説明

除塵装置

【課題】紙粉のような粉状の塵だけでなく、糸状、帯状などの長め、或いは大きめの塵でも難なく吸引除去することができる除塵装置を提供する。
【解決手段】一方向に走行する平面状のワーク1の表面に付着した塵を除去する装置であって、真空吸引装置と通気しておりワーク1との対向面が開口4している吸気室6と、該吸気室6内に上記ワーク1と摺接可能に設けられる回転ブラシ7と、該回転ブラシ7を回転駆動するモータ10と、先端部が該回転ブラシ7の刷毛9間に侵入するように該吸気室6内に設けられ該回転ブラシ7に付着した塵を梳き取る梳櫛13とからなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、段ボール紙等の平面状のワークの搬送ラインに設けられ、該ワークの表面に付着している紙粉、裁断屑等を真空吸引により除去する除塵装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、裁断時に発生した紙粉、裁断屑等の塵が段ボール紙の表面に付着したままで、その段ボール紙に印刷をすると、インクが載らない部分ができて不良品を発生することが多々あった。下記特許文献1に示された除塵装置は、概略を図6に示したように、真空吸引装置と連なり開口部aが段ボール紙等のワークbの表面と相対する吸気室cを形成し、該吸気室c内に回転ブラシdを設けるとともに、該回転ブラシdに近接乃至当接するようにノズルeを設け、回転ブラシdに付着した塵を該ノズルeにより吸込除去しようとするものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3122370号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記従来の除塵装置の構造では、長い糸状或いは帯状の裁断屑がノズルにより吸込されないなど、回転ブラシに付着した塵を十分に取り除くことができず、ノズル孔を詰まらせるおそれがあった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る除塵装置は、上記課題を解決しようとするもので、一方向に走行する平面状のワークの表面に付着した塵を除去する装置であって、真空吸引装置と通気しておりワークとの対向面が開口している吸気室と、該吸気室内に上記ワークと摺接可能に設けられる回転ブラシと、該回転ブラシを回転駆動するモータと、先端部が該回転ブラシの刷毛内に侵入するように該吸気室内に設けられ該回転ブラシに付着した塵を梳き取る梳櫛とからなることを特徴とする。
また、本発明は、上記除塵装置において、梳櫛は、吸気室内において回転ブラシが回転する際の刷毛の上昇側部位に当たるように先端を下向きにして垂下状に設けたものであることを特徴とする。
また、本発明は、上記除塵装置において、回転ブラシは、長手方向の中央部にてネジリ方向が反転する螺旋状なるように回転軸の外周に刷毛を固植してなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明に係る除塵装置では、紙粉のような粉状の塵だけでなく、糸状、帯状などの長め、或いは大きめの塵も難なく吸引除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明に係る除塵装置の平面図。
【図2】本発明に係る除塵装置の横断面図。
【図3】本発明に係る除塵装置の縦断面図。
【図4】本発明に係る除塵装置の回転ブラシの斜視図。
【図5】本発明に係る除塵装置の回転ブラシの斜視図。
【図6】従来の除塵装置の横断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次に本発明の実施形態を図面に従い説明する。図1は、矢印A方向に水平に搬送される段ボール紙等の平面状のワーク1の搬送ラインを示し、2は該ワーク1の上部に横断状に支持された除塵装置で、該除塵装置はワーク1の幅方向に長いケーシング3の下面に図2に示したようにワーク1の上面と相対するスリット状の開口4が形成され、該ケーシング3に一端が連結された吸気ホース5の他端を集塵フィルタおよび吸気ブロワからなる真空吸引装置(図示せず)に連結することにより、該ケーシング3内に該真空吸引装置と通気する吸気室6が形成される。7は図4にも示したように回転軸8の外周面に緊密に刷毛9を植設してなる回転ブラシで、該回転ブラシ7は、ケーシング3の一端部に設けたモータ10に該回転軸8の一端を直結するとともに該回転軸8の他端をケーシング3の他端部に軸支することにより、該回転ブラシ7の外周部が前記開口4から突出するように該吸気室6内に設けられ、該モータ10を駆動することにより該回転ブラシ7が矢印B方向に回転し、刷毛9の先端がワーク1の上面に摺接する。即ち、回転ブラシ7を矢印B方向に回転させることにより、ワーク1の搬送方向と対向するように刷毛9の先端がワーク1の上面を摺接する。
【0009】
しかして、回転ブラシ7の上部にケーシング3を幅方向に貫通するボルト11を設け、該ボルト11を吸気室6内にてカラー12a,12bに貫挿するとともに該カラー12a,12bの間に梳櫛13の上縁部を挟着してナット14を締め付けることにより、該梳櫛13を吸気室6内にて先端が下向くように垂下状に支持する。カラー12aは他方のカラー12bよりも軸方向に長いことから該梳櫛13は回転ブラシ7に対して幅方向にずれて配置され、該梳櫛13の先端部が該回転ブラシ7の刷毛9内に侵入し、しかも回転ブラシ7が矢印B方向に回転する際の刷毛9の上昇側部位に侵入して当たるように該梳櫛13が支持される。
【0010】
この除塵装置では、真空吸引装置を作動させることにより吸気室6内を減圧し、開口4から外気を吸引させると同時に、回転ブラシ7を回転させ刷毛9の先端をワーク1の上面に摺接させることにより、ワーク1の表面にあった紙粉等の塵が該刷毛9に付着して吸気室6内に持ち込まれ、該吸気室6内にて該刷毛9の隙間に梳櫛13の先端部が侵入することから、該塵が該梳櫛13によって梳き取られ、吸気ホース5を通して真空吸引装置に吸引される。このようにこの除塵装置では、回転ブラシ7に付着して吸気室6内に持ち込まれた塵を梳櫛13によって梳き取るようにしたので、紙粉のような粉状の塵だけでなく、回転ブラシ7に糸状、帯状など長めの塵が付着しても梳櫛13によって該塵を難なく確実に離脱させることができる。
【0011】
一方、図5に示した回転ブラシ7は、長手方向の中央部にてネジリ方向が反転する螺旋状なるように回転軸8の外周に刷毛9を固植してなるもので、該回転ブラシ7が回転駆動されると、刷毛9の先端がワーク1の表面に対してワーク幅方向に波打つように順に摺接することから、該ワーク1の表面に付着していた帯状等の長め、或いは大きめ塵でも該回転ブラシ8の刷毛9間に保持されて、吸気室6内に持ち込まれ梳櫛13によって梳き取られる。このため、図5に示した回転ブラシ7を設けた除塵装置によれば、より大きな塵、或いは種々の形状の塵でも難なく吸引除去することができる。なお、この回転ブラシ7においては刷毛9が長手方向の中央部にてネジリ方向が反転して固植されていることから、ワーク1面上の塵が刷毛9に当たって一幅方向にだけ移動し、該塵が片隅にだけ集まるのを避けることができる。
【0012】
このためこの除塵装置では、従来のようにノズル孔が詰まったりすることなく、ワーク1に付着していた塵をより完全に除去することができ、トラブルのおそれなくメンテナンスフリーで長時間運転することが可能になる。
なお、この実施形態では、ワーク1の上面と相対するように除塵装置2を設けたが、除塵装置2をワーク1の下面と相対するように設けることもできる。
【符号の説明】
【0013】
1 ワーク
2 除塵装置
3 ケーシング
4 開口
6 吸気室
7 回転ブラシ
8 回転軸
9 刷毛
10 モータ
13 梳櫛

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方向に走行する平面状のワークの表面に付着した塵を除去する装置であって、真空吸引装置と通気しておりワークとの対向面が開口している吸気室と、該吸気室内に上記ワークと摺接可能に設けられる回転ブラシと、該回転ブラシを回転駆動するモータと、先端部が該回転ブラシの刷毛間に侵入するように該吸気室内に設けられ該回転ブラシに付着した塵を梳き取る梳櫛とからなることを特徴とする除塵装置。
【請求項2】
梳櫛は、吸気室内において回転ブラシが回転する際の刷毛の上昇側部位に当たるように先端を下向きにして垂下状に設けたものであることを特徴とする請求項1に記載した除塵装置。
【請求項3】
回転ブラシは、長手方向の中央部にてネジリ方向が反転する螺旋状なるように回転軸の外周に刷毛を固植してなることを特徴とする請求項1または2に記載した除塵装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2012−143687(P2012−143687A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−2708(P2011−2708)
【出願日】平成23年1月11日(2011.1.11)
【出願人】(591004995)
【Fターム(参考)】