイプ2に対応する変数x13の値はa2(時間/日)とb2(日/年)との積(a2×b2)に設定され、タイプ3に対応する変数x13の値はa3(時間/日)とb3(日/年)との積(a3×b3)に設定される。
【0135】
また、上述した各タイプの照明の単価の変化に応じて、上記x14は、次のように設定される。タイプ1に対応する変数x14の値はc11とc01の差(c11−c01)に設定され、タイプ2に対応する変数x14の値はc12とc02の差(c12−c02)に設定され、タイプ3に対応する変数x14の値はc13とc03の差(c13−c03)に設定される。
【0136】
また、上記施策を実施するビルにおける電気量単価に応じて、変数x15の値がda(円)に設定される。この電力量単価には、例えば、全国平均の電力単価や契約電力会社の電力単価等が利用される。
【0137】
このように各変数の値が設定されると、上述のようなFe関数及びFc関数に基づいて、以下のように、エネルギー削減量(J)と限界削減費用(円)とが算出される。
エネルギー削減量={40×(X1)×(a1×b1)+20×(X2)×(a2×b2)+50×(X3)×(a3×b3)}×3600
限界削減費用={(c11−c01)×(X1)+(c12−c02)×(X2)+(c13−c03)×(X3)}−{40×(X1)×(a1×b1)+20×(X2)×(a2×b2)+50×(X3)×(a3×b3)}×da/1000
【実施例2】
【0138】
空調の設定温度を変える施策についての施策関数は、例えば、以下の(式3)及び(式4)のように定義される。(式3)はFe関数の例であり、(式4)はFc関数の例である。以下の施策関数は、理論値からの関数と類推される関数の組合せからなる関数であり、計測データ及び事例データの統計解析結果を用いて新たに係数を類推することにより、関数を特定した例であるといえる。
Fe2={k21×x20×x21×x22+x23+x24}−{k21×x25×x21×x22+x27+x28} (式3)
Fc2=−(Fe2/k22×x29)/1000 (式4)
【0139】
上記(式3)及び(式4)において、係数k21は熱損失係数を示し、変数x20は変更前の設定温度の外気温度との差を示し、変数x25は変更後の設定温度の外気温度との差を示し、変数x21は部屋の稼働時間を示し、変数x22は床面積を示し、変数x23は変更前の設定温度における空調機器の稼働ロスを示し、変数x27は変更後の設定温度における空調機器の稼働ロスを示し、変数x24は変更前の設定温度における送風ロスを示し、変数x28は変更前の設定温度における送風ロスを示す。係数k22は3600に設定され、変数x29は電気量単価を示す。ここで、例えば、係数k21により示される熱損失係数は、例えば、ビルの規模、業種、入居部門、建築年、立地条件、地域等の変数を用いて重回帰分析を行うことにより類推される値に設定される。
【0140】
なお、上述の説明で用いた複数のフローチャートでは、複数のステップ(処理)が順番に記載されているが、本実施形態で実行される処理ステップの実行順序は、その記載の順番に制限されない。本実施形態では、図示される処理ステップの順番を内容的に支障のない範囲で変更することができる。また、上述の各実施形態及び各変形例は、内容が相反しない範囲で組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0141】
1 CPU
2 メモリ
3 入出力インタフェース(I/F)
7 表示装置
8 入力装置
10 限界費用曲線生成装置(グラフ生成装置)
100 施策情報取得部
110 変数値取得部
120 グラフデータ生成部
130 出力制御部
140 変数値パターン特定部
150 施策関数データベース(DB)
160 パターンデータベース(DB)
201 変数値推定部
202 変数値データベース(DB)
211 係数値更新部
221 排他施策パターン取得部221
231 変数値適正化部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
削減量を横軸に示し、限界削減費用を縦軸に示し、各施策に関する削減量及び限界削減費用を示す各領域を横軸方向に並べることにより形成される限界費用曲線を生成する限界費用曲線生成装置において、
各施策について、施策識別子、前記削減量を算出するための第1関数、及び、前記限界削減費用を算出するための第2関数をそれぞれ格納する関数格納手段と、
前記限界費用曲線に含めるべき施策を特定するための施策識別子を取得する施策情報取得手段と、
前記施策情報取得手段により取得された施策識別子に対応する前記第1関数及び前記第2関数に含まれる各変数の値をそれぞれ取得する変数値取得手段と、
前記変数値取得手段により取得された各変数値を前記第1関数及び前記第2関数に適用することにより、前記限界費用曲線に含めるべき施策に関する削減量及び限界削減費用を算出し、算出された削減量及び限界削減費用で表される領域を含む前記限界費用曲線を示すデータを生成するグラフデータ生成手段と、
を備えることを特徴とする限界費用曲線生成装置。
【請求項2】
前記第1関数又は前記第2関数に含まれる少なくとも1つの変数の値をそれぞれ含む、複数の変数値パターンを格納するパターン格納手段と、
ユーザにより入力された、施策を実施する上での条件を示す条件情報を取得し、当該取得された条件情報に基づいて、前記パターン格納手段に格納される複数の変数値パターンのうちの少なくとも1つを特定する変数値パターン特定手段と、
を更に備え、
前記変数値取得手段は、前記変数値パターン特定手段により特定された少なくとも1つの変数値パターンを、前記第1関数及び前記第2関数に含まれる各変数の値として取得する、
ことを特徴とする請求項1に記載の限界費用曲線生成装置。
【請求項3】
前記第1関数及び前記第2関数に含まれる変数を、固定的な値に設定される固定変数と、所定範囲で値が変更され得る変動変数とに分類し、当該変動変数の値の範囲を格納する変動変数情報格納手段を更に備え、
前記変数値取得手段は、前記変動変数情報格納手段により格納される情報に基づいて、前記第1関数及び前記第2関数に含まれる変数の中の前記変動変数のみを対象として変数値をユーザに設定させる画面データを生成する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の限界費用曲線生成装置。
【請求項4】
前記各施策を、1回のみ実施され完了する固定施策と、定期的に複数回実施される変動施策とにそれぞれ分類し、前記各施策について、施策の分類情報、及び、施策の実施状況情報をそれぞれ格納する施策属性格納手段を更に備え、
前記グラフデータ生成手段は、前記削減量及び前記限界削減費用を示す領域の表示形態が前記施策属性格納手段に格納される各施策の分類情報及び実施状況情報に対応する状態に設定されたデータを、前記限界費用曲線を示すデータの一部として生成する、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の限界費用曲線生成装置。
【請求項5】
前記変数値取得手段は、前記各施策について、削減量と、限界削減費用と、前記第1関数及び前記第2関数に含まれる少なくとも1つの変数の値とに対応する各実績値をそれぞれ取得し、
前記限界費用曲線生成装置は、
前記変数値取得手段により取得された各実績値を用いて解析処理を実行することにより、前記第1関数及び前記第2関数に含まれる変数の中の、前記変数値取得手段により実績値が取得されなかった変数の値を推定する変数値推定手段、
を更に備えることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の限界費用曲線生成装置。
【請求項6】
前記各施策のための前記第1関数及び前記第2関数に含まれる変数の値を、施策実施者を特定するための実施者識別子毎にそれぞれ格納する変数値格納手段と、
前記変数値格納手段に格納される実施者識別子毎の変数の値を用いて解析処理を実行することにより、前記各施策のための前記第1関数及び前記第2関数に含まれる係数の値を更新する係数値更新手段、
を更に備えることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の限界費用曲線生成装置。
【請求項7】
同時に選択不可能な施策の組み合わせを示し、当該組み合わせに含まれる複数の施策の施策識別子を含む排他施策グループを格納する排他施策グループ格納手段と、
前記グラフデータ生成手段により生成されたデータに基づいて表示装置に表示される前記限界費用曲線の画面においてユーザにより選択された施策の施策識別子を取得し、当該取得された施策識別子と同じ排他施策グループに属し、当該画面において既に選択された他の施策が存在するか否かを判定し、当該判定結果に基づいて、当該ユーザ選択の許否を決定する出力制御手段と、
を更に備えることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の限界費用曲線生成装置。
【請求項8】
同時に選択不可能な施策の組み合わせを示し、当該組み合わせに含まれる複数の施策の施策識別子を含む排他施策グループを格納する排他施策グループ格納手段と、
前記排他施策グループ格納手段に格納される複数の排他施策グループの中の、同じ施策識別子を少なくとも1つ含む複数の排他施策グループから、同時に選択され得る施策の組み合わせを複数含む排他施策パターンを取得する排他パターン取得手段と、
を更に備え、
前記グラフデータ生成手段は、前記排他パターン取得手段により取得された各排他施策パターンについて、施策の組み合わせ毎の前記削減量の合計又は前記限界削減費用の合計をそれぞれ算出し、当該各排他施策パターンに関し、前記削減量の合計又は前記限界削減費用の合計が最大となる施策の組み合わせをそれぞれ抽出し、当該各排他施策パターンから抽出されなかった組み合わせに含まれる施策を除外して、前記限界費用曲線を示すデータを生成する、
ことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の限界費用曲線生成装置。
【請求項9】
前記第1関数又は前記第2関数に少なくとも1つの共通の内容を示す変数が含まれる複数の施策を特定するための複数の施策識別子を含む関連施策グループを格納する関連施策グループ格納手段と、
前記関連施策グループ格納手段に格納される各関連施策グループに含まれる施策の合計削減量又は合計限界削減費用が最大となるように、各関連施策グループに含まれる施策の第1関数又は第2関数に含まれる各変数の値をそれぞれ決定する変数値適正化手段と、
を更に備えることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の限界費用曲線生成装置。
【請求項10】
前記第1関数又は前記第2関数に少なくとも1つの共通の内容を示す変数が含まれる複数の施策を特定するための複数の施策識別子を含む関連施策グループを格納する関連施策グループ格納手段と、
前記関連施策グループ格納手段に格納される関連施策グループに含まれる複数の施策の中から、前記削減量又は前記限界削減費用が最大となり得る施策を順次選択し、選択された施策に含まれる各変数の値を当該削減量又は当該限界削減費用が最大となるようにそれぞれ決定する、
ことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の限界費用曲線生成装置。
【請求項11】
削減量を横軸に示し、限界削減費用を縦軸に示し、各施策に関する削減量及び限界削減費用を示す各領域を横軸方向に並べることにより形成される限界費用曲線を生成する限界費用曲線生成方法において、
各施策について、施策識別子、前記削減量を算出するための第1関数、及び、前記限界削減費用を算出するための第2関数をそれぞれ格納する関数格納部を備えるコンピュータが、
前記限界費用曲線に含めるべき施策を特定するための施策識別子を取得し、
前記取得された施策識別子に対応する前記第1関数及び前記第2関数に含まれる各変数の値をそれぞれ取得し、
前記取得された各変数値を前記第1関数及び前記第2関数に適用することにより、前記限界費用曲線に含めるべき施策に関する削減量及び限界削減費用を算出し、
前記算出された削減量及び限界削減費用で表される領域を含む前記限界費用曲線を示すデータを生成する、
ことを含む限界費用曲線生成方法。
【請求項12】
削減量を横軸に示し、限界削減費用を縦軸に示し、各施策に関する削減量及び限界削減費用を示す各領域を横軸方向に並べることにより形成される限界費用曲線をコンピュータに生成させるプログラムにおいて、
前記コンピュータに、
各施策について、施策識別子、前記削減量を算出するための第1関数、及び、前記限界削減費用を算出するための第2関数をそれぞれ格納する関数格納手段と、
前記限界費用曲線に含めるべき施策を特定するための施策識別子を取得する施策情報取得手段と、
前記施策情報取得手段により取得された施策識別子に対応する前記第1関数及び前記第2関数に含まれる各変数の値をそれぞれ取得する変数値取得手段と、
前記変数値取得手段により取得された各変数値を前記第1関数及び前記第2関数に適用することにより、前記限界費用曲線に含めるべき施策に関する削減量及び限界削減費用を算出し、算出された削減量及び限界削減費用で表される領域を含む前記限界費用曲線を示すデータを生成するグラフデータ生成手段と、
を実現させることを特徴とするプログラム。
【請求項1】
削減量を横軸に示し、限界削減費用を縦軸に示し、各施策に関する削減量及び限界削減費用を示す各領域を横軸方向に並べることにより形成される限界費用曲線を生成する限界費用曲線生成装置において、
各施策について、施策識別子、前記削減量を算出するための第1関数、及び、前記限界削減費用を算出するための第2関数をそれぞれ格納する関数格納手段と、
前記限界費用曲線に含めるべき施策を特定するための施策識別子を取得する施策情報取得手段と、
前記施策情報取得手段により取得された施策識別子に対応する前記第1関数及び前記第2関数に含まれる各変数の値をそれぞれ取得する変数値取得手段と、
前記変数値取得手段により取得された各変数値を前記第1関数及び前記第2関数に適用することにより、前記限界費用曲線に含めるべき施策に関する削減量及び限界削減費用を算出し、算出された削減量及び限界削減費用で表される領域を含む前記限界費用曲線を示すデータを生成するグラフデータ生成手段と、
を備えることを特徴とする限界費用曲線生成装置。
【請求項2】
前記第1関数又は前記第2関数に含まれる少なくとも1つの変数の値をそれぞれ含む、複数の変数値パターンを格納するパターン格納手段と、
ユーザにより入力された、施策を実施する上での条件を示す条件情報を取得し、当該取得された条件情報に基づいて、前記パターン格納手段に格納される複数の変数値パターンのうちの少なくとも1つを特定する変数値パターン特定手段と、
を更に備え、
前記変数値取得手段は、前記変数値パターン特定手段により特定された少なくとも1つの変数値パターンを、前記第1関数及び前記第2関数に含まれる各変数の値として取得する、
ことを特徴とする請求項1に記載の限界費用曲線生成装置。
【請求項3】
前記第1関数及び前記第2関数に含まれる変数を、固定的な値に設定される固定変数と、所定範囲で値が変更され得る変動変数とに分類し、当該変動変数の値の範囲を格納する変動変数情報格納手段を更に備え、
前記変数値取得手段は、前記変動変数情報格納手段により格納される情報に基づいて、前記第1関数及び前記第2関数に含まれる変数の中の前記変動変数のみを対象として変数値をユーザに設定させる画面データを生成する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の限界費用曲線生成装置。
【請求項4】
前記各施策を、1回のみ実施され完了する固定施策と、定期的に複数回実施される変動施策とにそれぞれ分類し、前記各施策について、施策の分類情報、及び、施策の実施状況情報をそれぞれ格納する施策属性格納手段を更に備え、
前記グラフデータ生成手段は、前記削減量及び前記限界削減費用を示す領域の表示形態が前記施策属性格納手段に格納される各施策の分類情報及び実施状況情報に対応する状態に設定されたデータを、前記限界費用曲線を示すデータの一部として生成する、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の限界費用曲線生成装置。
【請求項5】
前記変数値取得手段は、前記各施策について、削減量と、限界削減費用と、前記第1関数及び前記第2関数に含まれる少なくとも1つの変数の値とに対応する各実績値をそれぞれ取得し、
前記限界費用曲線生成装置は、
前記変数値取得手段により取得された各実績値を用いて解析処理を実行することにより、前記第1関数及び前記第2関数に含まれる変数の中の、前記変数値取得手段により実績値が取得されなかった変数の値を推定する変数値推定手段、
を更に備えることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の限界費用曲線生成装置。
【請求項6】
前記各施策のための前記第1関数及び前記第2関数に含まれる変数の値を、施策実施者を特定するための実施者識別子毎にそれぞれ格納する変数値格納手段と、
前記変数値格納手段に格納される実施者識別子毎の変数の値を用いて解析処理を実行することにより、前記各施策のための前記第1関数及び前記第2関数に含まれる係数の値を更新する係数値更新手段、
を更に備えることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の限界費用曲線生成装置。
【請求項7】
同時に選択不可能な施策の組み合わせを示し、当該組み合わせに含まれる複数の施策の施策識別子を含む排他施策グループを格納する排他施策グループ格納手段と、
前記グラフデータ生成手段により生成されたデータに基づいて表示装置に表示される前記限界費用曲線の画面においてユーザにより選択された施策の施策識別子を取得し、当該取得された施策識別子と同じ排他施策グループに属し、当該画面において既に選択された他の施策が存在するか否かを判定し、当該判定結果に基づいて、当該ユーザ選択の許否を決定する出力制御手段と、
を更に備えることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の限界費用曲線生成装置。
【請求項8】
同時に選択不可能な施策の組み合わせを示し、当該組み合わせに含まれる複数の施策の施策識別子を含む排他施策グループを格納する排他施策グループ格納手段と、
前記排他施策グループ格納手段に格納される複数の排他施策グループの中の、同じ施策識別子を少なくとも1つ含む複数の排他施策グループから、同時に選択され得る施策の組み合わせを複数含む排他施策パターンを取得する排他パターン取得手段と、
を更に備え、
前記グラフデータ生成手段は、前記排他パターン取得手段により取得された各排他施策パターンについて、施策の組み合わせ毎の前記削減量の合計又は前記限界削減費用の合計をそれぞれ算出し、当該各排他施策パターンに関し、前記削減量の合計又は前記限界削減費用の合計が最大となる施策の組み合わせをそれぞれ抽出し、当該各排他施策パターンから抽出されなかった組み合わせに含まれる施策を除外して、前記限界費用曲線を示すデータを生成する、
ことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の限界費用曲線生成装置。
【請求項9】
前記第1関数又は前記第2関数に少なくとも1つの共通の内容を示す変数が含まれる複数の施策を特定するための複数の施策識別子を含む関連施策グループを格納する関連施策グループ格納手段と、
前記関連施策グループ格納手段に格納される各関連施策グループに含まれる施策の合計削減量又は合計限界削減費用が最大となるように、各関連施策グループに含まれる施策の第1関数又は第2関数に含まれる各変数の値をそれぞれ決定する変数値適正化手段と、
を更に備えることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の限界費用曲線生成装置。
【請求項10】
前記第1関数又は前記第2関数に少なくとも1つの共通の内容を示す変数が含まれる複数の施策を特定するための複数の施策識別子を含む関連施策グループを格納する関連施策グループ格納手段と、
前記関連施策グループ格納手段に格納される関連施策グループに含まれる複数の施策の中から、前記削減量又は前記限界削減費用が最大となり得る施策を順次選択し、選択された施策に含まれる各変数の値を当該削減量又は当該限界削減費用が最大となるようにそれぞれ決定する、
ことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の限界費用曲線生成装置。
【請求項11】
削減量を横軸に示し、限界削減費用を縦軸に示し、各施策に関する削減量及び限界削減費用を示す各領域を横軸方向に並べることにより形成される限界費用曲線を生成する限界費用曲線生成方法において、
各施策について、施策識別子、前記削減量を算出するための第1関数、及び、前記限界削減費用を算出するための第2関数をそれぞれ格納する関数格納部を備えるコンピュータが、
前記限界費用曲線に含めるべき施策を特定するための施策識別子を取得し、
前記取得された施策識別子に対応する前記第1関数及び前記第2関数に含まれる各変数の値をそれぞれ取得し、
前記取得された各変数値を前記第1関数及び前記第2関数に適用することにより、前記限界費用曲線に含めるべき施策に関する削減量及び限界削減費用を算出し、
前記算出された削減量及び限界削減費用で表される領域を含む前記限界費用曲線を示すデータを生成する、
ことを含む限界費用曲線生成方法。
【請求項12】
削減量を横軸に示し、限界削減費用を縦軸に示し、各施策に関する削減量及び限界削減費用を示す各領域を横軸方向に並べることにより形成される限界費用曲線をコンピュータに生成させるプログラムにおいて、
前記コンピュータに、
各施策について、施策識別子、前記削減量を算出するための第1関数、及び、前記限界削減費用を算出するための第2関数をそれぞれ格納する関数格納手段と、
前記限界費用曲線に含めるべき施策を特定するための施策識別子を取得する施策情報取得手段と、
前記施策情報取得手段により取得された施策識別子に対応する前記第1関数及び前記第2関数に含まれる各変数の値をそれぞれ取得する変数値取得手段と、
前記変数値取得手段により取得された各変数値を前記第1関数及び前記第2関数に適用することにより、前記限界費用曲線に含めるべき施策に関する削減量及び限界削減費用を算出し、算出された削減量及び限界削減費用で表される領域を含む前記限界費用曲線を示すデータを生成するグラフデータ生成手段と、
を実現させることを特徴とするプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【公開番号】特開2012−194714(P2012−194714A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−57359(P2011−57359)
【出願日】平成23年3月16日(2011.3.16)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月16日(2011.3.16)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】
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