説明

除湿剤容器

【課題】除湿剤を収容する容器であって、除湿剤を交換する際の交換作業を効率良く行うことができる除湿剤容器を提供する。
【解決手段】除湿剤dが収容される有底筒状の内容器2と、内容器2の開口部3に着脱自在に装着されるとともに、内容器2の内部と外部とを連通する吸入孔4・・・が形成された蓋体5と、内容器2が収容される有底筒状の外容器6と、を備え、内容器2の底部2Bには、内容器2の内部と外容器6の内部とを連通する排出孔13・・・が形成され、内容器2は、蓋体5が外容器6の開口部10に係止されることにより、外容器6の底部から浮き上がった状態で外容器6内に収容されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、除湿剤容器に関する。
【背景技術】
【0002】
中空状の外容器と、該外容器の開口部に周縁部が固着されるとともに、上面側に除湿剤を載置可能な伸縮性・通水性を有する平板状の受け部材とを備え、該受け部材は、除湿剤を載置していない状態では前記外容器の口部に平板状をなして、除湿剤を載置した状態ではその重みで伸びて袋状をなしつつ前記外容器内に進入し、載置された除湿剤の量に応じて受け部材を伸縮させることで除湿剤の表面と外容器の開口部との距離を一定に保つ除湿剤容器が従来から知られている(特許文献1参照)。この容器は、上記受け部材に除湿剤を補充することで連続使用が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第2602602号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の容器の除湿剤の交換作業は、別途保管してある除湿剤をユーザが適時において適量補充するものであり、タイミングや補充する量を把握し難く、交換時の作業効率に改善の余地がある。
【0005】
本発明は係る実情に鑑みてなされたものであり、除湿剤を収容する容器であって、除湿剤を交換する際の交換作業を効率良く行うことができる除湿剤容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題の解決手段として、本発明は、以下の手段を提供する。
本発明は、除湿剤が収容される有底筒状の内容器と、該内容器の開口部に着脱自在に装着されるとともに、該内容器の内部と外部とを連通する吸入孔が形成された蓋体と、前記内容器が収容される有底筒状の外容器と、を備え、前記内容器の底部には、該内容器の内部と前記外容器の内部とを連通する排出孔が形成され、前記内容器は、前記蓋体が前記外容器の開口部に係止されることにより、該外容器の底部から浮き上がった状態で前記外容器内に収容されていることを特徴とする除湿剤容器を提供する。
【0007】
この除湿剤容器では、外気が蓋体の吸入孔を通して内容器内に進入して除湿剤に反応することで、除湿剤が外気中の水分を吸収して液状化し、この液状化した液状物が排出孔を通して外容器内に流出する。そして、内容器内の除湿剤の除湿能力が低下したときに、蓋体の外容器の開口部への係止を解除して内容器ごと外容器から取り外した後に、外容器内の液状物を排出し、かつ蓋体から古い内容器を取り外し、その後、新たな内容器を蓋体に装着した状態で蓋体を外容器の開口部に係止することで、この内容器を外容器内に収容することができる。したがって、除湿剤を交換する際、除湿剤が収容されている内容器だけを交換するだけでよいので、交換作業を効率良く行うことができる。しかも、除湿剤容器のうち、内容器だけを新たなものに交換し、蓋体及び外容器は同じものを使用すればよいので、廃棄するゴミの量も抑えることが可能となる。
【0008】
上記除湿剤容器では、前記内容器の底部はすり鉢状に形成され、前記排出孔は、前記内容器の底部の形状に沿って該内容器の容器軸方向に延在していることが好ましい。
【0009】
この場合、蓋体の吸入孔を通して内容器内に溜まる液状物を、内容器の底部に集め易くして、排出孔を通して外容器内に流出させ易くすることができる。
【0010】
また、上記除湿剤容器では、前記外容器には、前記内容器内から前記排出孔を通して流出して溜められた液状物の水位が到達したときに前記除湿剤の交換時期であることを示す印部が形成されていることが好ましい。
【0011】
この場合、除湿剤の交換時期を簡易な構成で確実に示すことができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る除湿剤容器によれば、除湿剤を交換する際の交換作業を効率良く行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態に係る除湿剤容器の斜視図である。
【図2】上記除湿剤容器の分解斜視図である。
【図3】上記除湿剤容器の縦断面図である。
【図4】上記除湿剤容器を構成する内容器の包装状態の一例を示す図である。
【図5】上記除湿剤容器を構成する内容器の包装状態の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態に係る除湿剤容器1を説明する。
【0015】
図1乃至図3に示す本実施形態の除湿剤容器1は、除湿剤dが収容される有底筒状の内容器2と、この内容器2の開口部3に着脱自在に装着されるとともに、この内容器2の内部と外部とを連通する複数の吸入孔4・・・が形成された蓋体5と、内容器2が収容される有底筒状の外容器6と、を備えている。
除湿剤dは塩化カルシウム等であり、外気と反応することで外気中の水分を吸収し液状化する薬剤である。なお、内容器2、蓋体5及び外容器6それぞれの中心軸は共通軸上に位置している。以下、この共通軸を容器軸線L1といい、この容器軸線L1方向に沿って蓋体5側を上側、外容器6の底部6A側を下側という。また、容器軸線L1に直交する方向を径方向、容器軸線L1の周回方向を周方向という。
【0016】
蓋体5は、吸入孔4・・・が形成される天板部7と、この天板部7の外周縁から下方に延びる周壁部8と、周壁部8よりも径方向の内側において天板部7から下方に延びる係止筒部9と、を有しており、係止筒部9が内容器2の開口部3に着脱自在に外嵌されている。内容器2には、径方向の外側に突出して上面が係止筒部9の下端に当接するフランジ部2Aが一体に形成されている。このフランジ部2Aは、蓋体5の内容器2への装着時に、蓋体5の内容器2に対する容器軸線L1方向の位置を決めている。
【0017】
また、蓋体5は、周壁部8の下端部が外容器6の開口部10に着脱自在に外嵌され、内容器2は、外容器6の底部6Aから浮き上がった状態で外容器6内に収容されている。ここで、外容器6の開口部10の外周面には、径方向の内側に向けてくぼみ、かつ上方に向けて開口する周溝が全周にわたって連続して形成されている。そして、この周溝を構成する壁面のうち上方を向く下壁面10Aに、蓋体5の周壁部8の下端部が当接している。これにより、内容器2及び蓋体5の外容器6への装着時における内容器2及び蓋体5の外容器6に対する容器軸線L1方向の位置が決められ、内容器2が外容器6の底部6Aから浮き上がった状態とされる。
【0018】
内容器2、蓋体5、及び外容器6はそれぞれ例えばポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等の合成樹脂材料で形成され、本実施形態においては、少なくとも外容器6は内部が視認可能な透明又は半透明に構成され、外容器6の外側から外容器6の内部、及び外容器6の底部6Aから浮き上がった状態の内容器2の底部側が視認できるようになっている。なお、内容器2及び蓋体5が着色される場合には除湿剤dは外側から視認不可であり、内容器2は外容器6の底部6Aから浮き上がった状態で保持され、この除湿剤容器1は外観的に雑然さが無く意匠的に優れたものになる。
【0019】
ここで、蓋体5の天板部7は、径方向の内側に向かうに従い漸次下方に向けて延びる傾斜部12と、この傾斜部12の下端縁に連なり、容器軸線L1に直交する平面部11と、を備え、平面部11には、吸入孔4・・・が形成されている。上記係止筒部9は、傾斜部12の下面に下方に向けて延設され、平面部11に形成される吸入孔4・・・は、周方向に一定間隔を隔てて複数形成されるとともに、径方向において複数並んで形成されている。
【0020】
また、内容器2の底部2Bはすり鉢状に形成され、この底部2Bには、内容器2の内部と外容器6の内部とを連通する複数の排出孔13・・・が形成されている。これら排出孔13・・・は、内容器2の底部2Bの形状に沿って容器軸線L1方向に延在し、底部2Bの最下部から内容器2の容器軸線L1方向略中央領域に至っている。
【0021】
また、外容器6の外周部には、所定の高さ位置において径方向の内側に凹む印部14が形成されている。この印部14は、外容器6の外周部の周方向全域に跨る環状に形成され、外容器6に貯留される液状体(水溶液)の水位が到達したときに内容器2の交換時期を示す指標として機能する。
【0022】
以上に記載した本実施形態の除湿剤容器1では、外気が蓋体5の吸入孔4・・・を通して内容器2内に進入して除湿剤dに反応することで、除湿剤dが外気中の水分を吸収して液状化し、この液状化した液状物が排出孔13・・・を通して外容器6内に流出する。
そして、内容器2内の除湿剤dの除湿能力が低下したときに、蓋体5の外容器6の開口部10への係止を解除して内容器2ごと外容器6から取り外した後に、外容器6内の液状物を排出し、かつ蓋体5から古い内容器2を取り外し、その後、新たな内容器2を蓋体5に装着した状態で蓋体5を外容器6の開口部10に係止することで、この内容器2を外容器6内に収容することができる。
したがって、除湿剤dを交換する際、除湿剤dが収容されている内容器2だけを交換するだけでよいので、交換作業を効率良く行うことができる。しかも、除湿剤容器1のうち、内容器2だけを新たなものに交換し、蓋体5及び外容器6は同じものを使用すればよいので、廃棄するゴミの量も抑えることが可能となる。
【0023】
また、本実施形態の除湿剤容器1では、内容器2の底部2Bがすり鉢状に形成され、排出孔13・・・は、内容器2の底部2Bの形状に沿って容器軸方向に延在しているが、この場合、蓋体5の吸入孔4を通して内容器2内に溜まる液状物を、内容器2の底部2Bに集め易くして、排出孔13・・・を通して外容器6内に流出させ易くすることができる。
【0024】
さらに、本実施形態の除湿剤容器1では、外容器6には、内容器2内から排出孔13・・・を通して流出して溜められた液状物の水位が到達したときに除湿剤dの交換時期であることを示す印部14が形成されている。この場合、除湿剤dの交換時期を簡易な構成で確実に示すことができる。
【0025】
ここで、上記内容器2は単体で製造・販売され、交換に供されるものであり、図4、図5には、交換用に製造された除湿剤入りの内容器2の包装例が示されている。
図4の例では、有底筒状のカップ状容器20に内容器2が収容されている。カップ状容器20は、開口部21と、開口部21より小径に形成されるとともに、開口部21の下端から下方に向けて延在し、底部22を有する基体周壁部23と、開口部21の上端に径方向の外側に向けて突設され、全周にわたって連続して延在するフランジ部24と、を備えている。
フランジ部24には、液体、気体が透過不能な例えばアルミ箔等からなるシート部材25が剥離可能に固着され、カップ状容器20内は気密に保持され、開口部21と基体周壁部23との間の段差部26上にフランジ部2Aが当接した状態で、内容器2がカップ状容器20内に収容されている。カップ状容器20の底部22は上げ底状に形成されており、この底部22は、内容器2の底部2Bのすり鉢状に沿う円弧面に形成されている。
このような態様では、シート部材25を剥離させて内容器2を取り出して用いることができる。
【0026】
一方、図5の例では、有底筒状のカップ状容器20は図4の例のものと同一であり、カップ状容器20の開口部21には、シート成形又はインジェクション成形などにより形成された蓋部材27が、内容器2及びカップ状容器20に対して離脱可能に固着されている。蓋部材27は、内容器2の開口部3内に着脱自在に嵌合された有底筒状の蓋本体28と、内容器2の開口部3の外周面とカップ状容器20の開口部21の内周面との間に設けられた径方向の隙間内に嵌合された2重筒状のシール筒29と、シール筒29の径方向の外側に配設され、カップ状容器20のフランジ部24の外周縁部に係合し、フランジ部24に対する上方への移動が規制される係合筒30と、を備えている。
シール筒29と係合筒30とは各々の上端がフランジ部24の上方に載置された連結環板31を介して連結されている。さらに、係合筒30の下端にはつまみ突片34が径方向の外側に向けて突設されている。また、シール筒29は、内容器2の開口部3に外嵌された内筒32と、カップ状容器20の開口部21の内周面に内嵌された外筒33と、を備えている。
この態様では、カップ状容器20に内容器2を収容した上で、蓋部材27を一体化することで、内容器2をカップ状容器20内で気密に保持する。この態様では、蓋部材27をカップ状容器20から離脱させて内容器2を取り出して用いる。
【0027】
以上、本発明に係る除湿剤容器の実施形態について説明したが、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0028】
例えば、上記実施形態では、印部14を外容器6の外周部から凹ますことで形成したものであるが、着色や成型時に色付けする等により、印部を形成してもよい。また、シール等を貼着することで印部を構成してもよい。
【符号の説明】
【0029】
1 除湿剤容器
2 内容器
3 開口部
4 吸入孔
5 蓋体
6 外容器
10 開口部
13 排出孔
14 印部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
除湿剤が収容される有底筒状の内容器と、
該内容器の開口部に着脱自在に装着されるとともに、該内容器の内部と外部とを連通する吸入孔が形成された蓋体と、
前記内容器が収容される有底筒状の外容器と、を備え、
前記内容器の底部には、該内容器の内部と前記外容器の内部とを連通する排出孔が形成され、
前記内容器は、前記蓋体が前記外容器の開口部に係止されることにより、該外容器の底部から浮き上がった状態で前記外容器内に収容されていることを特徴とする除湿剤容器。
【請求項2】
前記内容器の底部はすり鉢状に形成され、
前記排出孔は、前記内容器の底部の形状に沿って該内容器の容器軸方向に延在していることを特徴とする請求項1に記載の除湿剤容器。
【請求項3】
前記外容器には、前記内容器内から前記排出孔を通して流出して溜められた液状物の水位が到達したときに前記内容物の交換時期であることを示す印部が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の除湿剤容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−71102(P2013−71102A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−214327(P2011−214327)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】