説明

除湿器集合体

【課題】集合包装を行うことを前提とした除湿器の生産工程において、透湿性及び非透水性を有するシート材の無駄を無くして生産コストの低減化を図り、更には産業廃棄物を少なくした環境適応性の高い工程を実現すること、また、煩雑な容器の整列作業を繰り返し行うことを避け、包装工程まで含めた作業の効率化を図り、生産性の向上を実現することができること。
【解決手段】除湿器を複数個整列配置した除湿器集合体100であって、容器10の上端開口部11における外周縁11rに、容器10を整列配置した際に隣接する容器10が互いに近接する近接部分11r0を一対形成し、近接部分11r0で互いに近接して整列配置された複数の容器10に対して、上端開口部11を覆うように上端開口部11の外縁部11rにシート材20を貼着し、複数の容器10の互いに近接した近接部分11r0を除く外周縁11rに沿ってシート材20を切り取り、シート材20の互いに近接した近接部分11r0間の部分に切り離し用の破線孔mを形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集合包装に適するように複数個の除湿器を整列配置した除湿器集合体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
室内や収納空間内の湿気を除去するために、合成樹脂製の容器中に塩化カルシウム等の吸湿剤を封入し、透湿性を有するシート材でその容器の上端開口部を被覆した除湿器が広く使用されている。
【0003】
このような除湿器は、家屋内で使用する場合、その設置場所が押入、タンス、下駄箱等の複数箇所に及ぶため、商品の流通段階では複数個を纏めて集合包装した形態にすることが一般になされている。その場合には、除湿器の包装は、除湿器の必要数を一列に配置して、その個々を連架して支持する厚紙製のカバーを複数の除湿器の上部や下部に被せた後、その周囲を包装フィルムでタイトに外装することが行われている。
【0004】
また、下記特許文献1には、一列に配置された複数の除湿器を厚紙製包装材により列方向に角筒状に包装する除湿器集合包装体が記載されており、厚紙製包装材を用いて、除湿器の上端開口部を被覆するシート材の保護を効果的に行うこと等が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−96866号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような除湿器は、工場での生産段階では、成形された合成樹脂製の容器内の中段位置に受け皿を配置することで、その下に水溜の空間を形成し、受け皿の上に吸湿剤、例えば顆粒状の潮解性吸湿剤(水分を吸収して水溶液に変化するもの)を装填し、その後の工程で、容器の上端開口部を二層のシート材で被覆することが行われている。二層のシート材は、下層側が除湿器としての機能を発揮するための透湿性及び非透水性を有するシート材であり、上層側が流通段階で容器内部に湿気が入るのを防ぐ気密性シートである。
【0007】
透湿性及び非透水性を有するシート材は、例えば、ポリオレフィン樹脂やポリアミド樹脂、ポリ塩化ビニル等に微小孔処理が施されたものであり、容器上端開口部の外縁部への貼着は超音波溶着,熱板溶着,高周波溶着,熱溶着等の溶着処理によって行われる。また、気密性シートは、アルミシートやポリプロピレン等のガスバリア性フィルム等からなるものであり、先に貼着された透湿性及び非透水性を有するシート材の表面に剥離可能に貼着される。使用者はこの気密性シートを透湿性及び非透水性を有するシート材から剥離して、除湿器を適宜の箇所に設置する。
【0008】
ところで、生産段階で容器の上端開口部に透湿性及び非透水性を有するシート材を貼着する工程では、所定間隔で整列させた複数個の容器に対して、これら複数個の容器の上端開口部を覆うシート材を被せ、複数の容器に対して同時に貼着処理を行い、その後個々の容器に対応する形で個別にシート材を打ち抜く処理が行われている。これによると、容器を所定間隔で並べていることで、容器と容器の間でシート材の残余部分が生じることになり、特殊処理を施した比較的高価な透湿性及び非透水性を有するシート材がその残余部分で無駄になる問題があった。また、シート材の残余部分は産業廃棄物にもなるので、これをできる限り少なくして環境適応性の高い生産工程にすることが望まれている。
【0009】
また、透湿性及び非透水性を有するシート材を容器の上端開口部に貼着した後は、シート材を貼着する工程の前作業で複数の容器を整列させたにも拘わらず、個々の容器毎に打ち抜きを行い、その後は個別の除湿器として扱っている。したがって、前述した集合包装を行う場合には、改めて複数個の除湿器を集めて整列させる作業が必要になり、包装工程まで含めると度々の整列作業によって生産効率が悪化する問題があった。
【0010】
本発明は、このような事情に対処することを課題の一例とするものである。すなわち、集合包装を行うことを前提とした除湿器の生産工程において、透湿性及び非透水性を有するシート材の無駄を無くして生産コストの低減化を図り、更には産業廃棄物を少なくした環境適応性の高い工程を実現すること、また、煩雑な容器の整列作業を繰り返し行うことを避け、包装工程まで含めた作業の効率化を図り、生産性の向上を実現することができること、等が本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
このような目的を達成するために、本発明による除湿器集合体は、以下の構成を少なくとも具備するものである。
【0012】
容器中に吸湿剤を封入し、透湿性を有するシート材で前記容器の上端開口部を被覆した除湿器を、複数個整列配置した除湿器集合体であって、前記容器の上端開口部における外周縁に、前記容器を整列配置した際に隣接する当該容器が互いに近接する近接部分を一対形成し、前記近接部分で互いに近接して整列配置された複数の前記容器に対して、前記上端開口部を覆うように当該上端開口部の外縁部に前記シート材を貼着し、当該複数の容器の互いに近接した前記近接部分を除く外周縁に沿って前記シート材を切り取り、前記シート材の互いに近接した前記近接部分間の部分に切り離し用の破線孔を形成したことを特徴とする除湿器集合体。
【発明の効果】
【0013】
このような特徴を有する除湿器集合体によると、集合包装を行うことを前提とした除湿器の生産工程において、透湿性を有するシート材の無駄を無くして生産コストの低減化を図り、更には産業廃棄物を少なくした環境適応性の高い工程を実現することができる。また、形成された除湿器集合体はその後一体として扱うことができるので、集合包装を行う際の整列作業を排除することができる。これによって、煩雑な容器の整列作業を繰り返し行うことを避け、包装工程まで含めた作業の効率化を図り、生産性の向上を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態に係る除湿器集合体の全体構成を示した説明図(同図(a)が斜視図、同図(b)が平面図)である。
【図2】本発明の実施形態に係る除湿器集合体におけるシート材の残余部分を示した説明図である。
【図3】本発明の実施形態に係る除湿器集合体を集合包装した状態を示した説明図(同図(a)が外観図、同図(b)が断面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。図1は本発明の実施形態に係る除湿器集合体の全体構成を示した説明図(同図(a)が斜視図、同図(b)が平面図)である。除湿器集合体100は、個々の除湿器1を複数個整列配置した一体物である。
【0016】
個々の除湿器1は、例えば合成樹脂製の容器10を備え、その容器10中に吸湿剤(図示省略)を封入し、透湿性を有するシート材20で容器10の上端開口部11を被覆したものである。個々の容器10の上端開口部11における外周縁11rには、容器10を整列配置した際に隣接する容器が互いに外周縁11rの一部で近接する近接部分11r0を一対形成している。図示の例では、この一対の近接部分11r0は、一方が外周縁11rの一部を凸状に形成しており、他方が外周縁11rの一部を前記の凸状に対応する凹状に形成している。
【0017】
そして、近接部分11r0で互いに近接して整列配置された複数の容器10に対して、上端開口部11を覆うように上端開口部11の外縁部11aにシート材20を貼着し、複数の容器10の互いに近接した近接部分11r0を除く外周縁11rに沿ってシート材20を切り取り、シート材20の互いに近接した近接部分11r0間の部分に切り離し用の破線孔mを形成している。
【0018】
このような除湿器集合体100は、破線孔mで繋がっている一枚のシート材20によって一体化されている。また、この破線孔mを使用者が切り離すことで、個別の除湿器1を得ることができる。シート材20上には上端開口部11を覆うように気密性シート(図示省略)を貼着しても良く、その場合にはシート材20の破線孔mと重なる位置に気密性シートにも破線孔が形成される。
【0019】
このような除湿器集合体100の形成方法について、以下に説明する。先ず、容器10を整列配置して、容器10の上端開口部11から内部に吸湿剤を装填する。容器10を整列配置する際には、一対の近接部分11r0で隣接する容器10が互いに近接し合うように整列配置する。近接部分11r0は互いに対向する同一形状に形成されており、整列配置した状態の複数の容器10はその状態で位置決めされる。特に、図1に示すように、一対の近接部分11r0を一方が凸状に他方が凹状に形成することで、隣接する容器10が近接部分11rで互いに嵌り合った状態になって、より安定した集合状態を得ることができる。また、このように凹凸状に形成することで近接部分11rとなる外周縁部分を長く取ることができる。
【0020】
そして、近接部分11r0で互いに近接して整列配置された複数の容器10に対して、上端開口部11を覆うように上端開口部11の外縁部11aにシート材20を貼着する。この貼着工程は、前述したように超音波溶着,熱板溶着,高周波溶着,熱溶着等の溶着処理によって行うことができる。ここでは、整列配置された複数の容器10を位置決めして、これら容器10の上端開口部11に同時にシート材20を貼着する。
【0021】
その後、複数の容器10の互いに近接した近接部分11r0を除く外周縁11rに沿ってシート材20を切り取り、シート材20の互いに近接した近接部分11r0上の部分に切り離し用の破線孔mを形成する。外周縁11rに沿った切り取りと破線孔mの形成は打ち抜き機等によって同時に行っても良いし、別工程で行っても良い。この状態で複数の容器10はシート材20で連なった状態になり、各容器10を繋げるシート材20の部分には破線孔mが形成されている。前述したように近接部分11rを凹凸状にして長く取るようにすると、破線孔mの形成される部分が長くなって、複数の容器10の繋がりがより強固になる。
【0022】
図2は、シート材20の残余部分を示した説明図であって、ロールから繰り出された長尺状のシート材20の一部を複数の容器10の上端開口部11に貼着した後に、外周縁11rに沿った切り取り線cと破線孔mを入れた状態を示している。切り取り線cの内側が容器10に貼着されるシート材20(20A)であり、その外側がシート材20の残余部分(使われなかった余り部分)20Bである。本発明の実施形態のように、容器10の上端開口部11の外周縁11rに近接部分11r0を積極的に形成してその間に破線孔mを形成することで、間隔を空けて容器10を配列し個々の容器10毎に打ち抜く場合と比較して、残余部分20Bの面積を少なくすることができる。これによってシート材20の使用コストを低減することができると同時に、産業廃棄物となる残余部分20Bを減らした環境適応性の高い工程を実現できる。
【0023】
図3は、本発明の実施形態に係る除湿器集合体を集合包装した状態を示した説明図(同図(a)が外観図、同図(b)が断面図)である。形成された除湿器集合体100は、厚紙製等の包装材200によって簡易に集合包装することができる。この際、除湿器集合体100は一体物として扱うことができるので、個別の除湿器1を再度整列させて包装材200で包む場合と比較して、作業効率を格段に向上させることができる。また、除湿器1を個別に整列させる場合と比較して、除湿器集合体100自体がコンパクトになるので、包装材200で包んだ状態のものもコンパクトにすることができ、流通過程での搬送効率を向上させることができる。
【0024】
ここでは、除湿器集合体100を厚紙製の包装材200により列方向に角筒状に包装している。包装材200は除湿器集合体100の整列方向に沿って包装材200を開裂させる引き裂き帯201を有している。また、包装材200の引き裂き帯201より上部200Aには、個々の除湿器1毎に包装材200の上部200Aを分断させる破線孔m1が形成されている。また、包装材200の上部200Aには、容器10の上端顎部を係止する係止部202が形成されている。引き裂き帯201を取り除き、上部200Aを残して、この上部200Aを破線孔m1に沿って分断することで、上部200Aをシート材20の保護体として活用することができる。
【0025】
図3(b)に基づいて、流通段階における除湿器1の構造について説明する。除湿器1は、前述した容器10と、この容器10内の中段部位に支持される簀の子状の受け皿と、上端開口部11を覆う透湿性及び非透水性を有するシート材20と、このシート材20を覆うように貼着される気密性シート21を備えており、容器10内の受け皿12の上に吸湿剤(例えば、顆粒状の潮解性を有する吸湿剤)13が装填されている。使用者が包装材200を解いた後は、気密性シート21をシート材20から剥がすことで、シート材20を介して湿気が容器10内に流入可能になり、除湿機能が発揮できるようになる。
【0026】
容器10は、底壁部10aと周壁部10bを備え、透明又は半透明等の透視可能な合成樹脂材料等によって形成することができ、上端開口部11の上面に外縁部11aを形成する上端顎部10Aが形成されており、この上端顎部10Aの左右両端部分が包装材200の係止部202に係止されている。また、容器10は周壁部10bの内側に適宜の間隔を空けて縦に延びるリブ13が形成されており、このリブ13上端に受け皿12が係止された状態で載置されるようになっている。容器10内の受け皿12の下側は水溜用の空間Mが形成されている。
【0027】
このような除湿器集合体100によると、集合包装を行うことを前提とした除湿器1の生産工程において、透湿性を有するシート材20の無駄を無くして生産コストの低減化を図り、更には産業廃棄物を少なくした環境適応性の高い工程を実現することができる。また、形成された除湿器集合体100はその後一体として扱うことができるので、集合包装を行う際の整列作業を排除することができる。これによって、煩雑な容器10の整列作業を繰り返し行うことを避け、包装工程まで含めた作業の効率化を図り、生産性の向上を実現することができる。
【符号の説明】
【0028】
1:除湿器,10:容器,10A:上端顎部,11:上端開口部,
11a:外縁部,11r:外周縁,11r0:近接部分,
12:受け皿,13:リブ,
20:シート材,21:気密性シート,
100:除湿器集合体,
200:包装材,201:引き裂き帯,202:係止部,
m,m1:破線孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器中に吸湿剤を封入し、透湿性を有するシート材で前記容器の上端開口部を被覆した除湿器を、複数個整列配置した除湿器集合体であって、
前記容器の上端開口部における外周縁に、前記容器を整列配置した際に隣接する当該容器が互いに近接する近接部分を一対形成し、
前記近接部分で互いに近接して整列配置された複数の前記容器に対して、前記上端開口部を覆うように当該上端開口部の外縁部に前記シート材を貼着し、当該複数の容器の互いに近接した前記近接部分を除く外周縁に沿って前記シート材を切り取り、前記シート材の互いに近接した前記近接部分間の部分に切り離し用の破線孔を形成したことを特徴とする除湿器集合体。
【請求項2】
前記シート材上に前記上端開口部を覆うように気密性シートを貼着していることを特徴とする請求項1記載の除湿器集合体。
【請求項3】
前記一対の近接部分は、一方が前記外周縁の一部を凸状に形成し、他方が前記外周縁の一部を前記凸状に対応する凹状に形成していることを特徴とする請求項1又は2記載の除湿器集合体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−79532(P2011−79532A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−230840(P2009−230840)
【出願日】平成21年10月2日(2009.10.2)
【出願人】(000000550)オカモト株式会社 (118)
【Fターム(参考)】