説明

除湿器用容器

【課題】少ない熱量で透湿性シートの熱溶着を可能すること、容器周壁に変形が起き難い周壁形状を付与すること、しっかりと掴むことができること、などの改善が図られた除湿器用容器を提供する。
【解決手段】容器本体1の上面開口部3の開口縁部3aにシート溶着突部8を備える。また、平面視で略長方形状を呈する容器本体1の容器周壁1aの両長辺壁部1a−1,1a−2の一方側の長辺壁部1a−1に、上面開口部3から容器底壁1bに至る範囲で所望の凹設幅L1をおいて平面視で容器本体1の内側に凹設させた内向き凹形壁部9を備え、他方側の長辺壁部1a−2には上面開口部3から容器底壁1bに至る範囲で所望の凸設幅L2をおいて平面視で容器本体1の外側に凸設させた外向き凸形壁部10を備え、さらに、内向き凹形壁部9の凹設両側の内向き屈曲部11および外向き凸形壁部10の凸設両側の外向き屈曲部12と両短辺壁部1a−3とを湾曲壁部1a−4を介して連設させた平面視形状に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気中の湿気を潮解性除湿剤で吸湿して空間の湿度を下げ、湿度を低く保つ、押入れ、タンス、下駄箱その他の収納空間などにおいて使用される除湿器用の容器に関する。
【背景技術】
【0002】
除湿器は、上面開口部を有する容器本体内に潮解性除湿剤を収容している。上面開口部は、その周縁に備えられている平坦な開口縁部(フランジ部)に取り付けられる透湿非透水性シート(以後、単に「透湿性シート」と言う)によって塞がれ、さらにこの透湿性シートの上には密封シート(防湿性シート)が剥離可能に貼着されている(例えば、特許文献1および特許文献2などを参照)。
【0003】
ちなみに、容器本体は、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの合成樹脂材料を用いた射出型成によって形成され、上面開口部の周縁には透湿性シートが取り付けられる平坦な開口縁部(フランジ部)を一体に備えている。そして、容器内部の中高部位に、多数の滴下孔を有する受け皿(目皿)を内在することで、上部空間と下部空間に区画し、上部空間に潮解性除湿剤が収容され、下部空間に潮解性除湿剤の潮解液が受け皿の滴下孔から滴下して貯溜されるように形成されている。
透湿性シートは、湿気や空気を通すが、水は通さない。例えば、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂やポリアミド樹脂、ポリ塩化ビニール樹脂などに微小孔が処理されてなるものであり、主に熱溶着(ヒートシール)によって上面開口部の平坦な開口縁部に取り付けられる。
密封シートは、湿気や空気、そして水も通さない。例えば、アルミシートやポリプロピレンなどのガスバリヤ性フィルムなどからなるものであり、透湿性シートの表面に剥離可能に貼着され、購入者が使用するときに、透湿性シートの表面から簡単に取り剥がすことができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3290106号公報(段落番号0016、および図1、図10参照)
【特許文献2】特開2001−239126号公報(段落番号0014〜0016、および図1、図2参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1および特許文献2に記載されている従来技術では、容器本体の上面開口部の平坦な開口縁部に対する透湿性シートの熱溶着は、平坦な開口縁部の縁幅全面に対して行う手法を採用している(特許文献1の図10や特許文献2の図2参照)。
そのために、従来技術では、開口縁部の縁幅全面に熱を与え、当該開口縁部に透湿性シートを熱溶着させる必要があるなどから、その分、電気代が掛かり、製造コストの高騰を招く要因となっていた。
すなわち、1個当たりに掛かる電気代はそれほど大きくはないが、例えば、製造ラインによって1日当たり、10万単位で製造される除湿器では1日当たりかなり多くの電気量が掛かることとなるために、製造コストの高騰を招く要因になっていた。
例えば、容器本体がポリプロピレンから形成され、透湿性シートがポリエステル樹脂から形成されている場合において、従来技術では、容器本体(除湿器)の上面開口部の開口縁部に平面的に押圧させて該開口縁部の表面を、透湿性シートとともに溶融させるヒータ温度は、240℃を必要としていた。
【0006】
また、この種の除湿器の容器本体の容器周壁は、輸送時や店舗における陳列、そして使用中などにおいて破損しない程度の十分な剛性は備えているものの、強度(硬度)はそれほど備えられていない。つまり、除湿器は、使用後において廃棄処分される使い捨てタイプであるなどから、価格を安く抑えるために、容器周壁は取扱い上において破損しない程度の薄い壁厚に形成されている。
そのために、消費者が陳列棚から手に取って商品を確認するときや、透湿性シートの上から密封シートを剥離するときなどに、容器周壁が掴まれると、特に両長辺壁部が容器本体の内側に凹む、そして外側に膨らむなどの内外にペコペコと変形し易い構造であるなどから、両長辺壁部と受け皿の周囲縁部との間に隙間が生じ易く、当該隙間から顆粒状の潮解性除湿剤が下部空間に落下してしまうなどの問題を引き起こすおそれがあった。
【0007】
さらに、容器本体は、上面開口部から容器底面部に至る容器周壁の横断平面形状が、略小判型形状や略矩形形状などの、片手で掴んだときに、手に馴染み難い寸胴形状であるなどから、消費者がお店の陳列棚から手に取って商品を確認するときなどにおいて掴み難く不安定となり、手から滑り落ちるおそれがあった。
【0008】
そこで、本発明は、前記課題を解消するために創案されたものであり、少ない熱量で透湿性シートの熱溶着を可能にすること、容器周壁に変形が起き難い周壁形状(構造)を付与すること、容器周壁をしっかりと掴むことができること、などの改善が図られた除湿器用の容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために、本発明では、上面開口部を有する容器本体内に潮解性吸湿材が収容され、前記上面開口部が少なくとも透湿非透水性シートによって塞がれる除湿器用の容器であって、
前記容器本体の前記上面開口部の開口縁部に、開口形状に沿って一条に連なるシート溶着突部を備えたことを特徴とする。
【0010】
ここで、前記容器本体を、平面視で略長方形状に形成し、その容器周壁の両長辺壁部のうち、一方側の長辺壁部に、前記上面開口部から容器底壁に至る範囲で、かつ、所望の凹設幅をおいて平面視で前記容器本体の内側に凹設させた内向き凹形壁部を備え、他方側の長辺壁部に、前記上面開口部から容器底壁に至る範囲で、かつ、前記内向き凹形壁部と対応させた凹設幅をおいて平面視で前記容器本体の外側に凸設させた外向き凸形壁部を備え、さらに、前記内向き凹形壁部の凹設両側に形成されている内向き屈曲部および前記外向き凸形壁部の凸設両側に形成されている外向き屈曲部と前記容器周壁の両短辺壁部とをそれぞれ湾曲壁部を介して連設させてなる構成を採用することが好適なものとなる。
この場合、前記容器本体の前記容器周壁を片手で掴むとき、前記内向き凹形壁部と前記内向き屈曲部との段差部(凹み部)に親指がかけられ、該内向き屈曲部から前記湾曲壁部および前記短辺壁部を介して連設する前記外向き凸形壁部にわたり人差し指、中指、薬指、小指がかけられる平面視形状の容器周壁となる。つまり、掴んだときに、手に馴染み易い周壁形状の容器周壁とすることができる。
【0011】
また、前記容器本体の容器周壁の内側における要所に、前記容器本体の高さ方向略途中部位へ延びる補強リブを複数備え、該各補強リブの上端には前記容器本体内を上部空間側と下部空間側とに区画するように内在される受け皿の周囲縁部が係脱自在に係止される切欠き部が備えられていることが好適なものとなる。
【0012】
このような構成によれば、透湿非透水性シートを容器本体の上面開口部に熱溶着によって取り付けるとき、上面開口部の開口縁部に備えられているシート溶着凸部に熱を与えて、該シート溶着凸部との熱溶着によって透湿透水性シートを上面開口部に取り付けることができる。すなわち、従来技術の面状溶着に対し、線状溶着によって低い熱量で熱溶着が可能となり、単価を抑えることができる。
【0013】
また、平面視で略長方形状を呈する容器本体の容器周壁における両長辺壁部は、上面開口部から容器底壁に至る内向き屈曲部と外向き屈曲部によって壁全体の硬度が強化される。これにより、両長辺壁部が容器本体の内側に凹む、外側に膨らむなどの内外変形を抑えることができる。
また、内向き屈曲部と外向き屈曲部とは、容器本体内を上下に区画するように内在される受け皿の長辺壁部の長辺方向に移動する(ガタ付く)ことを防ぐ係止部としての役目をなす。
【0014】
また、容器本体の容器周壁における両短辺壁部側は、内向き凹形壁部の凹設両側の内向き屈曲部と外向き屈曲部の凸設両側の外向き屈曲部とが湾曲壁部を介して連設されている平面視形状に形成されている。容器本体の容器周壁を片手で掴むとき、内向き凹形壁部と内向き屈曲部との段差部に親指がかけられ、内向き屈曲部から湾曲壁部および短辺壁部を介して連設する外向き凸形壁部にわたるように人差し指、中指、薬指、小指がかけられる手に馴染み易い平面視形状であることで、片手でしっかりと掴む(握る)ことができる。
【0015】
また、容器本体内を上部空間側と下部空間側とに区画するように内在される受け皿は、容器周壁の要所に備えられている各補強リブの上端に載承されると同時に、該上端の切欠き部に周囲縁部が係止される。これにより、流通のときやお店での陳列、そして使用中に受け皿が不用意に脱落することを防ぐ。
【発明の効果】
【0016】
本発明の除湿器用の容器は、以上のように構成されていることで、容器本体の上面開口部に少ない熱量で透湿非透水性シートを熱溶着することができる。
これにより、除湿器の単価を抑えて低コストにて提供することができる。
【0017】
また、容器本体の容器周壁を片手でしっかりと掴むことができる。
これにより、消費者がお店の陳列棚から手に取って商品を確認するときなどにおいて、除湿器を誤って滑り落としてしまうなどの問題を解消することができる。
【0018】
また、容器周壁の両長辺壁部は、内向き凹設壁部を含めた内向き屈曲部および外向き凸設壁部を含めた外向き屈曲部によって、凹む、膨らむなどの容器本体の内外への変形防止が図られる。
これにより、潮解性吸湿材が下部空間に落下することを防ぐことができる。つまり、潮解性吸湿材が下部空間に落下しているなどによる消費者に与える商品イメージの低下を防いで、品質と信頼性の向上が図られた除湿器用の容器を提供することができる。
【0019】
また、容器本体内を上部空間と下部空間に区画するように内在される受け皿のズレや脱落などを確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本実施形態に係る本発明の容器を適用させた除湿器を示す縦断面図である。
【図2】同除湿器を示す斜視図である。
【図3】容器本体の一例を示す斜視図である。
【図4】同容器本体の断面図を示し、(a)は、横断平面図であり、(b)は、縦断側面図である。
【図5】同容器本体内に受け皿を内在させた状態を示す斜視図である。
【図6】受け皿の一例を示す斜視図である。
【図7】容器本体の補強リブに対する受け皿(周囲縁部)の係止状態を示す拡大縦断面図である。
【図8】密閉シートが剥がされた除湿器の平面図であり、(a)は、閉鎖シールで水抜き孔が塞がれている状態を示し、(b)は、閉鎖シールが熱溶着される前の状態を示し、(c)は、(a)の要部を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係る本発明の容器を適用させた除湿器を示す縦断面図であり、図2は、同斜視図である。
【0022】
≪除湿器の構成≫
除湿器Aは、図1および図2に示すように、上面開口部3を有する容器本体1と、この容器本体1内の中高部位に内在されて容器本体1内を上部空間Nと下部空間Mに区画する簀の子状の受け皿2と、上面開口部3を塞ぐ透湿非透水性シート(以後、単に「透湿性シート」と称する)4および密封シート5とを備えて構成されている。また、除湿器Aは、透湿性シート4および密封シート5を保護する紙製の蓋体6を上面開口部3に着脱自在に備えている。
そして、このように構成されている除湿器Aは、容器本体1内の上部空間Nに潮解性除湿剤7が収容され、消費者(使用者)が使用するときに、密封シート5を透湿性シート4の上から取り剥がすことで、空気中の湿気が透湿性シート4を通過して容器本体1内に流入し、潮解性除湿剤7に吸湿されるようになっている。
ちなみに、潮解性除湿剤7は、例えば、顆粒状の塩化カルシウム、塩化マグネシウム、酢酸カリウム、塩化ナトリウムなどからなり、空気中の湿気を吸収して潮解液(水溶液)へと変化されるものである。
【0023】
≪容器本体の構成≫
図3は、容器本体を示す斜視図であり、図4は、同容器本体の横断平面図および縦断側面図である。
容器本体1は、透明または半透明などの透視可能な合成樹脂材料を用いた射出成形によって、上面開口部3を有する平面視で略長方形状に形成されている。
そして、上面開口部3の周縁に外向き平坦で所望の縁幅を有する開口縁部3aを一体に備え、この開口縁部3aの表面には開口形状に沿って一条に連なるシール溶着突条8を備えている。
【0024】
また、容器本体1は、図3および図4の(a)に示すように、容器周壁1aの両長辺壁部1a−1,1a−2のうち、一方側(図4の(a)の紙面下側)の長辺壁部1a−1に、平面視で容器本体1の内側に凹設させた内向き凹形壁部9を備え、他方側(図4の(a)の紙面上側)の長辺壁部1a−2には平面視で容器本体1の外側に凸設させた外向き凸形壁部10を備えている。
そして、容器本体1は、図4の(a)に示すように、内向き凹形壁部9の凹設両側の内向き屈曲部11および外向き凸形壁部10の凸設両側の外向き屈曲部12と両短辺壁部1a−3,1a−4とを、湾曲壁部1a−4を介してそれぞれ連設させてなる。
すなわち、容器周壁1aは、両長辺壁部1a−1,1a−2の内向き凹形壁部9および外向き凸形壁部10、両短辺壁部1a−3、そして四隅コーナーの湾曲壁部1a−4からなる平面視形状に形成されている。
【0025】
≪シール溶着突条の構成≫
シール溶着突条8は、図3および図4の(b)に示すように、適宜の突出幅と突出高さにて平坦な開口縁部3aの縁幅方向に適宜の間隔をおいた2列にて突設されている。
これにより、上面開口部3を塞ぐように取り付けられる透湿性シート4を少ない熱量(ヒータ温度)にて熱溶着し得るようにしている。
すなわち、従来技術では、開口縁部の縁幅全面への面溶着であるのに対し、シール溶着突条8に対する線溶着によって改善されたことで、従来の面接着に比べて、少ない熱量にて透湿性シート4を開口縁部3aに熱溶着することを可能にしている。
例えば、容器本体1がポリプロピレンから形成され、透湿性シート4がポリエステル樹脂を主材として形成されている場合において、従来の面溶着では240℃のヒータ温度が必要であったが、シール溶着突条8に対する線溶着では200℃というように、従来の面溶着よりも40℃低いヒータ温度で透湿性シート4を開口縁部3aに熱溶着できる。換言すれば、同じ時間で従来よりも低温で熱溶着できることが実験の結果から確認することができた。
【0026】
≪内向き凹形壁部の構成≫
内向き凹形壁部9は、図4の(a)および(b)に示すように、上面開口部3から容器底壁1bに至る容器周壁1aの全高にわたり、かつ、所望の凹設幅L1をおいて長辺壁部1a−1側に形成されている。
そして、この内向き凹形壁部10の凹設幅L1は、図3および図4の(a)に示すように、長辺壁部1a−1の略全体に至る幅と成し、なおかつ、上面開口部3から容器底壁1bに至るにしたがって漸次広くなるように形成され、その凹設両側の平面視で略クランク形状に屈曲する内向き屈曲部11が湾曲壁部1a−4を介して容器周壁1aの両短辺壁部1a−3に連設させている。
【0027】
≪外向き凸形壁部の構成≫
外向き凸形壁部10は、図4の(a)および(b)に示すように、内向き凹形壁部9の凹設幅L1よりも狭い凸設幅L2にて上面開口部3から容器底壁1bに至る容器周壁1aの全高にわたり長辺壁部1a−2側に略平行に形成されている。そして、凸設両側の平面視で略クランク形状に屈曲する外向き屈曲部12が湾曲壁部1a−4を介して容器周壁1aの両短辺壁部1a−3に連設させた周壁形状としている。
【0028】
このように形成されている容器本体1によれば、図4の(a)に二点鎖線で示すように、容器周壁1aを片手で掴むとき、内向き凹形壁部9と内向き屈曲部11との段差部(凹み部)Sに親指がかけられ、そして内向き屈曲部11から湾曲壁部1a−4および短辺壁部1a−3を介して連設する外向き凸形壁部10にわたるように人差し指、中指、薬指、小指がかけられる手に馴染み易い平面視形状の容器周壁1aにて形成されている。
これにより、例えば、消費者が陳列棚から手に取って商品を確認するときなどにおいて、容器本体1をしっかりと掴む(握る)ことができ、容器本体1が手から滑り落ちるなどの心配が無くなる。
【0029】
また、内向き凹形壁部9を含めた内向き屈曲部11と外向き凸形壁部10を含めた外向き屈曲部12によって容器周壁1aの両長辺壁部1a−1,1a−2の強度(硬度)が増強されることで、掴んだときに、両長辺壁部1a−1,1a−2が容器本体1の内側に凹む、そして外側に膨らむなどの内外にペコペコと変形することが無くなる。これにより、図1に示すように、容器本体1の上部空間Nに収容される潮解性除湿剤7が下部空間Mに落下することを防ぐことができる。すなわち、潮解性除湿剤7が下部空間Mに落下することによる商品イメージの低下を防ぐことができる。
【0030】
また、本実施形態では、図4の(a)に示すように、容器本体1の容器周壁1aの内側における要所に補強リブ13を複数備えている。
この補強リブ13は、両長辺壁部1a−1,1a−2の内向き凹形壁部9、外向き凸形壁部10、四隅コーナーの各湾曲壁部1a−4の内側において計8ヶ所に形成されている。この補強リブ13は、図3および図4の(b)に示すように、容器底壁1bから容器周壁1aの高さ方向略途中部位(中高部位)へと延びるように形成され、その上端には切欠き部14を備えている。
このように、容器周壁1aの内側要所において補強リブ13が備えられていることで、前記内向き凹形壁部9を含めた内向き屈曲部11と外向き凸形壁部10を含めた外向き屈曲部12との相乗作用によって容器周壁1aの変形防止や耐久性などがさらに向上されることとなる。
【0031】
切欠き部14は、図4の(b)および後記の図7に示すように、容器周壁1aの内面から補強リブ13の上端に至るように略L字形状に形成されていて、受け皿2の周囲縁部15が載承係止されるようになっている。これにより、受け皿2は、不用意にズレたり、脱落するなどのおそれがない係止状態にて安定よく、容器本体1内の中高部位に載置内在し得るようにしている。
【0032】
≪受け皿の構成≫
図5は、受け皿を容器本体内に内在させた状態の斜視図であり、図6は、同受け皿を示す斜視図であり、図7は、同受け皿の周囲縁部の補強リブの状態に対する係止状態を示す拡大縦断面図である。
受け皿2は、合成樹脂材料などによって、図5に示すように、容器本体1内の中高部位に位置する容器本体1の平面視形状(横断面形状)に形成されている。そして、受け皿2は、図6に示すように、周囲縁部15に沿う平坦部2aと、その内側に一段高く形成されている中段部2bと、さらにその内側に略山形形状に形成されている中央部2cとからなり、それら各部には、長孔形状の滴下孔16が多数設けられている。
【0033】
≪透湿性シートおよび密封シートの説明≫
透湿性シート4は、湿気や空気を通すが、水は通さない、例えば、ポリオレフィン樹脂やポリアミド樹脂、ポリ塩化ビニール樹脂などに微小孔が処理されてなるものであり、開口縁部3aのシール溶着突条8の突端に熱溶着されることで、容器本体1の上面開口部3を塞ぐように取り付けられる。
密封シート5は、湿気や空気、そして水も通さない、例えば、アルミシートやポリプロピレンなどのガスバリヤ性フィルムなどからなるものであり、透湿性シート4に剥離可能に貼着され、消費者が使用するときに、透湿性シート4の表面から簡単に取り剥がすことができるようになっている。
【0034】
図8は、密閉シートが剥がされた除湿器の平面図および要部の拡大断面図である。
また、本実施形態では、使用後において、受け皿2によって区画された容器本体1の下部空間M側に溜まった潮解液を排出する水抜き孔17を開口するための切れ目18を透湿性シート4に備えている。
切れ目18は、図8の(b)に示すように、一部に繋ぎ目19を残して略U字状に設けられる孔開口部18aと、この孔開口部18aの両開放端から漸次幅狭状で半円状に連なるように設けられる孔開口部18bとから形成されている。
これにより、容器本体1の短手方向において一半分側が幅広で、他半部側の孔縁に向けて漸次幅狭とする横長形状の水抜き孔17が開口されるようにしている。
そして、このように設けられる切れ目18(水抜き孔17)は、閉鎖シール20によって塞がれ、使用中に除湿器Aが倒れても下部空間Mに溜まった潮解液が外部に流出しないようになっている。
【0035】
閉鎖シール20は、非透水性シートなどを用いて水抜き孔17を完全に塞ぐ程度の大きさを有する略長方形状に形成されて、透湿性シート4と孔開口片部17aの一部において熱溶着(ヒートシール)される。
具体的には、図8の(a)に交差斜線で示すように、閉鎖シール20は、切れ目18に沿う水抜き孔17の孔周辺と孔開口片部17aの一部において熱溶着されるとともに、一側短辺側では熱溶着されずに残されて摘み部20aとなり、この摘み部20aを摘んで透湿性シート4から剥がされるようになっている。
なお、閉鎖シール20の透湿性シート4に対する熱溶着は、閉鎖シール20を剥がすときに、透湿性シート4が破れるなどの透湿性シート4に影響を与えない程度の弱い熱量によって行われる。
これにより、閉鎖シール20を透湿性シート4から剥がして水抜き孔17を開口させるときに、透湿性シート4を破くことなく、しかも、図8の(c)に二点鎖線で示すように、孔開口片部17aが閉鎖シート20と一緒に捲られて水抜き孔17が開口されるようになっている。
【0036】
なお、本発明の実施形態の具体的な構成は、前記した実施形態に限られるものではなく、請求項1〜4に記載の本発明の要旨を逸脱しない範囲で設計変更などがあっても本発明に含まれるものである。
例えば、シール溶着突条8は、1本でも良く、3以上の複数本を設けることができる。3本以上設ける場合には、1本当たりの突出幅を狭くすることで、透湿性シート4を熱溶着するときの熱量(ヒータ温度)をさらに低く抑えることが期待できる。また、2本以上設けることで、溶着強度やシール性などの向上を期待することができる。
【0037】
また、容器周壁1aの両短辺壁部1a−3側(湾曲壁部1a−4と両長辺壁部1a−1,1a−2の一部を含む)の平面視形状を、掴んだときに、手に馴染み易い略ハート形、詳しくはハート形を中心部から左右に二分割したときの一方側の形などに形成することができる。
【符号の説明】
【0038】
A 除湿器
1 容器本体
1a 容器周壁
1a−1,1a−2 長辺壁部
1a−3 短辺壁部
1a−4 湾曲壁部
1b 容器底壁
2 受け皿
3 上面開口部
3a 開口縁部
4 透湿非透水性シート
5 密封シート
7 潮解性除湿剤
8 シール溶着突条
9 内向き凹形壁部
10 外向き凸形壁部
11 内向き屈曲部
12 外向き屈曲部
13 補強リブ
14 切欠け部
15 周囲縁部(受け皿)
S 段差部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面開口部を有する容器本体内に潮解性吸湿材が収容され、
前記上面開口部が少なくとも透湿非透水性シートによって塞がれる除湿器用の容器であって、
前記容器本体の前記上面開口部の開口縁部に、開口形状に沿って一条に連なるシート溶着突部を備えたことを特徴とする除湿器用容器。
【請求項2】
前記容器本体を、平面視で略長方形状に形成し、その容器周壁の両長辺壁部のうち、一方側の長辺壁部に、前記上面開口部から容器底壁に至る範囲で、かつ、所望の凹設幅をおいて平面視で前記容器本体の内側に凹設させた内向き凹形壁部を備え、
他方側の長辺壁部に、前記上面開口部から容器底壁に至る範囲で、かつ、前記内向き凹形壁部と対応させた凹設幅をおいて平面視で前記容器本体の外側に凸設させた外向き凸形壁部を備え、
さらに、前記内向き凹形壁部の凹設両側に形成されている内向き屈曲部および前記外向き凸形壁部の凸設両側に形成されている外向き屈曲部と前記容器周壁の両短辺壁部とをそれぞれ湾曲壁部を介して連設させてなることを特徴とする請求項1に記載の除湿器用容器。
【請求項3】
前記容器本体の前記容器周壁を片手で掴むとき、前記内向き凹形壁部と前記内向き屈曲部との段差部に親指がかけられ、前記内向き屈曲部から前記湾曲壁部および前記短辺壁部を介して連設する前記外向き凸形壁部にわたるように人差し指、中指、薬指、小指がかけられる平面視形状に形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の除湿器用容器。
【請求項4】
前記容器本体の容器周壁の内側における要所に、前記容器本体の高さ方向略途中部位へ延びる補強リブを複数備え、該各補強リブの上端には前記容器本体内を上部空間側と下部空間側とに区画するように内在される受け皿の周囲縁部が係脱自在に係止される切欠き部が備えられていることを特徴する請求項1〜3のいずれかに記載の除湿器用容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−67803(P2011−67803A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−223404(P2009−223404)
【出願日】平成21年9月28日(2009.9.28)
【出願人】(000000550)オカモト株式会社 (118)
【Fターム(参考)】