説明

除湿装置

【課題】熱損失の低減によって暖房負荷の低減を図るとともに装置の小型化を実現する除湿装置を提供する。
【解決手段】除湿した空気を車室内101に供給する除湿装置1は、車室内101と連通し、車室内101から取り入れた空気が流通する放熱側通路3と、放熱側通路3を流通する空気よりも低温の空気が流通する受熱側通路4と、放熱側通路3を流通する空気と受熱側通路4を流通する空気とが向かい合わせで互いに反対向きに流れる対向流を形成するときに、両方の空気間で熱移動が行われる熱交換部である薄板部5と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、除湿した空気を車室内に供給する除湿装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用空調装置においては、気温が低い暖房実施時には外気導入モードで車室内に導入した外気をヒータ等で適温まで加熱して車室内に供給していた。しかし、外気導入モードにおいては加熱前後で空気の温度差が大きいため、暖房能力不足しがちであるため、内気を加熱して車室内に循環する内気循環モードを行うことにより、暖房負荷を低減することも行われてきた。この内気循環モードの場合でも、内気は相対湿度が高いことがあり、窓ガラスの曇りが発生して運転者の視認性が損なわれることがあるため、窓曇り防止の観点から外気モードや内外気モードを採用することがあった。
【0003】
一方、最近要望されている、電気を動力エネルギーとして走行する電気自動車等では、エンジン排熱に頼る暖房が不可能になるため、電気ヒータやヒートポンプを搭載して電気エネルギーによって暖房熱を生成するようになってきた。このような暖房方式の場合、暖房負荷が高いほど、車両の走行距離が減るため、少しでも暖房負荷を減らす必要があり、例えば、特許文献1に記載の技術のように、外気導入モードを実施し、換気口に換気熱回収器を設置して換気による熱損失を回収し、この回収熱を導入した外気の加熱に還元する方式が採用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−23547号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の従来技術では、換気口に設置した換気熱回収器と、外気導入口に設置した回収熱放熱器をループ状の不凍液回路で接続して、不凍液をポンプで循環させて換気による熱損失を回収する方式である。
【0006】
しかしながら、このような方式では熱回収を実施するための装置が大がかりになることや、不凍液を循環させるポンプの消費電力が大きくなることといった問題があり、また、換気口と外気導入口とにおける2回の熱交換によって、換気損失熱の回収効率が優れたものであるとはいえず、暖房負荷軽減が十分なものではなかった。
【0007】
そこで本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、熱損失の低減によって暖房負荷の低減を図るとともに装置の小型化を実現する除湿装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために以下の技術的手段を採用する。すなわち、請求項1は、除湿した空気を車室内(101)に供給する除湿装置(1,1E,1F)に係る発明であって、車室内と連通し車室内から取り入れた空気が流通する放熱側通路(3,3E,3F)と、車室外部(102)の空気が導入され、または、車室外部(102)の空気によって冷却された空気が導入される通路であって、放熱側通路を流通する空気よりも低温の空気が流通する受熱側通路(4,4E,4F)と、放熱側通路を流通する空気と受熱側通路を流通する空気とが向かい合わせで互いに反対向きに流れる対向流を形成するときに、両方の空気間で熱移動が行われる熱交換部(5,5A,5B)と、を備え、前記受熱側通路(4,4E,4F)を流通する空気は、前記熱交換部で暖められた後、前記車室内に供給されることを特徴とする。
【0009】
この発明によれば、放熱側通路に導入された車室内の暖かい空気は、放熱側通路を流通する過程の熱交換部において、車室外部の空気(外気)または車室外部の空気(外気)により冷却された空気によって冷却されるため、除湿されることになる。この除湿された空気がそのまま車室内に供給される場合には、車室内を除湿する効果が得られる。さらに放熱側通路で除湿された空気を車室内に供給するしないにかかわらず、受熱側通路を流通する空気は、熱交換部で放熱側通路の空気によって暖められた後、車室内に供給されるため、車室内空気の温度よりは低温、低湿であるとともに、車室外部の空気よりは高温である。この低湿度で、かつ適温の空気は、車室内に供給されるので、車室内の除湿効果及び熱回収の両方に寄与し、これを空気間の熱交換による比較的簡易な装置で達成することができる。したがって、熱損失の低減によって暖房負荷の低減を図るとともに装置の小型化を実現する除湿装置を提供できる。
【0010】
請求項2によると、請求項1に記載の発明において、放熱側通路(3,3E)及び受熱側通路(4,4E)は、通路断面が両通路の対向する方向に短く、当該対向方向に対して直交する方向に長い細長状の通路であることを特徴とする。この発明によれば、放熱側通路及び受熱側通路は、両方の通路の対向する方向に薄い扁平な通路である。この構成により、両方の通路を流通する空気間で熱移動が行われる熱交換部の熱交換面積を大きくすることができ、さらなる除湿効果の向上が図れる装置を提供できる。
【0011】
請求項3によると、請求項2に記載の発明において、受熱側通路(4,4E)と放熱側通路(3,3E)は、車両の前後方向に向かい合うように配置されていることを特徴とする。この発明によれば、車両の前後方向に扁平な2つの通路が並んだ除湿装置を提供することができる。したがって、車両前後方向についての除湿装置の搭載スペースを低減でき、数多くの各種搭載部品があり搭載条件の制約が多い車両において大きな効果を奏する。
【0012】
請求項4によると、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の発明において、放熱側通路(3,3E)と受熱側通路(4,4E)は、空気流れ方向が上下方向に延びる通路であり、装置本体(2,2E)の下部に、放熱側通路または受熱側通路に開口し、装置本体の外部に通じる排水口(24,24E)が形成されていることを特徴とする。
【0013】
この発明によれば、熱交換部等において放熱側通路を流通する空気が十分に除湿されて、空気中の水分が結露した場合には、結露水は下方に流下し、排水口から車室外部に流出することができる。したがって、確実なドレン排水を実施できる。
【0014】
請求項5によると、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の発明において、放熱側通路(3)と受熱側通路(4)は、空気流れ方向が上下方向に延びる通路であり、装置本体(2D)の下部に放熱側通路及び受熱側通路の少なくとも一方に連通するように設けられ、当該連通する通路の断面積よりも大きい断面積を有して、氷を貯留する氷貯留部(25)を備えることを特徴とする。
【0015】
車室外部の空気が氷点下を大きく下回る低温である場合には、空気通路に氷が発生することがある。そこで、本発明によれば、装置本体の下部であって、空気通路の途中に氷貯留部が設けられているため、氷が発生しても、空気の流路を確保できるので、低露点までの除湿が可能になる。したがって、より一層、除湿効果の向上が図れる装置を提供できる。
【0016】
請求項6によると、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の発明において、放熱側通路(3)と受熱側通路(4)は、空気流れ方向が上下方向に延びる通路であり、車室内から取り入れられて放熱側通路を流通する空気は、流れが反対方向に折り返されて受熱側通路を流通するように構成されており、車室外部(102)の空気の熱を受熱可能なように車室外部に露出するとともに装置本体(2,2D)の下部で放熱側通路または受熱側通路に露出して配置される熱伝達部材(7,7D)を備えることを特徴とする。
【0017】
この発明によれば、車室外部に露出する熱伝達部材は車室外部の低温空気によって冷却され、放熱側通路を下方に流下した空気は装置本体下部の放熱側通路または受熱側通路に露出する熱伝達部材に接触することによって熱を奪われて冷却されるため、さらに除湿されて低温になる。車室外部の空気によって熱伝達部材を介して除湿された空気は、受熱側通路を上昇するときに放熱側通路を下降する空気によって暖められるため、車室内の空気よりは低温であるが車室外部の空気よりは高い温度である適温に調節され、かつ低湿度の空気として、車室内に供給される。したがって、外気温度を直接室内に供給しない構成、例えば内気循環モードにおいて、車室内を効果的に除湿する装置を提供できる。
【0018】
請求項7によると、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の発明において、熱交換部は、放熱側通路(3)と受熱側通路(4)とを仕切る平板部であり、当該平板部は、表面が平らな薄板部(5)、表面にディンプル形状または凸形状を備える薄板部(5A)、断面波形状の薄板部(5B)のいずれかであることを特徴とする。この発明によれば、熱交換部における熱容量を小さくしたり、伝熱面積を増加させたり、放熱側通路や受熱側通路を流通する空気の流れを乱して熱交換性を高めたりすることにより、除湿装置における熱交換特性を向上させ、除湿効果を高めることができる。
【0019】
請求項8によると、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の発明において、受熱側通路(4)を流通する空気は、放熱側通路(3)を流通する空気と熱交換した後、車両に設けられた車両用空調装置(200)のデフロスタ吹出口(203a)に通じるデフロスタ用ダクト(203)内に導入されることを特徴とする。
【0020】
この発明によれば、車両用空調装置からの空調空気と除湿装置からの除湿空気とを一つのデフロスタ吹出口からまとめて吹き出す構造を採用することにより、吹出口の設置に必要なスペース、及び両方の装置におけるダクト配設に要するスペースを小さくすることができる。
【0021】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態の具体的手段との対応関係を示す一例であり、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明を適用した第1実施形態に係る除湿装置の概略構成を説明する概略構成図である。
【図2】第1実施形態の除湿装置の構成を説明するための斜視図である。
【図3】車両における除湿装置と車両用空調装置の搭載位置を説明するための模式図である。
【図4】内気風量及び外気風量について外気温度と暖房負荷との関係を説明するためのグラフである。
【図5】除湿装置における熱交換部について、第1の他の形態を説明するための模式図である。
【図6】除湿装置における熱交換部について、第2の他の形態を説明するための模式図である。
【図7】本発明を適用した第2実施形態に係る除湿装置の概略構成を説明する概略構成図である。
【図8】本発明を適用した第3実施形態に係る除湿装置の概略構成を説明する概略構成図である。
【図9】本発明を適用した第4実施形態に係る除湿装置を車両に搭載した状態を示す概略図である。
【図10】第4実施形態の除湿装置の概略構成を説明する概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、図面を参照しながら本発明を実施するための複数の形態を説明する。各形態において先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を適用することができる。各実施形態で具体的に組み合わせが可能であることを明示している部分同士の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示してなくとも実施形態同士を部分的に組み合わせることも可能である。
【0024】
(第1実施形態)
本発明を適用した第1実施形態を図1〜図6にしたがって説明する。図1は、第1実施形態に係る除湿装置1の概略構成を説明する概略構成図である。図2は除湿装置1の構成を説明するための斜視図である。図3は、車両100における除湿装置1と車両用空調装置200の搭載位置を説明するための模式図である。図4は、内気風量及び外気風量について外気温度と暖房負荷との関係を説明するためのグラフである。図5は除湿装置1の熱交換部について第1の他の形態を説明するための模式図である。図6は除湿装置1の熱交換部について第2の他の形態を説明するための模式図である。以下、第1実施形態について図面にしたがって説明する。
【0025】
除湿装置1は、車両100に搭載されて、除湿した空気を車室内101に供給する装置であり、車両用空調装置200の運転モードに応じて、または車両用空調装置200の運転モードに関係なく単独で動作するように設定されている。除湿装置1は、高温側の空気が流れる放熱側通路3と、低温側の空気が流れる受熱側通路4と、両方の空気間で熱移動が行われる薄板部5と、これらの空気通路に車室内101の空気を引き込む送風機6と、を備え、これら各部は装置本体2の内部に設けられている。装置本体2は、例えば樹脂製のケースで構成されている。
【0026】
放熱側通路3は、除湿装置1において車両後方側で上下方向に延びるように配置されて、装置本体2を構成する平板によって囲まれた空気通路であり、車室内101と連通し、車室内101から取り入れた空気が流通する。受熱側通路4は、除湿装置1において放熱側通路3よりも車両前方側で、上下方向に延びるように配置される空気通路である。受熱側通路4は、車室外部102の空気によって冷却された空気が導入されて、装置本体2を構成する平板によって囲まれた空気通路であって、放熱側通路3を流通する空気よりも低温の空気が流通する。放熱側通路3と受熱側通路4は、装置本体の下部23でつながっているため、放熱側通路3を下方に流下した空気は、装置本体の下部23で逆向きの上方へ折り返されて受熱側通路4を上昇し、最上部に開口する2個の吹出口21から吹き出される。吹出口21は、デフロスタ用ダクト203を介してデフロスタ吹出口203aに通じている。したがって、吸込口20から吸い込まれた車室内の空気は、放熱側通路3、受熱側通路4、を順に通過し、車室内101に開口するデフロスタ吹出口203aからフロント窓ガラス104に向けて吹き出される
放熱側通路3の上方には、車室内101の空気を装置本体2内部に吸い込むための送風機6が設けられ、車室内101の空気が吸い込まれる吸込口が横長状に開口している。送風機6は、クロスフローファンが採用され、車両前後方向の長さを抑制することができるとともに、低風量であるが車幅方向に幅広い吸い込み気流を形成することができる。
【0027】
熱交換部として機能する薄板部5は、放熱側通路3を流通する空気と受熱側通路4を流通する空気とが向かい合わせで互いに反対向きに流れる対向流を形成するときに、両方の空気間で熱移動が行われる。すなわち、放熱側通路3を流通する空気は、薄板部5に沿って下方に流下するときに薄板部5に放熱し、薄板部5に伝達した熱は、受熱側通路4を上昇する空気に対して熱を与える。このようにして、放熱側通路3の空気の熱は、受熱側通路4の空気に移動するのである。
【0028】
薄板部5は、放熱側通路3と受熱側通路4を車両前後に仕切っており、熱伝達性を確保するために熱容量が小さくなるように非常に薄く形成された板部材であるが、空気の流通によって振動して騒音が発生しない程度に、また変形して通路抵抗が増大しない程度に強度を備えている。薄板部5は、表面が平らな平板であり、その材質は金属、樹脂(例えば、ナイロン)等、特に限定するものではないが、熱伝導性の高い材料、例えば、アルミニウム、銅、またはこれらの合金等からなることが好ましい。
【0029】
放熱側通路3及び受熱側通路4は、その通路断面が両通路の対向する方向に短く、当該対向方向に対して直交する方向に長い細長状の通路である。すなわち、車両100に設置した状態では、図2及び図3に示すように、放熱側通路3及び受熱側通路4は、その通路断面が車両100の前後方向に短く、車両100の車幅方向に長い細長状の通路である。そして、受熱側通路4と放熱側通路3は、車両100の前後方向に向かい合うように重なって配置されている。また、図3に示すように、受熱側通路4と放熱側通路3は、その車幅方向の通路幅が、上流側の吸込口20近傍の通路幅及び下流側の吹出口21近傍の通路幅に比べて、長く形成されている。これにより、薄板部5の車幅方向の寸法が大きくなり、熱交換面積を拡大することができ、熱交換部としての性能向上を図れるとともに、通路の通流抵抗を低減して省電力、低騒音に寄与する。
【0030】
装置本体2の下部に、放熱側通路3または受熱側通路4に開口し、装置本体2の外部に通じる排水口24が形成されている。この排水口24には、ドレン水を車両100の下方に導出して落下させるためのドレンパイプ8が取り付けられている。装置本体2の下部には、車室外部102の空気の熱を受熱可能なように一部が車室外部102に露出するとともに、残部が装置本体2の下部で樹脂製の平板を貫通して放熱側通路3または受熱側通路4に露出して配置される熱伝達部材としての貫通フィン7が設けられている。貫通フィン7は、熱伝導性の高い材料、例えば、アルミニウム、銅、またはこれらの合金等からできている。
【0031】
車両用空調装置200は、その外殻をケースで構成されており、例えば、大別して、送風機を有する送風部とヒートポンプサイクルを流通する冷媒の吸熱作用(蒸発器での空気冷却)や放熱作用(凝縮器での空気加熱)によって空気調和を行う空調部とを備え、車室内101を設定温度等に応じて快適な状態になるように空調する空調ユニットである。車両用空調装置200は、インストルメントパネル103の裏側(車両前方側)に配置されており、さらに車両用空調装置200の車両前方側に除湿装置1が配置されている。除湿装置1は、車室内101と車室外部102とを隔てるダッシュボード105に取り付けられて車室外部102に配置され、例えば、エンジンルームに臨むように車両用空調装置200に隣接している。
【0032】
車両用空調装置200は、送風部と空調部を有する装置本体と、フェイス吹出口201aに通じるフェイス用ダクト201と、フット吹出口202aに通じるフット用ダクト202と、デフロスタ吹出口203aに通じるデフロスタ用ダクト203と、を備えている。デフロスタ吹出口203aは、装置本体の車両前方側の上部に位置する。インストルメントパネル103のフロント窓ガラス104付近の車両前方部には、室内吹出口の一つであるデフロスタ吹出口203aが設けられている。デフロスタ吹出口203aは、曇り度合いを低減するために空調風がフロント窓ガラス104等の室内側の内面に沿うように、デフロスタ用ダクト203によって接続されている。デフロスタ吹出口203aはデフロスタ用ドアによって開閉制御される。
【0033】
フェイス吹出口201aは、装置本体の上部のデフロスタ吹出口203aよりも車両後方側に位置する。インストルメントパネル103の車両後方側の前面には、車室内101に露出する室内吹出口の一つであるフェイス吹出口201aが設けられている。フェイス吹出口201aは、運転席及び助手席の乗員の上半身に向けて空調風(例えば冷風)を吹き出すために、フェイス用ダクト201によって接続されている。フェイス吹出口201aはフェイス用ドアによって開閉制御される。フット吹出口202aは、装置本体の下部の車両後方側に位置する。乗員の足元には、室内吹出口の一つであるフット吹出口202aが設けられている。フット吹出口202aは、運転席及び助手席の乗員の足元に向けて空調風(例えば温風)を吹き出すために、フット用ダクト202によって接続されている。フット吹出口202aはその開口断面積がフット用ドアによって開閉制御される。
【0034】
蒸発器は、例えば、装置本体の車両前方側に位置し、ヒートポンプサイクル内の膨張弁で減圧された低温低圧の冷媒を送風機の送風を受けて内部で蒸発させる冷却用熱交換器である。そして、冷媒が流れるチューブの周囲を通過する送風空気を冷却して下流の冷風通路に冷風を供給する。凝縮器は、一例として蒸発器よりも車両後方側の下部に位置し、冷媒の放熱作用により送風空気を加熱する加熱用熱交換器であり、蒸発器よりも空気流れ方向の下流側の通路を部分的に塞ぐように配置されている。エアミックスドアは、その開度位置により、凝縮器を通る温風の風量と凝縮器を通過しない冷風の風量との比率を調節して、空調風の温度調節を行う。
【0035】
温風通路は、車両前方側に傾いた形態で、装置本体の下部から上方のエアミックスチャンバに向けて延びるように形成されている。温風通路は、装置本体の車両左右方向全体に亘る幅寸法を有し、その幅寸法は車両前後方向の寸法よりも大きくなっている。つまり、温風通路は、前後方向に薄く、横長で上下方向に長い扁平状の通路を呈している。各吹出口から吹き出される空調風は、車室内101における上記の所定の室内吹き出し部位に供給されることになる。送風機、エアミックスドア、デフロスタ用ドア、フェイス用ドア及びフット用ドアの作動は、制御装置によって制御される。
【0036】
上記構成において、除湿装置1の作動について説明する。送風機6が運転を開始すると、車室内101の空気は吸込口20から放熱側通路3に流入するようになる。放熱側通路3に引き込まれた車室内101の空気は、除湿装置1内部で下降する空気流れとなり、下流側の受熱側通路4を上昇する空気流れと対向流を形成し、両通路を仕切る薄板部5を介して熱交換する。このとき、放熱側通路3を流通する空気は、空気流れの向きを放熱側通路3の下方から受熱側通路4の上方に転じた所で、貫通フィン7を介して車室外部102の空気(以下、外気ともいう)によって冷却されるので、除湿されることになる。そして、除湿された空気は、放熱側通路3の空気から吸熱しながら受熱側通路4を上昇して吹出口21に達し、デフロスタ用ダクト203を経てデフロスタ吹出口203aから車室内101に吹き出される。このように車室内101に吹き出された空気は、除湿され、かつ車室内空気よりも低温となって、車室内101に戻されることになる。
【0037】
次に、除湿装置1内での空気温度について説明する。除湿装置1上部の吸込口20から導入された車室内101の暖かい空気は、放熱側通路3を下降するにつれ、受熱側通路4を上昇する空気によって冷却され、さらに貫通フィン7を介して外気によって冷却されるので、除湿装置1の最下部(例えば受熱側通路4への切り替わり部)で最低温度になる。外気が車室温度の露点を下回る低温である場合には、除湿装置1内を流れる空気中の水分は結露してドレン水となり、ドレン水は、通路を落下して装置本体の下部23に開口する排水口24からドレンパイプ8を通って外部に排出される。除湿された空気は、その後、受熱側通路4を上昇して、放熱側通路3の空気から吸熱して暖められ、車室内空気よりやや低温だが外気よりも十分に高温である適温に調節されて、車室内101に戻されることになる。さらに、除湿装置1によって車室内101に戻された空気は、薄板部5及び貫通フィン7で冷却されることによって、除湿されるため、低湿度の空気でもある。したがって、除湿装置1から車室内101に戻された空気は、フロンド窓ガラス104の曇り防止に適した空気であるとともに、熱損失の低減が図れる空気でもある。
【0038】
除湿装置1を用いることにより、車室内空気の除湿が図れるので、車両用空調装置200は、内気循環モードで空調運転を持続できるので、暖房負荷を大幅に低減できる。一例として図4に示すように、暖房風量が大風量の場合で外気導入モードよりも内気循環モードを実施することで、暖房負荷を3分の1以下に低減することができる。小風量の場合でも、暖房負荷を2分の1程度に低減することができる。したがって、除湿装置1は、電気自動車のように暖房負荷によって、走行距離、走行能力が大きく左右される車両においては非常に有用である。
【0039】
除湿装置1の熱交換部は、表面が平らな薄板部5の他、図5または図6に示す形態であってもよい。図5に示す第1の他の形態は、表面にディンプル形状または凸形状が形成された薄板部5Aである。図6に示す第2の他の形態は、断面形状が波形状である薄板部5Bであり、コルゲートフィンとも呼ばれる。いずれの薄板部においても、熱伝達面積を増加して熱交換性能を向上することができる。
【0040】
本実施形態の除湿装置1がもたらす作用効果について以下に述べる。除湿装置1は、車室内101と連通し車室内101から取り入れた空気が流通する放熱側通路3と、車室外部102の空気が導入され、または、車室外部102の空気によって冷却された空気が導入される通路であって、放熱側通路3を流通する空気よりも低温の空気が流通する受熱側通路4と、放熱側通路3を流通する空気と受熱側通路4を流通する空気とが向かい合わせで互いに反対向きに流れる対向流を形成するときに、両方の空気間で熱移動が行われる熱交換部としての薄板部5と、を備える。受熱側通路4を流通する空気は、薄板部5で暖められた後、車室内101に供給される。
【0041】
この構成によれば、放熱側通路3に導入された車室内101の暖かい空気は、放熱側通路3を流通する過程の薄板部5において、外気または外気により冷却された空気によって冷却されるため、除湿されることになる。この除湿された空気がそのまま車室内101に供給される場合には、車室内101を除湿する効果が得られる。さらに放熱側通路3で除湿された空気を車室内101に供給するしないにかかわらず、受熱側通路4を流通する空気は、薄板部5で放熱側通路3の空気によって暖められた後、車室内101に供給されるため、車室内空気の温度よりは低温、低湿であるとともに、車室外部102の空気よりは十分に高温である。この低湿度でかつ適温の空気は、車室内101に供給されるので、車室内101の除湿効果及び熱回収の両方に寄与し、これを空気間の熱交換を用いた比較的簡易な装置によって達成することができる。また、空気間の熱交換であるため、従来の特許文献1の場合に比べて、熱損失を低減する点で有効であとともに、熱交換に関する装置体格を低減できる。したがって、熱損失の低減によって暖房負荷の低減が図れるとともに、除湿装置1の小型化を実現することができる。
【0042】
また、除湿装置1によれば、送風機6による風量を低風量にすることができるため、送風機6の消費電力は車両用空調装置200の送風機の消費電力よりも小さくでき、例えば10分の1程度にすることも可能である。また、前述した特許文献1の装置における不凍液を循環させるポンプと比較しても消費電力を大幅に低減することが可能である。
【0043】
また、放熱側通路3及び受熱側通路4は、通路断面が両通路の対向する方向(車両の前後方向)に短く、当該対向方向に対して直交する方向(車幅方向)に長い細長状の通路である。この構成によれば、放熱側通路3及び受熱側通路4は、両方の通路の対向する方向に薄い扁平な通路である。この構成により、両方の通路を流通する空気間で熱移動が行われる熱交換部(薄板部)の熱交換面積を大きくすることができ、さらなる除湿効果の向上が図れる。また、両通路の対向方向に対して直交する方向に広範囲にわたって空気を供給できる送風手段を採用することが可能になるため、高い圧力損失に強い特性を有するファンではなく、低圧力損失特性のファン、例えば、本実施形態のクロスフローファンを採用することができる。したがって、送風手段の騒音値を低減、及び風量の低減ができることにより、車室内101の静音性及び装置の省電力性が図れる。
【0044】
また、受熱側通路4と放熱側通路3は、車両前後方向に向かい合うように配置されている。この構成によれば、車両前後方向に扁平な2つの通路が並んだ除湿装置1を提供することができる。したがって、車両前後方向についての除湿装置1の搭載スペースを低減でき、数多くの各種搭載部品があり搭載条件の制約が多い車両において大きな効果を奏する。また、車両用空調装置200に対して車両前後方向のいずれかに除湿装置1を搭載する場合には、車両用空調装置200が搭載される周辺スペースの有効利用が期待でき、例えば、エンジンルームやインストルメントパネル103裏側のスペースを有効利用できる。
【0045】
また、放熱側通路3と受熱側通路4は、空気流れ方向が上下方向に延びる通路であり、装置本体2の下部に、放熱側通路3または受熱側通路4に開口し、装置本体2の外部に通じる排水口24が形成されている。この構成によれば、熱交換部(薄板部5)や貫通フィン7において放熱側通路を流通する空気が十分に除湿されて、空気中の水分が結露した場合には、結露水は下方に流下し、排水口24から車室外部102に流出することができ、確実なドレン排水を実施できる。
【0046】
また、放熱側通路3と受熱側通路4は、空気流れ方向が上下方向に延びる通路である。車室内101から取り入れられて放熱側通路3を流通する空気は、流れが反対方向に折り返されて受熱側通路4を流通するように構成されている。除湿装置1は、車室外部102の空気の熱を受熱可能なように車室外部102に露出するとともに装置本体2の下部で放熱側通路3または受熱側通路4に露出して配置される熱伝達部材(貫通フィン7)を備える。
【0047】
この構成によれば、車室外部102に露出する貫通フィン7は車室外部102の低温空気によって冷却され、放熱側通路3を下方に流下した空気は装置本体下部の放熱側通路3または受熱側通路4に露出する貫通フィン7に接触することによって熱を奪われて冷却されるため、さらに除湿されて低温になる。車室外部102の空気によって貫通フィン7を介して除湿された空気は、受熱側通路4を上昇するときに放熱側通路3を下降する空気によって暖められるため、車室内101の空気よりは低温であるが車室外部102の空気よりは十分に高い温度である適温に調節され、かつ低湿度の空気として車室内101に供給される。したがって、外気温度を直接車室内に供給しない構成、例えば内気循環モードにおいて、車室内を効果的に除湿することができる。
【0048】
請求項7によると、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の発明において、熱交換部は、放熱側通路(3)と受熱側通路(4)とを仕切る平板部であり、当該平板部は、表面が平らな薄板部(5)、表面にディンプル形状または凸形状を備える薄板部(5A)、断面波形状の薄板部(5B)のいずれかであることを特徴とする。この発明によれば、熱交換部における熱容量を小さくしたり、伝熱面積を増加させたり、放熱側通路や受熱側通路を流通する空気の流れを乱して熱交換性を高めたりすることにより、除湿装置における熱交換特性を向上させ、除湿効果を高めることができる。
【0049】
また、受熱側通路4を流通する空気は、放熱側通路3を流通する空気と熱交換した後、車両に設けられた車両用空調装置200のデフロスタ吹出口203aに通じるデフロスタ用ダクト203内に導入される。この構成によれば、車両用空調装置200からの空調空気と除湿装置1からの除湿空気とを一つのデフロスタ吹出口203aからまとめて吹き出す構造を採用することにより、吹出口の設置に必要なスペース、及び両方の装置におけるダクト配設に要するスペースを小さくすることができる。したがって、車両100への搭載スペースの低減が図れる。
【0050】
(第2実施形態)
第2実施形態に係る除湿装置1Dは、第1実施形態の除湿装置1に対して、空気通路で発生した氷を貯留可能な氷貯留部25を備える。第2実施形態は、以下に特に説明しない実施形態、例えば、構成、各部の作動、各運転モードの作動及び作用、作用効果等については第1実施形態と同様である。図7は、第2実施形態に係る除湿装置1Dの概略構成を説明する概略構成図である。
【0051】
図7に示すように、氷貯留部25は、装置本体2Dの下部に放熱側通路3及び受熱側通路4の少なくとも一方に連通するように設けられている。氷貯留部25は、当該連通する通路の断面積よりも大きい断面積を有する大きさであり、その空間に空気通路で発生した氷を貯留することができる。さらに、除湿装置1Dは、貫通フィン7Dを加熱できる電気式のヒータ9を備えている。ヒータ9は、貫通フィン7Dを加熱することにより、氷貯留部25に貯留した氷を熱で溶かして液体のドレン水に変え、ドレン水は、排水口24からドレンパイプ8を通じては排水される。例えば、電気自動車の場合には、ワントリップ分の除湿量に相当する容量の氷貯留部25を備えればよい。そして、蓄電池への充電中に、電気式ヒータを稼動し、氷を溶かしてドレン水に変えて車外に排水することができる。
【0052】
第2実施形態によれば、装置本体2Dの下部であって、空気通路の途中に氷貯留部25が設けられているため、車室外部102の空気が氷点下を大きく下回る低温である場合に氷が発生しても、空気の流路を確保できるので、低露点までの除湿が可能になる。したがって、より一層、除湿装置の除湿効果の向上が図れる。
【0053】
(第3実施形態)
第3実施形態に係る除湿装置1Eは、第1実施形態の除湿装置1に対して、放熱側通路3Eと受熱側通路4Eとが連通しない通路であること、受熱側通路4は外気が直接流通する通路であること、が相違している。第3実施形態は、以下に特に説明しない実施形態、例えば、構成、各部の作動、各運転モードの作動及び作用、作用効果等については第1実施形態と同様である。図8は、第3実施形態に係る除湿装置1Eの概略構成を説明する概略構成図である。
【0054】
図8に示すように、装置本体2E内に形成される放熱側通路3Eと受熱側通路4Eは、それぞれ独立した互いに連通しない関係の通路である。放熱側通路3Eは、上部の吸込口20から下部の吹出口31Eに至る下方に延びる通路である。吸込口20から取り込まれた車室内空気は、放熱側通路3Eを下降し、吹出口31Eから吹き出される。受熱側通路4Eは、下部の吸込口41Eから上部の吹出口21に至る上方に延びる通路である。吸込口41Eから取り込まれた外気は、受熱側通路4Eを上昇し、吹出口21から、接続されるダクト等を介して車室内101に吹き出される。
【0055】
放熱側通路3Eに流入した車室内空気(内気)と受熱側通路4Eに流入した外気は、熱交換部として薄板部5に沿って流れる際に、熱交換される。内気は外気によって冷却されて結露水とともに吹出口31から排出され、外気は内気によって暖められて車室内101へ吹き出される。この除湿装置1Eでは、低湿の外気を導入しているので、内気を除湿することができる。さらに外気にもかかわらず、温度上昇した空気として車室内101に供給されるため、窓ガラスの防曇効果が得られ、暖房負荷の低減にも寄与する。そしてこの場合も、車両用空調装置200は、除湿装置1Eの除湿効果により、内気循環モードで運転して、暖房負荷低減を図る空調を実施できる。なお、放熱側通路3Eの吹出口31Eから排出される除湿された内気は、車室内101に還流するように構成してもよい。
【0056】
(第4実施形態)
第4実施形態に係る除湿装置1Fは、第3実施形態の除湿装置1Eに対して、装置本体2Fが車両100の天井部に沿うように設置されている点で相違している。第4実施形態は、以下に特に説明しない実施形態、例えば、構成、各部の作動、各運転モードの作動及び作用、作用効果等については第1実施形態及び第3実施形態と同様である。図9は、第4実施形態に係る除湿装置1Fを車両100に搭載した状態を示す概略図である。図10は第4実施形態の除湿装置1Fの概略構成を説明する概略構成図である。
【0057】
図9に示すように、除湿装置1Fは、車両100後方のトランクルームから前席の天井部にかけて、天井面に沿うように配されている。除湿装置1Fでは、車室内空気は前席の天井付近から吸い込まれてトランクルームに排出され、車室外空気はトランクルームから吸い込まれ前席の天井付近から、フロントの窓ガラスに向けて吹き出される。
【0058】
図10に示すように、装置本体2F内に形成される放熱側通路3Fと受熱側通路4Fは、それぞれ独立した互いに連通しない関係の通路である。放熱側通路3Fは、前席の天井部に開口する吸込口20Fから、トランクルームに開口する吹出口31Fに至る車両後方に延びる通路である。吸込口20Fから取り込まれた車室内空気は、放熱側通路3Fを流れ、吹出口31Fから吹き出される。受熱側通路4Fは、ランクルームに開口する吸込口41Fから、前席の天井部に開口する吹出口21Fに至る車両前方に延びる通路である。吸込口41Fから取り込まれた外気は、受熱側通路4Fを流れ、吹出口21Fから、車室内101に吹き出される。
【0059】
放熱側通路3Fに流入した車室内空気(内気)と受熱側通路4Fに流入した外気は、熱交換部として薄板部5に沿って流れる際に、熱交換される。内気は外気によって冷却されて結露水とともに吹出口31Fから排出され、外気は内気によって暖められて車室内101へ吹き出される。この除湿装置1Fでは、低湿の外気を導入しているので、内気を除湿することができる。さらに外気にもかかわらず、温度上昇した空気として車室内101に供給されるため、フロント窓ガラスの防曇効果が得られ、暖房負荷の低減にも寄与する。そしてこの場合も、車両用空調装置200は、除湿装置1Fの除湿効果により、内気循環モードで運転して、暖房負荷低減を図る空調を実施できる。
【0060】
このように除湿装置1Fは薄形の構造であるため、搭載場所は車両の天井部に限定されることない。例えば、床下、ドア内部に搭載することも可能である。
【0061】
(他の実施形態)
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において種々変形して実施することが可能である。
【0062】
上記実施形態において、除湿装置における吸込口20は、車室内101のどの位置であってもよい。また除湿装置における吹出口21は、デフロスタ吹出口203aに連通することが窓ガラスの防曇の点からも好ましいが、車室内101に開口する他の吹出口に連通するようにしてもよい。
【0063】
上記実施形態の除湿装置1,1D,1Eは、車両用空調装置200の内気循環モードと連動して同モードで同時運転することができる。これによれば、内気循環モードによる暖房負荷低減効果が得られるとともに、除湿装置1,1D,1Eによる車室内空気の除湿効果が図れる。また、車室内101の湿度が高い場合には、車両用空調装置200による内外気モードまたは外気モードを実施して急速な湿度低下を行った後、内気循環モードに切り換えて、同モードで除湿装置1,1D,1Eを同時運転するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0064】
1,1E,1F…除湿装置
2,2D,2E,2F…装置本体
3,3E,3F…放熱側通路
4,4E,4F…受熱側通路
5…薄板部(熱交換部)
5A…薄板部(熱交換部)
5B…薄板部(熱交換部)
7,7D…貫通フィン(熱伝達部材)
24,24E…排水口
25…氷貯留部
100…車両
101…車室内
102…車室外部
200…車両用空調装置
203…デフロスタ用ダクト
203a…デフロスタ吹出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
除湿した空気を車室内(101)に供給する除湿装置(1,1E,1F)であって、
前記車室内と連通し、前記車室内から取り入れた空気が流通する放熱側通路(3,3E,3F)と、
車室外部(102)の空気が導入され、または、車室外部(102)の空気によって冷却された空気が導入される通路であって、前記放熱側通路を流通する前記空気よりも低温の空気が流通する受熱側通路(4,4E,4F)と、
前記放熱側通路を流通する前記空気と前記受熱側通路を流通する前記空気とが向かい合わせで互いに反対向きに流れる対向流を形成するときに、両方の空気間で熱移動が行われる熱交換部(5,5A,5B)と、を備え、
前記受熱側通路(4,4E,4F)を流通する空気は、前記熱交換部で暖められた後、前記車室内に供給されることを特徴とする除湿装置。
【請求項2】
前記放熱側通路(3,3E,3F)及び前記受熱側通路(4,4E,4F)は、通路断面が両通路の対向する方向に短く、当該対向方向に対して直交する方向に長い細長状の通路であることを特徴とする請求項1に記載の除湿装置。
【請求項3】
前記受熱側通路(4,4E)と前記放熱側通路(3,3E)は、車両(100)の前後方向に向かい合うように配置されていることを特徴とする請求項2に記載の除湿装置。
【請求項4】
前記放熱側通路(3,3E)と前記受熱側通路(4,4E)は、空気流れ方向が上下方向に延びる通路であり、
装置本体(2,2E)の下部に、前記放熱側通路または前記受熱側通路に開口し、前記装置本体の外部に通じる排水口(24,24E)が形成されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の除湿装置。
【請求項5】
前記放熱側通路(3)と前記受熱側通路(4)は、空気流れ方向が上下方向に延びる通路であり、
装置本体(2D)の下部に前記放熱側通路及び前記受熱側通路の少なくとも一方に連通するように設けられ、当該連通する通路の断面積よりも大きい断面積を有して、氷を貯留する氷貯留部(25)を備えることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の除湿装置。
【請求項6】
前記放熱側通路(3)と前記受熱側通路(4)は、空気流れ方向が上下方向に延びる通路であり、
前記車室内から取り入れられて前記放熱側通路を流通する空気は、流れが反対方向に折り返されて前記受熱側通路を流通するように構成されており、
前記車室外部(102)の空気の熱を受熱可能なように前記車室外部に露出するとともに、装置本体(2,2D)の下部で前記放熱側通路または前記受熱側通路に露出して配置される熱伝達部材(7,7D)を備えることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の除湿装置。
【請求項7】
前記熱交換部は、前記放熱側通路(3)と前記受熱側通路(4)とを仕切る平板部であり、当該平板部は、表面が平らな薄板部(5)、表面にディンプル形状または凸形状を備える薄板部(5A)、断面波形状の薄板部(5B)のいずれかであることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の除湿装置。
【請求項8】
前記受熱側通路(4)を流通する空気は、前記放熱側通路(3)を流通する空気と熱交換した後、車両(100)に設けられた車両用空調装置(200)のデフロスタ吹出口(203a)に通じるデフロスタ用ダクト(203)内に導入されることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の除湿装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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