説明

除湿器用受け皿および容器

【課題】受け皿本体で区画された容器本体の上部空間に収容されている潮解性除湿剤が下部空間側へ落下することを防ぐ除湿器用受け皿および容器を提供する。
【解決手段】容器本体B内に内在される受け皿本体Aの周囲縁部1に、皿表面より低く形成された段差部9を備えたことである。また、受け皿本体Aの周囲縁部1が容器本体Bの内面要所に設けられている支持縦リブ13の上端に載承されたときに、周囲縁部1の段差部9が係止される係止部15を容器本体Bの容器周壁bの内面に備えたことである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気中の湿気を潮解性除湿剤で吸湿して空間の湿度を下げ、湿度を低く保つ、押入れ、タンス、下駄箱その他の収納空間などにおいて使用される除湿器用の受け皿および容器に関する。
【背景技術】
【0002】
除湿器は、上面開口部を有する容器内の中高部位に受け皿に内在させて、上部空間と下部空間に区画し、上部空間に潮解性除湿剤を収容し、下部空間に潮解性除湿剤の潮解液が受け皿の滴下孔から滴下して貯溜されるように形成されている(例えば、特許文献1などを参照)。
そして、容器の上面開口部は透湿非透水性シートによって塞がれ、さらにこの透湿性シートの上には密封シート(防湿性シート)が剥離可能に貼着されている。
【0003】
このように構成されている除湿器の受け皿本体と容器本体は、所望な合成樹脂材料などによってそれぞれ形成されている。
そして、受け皿本体は、容器本体の中高部位における横断内面形状に沿う周囲縁部を有する平面視形状に形成されているとともに、多数の滴下孔を備えて、容器本体の上部空間に収容されている潮解性除湿剤の潮解液が滴下孔から下部空間に滴下されるようになっている。その一例を図1および図2に示す。
図1および図2に示されているように、受け皿本体A1は、容器本体B1の中高部位における容器周壁b1の横断内面形状に沿う周囲縁部100を有する平面視形状に形成されている。そして、受け皿本体A1は、周囲縁部100に沿う平坦な第1の支持面部200と、この第1の支持面部200の内側に一段高い段状に設けられる第2の支持面部300と、さらに内側の中央部位において略截頭錐体形状に突設される突出部400とからなり、それら各部には滴下孔500が多数設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−240117号公報(段落番号0010、および図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、受け皿本体A1は、図2に示されているように、容器本体B1の内面要所に設けられている支持縦リブ600の上端に周囲縁部100を載承させて容器本体B1内の中高部位に組み込み内在される。そのために、受け皿本体A1の周囲縁部100は、上面開口部から容器本体B1内に受け皿本体A1を簡易に組み込み内在し得るように、ラフな寸法を有する平面視形状に形成されている。
【0006】
しかしながら、粒状の潮解性除湿剤Cの粒形と粒径は不規則であるために、小粒の潮解性除湿剤が、図2に示されているように、受け皿本体A1の周囲縁部100と容器本体B1の内面との間に生じる隙間Sを通過して容器本体B1の下部空間M側へ落下してしまうなどの問題を引き起こすおそれがあった。この落下は、特に、製造メーカから販売店などへの流通時において、トラックなどの運送車から受ける振動などによって引き起こされている。
【0007】
また、潮解性除湿剤の下部空間側への落下は、受け皿本体がトラックなどの運送車から受ける上下方向の振動などによって浮き上ることで、前記の隙間が広がって引き起こす。つまり、図2に示されている従来技術では、周囲縁部を容器本体内の支持縦リブの上端に載承させた支持構造のみにて、容器本体内の中高部位に受け皿本体を内在させてその上(上部空間)に潮解性除湿剤を収納させている。そのために、支持縦リブの上端から周囲縁部が離脱するように受け皿本体が浮き上り、潮解性除湿剤が下部空間側に落下する。
【0008】
そこで、本発明は、前記課題を解消するために創案されたものであり、受け皿本体で区画された容器本体の上部空間に収容されている潮解性除湿剤が下部空間側へ落下することを防ぐ除湿器用受け皿および容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために、本発明では、上面開口部を有する容器本体内の中高部位に内在されて、該容器本体内を上部空間と下部空間に区画する除湿器用の受け皿であって、受け皿本体は、前記容器本体の内面に沿う周囲縁部に、皿表面より低い段差部を備えていることを特徴とする。
ここで、前記段差部の段底幅が、粒状の潮解性除湿剤の粒径よりも狭く設定されていることが好適であり、また、前記周囲縁部は、粒状の潮解性除湿剤が前記下部空間側に通過しない程度にて前記容器周壁の内面に沿う平面視形状に形成されていることが好適なものとなる。
【0010】
また、本発明では、除湿器用の前記受け皿本体が内在される除湿器用の容器であって、前記容器本体の内面に、前記受け皿本体の浮き上がりを防ぐ係止部を備え、前記係止部は、前記受け皿本体の前記周囲縁部が前記容器本体の内面要所に設けられている支持縦リブの上端に載承されたときに、前記周囲縁部の前記段差部が係止される前記容器本体の内面高さ位置に設けられていることを特徴する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の除湿器用受け皿によれば、容器本体の内面に沿う周囲縁部に備えた段差部にて粒状の潮解性除湿剤を受け止めて、潮解性除湿剤が容器本体の下部空間側に落下することを防ぐことができる。
そして、段差部に受け止められた潮解性除湿剤が、周囲縁部と容器本体の内面(容器周壁)との隙間を埋める目地材的な作用を成すことで、受け皿本体を安定よく容器本体内に内在させて、より確実に潮解性除湿剤の下部空間側への落下を防ぐことが期待できる。
【0012】
また、本発明の除湿器用容器によれば、容器本体の内面に設けた係止部によって支持縦リブの上端に載承される受け皿本体の周囲縁部を、段差部を介して受け止めることができる。つまり、周囲縁部を支持縦リブと係止部とによる挟持状態にて容器本体内の中高部位に内在させることができる。
これにより、受け皿本体が流通時の振動などによって浮き上ることを防いで、潮解性除湿剤が容器本体の下部空間側に落下することを防ぐことができる。
【0013】
このように、本発明によれば、容器本体の上部空間に収容されている潮解性吸湿材が下部空間側に落下することを防ぐことができるので、潮解性吸湿材が下部空間側に落下しているなどによる消費者に与える商品イメージの低下を防いで、品質と信頼性の向上が図られた除湿器の製造を可能とする受け皿および容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】従来例の受け皿を示す斜視図である。
【図2】従来例の受け皿および容器が適用された除湿器を示す縦断面図である。
【図3】本実施形態に係る受け皿および容器を適用させた除湿器を示す縦断面図である。
【図4】本実施形態に係る受け皿を示す斜視図である。
【図5】本実施形態に係る容器を示す斜視図である。
【図6】同容器内に受け皿本体を内在させた状態を示す斜視図である。
【図7】容器内の支持縦リブに対する受け皿本体(周囲縁部)の載承係止状態を示す同縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係る受け皿および容器を適用させた除湿器を示す縦断面図である。
【0016】
≪除湿器の構成≫
除湿器は、図3に示すように、上面開口部10を有する容器本体Bと、この容器本体B内の中高部位に内在されて容器本体B内を上部空間Nと下部空間Mに区画する簀の子状の受け皿本体Aと、上面開口部10を塞ぐ透湿非透水性シート(以後、単に「透湿性シート」と称する)6および密封シート7とを備えて構成されている。
また、除湿器は、透湿性シート6および密封シート7を保護する蓋体8を容器本体Bの上面開口部10に着脱自在に備えている。
このように構成されている除湿器は、容器本体B内の上部空間Nに粒状の潮解性除湿剤Cが収容され、消費者(使用者)が使用するときに、密封シート7を透湿性シート6の上から取り剥がすことで、空気中の湿気が透湿性シート6を通過して容器本体B内に流入し、潮解性除湿剤Cに吸湿されるようになっている。
ちなみに、潮解性除湿剤Cは、例えば、顆粒状の塩化カルシウム、塩化マグネシウム、酢酸カリウム、塩化ナトリウムなどからなり、空気中の湿気を吸収して潮解液(水溶液)へと変化されるものである。
【0017】
≪受け皿本体の構成≫
図4は、本実施形態に係る受け皿を示す斜視図である。ここでは、図3を適宜参照しながら説明する。
受け皿本体Aは、合成樹脂材料などによって、図3および図4に示すように、容器本体Bの中高部位における容器周壁bの横断内面形状に沿う周囲縁部1を有する平面視形状に形成されている。
そして、受け皿本体Aは、周囲縁部1に沿う平坦な第1の支持面部2と、この第1の支持面部2の内側において一段高い段状に設けられる第2の支持面部3と、さらに内側の中央部位において容器Bの上部開口部10の開口位置より低い高さにて略截頭錐体形状に突出される突出部4とから形成され、それら各部には滴下孔5が多数設けられている。
【0018】
周囲縁部1は、図3に示すように、粒状の潮解性除湿剤Cが下部空間M側に通過しない程度にて容器周壁bの内面に沿う平面視形状に形成されている。すなわち、周囲縁部1と容器周壁bの内面との間に生じる隙間Sが、潮解性除湿剤Cの粒径よりも狭くなる外輪郭寸法にて周囲縁部1は形成されている。
【0019】
そして、このように形成されている受け皿本体Aの周囲縁部1には、第1の支持面部2の皿表面より低く形成されている段差部9が備えられている。
【0020】
≪段差部の構成≫
段差部9は、製造メーカから販売店などへ除湿剤が流通されるときのトラックなどの運送車から受ける振動などによって、容器本体Bの上部空間Nに収容されている潮解性除湿剤Cが、下部空間M側へ落下することを防ぐべく、図3に示すように、容器周壁bの内面との間で潮解性除湿剤Cを受け止める役目を成すものである。
この段差部9は、段底幅L1や第1の支持面部2から段差深さ(高低差)L2について限定されるものではないが、例えば、段底幅L1を潮解性除湿剤Cの粒径よりも狭く設定することが好適なものとなる。
このように、段差部9の段底幅L1を設定することによって、図3に示す拡大図のように、段差部9に落ち込んだ潮解性除湿剤Cを容器周壁bの内面との間で潮解性除湿剤Cを受け止めて、容器本体Bの下部空間M側への落下を防ぐことができる。また、段差部9に落ち込んで受け止められる潮解性除湿剤Cが、周囲縁部1と容器周壁bの内面との間を埋める目地材的な作用を成すことで、受け皿本体Aを安定よく容器本体B内に内在させて、より確実に潮解性除湿剤Cの下部空間M側への落下を防ぐことができる。
【0021】
≪容器本体の構成≫
図5は、本実施形態に係る容器本体を示す斜視図であり、図6は、受け皿本体を内在させた状態の同斜視図であり、図7は、図6の縦断側面図である。
容器本体Bは、透明または半透明などの透視可能な合成樹脂材料を用いた射出成形によって、上面開口部10を有する平面視で略長方形状に形成されている。
そして、容器本体Bは、図5および図7に示すように、容器周壁bの両長辺壁部b−1,b−2のうち、一方側の長辺壁部b−1に、平面視で容器本体Bの内側に凹設させた内向き凹形壁部11を備え、他方側の長辺壁部b−2には平面視で容器本体Bの外側に凸設させた外向き凸形壁部12を備えている。
【0022】
また、容器本体Bは、容器周壁bの内面要所に支持縦リブ13を複数備えている。
この支持縦リブ13は、図5および図7に示すように、容器底壁から容器周壁bの高さ方向略途中部位(中高部位)へと延びるように形成され、その上端には切欠き部14を備えている。
【0023】
切欠き部14は、図7に示すように、容器周壁bの内面から補強リブ13の上端に至るように略L字形状に形成されていて、受け皿本体Aの周囲縁部1が落とし込み載承されるようになっている。
【0024】
また、容器本体Bは、図5〜図7に示すように、容器周壁bにおける両長辺壁部b−1,b−2の内面に、受け皿本体Aの浮き上がりを防ぐ係止部15を備えている。
【0025】
≪係止部の構成≫
係止部15は、受け皿本体Aの周囲縁部1が支持縦リブ13の切欠き部14に載承されたときに、周囲縁部1の段差部9が係止される。
この係止部15は、図5に示すように、凹形壁部11と凸形壁部12とのそれぞれの内面において、壁周方向に延びる内向き突条に形成されている。そして、係止部15は、図7に示すように、周囲縁部1が支持縦リブ13に載承されたときに、周囲縁部1の段差部9が係止される凹形壁部b−1と凸形壁部b−2とのそれぞれの内面高さ位置において形成されている。
【0026】
このように、係止部15を備えた構成からなる受け皿本体Aによれば、受け皿本体Aの周囲縁部1を、段差部9を介して受け止めることができる。つまり、周囲縁部1を支持縦リブ13と係止部15とによる上下からの挟持状態にて受け皿本体Aを容器本体B内に内在支持させることができる。
これにより、受け皿本体Aが流通時の振動などによって浮き上ることを防いで、潮解性除湿剤Cが容器本体Bの下部空間M側に落下することを防ぐことができる。
【0027】
なお、本発明の実施形態の具体的な構成は、前記した実施形態に限られるものではなく、請求項1〜4に記載の本発明の要旨を逸脱しない範囲で設計変更などがあっても本発明に含まれるものである。
例えば、受け皿本体Aは、第1の支持面部2のみに平板状に形成することができる。また、第1の支持面部2と、この第1の支持面部2の中央部位において該第1の支持面部2から前記の実施例形態詳述の高さにて略截頭錐体形状に突設される突出部4とから形成することができる。
【0028】
また、受け皿本体Aの浮き上りなどを防ぐ係止部15は、容器周壁bの両長辺壁部b−1,b−2の内面に加えて、両短辺壁部b−3,b−4側の内面に備えることができる。また、容器周壁bの内面全周に断続的に、或いは一連に備えることができる。
【符号の説明】
【0029】
A 受け蓋本体
B 容器本体
b 容器周壁
C 潮解性除湿剤
1 周囲縁部
9 段差部
10 上面開口部(容器本体)
13 支持縦リブ
15 係止部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面開口部を有する容器本体内の中高部位に内在されて、該容器本体内を上部空間と下部空間に区画する除湿器用の受け皿であって、
受け皿本体は、前記容器本体の容器周壁の内面に沿う周囲縁部に、皿表面より低く形成された段差部を備えていることを特徴とする除湿器用受け皿。
【請求項2】
前記段差部の段底幅が、粒状の潮解性除湿剤の粒径よりも狭く設定されていることを特徴とする請求項1に記載の除湿器用受け皿。
【請求項3】
前記周囲縁部は、粒状の潮解性除湿剤が前記下部空間側に通過しない程度にて前記容器周壁の内面に沿う平面視形状に形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の除湿器用受け皿。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の受け皿本体が内在される除湿器用の容器であって、
前記容器本体の前記容器周壁の内面に、前記受け皿本体の浮き上がりを防ぐ係止部を備え、
前記係止部は、前記受け皿本体の前記周囲縁部が前記容器本体内の支持縦リブの上端に載承されたときに、前記周囲縁部の前記段差部が係止される前記容器本体の内面高さ位置に設けられていることを特徴する除湿器用容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−78865(P2011−78865A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−230842(P2009−230842)
【出願日】平成21年10月2日(2009.10.2)
【出願人】(000000550)オカモト株式会社 (118)
【Fターム(参考)】