除染装置
【解決手段】 第2除染装置5は、アイソレータ2およびインキュベータ2との接続部分に除染空間S1を形成する密封手段7と、送気管路41を介して蒸気化された除染媒体を上記除染空間S1へと供給する除染媒体供給手段8と、上記送気管路41に気体を送気する送気手段と、該送気手段が送気する気体を加熱する加熱手段と、上記送気管路41から分岐した第1分岐管路48とを備えている。
上記加熱手段が加熱した気体を上記第1分岐管路に流通させて、上記送気管路を加熱し(a)、送気管路が加熱された状態で除染媒体供給手段が供給する蒸気化された除染媒体を除染空間へと流通させる(b)。
【効果】 上記除染空間を加熱せずに上記送気管路を加熱することで、効率的に比較的小容量の除染空間の除染を行うことができる。
上記加熱手段が加熱した気体を上記第1分岐管路に流通させて、上記送気管路を加熱し(a)、送気管路が加熱された状態で除染媒体供給手段が供給する蒸気化された除染媒体を除染空間へと流通させる(b)。
【効果】 上記除染空間を加熱せずに上記送気管路を加熱することで、効率的に比較的小容量の除染空間の除染を行うことができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は除染装置に関し、詳しくは送気管路を介して蒸気化された除染媒体を外部雰囲気から隔離された除染空間へと供給する除染媒体供給手段とを備えた除染装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アイソレータにインキュベータを接続するとともに、アイソレータとインキュベータとを無菌状態を維持したまま連通させて、培養物等の移送を行うことが行われている。
ここで、上記アイソレータとインキュベータとを連通させる際に、それまで外部雰囲気に露出していた部分を除染するため、これらアイソレータとインキュベータとの接続部分に外部雰囲気から隔離する比較的小容量の除染空間を形成し、送気管路を介して蒸気化された除染媒体を上記除染空間へと供給する除染媒体供給手段を備えた除染装置が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−195432号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上記除染媒体による滅菌効果は、蒸気状態よりも凝縮状態の方が高いため、上記除染空間に至る送気管路はロスのないように蒸気状態のまま除染媒体を供給し、上記除染空間内で液滴化させて高い滅菌効果を与えることが望ましい。
しかしながら、上記特許文献1のように、上記除染空間は小容量の空間であるため、上記送気管路の加熱に伴って上記除染空間も加熱されてしまい、該除染空間内で蒸気が凝縮しにくくなって除染時間が長くなるという問題が発生する。
逆に、除染空間の温度を低く保とうとした場合、蒸気化した除染媒体は送気管路で液滴化するため、滅菌効果の減少、エアレーション時間(除染媒体の不活化工程)が大幅に延長されるという問題が発生する。
このような問題に鑑み、本発明は上記除染空間を加熱せずに上記送気管路を加熱して、効率的に比較的小容量の除染空間の除染を行うことが可能な除染装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
すなわち請求項1の発明は、送気管路を介して蒸気化された除染媒体を除染空間へと供給する除染媒体供給手段を備えた除染装置において、
上記送気管路内に気体を送気する送気手段と、上記送気管路上に設けられて送気される気体を加熱する加熱手段と、該加熱手段と除染空間との間の送気管路に接続された分岐管路と、上記送気管路を送気される気体を上記除染空間と上記分岐管路とのいずれか一方に流通させる切換手段とを設け、
上記加熱手段が加熱した気体を送気管路から分岐管路に流通させて送気管路の加熱を行い、送気管路が加熱された状態で、上記切換手段を切換えて上記除染媒体供給手段が供給する蒸気化された除染媒体を除染空間へと流通させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0006】
上記発明によれば、上記送気手段が送気した気体を加熱手段が加熱し、この加熱した気体を送気管路に流通させて加熱することから、蒸気化した除染媒体が送気管路内で液滴化せず、効率的に除染媒体を除染空間まで供給することができる。
一方、上記加熱手段が加熱した気体は上記切換手段によって分岐管路より排出されるため、上記加熱された送気管路と上記除染空間との間には温度差が発生することから、除染空間に流入した除染媒体は速やかに液滴化し、効率的に除染空間の除染を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本実施例にかかる無菌培養システム1の構成図
【図2】アイソレータとインキュベータとの接続状態を示した平面図
【図3】アイソレータとインキュベータとの接続状態を示した側面図
【図4】(a)はアイソレータとインキュベータとの接続状態を、(b)はこれらの分離状態をそれぞれ示した断面図
【図5】本発明にかかる第2除染装置を説明する図
【図6】第2除染装置を用いた除染空間を除染する際の動作図
【図7】上記実施例とは異なる構成を有する第2除染装置を説明する図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下図示実施例について説明すると、図1は細胞や組織を培養する無菌培養システム1を示し、第1無菌ボックスとしてのアイソレータ2と、第2無菌ボックスとしてのインキュベータ3と、除染媒体によってアイソレータ2の内部を除染する第1除染装置4と、上記アイソレータ2とインキュベータ3とを接続するとともにその接続部分を除染する本発明にかかる第2除染装置5とを備えている。
上記第1除染装置4は、上記アイソレータ2との間に配設された配管4aを備えるとともに、該配管4aを介して過酸化水素蒸気等の蒸気化された除染媒体を上記アイソレータ2の内部に充満させるものとなっている。なお、このような第1除染装置4は従来公知であるため詳細な説明は省略する。
また上記第2除染装置5は、上記アイソレータ2とインキュベータ3とを接続する接続手段6と、アイソレータ2とインキュベータ3との間に外部雰囲気から離隔された除染空間S1を形成する密封手段7と、上記除染空間S1に除染媒体を供給する除染媒体供給手段8とから構成されている。
この第2除染装置5によれば、それまで外部に露出していた上記アイソレータ2とインキュベータ3との接続部分に比較的小容量の除染空間S1を形成するとともに、この除染空間S1を除染することでアイソレータ2とインキュベータ3との連通を速やかに行うことが可能となっている。
【0009】
以下、図2〜図4を用いて、上記アイソレータ2とインキュベータ3との接続部分の構成について説明する。なお図4(a)はアイソレータ2とインキュベータ3とが分離した状態を、図4(b)はアイソレータ2とインキュベータ3とが上記接続手段6によって連結された状態をそれぞれ示している。
アイソレータ2の側壁2aには第1開口部2bが形成され、該第1開口部2bに開閉可能に設けた第1蓋体11によってアイソレータ2の内部空間2Aは外部雰囲気から隔離されるようになっている。
上記アイソレータ2の内部空間2Aは、通常は図示しないエアコンデショナが供給する無菌エアによって陽圧に保たれており、側面には作業者が装着して無菌操作を行うためのグローブ12が設けられている(図1参照)。
上記アイソレータ2の第1開口部2bは、四隅が円弧状とされた略長方形を有しており、該第1開口部2bの周縁部に沿って筒状の環状部材13が気密を保った状態で固定され、該環状部材13におけるアイソレータ2の内部空間2A側の端部には樹脂製の内側シール部材13aが、外部雰囲気側の端部には樹脂製の外側シール部材13bがそれぞれ設けられている。
また上記環状部材13はアイソレータ2の側壁2aから外部に向けて突出するように設けられており、上記第2除染装置5を構成する送気管路41および排気管路52がその上下に接続されている(図1参照)。
上記第1蓋体11は、図4に示すようにアイソレータ2の外部側を向いた長方形の開口部11aが形成された扁平な箱状に形成されており、上記開口部11aの外周部分には上記環状部材13の内側シール部材13aに密着する平坦部11bが設けられている。
上記平坦部11bにおける上記内側シール部材13aとの当接面のさらに内周には、上記開口部11aを囲繞するように設けられた樹脂製の第1シール部材14が設けられ、上記インキュベータ3の第2蓋体21と密着するようになっている。
そして第1蓋体11は、アイソレータ2の内部空間2A側に設けられたヒンジ15によってアイソレータ2の内部空間2A側に開くように軸支され、同じく内部空間2A側には開閉レバー16が設けられている。
上記開閉レバー16は、作業者がアイソレータ2のグローブ12を装着することにより、アイソレータ2の内部空間2A側から操作可能となっており、上記開閉レバー16を側壁2aの内面に設けた留め具17に係合させることで、第1蓋体11が内側シール部材13aに押し付けられて、アイソレータ2の内部空間2Aが第1蓋体11によって密閉されるようになっている。
【0010】
上記インキュベータ3の側壁3aには第2開口部3bが形成され、該第2開口部3bには第2蓋体21が着脱手段22によって着脱可能に設けられており、該インキュベータ3の内部空間3Aは外部雰囲気より隔離されるようになっている。
上記インキュベータ3の内部空間3Aには培養容器が収容されるようになっており、さらに上記インキュベータ3は台車3Bに載置された状態で移動可能となっている(図1参照)。
インキュベータ3には、外部から炭酸ガス等の培養に適した気体が供給可能となっており、図示しないファンによって該気体が内部空間3Aに吹き出されるようになっている。また内部空間3Aは図示しないヒータによって所定温度に保温されるようになっている。
上記インキュベータ3の第2開口部3bは四隅が円弧状とされた略長方形に形成されており、該第2開口部3bのアイソレータ2側には、該第2開口部3bの周縁に沿って第2シール部材23が設けられている。
上記第2蓋体21は、図4に示すようにトレー状に形成され、インキュベータ3の第2開口部3bに設けた上記第2シール部材23に密着する底部21aと、底部21aの周緑部からアイソレータ2側に立設された周壁21bと、周壁21bから外側に折り返して形成した周縁面21cとから構成されている。
【0011】
上記着脱手段22は、上記第2蓋体21の周壁21bの上下より出没可能に設けられた上下2対計4本のロックピン24と、上記2対のロックピン24をそれぞれ連結する2つの連結部材25と、上記インキュベータ3の第2開口部3bの外側に設けられて、上記4本のロックピン24とそれぞれ嵌合する4つのピン係合部材26とを備えている。
上記ロックピン24は、上記第2蓋体21の周壁21bに固定された支持部材27に気密を保った状態で摺動可能に設けられており、ロックピン24はスプリング28によって周壁21bの内側から外側に突出するように付勢されている。
このような構成により、上記2本の連結部材25が上記スプリング28の付勢力によって離隔した状態では、上記ロックピン24が上記ピン係合部材26に係合し、上記第2蓋体21が上記インキュベータ3の第2開口部3bに密着した状態が維持されるようになっている。
逆に、2本の連結部材25を上記スプリング28の付勢力に抗して接近させると、上記ロックピン24が上記ピン係合部材26より離脱するため、上記第2蓋体21を上記インキュベータ3より離脱させることが可能となっている。
【0012】
上記接続手段6は、上記アイソレータ2とインキュベータ3とを連結固定するとともに、上記第1蓋体11と第2蓋体21とを連結して一体的に開閉可能とするものとなっている。
上記アイソレータ2の開口部11aに設けた環状部材13にはフック31が設けられており、インキュベータ3の側面には該フック31に係合するリング32が設けられている。そして上記フック31に上記リング32を係合させることでアイソレータ2とインキュベータ3とを離隔しないように連結固定することが可能となっている。
このようにアイソレータ2とインキュベータ3とを連結すると、上記第2蓋体21における上記周縁面21cが上記アイソレータ2の第1蓋体11に設けた第1シール部材14に密着し、第1蓋体11と第2蓋体21との内部に外部雰囲気より隔離された蓋体内部空間S2が形成されるようになっている。
そして、上記第1蓋体11における上記開口部11aの内側には、上下に2つのエアシリンダ33が設けられており、該エアシリンダ33には円錐凹状の挿入孔が上下方向に対向した2対計4個の当接部33aが上下に移動するように設けられている。
上記エアシリンダ33には、アイソレータ2の内部空間2Aに気密を保った状態で引き込まれたエア配管33bが接続され、該エア配管33bを介して図示しないエア供給源よりエアが供給されるようになっている。
一方上記第2蓋体21における2つの上記連結部材25には、2本のロックピン24の間にそれぞれ2本の係合ピン34が立設されており、上記エアシリンダ33によって上記当接部33aが上下に進退動すると、この当接部33aがそれぞれ各係合ピン34と嵌合するようになっている。
【0013】
上記構成を有する接続手段6によれば、上記フック31にリング32を係合させてアイソレータ2とインキュベータ3とが連結固定され、上記第1蓋体11と第2蓋体21とが密着すると、上記エアシリンダ33が上記当接部33aを相互に接近させる。
すると、上記当接部33aが上記第2蓋体21に設けられた係合ピン34に係合し、これにより第1蓋体11と第2蓋体21とが連結され、上記蓋体内部空間S2が形成される。
その後、エアシリンダ33が係合ピン34を押圧して連結部材25を上記スプリング28の付勢力に抗して相互に接近させると、上記ロックピン24が上記インキュベータ3の開口部11aに設けたピン係合部材26から離脱する。
その結果、第2蓋体21がインキュベータ3より離脱可能となるため、上記第1蓋体11と第2蓋体21とを一体的に連結した状態でアイソレータ2の内部空間2Aに向けて開閉することが可能となる。
【0014】
上記密封手段7は、上記アイソレータ2の第1開口部2bを無端状に囲繞する上記環状部材13部材と、上記インキュベータ3の第2開口部3bを無端状に囲繞する突出部材35とから構成されている。
上記環状部材13におけるアイソレータ2の内部空間2Aとは反対側の端部には上記外側シール部材13bが設けられており、また上記突出部材35は上記第2開口部3bに設けられた上記ピン係合部材26のさらに外側を囲繞するように設けられている。
このような構成により、上記アイソレータ2とインキュベータ3とを上記接続手段6によって接続すると、上記外側シール部材13bと突出部材35とが密着し、その内部に外部雰囲気より離隔された容積量20〜40l程度の除染空間S1が形成されるようになっている。
ここで、上記密封手段7によって隔離された除染空間S1は、上記接続手段6によって連結された第1蓋体11および第2蓋体21の周囲を取り囲み、この除染空間S1と蓋体内部空間S2とは相互に連通しないようになっている。
なお、密封手段7は、アイソレータ2とインキュベータ3のいずれか一方に設けられていてもよい。例えば、上記突出部材35をシール部材としてこれをアイソレータ2の第1開口部2bの外周に密着させる構成とすることで、上記外側シール部材13bを省略することが可能となる。
【0015】
図5は、上記密封手段7によってアイソレータ2とインキュベータ3との間に形成した除染空間S1を除染する上記第2除染装置5について説明する図となっている。
まず、上記密封手段7を構成する上記環状部材13におけるアイソレータ2より外部に突出した部分には、上記除染媒体供給手段8との間に除染媒体を供給する送気管路41が接続されている。
上記除染媒体供給手段8は、気体を送気する送気手段としての除染用ブロア42と、液状の除染媒体を貯溜する貯液タンク43と、該貯液タンク43より所定量ずつ除染媒体を送液する送液手段としての送液ポンプ44と、送液された除染媒体を蒸発させる蒸発器45とを備えている。
また本実施例における蒸発器45は、上記除染用ブロア42が送気した気体を加熱する加熱手段として利用している。
上記除染用ブロア42からの気体は上記蒸発器45を通過して送気管路へと送気されるようになっており、除染用ブロア42と蒸発器45との間には風量計46が設けられ、計測された風量に応じて除染用ブロア42の風量が制御されるようになっている。
上記貯液タンク43には除染媒体としての過酸化水素水溶液が貯溜されており、上記送液ポンプ44はこの液状の除染媒体を所定の流量で上記蒸発器45へと送液するようになっている。
上記蒸発器45は、上記送液ポンプ44が液状の除染媒体を滴下すると、これを瞬時に蒸発させて蒸気化した除染媒体を発生させるものとなっており、上記除染用ブロア42が送気した気体によってこの除染媒体が上記送気管路41へと送気されるようになっている。
そして、本実施例の除染媒体供給手段8には、上記除染空間S1内の除染媒体を排除するため第2の送気手段としてエアレーション用ブロア47が設けられており、該エアレーション用ブロア47の風量は上記除染用ブロア42よりも風量が高くなっている。
【0016】
次に、上記除染媒体供給手段8と上記密封手段7との間に配設された送気管路41には、該送気管路41より分岐して外部雰囲気に連通する第1分岐管路48と、同じく送気管路41より分岐して上記エアレーション用ブロア47に接続された第2分岐管路49とが接続されている。
また送気管路41における上記密封手段7との接続部分にはHEPAフィルタ50が設けられており、さらに上記送気管路41、第1、第2分岐管路48、49にはそれぞれ切換手段を構成する第1〜第3バルブV1〜V3が設けられている。
上記第1分岐管路48は、上記密封手段7に極力近い位置で送気管路41より分岐しており、この第1分岐管路48には上記第1バルブV1と除染媒体を分解する触媒51とが設けられている。
上記第2分岐管路49は、上記第1分岐管路48よりも密封手段7側に接続されており、上記第2バルブV2は上記第1分岐管路48と第2分岐管路49との間に設けられ、さらに第2分岐管路49には上記第3バルブV3が設けられている。
一方、上記密封手段7における上記送気管路41の接続された位置の反対側には、除染媒体を排出するための排気管路52が接続され、この排気管路52にはHEPAフィルタ53と、切換手段を構成する第4バルブV4と、除染媒体を分解する触媒54とが設けられている。
【0017】
以下、図6を用いて上記構成を有する無菌培養システム1の使用方法について説明し、特にアイソレータ2とインキュベータ3とを上記接続手段6により接続した状態から、上記除染空間S1を除染する手順について説明する。
まず図6(a)は、上記接続手段6によってアイソレータ2とインキュベータ3とを接続し、上記密封手段7によって除染空間S1が形成された状態を示している。
ここで、上記アイソレータ2とインキュベータ3とを上記接続手段6により接続しただけでは、この除染空間S1の内部にはそれまで外部雰囲気に露出していた部分が存在するため、このまま第1、第2蓋体11、21を開いてしまうと、除染空間S1内に浮遊する菌などによってアイソレータ2やインキュベータ3の内部空間2A,3Aが汚染される恐れがある。
そこで、本実施例では上記除染空間S1を除染することにより、無菌状態で第1、第2蓋体11、21を開放可能とし、無菌状態下でインキュベータ3とアイソレータ2との間で培養物の移送を行うことが可能となっている。
【0018】
図6(a)は、上記除染媒体供給手段8から加熱された気体を送気して、上記送気管路41を加熱している状態を示している。
具体的には、上記除染媒体供給手段8における除染用ブロア42が気体を送気するとともに、上記蒸発器45がこの除染用ブロア42が送気した気体を加熱して、加熱気体が送気管路41に送気されるようになっている。このとき、上記送液ポンプ44は停止しており、上記蒸発器45には液状化した除染媒体は供給されず、蒸気化した除染媒体は発生しないようになっている。
一方、上記第1分岐管路48に設けた第1バルブV1を開放するとともに、送気管路41に設けた第2バルブV2を閉鎖している。また、上記エアレーション用ブロア47は作動せずに第3バルブV3も閉鎖され、上記排気管路52の第4バルブV4も閉鎖されている。
これにより、上記送気管路41に供給された加熱気体は上記第1分岐管路48を介して外部雰囲気に排出されることとなる。一方、この加熱気体は通過した管路を加熱し、これにより上記送気管路41における除染媒体供給手段8側から第1分岐管路48の接続部分までの区間が約50℃に加熱され、また接続部分よりも先の送気管路41も伝熱により加熱されるようになっている。
一方、上記除染空間S1には上記加熱された気体は流入しないため、該除染空間S1は加熱されずに常温が維持されるようになっている。
【0019】
次に、図6(b)は、上記除染媒体供給手段8が蒸気化した除染媒体を供給して、上記密封手段7によって形成された除染空間S1に除染媒体を充満させた状態を示している。
具体的には、上記図6(a)の状態から、上記除染媒体供給手段8における送液ポンプ44が液化した除染媒体を蒸発器45へと送液し、蒸発器45が送液された除染媒体を蒸発させて蒸気化した除染媒体を発生させる。
一方、上記第1分岐管路48の第1バルブV1を閉鎖するとともに、送気管路41の第2バルブV2を開放し、さらに上記排気管路52の第4バルブV4を開放する。
これにより、蒸気化された除染媒体は送気管路41を介して上記除染空間S1内に供給され、この状態を例えば2分行うことにより、上記除染空間S1内の空気が蒸気化した除染媒体によって置き換えられることとなる。
このように蒸気化した除染媒体を上記送気管路41に送気する際、この送気管路41は上記図6(a)の際に加熱されていることから、この除染媒体が送気管路41の内部で液滴化しにくくなっており、蒸気化した除染媒体を上記除染空間S1まで効率的に供給することが可能となっている。
なお、接続手段6によって上記第1蓋体11と第2蓋体21との内部には蓋体内部空間S2が形成されているが、この蓋体内部空間S2は上記除染空間S1と隔離されていることから、該蓋体内部空間S2に除染媒体が流入することはなく、上記エアシリンダ33等が損傷しないようになっている。
【0020】
そして図6(c)は、上記除染空間S1に供給された除染媒体によって除染を行うとともに、一方で上記送気管路41内の除染媒体をエアレーションしている状態を示している。
具体的には、上記図6(b)の状態から、上記送液ポンプ44が液状の除染媒体の送液を停止するとともに、上記蒸発器45も停止し、除染媒体供給手段8からは上記除染用ブロア42によって送気された加熱されていない気体のみが送気管路41へと供給されるようになっている。
一方、図6(a)の時と同様、上記第1分岐管路48の第1バルブV1を開放するとともに、送気管路41の第2バルブV2を閉鎖し、さらに上記排気管路52の第4バルブV4を閉鎖する。
これにより、上記除染媒体供給手段8から供給された気体は送気管路41を介して上記第1分岐管路48へと流入し、さらに上記触媒51を通過して外部雰囲気へと排出され、これらの管路内に残留していた除染媒体は上記触媒51によって分解されて外部に排出されるようになっている。
一方、上記除染空間S1においては、気体の流入と排出が停止されるため、蒸気化された除染媒体はこの除染空間S1に保持されることとなり、例えばこの状態を3分保持することにより、蒸気化した除染媒体は液滴化して除染空間S1の内部に露出する部材に付着することとなる。
ここで、上記除染媒体による滅菌効果は、蒸気状態よりも凝縮状態の方が高いことが知られているが、本実施例においては上記図6(a)の状態において除染空間S1は加熱気体によって加熱されていないことから、加熱された管路と除染空間S1との温度差により、蒸気化した除染媒体を速やかに液滴化させることができ、短時間で除染空間S1の除染を行うことが可能となっている。
なお、接続手段6によって上記第1蓋体11と第2蓋体21との内部には蓋体内部空間S2が形成されているが、この蓋体内部空間S2は上記除染空間S1と隔離されていることから、該蓋体内部空間S2内の気体が除染空間S1に流入することはなく、除染空間S1が汚染されないようになっている。
【0021】
最後に、図6(d)は除染空間S1のエアレーションを行う状態を示している。
具体的には、図6(c)の状態から、上記除染媒体供給手段8における除染用ブロア42を停止させて、上記送気管路41における第1分岐管路48までの区間のエアレーションを終了する一方、上記エアレーション用ブロア47を作動させて上記除染空間S1のエアレーションを行うものとなっている。
ここでは、送気管路41の第2バルブV2を閉鎖し、第2分岐管路49の第3バルブV3を開放し、さらに上記排気管路52の第4バルブV4を開放する。
上記エアレーション用ブロア47は上記除染用ブロア42よりも風量が大きいため、このエアレーション用ブロア47によって送気された気体により、除染空間S1内の除染媒体を速やかに排出することが可能となっている。
なお、この図6(d)の状態においても、図6(c)の状態から引き続いて上記送気管路41における第1分岐管路48までの区間のエアレーションを行うようにしてもよい。
【0022】
そして、これらの作業が終了することにより、作業者は上記アイソレータ2に設けたグローブ12を装着して該アイソレータ2の内部から開閉レバー16を操作し、一体的に結合された第1蓋体11および第2蓋体21をアイソレータ2の内部に向けて開き、アイソレータ2の内部空間2Aとインキュベータ3の内部空間3Aとを相互に連通させる。
このとき、上記除染空間S1に露出していた部分は除染されており、また第1蓋体11、第2蓋体21の蓋体内部空間S2は接続手段4によって密閉されていることから、外部雰囲気に露出されていた部分が除染されずにアイソレータ2の内部空間2Aとインキュベータ3の内部空間3Aとが連通した空間に露出することはない。
また上記インキュベータ3とアイソレータ2とにおける作業が終了し、これらの接続を解除させる際には、まず作業者は開閉レバー16を操作して上記第1蓋体11および第2蓋体21を一体的に閉鎖し、上記接続手段6によるインキュベータ3とアイソレータ2との接続状態を解除すればよい。
なお、アイソレータ2の内部空間2Aで扱った細胞や組織が、微生物や細菌、ウイルス等の有害物に汚染されている可能性が懸念される場合、上記密封手段7によって除染空間S1が形成されていることから、上記第2除染装置5を用いて除染空間S1を再度除染することも可能である。
そして、作業者はインキュベータ3を任意の場所まで移動させ、別のインキュベータ3を上記アイソレータ2に接続することが可能となる。
【0023】
以上のように、上記構成を有する無菌培養システム1によれば、上記接続手段6によってアイソレータ2とインキュベータ3とを接続し、上記第1蓋体11と第2蓋体21を囲繞するように上記密封手段7が除染空間S1を形成することから、この小容量の除染空間S1を除染するだけで、アイソレータ2とインキュベータ3とを無菌状態を維持したまま連通させることができる。
そして、この除染空間S1を除染する際、あらかじめ除染空間S1以外の送気管路41を加熱する事で、該送気管路41を流通する蒸気化した除染媒体が液滴化せず、効率的に除染媒体を除染空間S1へと供給することが可能となっている。
さらに、上記除染空間S1は加熱されないため、上記送気管路41との間に温度差が発生することから、この除染空間S1に流入した除染媒体は速やかに液滴化し、効率的に除染空間S1の除染を行うことが可能となっている。
また、上記送気管路41を加熱する加熱気体は、上記除染媒体供給手段8を構成する除染用ブロア42および蒸発器45で生成することができ、別途の設備を設けなくてすむことから、簡易にシステムを製造することが可能となっている。
さらに、上記除染媒体供給手段8は、除染空間S1という小容量の空間に対して除染媒体を供給すればよいため、蒸発器45によって蒸発させることで十分に加熱された除染媒体を供給することができることから、従来の除染媒体供給手段のように別途の加熱手段を設ける必要がない。
そして、上記除染空間S1の除染には除染用ブロア42よりも風量の大きいエアレーション用ブロア47を用いることから、エアレーションを速やかに行うことができ、上記アイソレータ2とインキュベータ3とを速やかに連通させることが可能となる。
【0024】
なお、上記図5に示す第2除染装置5に対し、図7に示すように上記除染用ブロア42およびエアレーション用ブロア47が送気する気体を循環させる構成としてもよい。
具体的には、上記第1分岐管路48および上記排気管路52を合流させるとともに、その合流した管路を再び分岐させて、上記除染用ブロア42およびエアレーション用ブロア47に接続すればよい。
その際、上記切換手段としては、上記図5に示す切換え手段に対し、上記分岐管路における上記排気管路52に合流する位置に接近した位置と、上記除染用ブロア42およびエアレーション用ブロア47へと分岐した管路のそれぞれにバルブを設ければよく、上記除染用ブロア42またはエアレーション用ブロア47の作動状態に応じて適宜開閉すればよい。
【0025】
なお、図5、図7の構成に対し、上記除染媒体供給手段8とは別に送気手段および加熱手段を設けてもよい。例えば上記送気手段は上記送気管路41における上記除染媒体供給手段8に近接した位置から気体を送気し、加熱手段はこの送気手段が送気した気体を加熱することで、上記実施例同様、送気管路41における分岐管路までの区間を加熱することが可能となる。
また、上記エアレーション用ブロア47を省略して、上記除染用ブロア42によってエアレーションを行うようにしてもよい。
さらに上記実施例においては、上記アイソレータ2とインキュベータ3との接続部分に、上記密封手段7によって20〜40l程度の除染空間S1を形成し、該接続部分の除染を行っているが、例えば0.5〜1m3程度の小容量のパスボックス等、その内部の除染空間に除染媒体を供給する際に送気管路を加熱すると除染空間が温度上昇してしまうような場合であっても、上述したように送気管路41に第1分岐管路48を設けることで、送気管路41だけを加熱することができる。
【符号の説明】
【0026】
1 無菌培養システム 2 アイソレータ
3 インキュベータ 5 第2除染装置
6 接続手段 7 密封手段
8 除染媒体供給手段 11 第1蓋体
21 第2蓋体 41 送気管路
42 除染用ブロア 44 送液ポンプ
45 蒸発器 47 エアレーション用ブロア
48 第1分岐管路 49 第2分岐管路
S1 除染空間 V1〜V4 第1〜第4バルブ
【技術分野】
【0001】
本発明は除染装置に関し、詳しくは送気管路を介して蒸気化された除染媒体を外部雰囲気から隔離された除染空間へと供給する除染媒体供給手段とを備えた除染装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アイソレータにインキュベータを接続するとともに、アイソレータとインキュベータとを無菌状態を維持したまま連通させて、培養物等の移送を行うことが行われている。
ここで、上記アイソレータとインキュベータとを連通させる際に、それまで外部雰囲気に露出していた部分を除染するため、これらアイソレータとインキュベータとの接続部分に外部雰囲気から隔離する比較的小容量の除染空間を形成し、送気管路を介して蒸気化された除染媒体を上記除染空間へと供給する除染媒体供給手段を備えた除染装置が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−195432号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上記除染媒体による滅菌効果は、蒸気状態よりも凝縮状態の方が高いため、上記除染空間に至る送気管路はロスのないように蒸気状態のまま除染媒体を供給し、上記除染空間内で液滴化させて高い滅菌効果を与えることが望ましい。
しかしながら、上記特許文献1のように、上記除染空間は小容量の空間であるため、上記送気管路の加熱に伴って上記除染空間も加熱されてしまい、該除染空間内で蒸気が凝縮しにくくなって除染時間が長くなるという問題が発生する。
逆に、除染空間の温度を低く保とうとした場合、蒸気化した除染媒体は送気管路で液滴化するため、滅菌効果の減少、エアレーション時間(除染媒体の不活化工程)が大幅に延長されるという問題が発生する。
このような問題に鑑み、本発明は上記除染空間を加熱せずに上記送気管路を加熱して、効率的に比較的小容量の除染空間の除染を行うことが可能な除染装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
すなわち請求項1の発明は、送気管路を介して蒸気化された除染媒体を除染空間へと供給する除染媒体供給手段を備えた除染装置において、
上記送気管路内に気体を送気する送気手段と、上記送気管路上に設けられて送気される気体を加熱する加熱手段と、該加熱手段と除染空間との間の送気管路に接続された分岐管路と、上記送気管路を送気される気体を上記除染空間と上記分岐管路とのいずれか一方に流通させる切換手段とを設け、
上記加熱手段が加熱した気体を送気管路から分岐管路に流通させて送気管路の加熱を行い、送気管路が加熱された状態で、上記切換手段を切換えて上記除染媒体供給手段が供給する蒸気化された除染媒体を除染空間へと流通させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0006】
上記発明によれば、上記送気手段が送気した気体を加熱手段が加熱し、この加熱した気体を送気管路に流通させて加熱することから、蒸気化した除染媒体が送気管路内で液滴化せず、効率的に除染媒体を除染空間まで供給することができる。
一方、上記加熱手段が加熱した気体は上記切換手段によって分岐管路より排出されるため、上記加熱された送気管路と上記除染空間との間には温度差が発生することから、除染空間に流入した除染媒体は速やかに液滴化し、効率的に除染空間の除染を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本実施例にかかる無菌培養システム1の構成図
【図2】アイソレータとインキュベータとの接続状態を示した平面図
【図3】アイソレータとインキュベータとの接続状態を示した側面図
【図4】(a)はアイソレータとインキュベータとの接続状態を、(b)はこれらの分離状態をそれぞれ示した断面図
【図5】本発明にかかる第2除染装置を説明する図
【図6】第2除染装置を用いた除染空間を除染する際の動作図
【図7】上記実施例とは異なる構成を有する第2除染装置を説明する図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下図示実施例について説明すると、図1は細胞や組織を培養する無菌培養システム1を示し、第1無菌ボックスとしてのアイソレータ2と、第2無菌ボックスとしてのインキュベータ3と、除染媒体によってアイソレータ2の内部を除染する第1除染装置4と、上記アイソレータ2とインキュベータ3とを接続するとともにその接続部分を除染する本発明にかかる第2除染装置5とを備えている。
上記第1除染装置4は、上記アイソレータ2との間に配設された配管4aを備えるとともに、該配管4aを介して過酸化水素蒸気等の蒸気化された除染媒体を上記アイソレータ2の内部に充満させるものとなっている。なお、このような第1除染装置4は従来公知であるため詳細な説明は省略する。
また上記第2除染装置5は、上記アイソレータ2とインキュベータ3とを接続する接続手段6と、アイソレータ2とインキュベータ3との間に外部雰囲気から離隔された除染空間S1を形成する密封手段7と、上記除染空間S1に除染媒体を供給する除染媒体供給手段8とから構成されている。
この第2除染装置5によれば、それまで外部に露出していた上記アイソレータ2とインキュベータ3との接続部分に比較的小容量の除染空間S1を形成するとともに、この除染空間S1を除染することでアイソレータ2とインキュベータ3との連通を速やかに行うことが可能となっている。
【0009】
以下、図2〜図4を用いて、上記アイソレータ2とインキュベータ3との接続部分の構成について説明する。なお図4(a)はアイソレータ2とインキュベータ3とが分離した状態を、図4(b)はアイソレータ2とインキュベータ3とが上記接続手段6によって連結された状態をそれぞれ示している。
アイソレータ2の側壁2aには第1開口部2bが形成され、該第1開口部2bに開閉可能に設けた第1蓋体11によってアイソレータ2の内部空間2Aは外部雰囲気から隔離されるようになっている。
上記アイソレータ2の内部空間2Aは、通常は図示しないエアコンデショナが供給する無菌エアによって陽圧に保たれており、側面には作業者が装着して無菌操作を行うためのグローブ12が設けられている(図1参照)。
上記アイソレータ2の第1開口部2bは、四隅が円弧状とされた略長方形を有しており、該第1開口部2bの周縁部に沿って筒状の環状部材13が気密を保った状態で固定され、該環状部材13におけるアイソレータ2の内部空間2A側の端部には樹脂製の内側シール部材13aが、外部雰囲気側の端部には樹脂製の外側シール部材13bがそれぞれ設けられている。
また上記環状部材13はアイソレータ2の側壁2aから外部に向けて突出するように設けられており、上記第2除染装置5を構成する送気管路41および排気管路52がその上下に接続されている(図1参照)。
上記第1蓋体11は、図4に示すようにアイソレータ2の外部側を向いた長方形の開口部11aが形成された扁平な箱状に形成されており、上記開口部11aの外周部分には上記環状部材13の内側シール部材13aに密着する平坦部11bが設けられている。
上記平坦部11bにおける上記内側シール部材13aとの当接面のさらに内周には、上記開口部11aを囲繞するように設けられた樹脂製の第1シール部材14が設けられ、上記インキュベータ3の第2蓋体21と密着するようになっている。
そして第1蓋体11は、アイソレータ2の内部空間2A側に設けられたヒンジ15によってアイソレータ2の内部空間2A側に開くように軸支され、同じく内部空間2A側には開閉レバー16が設けられている。
上記開閉レバー16は、作業者がアイソレータ2のグローブ12を装着することにより、アイソレータ2の内部空間2A側から操作可能となっており、上記開閉レバー16を側壁2aの内面に設けた留め具17に係合させることで、第1蓋体11が内側シール部材13aに押し付けられて、アイソレータ2の内部空間2Aが第1蓋体11によって密閉されるようになっている。
【0010】
上記インキュベータ3の側壁3aには第2開口部3bが形成され、該第2開口部3bには第2蓋体21が着脱手段22によって着脱可能に設けられており、該インキュベータ3の内部空間3Aは外部雰囲気より隔離されるようになっている。
上記インキュベータ3の内部空間3Aには培養容器が収容されるようになっており、さらに上記インキュベータ3は台車3Bに載置された状態で移動可能となっている(図1参照)。
インキュベータ3には、外部から炭酸ガス等の培養に適した気体が供給可能となっており、図示しないファンによって該気体が内部空間3Aに吹き出されるようになっている。また内部空間3Aは図示しないヒータによって所定温度に保温されるようになっている。
上記インキュベータ3の第2開口部3bは四隅が円弧状とされた略長方形に形成されており、該第2開口部3bのアイソレータ2側には、該第2開口部3bの周縁に沿って第2シール部材23が設けられている。
上記第2蓋体21は、図4に示すようにトレー状に形成され、インキュベータ3の第2開口部3bに設けた上記第2シール部材23に密着する底部21aと、底部21aの周緑部からアイソレータ2側に立設された周壁21bと、周壁21bから外側に折り返して形成した周縁面21cとから構成されている。
【0011】
上記着脱手段22は、上記第2蓋体21の周壁21bの上下より出没可能に設けられた上下2対計4本のロックピン24と、上記2対のロックピン24をそれぞれ連結する2つの連結部材25と、上記インキュベータ3の第2開口部3bの外側に設けられて、上記4本のロックピン24とそれぞれ嵌合する4つのピン係合部材26とを備えている。
上記ロックピン24は、上記第2蓋体21の周壁21bに固定された支持部材27に気密を保った状態で摺動可能に設けられており、ロックピン24はスプリング28によって周壁21bの内側から外側に突出するように付勢されている。
このような構成により、上記2本の連結部材25が上記スプリング28の付勢力によって離隔した状態では、上記ロックピン24が上記ピン係合部材26に係合し、上記第2蓋体21が上記インキュベータ3の第2開口部3bに密着した状態が維持されるようになっている。
逆に、2本の連結部材25を上記スプリング28の付勢力に抗して接近させると、上記ロックピン24が上記ピン係合部材26より離脱するため、上記第2蓋体21を上記インキュベータ3より離脱させることが可能となっている。
【0012】
上記接続手段6は、上記アイソレータ2とインキュベータ3とを連結固定するとともに、上記第1蓋体11と第2蓋体21とを連結して一体的に開閉可能とするものとなっている。
上記アイソレータ2の開口部11aに設けた環状部材13にはフック31が設けられており、インキュベータ3の側面には該フック31に係合するリング32が設けられている。そして上記フック31に上記リング32を係合させることでアイソレータ2とインキュベータ3とを離隔しないように連結固定することが可能となっている。
このようにアイソレータ2とインキュベータ3とを連結すると、上記第2蓋体21における上記周縁面21cが上記アイソレータ2の第1蓋体11に設けた第1シール部材14に密着し、第1蓋体11と第2蓋体21との内部に外部雰囲気より隔離された蓋体内部空間S2が形成されるようになっている。
そして、上記第1蓋体11における上記開口部11aの内側には、上下に2つのエアシリンダ33が設けられており、該エアシリンダ33には円錐凹状の挿入孔が上下方向に対向した2対計4個の当接部33aが上下に移動するように設けられている。
上記エアシリンダ33には、アイソレータ2の内部空間2Aに気密を保った状態で引き込まれたエア配管33bが接続され、該エア配管33bを介して図示しないエア供給源よりエアが供給されるようになっている。
一方上記第2蓋体21における2つの上記連結部材25には、2本のロックピン24の間にそれぞれ2本の係合ピン34が立設されており、上記エアシリンダ33によって上記当接部33aが上下に進退動すると、この当接部33aがそれぞれ各係合ピン34と嵌合するようになっている。
【0013】
上記構成を有する接続手段6によれば、上記フック31にリング32を係合させてアイソレータ2とインキュベータ3とが連結固定され、上記第1蓋体11と第2蓋体21とが密着すると、上記エアシリンダ33が上記当接部33aを相互に接近させる。
すると、上記当接部33aが上記第2蓋体21に設けられた係合ピン34に係合し、これにより第1蓋体11と第2蓋体21とが連結され、上記蓋体内部空間S2が形成される。
その後、エアシリンダ33が係合ピン34を押圧して連結部材25を上記スプリング28の付勢力に抗して相互に接近させると、上記ロックピン24が上記インキュベータ3の開口部11aに設けたピン係合部材26から離脱する。
その結果、第2蓋体21がインキュベータ3より離脱可能となるため、上記第1蓋体11と第2蓋体21とを一体的に連結した状態でアイソレータ2の内部空間2Aに向けて開閉することが可能となる。
【0014】
上記密封手段7は、上記アイソレータ2の第1開口部2bを無端状に囲繞する上記環状部材13部材と、上記インキュベータ3の第2開口部3bを無端状に囲繞する突出部材35とから構成されている。
上記環状部材13におけるアイソレータ2の内部空間2Aとは反対側の端部には上記外側シール部材13bが設けられており、また上記突出部材35は上記第2開口部3bに設けられた上記ピン係合部材26のさらに外側を囲繞するように設けられている。
このような構成により、上記アイソレータ2とインキュベータ3とを上記接続手段6によって接続すると、上記外側シール部材13bと突出部材35とが密着し、その内部に外部雰囲気より離隔された容積量20〜40l程度の除染空間S1が形成されるようになっている。
ここで、上記密封手段7によって隔離された除染空間S1は、上記接続手段6によって連結された第1蓋体11および第2蓋体21の周囲を取り囲み、この除染空間S1と蓋体内部空間S2とは相互に連通しないようになっている。
なお、密封手段7は、アイソレータ2とインキュベータ3のいずれか一方に設けられていてもよい。例えば、上記突出部材35をシール部材としてこれをアイソレータ2の第1開口部2bの外周に密着させる構成とすることで、上記外側シール部材13bを省略することが可能となる。
【0015】
図5は、上記密封手段7によってアイソレータ2とインキュベータ3との間に形成した除染空間S1を除染する上記第2除染装置5について説明する図となっている。
まず、上記密封手段7を構成する上記環状部材13におけるアイソレータ2より外部に突出した部分には、上記除染媒体供給手段8との間に除染媒体を供給する送気管路41が接続されている。
上記除染媒体供給手段8は、気体を送気する送気手段としての除染用ブロア42と、液状の除染媒体を貯溜する貯液タンク43と、該貯液タンク43より所定量ずつ除染媒体を送液する送液手段としての送液ポンプ44と、送液された除染媒体を蒸発させる蒸発器45とを備えている。
また本実施例における蒸発器45は、上記除染用ブロア42が送気した気体を加熱する加熱手段として利用している。
上記除染用ブロア42からの気体は上記蒸発器45を通過して送気管路へと送気されるようになっており、除染用ブロア42と蒸発器45との間には風量計46が設けられ、計測された風量に応じて除染用ブロア42の風量が制御されるようになっている。
上記貯液タンク43には除染媒体としての過酸化水素水溶液が貯溜されており、上記送液ポンプ44はこの液状の除染媒体を所定の流量で上記蒸発器45へと送液するようになっている。
上記蒸発器45は、上記送液ポンプ44が液状の除染媒体を滴下すると、これを瞬時に蒸発させて蒸気化した除染媒体を発生させるものとなっており、上記除染用ブロア42が送気した気体によってこの除染媒体が上記送気管路41へと送気されるようになっている。
そして、本実施例の除染媒体供給手段8には、上記除染空間S1内の除染媒体を排除するため第2の送気手段としてエアレーション用ブロア47が設けられており、該エアレーション用ブロア47の風量は上記除染用ブロア42よりも風量が高くなっている。
【0016】
次に、上記除染媒体供給手段8と上記密封手段7との間に配設された送気管路41には、該送気管路41より分岐して外部雰囲気に連通する第1分岐管路48と、同じく送気管路41より分岐して上記エアレーション用ブロア47に接続された第2分岐管路49とが接続されている。
また送気管路41における上記密封手段7との接続部分にはHEPAフィルタ50が設けられており、さらに上記送気管路41、第1、第2分岐管路48、49にはそれぞれ切換手段を構成する第1〜第3バルブV1〜V3が設けられている。
上記第1分岐管路48は、上記密封手段7に極力近い位置で送気管路41より分岐しており、この第1分岐管路48には上記第1バルブV1と除染媒体を分解する触媒51とが設けられている。
上記第2分岐管路49は、上記第1分岐管路48よりも密封手段7側に接続されており、上記第2バルブV2は上記第1分岐管路48と第2分岐管路49との間に設けられ、さらに第2分岐管路49には上記第3バルブV3が設けられている。
一方、上記密封手段7における上記送気管路41の接続された位置の反対側には、除染媒体を排出するための排気管路52が接続され、この排気管路52にはHEPAフィルタ53と、切換手段を構成する第4バルブV4と、除染媒体を分解する触媒54とが設けられている。
【0017】
以下、図6を用いて上記構成を有する無菌培養システム1の使用方法について説明し、特にアイソレータ2とインキュベータ3とを上記接続手段6により接続した状態から、上記除染空間S1を除染する手順について説明する。
まず図6(a)は、上記接続手段6によってアイソレータ2とインキュベータ3とを接続し、上記密封手段7によって除染空間S1が形成された状態を示している。
ここで、上記アイソレータ2とインキュベータ3とを上記接続手段6により接続しただけでは、この除染空間S1の内部にはそれまで外部雰囲気に露出していた部分が存在するため、このまま第1、第2蓋体11、21を開いてしまうと、除染空間S1内に浮遊する菌などによってアイソレータ2やインキュベータ3の内部空間2A,3Aが汚染される恐れがある。
そこで、本実施例では上記除染空間S1を除染することにより、無菌状態で第1、第2蓋体11、21を開放可能とし、無菌状態下でインキュベータ3とアイソレータ2との間で培養物の移送を行うことが可能となっている。
【0018】
図6(a)は、上記除染媒体供給手段8から加熱された気体を送気して、上記送気管路41を加熱している状態を示している。
具体的には、上記除染媒体供給手段8における除染用ブロア42が気体を送気するとともに、上記蒸発器45がこの除染用ブロア42が送気した気体を加熱して、加熱気体が送気管路41に送気されるようになっている。このとき、上記送液ポンプ44は停止しており、上記蒸発器45には液状化した除染媒体は供給されず、蒸気化した除染媒体は発生しないようになっている。
一方、上記第1分岐管路48に設けた第1バルブV1を開放するとともに、送気管路41に設けた第2バルブV2を閉鎖している。また、上記エアレーション用ブロア47は作動せずに第3バルブV3も閉鎖され、上記排気管路52の第4バルブV4も閉鎖されている。
これにより、上記送気管路41に供給された加熱気体は上記第1分岐管路48を介して外部雰囲気に排出されることとなる。一方、この加熱気体は通過した管路を加熱し、これにより上記送気管路41における除染媒体供給手段8側から第1分岐管路48の接続部分までの区間が約50℃に加熱され、また接続部分よりも先の送気管路41も伝熱により加熱されるようになっている。
一方、上記除染空間S1には上記加熱された気体は流入しないため、該除染空間S1は加熱されずに常温が維持されるようになっている。
【0019】
次に、図6(b)は、上記除染媒体供給手段8が蒸気化した除染媒体を供給して、上記密封手段7によって形成された除染空間S1に除染媒体を充満させた状態を示している。
具体的には、上記図6(a)の状態から、上記除染媒体供給手段8における送液ポンプ44が液化した除染媒体を蒸発器45へと送液し、蒸発器45が送液された除染媒体を蒸発させて蒸気化した除染媒体を発生させる。
一方、上記第1分岐管路48の第1バルブV1を閉鎖するとともに、送気管路41の第2バルブV2を開放し、さらに上記排気管路52の第4バルブV4を開放する。
これにより、蒸気化された除染媒体は送気管路41を介して上記除染空間S1内に供給され、この状態を例えば2分行うことにより、上記除染空間S1内の空気が蒸気化した除染媒体によって置き換えられることとなる。
このように蒸気化した除染媒体を上記送気管路41に送気する際、この送気管路41は上記図6(a)の際に加熱されていることから、この除染媒体が送気管路41の内部で液滴化しにくくなっており、蒸気化した除染媒体を上記除染空間S1まで効率的に供給することが可能となっている。
なお、接続手段6によって上記第1蓋体11と第2蓋体21との内部には蓋体内部空間S2が形成されているが、この蓋体内部空間S2は上記除染空間S1と隔離されていることから、該蓋体内部空間S2に除染媒体が流入することはなく、上記エアシリンダ33等が損傷しないようになっている。
【0020】
そして図6(c)は、上記除染空間S1に供給された除染媒体によって除染を行うとともに、一方で上記送気管路41内の除染媒体をエアレーションしている状態を示している。
具体的には、上記図6(b)の状態から、上記送液ポンプ44が液状の除染媒体の送液を停止するとともに、上記蒸発器45も停止し、除染媒体供給手段8からは上記除染用ブロア42によって送気された加熱されていない気体のみが送気管路41へと供給されるようになっている。
一方、図6(a)の時と同様、上記第1分岐管路48の第1バルブV1を開放するとともに、送気管路41の第2バルブV2を閉鎖し、さらに上記排気管路52の第4バルブV4を閉鎖する。
これにより、上記除染媒体供給手段8から供給された気体は送気管路41を介して上記第1分岐管路48へと流入し、さらに上記触媒51を通過して外部雰囲気へと排出され、これらの管路内に残留していた除染媒体は上記触媒51によって分解されて外部に排出されるようになっている。
一方、上記除染空間S1においては、気体の流入と排出が停止されるため、蒸気化された除染媒体はこの除染空間S1に保持されることとなり、例えばこの状態を3分保持することにより、蒸気化した除染媒体は液滴化して除染空間S1の内部に露出する部材に付着することとなる。
ここで、上記除染媒体による滅菌効果は、蒸気状態よりも凝縮状態の方が高いことが知られているが、本実施例においては上記図6(a)の状態において除染空間S1は加熱気体によって加熱されていないことから、加熱された管路と除染空間S1との温度差により、蒸気化した除染媒体を速やかに液滴化させることができ、短時間で除染空間S1の除染を行うことが可能となっている。
なお、接続手段6によって上記第1蓋体11と第2蓋体21との内部には蓋体内部空間S2が形成されているが、この蓋体内部空間S2は上記除染空間S1と隔離されていることから、該蓋体内部空間S2内の気体が除染空間S1に流入することはなく、除染空間S1が汚染されないようになっている。
【0021】
最後に、図6(d)は除染空間S1のエアレーションを行う状態を示している。
具体的には、図6(c)の状態から、上記除染媒体供給手段8における除染用ブロア42を停止させて、上記送気管路41における第1分岐管路48までの区間のエアレーションを終了する一方、上記エアレーション用ブロア47を作動させて上記除染空間S1のエアレーションを行うものとなっている。
ここでは、送気管路41の第2バルブV2を閉鎖し、第2分岐管路49の第3バルブV3を開放し、さらに上記排気管路52の第4バルブV4を開放する。
上記エアレーション用ブロア47は上記除染用ブロア42よりも風量が大きいため、このエアレーション用ブロア47によって送気された気体により、除染空間S1内の除染媒体を速やかに排出することが可能となっている。
なお、この図6(d)の状態においても、図6(c)の状態から引き続いて上記送気管路41における第1分岐管路48までの区間のエアレーションを行うようにしてもよい。
【0022】
そして、これらの作業が終了することにより、作業者は上記アイソレータ2に設けたグローブ12を装着して該アイソレータ2の内部から開閉レバー16を操作し、一体的に結合された第1蓋体11および第2蓋体21をアイソレータ2の内部に向けて開き、アイソレータ2の内部空間2Aとインキュベータ3の内部空間3Aとを相互に連通させる。
このとき、上記除染空間S1に露出していた部分は除染されており、また第1蓋体11、第2蓋体21の蓋体内部空間S2は接続手段4によって密閉されていることから、外部雰囲気に露出されていた部分が除染されずにアイソレータ2の内部空間2Aとインキュベータ3の内部空間3Aとが連通した空間に露出することはない。
また上記インキュベータ3とアイソレータ2とにおける作業が終了し、これらの接続を解除させる際には、まず作業者は開閉レバー16を操作して上記第1蓋体11および第2蓋体21を一体的に閉鎖し、上記接続手段6によるインキュベータ3とアイソレータ2との接続状態を解除すればよい。
なお、アイソレータ2の内部空間2Aで扱った細胞や組織が、微生物や細菌、ウイルス等の有害物に汚染されている可能性が懸念される場合、上記密封手段7によって除染空間S1が形成されていることから、上記第2除染装置5を用いて除染空間S1を再度除染することも可能である。
そして、作業者はインキュベータ3を任意の場所まで移動させ、別のインキュベータ3を上記アイソレータ2に接続することが可能となる。
【0023】
以上のように、上記構成を有する無菌培養システム1によれば、上記接続手段6によってアイソレータ2とインキュベータ3とを接続し、上記第1蓋体11と第2蓋体21を囲繞するように上記密封手段7が除染空間S1を形成することから、この小容量の除染空間S1を除染するだけで、アイソレータ2とインキュベータ3とを無菌状態を維持したまま連通させることができる。
そして、この除染空間S1を除染する際、あらかじめ除染空間S1以外の送気管路41を加熱する事で、該送気管路41を流通する蒸気化した除染媒体が液滴化せず、効率的に除染媒体を除染空間S1へと供給することが可能となっている。
さらに、上記除染空間S1は加熱されないため、上記送気管路41との間に温度差が発生することから、この除染空間S1に流入した除染媒体は速やかに液滴化し、効率的に除染空間S1の除染を行うことが可能となっている。
また、上記送気管路41を加熱する加熱気体は、上記除染媒体供給手段8を構成する除染用ブロア42および蒸発器45で生成することができ、別途の設備を設けなくてすむことから、簡易にシステムを製造することが可能となっている。
さらに、上記除染媒体供給手段8は、除染空間S1という小容量の空間に対して除染媒体を供給すればよいため、蒸発器45によって蒸発させることで十分に加熱された除染媒体を供給することができることから、従来の除染媒体供給手段のように別途の加熱手段を設ける必要がない。
そして、上記除染空間S1の除染には除染用ブロア42よりも風量の大きいエアレーション用ブロア47を用いることから、エアレーションを速やかに行うことができ、上記アイソレータ2とインキュベータ3とを速やかに連通させることが可能となる。
【0024】
なお、上記図5に示す第2除染装置5に対し、図7に示すように上記除染用ブロア42およびエアレーション用ブロア47が送気する気体を循環させる構成としてもよい。
具体的には、上記第1分岐管路48および上記排気管路52を合流させるとともに、その合流した管路を再び分岐させて、上記除染用ブロア42およびエアレーション用ブロア47に接続すればよい。
その際、上記切換手段としては、上記図5に示す切換え手段に対し、上記分岐管路における上記排気管路52に合流する位置に接近した位置と、上記除染用ブロア42およびエアレーション用ブロア47へと分岐した管路のそれぞれにバルブを設ければよく、上記除染用ブロア42またはエアレーション用ブロア47の作動状態に応じて適宜開閉すればよい。
【0025】
なお、図5、図7の構成に対し、上記除染媒体供給手段8とは別に送気手段および加熱手段を設けてもよい。例えば上記送気手段は上記送気管路41における上記除染媒体供給手段8に近接した位置から気体を送気し、加熱手段はこの送気手段が送気した気体を加熱することで、上記実施例同様、送気管路41における分岐管路までの区間を加熱することが可能となる。
また、上記エアレーション用ブロア47を省略して、上記除染用ブロア42によってエアレーションを行うようにしてもよい。
さらに上記実施例においては、上記アイソレータ2とインキュベータ3との接続部分に、上記密封手段7によって20〜40l程度の除染空間S1を形成し、該接続部分の除染を行っているが、例えば0.5〜1m3程度の小容量のパスボックス等、その内部の除染空間に除染媒体を供給する際に送気管路を加熱すると除染空間が温度上昇してしまうような場合であっても、上述したように送気管路41に第1分岐管路48を設けることで、送気管路41だけを加熱することができる。
【符号の説明】
【0026】
1 無菌培養システム 2 アイソレータ
3 インキュベータ 5 第2除染装置
6 接続手段 7 密封手段
8 除染媒体供給手段 11 第1蓋体
21 第2蓋体 41 送気管路
42 除染用ブロア 44 送液ポンプ
45 蒸発器 47 エアレーション用ブロア
48 第1分岐管路 49 第2分岐管路
S1 除染空間 V1〜V4 第1〜第4バルブ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
送気管路を介して蒸気化された除染媒体を除染空間へと供給する除染媒体供給手段を備えた除染装置において、
上記送気管路内に気体を送気する送気手段と、上記送気管路上に設けられて送気される気体を加熱する加熱手段と、該加熱手段と除染空間との間の送気管路に接続された分岐管路と、上記送気管路を送気される気体を上記除染空間と上記分岐管路とのいずれか一方に流通させる切換手段とを設け、
上記加熱手段が加熱した気体を送気管路から分岐管路に流通させて送気管路の加熱を行い、送気管路が加熱された状態で、上記切換手段を切換えて上記除染媒体供給手段が供給する蒸気化された除染媒体を除染空間へと流通させることを特徴とする除染装置。
【請求項2】
上記除染媒体供給手段は、液状の除染媒体を蒸発させる上記加熱手段としての蒸発器と、該蒸発器に液状の除染媒体を供給する送液手段とを備え、
上記送気管路を加熱する際には、上記送液手段は液状の除染媒体を蒸発器に供給せず、上記蒸発器によって上記送気手段が送気した気体を加熱し、
蒸気化された除染媒体を除染空間へと流通させる際には、上記送液手段から液状の除染媒体を供給して、上記蒸発器により蒸気化した除染媒体を上記送気管路に供給することを特徴とする請求項1に記載の除染装置。
【請求項3】
上記除染空間が、内部が無菌状態に維持された異なる無菌ボックスの接続部分を覆う密封手段で形成された空間であることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の除染装置。
【請求項1】
送気管路を介して蒸気化された除染媒体を除染空間へと供給する除染媒体供給手段を備えた除染装置において、
上記送気管路内に気体を送気する送気手段と、上記送気管路上に設けられて送気される気体を加熱する加熱手段と、該加熱手段と除染空間との間の送気管路に接続された分岐管路と、上記送気管路を送気される気体を上記除染空間と上記分岐管路とのいずれか一方に流通させる切換手段とを設け、
上記加熱手段が加熱した気体を送気管路から分岐管路に流通させて送気管路の加熱を行い、送気管路が加熱された状態で、上記切換手段を切換えて上記除染媒体供給手段が供給する蒸気化された除染媒体を除染空間へと流通させることを特徴とする除染装置。
【請求項2】
上記除染媒体供給手段は、液状の除染媒体を蒸発させる上記加熱手段としての蒸発器と、該蒸発器に液状の除染媒体を供給する送液手段とを備え、
上記送気管路を加熱する際には、上記送液手段は液状の除染媒体を蒸発器に供給せず、上記蒸発器によって上記送気手段が送気した気体を加熱し、
蒸気化された除染媒体を除染空間へと流通させる際には、上記送液手段から液状の除染媒体を供給して、上記蒸発器により蒸気化した除染媒体を上記送気管路に供給することを特徴とする請求項1に記載の除染装置。
【請求項3】
上記除染空間が、内部が無菌状態に維持された異なる無菌ボックスの接続部分を覆う密封手段で形成された空間であることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の除染装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【公開番号】特開2012−115409(P2012−115409A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−266882(P2010−266882)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(000253019)澁谷工業株式会社 (503)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(000253019)澁谷工業株式会社 (503)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]